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特許拒絶査定不服審判

2024-011141

容器の蓋を殺菌するための装置および方法

審判番号
2024-011141
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-055662外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年07月05日
審決日
2025年11月20日
公報発行日
2026年04月24日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .575-WZ (B65B) / P18 .121-WZ (B65B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第164条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 55662「容器の蓋を殺菌するための装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月15日出願公開、特開2020-169058〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、令和2年3月26日(パリ条約による優先権主張 2019年4月2日(以下、「優先日」という。),ドイツ)の出願であって、令和5年9月21日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月13日に意見書とともに誤訳訂正書が提出され、令和6年2月29日付けで拒絶査定(謄本送達日同年3月5日。以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して同年7月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされ、同年9月30日付けで審査官により特許法164条3項の規定に基づく報告(以下、「前置報告」という。)がなされたものである。

第2 令和6年7月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和6年7月5日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)

(1)本件補正後の特許請求の範囲

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)

「容器の蓋(10)を所定の搬送経路(T)に沿って搬送する搬送装置(2)と、容器の蓋(10)の少なくとも一部分の殺菌に好適であり、容器の蓋(10)の少なくとも一部分を殺菌するように意図される殺菌装置(4)とを備える容器の蓋(10)を殺菌するための装置(1)であって、
前記殺菌装置(4)は、電荷担体を発生させる電荷担体の供給源(42)と、前記電荷担体を殺菌対象の容器の蓋の表面へと照射する放射装置(44)とを有し、前記殺菌装置の少なくとも1つの要素を、前記容器の蓋(10)の内部領域(10a)へと導入することができ、
前記装置(1)は、電荷担体の放射によって容器の蓋の外面を殺菌する更なる殺菌装置と、殺菌の最中に生成されるX線放射線を遮蔽する遮蔽ユニットと、を有し、
前記容器の蓋の前記搬送経路は、殺菌が行われる領域を非殺菌環境から分離するクリーンルームによって、非殺菌環境から分離されている、ことを特徴とする装置(1)。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の、令和5年12月13日に提出された誤訳訂正書による手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「容器の蓋(10)を所定の搬送経路(T)に沿って搬送する搬送装置(2)と、容器の蓋(10)の少なくとも一部分の殺菌に好適であり、容器の蓋(10)の少なくとも一部分を殺菌するように意図される殺菌装置(4)とを備える容器の蓋(10)を殺菌するための装置(1)であって、
前記殺菌装置(4)は、電荷担体を発生させる電荷担体の供給源(42)と、前記電荷担体を殺菌対象の容器の蓋の表面へと照射する放射装置(44)とを有し、前記殺菌装置の少なくとも1つの要素を、前記容器の蓋(10)の内部領域(10a)へと導入することができ、
前記装置(1)は、電荷担体の放射によって容器の蓋の外面を殺菌する更なる殺菌装置と、殺菌の最中に生成される放射線を遮蔽する遮蔽ユニットと、を有する、ことを特徴とする装置(1)。」

2 補正の適否

本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「放射線」及び「前記容器の蓋の前記搬送経路」について、それぞれ「X線放射線」及び「殺菌が行われる領域を非殺菌環境から分離するクリーンルームによって、非殺菌環境から分離されている」との限定を付加するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用例の記載事項

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ア 引用例1の記載事項及び引用発明

(ア)原査定の拒絶の理由において引用した、本願優先日前に既に公知である、特開2015-117040号公報(平成27年6月25日公開。以下、これを「引用例1」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。)

a 「【0008】

本発明は上記問題点を解決して、突起物の多いボトルキャップの内面を、少ない電子線量で十分に滅菌して、容器の口頸部に装着するためのボトルキャップの滅菌・装着方法および滅菌・装着設備を提供することを目的とする。」

b 「【0040】

(全体構造)

図3に示すように、ボトル充填設備30は、充填用旋回テーブル31Tの外周部に容器BTを一定ピッチで保持し、これら容器BTが充填用旋回経路31Rに沿って搬送中に内容液を定量充填するロータリ式の充填装置31と、充填用旋回テーブル31Tから出口スターホイール32を介して排出される容器BTの口頸部26に、ボトルキャップBCを装着するキャッパー33と、このキャッパー33にボトルキャップBCを供給するキャップ供給ホイール34とを具備している。本発明に係るボトルCを供給するボトルキャップ滅菌・装着設備40は、ボトル充填設備のキャッパー33と、キャップ滅菌装置41と、により構成される。

【0041】

キャップ滅菌装置41は、図1,図2に示すように、たとえば遠心式のキャップフィーダ42から1個ずつ送り出されたボトルキャップBCを、下流側下方に傾斜する直線状のキャップ搬送経路43Lに沿って順次搬送するキャップ搬送装置43と、このキャップ搬送経路43Lに沿って搬送されるボトルキャップBCの外面に、照射口44Pを介して下方から電子線を照射して滅菌する外面用電子線照射機44と、滅菌用旋回テーブル45Tに一定ピッチで設けられた保持位置に外面滅菌後のボトルキャップBCを受け取り、円形の滅菌用旋回経路45Rに沿って間欠的に搬送する滅菌用旋回搬送装置45と、この滅菌用搬送経路45Rの上方の複数位置に設置された内面用電子線照射機46と、加工用旋回テーブル47Tの外周部に一定ピッチで設けられた保持具に、外内面滅菌後のボトルキャップBCを受け取り、加工用旋回経路47Rに沿って搬送する途中で、折り込み用のポンチ47PによりボトルキャップBCのフラップ部18を内方に折り込むフラップ加工装置47と、フラップ加工装置47によりフラップ加工されたボトルキャップBCを、順次中間フィーダ49に排出する排出用ホイール装置48とを具備している。

