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特許拒絶査定不服審判

2024-014279

食洗機でも安全な加熱または冷却される食卓用食器および飲料用食器

審判番号
2024-014279
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-190862
請求日
2024年09月06日
審決日
2025年12月15日
公報発行日
2026年06月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】エンバー テクノロジーズ、 インク.
  • 【請求人代理人】伊藤 克博
審判長/審判官
  • 審判長 窪田 治彦
  • 審判官 川口 真一
  • 審判官 長馬 望
分類
P18 .121-Z (A47G) / P18 .575-Z (A47G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-190862「食洗機でも安全な加熱または冷却される食卓用食器および飲料用食器」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 2月21日出願公開、特開2023- 25133〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2011年(平成23年)11月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年(平成22年)11月2日 米国)を国際出願日とする特願2013-537797号の一部を、平成29年8月4日に新たな特許出願とした特願2017-151497号の一部を、平成30年12月7日に新たな特許出願とした特願2018-229715号の一部を、令和3年11月9日に新たな特許出願とした特願2021-182460号の一部を、令和4年11月30日に新たな特許出願としたものであって、同年12月28日に手続補正がされ、令和5年8月15日付け拒絶理由通知書により拒絶理由が通知されたのに対し、令和6年2月21日に意見書が提出されると共に手続補正がなされたが、同年4月19日付けで拒絶査定がなされた。その後、同年9月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に、手続補正がなされたものである。 第2 令和6年9月6日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年9月6日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「【請求項1】 外周壁、および前記外周壁に取り付けられた底部と、 近位部からベース部へ延びて前記ベース部と一体の内周壁であって、液体を保持するための室を画定し、前記内周壁と前記外周壁との間に環状隙間を画定するように前記外周壁に対して形成され、前記ベース部は前記底部から離間して置かれて前記ベース部と前記底部との間にキャビティを画定する内周壁と、 前記ベース部と前記底部との間で前記キャビティ内に配置された加熱または冷却システムであって、前記キャビティは、 前記室と熱的に連通して配置されて前記室内の液体を加熱するように構成された加熱または冷却要素と、 電源から電力を無線式に受け入れるように構成されたワイヤレス電力レシーバであって、1つ以上のエネルギー貯蔵デバイスに接続され、前記1つ以上のエネルギー貯蔵デバイスを充電するように構成されたワイヤレス電力レシーバと、 前記ワイヤレス電力レシーバ、前記1つ以上のエネルギー貯蔵デバイス、および前記加熱または冷却要素に電気的に接続され、加熱または冷却要素の動作を制御するように構成される、制御回路と、 を含む、加熱または冷却システムと、 を有し、 前記加熱または冷却要素、前記ワイヤレス電力レシーバ、前記エネルギー貯蔵デバイスおよび前記制御回路は、前記ベース部と前記底部との間で前記キャビティ内に配置され、前記環状隙間には配置されない、マグ。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和6年2月21日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 外周壁、および前記外周壁に取り付けられた底部と、 近位部からベース部へ延びて前記ベース部と一体の内周壁であって、液体を保持するための室を画定し、前記内周壁と前記外周壁との間に環状隙間を画定するように前記外周壁に対して形成され、前記ベース部は前記底部から離間して置かれて前記ベース部と前記底部との間にキャビティを画定する内周壁と、 前記ベース部と前記底部との間で前記キャビティ内に配置された加熱または冷却システムであって、前記キャビティは、 前記室と熱的に連通して配置されて前記室内の液体を加熱するように構成された加熱または冷却要素と、 電源から電力を無線式に受け入れるように構成されたワイヤレス電力レシーバであって、1つ以上のエネルギー貯蔵デバイスに接続され、前記1つ以上のエネルギー貯蔵デバイスを充電するように構成されたワイヤレス電力レシーバと、 前記ワイヤレス電力レシーバ、前記1つ以上のエネルギー貯蔵装置、および前記加熱または冷却要素に電気的に接続され、加熱または冷却要素の動作を制御するように構成される、制御回路と、 を含む、加熱または冷却システムと、 を有するマグ。」 