特許拒絶査定不服審判
2024-010958
メータカプラ構造
- 審判番号
- 2024-010958
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-069962
- 請求日
- 2024年07月02日
- 審決日
- 2025年09月12日
- 公報発行日
- 2025年12月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】大阪瓦斯株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人R&C
- 審判長/審判官
- 審判長 小島 寛史
- 審判官 道祖土 新吾
- 審判官 井海田 隆
- 分類
- P18 .121-Z (G01F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 69962「メータカプラ構造」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年10月14日出願公開、特開2021-165719〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和2年4月8日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和5年10月27日付け:拒絶理由通知書
同年12月27日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 3月28日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 4月 2日 :原査定の謄本の送達)
同年 7月 2日 :審判請求書、手続補正書の提出
2 本願発明について
(1) 本願発明の認定
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年7月2日に提出された手続補正書により補正された請求項1に記載された次に示す事項により特定されるとおりのものである。
「ガス管を通流するガス流量を計測するガスメータへガスが流入出するメータ通流端部のうちガスが流入するメータ流入部と、一次側ガス管のガス管端部であるガス管流出部との連結、又は前記メータ通流端部のうちガスが流出するメータ流出部と、二次側ガス管の前記ガス管端部であるガス管流入部との連結の少なくとも何れか一方を担うメータカプラ構造であって、
前記メータ通流端部に接続可能であると共に当該メータ通流端部の内部に形成されるガス通流路に連通するアダプタ通流路を有する筒形状であり、且つ筒外周方向に沿って形成される第1環状凹欠部を有するアダプタ部材と、
前記アダプタ部材に前記ガス管端部を対向させた状態において、前記アダプタ部材が前記ガス管端部に接近する方向へ移動したときに、前記アダプタ部材の筒径方向で移動して前記第1環状凹欠部に掛止するロック部材により前記アダプタ部材と前記ガス管端部とをロック状態とするロック機構とを有し、
前記メータ通流端部は、その外周面に雄螺子部が設けられると共に、
前記アダプタ部材の前記アダプタ通流路の内周面のうち、前記メータ通流端部の側には、前記雄螺子部に螺合する雌螺子部が設けられ、
前記メータ通流端部の前記雄螺子部と前記アダプタ部材の前記雌螺子部とが、前記メータ通流端部と前記アダプタ部材とを接続する接続機構として働き、
前記メータ通流端部の前記雄螺子部は、前記ガス管端部と前記メータ通流端部とを互いに相対回転させることなく接続可能なユニオン式管継手としてのユニオンナットが螺合可能なユニオン螺子部であり、
前記ロック機構は、
前記ガス管端部のガス通流路に接続する筒状のロック部材本体と、
前記アダプタ部材を前記ガス管端部に対向させた状態において、第1付勢部材により前記ガス管端部から前記アダプタ部材へ向けて付勢され、前記ロック部材としてのロック用ボールの前記筒径方向での内側への移動を規制する規制姿勢と、前記アダプタ部材が前記ガス管端部に接近する方向へ移動したときに当該移動に伴って前記第1付勢部材による付勢方向と逆方向へ移動して前記ロック用ボールの前記筒径方向での内側への移動を許容して前記ロック状態を実現する許容姿勢との間で姿勢変更自在な作動部材と、
前記アダプタ部材を前記ガス管端部に対向させた状態において、第2付勢部材により前記ガス管端部から前記アダプタ部材へ向けて付勢され、前記作動部材が前記規制姿勢にあるときに前記ガス管端部の基端側であるガス管基端側へ引退している引退姿勢と、前記作動部材が前記許容姿勢にあるときに前記ガス管基端側と逆側であるガス管先端側へ突出して前記ロック用ボールを前記筒径方向で内側へ移動させて外側への移動を規制する突出姿勢との間で姿勢変更自在なスリーブ部材とを有するメータカプラ構造。」
(2) 本願発明の分説
検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Gまでに分説する。また、参考図として、本願の【図3】の(b)(c)を元に部材名などを記入したものを掲載する。
<本願発明の分説>