【0042】

内面用電子線照射機46は、環状バンド部11の開口面14に挿入可能な外径のノズル部46Nが垂下され、このノズル部46Nの下端部に形成された照射口46Pが形成されている。そして、ノズル部46Nの下方にボトルキャップBCが停止されると、滅菌用旋回テーブル45Tを所定距離上昇させる(またはノズル部46Nを下降させる、あるいは滅菌用旋回テーブル45T上昇させ、かつノズル部46Nを下降させる)ことにより、図5に示すように、照射口46Pを環状バンド部11の開口面14の開口位置Sを挟んでU-Dの範囲で接近または挿入させ、ボトルキャップBCの内面を滅菌することができる。この時、フラップ部18の先端が照射口46Pに接近することから、電子線を小さい照射量で、環状バンド部11の内周面でフラップ部18より奥側も十分に電子線を照射して十分に滅菌することができる。」

c 「【0049】

(実施例の効果)

実施例1によれば、成形された時に二次加工をしないで、フラップ部18が、環状バンド部11の開口面14外方に向かって開放されたボトルキャップBCを使用し、キャップ搬送装置43によりキャップ搬送経路43Lに沿って搬送されるボトルキャップBCの天面12に向かって、外面用電子線照射機44から電子線を照射して外面を滅菌する。次いで内面用電子線照射機46のノズル部46Nの先端部に照射口46Pに、環状バンド部11の開口面14を接近または挿入して電子線を照射することにより、凹凸の多いボトルキャップBCの内面を効果的に滅菌することができる。」

d 「図1

[図:0001433624000001.jpg]

」

e 「図2

[図:0001433624000002.jpg]

」

f 「図3

[図:0001433624000003.jpg]

」

g 「図5

[図:0001433624000004.jpg]

」

(イ)上記記載から、引用例1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

a 上記(ア)aの「突起物の多いボトルキャップの内面を、少ない電子線量で十分に滅菌して、容器の口頸部に装着するためのボトルキャップの滅菌・装着方法および滅菌・装着設備を提供することを目的とする。」(【0008】)との記載から、引用例1には、“突起物の多いボトルキャップの内面を、電子線を照射して十分に滅菌して、容器の口頸部に装着するボトルキャップの滅菌・装着設備”が記載されているといえる。

b 上記(ア)bの「本発明に係るボトルCを供給するボトルキャップ滅菌・装着設備40は、ボトル充填設備のキャッパー33と、キャップ滅菌装置41と、により構成される。」(【0040】)との記載から、引用例1には、“ボトルCを供給するボトルキャップ滅菌・装着設備40は、ボトル充填設備のキャッパー33と、キャップ滅菌装置41と、により構成され”ることが記載されているといえる。

c 上記(ア)bの「キャップ滅菌装置41は、図1,図2に示すように、…(中略)…ボトルキャップBCを、…(中略)…キャップ搬送経路43Lに沿って順次搬送するキャップ搬送装置43と、このキャップ搬送経路43Lに沿って搬送されるボトルキャップBCの外面に、照射口44Pを介して下方から電子線を照射して滅菌する外面用電子線照射機44と、…(中略)…円形の滅菌用旋回経路45Rに沿って間欠的に搬送する滅菌用旋回搬送装置45と、この滅菌用搬送経路45Rの上方の複数位置に設置された内面用電子線照射機46と、…(中略)…を具備している。」(【0041】)との記載、並びに上記(ア)d(図1)及びe(図2)から、引用例1には、“キャップ滅菌装置41は、ボトルキャップBCをキャップ搬送経路43Lに沿って順次搬送するキャップ搬送装置43と、このキャップ搬送経路43Lに沿って搬送されるボトルキャップBCの外面に、照射口44Pを介して下方から電子線を照射して滅菌する外面用電子線照射機44と、円形の滅菌用旋回経路45Rに沿って間欠的に搬送する滅菌用旋回搬送装置45と、この滅菌用搬送経路45Rの上方の複数位置に設置された内面用電子線照射機46とを具備”することが記載されているといえる。

