2024-011605
配線探査システム、および配線探査方法
- 審判番号
- 2024-011605
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-044271外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年07月12日
- 審決日
- 2026年02月12日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】NTTアノードエナジー株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人志賀国際特許事務所
- 分類
- P18 .561-Z (G01R) / P18 .121-Z (G01R)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
本願は、令和3年3月18日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
(同年 5月 7日 :原査定の謄本の送達)
同年 7月12日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年7月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年7月12日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
令和6年7月12日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正するものであって、次の(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正する補正事項を含むものである。下線は補正前の請求項1の記載からの補正箇所を示す。
(1) 本件補正前の請求項1
「【請求項1】電源装置から直流電力が供給される一対の電源配線をなす第1電源配線と第2電源配線の一方に接続された第1端子と、他方に接続された第2端子と、負荷とスイッチとの直列回路と、を備え、コンピュータの制御により前記スイッチをオンとオフを繰り返すことで矩形波状の波形の繰り返しパターンである所定パターンの電流を前記第1端子と前記第2端子との間に通電する配線識別負荷装置と、交流および直流の電流を非接触で検知可能で、前記第1電源配線または前記第2電源配線に流れる前記所定パターンの電流を検知する電流センサとを備え、前記電流センサは、前記第1電源配線または前記第2電源配線に前記所定パターンの電流の変化を検知しているか否かを識別する配線探査システム。」
(2) 本件補正後の請求項1
「【請求項1】一対の電源配線をなす第1電源配線と第2電源配線の一方に接続された第1端子と、他方に接続された第2端子と、コンデンサを含む負荷と、スイッチとの直列回路と、を備え、コンピュータの制御により前記スイッチをオンとオフを繰り返すことで矩形波状の波形の繰り返しによる所定パターンの突入電流を前記第1端子と前記第2端子との間に通電する配線識別負荷装置と、前記突入電流を非接触で検知可能で、前記第1電源配線または前記第2電源配線に流れる前記所定パターンの電流を検知するクランプ型電流センサとを備え、前記配線識別負荷装置は、前記スイッチをオンにした場合、前記コンデンサを前記第1端子と前記第2端子との間に接続し、前記スイッチをオフにした場合、前記コンデンサを前記第1端子と前記第2端子との接続から開き放電させて、前記所定パターンを繰り返すことにより前記突入電流を繰り返して、前記クランプ型電流センサは、前記第1電源配線または前記第2電源配線に前記所定パターンの電流の変化を検知しているか否かを識別する配線探査システム。」
2 本件補正についての当審の判断
(1) 新規事項の追加の有無についての当審の判断の概要
本件補正後の請求項1の記載は、「矩形波状の波形の繰り返しによる所定パターンの突入電流」を通電する「配線識別負荷装置」、及び当該電流を検知する「クランプ型電流センサ」という構成を特定するものであるところ、この点は、次の(2)において詳細に説示するとおり、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載された全ての事項を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、本件補正は特許法17条の2第3項の規定に違反するものである。
(2) 新規事項の追加の有無についての当審の判断
ア 「矩形波状の波形の繰り返しによる所定パターン」及び「突入電流パターン」について
当初明細書等の段落【0027】~【0028】には、次の事項が記載されている。(下線は当審による。)