X ガス管を通流するガス流量を計測するガスメータへガスが流入出するメータ通流端部のうちガスが流入するメータ流入部と、一次側ガス管のガス管端部であるガス管流出部との連結、又は前記メータ通流端部のうちガスが流出するメータ流出部と、二次側ガス管の前記ガス管端部であるガス管流入部との連結の少なくとも何れか一方を担うメータカプラ構造であって、
A 前記メータ通流端部に接続可能であると共に当該メータ通流端部の内部に形成されるガス通流路に連通するアダプタ通流路を有する筒形状であり、且つ筒外周方向に沿って形成される第1環状凹欠部を有するアダプタ部材と、
B 前記アダプタ部材に前記ガス管端部を対向させた状態において、前記アダプタ部材が前記ガス管端部に接近する方向へ移動したときに、前記アダプタ部材の筒径方向で移動して前記第1環状凹欠部に掛止するロック部材により前記アダプタ部材と前記ガス管端部とをロック状態とするロック機構とを有し、
C 前記メータ通流端部は、その外周面に雄螺子部が設けられると共に、
D 前記アダプタ部材の前記アダプタ通流路の内周面のうち、前記メータ通流端部の側には、前記雄螺子部に螺合する雌螺子部が設けられ、
E 前記メータ通流端部の前記雄螺子部と前記アダプタ部材の前記雌螺子部とが、前記メータ通流端部と前記アダプタ部材とを接続する接続機構として働き、
F 前記メータ通流端部の前記雄螺子部は、前記ガス管端部と前記メータ通流端部とを互いに相対回転させることなく接続可能なユニオン式管継手としてのユニオンナットが螺合可能なユニオン螺子部であり、
G 前記ロック機構は、
前記ガス管端部のガス通流路に接続する筒状のロック部材本体と、
前記アダプタ部材を前記ガス管端部に対向させた状態において、第1付勢部材により前記ガス管端部から前記アダプタ部材へ向けて付勢され、前記ロック部材としてのロック用ボールの前記筒径方向での内側への移動を規制する規制姿勢と、前記アダプタ部材が前記ガス管端部に接近する方向へ移動したときに当該移動に伴って前記第1付勢部材による付勢方向と逆方向へ移動して前記ロック用ボールの前記筒径方向での内側への移動を許容して前記ロック状態を実現する許容姿勢との間で姿勢変更自在な作動部材と、
前記アダプタ部材を前記ガス管端部に対向させた状態において、第2付勢部材により前記ガス管端部から前記アダプタ部材へ向けて付勢され、前記作動部材が前記規制姿勢にあるときに前記ガス管端部の基端側であるガス管基端側へ引退している引退姿勢と、前記作動部材が前記許容姿勢にあるときに前記ガス管基端側と逆側であるガス管先端側へ突出して前記ロック用ボールを前記筒径方向で内側へ移動させて外側への移動を規制する突出姿勢との間で姿勢変更自在なスリーブ部材とを有する
X メータカプラ構造。
<参考図>
[図:0001429645000001.jpg]
(3) 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス管を通流するガス流量を計測するガスメータへガスが流入出するメータ通流端部のうちガスが流入するメータ流入部と、一次側ガス管のガス管端部であるガス管流出部との連結、又は前記メータ通流端部のうちガスが流出するメータ流出部と、二次側ガス管の前記ガス管端部であるガス管流入部との連結の少なくとも何れか一方を担うメータカプラ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス管系統のガス管端部と、ガスメータのメータ流入部及びメータ流出部であるメータ通流端部とを、両者の相対回転を伴わない状態で連結する管継手として、ユニオン式管継手が知られている(特許文献1を参照)。
ユニオン式管継手は、ガス管端部の管外周部位から管径方向で外側へ延設されるユニオン鍔部にて抜け止めされるユニオンナットと、メータ通流端部に設けられユニオンナットが螺合接続可能なユニオンネジとから構成されている。
ガスメータの検定満期時等には、ユニオンナットとユニオンネジとの螺合を解除する形でガス管系統からガスメータを取り外し、新たなガスメータのメータ通流端部に設けられるユニオンネジとユニオンナットとを螺合する形で、メータ交換を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-9951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に開示の技術のユニオン式管継手では、ユニオンナットをユニオンネジに螺合させることで、ガス管端部とメータ通流端部とを連結しているため、両者を確実に連結するためには、締結後に増し締めを行う必要があるが、当該増し締め作業が実行されない虞があった。
【0005】
更に、国内での労働人口が減少している昨今の状況においては、十分な技術を習得するに至るまでの未習熟施工者がメータ交換施工者として従事することになる場合も考えられ、このような場合には、増し締め作業が行われない虞が大きくなる可能性もあり、新たな技術の開発が望まれていた。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、施工者の施工技量が低い場合であっても、メータ交換・設置時の増し締め不足が発生する虞がなく、安全性を向上できるメータカプラ構造を提供する点にある。」
「【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のメータカプラ構造は、施工コストを十分に抑えることができると共に、施工者の施工技量が低い場合であっても、メータ交換・設置時の増し締め不足が発生する虞がなく、安全性を向上できるメータカプラ構造として、有効に利用可能である。」
