特許拒絶査定不服審判
2024-014293
基板処理液提供装置およびそれを含む基板処理システム
- 審判番号
- 2024-014293
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-206267
- 請求日
- 2024年09月06日
- 審決日
- 2025年09月12日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】セメス株式会社
- 【請求人代理人】IBC一番町弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 殿川 雅也
- 審判官 濱本 禎広
- 審判官 門 良成
- 分類
- P18 .571-Z (B05C) / P18 .572-Z (B05C) / P18 .573-Z (B05C) / P18 .574-Z (B05C) / P18 .575-Z (B05C) / P18 .113-Z (B05C) / P18 .121-Z (B05C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-206267「基板処理液提供装置およびそれを含む基板処理システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 7月12日出願公開、特開2023- 99324〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年12月23日(パリ条約による優先権主張2021年12月30日、2022年6月15日、いずれも韓国)の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。なお、以下、2021年12月30日を「優先日」という。
令和5年11月27日付け:拒絶理由通知
令和6年 3月 5日 :意見書、手続補正書の提出
同年 4月26日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 5月 7日 :原査定の謄本の送達)
同年 9月 6日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年9月6日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年9月6日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和6年9月6日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正するものであり、この補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和6年3月5日にされた手続補正後をいう。)の請求項18が、後記の(2)に示す本件補正後の請求項18に補正された。下線は、補正箇所を示す。
(1) 本件補正前の請求項18
「【請求項18】
基板処理液を基板上に吐出して前記基板を処理する基板処理装置と、前記基板処理装置と連結され、前記基板処理液を前記基板処理装置に提供する基板処理液提供装置と、前記基板処理装置と前記基板処理液提供装置を制御する制御装置を含み、前記基板処理液提供装置は、前記基板処理液を貯蔵する貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクの内部に設置され、前記貯蔵タンクの内部空間を分割する隔壁を含み、前記隔壁は一面と他面を貫通して形成される複数のホールを含む、基板処理システム。」
(2) 本件補正後の請求項18
「【請求項18】
基板処理液を基板上に吐出して前記基板を処理する基板処理装置と、前記基板処理装置と連結され、前記基板処理液を前記基板処理装置に提供する基板処理液提供装置と、前記基板処理装置と前記基板処理液提供装置を制御する制御装置を含み、前記基板処理液提供装置は、前記基板処理液を貯蔵する貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクの内部に設置され、前記貯蔵タンクの内部空間を分割する隔壁を含み、前記隔壁は一面と他面を貫通して形成される複数のホールを含み、前記貯蔵タンクの内部に貯蔵された前記基板処理液を攪拌させる第1ポンプを備え、前記第1ポンプは、前記貯蔵タンクの側面に対して傾斜して連結される、基板処理システム。」
2 本件補正の適否(目的該当性違反)
(1) 本件補正前の課題
ア 前記1(1)に示した、本件補正前の請求項18に係る発明は、次の構成を備えるものである。下線は、当審において付したものであり、以下同様である。
「前記基板処理液提供装置は、前記基板処理液を貯蔵する貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクの内部に設置され、前記貯蔵タンクの内部空間を分割する隔壁を含み、前記隔壁は一面と他面を貫通して形成される複数のホールを含む」
イ 上記構成に関して、本願明細書には次の記載がある。
「【0096】
ヘッド-リザーバーモジュール概念における設備(すなわち、本発明の場合のように基板処理液提供装置120とインクジェットヘッドユニット240を使用するインクジェット設備)では、ヘッド軸が動くとき、リザーバー内部の揺れが発生する。このとき、揺れを防止するために、リザーバーの内部に隔壁構造を適用すれば、内部体積を分割して揺れの程度を減少させることができ、揺れ回復の時間を短縮させることができる。」
「【0104】
本実施形態において、基板処理液提供装置120は、揺れを防止してインクジェットヘッドユニット240から流入するバブルを除去するために、貯蔵タンク310の内部に穿孔隔壁構造を含むことができる。このような穿孔隔壁構造は、所定の大きさ(例えば、0.5~2mm)を有するホールやスリットタイプが一定の間隔で配置されて形成されることができる。前記でホールは、円形や正多角形状を有することができ、スリットは楕円形や直多角形状を有することができる。スリットは、楕円形ホールや直多角形ホールを介して設けられることもできる。」