「【0027】配線識別負荷装置1は、スイッチ14をオンまたはオフすることで所定パターンの電流(負荷電流Ia)を第1端子11と第2端子12との間に通電する。所定パターンは、例えば、所定のオン時間と所定のオフ時間を有する矩形波状の波形の繰り返しパターンとしたり、コンデンサを充電する際の突入電流の波形(突入電流パターン)としたり、所定のオン時間を有する1波形のパターンとしたりすることができる。この第1端子11と第2端子12間に通電する電流Iaは、撤去装置7へ直流電力を供給する電源装置4から供給された直流電力によって発生される。【0028】一方、クランプ型電流センサ2は、例えば、測定部2hを貫通する測定導体に流れる電流によって生じる磁界をホール素子を用いて検知することで交流および直流の電流を非接触で検知するセンサである。クランプ型電流センサ2は、例えば、検知した電流値を表示する機能のみを有するものであってもよいし、内部にマイコン等を備え、所定パターンの測定電流の変化を検知しているか否かを判定して判定した結果を表示する機能を有するものであってもよいし、検知した電流波形(電流の時間変化)を表示する機能を有するものであってもよい。クランプ型電流センサ2は、測定電流として、例えば、電源配線303または304に流れる所定パターンの電流変化を検知する。」
なお、当初明細書等において、上記以外に「突入電流」に言及している箇所は段落【0049】、【0054】、【0060】、【0065】であるが、これらいずれの段落においても「矩形波状の波形の繰り返しによる所定パターン」に関する記載は含まれていない。
イ 本件補正後の請求項の記載について
(ア) 本件補正後の請求項1の記載は、「矩形波状の波形の繰り返し」であり、かつ「突入電流」である「所定パターン」の電流を通電して検知するという構成を特定している。
(イ)a しかしながら、前記アで摘記した内容から明らかなように、当初明細書等においては、「所定のオン時間と所定のオフ時間を有する矩形波状の波形の繰り返しパターン」と、「コンデンサを充電する際の突入電流の波形(突入電流パターン)」は、それぞれ異なる「所定パターン」であることを前提として記述されている。
b また、当初明細書等の前記摘記箇所以外の記載を含め検討しても、それらを組み合わせることを示唆するような記載は無い。
c そもそも、「突入電流」とは、電気機器の電源を入れた瞬間に、定常状態よりもはるかに大きな電流が一時的に流れる現象として、コンデンサの充電時などに発生する過渡的な大電流のことをいうから、突入電流の波形としては繰り返しパターンではなく、一回性のパターンとしてその特徴が認識されるものである。
d そうすると、かかる一回性のパターンとしてその特徴が認識される「突入電流」に、さらに認識可能とするための特定の繰り返しパターンを付与する技術的意味も認められない。
e また、「コンデンサを充電する際の突入電流の波形(突入電流パターン)」が「矩形波状の波形」でないことが明らかであるところ、「矩形波状の波形の繰り返し」であり、かつ「突入電流」である「所定パターン」の電流を生成することが当業者にとって自明であるとは認められない。
(ウ) したがって、本件補正後の請求項1は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるから、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法17条の2第3項の規定に違反するものである。
(3) 本件補正の適否のまとめ
前記(2)において検討したとおり、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反しているから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
したがって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2において説示したとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年4月17日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1の記載は前記第2の1(1)に示したとおりである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の本願発明に係る拒絶の理由2(進歩性の欠如)の概略は、次のとおりである。
理由2 本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開昭54-85391号公報
引用文献5.特開2017-15467号公報(周知技術を示す文献)
3 各引用文献に記載された事項並びに引用発明及び周知技術の認定
(1) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
折りたたみ中(クリックで表示)
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開昭54-85391号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記ウの引用発明の認定に用いる記載に下線を付した。)。
(ア) 第1ページ左欄17~19行
「この発明は家庭内、事務所内、工場内等の電気配線の行方などを検査する電気配線検査方法及び装置に係るものである。」