d 上記(ア)bの「内面用電子線照射機46は、環状バンド部11の開口面14に挿入可能な外径のノズル部46Nが垂下され、このノズル部46Nの下端部に形成された照射口46Pが形成されている。そして、ノズル部46Nの下方にボトルキャップBCが停止されると、…(中略)…ノズル部46Nを下降させる…(中略)…ことにより、図5に示すように、照射口46Pを環状バンド部11の開口面14の開口位置Sを挟んでU-Dの範囲で接近または挿入させ、ボトルキャップBCの内面を滅菌することができる。」(【0042】)との記載、上記(ア)cの「内面用電子線照射機46のノズル部46Nの先端部に照射口46Pに、環状バンド部11の開口面14を接近または挿入して電子線を照射することにより、凹凸の多いボトルキャップBCの内面を効果的に滅菌することができる。」(【0049】)との記載、及び上記(ア)g(図5)から、引用例1には、“内面用電子線照射機46は、環状バンド部11の開口面14に挿入可能な外径のノズル部46Nが垂下され、このノズル部46Nの下端部に形成された照射口46Pが形成され、ノズル部46Nの下方にボトルキャップBCが停止されると、ノズル部46Nを下降させることにより、照射口46Pを環状バンド部11の開口面14の開口位置Sを挟んでU-Dの範囲で接近または挿入させ、ノズル部46Nの先端部の照射口46Pに、環状バンド部11の開口面14を接近または挿入して電子線を照射することにより、凹凸の多いボトルキャップBCの内面を効果的に滅菌することができる”ことが記載されているといえる。

(ウ)上記(ア)及び(イ)より、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「突起物の多いボトルキャップの内面を、電子線を照射して十分に滅菌して、容器の口頸部に装着するボトルキャップの滅菌・装着設備におけるキャップ滅菌装置41であって、
ボトルCを供給するボトルキャップ滅菌・装着設備40は、ボトル充填設備のキャッパー33と、キャップ滅菌装置41と、により構成され、
キャップ滅菌装置41は、
ボトルキャップBCをキャップ搬送経路43Lに沿って順次搬送するキャップ搬送装置43と、
このキャップ搬送経路43Lに沿って搬送されるボトルキャップBCの外面に、照射口44Pを介して下方から電子線を照射して滅菌する外面用電子線照射機44と、
円形の滅菌用旋回経路45Rに沿って間欠的に搬送する滅菌用旋回搬送装置45と、
この滅菌用搬送経路45Rの上方の複数位置に設置された内面用電子線照射機46と
を具備し、
内面用電子線照射機46は、環状バンド部11の開口面14に挿入可能な外径のノズル部46Nが垂下され、このノズル部46Nの下端部に形成された照射口46Pが形成され、ノズル部46Nの下方にボトルキャップBCが停止されると、ノズル部46Nを下降させることにより、照射口46Pを環状バンド部11の開口面14の開口位置Sを挟んでU-Dの範囲で接近または挿入させ、ノズル部46Nの先端部の照射口46Pに、環状バンド部11の開口面14を接近または挿入して電子線を照射することにより、凹凸の多いボトルキャップBCの内面を効果的に滅菌することができる
キャップ滅菌装置41。」

イ 引用例2の記載事項

(ア)原査定の拒絶の理由において引用した、本願優先日前に既に公知である、特開2002-128030号公報(平成14年5月9日公開。以下、これを「引用例2」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。

a 「【0006】

【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施の形態により本発明を説明する。図1は本発明の一実施の形態に係るキャップ殺菌装置の横断面図、図2はキャップ2を搬送する搬送シュート4の途中に設けられたキャップ移動手段6の平面図である。

…(中略)…

【0011】前記一対のベルト61、62が設置されている殺菌部Aは、電子線遮蔽部8によって覆われており、後に説明する電子線照射装置10からキャップ2に照射された電子線が外部に漏れないようになっている。

【0012】前記キャップ移動手段6の上方に電子線照射装置10が設置されている。この電子線照射装置10は、電子線発生装置11から放射した電子線を、照射窓12を介して前記電子線遮蔽部8内を移動するキャップ2に照射する。この実施の形態では、前記キャップ移動手段6がキャップ搬送シュート4の搬送面と水平に配置され、この電子線照射装置10はキャップ2の移動方向に対して左右に傾斜して設置されており、電子線は、前記キャップ2に対して斜め方向から照射されるようになっている。」

b 「図1

[図:0001433624000005.jpg]

」

c 「図2

[図:0001433624000006.jpg]

」

(イ)上記(ア)の記載(特に下線部。)から、引用例2には、次の技術的事項(以下、「引用例2記載事項」という。)が記載されているといえる。

「キャップ殺菌装置において、電子線照射装置が、電子線発生装置から放射した電子線を、キャップに照射するにあたり、殺菌部を、電子線遮蔽部によって覆い、電子線照射装置からキャップに照射された電子線が外部に漏れないようにすること。」

ウ 引用例3の記載事項

(ア)前置報告において引用された、本願優先日前に既に公知である、特開2013-215579号公報(平成25年10月24日公開。以下、これを「引用例3」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。

a 「【0011】

本発明による容器蓋用の蓋消毒装置は、事前設定された搬送経路に沿って容器蓋を個々に搬送する搬送機構を有する。この場合、この搬送機構は、搬送機構を駆動する駆動機構を有する。さらに、装置は、容器蓋を消毒する放射を発生し、容器蓋を搬送機構によって搬送中に放射によって容器蓋に作用する照射機構を有する。さらに、装置は、少なくとも容器蓋を消毒している時間、容器蓋がその内部で搬送されるクリーンルームを有する。