ウ 前記ア及びイを踏まえると、本件補正前の請求項1に記載された発明の解決しようとする課題は、次のとおりであると認められる。
「基板処理液を貯蔵する貯蔵タンクにおいて、貯蔵タンクの内部に穿孔隔壁構造を含むことにより、基板処理液が内部で揺れることを防止するとともに、インクジェットヘッドユニットから流入するバブルを除去すること。」
(2) 本件補正後の課題
ア 一方、前記1(2)に示した、本件補正後の請求項18に係る発明は、本件補正により新たに次の構成を備えるものである。
「前記貯蔵タンクの内部に貯蔵された前記基板処理液を攪拌させる第1ポンプを備え、前記第1ポンプは、前記貯蔵タンクの側面に対して傾斜して連結される」
イ 上記構成に関して、本願明細書には次の記載がある。
「【0071】
貯蔵タンク310の内部に、上記のように、複数の隔壁350a,350bが交差設置されると、基板処理液提供装置120は、基板処理液の供給および揺れの部分で十分に抑制可能な構造を有することができる。しかし、基板処理液提供装置120のこのような構造は、内部攪拌の面で基板処理液の流動性を低下させる問題を引き起こし得る。
【0072】
また、最近になって基板Gを処理するのに使用されるインクの多変性により、インク内に多数の粒子が含まれている。しかし、このように基板処理液が多量の粒子を含むようになると、粒子間の凝集(Aggregation)、沈降、浮遊、相分離など多くの問題を誘発させ得る。」
「【0077】
第1ポンプ330は、貯蔵タンク310の内部に貯蔵された基板処理液を攪拌させるためにポンピング(Pumping)の役割をするものである。基板処理液提供装置120は、第1ポンプ330のこのような作用により、貯蔵タンク310の内部に貯蔵された基板処理液に対して攪拌流動性を確保することができる。」
「【0084】
第1ポンプ330は、貯蔵タンク310の内部にポンピング力を提供するために、貯蔵タンク310の下端部に連結されることができる。第1ポンプ330がこのように設置されると、図5に示すように、貯蔵タンク310の内部底面からその上の方向にポンピング力410を伝達できるようになり、ポンピング力410によって基板処理液420を円滑に攪拌流動させる効果を得ることができる。図5は、基板処理液提供装置が第1例示による内部構造を有する場合の効果を説明するための参照図である。」
「【0087】
貯蔵タンク310が前記のような構造を有する場合、第1ポンプ330は、基板処理液の攪拌流動性を増加させるために、貯蔵タンク310の側面に対して傾斜して連結されることができる(0°<θ<90°)。この場合、第1ポンプ330は、図7に示すように上向きに傾斜して連結されることができ、図8に示すように下向きに傾斜して連結されることも可能である。図7は、本発明の一実施形態による基板処理システムを構成する基板処理液提供装置の内部構造を概略的に示す第2例示図であり、図8は、本発明の一実施形態による基板処理システムを構成する基板処理液提供装置の内部構造を概略的に示す第3例示図である。」
ウ また、審判請求書の「(4)本願発明と引用文献の発明との対比」において、請求人は、次のとおり主張している。
「本願請求項1に係る発明(本願発明1)は、「前記貯蔵タンクの内部に貯蔵された前記基板処理液を攪拌させる第1ポンプを備え、前記第1ポンプは、前記貯蔵タンクの側面に対して傾斜して連結される」という特徴を有しており、第1ポンプが貯蔵タンクの側面に対して傾斜して連結させることで基板処理液の撹拌流動性を増加させる効果が得られます。この種の装置において、貯蔵タンク内の液体を攪拌させるポンプを設置するとした場合、一般的には貯蔵タンクの側面に沿わせて設置したり、側面に対して垂直方向に立設させたりするのが通常である考えられます。このように、本願発明1は、貯蔵タンク内の液体の攪拌効率を高めるため、ポンプの設置姿勢を通常考え得る姿勢ではなく、敢えて貯槽タンクの側面に対して傾斜させています。」
エ 前記ア~ウを踏まえると、本件補正後の請求項1に記載される発明の解決しようとする課題には、次のとおりのものが含まれると認められる。
「基板処理液を貯蔵する貯蔵タンクにおいて、前記貯蔵タンクの側面に対して傾斜してポンプを連結することで、基板処理液の撹拌流動性を増加させること。」
(3) 課題の同一性についての当審の判断
ア 前記(1)及び(2)において検討した事項を踏まえると、本件補正前の請求項18に記載された発明の解決しようとする課題は、基板処理液が内部で揺れることを防止するとともに、インクジェットヘッドユニットから流入するバブルを除去することであるのに対し、本件補正後の請求項18に記載される発明の解決しようとする課題には、基板処理液の撹拌流動性を増加させるという課題が含まれるから、本件補正後の課題には、本件補正前の課題とは異なるものが追加されていることは明らかである。
そして、本件補正後の課題は、本件補正前の課題を概念的に下位にしたものでも、同種のものでもないなど、技術的に密接に関連しているとはいえないから、本件補正の前後において、発明の解決しようとする課題が同一であるとはいえない。
イ 加えて、上記アの課題に対応して本件補正により追加された「前記貯蔵タンクの内部に貯蔵された前記基板処理液を攪拌させる第1ポンプ」が、本件補正前の請求項18に係る発明を特定するいずれの事項をもさらに限定するものではないことも明らかである。
ウ 以上によれば、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)を目的とするものに該当しない。
エ また、本件補正は、特許法17条の2第5項1号、3号又は4号に規定するいずれを目的としたものに該当しないことも明らかである。
(4) 目的該当性違反の判断についてのまとめ
したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項各号のいずれを目的とするものではない補正であり、特許法17条の2第5項の規定に違反するもの(目的該当性違反)であるから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
なお仮に、本件補正が特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるとすると、本件補正後の請求項18に係る発明(以下「本件補正発明」という。)も特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討することとなる。
そこで、念のため、本件補正発明が、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
3 独立特許要件の判断
(1) 本件補正発明
ア 本件補正発明の認定
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項18に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
イ 本件補正発明の分説
本件補正発明の構成を、後記(3)の対比の議論のために、便宜上次のように構成A~F、Xに分説する。
<本件補正発明の分説>
(構成A)基板処理液を基板上に吐出して前記基板を処理する基板処理装置と、
(構成B)前記基板処理装置と連結され、前記基板処理液を前記基板処理装置に提供する基板処理液提供装置と、
(構成C)前記基板処理装置と前記基板処理液提供装置を制御する制御装置を含み、
(構成D)前記基板処理液提供装置は、前記基板処理液を貯蔵する貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクの内部に設置され、前記貯蔵タンクの内部空間を分割する隔壁を含み、
(構成E)前記隔壁は一面と他面を貫通して形成される複数のホールを含み、
(構成F)前記貯蔵タンクの内部に貯蔵された前記基板処理液を攪拌させる第1ポンプを備え、前記第1ポンプは、前記貯蔵タンクの側面に対して傾斜して連結される、
(構成X)基板処理システム。
(2) 引用文献に記載された発明の認定等
ア 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定
(ア) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用され、優先日前に発行された韓国登録特許第10-2098814号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。括弧内は翻訳文であり、翻訳文は当合議体によるものである。
a [0001]~[0002]
「
[図:0001432690000001.jpg]
」
(技術分野
[0001] 本発明は、薬液収容アセンブリ及びこれを含む薬液吐出装置に関するものである。より詳細には、インクジェット方式で基板に吐出するための薬液を収容する薬液収容アセンブリ及びこれを含む薬液吐出装置に関する。
背景技術
[0002] 液晶表示素子などのような表示装置の製造ではカラーフィルター、配向膜などを形成するために基板に薬液を塗布する工程を遂行することができる。薬液塗布工程では、インクジェット方式で基板に吐出するための薬液を収容する薬液収容アセンブリを含む薬液吐出装置を用いることができる。)
b [0004]~[0006]
「
[図:0001432690000002.jpg]
」
([0004] 従来、薬液受容アセンブリに収容される薬液のフロー時に、薬液をフローさせながら薬液内に残留する気泡を捕獲することにより、薬液内に残留する気泡を処理していた。薬液内に残留する気泡の捕獲は、薬液のみが流れ、一定サイズの気泡は流れず捕獲されるサイズの複数の穴を備えた部材を使用することにより実現できる。
[0005] しかし、従来は薬液のフロー時に複数のホールより小さなサイズのバブルは複数のホールに捕獲されずにそのままフローされる状況が発生することもある。
発明の詳細な説明
発明が解析しようとする課題
[0006] 本発明の一つの課題は、薬液は何ら支障なくフローさせながらも相対的に大きなサイズを有するバブルだけでなく相対的に小さなサイズのバブルまでも十分に捕獲することができる薬液収容アセンブリを提供することにある。)
c [0024]~[0036]、[図1]
「
[図:0001432690000003.jpg]
」
([0024] 図1は、例示的な実施の形態に係る薬液収容アセンブリを説明するための概略図である。
[0025] 図1を参照すると、例示的な実施の形態による薬液収容アセンブリ100は、基板上にカラーフィルター、配向膜などを形成するための薬液を収容する部材であって、薬液収容部11、区画部13、第1バブル捕獲部15、第2バブル捕獲部17などを含むことができる。
[0026] 薬液収容部11は、基板に吐出するための薬液を収容する空間を提供するように備えられることができる。薬液収容部11には、薬液供給部21及び薬液排出部23が連結されるように備えられうる。
[0027] 薬液供給部21は、薬液を薬液収容部11に供給するように備えられるものであって、薬液収容部11の一側に連結されるように備えられることができ、薬液排出部23は薬液を薬液収容部11から排出するように備えられるものであって、薬液収容部11の他側に連結されるように備えられることができる。薬液排出部23は、薬液収容部11の他側の底側に連結されるように備えられてもよい。
[0028] 区画部13は、薬液収容部11の空間を区画するように備えられることができる。区画部13は、薬液収容部11の空間を区画できる隔壁構造を有するように備えられることができる。
[0029] 区画部13は、薬液収容部11の空間を垂直方向に区画するように備えられることができる。区画部13が備えられる垂直方向は、薬液収容部11の両側壁体と同じ方向でありうる。