3 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。なお、本願発明は、原査定時の(令和5年12月27日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の)請求項2に係る発明に対応するものである。
(進歩性)この出願の請求項2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
1.特開2006-053071号公報 (主たる引用文献)
2.米国特許出願公開第2019/0301648号明細書
(周知技術を示す文献)
3.特開2008-045605号公報 (周知技術を示す文献)
4.特開2001-050458号公報 (周知技術を示す文献)
5.特開2005-069446号公報 (周知技術を示す文献)
6.実願平05-069802号(実開平07-041500号)の
CD-ROM (周知技術を示す文献)
7.特開平09-014554号公報 (周知技術を示す文献)
4 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
(1) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用され、本願の出願前に発行された文献である特開2006-053071号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記(2)の引用発明の認定に用いる記載に下線を付している。)。
ア 段落【0001】
「【0001】
本発明は、入側口金を入側配管に着脱自在に接続してあるとともに、出側口金を出側配管に接続してある既設ガスメータを、新規ガスメータに交換するガスメータ交換方法に関する。」
イ 段落【0017】~【0022】、【図5】~【図7】
「【0017】
〔第2実施形態〕
図5は、ソケット6とプラグ7とからなる一対のカプラーを備えていて、プラグ7をソケット6に押し込んで互いに嵌合接続することによって開作動する常閉式の弁体などの開閉手段(図外)を、ソケット6とプラグ7の各々に設けてある、所謂、ワンタッチ式の管ジョイント19の二個を使用して、既設ガスメータAを新規ガスメータBに交換する本発明によるガスメータ交換方法の別実施形態を示す。
【0018】
前記管ジョイント19は、ソケット6とプラグ7とを嵌合接続することによって、抜け止め状態で互いに固定できるように構成してあり、図6に示すように、ソケット6は、入側メータ口金1aや出側メータ口金1bに突き合わせるソケット口金20を備えていて、入側メータ口金1aや出側メータ口金1bの雄ねじ部15に螺合する雌ねじ部21を形成したソケットユニオン22を、予め、抜け止め状態で回転操作自在に装着してあり、プラグ7は、入側配管口金3aや出側配管口金3bに突き合わせるプラグ口金23と、入側ユニオン4aや出側ユニオン4bに螺合する雄ねじ部24を備えている。
【0019】
前記新規ガスメータBは、図7に示すように、入側メータ口金1aと出側メータ口金1bの各々にソケット6をソケットユニオン22で固定して、予め、工場などにおいてガスメータ内部に都市ガスを充填してある。
【0020】
そして、第1実施形態と同様に、入側ガス配管2a内でのガスの通流をメータガス栓11で遮断した状態で、入側ユニオン4aと出側ユニオン4bを緩めて、既設ガスメータAを入側配管口金1a(当合議体注:「入側配管口金3a」の誤記である。以下同様である。)と出側配管口金1b(当合議体注:「出側配管口金3b」の誤記である。以下同様である。)から外し、図5(イ)に示すように、その入側配管口金1aと出側配管口金1bの各々に、プラグ7を入側ユニオン4aと出側ユニオン4bで固定する。
【0021】
尚、既設ガスメータAの入側メータ口金1aと出側メータ口金1bを入側配管口金3aと出側配管口金3bから外した後、その入側配管口金3aと出側配管口金3bにプラグ7を固定するまでの間は、ゴム栓などの閉塞手段でその入側配管口金3aと出側配管口金3bとを塞いでおいても良い。
【0022】
次に、図5(ロ)に示すように、入側配管口金3aと出側配管口金3bの各々に固定したプラグ7に、新規ガスメータBの入側メータ口金1aと出側メータ口金1bに固定してあるソケット6を押し込んで互いに嵌合接続することにより、ソケット6とプラグ7の各々に設けてある弁体を開作動させて、入側メータ口金1aと出側メータ口金1bを入側配管口金3aと出側配管口金3bに連通させ、既設ガスメータAを新規ガスメータBに交換する。
その他の構成は第1実施形態と同様である。」
「【図5】
[図:0001429645000002.jpg]
」
「【図6】
[図:0001429645000003.jpg]
」
「【図7】
[図:0001429645000004.jpg]
」
(2) 引用発明の認定
前記(1)に摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、第2実施形態(【図5】~【図7】)に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明>