…(中略)…

【0056】

参照番号42は、容器蓋を電子によって照射する第1の照射機構を示す。参照番号44は、容器蓋を照射する対応する第2の照射機構を示す。参照番号47は、容器蓋10の照射に使用される電子を発生する電子発生機構を示す。このようにして、この実施形態では、容器蓋は、2方向から、すなわち第1の放射機構42および第2の放射機構44によって、電子を用いて照射される。これら2つの放射機構は一体となって、容器蓋照射用の照射機構4を形成する。

…(中略)…

【0058】

図2は、本発明による装置をさらに別の実施形態で示す。この場合、上記の単一行程ホイール52が再び設けられている。ここでの基本的な違いは、この場合には、1つだけの放射機構42が設けられているが、それに加えて、第1の放射要素42から到達した放射の少なくとも一部分を反射し、それを容器蓋10に再び向ける反射要素または放射方向転換機構46が設けられていることである。このようにして、容器蓋が、この実施形態でも2方向から照射される。

…(中略)…

【0060】

参照番号30は、容器蓋がその中で消毒されるクリーンルームを大略概略的に示す。このクリーンルームは、この場合、ハウジング31によって(非消毒)環境から隔離することができる。この場合、このクリーンルーム30を図に示されているより小さく選択し、クリーンルームがたとえばチャネルの様式で搬送機構2を囲むことも可能であり、その場合、放射発生機構がクリーンルームの外側に配置されることが有利であり、かつ/または放射機構42および44がそれぞれ好ましくはハウジング31の一部分を形成することが望ましい。他方において、このクリーンルームが、容器蓋10の移動方向に、消毒装置1に関して下流にさらに延在し、消毒された容器蓋によって容器を閉じる蓋閉機構がその中に配置されているクリーンルームに直接結合されることが有利である。容器蓋は、たとえば別の機構によってクリーンルーム30に供給することができる。消毒ガス状媒体(たとえば消毒空気)が、特に大気圧より僅かに高い圧力で、クリーンルーム30内に存在することが有利である。」

b 「図2

[図:0001433624000007.jpg]

」

(イ)上記(ア)の記載(特に下線部。)から、引用例3には、次の技術的事項(以下、「引用例3記載事項」という。)が記載されているといえる。

「搬送中の容器蓋に電子線を照射する、容器蓋を消毒するための装置において、容器蓋を消毒している時間、容器蓋がその内部で搬送されるクリーンルームを備え、前記クリーンルームは、ハウジングによって非消毒環境から隔離されていること。」

エ 周知例1の記載事項

(ア)本願優先日前に既に公知である、特表2015-507579号公報(平成27年3月12日公表。以下、これを「周知例1」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。

a 「【0002】

飲料容器を製造する処理プラントおよび方法の分野において、容器(例えばボトルまたはさらにボトルを形成するように成形されるプラスチック材料プレフォーム)の滅菌、同様に実際の充填手順は無菌充填プラントにおいて重要な処理工程である。容器が電子ビームによって殺菌される場合、一方で、処理の安全性、すなわち各々の個々の容器に対する滅菌作用が重要である。しかしながら、他方で、プラントの操作者および個人の安全性もまた、本質的な態様である。

【0003】

最近、このような滅菌を達成するために電荷担体放射によって、特に電子放射によって容器に作用する手段も存在している。容器が高エネルギー電子で照射される場合、x線照射がまた、望ましくない副作用として発生する。これらのx線ビームは、例えば、放出ウインドウのチタン箔において電子がブレーキした場合に発生するが、また、それらが容器に衝突する場合も発生する。この放射線から人およびまた、機械に近接する電子部品を保護するために、適切な壁の厚さを有する材料からなるスクリーンが取り付けられる。150keVの範囲のエネルギーの量を有する電子ビームに関して、x線放射を遮蔽するための(電流の強さに応じて)5~12mmの範囲の厚さを有する鉛の壁が必要とされる。代替として、しかしながら、例えば鋼などの別の材料も使用されてもよいが、鋼の遮蔽効果は著しく低く、壁の厚さはそれに応じて、より厚くなる。」

(イ)上記(ア)の記載(特に下線部。)から、周知例1には、次の技術的事項(以下、「周知技術1」という。)が記載されているといえる。

「容器を電子ビームによって殺菌する際は、プラントの操作者および個人の安全性も考慮されるべきであり、
滅菌を電子放射によって行う場合、x線照射が望ましくない副作用として発生し、この放射線から人およびまた、機械に近接する電子部品を保護するために、適切な壁の厚さを有する材料からなるスクリーンが取り付けられて、x線放射を遮蔽すること。」

オ 周知例2の記載事項

(ア)本願優先日前に既に公知である、特開2013-121852号公報(平成25年6月20日公開。以下、これを「周知例2」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。

a 「【技術分野】

【0001】

本発明は、電荷担体を生成するための電荷担体源と、電荷担体を容器の外壁の方向に加速させる加速装置とを備えており、少なくとも1つの容器を保持するための少なくとも1つの保持要素を有する搬送装置によって電荷担体源に対して所定の搬送経路に沿って移動させることができる容器の特に外壁を加速させた電荷担体によって殺菌するための装置に関する。容器は、任意の容器であってよいが、好ましくは瓶となるような容器であり、特にプラスチック材料の瓶および/または予備成形物である。