[0030] 区画部13は、薬液収容部11の空間を垂直方向に少なくとも二箇所に区画させるように備えられることができる。
[0031] 区画部13において、薬液収容部11の空間を二箇所に区画する場合には区画部13を一つ備えればよく、薬液収容部11の空間を三箇所に区画する場合には区画部13を二つ備えればよく、薬液収容部11の空間を四箇所に区画する場合には区画部13を三つ備えればよい。
[0032] 区画部13の個数は、薬液収容部11の空間を何箇所に区画しようとするかによって決まるものであって、区画しようとする薬液収容部11の空間の数より一つ少なく具備すればよい。
[0033] 第1バブル捕獲部15は、区画部13によって薬液収容部11の空間が区画されるにもかかわらず、薬液をフローさせることができるように備えられうる。第1バブル捕獲部15は、薬液がフローされる複数個のホールで備えられうる。第1バブル捕獲部15は、区画部13に形成される複数個のホールで備えられることができる。
[0034] 薬液収容部11に収容される薬液は、薬液収容部11の一側から仕切り部13を経由して薬液収容部11の他側にフローされ得る。薬液収容部11に収容される薬液は、薬液収容部11の一側から区画部13に備えられる第1バブル捕獲部15を通過して薬液収容部11の他側にフローされうる。
[0035] 第1バブル捕獲部15は、薬液をフローさせつつ薬液内に残留する第1バブルを捕獲できるように備えられうる。第1バブル捕獲部15での複数個のホールは、薬液は通過するが、第1バブルは通過しない大きさを有するように備えられうる。第1バブルのサイズが第1サイズより大きいサイズを有する場合、第1バブル捕獲部15での複数個のホールは第1サイズより小さい大きさを有するように備えられうる。
[0036] 例示的な実施の形態による薬液収容アセンブリ100は、薬液が薬液収容部11の一側から区画部13を経由して薬液収容部11の他側にフローされる時、区画部13及び第1バブル捕獲部15により薬液はフローさせながら薬液内に残留する第1サイズより大きいサイズを有する第1バブルを捕獲することができる。)
「[図1]
[図:0001432690000004.jpg]
」
d [0037]~[0038]、[図2]
「
[図:0001432690000005.jpg]
」
([0037] 図2は、例示的な実施の形態による薬液収容アセンブリに備えられる第1バブル捕獲部を説明するための図面であり、図3は、例示的な実施の形態による薬液収容アセンブリに備えられる第1バブル捕獲部を説明するための図面である。
[0038] 図2を参照すると、第1バブル捕獲部15は区画部13の全体領域に分布されるように備えられることができる。第1バブル捕獲部15は区画部13の全体領域に均等な分布を有するように備えられることができる。)
「[図2]
[図:0001432690000006.jpg]
」
e [0039]、[図3]
「
[図:0001432690000007.jpg]
」
([0039] 図3を参照すると、第1バブル捕獲部15は区画部13の一部領域に分布されるように備えられることができる。第1バブル捕獲部15は、区画部13の一側又は他側に分布する構造を有するように備えられうる。)
「[図3]
[図:0001432690000008.jpg]
」
f [0040]~[0043]、[図4]
「
[図:0001432690000009.jpg]
」
([0040] 図4は、例示的な実施の形態による薬液収容アセンブリで薬液がフローされる状況を説明するための図である。
[0041] 図4を参照すると、例示的な実施の形態に係る薬液収容アセンブリ100は、薬液収容部11に二つの区画部13a、13bが配置される構造を有するように備えられることができる。二つの区画部13a、13bそれぞれには、第1バブル捕獲部15a,15bが一側及び他側に分布する構造を有するように備えられうる。二つの区画部13a,13bでの第1バブル捕獲部15a,15bは、ジグザグ構造を有するように配置される。
[0042] ここで、図4における薬液収容アセンブリ100における薬液は、薬液収容部11内でジグザグ経路を有するようにフローされ得る。薬液収容アセンブリ100は、一側に第1バブル捕獲部15aが分布される区画部13a及び他側に第1バブル捕獲部15bが分布される区画部15aを繰り返し配置されるように備えることによって、薬液収容部11内で薬液がジグザグ経路でフローされうる。
[0043] 例示的な実施の形態による薬液収容アセンブリ100は、二つの区画部13a、13bを備えて薬液収容部11の空間を区画すると共に、一側に第1バブル捕獲部15aが分布される区画部13a及び他側に第1バブル捕獲部15bが分布される区画部13bを繰り返し配置されるように備えて、薬液収容部11に収容される薬液をジグザグ形状でフローさせることによって、薬液供給部21を通じて薬液収容部11に収容される薬液を薬液排出部23にさらに動的にフローさせることができ、ひいては薬液内に第1サイズより大きいサイズを有する第1バブルまで捕獲することができる。)
「[図4]
[図:0001432690000010.jpg]
」
g [0056]~[0062]、[図5]
「
[図:0001432690000011.jpg]
」
([0056] 図5は、例示的な実施の形態に係る薬液吐出装置を説明するための図である。
[0057] 図5を参照すると、例示的な実施の形態による薬液吐出装置500は基板上に薬液を吐出、即ちカラーフィルター、配向膜などを形成するために基板上に薬液を塗布する工程を遂行するためのものであって、薬液吐出装置500は薬液収容アセンブリ100、薬液供給部21、薬液排出部23、薬液吐出部300などを含むことができる。
[0058] 例示的な実施の形態による薬液吐出装置500は、インクジェット方式で基板上に薬液を吐出するように備えられることができる。ここで、薬液収容アセンブリ100はリザーバ(reservoir)と称することもでき、薬液吐出部300はインクジェットヘッドと称することもできる。