2 補正の適否 まず、本件補正前の請求項1に記載された「前記1つ以上のエネルギー貯蔵装置」は、明らかに「前記1つ以上のエネルギー貯蔵デバイス」の誤記であるから、本件補正前の請求項1に記載された「前記1つ以上のエネルギー貯蔵装置」を「前記1つ以上のエネルギー貯蔵デバイス」とする補正は、特許法17条の2第5項3号の誤記の訂正を目的とするものに該当する。 また、本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記加熱または冷却要素、前記ワイヤレス電力レシーバ、前記エネルギー貯蔵デバイスおよび前記制御回路」について、「前記ベース部と前記底部との間で前記キャビティ内に配置され、前記環状隙間には配置されない」ことを限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項 ア 引用文献1 (ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先権主張の日(以下、「優先日」という。)前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2007-312932号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の記載がある。 a 「【請求項1】 電力を蓄える蓄電手段と、 前記蓄電手段が蓄えた電力を用いて内容物の温度を制御する温度制御手段と、 前記温度制御手段への通電を制御する通電制御手段と、 を備えたことを特徴とする容器。 【請求項2】 前記蓄電手段は充電可能であり、前記蓄電手段に電力を充電する充電手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の容器。 【請求項3】 前記蓄電手段は、二次電池および/またはキャパシタであることを特徴とする請求項2に記載の容器。 【請求項4】 前記充電手段は受電コイルを有し、容器外部の給電コイルから印加された交流磁界によって前記受電コイルに生じた誘導電力を前記蓄電手段に充電することを特徴とする請求項2または3に記載の容器。」 b 「【請求項14】 容器内壁と容器外壁との間に断熱構造を備え、前記断熱構造は前記温度制御手段による温度制御以外の熱の移動を抑制することを特徴とする請求項1~13のいずれか一つに記載の容器。」 c 「【0001】 本発明は、内容物の保温や保冷を行なう容器に関し、特に可搬もしくは携帯可能な容器に関するものである。」 d 「【0009】 そのため、従来の技術では例えば、マグカップに注いだコーヒーを積極的に保温したり、冷たい飲料を積極的に保冷するといったことや、繰り返し再使用したり、屋外でピクニックに出かけたときに、現地でのみ保温、保冷効果を発揮させるといったことは実現できなかった。 【0010】 本発明は、上述した従来技術における問題点を解消し、課題を解決するためになされたものであり、可搬型もしくは携帯型であって、いつでもどこでも好きな時に容器内のもの(内容物)を保温または保冷することが可能で、かつ、電力を補うことで繰り返し再使用でき、自由に洗浄可能な容器、さらには容器内に保温保冷対象物を入れると通常の容器では熱すぎるか冷たすぎて容器を手で触ることのできない状態でも、容器を手で触ることを可能にする容器を提供することを目的とする。」 e 「【実施例】 【0040】 図1は、本発明に係る容器の最も基本的な構成について説明する説明図である。同図に示すように、容器1aは、その容器本体内部、すなわち外壁と内壁との間や容器下部などに制御部11a、蓄電素子12、発熱抵抗体13を有する。 【0041】 制御部11aは、スイッチ等のユーザーインターフェースを有する。ユーザーは、この制御部11aの操作によって蓄電素子12から発熱抵抗体13への通電を開始し、発熱抵抗体を発熱させることで容器内の保温対象物を保温(加熱)することができる。 【0042】 制御部11aは、マイコンと電力制御素子により実現可能である。また、マイコンのかわりにロジックゲートやオペアンプなどの個別部品を用いても同等の機能を実現できる。電力制御素子はパワーMOSFETやバイポーラトランジスタなどの半導体素子やメカニカルリレーを使うことができる。 【0043】 さらに、蓄電素子12から発熱抵抗体13への通電タイマー機能など、既存の技術を制御部11aに付加することもできる。 【0044】 蓄電素子12としては、アルカリマンガン電池など既存の電池を使うことができ、保温対象物の保温温度や保温時間などの実際の仕様によって、電池を直列に接続すればよい。」 f 「【0045】 図2は、内容物を保温と保冷が可能な容器の構成例について説明する説明図である。