(イ) 第2ページ左上欄18行~同右上欄18行、第1図
「第1図は本発明の実施態様を示す配線図である。Aは変電設備であり、多数の遠方負荷B1~Bnが接続されている。今、遠方負荷Bnにおける線路Cnを、該負荷端Bnと給電端Anの両方で対応して導通テストを行なう場合を例にとつて説明する。先ず、線路Cnを活かしたまま、負荷端Bnと並列に検査抵抗回路dを、スイツチSによって断続的に入切できるように接続する。こうして、スイツチSの入切を繰返し、そのスイツチSを切つているときは、この線路の回路抵抗は負荷抵抗Rnであるが、スイツチSを入れたときは、その回路抵抗はRn・Rd/(Rn+Rd)である。したがつて、スイツチSの入切を繰返しつつ、給電端の線路を“クリツプ電流計”等の線路検査器Eを用いて検査すれば、給電端Anの線路Cnに当つたとき、該検査器の指針がスイツチSの入切に従つて振動するから、負荷端Bnと給電端Anとの対応がとれることになる。」
「[図:0001433633000001.jpg]」
(ウ) 第2ページ右上欄19行~第3ページ左欄5行、第2図
「第2図は本発明方法を実施するための検査装置の一例を示す回路図である。(1)は検査装置本体であり、クリツプ等の検査端子(2)、(3)(当合議体注:第2図ではいずれの端子も「2」と表記されている。)に検査抵抗回路Rdとフリツカーリレー回路Reとが並列接続されている。フリツカーリレー回路Reは、作動スイツチ(5)とフリツカーリレー(6)とが直列接続され、さらに、これのフリツカーリレーと並列に、該フリツカーリレー(6)の作動により断続的に開閉するフリツカーリレー接点(6)′及び補助リレー(7)が接続されている。又検査抵抗回路Rdは、補助スイツチ(8)と前記補助リレー(7)の作動で開閉する補助リレー接点(7)′との並列回路に、電流計(9)が直列接続され、さらに選択切換スイツチ(10)、(11)及び抵抗(10)′、(11)′の並列回路が直列接続されている。以上のように構成されているのでたとえば工場内においてある配線の行先を調査する場合電源を切ることなく負荷端の前の電線路に検査装置の端子(2)、(3)を接続し、表示ランプ(4)の点灯によって不都合なく接続されたことを確認後、作動スイツチ(5)を閉とすると共に選択切換スイツチ(10)あるいは(11)のいずれかを閉とする。該作動スイツチ(5)を閉じると、フリツカーリレー(6)は作動を開始し、フリツカーリレー接点(6)′は断続的に開閉動作を繰返す。該フリツカー接点(6)′の開閉に応じて補助リレー(7)も断続的に作動することから、該補助リレー(7)の動作に応じて、補助リレー接点(7)′も開閉を繰返す。これにより電流は断続的に抵抗(10)あるいは抵抗(11)を流れることから電流計(9)の針も断続的に振れると共に検査系線路の負荷も増減する。この負荷の増減により該電線路Cn内を流れる電流も断続的に変化する。そこで“クリツプ型電流計”Eで給電側Aに多数ある電線路の電流を順次測定して行けば、本発明検査装置を接続した電線路に対応した電線Cnに当つたとき、“クリツプ型電流計”Eの指針が振動しているので他の線路と容易に識別することができる。補助スイッチ(8)は、緊急用のスイッチであって、フリツカーリレー(6)が故障の場合に手動で開閉を断続的に行ってフリツカーリレー(6)の作動と同じ効果を与えるためのものである。尚、前述の検査抵抗Rdは単なる抵抗器のみならず、インピーダンス(交流抵抗)等であってもよいことは勿論である。」
「[図:0001433633000002.jpg]」
イ 引用文献1の図面から読み取れる事項の認定
第1図から、一対の線路Cnに変電設備Aから電力が供給されることが読み取れる。
ウ 引用発明の認定
前記イにおいて認定した事項及び前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明>
「変電設備Aから電力が供給される一対の線路Cnの行方などを検査する電気配線検査装置及びクリツプ型電流計Eであって、(前記ア(ア)(ウ)、イ)前記電気配線検査装置は、クリツプ等の検査端子(2)、(3)に検査抵抗回路Rdとフリツカーリレー回路Reとが並列接続され、(前記ア(ウ))フリツカーリレー回路Reは、補助リレー(7)を含み、(前記ア(ウ))検査抵抗回路Rdは、補助スイツチ(8)と前記補助リレー(7)の作動で開閉する補助リレー接点(7)′との並列回路に、選択切換スイツチ(10)、(11)及び抵抗(10)′、(11)′の並列回路が直列接続されており、(前記ア(ウ))ある配線の行先を調査する場合電源を切ることなく負荷端の前の電線路に検査装置の端子(2)、(3)を接続し、該補助リレー(7)の動作に応じて、補助リレー接点(7)′も開閉を繰返すことにより電流は断続的に抵抗(10)あるいは抵抗(11)を流れることから検査系線路の負荷も増減し、この負荷の増減により該電線路Cn内を流れる電流も断続的に変化し、(前記ア(ウ))クリツプ型電流計Eで給電側Aに多数ある電線路の電流を順次測定して行けば、検査装置を接続した電線路に対応した電線Cnに当つたとき、クリツプ型電流計Eの指針が振動しているので他の線路と容易に識別することができる(前記ア(ウ))電気配線の行方などを検査する電気配線検査装置及びクリツプ型電流計E。(前記ア(ア)(ウ))」