[0059] 薬液供給部21は、薬液収容アセンブリ100に薬液を供給するためのものであって、薬液を貯蔵する薬液貯蔵部200と薬液収容アセンブリ100との間に連結される流路構造を有する連結ラインを備えることができ、薬液の供給時に薬液のフローを開閉することができるバルブなどがさらに備えられることができる。
[0060] 薬液排出部23は、薬液収容アセンブリ100に収容される薬液を薬液吐出部300に排出するためのものであって、基板上に薬液を吐出する薬液吐出部300と薬液収容アセンブリ100との間に連結される流路構造を有する連結ラインで備えられることができ、薬液の排出時に薬液のフローを開閉することができるバルブなどが追加的に備えられることができる。
[0061] 薬液吐出部300は、基板上に薬液を吐出するためのものであって、その一面に薬液を吐出ことができるノズルが複数個備えられることができるが、例えば128個又は256個のノズルが備えられることができる。そして、ノズルは一定ピッチの間隔で一列に配置されることができ、μg単位の量で薬液を吐出することができるように備えられることができる。そして、薬液吐出部300でのノズルにはノズルに対応する数だけの圧電素子が備えられ、これらの圧電素子の動作によって前記ノズルを通じて液滴を吐出させることができる。また、ノズルから吐出される薬液量は、圧電素子に印加される電圧の制御によってそれぞれ独立的に調節されうる。
[0062] このように、例示的な実施の形態による薬液吐出装置500の場合にも、図1での薬液収容アセンブリ100を備えることによって、薬液は何の支障もなしにフローさせつつも、相対的に大きいサイズを有するバブルだけでなく、相対的に小さいサイズを有するバブルまでも十分に捕獲できるため、薬液内に残留するバブルによる不良発生を最小化でき、薬液内に残留するバブルの除去のための薬液の事前吐出に対する回数を減少させうるため、薬液消耗量を減少させうる。)
「[図5]
[図:0001432690000012.jpg]
」
(イ) 引用文献1から読み取れる認定事項
[0057]~[0061]、[図5]から、「薬液吐出部300」が「圧電素子の動作によって前記ノズルを通じて液滴を吐出」させるように制御されていることは明らかである。また「薬液収容アセンブリ100」が、「薬液」の「供給」を受ける際、又は、「薬液」を「排出」する際に「薬液のフロー」を「開閉する」ように「薬液供給部21」又は「薬液排出部23」により制御されているといえるから、「液滴吐出装置500」が「液滴吐出部300」及び「液滴収容アセンブリ100」を制御する手段である「制御装置」を備えていることは明らかである。よって、「薬液吐出装置」について次の事項が読み取れる。
「薬液吐出部300と薬液収容アセンブリ100とは連結されており、薬液吐出装置500が両者を制御する制御装置を有すること。」
(ウ) 引用発明の認定
前記(ア)の記載事項及び前記(イ)の認定事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「インクジェット方式で基板に吐出する薬液吐出装置500であって、([0001])
薬液吐出装置500は薬液収容アセンブリ100、薬液供給部21、薬液排出部23、薬液吐出部300などを含み、([0057])
薬液吐出部300は、基板上に薬液を吐出し、カラーフィルター、配向膜などを形成するために基板上に薬液を塗布するものであって、([0057]、[0061])
薬液排出部23は、薬液収容アセンブリ100に収容される薬液を薬液吐出部300に排出するためのものであって、基板上に薬液を吐出する薬液吐出部300と薬液収容アセンブリ100との間に連結される流路構造を有する連結ラインで備えられ、([0060])
薬液吐出部300と薬液収容アセンブリ100とは連結されており、液滴吐出装置500が両者を制御する制御装置を有し、(前記(イ)の認定事項)
薬液収容アセンブリ100は、基板上にカラーフィルター、配向膜などを形成するための薬液を収容する部材であって、薬液収容部11、区画部13、第1バブル捕獲部15を含み、([0025])
区画部13は、薬液収容部11の空間を区画するように備えられ、([0028])
区画部13に形成される複数個のホールで備えられる第1バブル捕獲部15は、区画部13によって薬液収容部11の空間が区画されるにもかかわらず薬液をフローさせることができるように備えられる、([0033])
薬液吐出装置500」
イ 引用文献3に記載された事項及び技術常識1の認定
(ア) 引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用され、優先日前に発行された特開2012-35594号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。
a 【0002】、【0034】、【0035】
「【0002】
従来から、インクを収容するインクタンクからインク供給管を介して、インクを吐出可能な吐出ヘッドに供給するインク供給システムについて知られている。このようなインク供給システムを用いた場合、吐出ヘッドにインクの供給が行われた後、インクの供給が長時間行われないと、インク供給管の流路内に残留したインクに含まれる成分が沈降することがある。インクに含まれる成分が沈降すると、再度吐出ヘッドにインクを供給する際に、吐出ヘッドにインクの安定供給ができないことがある。」
「【0034】
本発明における液体とは、沈降し得る成分を含んでいればよく、沈降し得る成分として、例えば、サスペンジョン、エマルジョン等の分散体等を挙げることができる。収容部10に収容されている液体としては、例えば、インク組成物、有機ELディスプレイ用材料、液晶ディスプレイ等のカラーフィルター用材料、FED(面発光ディスプレイ)用材料、電気泳動ディスプレイ等の電極やカラーフィルター用材料、バイオチップ製造に用いられる生体有機材料等が挙げられる。