同図に示した容器1bは、容器本体内部にペルチェ素子などの熱交換素子14、蓄電素子12、制御部11bを有する。 【0046】 熱交換素子14は、容器内部の内容物(保温・保冷対象物)と容器外壁17との間で熱の交換ができるように配置される。例えば熱交換素子14の熱交換面の一つを容器内壁16と熱結合し、別な熱交換面を容器外壁17と熱結合することで熱伝導路15を形成する。 【0047】 熱交換素子の駆動エネルギーは蓄電素子12から供給するが、ユーザーが好きなときに保温や保冷を開始し、好きなときに動作を止める機能が必要であり、これを制御部11bにて実現する。 【0048】 制御部11bの構成はユーザーインターフェースとしてのスイッチや表示機構とマイコン、更に、パワーMOSFETなどの電力制御素子により実現することができる。本図に示した容器の構造は、保温や保冷を実現する構成要素をすべて容器本体内部に収納することができるので、容器自体を完全に防水構造とすることができ、食器のごとく洗浄することが可能である。」 g 「【0062】 図7は、誘導電圧による充電を行なう容器1fの概要構成を説明する説明図である。同図に示した容器1fは、容器本体内部に受電コイル24を有し、交流磁界をこの受電コイル24に通すことで誘導電圧を発生させ、得られた誘導電圧を充電回路23を通じて蓄電素子12にあたえ、過充電を保護しつつ充電するものである。 【0063】 交流磁界は、充電ユニット27によって生成する。充電ユニット27は、その内部に給電コイル25および給電回路26を有する。給電コイル25は給電回路26により駆動するが、その動力源は、商用電力や自動車のシガーライターソケットなどでよい。 【0064】 給電回路26は、20KHzから1MHz程度の交流電流を給電コイル25に流すことで給電コイル25から交流の磁界を発生させるが、これは既知のスイッチング回路、例えばE級コンバータやハーフブリッジ回路やフルブリッジ回路を使うことで効率よく磁界を生成することが可能である。 【0065】 勿論、定電流回路で給電コイル25を駆動し、前記定電流回路の電流設定値としてサイン波などの交流信号を入力してもよい。上記の交流磁界を用いた非接触給電では、蓄電池が満充電になったり、容器が無い状態では、積極的に給電コイルの駆動を制限する必要がある。この手段についても既知の技術により、実現可能である。 【0066】 このように交流磁界を用いた非接触給電による充電をおこなうことで、保温保冷を実現する全ての構成要素は容器本体内部に格納できるため、容器は通常の食器のように防水構造であり洗浄することができる。特に交流磁界によるエネルギー伝送を用いたことで、外観のデザインや図柄には制約がないため、付加価値の高い容器を実現することができる。」 h 「【0080】 なお、本実施例に示した構成はあくまで一例であり、適宜変更して実施することができるものである。例えば、図11に示した構成では、容器の保温保冷機能を高めるために、容器本体内部に断熱構造体を持たせている。 【0081】 具体的には、容器1jは、容器外壁17と容器内壁16との間を断熱構造体50によって断熱し、容器の下部に断熱構造体51を設けて下方向の断熱をおこなっている。 【0082】 このように、保温保冷対象物と容器外側との熱の移動を、熱交換素子や発熱抵抗体のみに制限することで、より効率よく保温保冷の効果を高めることができる。同時に、蓄電素子による動作時間の伸長や、蓄電素子の小型化を実現できる。 【0083】 断熱構造体50,51としては熱の伝達3要素である熱伝導、放射、対流を妨げるものを使用する。例えば、発泡スチロールなどの樹脂や、真空断熱構造などが使える。断熱構造体自体は、既存の技術をもちいることができる。」 i 引用文献1には、次に示す図1及び図2、図7、図11が記載されている。 [図:0001435694000001.jpg] [図:0001435694000002.jpg] (イ)上記(ア)より、引用文献1には、次の事項が記載されていると理解できる。 a 引用文献1の【0062】から【0066】(上記(ア)g参照)及び図7に記載された容器1fは、【0040】から【0044】(上記(ア)e参照)及び図1に記載された容器1a、【0045】から【0048】(上記(ア)f参照)及び図2に記載された容器1bと同様に、容器外壁17、容器内壁16、容器下部を有している。図7の記載からみて、容器下部は、容器外壁17に連なって形成され、容器1fの底部の外側を形成する部分(図7の記載において、充電ユニット27に対向している部分。以下、「容器下部外側」という。)と、容器内壁16から連なって形成され、容器1fの内側を形成する部分(図7の記載において、熱交換素子14の上側に形成される部分。以下、「容器下部内側」という。)とを有している。そして、図7の記載からみて容器内壁16は、上端から容器下部内側へ延びて連なっており、容器1fがコーヒーや冷たい飲料を保温または保冷することを想定していること(【0009】(上記(ア)d参照))を考慮すると、容器内壁16と容器下部内側は、一体であり、コーヒーや冷たい飲料などの保温対象物は、容器内壁16と容器下部内側により定められる空間に保持されていると解される。