…(中略)…

【0005】

残余の化学殺菌剤の監視という課題、およびこれに関連して長くなる搬送経路(無菌に保たれなければならない)ゆえに、これらの方法はきわめて高価になる。これを避けるために、別の殺菌方法を使用する方法が、先行技術から公知である。最近の発展は、使用される化学物質の量の削減に取り組み、細菌の減少を達成するために電離放射線を使用する。これの主要な利点は、化学物質の使用の削減または回避にある。大部分の用途において、使用される放射線は、適切な設備において生成されて容器の殺菌対象の領域へと運ばれる加速電子からなる。

【0012】

このように、市場で入手可能であって殺菌に使用される現在のシステムは、電子発生装置と内面を殺菌するための放射フィンガとを備えるか、あるいは外側から容器を貫いて内面も処理する電子発生装置を備える。外側からの処理は、処理対象の容器の壁を貫通しなければならず、電子が弱まっても依然として殺菌の様相で内面に作用するために充分なエネルギを常に含んでいなければならないため、通常は電子をかなりの程度にまで加速させることが必要である。この際に生じるX線放射を、適切な遮蔽手段によって環境から遮蔽しなければならない。さらに、容器の素材の全体が線量に曝される。放射フィンガを用いる構成は、一般に、加速電圧が大幅に低くて済み、したがって遮蔽手段をあまり必要とせず、容器の素材の線量も少ない。しかしながら、容器の外側も殺菌するために、さらなる処理工程が必要である。この外側の処理を、内側の処理の前または最中に実行でき、あるいは内側の処理の後に実行することもできる。」

(イ)上記(ア)の記載(特に下線部。)から、周知例2には、次の技術的事項(以下、「周知技術2」という。)が記載されているといえる。

「電荷担体を生成するための電荷担体源と、電荷担体を容器の外壁の方向に加速させる加速装置とを備える、容器を加速させた電荷担体によって殺菌するための装置において、電荷担体である電子をかなりの程度にまで加速させる際に生じるX線放射を、適切な遮蔽手段によって環境から遮蔽しなければならないこと。」

カ 周知例3の記載事項

(ア)本願優先日前に既に公知である、特開2013-151152号公報(平成25年8月8日公開。以下、これを「周知例3」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。

a 「【0006】

実際の成形および即座に続くか、または後での充填と同様に、後で飲料で充填されるプラスチック材料容器の滅菌は、少なくとも部分的に無菌で扱うプラスチック材料容器を処理するための装置において中心的な処理工程の1つである。この場合に利用される滅菌の可能性は、特に使用され得る殺菌剤(消毒剤)およびそれぞれのプロセスの機能に対して変わり得る。まず、ほぼ例外なく、化学殺菌剤が使用され、細菌破壊効果が化学的プロセスに基づいて生じる。より最近の開発は、対象のプラスチック材料容器またはプラスチック材料容器以外が生成されるプラスチックプレフォームにおける細菌の少なくとも適切な減少を達成するために電離放射線を使用するものとは異なる。この電離放射線は、適切な放射線源により生成され、滅菌されるプラスチック材料容器または滅菌されるプラスチック材料プレフォーム上および/または内にそれぞれ加速される加速電子の多くの適用からなる。電離放射線による滅菌の大きな利点は、化学殺菌剤の使用の低減または理想的には完全な回避にある。

…(中略)…

【0022】

加えて、加熱装置が、荷電粒子を生成するための生成装置を備えることが有益であり、その生成装置により、プラスチック材料プレフォームは滅菌できる。プラスチック材料プレフォームの滅菌はさらに、このように加熱装置に組み込まれる生成装置により構造の観点で簡略化できる。また、殺菌装置が、電荷担体を加速させるための加速装置を有し、電荷担体が通る出口窓を作製してもよいことは有益である。出口窓は例えばチタン泊であってもよい。加えて、出口窓を冷却するための冷却装置、特に出口窓に気体媒質を作用させる冷却装置を設けることも有益である。

【0023】

電荷担体は電子であることが特に好ましいが、他の電荷担体、例えばプロトンまたはアルファ粒子を使用してもよい。

…(中略)…

【0028】

加熱装置が、荷電粒子を遮蔽する、少なくとも部分的にケーシングを備える場合、滅菌装置、特に、外側殺菌ユニットの荷電生成装置が、加熱経路において確実に組み込まれ得る。さらに、この遮蔽はまた、特に、上述の荷電粒子またはその加速運動によりそれぞれ生成されるx線放射を遮蔽するために使用される。」

(イ)上記(ア)の記載(特に下線部。)から、周知例3には、次の技術的事項(以下、「周知技術3」という。)が記載されているといえる。

「加速される加速電子を用いる電離放射線を使用して容器の滅菌を行う際、電子である電荷担体を加速させるための加速装置を有し、荷電粒子またはその加速運動によりそれぞれ生成されるx線放射を遮蔽するために使用されるケーシングを備えること。」