(2) 引用文献5の記載事項及び周知技術の認定
折りたたみ中(クリックで表示)
ア 引用文献5に記載された事項
原査定において周知技術を示す文献として引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2017-15467号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。(なお、下線は当合議体が付したものである。)
(ア) 段落【0001】
「【0001】本発明は、通信設備内の撤去対象の配線特定方法及びシステムに関し、より詳細には、古い機器を撤去し新しい通信設備を更改する場合において、古い機器に接続されていた配線の配線特定方法及びシステムに関する。」
(イ) 【0023】~【0028】、【図2】
「【0023】[第1の実施形態]通信設備において、電源供給装置に接続されている通信装置を撤去した後、電源供給装置と通信装置とを接続する配線も撤去することになる。本実施形態において、撤去した通信装置に接続されていた配線を撤去するために、撤去対象となる配線を特定する。【0024】続きを表示(全13行)本実施形態においては、電源供給装置に、2本の配線を介して接続されている通信装置を取り外し、取り外した通信装置の代わりに、疑似負荷装置を取り付ける。疑似負荷装置は、疑似負荷装置内のインピーダンスに時間的変化を与え、疑似負荷装置内と撤去対象の配線とを流れる電流を時間的に変化させるものである。撤去対象と推定される配線には電流センサを取り付け、電流の時間的変化を検出し、撤去対象の配線を特定する。【0025】図2は、本発明の第1の実施形態にかかる撤去対象の配線を特定する方法において、電源供給装置に疑似負荷装置を接続し、撤去対象の配線に電流センサを取り付けた状態を示す構成図である。図2の通信設備200において、電源供給装置201には、配線212及び213を介して疑似負荷装置220が接続される。ここで、電源供給装置201はAC又はDC電源である。疑似負荷装置220は、接続端子222及び223と、接続端子222及び223の間に配置されたインピーダンス可変装置221とを備えている。通信装置211から取り外した配線212は接続端子222に、配線213は接続端子223に取り付けられる。インピーダンス可変装置221は、疑似負荷装置220内の負荷インピーダンスをあらかじめ設定した通りに時間的に変化させ(Zm(t))、疑似負荷装置220と配線212及び213とを流れる電流に時間的変化を与える。【0026】また、図2の通信設備200において、撤去対象配線となる配線213(又は配線212)であると推定される配線には電流センサ230が取り付けられる。電流センサ230は、配線をクランプして電流を検出するクランプ状の電流プローブ231と、電流プローブ231に接続された検出装置232とを備える。電流プローブ231は、クランプ型の電流センサであり撤去対象となる配線213(又は配線212)と推定される配線をクランプして、配線を流れる電流の変化を感知して検出装置232に送信する。【0027】ここで、本実施形態による、撤去対象となる配線を特定する方法について説明する。配線212及び213から通信装置211を取り外した後に、疑似負荷装置220の接続端子222を配線212に、接続端子223を配線213に接続する。次に、電流センサ230の電流プローブ231を、撤去対象配線である配線213(又は212)と推定される配線にクランプする。【0028】そして、疑似負荷装置220のインピーダンス可変装置221において、予め設定した時間変化の通りに負荷インピーダンスを調整する(Zm(t))。負荷インピーダンスの調整により、疑似負荷装置220と配線212及び213とを流れる電流も、負荷インピーダンスの時間的変化に対応して、時間的に変化する。通信機器211の替わりに取り付けた疑似負荷装置220を流れる電流は、電源供給装置201の疑似負荷装置220への印加電圧と、負荷インピーダンスとにより決まる。ここで、電流センサ230の検出装置232に対し、予め設定した負荷インピーダンスの波形(Zm(t))を与えることにより、疑似負荷装置220と配線212及び213とを流れる電流の波形(I(t))を算出して、記憶できるように設定する。」
「【図2】[図:0001433633000003.jpg]」
(ウ) 【0029】~【0031】、【図3】