【0035】
また、「沈降」とは、一定期間液体を放置しておいた場合に、含有されていた成分が沈殿し、含有されていた成分が液体の下層に積もることをいう。例えば、溶媒に対する比重が高い成分であって、インク組成物にあっては、無機顔料、金属顔料、および中空樹脂粒子や、それらに結合または吸着した成分を含むことができる。」
b 【0053】~【0055】、【図1】
「【0053】
1.3.攪拌動作
本実施形態における液滴吐出装置100は、攪拌手段により容器内の攪拌を行わせる攪拌動作を備えている。攪拌手段の例としては、図5に示すインクジェットプリンター300において、沈降し得る成分を含む液体が充填された容器20がキャリッジ50Aに搭載されているものがある。容器20がキャリッジ50Aに搭載されていると、容器20のみを移動させるための機構を別に設ける必要がなく、キャリッジ50Aの移動機構を利用して容器20を移動させて攪拌ができる。なお、本発明において「攪拌動作」とは、容器20内の液体の十分な攪拌のことを示し、後述する本実施形態における液滴吐出装置100の初期動作のような弱い攪拌は含まない。
【0054】
また、本実施形態における液滴吐出装置100は、図1に示すように、容器20の内部に移動自在に配置された攪拌子15を有していてもよい。この攪拌子15を容器20内で移動させることにより、液体を攪拌させることが出来る。
【0055】
また、本実施形態では、キャリッジ50Aの往復運動に基づいて攪拌子15を用いて攪拌を行っているが、攪拌手段はこれに特に限定はされない。容器20が固定され、容器20ごと前後左右に移動させて内部の液体を攪拌させる機構、超音波等によって容器20内の液体を振動させて撹拌させる機構、容器20を傾けることによって容器20内の液体を移動させて撹拌させる機構、容器20の外部から磁石を移動させることによって容器20内に配置された磁性体を移動させて容器内の液体を撹拌させる機構、ポンプ等を用いて容器20内に空気を送ることにより容器20内の液体を撹拌させる機構等が挙げられる。撹拌手段が上記のような機構を有していれば、液滴吐出装置100がライン型の吐出ヘッドであったとしても、容器20内の液体を撹拌することができる。」
「【図1】
[図:0001432690000013.jpg]
」
(イ) 技術常識1の認定
引用文献3に例示されているように、次の事項は技術常識(以下「技術常識1」という。)であると認められる。
<技術常識1>
「インクジェットにおいて、インクに含まれる成分が沈降すると、再度吐出ヘッドにインクを供給する際に、吐出ヘッドにインクの安定供給ができないことがあるため、沈降し得る液体が充填された容器において、ポンプ等を用いて容器内の液体の攪拌を行うこと。」
ウ 引用文献5に記載された事項及び引用文献5技術事項の認定
(ア) 引用文献5に記載された事項
当審において新たに引用され、優先日前に発行された特開2016-165772号公報(以下「引用文献5」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0026】
また、ダーティタンク3には、ダーティタンク3内の廃液を撹拌するための撹拌ポンプ36が設けられ、この撹拌ポンプ36は、図示しない吸込口から吸い込んだ廃液を吐出口36aからダーティタンク3の底面31に沿って斜め下方に向けて吐出することによって、ダーティタンク3内の廃液を縦回りに撹拌し、廃液中の夾雑物の沈殿を防止する。ここで、廃液に含まれる夾雑物は比較的高密度であるため沈殿し易く、撹拌羽根を用いた撹拌では廃液を十分に撹拌するのが困難であるが、上述したように撹拌ポンプ36からダーティタンク3の底面31に沿って斜め下方に向けて廃液を吐出させることによって、比較的高密度の夾雑物を含む廃液であっても全体的にムラなく効果的に撹拌させることができる。なお、ダーティタンク3の底面31の水平方向に対する傾き角度αは9°~16°であるのが好ましく、12.5°であるのが更に好ましい。このような傾き角度αとすることにより、撹拌ポンプ36による撹拌を効率的に行うことができる。即ち、傾き角度αが9°よりも小さくても16°より大きくても、撹拌ポンプ36による撹拌を均一に行うのが難しくなる。」
「【0036】
クリーンタンク10には、クリーンタン10内の第3処理液を撹拌するための撹拌ポンプ16が設けられ、この撹拌ポンプ16は、図示しない吸込口から吸い込んだ第3処理液を吐出口16aからクリーンタンク10の底面11に沿って斜め下方に向けて吐出することによって、クリーンタンク10内の第3処理液を縦回りに撹拌させる。・・・。なお、クリーンタンク10の底面11の水平方向に対する傾き角度についても、ダーティタンク3の場合と同様に、9°~16°であるのが好ましく、12.5°であるのが更に好ましい。このような傾き角度とすることにより、クリーンタンク内の第3処理液(又は再生加工液)を均一に撹拌できる。」
(イ) 引用文献5技術事項の認定
前記(ア)の記載事項を総合すると、引用文献5には、次の技術事項(以下「引用文献5技術事項」という。)が記載されているものと認められる。
<引用文献5技術事項>
「クリーンタンク10には、第3処理液を撹拌するための撹拌ポンプ16が設けられ、この撹拌ポンプ16は、クリーンタンク10の底面11に沿って斜め下方に向けて吐出することによって、クリーンタンク10内の第3処理液を縦回りに撹拌させること(【0036】)。」
(3) 対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成Xについて
a 引用発明の「薬液吐出装置500」は「薬液収容アセンブリ100」、「薬液吐出部300」及び「制御装置」を含むものであり、複数の機器からなるシステムである。
b そして、引用発明の「薬液吐出装置500」は、「基板上に薬液を吐出し、カラーフィルター、配向膜などを形成するために基板上に薬液を塗布する」処理を行う「薬液吐出部300」及び「制御装置」を含むものであるから、前記aを踏まえると、本件補正発明の「基板処理システム」に相当する。