(3)対比

本件補正発明と引用発明とを対比する。

ア 「容器の蓋(10)を所定の搬送経路(T)に沿って搬送する搬送装置(2)と、容器の蓋(10)の少なくとも一部分の殺菌に好適であり、容器の蓋(10)の少なくとも一部分を殺菌するように意図される殺菌装置(4)とを備える容器の蓋(10)を殺菌するための装置(1)」について

引用発明の「ボトルキャップBC」、「キャップ搬送経路43L」、及び「キャップ搬送装置43」は、それぞれ本件補正発明の「容器の蓋(10)」、「所定の搬送経路(T)」、及び「搬送装置(2)」に相当するから、引用発明の「ボトルキャップBCをキャップ搬送経路43Lに沿って順次搬送するキャップ搬送装置43」は、本件補正発明の「容器の蓋(10)を所定の搬送経路(T)に沿って搬送する搬送装置(2)」に相当する。

引用発明の「凹凸の多いボトルキャップBCの内面」は、本件補正発明の「容器の蓋(10)の少なくとも一部分」に相当するといえ、引用発明の「内面用電子線照射機46」は、「凹凸の多いボトルキャップBCの内面を効果的に滅菌することができる」ものであるから、本件補正発明の「容器の蓋(10)の少なくとも一部分の殺菌に好適であり、容器の蓋(10)の少なくとも一部分を殺菌するように意図される殺菌装置(4)」に相当する。

引用発明の「キャップ滅菌装置41」は、「ボトルキャップBCをキャップ搬送経路43Lに沿って順次搬送するキャップ搬送装置43」と、「円形の滅菌用旋回経路45Rに沿って間欠的に搬送する滅菌用旋回搬送装置45」及び「この滅菌用搬送経路45Rの上方の複数位置に設置された内面用電子線照射機46」と「を具備」するものであるから、上記認定を踏まえると、本件補正発明の「容器の蓋(10)を殺菌するための装置(1)」に相当するものといえる。

したがって、引用発明の、「ボトルキャップBCをキャップ搬送経路43Lに沿って順次搬送するキャップ搬送装置43」と、「円形の滅菌用旋回経路45Rに沿って間欠的に搬送する滅菌用旋回搬送装置45」と、「この滅菌用搬送経路45Rの上方の複数位置に設置された内面用電子線照射機46とを具備」し、「凹凸の多いボトルキャップBCの内面を効果的に滅菌することができる」「キャップ滅菌装置41」は、本件補正発明の「容器の蓋(10)を所定の搬送経路(T)に沿って搬送する搬送装置(2)と、容器の蓋(10)の少なくとも一部分の殺菌に好適であり、容器の蓋(10)の少なくとも一部分を殺菌するように意図される殺菌装置(4)とを備える容器の蓋(10)を殺菌するための装置(1)」に相当するといえる。

イ 「前記殺菌装置(4)は、電荷担体を発生させる電荷担体の供給源(42)と、前記電荷担体を殺菌対象の容器の蓋の表面へと照射する放射装置(44)とを有し、前記殺菌装置の少なくとも1つの要素を、前記容器の蓋(10)の内部領域(10a)へと導入することができ」について

(ア)引用発明の「内面用電子線照射機46」は、「電子線を照射することにより、凹凸の多いボトルキャップBCの内面を効果的に滅菌することができる」ものであるところ、「電子線を照射」するためには、当該「電子線」、すなわち電荷担体を発生して供給するなんらかの供給源を有するものであることが技術常識であるから、引用発明の「内面用電子線照射機46」は、本件補正発明の「電荷担体を発生させる電荷担体の供給源(42)」に相当する構成を有するものといえる。

(イ)引用発明の「ボトルキャップBCの内面」は、上記アの認定を踏まえると、本件補正発明の「殺菌対象の容器の蓋の表面」に相当する。

(ウ)引用発明における「内面用電子線照射機46」の「ノズル部46N」は、「ノズル部46Nの先端部の照射口46P」から「電子線を照射する」ものであるところ、“電荷担体を照射する放射装置”に対応するものといえるから、引用発明の「内面用電子線照射機46」が「ノズル部46Nの下端部に形成された照射口46Pが形成され」「電子線を照射する」との構成は、上記アの認定を踏まえると、本件補正発明の「前記殺菌装置(4)は、電荷担体を発生させる電荷担体の供給源(42)と、前記電荷担体を殺菌対象の容器の蓋の表面へと照射する放射装置(44)とを有」するとの構成に相当する。

(エ)引用発明において、「内面用電子線照射機46」の「ノズル部46N」及び「照射口46P」は、上記アの認定を踏まえると、本件補正発明の「殺菌装置の少なくとも1つの要素」に相当する。