「【0029】図3は、疑似負荷装置220において調整した負荷インピーダンス及び負荷インピーダンスの調整による疑似負荷装置220と配線212及び213とを流れる電流の時間的変化の例を示す。ここで、図3(a)は、インピーダンス可変装置221により予め設定した時間変化の通りに調整した負荷インピーダンスの時間的変化、図3(b)は、電源供給装置201がAC電源である場合において、疑似負荷装置220の負荷インピーダンスを図3(a)のような波形に調整した場合に算出された、疑似負荷装置220と配線212及び213とを流れる電流の時間的変化、図3(c)は、電源供給装置201がDC電源である場合において、疑似負荷装置220の負荷インピーダンスを図3(a)のような波形に調整した場合に算出された、疑似負荷装置220と配線212及び213とを流れる電流の時間的変化を示している。【0030】従って、負荷インピーダンスを、図3(a)のような波形に変化させた場合、電流プローブ231に接続された検出装置232において、算出し記憶した図3(b)又は図3(c)の電流波形と同一の電流波形が検出された場合は、電流プローブ231がクランプした配線が、撤去対象の配線213であると特定できる。一方で、図3(b)又は図3(c)の電流波形と異なる電流波形が検出された場合は、電流プローブ231がクランプした配線が、撤去対象の配線213ではないと特定できる。【0031】ここで、負荷インピーダンスの変動は、他の機器の電源電流変動に見られない特徴的な波形としておくことで、配線を流れる電流変化の誤識別が防げる。」
「【図3】[図:0001433633000004.jpg]」
イ 周知技術の認定
前記アに摘記した引用文献5の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術1」及び「周知技術2」という。)
(ア) 周知技術1
「一対の線路に対し、時間的に変化可能な負荷を接続し、クランプ型の電流センサにより線路を流れる電流の変化を検出することによって対象の線路を特定するシステムが、交流電源と直流電源のいずれにも適用可能であること。」
(イ) 周知技術2
「一対の線路に対し、時間的に変化可能な負荷を接続し、クランプ型の電流センサにより線路を流れる電流の変化を検出することによって対象の線路を特定するシステムにおいて、電流センサの検出装置が、設定された負荷の変化による電流波形を記憶しており、これと同一の電流波形が検出された場合に対象の線路であると特定すること。」
4 対比
本願発明と引用発明を対比する。
ここで、検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Aから構成Dまでに分説する。
「(構成A)電源装置から直流電力が供給される一対の電源配線をなす第1電源配線と第2電源配線の一方に接続された第1端子と、他方に接続された第2端子と、負荷とスイッチとの直列回路と、を備え、コンピュータの制御により前記スイッチをオンとオフを繰り返すことで矩形波状の波形の繰り返しパターンである所定パターンの電流を前記第1端子と前記第2端子との間に通電する配線識別負荷装置と、(構成B)交流および直流の電流を非接触で検知可能で、前記第1電源配線または前記第2電源配線に流れる前記所定パターンの電流を検知する電流センサとを備え、(構成C)前記電流センサは、前記第1電源配線または前記第2電源配線に前記所定パターンの電流の変化を検知しているか否かを識別する(構成D)配線探査システム。」
(1) 構成A(配線識別負荷装置)の観点
ア 「電源配線」について
(ア) 引用発明の「変電設備A」及び「一対の線路Cn」は、それぞれ本願発明の「電源装置」及び「一対の電源配線をなす第1電源配線と第2電源配線」に相当する。
(イ) 引用発明において、「変電設備A」から供給される電力が交流電力であることは自明であるところ、前記(ア)を踏まえると、引用発明の「変電設備Aから電力が供給される一対の線路Cn」は、本願発明の「電源装置から直流電力が供給される一対の電源配線をなす第1電源配線と第2電源配線」と、「電源装置から電力が供給される一対の電源配線をなす第1電源配線と第2電源配線」である点で共通する。
イ 「端子」について
引用発明の「クリツプ等の検査端子(2)、(3)」は、本願発明の「第1端子」及び「第2端子」に相当するから、前記アを踏まえると、引用発明において「負荷端の前の電線路に」「接続」される「クリツプ等の検査端子(2)、(3)」は、本願発明の「電源装置から直流電力が供給される一対の電源配線をなす第1電源配線と第2電源配線の一方に接続された第1端子と、他方に接続された第2端子」と、「電源装置から電力が供給される一対の電源配線をなす第1電源配線と第2電源配線の一方に接続された第1端子と、他方に接続された第2端子」である点で共通する。
ウ 「直列回路」について
引用発明の「補助リレー接点(7)′」及び「抵抗(10)′、(11)′」は、それぞれ本願発明の「スイッチ」及び「負荷」に相当するから、引用発明の「電気配線検査装置」において「補助リレー接点(7)′」を含む並列回路に「抵抗(10)′、(11)′の並列回路が直列接続され[た]」回路構成が、本願発明の「負荷とスイッチとの直列回路」に相当する。
エ 「通電」について
(ア) 引用発明においては、「負荷端の前の電線路に検査装置の端子(2)、(3)を接続し、該補助リレー(7)の動作に応じて、補助リレー接点(7)′も開閉を繰返すことにより電流は断続的に抵抗(10)あるいは抵抗(11)を流れることから検査系線路の負荷も増減し、この負荷の増減により該電線路Cn内を流れる電流も断続的に変化[する]」ようにしているところ、「電線路Cn」において「開閉を繰返すことにより」生じる波形の繰り返しパターンを所定のパターンとして有する電流が通電することは明らかである。