また、図7の記載からみて、容器下部外側と容器下部内側の間には、熱交換素子14、制御部11f、蓄電素子12、充電回路23、受電コイル24(以下、これらを合わせて「加熱冷却部」という。)が配置されていることから、容器下部内側と容器下部外側との間には間隔があり、加熱冷却部を配置する部分が設けられている。 b 容器1fの加熱冷却部の熱交換素子14は、容器1bの熱交換素子14と同様に「容器内部の内容物(保温・保冷対象物)と容器外壁17との間で熱の交換ができるように」、「熱交換素子14の熱交換面の一つを容器内壁16と熱結合」したものである(【0046】(上記(ア)f参照))から、熱交換素子14は、容器内壁16と熱結合が可能な位置に配置されているといえる。 c 加熱冷却部の受電コイル24は、「交流磁界」を「通すことで誘導電圧を発生させ、得られた誘導電圧を充電回路23を通じて蓄電素子12にあたえ」「充電するもの」(【0062】(上記(ア)g参照))であり、この交流磁界は、給電コイル25を有する充電ユニット27によって生成し(【0063】(上記(ア)g参照))、「動力源は、商用電力や自動車のシガーライターソケットなど」(【0063】(上記(ア)g参照))であるから、結局、受電コイル24及び充電回路23は、商用電力や自動車のシガーライターソケットから非接触で受電するものであり、また蓄電素子12に誘導電圧をあたえるものであるから、蓄電素子12に接続されているといえる。 d 引用文献1に記載された容器1bは、「熱交換素子の駆動エネルギーは蓄電素子12から供給するが、ユーザーが好きなときに保温や保冷を開始し、好きなときに動作を止める機能が必要であり、これを制御部11bにて実現」しているものであり(【0047】(上記(ア)f参照。))、容器1fの制御部11fも同様であると解されるから、制御部11fは、熱交換素子14と蓄電素子12に電気的に接続され、熱交換素子14による加熱及び冷却を制御しているといえる。さらに容器1fの「交流磁界を用いた非接触給電では、蓄電池が満充電になったり、容器が無い状態では、積極的に給電コイルの駆動を制限する必要がある」が「この手段についても既知の技術により、実現可能」(【0065】(上記(ア)g参照)であって、この実現可能な手段は、図7において制御部11fと充電回路23及び蓄電素子12が実線により接続されていることからみて、制御部11fにより実現されていると解されるから、制御部11fは、充電回路23にも接続されているといえる。 e 図7の記載からみて、熱交換素子14、充電回路23及び受電コイル24、蓄電素子12並びに制御部11fは、容器下部内側と容器下部外側の間に配置されているといえる。 (ウ)上記(ア)及び(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 ・引用発明 「容器外壁17、及び前記容器外壁17に連なって形成された容器下部外側と、 上端から容器下部内側へ延びて前記容器下部内側と一体の容器内壁16であって、保温対象物を保持するための空間を定め、前記容器下部内側と前記容器下部外側との間には間隔があり前記容器下部内側と前記容器下部外側との間に加熱冷却部を配置する部分を設けた容器内壁16と、 前記容器下部内側と前記容器下部外側との間に配置された加熱冷却部であって、前記加熱冷却部を配置する部分は、 前記容器内壁16と熱結合が可能な位置に配置されて前記空間内の保温対象物と熱の交換ができるように構成された熱交換素子14と、 商用電力や自動車のシガーライターソケットから非接触で受電する受電コイル24及び充電回路23であって、蓄電素子12に接続され、蓄電素子12を充電する受電コイル24及び充電回路23と、 前記受電コイル24及び充電回路23、前記蓄電素子12、並びに前記熱交換素子14に接続され、熱交換素子14による加熱及び冷却を制御する、制御部11fと、 を含む、加熱冷却部と、 を有し、 前記熱交換素子14、前記受電コイル24及び充電回路23、前記蓄電素子12並びに前記制御部11fは、前記容器下部内側と前記容器下部外側の間に配置された、容器1f。」 イ 引用文献2 (ア)原査定の拒絶の理由で引用された優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、登録実用新案第3153007号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の記載がある。 a 「【請求項1】 自動車用保温カップの温度制御装置であって、カップ体、熱伝導体、断熱外殼、切換スイッチを含み、 前記カップ体に液体溶液を入れるための収容空間が定義され、 前記熱伝導体が前記カップ体の外周壁面上に貼付され、前記カップ体の内部溶液をあらかじめ定めた温度に迅速に加熱するために用いられ、 前記断熱外殼が前記カップ体と密閉空間を形成し、 前記切換スイッチが前記断熱外殼の表面に設置され、かつ前記熱伝導体と電気回路を形成する、 ことを特徴とする、自動車用保温カップの温度制御装置。」 