(オ)引用発明の「内面用電子線照射機46」の「ノズル部46Nの先端部の照射口46P」は、「ボトルキャップBC」の「環状バンド部11の開口面14の開口位置Sを挟んでU-Dの範囲で接近または挿入させ」られるところ、「内面用電子線照射機46」の「ノズル部46Nの先端部の照射口46P」が「環状バンド部11の開口面14の開口位置」よりも図5において、下方の「D」の位置まで挿入される態様は、本件補正発明の「殺菌装置の少なくとも1つの要素を、前記容器の蓋(10)の内部領域(10a)へと導入することができ」るとの構成に相当するといえる。

(カ)したがって、上記(ア)~(オ)の検討より、引用発明の「内面用電子線照射機46は、環状バンド部11の開口面14に挿入可能な外径のノズル部46Nが垂下され、このノズル部46Nの下端部に形成された照射口46Pが形成され、ノズル部46Nの下方にボトルキャップBCが停止されると、ノズル部46Nを下降させることにより、照射口46Pを環状バンド部11の開口面14の開口位置Sを挟んでU-Dの範囲で接近または挿入させ、ノズル部46Nの先端部の照射口46Pに、環状バンド部11の開口面14を接近または挿入して電子線を照射することにより、凹凸の多いボトルキャップBCの内面を効果的に滅菌することができる」との構成は、本件補正発明の「前記殺菌装置(4)は、電荷担体を発生させる電荷担体の供給源(42)と、前記電荷担体を殺菌対象の容器の蓋の表面へと照射する放射装置(44)とを有し、前記殺菌装置の少なくとも1つの要素を、前記容器の蓋(10)の内部領域(10a)へと導入することができ」る構成に相当する。

ウ 「前記装置(1)は、電荷担体の放射によって容器の蓋の外面を殺菌する更なる殺菌装置と、殺菌の最中に生成されるX線放射線を遮蔽する遮蔽ユニットと、を有し」について

引用発明の「外面用電子線照射機44」は、「ボトルキャップBCの外面」に、「電子線を照射して滅菌する」ものであるところ、本件補正発明の「電荷担体の放射によって容器の蓋の外面を殺菌する更なる殺菌装置」に相当するものといえる。

したがって、上記アの認定を踏まえると、引用発明の「キャップ滅菌装置41」が「ボトルキャップBCの外面に、照射口44Pを介して下方から電子線を照射して滅菌する外面用電子線照射機44」「を具備」するとの構成と、本件補正発明の「前記装置(1)は、電荷担体の放射によって容器の蓋の外面を殺菌する更なる殺菌装置と、殺菌の最中に生成されるX線放射線を遮蔽する遮蔽ユニットと、を有」するとの構成とは、下記の点(相違点1)を除いて、“前記装置は、電荷担体の放射によって容器の蓋の外面を殺菌する更なる殺菌装置を有する”点で共通する。

エ 「前記容器の蓋の前記搬送経路は、殺菌が行われる領域を非殺菌環境から分離するクリーンルームによって、非殺菌環境から分離されている」について

引用発明は、本件補正発明の「前記容器の蓋の前記搬送経路は、殺菌が行われる領域を非殺菌環境から分離するクリーンルームによって、非殺菌環境から分離されている」との構成が特定されていない。(相違点2)

オ 以上、ア~エの検討から、引用発明と本件補正発明とは、次の一致点及び相違点を有する。

〈一致点〉

容器の蓋を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送装置と、容器の蓋の少なくとも一部分の殺菌に好適であり、容器の蓋の少なくとも一部分を殺菌するように意図される殺菌装置とを備える容器の蓋を殺菌するための装置であって、

前記殺菌装置は、電荷担体を発生させる電荷担体の供給源と、前記電荷担体を殺菌対象の容器の蓋の表面へと照射する放射装置とを有し、前記殺菌装置の少なくとも1つの要素を、前記容器の蓋の内部領域へと導入することができ、

前記装置は、電荷担体の放射によって容器の蓋の外面を殺菌する更なる殺菌装置を有することを特徴とする装置。

〈相違点1〉

本件補正発明の「装置」が、「殺菌の最中に生成されるX線放射線を遮蔽する遮蔽ユニット」を有するのに対し、引用発明の「キャップ滅菌装置41」はそのような構成が特定されていない点。

〈相違点2〉

本件補正発明の「装置」が、「前記容器の蓋の前記搬送経路は、殺菌が行われる領域を非殺菌環境から分離するクリーンルームによって、非殺菌環境から分離されている」のに対し、引用発明の「キャップ滅菌装置41」は、そのような構成が特定されていない点。

(4)当審の判断

上記相違点につき検討する。

ア 相違点1について

上記(2)イ(イ)に示した引用例2記載事項によれば、本願優先日前、「キャップ殺菌装置において、電子線照射装置が、電子線発生装置から放射した電子線を、キャップに照射するにあたり、殺菌部を、電子線遮蔽部によって覆い、電子線照射装置からキャップに照射された電子線が外部に漏れないようにすること。」は公知技術であった。

また、上記(2)エ(イ)の周知技術1、同オ(イ)の周知技術2及び同カ(イ)の周知技術3などに散見されるとおり、荷電担体を加速して容器の殺菌を行う際に、副作用として「X線放射線」が生じると共に、当該「X線放射線を遮蔽する」機構を用いることが望ましいことは、本願優先日前の周知技術であったことが窺える。