(イ) そうすると、引用発明における電線路Cn内の上記通電態様と、本願発明における「コンピュータの制御により前記スイッチをオンとオフを繰り返すことで矩形波状の波形の繰り返しパターンである所定パターンの電流を前記第1端子と前記第2端子との間に通電する」ことは、「前記スイッチをオンとオフを繰り返すことで波形の繰り返しパターンである所定パターンの電流を前記第1端子と前記第2端子との間に通電する」点で共通する。
オ 「配線識別負荷装置」について
引用発明の「電気配線検査装置」は「電気配線の行方などを検査する」ための増減可能な負荷を備える装置であるから、本願発明の「配線識別負荷装置」に相当する。
カ 構成Aの検討のまとめ
前記ア~オを踏まえると、本願発明と引用発明は、「電源装置から電力が供給される一対の電源配線をなす第1電源配線と第2電源配線の一方に接続された第1端子と、他方に接続された第2端子と、負荷とスイッチとの直列回路と、を備え、前記スイッチをオンとオフを繰り返すことで波形の繰り返しパターンである所定パターンの電流を前記第1端子と前記第2端子との間に通電する配線識別負荷装置」を備える点で共通し、以下(ア)~(ウ)の点で相違する。
(ア) 本願発明においては、電源装置から供給される電力が「直流電力」であるのに対し、
引用発明において供給される電力は「変電設備A」からの交流電力である点。
(イ) 本願発明においては、「スイッチのオンとオフ」は「コンピュータの制御により」なされるものとされているが、
引用発明では「フリツカーリレー回路Re」を用いて「補助リレー接点(7)′」の開閉が繰り返されている点。
(ウ) 本願発明においては、通電する「所定パターン」が「矩形波状の波形の繰り返しパターン」であるのに対し、
引用発明では「電線路Cn内を流れる電流」は「補助リレー接点(7)′」が「開閉を繰返すことにより」「断続的に変化」するものであるが、「矩形波状の波形の繰り返しパターン」を含むことは明示されていない点。
(2) 構成B(電流センサ)の観点
ア 引用発明において「変電設備Aから電力が供給される一対の線路Cn」に対して測定を行う「クリップ型電流計E」は、前記(1)を踏まえると、本願発明の「交流および直流の電流を非接触で検知可能で、前記第1電源配線または前記第2電源配線に流れる前記所定パターンの電流を検知する電流センサ」と、「交流の電流を非接触で検知可能で、前記第1電源配線または前記第2電源配線に流れる前記所定パターンの電流を検知する電流センサ」である点で共通する。
イ そうすると、引用発明と本願発明は、「交流の電流を非接触で検知可能で、前記第1電源配線または前記第2電源配線に流れる前記所定パターンの電流を検知する電流センサ」を備える点で共通し、以下の点で相違する。
本願発明の「電流センサ」は「交流および直流の電流」を検知可能なものであるが、
引用発明の「クリップ型電流計E」が「直流の電流」を検知可能であるか否かは不明である点。
(3) 構成C(電流センサによる識別)の観点
ア 引用発明の「クリップ型電流計E」は、電流計自体が電流変化の有無を識別する機能を有するものではないため、構成Cに相当する構成を備えていないから、本願発明と引用発明は、後記イの点において相違する。
イ 本願発明の「電流センサ」は「前記第1電源配線または前記第2電源配線に前記所定パターンの電流の変化を検知しているか否かを識別する」ものであるが、
引用発明の「クリップ型電流計E」は「検査装置を接続した電線路に対応した電線Cnに当つたとき、クリップ型電流計Eの指針が振動しているので他の線路と容易に識別することができる」ものであり、電流計自体が電流変化の有無を識別する機能を有するものではない点。
(4) 構成D(配線探査システム)の観点
引用発明の「電気配線の行方などを検査する電気配線検査装置及びクリツプ型電流計E」の組合せは、本願発明の「配線探査システム」に相当する。
(5) まとめ
前記(1)~(4)の対比結果をまとめると、本願発明と引用発明は次の一致点で一致し、以下の相違点1~4で相違する。
<一致点>
「電源装置から電力が供給される一対の電源配線をなす第1電源配線と第2電源配線の一方に接続された第1端子と、他方に接続された第2端子と、負荷とスイッチとの直列回路と、を備え、前記スイッチをオンとオフを繰り返すことで波形の繰り返しパターンである所定パターンの電流を前記第1端子と前記第2端子との間に通電する配線識別負荷装置と、交流の電流を非接触で検知可能で、前記第1電源配線または前記第2電源配線に流れる前記所定パターンの電流を検知する電流センサとを備える、配線探査システム。」
<相違点>
ア 相違点1
本願発明においては、電源装置から供給される電力が「直流電力」であり、「電流センサ」は「交流および直流の電流」を検知可能なものであるのに対し、
引用発明において供給される電力は「変電設備A」からの交流電力であり、「クリップ型電流計E」が「直流の電流」を検知可能であるか否かは不明である点。
イ 相違点2