c したがって、本件補正発明である「基板処理システム」と引用発明である「薬液吐出装置500」は、「基板処理システム」の発明である点において一致する。
(イ) 構成Aについて
a 引用発明の「薬液吐出部300」は、「カラーフィルター、配向膜などを形成するために基板上に薬液を吐出して塗布する」ものであるから、本件補正発明の「基板処理液を基板上に吐出して前記基板を処理する基板処理装置」に相当する。
b したがって、前記(ア)を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「基板処理液を基板上に吐出して前記基板を処理する基板処理装置」を含む点で一致する。
(ウ) 構成Bについて
a 引用発明の「薬液収容アセンブリ100」は、「薬液吐出部300と」「連結されており」、「薬液吐出部300に」「薬液を」「排出する」ものであるから、前記(イ)を踏まえると、本件補正発明の「前記基板処理装置と連結され、前記基板処理液を前記基板処理装置に提供する基板処理液提供装置」に相当する。
b したがって、前記(ア)を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記基板処理装置と連結され、前記基板処理液を前記基板処理装置に提供する基板処理液提供装置」を含む点で一致する。
(エ) 構成Cについて
a 引用発明の「薬液吐出部300と薬液収容アセンブリ100」「を制御する制御装置」は、本件補正発明の「前記基板処理装置と前記基板処理液提供装置を制御する制御装置」に相当する。
b したがって、前記(ア)を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記基板処理装置と前記基板処理液提供装置を制御する制御装置」を含む点で一致する。
(オ) 構成Dについて
a 引用発明の「薬液収容部11」及び「薬液収容部11の空間を区画するように備えられ」る「区画部13」は、それぞれ本件補正発明の「基板処理液を貯蔵する貯蔵タンク」及び「前記貯蔵タンクの内部に設置され、前記貯蔵タンクの内部空間を分割する隔壁」に相当する。
b そして、引用発明の「薬液収容アセンブリ100」は、「薬液収容部11」と「薬液収容部11の空間を区画するように備えられ[る]」「区画部13」「を含み」という構成は、前記(ウ)を踏まえると、本件補正発明の「基板処理液提供装置は、前記基板処理液を貯蔵する貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクの内部に設置され、前記貯蔵タンクの内部空間を分割する隔壁を含み」という構成に相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、「基板処理液提供装置は、前記基板処理液を貯蔵する貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクの内部に設置され、前記貯蔵タンクの内部空間を分割する隔壁を含」む点で一致する。
(カ) 構成Eについて
a 引用発明の「第1バブル捕獲部15」に「備えられる」「複数個のホール」は、「区画部13」(上記(オ)より本件補正発明の「隔壁」に相当する。)に形成された複数個のホールであるから、本件補正発明の「一面と他面を貫通して形成される」「複数のホール」に相当する。
b そして、引用発明において、「区画部13」に「複数個のホールで備えられる第1バブル捕獲部15」が形成されることは、本件補正発明において、「隔壁は一面と他面を貫通して形成される複数のホールを含[む]」ことに相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、「隔壁は一面と他面を貫通して形成される複数のホールを含」む点で一致する。
(キ) 構成Fについて
本件補正発明と引用発明は、構成Fに関して、次に示す点において相違する。
本件補正発明においては、
「前記貯蔵タンクの内部に貯蔵された前記基板処理液を攪拌させる第1ポンプを備え、前記第1ポンプは、前記貯蔵タンクの側面に対して傾斜して連結される」のに対して、
引用発明においては、
そのようなポンプを備えているか不明な点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の検討結果を総合すると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。
(ア) 一致点
(構成A)基板処理液を基板上に吐出して前記基板を処理する基板処理装置と、
(構成B)前記基板処理装置と連結され、前記基板処理液を前記基板処理装置に提供する基板処理液提供装置と、
(構成C)前記基板処理装置と前記基板処理液提供装置を制御する制御装置を含み、
(構成D)前記基板処理液提供装置は、前記基板処理液を貯蔵する貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクの内部に設置され、前記貯蔵タンクの内部空間を分割する隔壁を含み、
(構成E)前記隔壁は一面と他面を貫通して形成される複数のホールを含む、
(構成X)基板処理システム、である点
(イ) 相違点(構成F)
本件補正発明においては、
「前記貯蔵タンクの内部に貯蔵された前記基板処理液を攪拌させる第1ポンプを備え、前記第1ポンプは、前記貯蔵タンクの側面に対して傾斜して連結される」のに対して、
引用発明においては、
そのようなポンプを備えているか不明な点。
(4) 当審の判断
ア 相違点について
前記相違点について検討する。
(ア) 前記(2)イ(イ)において技術常識1として示したとおり、次の事項は、優先日前に技術常識である。
「インクジェットにおいて、インクに含まれる成分が沈降すると、再度吐出ヘッドにインクを供給する際に、吐出ヘッドにインクの安定供給ができないことがあるため、沈降し得る液体が充填された容器において、ポンプ等を用いて容器内の液体の攪拌を行うこと。」