b 「【0003】 本考案の主な目的は、使用者が切換スイッチを利用して加熱または保温の方式を選択し、熱伝導体に対して電流の入力を行って発熱させ、カップ体内の液体溶液の温度を維持し、さらには迅速に煮沸させる機能も達することができる、自動車用保温カップの温度制御装置を提供することにある。」 c 「【0012】 図6に本考案の別の最良の実施例の自動車用シガレット電源を利用して保温を行う使用状態を示す断面図を示す。この図からはっきりと分かるように、前記密閉空間202a内の回路板208aは前記断熱外殼24a表面上の電源装置28aと相互に電気的に接続され、前記電源装置28aは前記自動車用シガレット電源4aと相互に接続され、前記回路板208aにより電圧を一定にする(例:12Vまたは24V)。使用者が前記カップ体20a内の溶液に対して保温を行いたいときは、前記断熱外殼24a上に設置されたハンドル5aを例とすると、前記ハンドル5a上のあらかじめ定めた位置に切換スイッチ26aとインジケータ27aが設置され、前記切換スイッチ26aと、前記カップ体20a外壁上に貼付され、かつ前記密閉空間202a(図は真空状態のものを例とする)内に位置する低温制御装置206aが電気回路を形成し、前記熱伝導体22aと電気的接続を形成する。これにより、前記カップ体20a内の液体溶液の保温状態を維持することができる。このほか、カップ体20a内の液体溶液が低温制御装置206aにあらかじめ定めた低温範囲まで低下すると、前記低温制御装置206aが前記切換スイッチ26aと電気信号を発生し、前記高温制御装置204aを作動させ、前記カップ体20a内の液体溶液に対し加熱を行い、さらに前記インジケータ27aと切換スイッチ26aの接続を通して、保温カップ2aの加熱状況を知ることができる。 【0013】 前記断熱外殼24a上には蓋体3aが設置され、前記蓋体3aの表面に排気孔30aが形成され、かつ前記排気孔30aに感温体32aが設置され、前記感温体32aの膨張と収縮の原理により、温度が前記感温体32aのあらかじめ定めた温度値まで低下すると、温度低下によって前記感温体32aが収縮し、元の位置に戻って排気孔30aを塞ぎ、熱気が継続して解放されないようにし、カップ体20a内の液体溶液の温度を維持する。」 d 「【0014】 図7に本考案のさらに別の最良の実施例の保温カップでカップホルダを温度制御装置として利用した使用状態を示す断面図を示す。この図からはっきりと分かるように、自動車の車内に固定されたカップホルダ6b内に電源装置28bと回路板208bがそれぞれ設置され、かつ相互に電気的に接続され、さらに前記カップホルダ6b内に導電固定部材60bが設置され、前記導電固定部材60bはカップ体20bに導電するだけでなく、カップホルダ6bが傾斜して倒れないよう固定することもでき、また前記電源装置28bが自動車用シガレット電源4bと接続され、前記回路板208bを介して電圧を一定にする(例:12Vまたは24V)。使用者が前記カップ体20b内の溶液を保温したいときは、前記断熱外殼24b上のハンドル5bを例とすると、前記ハンドル5b上のあらかじめ定めた位置に切換スイッチ26bとインジケータ27bが設置され、前記切換スイッチ26bと、前記カップ体20b外周壁面上に貼付され、かつ密閉空間202b(図は真空状態のものを例とする)内に位置する低温制御装置206bが電気回路を形成し、さらに熱伝導体22bと電気的接続を形成する。これにより、前記カップ体20b内の液体溶液の保温状態を維持することができる。このほか、前記カップ体20b内の液体溶液が低温制御装置206bにあらかじめ定めた低温範囲まで低下すると、低温制御装置206bが電源装置28bと電気信号を発生し、高温制御装置204bを作動させて前記カップ体20b内の液体溶液に対し加熱を行わせ、さらに前記インジケータ27bと切換スイッチ26aの接続により、前記保温カップ2bの加熱状況を知ることができる。 【0015】 断熱外殼24b上には蓋体3bが設置され、前記蓋体3bの表面に排気孔30bが形成され、かつ前記排気孔30bに感温体32bが設置され、前記感温体32bの膨張と収縮の原理により、温度が前記感温体32bのあらかじめ定めた温度値まで低下すると、温度低下によって前記感温体32bが収縮し、元の位置に戻って排気孔30bを塞ぎ、熱気が継続して解放されないようにし、カップ体20b内の液体溶液の温度を維持する。」 e 引用文献2には、次に示す図6及び図7が記載されている。 [図:0001435694000003.jpg] (3)対比、一致点及び相違点 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「容器外壁17」は、本件補正発明の「外周壁」に相当し、引用発明の「前記容器外壁17に連なって形成された」ことは、本件補正発明の「前記外周壁に取り付けられた」ことに相当し、引用発明の「容器下部外側」は、本件補正発明の「底部」に相当する。そうすると、引用発明の「容器外壁17、及び前記容器外壁17に連なって形成された容器下部外側」は、本件補正発明の「外周壁、および前記外周壁に取り付けられた底部」に相当する。 