本願発明においては、「スイッチのオンとオフ」は「コンピュータの制御により」なされるものとされているが、
引用発明では「フリツカーリレー回路Re」を用いて「補助リレー接点(7)′」の開閉が繰り返されている点。
ウ 相違点3
本願発明においては、通電する「所定パターン」が「矩形波状の波形の繰り返しパターン」であるのに対し、
引用発明では「電線路Cn内を流れる電流」は「補助リレー接点(7)′」が「開閉を繰返すことにより」「断続的に変化」するものであるが、「矩形波状の波形の繰り返しパターン」を含むことは明示されていない点。
エ 相違点4
本願発明の「電流センサ」は「前記第1電源配線または前記第2電源配線に前記所定パターンの電流の変化を検知しているか否かを識別する」ものであるが、
引用発明の「クリップ型電流計E」は「検査装置を接続した電線路に対応した電線Cnに当つたとき、クリップ型電流計Eの指針が振動しているので他の線路と容易に識別することができる」ものであり、電流計自体が電流変化の有無を識別する機能を有するものではない点。
5 判断
(1) 相違点1について
ア 「直流電力」への適用について
(ア) 前記3(2)イ(ア)で認定したように、
「一対の線路に対し、時間的に変化可能な負荷を接続し、クランプ型の電流センサにより線路を流れる電流の変化を検出することによって対象の線路を特定するシステムが、交流電源と直流電源のいずれにも適用可能であること」は周知技術である(前記周知技術1を参照)。
(イ) 前記周知技術1を踏まえると、引用発明において、負荷を増減させることにより変化する電流をクランプ型の電流センサ(クリツプ型電流計)で測定して線路の特定を行う際に、交流電源と直流電源のいずれにも適用できることは明らかであって、その適用対象を交流電源、直流電源、又はその双方のいずれとするかは、必要に応じて適宜選択される事項の範囲内のものである。
イ 「交流および直流の電流」の検知について
ホール素子を用いた電流センサなどが、交流及び直流の電流を検知可能な電流センサとして慣用されていることが例示するまでもなく技術常識であることを考慮すると、測定対象に直流電源が含まれることが想定される場合に、電流センサとして「交流および直流の電流」を検知可能なものとすることも、当業者が当然に配慮すべき範囲内のものといえる。
ウ 相違点1の検討のまとめ
前記ア及びイの検討結果を踏まえると、引用発明において、前記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
(2) 相違点2について
いわゆるフリッカー回路は、一定の時間でオンとオフを繰り返す動作を実現する回路として認識されているものであるところ、電子回路のスイッチのオンとオフを「コンピュータの制御により」行うことは、特に例を示すまでもない一般的な技術事項であるから、引用発明の「フリツカーリレー回路Re」に替えて、コンピュータ制御のスイッチ回路を採用することは、当業者が容易に想到し得たものである。
したがって、引用発明において、前記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
(3) 相違点3について
ア 本願発明において「矩形波状の波形の繰り返しパターンである所定パターン」は、「スイッチをオンとオフを繰り返すこと」により生成されるものであるから、「矩形波状」と特定されていても、信号の立ち上がりや立ち下がりのなまりなどで厳密な「矩形」が形成されているものでないことは明らかである。
イ 一方、引用発明の「電線路Cn内を流れる電流」も、「補助リレー接点(7)′」が「開閉を繰返すことにより」「断続的に変化」するものであるから、本願発明の「矩形波状の波形の繰り返しパターンである所定パターン」に包含されるものといえる。
ウ なお、前記3(1)ア(ウ)に摘記した、引用文献1の「補助スイッチ(8)は、緊急用のスイッチであって、フリツカーリレー(6)が故障の場合に手動で開閉を断続的に行ってフリツカーリレー(6)の作動と同じ効果を与えるためのものである。」との記載から、引用発明におけるスイッチの開閉が、連続するオンオフによって信号の立ち上がりや立ち下がりが一部重なる程に密なものではなく、手動のスイッチ操作で代替可能な、個々のオンオフによる信号が独立して認識可能な程度に時間間隔を持つものであることが明らかである。この点を踏まえると、引用発明における電流の断続的な波形変化において、所定の繰り返しパターンを観念することは可能であるから、この点においても本願発明と格別相違するものではない。
エ したがって、相違点3は実質的な相違点ではない。
オ 仮に相違点3が実質的な相違点であるとして検討しても、引用発明において「電線路Cn内を流れる電流」は「クリップ型電流計E」の出力が「他の線路と容易に識別することができる」ものとなれば良いのであるから、その「所定パターン」の波形形状を「矩形」とするか否かは、接続する負荷や電流計などを具体的に選定する際の都合により適宜選択されるべき事項の範囲内のものであって、いずれにしても格別の事項ではない。
(4) 相違点4について
ア 前記3(2)イ(イ)で認定したように、
