2024-012652
医薬を安全に分配するためのコンピュータによる経口処方薬投与、関連するシステム、及び方法
- 審判番号
- 2024-012652
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-065553外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年08月02日
- 審決日
- 2026年02月17日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 分類
- P18 .14 -Z (A61J) / P18 .56 -Z (A61J) / P18 .57 -Z (A61J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項、特許法第17条の2第5項、特許法第50条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
折りたたみ中(クリックで表示)
本願は、2020年(令和 2年) 5月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2019年5月22日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2021-569062号の一部を令和 5年 4月13日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
同年 9月13日付け:特許法第50条の2の通知を伴う拒絶理由
通知
同年 3月22日付け:令和 6年 3月19日提出の手続補正に
ついての補正の却下の決定及び拒絶査定
同年 8月 2日 :審判請求書及び手続補正書の提出
第2 令和 6年 8月 2日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和 6年 8月 2日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。以下同様。)
「 【請求項1】物質が安全に分配される対象利用者を決定する方法であって、前記方法は、物質を収容するハウジングに固定して取り付けたロックキャップの弁を、物質が前記ハウジングから対象利用者に分配されることを可能にする開状態に移動させるステップと、前記対象利用者の固有のバイオメトリクス属性が検出されることを判定するステップと、を含み、それにより、前記対象利用者の前記固有のバイオメトリクス属性が検出されることを判定することに応答して、前記物質が前記ハウジングから前記対象利用者に分配されることが可能になる、方法。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和 5年 5月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】対象利用者に物質を安全に分配する方法であって、前記方法は、物質を収容するハウジングに固定して取り付けたロックキャップの弁を、物質が前記ハウジングから対象利用者に分配されることを可能にする開状態に移動させるステップと、前記対象利用者の固有のバイオメトリクス属性が検出されることを判定するステップと、前記対象利用者の前記固有のバイオメトリクス属性が検出されることを判定することに応答して、前記物質を前記ハウジングから前記対象利用者に分配するステップと、を含む、方法。」
(3)補正事項
請求項1に係る本件補正は、次の補正事項1及び2からなるものである。
ア 補正事項1
補正前の「対象利用者に物質を安全に分配する方法」を「物質が安全に分配される対象利用者を決定する方法」とする補正。
イ 補正事項2
補正前の「物質を収容するハウジングに固定して取り付けたロックキャップの弁を、物質が前記ハウジングから対象利用者に分配されることを可能にする開状態に移動させるステップと、
前記対象利用者の固有のバイオメトリクス属性が検出されることを判定するステップと、
前記対象利用者の前記固有のバイオメトリクス属性が検出されることを判定することに応答して、前記物質を前記ハウジングから前記対象利用者に分配するステップと、
を含む」を
「物質を収容するハウジングに固定して取り付けたロックキャップの弁を、物質が前記ハウジングから対象利用者に分配されることを可能にする開状態に移動させるステップと、前記対象利用者の固有のバイオメトリクス属性が検出されることを判定するステップと、を含み、それにより、前記対象利用者の前記固有のバイオメトリクス属性が検出されることを判定することに応答して、前記物質が前記ハウジングから前記対象利用者に分配されることが可能になる」とする補正。
2 補正の適否
請求項1に係る本件補正が、特許法第17条の2第5項に掲げるいずれの事項を目的とするものに該当するか検討する。
補正事項1は、方法を「対象利用者に物質を」「分配する方法」から「物質が」「分配される対象利用者を決定する方法」へと変更するものである。
また、補正事項2は、方法に係るステップとして「前記対象利用者の前記固有のバイオメトリクス属性が検出されることを判定することに応答して、前記物質を前記ハウジングから前記対象利用者に分配するステップ」を含むものから含まないものへと拡張するものである。
したがって、請求項1に係る本件補正は、その内容を変更し、また拡張するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。また、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とするものでないことは明らかである。
よって、請求項1に係る本件補正は、特許法第17条の2第5項に掲げるいずれの目的にも該当しない。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和 6年 8月 2日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の各請求項に係る発明は、令和 5年 5月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~20に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)に記載されたとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、次の理由を含むものである。