そして、引用発明と引用例2記載技術は、ともに電子線を用いた容器の蓋(キャップ)の殺菌ないし滅菌という共通する技術分野に属するものであり、殺菌のために電子線を照射する際、不所望のX線放射が生じる場合に当該X線放射線を遮蔽する機構を用いることが望ましいことが本願優先日前の周知技術であったことに鑑みれば、引用発明において、「殺菌の最中に生成されるX線放射線を遮蔽する遮蔽ユニット」を設ける程度のことは、当業者であれば容易になし得たことであって、相違点1は格別なものとはいえない。

イ 相違点2について

上記(2)ウ(イ)の引用例3記載事項にあるとおり、「搬送中の容器蓋に電子線を照射する、容器蓋を消毒するための装置において、容器蓋を消毒している時間、容器蓋がその内部で搬送されるクリーンルームを備え、前記クリーンルームは、ハウジングによって非消毒環境から隔離されていること」は本願優先日前の公知技術であった。

引用発明は、「ボトルキャップの滅菌」に際して「電子線を照射して滅菌する」ものであって、引用例3記載事項の「搬送中の容器蓋に電子線を照射する、容器蓋を消毒するための装置」と、電子線ないし放射線を作用させて消毒する装置であることで共通し、消毒の前後で非殺菌環境と消毒する環境との間で分離すべきことを共通の課題として有するものといえることから、引用発明において、引用例3記載技術の公知技術にあるような、容器の蓋の搬送経路にクリーンルームを設置して殺菌が行われる領域を非殺菌環境から分離することを想起することは、当業者が適宜なし得ることといえるから、相違点2も格別なものとはいえない。

ウ 当審の判断についての結論

以上検討したとおり、相違点1及び2はいずれも格別なものではなく、またそのことによる効果も、当業者であれば普通に想起し得る程度のことに過ぎない。

したがって、本件補正発明は、引用発明並びに引用例2及び3に記載された技術的事項、さらに周知例1~3に示される周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび

以上のとおり、本件補正は特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和6年7月5日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和5年12月13日に提出された誤訳訂正書による手続補正により補正された特許請求の範囲に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1~10に係る発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1~3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2015-117040号公報

引用文献2.特表2018-536455号公報

引用文献3.特開2002-128030号公報

3 引用文献

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び3の記載事項は、上記第2の[理由]2(2)においてそれぞれ、引用例1及び引用例2として記載したとおりである。

4 対比・判断

(1)対比

本願発明と引用発明とを対比する。

上記第2の[理由]2(3)を参照すると、本願発明と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。

〈一致点〉

容器の蓋を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送装置と、容器の蓋の少なくとも一部分の殺菌に好適であり、容器の蓋の少なくとも一部分を殺菌するように意図される殺菌装置とを備える容器の蓋を殺菌するための装置であって、

前記殺菌装置は、電荷担体を発生させる電荷担体の供給源と、前記電荷担体を殺菌対象の容器の蓋の表面へと照射する放射装置とを有し、前記殺菌装置の少なくとも1つの要素を、前記容器の蓋の内部領域へと導入することができ、

前記装置は、電荷担体の放射によって容器の蓋の外面を殺菌する更なる殺菌装置を有することを特徴とする装置。

〈相違点1’〉

本願発明の「装置」が、「殺菌の最中に生成される放射線を遮蔽する遮蔽ユニット」を有するのに対し、引用発明の「キャップ滅菌装置41」はそのような構成が特定されていない点。

(2)当審の判断

上記相違点1’について検討するに、上記第2の[理由]2(4)アにおいても示したとおり、本願優先日前、「キャップ殺菌装置において、電子線照射装置が、電子線発生装置から放射した電子線を、キャップに照射するにあたり、殺菌部を、電子線遮蔽部によって覆い、電子線照射装置からキャップに照射された電子線が外部に漏れないようにすること。」は公知技術であった。(引用例2記載技術)

また、上記第2の[理由]2(2)エ(イ)の周知技術1、同オ(イ)の周知技術2及び同カ(イ)の周知技術3などに散見されるとおり、荷電担体を加速して容器の殺菌を行う際に、放射線が生じると共に、当該放射線を遮蔽する機構を用いることが望ましいことは、本願優先日前の周知技術であったことが窺える。

そして、引用発明と引用例2記載技術は、ともに電子線を用いた容器の蓋(キャップ)の殺菌ないし滅菌という共通する技術分野に属するものであり、殺菌のために電子線を照射する際、不所望の放射線が生じ、当該放射線を遮蔽する機構を用いることが望ましいことが本願優先日前の周知技術であったことに鑑みれば、引用発明において、「殺菌の最中に生成される放射線を遮蔽する遮蔽ユニット」を設ける程度のことは、当業者であれば容易になし得たことであって、相違点1’は格別なものとはいえない。

したがって、本願発明は、引用発明及び引用例2に記載された技術的事項並びに本願優先日前の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、本願優先日前に頒布された引用例1及び2(引用文献1及び3)に記載された発明並びに本願優先日前の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2024-011141

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