イ 引用発明の「上端」は、本件補正発明の「近位部」に相当し、引用発明の「容器下部内側」は、本件補正発明の「ベース部」に相当し、引用発明の「容器内壁16」は、本件補正発明の「内周壁」に相当する。さらに、引用発明の「保温対象物」は、容器1fがコーヒーや冷たい飲料を保温または保冷することを想定していること(【0009】(上記(2)ア(ア)d参照))から、本件補正発明の「液体」に相当し、引用発明の「空間」は、本件補正発明の「室」に相当し、引用発明の「定め」ることは、本件補正発明の「画定」することに相当する。また、引用発明の「前記容器下部内側と前記容器下部外側との間には間隔があ」ることは、本件補正発明の「前記ベース部は前記底部から離間して置かれ」ていることに相当し、引用発明の「前記容器下部内側と前記容器下部外側との間に加熱冷却部を配置する部分を設けた」ことと本件補正発明の「前記ベース部と前記底部との間にキャビティを画定する」こととは、ベース部と底部との間に加熱または冷却システムを配置する部分を定めている点で共通する。したがって、引用発明の「上端から容器下部内側へ延びて前記容器下部内側と一体の容器内壁16であって、保温対象物を保持するための空間を定め、前記容器下部内側と前記容器下部外側との間には間隔があり前記容器下部内側と前記容器下部外側との間に加熱冷却部を配置する部分を設けた容器内壁16」と本件補正発明の「近位部からベース部へ延びて前記ベース部と一体の内周壁であって、液体を保持するための室を画定し」、「前記ベース部は前記底部から離間して置かれて前記ベース部と前記底部との間にキャビティを画定する内周壁」とは、「近位部からベース部へ延びて前記ベース部と一体の内周壁であって、液体を保持するための室を画定し」、「前記ベース部は前記底部から離間して置かれて」前記ベース部と前記底部との間に加熱または冷却システムを配置する部分を定めている「内周壁」である点で共通する。 ウ 引用発明の「加熱冷却部」は、本件補正発明の「加熱または冷却システム」に相当する。また、引用発明の「前記加熱冷却部を配置する部分」と本件補正発明の「前記キャビティ」とは、加熱または冷却システムを配置する部分である点で共通する。 エ 引用発明の「前記容器内壁16と熱結合が可能な位置に配置され」ることは、容器内壁16からさらに保温対象物を保持するための空間にも熱的に連通することとなるから、本件補正発明の「前記室と熱的に連通して配置され」ることに相当する。また、引用発明の「前記空間内の保温対象物と熱の交換ができる」ことは、本件補正発明の「前記室内の液体を加熱する」ことに相当し、引用発明の「熱交換素子14」は、本件補正発明の「加熱または冷却要素」に相当する。したがって、引用発明の「前記容器内壁16と熱結合が可能な位置に配置されて前記空間内の保温対象物と熱の交換ができるように構成された熱交換素子14」は、本件補正発明の「前記室と熱的に連通して配置されて前記室内の液体を加熱するように構成された加熱または冷却要素」に相当する。 オ 引用発明の「商用電力や自動車のシガーライターソケット」は、本件補正発明の「電源」に相当し、引用発明の「非接触で受電する」ことは、本件補正発明の「電力を無線式に受け入れるように構成された」ことに相当し、引用発明の「受電コイル24及び充電回路23」は、本件補正発明の「ワイヤレス電力レシーバ」に相当する。また、引用発明の「蓄電素子12」は、本件補正発明の「1つ以上のエネルギー貯蔵デバイス」に相当し、引用発明の「蓄電素子12に接続され」ることは、本件補正発明の「1つ以上のエネルギー貯蔵デバイスに接続され」ることに相当し、引用発明の「蓄電素子12を充電する」ことは、「前記1つ以上のエネルギー貯蔵デバイスを充電するように構成された」ことに相当する。したがって、引用発明の「商用電力や自動車のシガーライターソケットから非接触で受電する受電コイル24及び充電回路23であって、蓄電素子12に接続され、蓄電素子12を充電する受電コイル24及び充電回路23」は、本件補正発明の「電源から電力を無線式に受け入れるように構成されたワイヤレス電力レシーバであって、1つ以上のエネルギー貯蔵デバイスに接続され、前記1つ以上のエネルギー貯蔵デバイスを充電するように構成されたワイヤレス電力レシーバ」に相当する。 カ 引用発明の「前記受電コイル24及び充電回路23、前記蓄電素子12、並びに前記熱交換素子14に接続され」ることは、本件補正発明の「前記ワイヤレス電力レシーバ、前記1つ以上のエネルギー貯蔵デバイス、および前記加熱または冷却要素に電気的に接続され」ることに相当し、引用発明の「熱交換素子14による加熱及び冷却を制御する」ことは、本件補正発明の「加熱または冷却要素の動作を制御するように構成される」ことに相当し、引用発明の「制御部11f」は、本件補正発明の「制御回路」に相当する。