本願発明は、「前記物質を前記ハウジングから前記対象利用者に分配するステップ」を含む点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。
3 当審の判断
本願発明である「対象利用者に物質を安全に分配する方法」は、「前記物質を前記ハウジングから前記対象利用者に分配するステップ」を含むものである。
そして、本願明細書には、本願発明における「物質」、「ハウジング」及び「分配」に関して次のとおり記載されている(下線は当審が付与した。)。
「【0011】本開示は、概して、医薬品経口投与装置及びコンピュータによる経口処方薬投与(COPA)装置に関する。これらのCOPA装置、システム、及び方法は、対象利用者への薬剤の確保分配を容易にする。この点に関して、COPA装置は薬剤ハウジング(例えば、瓶、管、ケーシングなど)を含み得るハウジングに連結され得る。薬剤ハウジングは、本開示のロックキャップが固定されるねじ付き開口部を含んでもよい。薬剤ハウジング内の物質(例えば、薬剤、処方された物質など)への許可されていないアクセスを防止するために、薬剤ハウジングは、ロックキャップに連結されてもよい。ロックキャップは、固有の識別子によって対象利用者に関係付けされる要素部材を含んでもよい。ロックキャップは、対象利用者が薬剤ハウジング内の薬剤にアクセスしようとしているかどうかを判定することができる。場合によっては、対象利用者に関連付けられた固有の識別子が検証されたときにのみ、薬剤が投薬されてもよい。対象利用者を認証するために、追加の検証装置、システム、及び方法を使用することもできる。例えば、1つ以上のバイオメトリックセンサは、対象利用者を認証するために対象利用者のバイオメトリック属性を検出するために使用されてもよい。【0012】一実施形態では、対象利用者に物質を確実に分配するための要素部材が設けられる。要素部材は物質を収容するハウジングと螺合するように構成された第1の構成部材と、第1の構成部材に連結され、第1の構成部材をハウジングに確保的に確保するように構成された第2の構成部材と、第2の構成部材を選択的に受容されるような大きさ及び形状の空洞を含む第3の構成部材と、第1の構成部材に連結された弁とを含み、第2の構成部材が第3の構成部材の空洞内に受容されたときに、対象利用者の固有のバイオメトリック属性が検出されたとプロセッサが判断したことに応答して、弁がハウジングから対象利用者に物質を分配することを可能にする開状態にあり、第2の構成部材が第3の構成部材の空洞内に受容されないときに、弁が、物質がハウジングから分配されることを防止する閉状態にあるようにする。」
「【0014】いくつかの実施形態では、固有のバイオメトリック属性が対象利用者の固有の生歯を含む。いくつかの実施形態では要素部材がセンサアレイを有するマウスピースを更に含み、物質はマウスピースを通してハウジングから対象利用者の口に分配される。・・・いくつかの実施形態では、プロセッサが1つ以上の検出器が対象利用者に関連付けられた固有の識別子を受け取ったと判定することに応答して、物質をハウジングから対象利用者の口に分配させるように更に構成される。」
「【0018】一実施形態では、対象利用者に物質を確実に分配するためのシステムが提供される。・・・システムは装置ハウジングに連結されたマウスピースを更に含み、マウスピースは凹部を含み、プロセッサは対象利用者の固有の生歯がマウスピースの凹部内に位置付けられることを判定し、対象利用者の固有の生歯がマウスピースの凹部内に位置付けられることを判定することに応答して、物質をハウジングから対象利用者の口に分配させるように構成される。」
「【0027】いくつかの実施形態では、マウスピースを含むことができるCOPA装置110が対象利用者の固有の生歯を検出するために使用される1つ以上のセンサ又はセンサアレイを有することができる。・・・プロセッサは、COPA装置110の現在の利用者とCOPA装置110の対象利用者との間に一致があるか否かを判定する。一致する場合、プロセッサは、薬剤ハウジング132から対象利用者に物質を投与させることができる。」
「【0032】・・・いくつかの例では、規定された物質はまた、対象利用者に到達する前に、COPA装置110を通して分配される。このような例では、処方された物質が対象利用者の口に分配される。」
上記明細書の記載から、「物質」及び「ハウジング」は、それぞれ「薬剤、処方された物質」及び「薬剤ハウジング」を含むものであり、「分配」は、「物質」を「薬剤ハウジング」から「COPA装置を通して」「対象利用者の口に」「投与」することを含むものであるから、本願発明の「前記物質を前記ハウジングから前記対象利用者に分配するステップ」は、薬剤、処方された物質を薬剤ハウジングから前記対象利用者の口にCOPA装置を通して投与することを含むものである。
そうすると、本願発明は、病気の軽減及び抑制のために、患者に投薬を施す方法の発明が含まれ、その方法の発明は、人間を治療する方法の発明に該当し、特許法第29条第1項柱書でいう産業上利用できる発明に該当しない。
よって、本願発明は、特許法29条第1項柱書に規定する要件を満たしていない。
なお、請求項1に係る発明が、令和 6年 8月 2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたものであったとしても、該請求項1の「前記対象利用者の前記固有のバイオメトリクス属性が検出されることを判定することに応答して、前記物質が前記ハウジングから前記対象者に分配されることを可能になる」ことは、実質的に物質(薬剤、処方された物質)を対象利用者に分配(対象者の口にCOPA装置を通して投与)するものであるから、人間を治療する方法の発明に該当する。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条第1項柱書に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2024-012652