「一対の線路に対し、時間的に変化可能な負荷を接続し、クランプ型の電流センサにより線路を流れる電流の変化を検出することによって対象の線路を特定するシステムにおいて、電流センサの検出装置が、設定された負荷の変化による電流波形を記憶しており、これと同一の電流波形が検出された場合に対象の線路であると特定すること」は周知技術である(前記周知技術2を参照)。
イ 引用発明において、負荷を増減させることにより変化する電流をクランプ型の電流センサ(クリツプ型電流計)で測定して線路の特定を行うに際し、前記周知技術2の「電流センサの検出装置が、設定された負荷の変化による電流波形(本願発明の「所定パターンの電流」に相当する。)を記憶しており、これと同一の電流波形が検出された場合に対象の線路であると特定する」という構成を前記電流センサに採用することは、当業者が容易に想到し得たものである。
したがって、引用発明において、前記相違点4に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
(5) 総合評価
前記(1)~(4)において検討したとおり、引用発明において、前記相違点1~相違点4に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、引用発明及び周知技術1、2に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、相違点1~相違点4を総合的に勘案しても、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
6 請求人の主張について
ア 請求人の主張1について
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(ア) 請求人の主張1の概要
請求人は審判請求書において概ね以下のように主張している。
「コンデンサを含む負荷」の場合、負荷に通電する期間をコンピュータ制御により調整しても、コンデンサの充電状態とそのコンデンサに印加される電圧により電流の大きさが変化する。そのため「負荷インピーダンスをあらかじめ設定した通りに時間的に変化させ」る引用文献5に記載された技術は、「コンデンサを含む負荷」を利用したものとは異なるものである。
また、引用文献5に記載された技術は、「検出装置232において、算出し記憶した図3(b)又は図3(c)の電流波形と同一の波形が検出された場合は、電流プローブ231がクランプした配線が、撤去対象の配線213であると特定」するものである。上記のように「負荷インピーダンスをあらかじめ設定した通りに時間的に変化させ」ることができない場合には、「電流波形と同一の波形が検出され」るとは限らない。「コンデンサを含む負荷」を利用したものである場合には、このような引用文献5に記載された「電流波形と同一の波形」を検出する方法では、「所定パターンの電流の変化を検知しているか否かを識別する」ことは困難である。
(イ) 請求人の主張1に対する当審の判断
請求人の前記主張1は、本願発明が「コンデンサを含む負荷」を利用する発明であることを前提としたものである。
しかしながら、前記1において認定したとおり、本願発明は前記第2の1(1)の本件補正前の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであり、本願発明においては「コンデンサを含む負荷」を利用する点について特定されていない。
したがって、前記主張1は請求項の記載に基づかないものであって、これを採用することはできない。
イ 請求人の主張2について
折りたたみ中(クリックで表示)
(ア) 請求人の主張2の概要
請求人は令和6年4月17日に提出された意見書において概ね以下のように主張している。
引用文献1には、少なくとも以下の構成要件1A,1B,1Cに関する構成に関する記載はなく示唆もなされておらず、本願発明は引用文献1に記載されたことから容易に想到されるものではない。
構成要件1A
「電源装置から直流電力が供給される一対の電源配線をなす第1電源配線と第2電源配線の一方に接続された第1端子と、他方に接続された第2端子と、負荷とスイッチとの直列回路と、を備え、コンピュータの制御により前記スイッチをオンとオフを繰り返すことで矩形波状の波形の繰り返しパターンである所定パターンの電流を前記第1端子と前記第2端子との間に通電する配線識別負荷装置」
構成要件1B
「交流および直流の電流を非接触で検知可能で、前記第1電源配線または前記第2電源配線に流れる前記所定パターンの電流を検知する電流センサ」
構成要件1C
「前記電流センサは、前記第1電源配線または前記第2電源配線に前記所定パターンの電流の変化を検知しているか否かを識別する」
(イ) 請求人の主張2に対する当審の判断
前記主張2は、要するに前記相違点1~4に関するものであるところ、前記相違点1~4については、前記5(1)~(4)において、それぞれ説示したとおりである。
したがって、前記主張2を採用することはできない。
第4 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-011605