したがって、引用発明の「前記受電コイル24及び充電回路23、前記蓄電素子12、並びに前記熱交換素子14に接続され、熱交換素子14による加熱及び冷却を制御する、制御部11f」は、本件補正発明の「前記ワイヤレス電力レシーバ、前記1つ以上のエネルギー貯蔵デバイス、および前記加熱または冷却要素に電気的に接続され、加熱または冷却要素の動作を制御するように構成される、制御回路」に相当する。 キ 引用発明の「前記熱交換素子14、前記受電コイル24及び充電回路23、前記蓄電素子12並びに前記制御部11fは、前記容器下部内側と前記容器下部外側の間に配置された」ことは、本件補正発明の「前記加熱または冷却要素、前記ワイヤレス電力レシーバ、前記エネルギー貯蔵デバイスおよび前記制御回路は、前記ベース部と前記底部との間」「に配置され」たことに相当し、引用発明の「容器1f」と本件補正発明の「マグ」とは、飲料容器である点で共通する。 以上のことから、本件補正発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点1及び2で相違する。 ・一致点 「外周壁、および前記外周壁に取り付けられた底部と、 近位部からベース部へ延びて前記ベース部と一体の内周壁であって、液体を保持するための室を画定し、前記ベース部は前記底部から離間して置かれて前記ベース部と前記底部との間に加熱または冷却システムを配置する部分を定めている内周壁と、 前記ベース部と前記底部との間で加熱または冷却システムを配置する部分に配置された加熱または冷却システムであって、加熱または冷却システムを配置する部分は、 前記室と熱的に連通して配置されて前記室内の液体を加熱するように構成された加熱または冷却要素と、 電源から電力を無線式に受け入れるように構成されたワイヤレス電力レシーバであって、1つ以上のエネルギー貯蔵デバイスに接続され、前記1つ以上のエネルギー貯蔵デバイスを充電するように構成されたワイヤレス電力レシーバと、 前記ワイヤレス電力レシーバ、前記1つ以上のエネルギー貯蔵デバイス、および前記加熱または冷却要素に電気的に接続され、加熱または冷却要素の動作を制御するように構成される、制御回路と、 を含む、加熱または冷却システムと、 を有し、 前記加熱または冷却要素、前記ワイヤレス電力レシーバ、前記エネルギー貯蔵デバイスおよび前記制御回路は、前記ベース部と前記底部との間に配置される、飲料容器。」 ・相違点1 飲料容器である点に関し、本件補正発明は、「マグ」であって、さらに、内周壁が「前記内周壁と前記外周壁との間に環状隙間を画定するように前記外周壁に対して形成され」ているのに対し、引用発明は、「容器1f」であって、容器内壁16が容器外壁17との間に環状隙間を画定するように形成することは特定されていない点。 ・相違点2 加熱または冷却システムを配置する部分に関し、本件補正発明は、「前記ベース部と前記底部との間にキャビティを画定」し、キャビティ内に加熱または冷却システムが配置され、キャビティは、加熱または冷却要素と、ワイヤレス電力レシーバと、制御回路と、を含み、「前記加熱または冷却要素、前記ワイヤレス電力レシーバ、前記エネルギー貯蔵デバイスおよび前記制御回路は」、「前記キャビティ内に配置され」、「前記環状隙間には配置されない」のに対し、引用発明は、加熱冷却部を配置する部分がキャビティであるか否か不明な点。 (4)判断 以下、相違点について検討する。 ア 相違点1について 飲料容器としてのマグカップ(いわゆるマグ)は、引用例を提示するまでもなく周知技術であって、保温性能を向上させるためにマグカップの内周と外周との間に環状隙間を設けることも周知技術である。 そして、引用文献1にも真空断熱構造の断熱構造体50を容器外壁17と容器内壁16との間に設けて保温保冷の効果を高めることが記載(【0080】から【0083】(上記(2)ア(ア)h)、図11(上記(2)ア(ア)i)参照)されている。 そうすると、引用発明において、容器1fをマグとし、容器内壁16と容器外壁17との間に環状隙間を画定して、上記相違点1に係る本件補正発明の発明特定事項を得ることは、発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易になし得た事項である。 イ 相違点2について まず、引用発明は、上記(2)ア(ウ)に示すとおりのものであるところ、引用文献1の図7(上記(2)ア(ア)i)をみると、容器1fの容器下部外側に近接して設けられた受電コイル24で受電した電力を用いて容器下部内側に近い位置に設けられた熱交換素子14を動作させていると理解できるから、これら受電コイル24及び熱交換素子14に直接あるいは間接的に接続される充電回路23、蓄電素子12、制御部11fは、受電コイル24及び熱交換素子14と共に容器下部内側と容器下部外側の間に配置することが合理的であり、そのため引用発明は、「前記熱交換素子14、前記受電コイル24及び充電回路23、前記蓄電素子12及び前記制御部11fは、前記容器下部内側と前記容器下部外側の間に配置」したものと理解できる。そして、機能的にみると分かれているものの、互いに直接あるいは間接的に接続される熱交換素子14、受電コイル24及び充電回路23、蓄電素子12並びに制御部11fを容器下部内側と容器下部外側の間に配置するに際して、それぞれを個別の空間に配置すると、互いの間の接続をどのようにして行うかという問題があることは、引用文献1に接した当業者にとって明らかな事項である。