(イ) 引用発明においては、インクジェット方式で基板にカラーフィルター、配向膜などを形成する、沈降するタイプの薬液を吐出するものであるところ、前記技術常識1を踏まえると、インクの沈降を防ぐためにポンプ等を用いて薬液を攪拌するという技術的課題が内在しているものと認められるから、引用発明において当該課題を解決するために、前記技術常識1に倣って、引用発明において、ポンプを用いて「薬液収容部11」内の液体の攪拌を行うようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ) そして、ポンプを用いる場合において、引用発明の「薬液収容部11」のどの箇所にポンプを設けるか、ポンプの吐出方向をどの向きにするかは、「薬液収容部11」内の薬液をどのように攪拌するかに応じて、当業者が適宜なし得ることにすぎず、ポンプを傾斜して連結させて、斜め下方に向けて吐出して縦回りに攪拌させることも、引用文献5技術事項のように格別なものでない。
(エ) したがって、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、引用文献5記載事項及び技術常識1に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本件補正発明の奏する作用効果としては、当業者にとって予測・発見困難であり、かつ、格別顕著なものは、認めることができない。
以上のとおりであるから、本件補正発明は、引用発明、引用文献5技術事項及び技術常識1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 請求人の主張について
請求人は、審判請求の理由において、概略次の主張をしているので、以下、検討する。
(ア) 請求人の主張の内容
引用文献3には、基板処理液を撹拌させたり、循環させたりするためにポンプを用いることが記載されているものの、基板処理液を効率よく撹拌させるために、本件補正発明のように「前記貯蔵タンクの内部に貯蔵された前記基板処理液を攪拌させる第1ポンプを備え、前記第1ポンプは、前記貯蔵タンクの側面に対して傾斜して連結される」ことまでは記載されていない。また、各引用文献には、貯蔵タンク内の液体を効率よく攪拌するために、前記構成を採用する動機となる記載もない。
(イ) 請求人の主張についての検討
前記主張について検討する。
前記アにおいて示したとおり、引用発明において、ポンプを用いて「薬液収容部11」内の液体の攪拌を行うようにする場合に、ポンプの吐出方向を斜め下方向に向けて吐出するようにすることに、格別の困難性があるものでない。
したがって、請求人の前記主張は採用できない。
(5) 独立特許要件の判断についてのまとめ
前記(3)及び(4)において検討したとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献5技術事項及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 本件補正の適否についてのまとめ
前記2で示したとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反するもの(目的該当性違反)であるから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
また、仮に本件補正が特許法17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるとしても、前記3(5)で示したとおり、本件補正は、同法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するもの(独立特許要件違反)であるから、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明の認定
本件補正は、前記第2に示したとおり却下したので、本願の請求項18に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年3月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項18に記載された事項(前記第2の1(1)参照)により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由2(新規性の欠如)及び理由3(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
本願発明は、下記引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
本願発明は、下記引用文献1に記載された発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.韓国登録特許第10-2098814号公報
3 引用文献1に記載された事項、引用発明の認定
前記引用文献1に記載された事項、引用発明の認定は、前記第2の3(2)アにおいて示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明の「貯蔵タンクの内部に貯蔵された前記基板処理液を攪拌させる第1ポンプを備え、前記第1ポンプは、前記貯蔵タンクの側面に対して傾斜して連結される」構成を省いたものである。
そうすると、前記第2の3(3)アの検討を踏まえると、本願発明と引用発明は全ての点において一致するから、本願発明は、引用発明である。
また、仮に相違点があるとしても、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
また、仮に相違点があるとしても、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-014293