一方、引用文献2には、直接あるいは間接的に接続される複数の回路部を1つの密閉空間に内蔵することが記載(上記(2)イ(ア)c及び図6(上記(2)イ(ア)e)参照)されている。 そうすると、引用発明において、熱交換素子14、受電コイル24及び充電回路23、蓄電素子12並びに制御部11fを容器下部内側と容器下部外側の間に配置するに際して、引用文献2に記載された事項により、一つの密閉空間、すなわちキャビティに配置することは当業者が容易に想到し得た事項であり、これにより、上記相違点2に係る本件補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得た事項である。 ウ 効果について 上記、一致点、相違点1及び相違点2に係る本件補正発明の発明特定事項を総合的にみても本件補正発明の効果は、引用発明、引用文献2に記載された事項から、当業者が予測し得るものであり、格別なものとはいえない。 エ 請求人の主張について 審判請求人は、審判請求書において、「引用文献1は、電子部品が別々のキャビティまたは室にあることを示し」、「引用文献1の図1は、蓄電素子12とは別の場所(別のキャビティまたは室)にある制御部11aを示しており、制御部11aと蓄電素子12との間に壁(ハッチング)が存在しているように見え」、「引用文献1は、加熱システムまたは冷却システムの構成要素が、容器のベース部と底部との間の同じキャビティ(単一のキャビティ)に配置されることを開示も示唆もしてい」ない旨主張すると共に、「引用文献2は、ベース部(すなわち、液室であるカップ体20、20aの底部)と保温カップの底部との間に回路板208が設置されていることを示していますが、残りの電子部品は、異なるキャビティまたは室の中に配置されてい」る旨主張する。 ここで、引用文献1の図1の記載をみると、請求人が主張するように、制御部11aと蓄電素子12との間にハッチングが付されており、この点は、引用発明として認定した引用文献1の図7の容器1fにおいても同様である。しかし、このハッチングは、引用発明において、受電コイル24、充電回路23、蓄電素子12、熱交換素子14、制御部11fの間に実際に壁があることを示すものではなく、これら受電コイル24、充電回路23、蓄電素子12、熱交換素子14、制御部11fが存在する箇所を大まかに示すためにその周囲にハッチングをしたものであって、実際に壁が存在していることを示すものではないと解される。また、仮に実際に壁が存在しているとしても、この場合、引用発明は、上記イに示すように互いの間の接続をどのようにして行うかという問題があることが当業者にとって自明な事項であるから、これらを1つの空間に収容することの動機を有しているものといえる。そして、引用文献2には、1つの密閉空間202aに回路板208a、低温制御装置206a、高温制御装置204aを収容することが記載されているから、引用発明において受電コイル24、充電回路23、蓄電素子12、熱交換素子14、制御部11fを1つの空間、すなわちキャビティに収容することは、当業者が容易に想到し得た事項であり、請求人の主張は、採用することができない。 オ 本件補正発明の独立特許要件についてのまとめ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1から22に係る発明は、令和6年2月21日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1から22に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1(上記第2 2(2)ア参照)に記載された発明、及び引用文献2(上記第2 2(2)イ参照)に記載された事項に基いて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び引用文献2の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比及び判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記1つ以上のエネルギー貯蔵デバイス」を「前記1つ以上のエネルギー貯蔵装置」とし、「前記加熱または冷却要素、前記ワイヤレス電力レシーバ、前記エネルギー貯蔵デバイスおよび前記制御回路」について、「前記ベース部と前記底部との間で前記キャビティ内に配置され、前記環状隙間には配置されない」とする発明特定事項を削除したものである。 そして、本願発明の「前記1つ以上のエネルギー貯蔵装置」は、「前記1つ以上のエネルギー貯蔵デバイス」の誤りであることは明らかであること(上記第2・2参照)を考慮すると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-014279

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