「ソケット6とプラグ7とからなる一対のカプラーを備えている、所謂、ワンタッチ式の管ジョイント19の二個を使用して、既設ガスメータAを新規ガスメータBに交換するための構造であって、(【0017】)
入側配管口金3aと出側配管口金3bの各々に固定したプラグ7に、新規ガスメータBの入側メータ口金1aと出側メータ口金1bに固定してあるソケット6を押し込んで互いに嵌合接続することにより、入側メータ口金1aと出側メータ口金1bを入側配管口金3aと出側配管口金3bに連通させるものであって、(【0022】)
ソケット6は、入側メータ口金1aや出側メータ口金1bの雄ねじ部15に螺合する雌ねじ部21を形成したソケットユニオン22を、予め、抜け止め状態で回転操作自在に装着してあり、プラグ7は、入側ユニオン4aや出側ユニオン4bに螺合する雄ねじ部24を備え、(【0018】)
入側配管口金3aと出側配管口金3bの各々に、プラグ7が入側ユニオン4aと出側ユニオン4bで固定される、(【0020】)
構造。」
5 引用文献3、4の記載事項及び周知技術の認定
(1) 引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由において周知技術を示す文献として引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2008-045605号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。
なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビルトインタイプのガス器具が、ガス栓を介して建屋側のガス配管に接続されているガス器具の接続部構造であって、
前記ガス栓とワンタッチ式カプラの一方が前記ガス配管側に接続され、ワンタッチ式カプラの他方が前記ガス器具側に接続され、そのガス器具側に接続された器具側カプラとガス配管側に接続された建屋側カプラとが接続されて、前記ガス器具が建屋側のガス配管に接続されているガス器具の接続部構造。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルトインタイプのガス器具が、ガス栓を介して建屋側のガス配管に接続されているガス器具の接続部構造に関する。」
「【0017】
ガス栓2は、開閉用操作部4とそれに連動する弁体5を備え、さらに、ガス配管Pが接続される入口開口6と出口通路7を備え、開閉用操作部4の回動操作に伴って弁体5が回動し、ガス配管Pからのガスが出口通路7へ通流する開弁状態とガスの通流を停止する閉弁状態とに切り換え可能に構成されている。
そのガス栓2と一体化された建屋側カプラ3aは、いわゆる雌型のカプラで、器具側カプラ3bが挿入される接続用開口8を備え、安全弁用スプリング9によって閉弁方向に付勢された安全弁10が内装されている。その安全弁10の外周部には、パッキンホルダ用スプリング11により接続用開口8側に付勢されたパッキンホルダ12が外嵌され、さらに、その外周部には、スリーブスプリング13により接続用開口8側に付勢された解除操作部としてのスリーブ14が外嵌されている。
【0018】
解除操作部としてのスリーブ14は、建屋側カプラ3aと器具側カプラ3bが接続された状態において、両カプラ3a,3bの接続を解除するためのもので、建屋側カプラ3aの軸心方向に沿って移動自在に構成され、図2の(a)に示すように、両カプラ3a,3bが分離された状態でボール15に係合している。
他方、器具側カプラ3bは、いわゆる雄型のカプラで、ガスコンロ1に接続される出口開口16を備え、さらに、安全弁10に当接して安全弁10を開弁操作する安全弁用段部17、パッキンホルダ12に当接してパッキンホルダ12を押し込み操作するパッキンホルダ用段部18、ボール15が嵌入するボール用溝19などを備えている。
【0019】
建屋側カプラ3aと器具側カプラ3bとの接続は、いわゆるワンタッチ式で、建屋側カプラ3aの接続用開口8に器具側カプラ3bを挿入するだけで自動的に接続される。
すなわち、建屋側カプラ3aの接続用開口8に器具側カプラ3bを挿入すると、図2の(b)に示すように、器具側カプラ3bの安全弁用段部17が、安全弁用スプリング9の付勢力に抗して安全弁10を押し込み操作して開弁し、同時に、パッキンホルダ用段部18が、パッキンホルダ用スプリング11の付勢力に抗してパッキンホルダ12を押し込み操作する。
パッキンホルダ12の押し込みに伴って、ボール15に対するスリーブ14の係合が外れて、スリーブ14がスリーブスプリング13の付勢力によりストップリング20に当接するとともに、ボール15が器具側カプラ3bのボール用溝19に嵌入して、両カプラ3a,3bが接続され、かつ、その接続状態が維持される。」
「【図2】
[図:0001429645000005.jpg]
」
(2) 引用文献4に記載された事項
原査定の拒絶の理由において周知技術を示す文献として引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2001-050458号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。
「【0010】図1に示すように、前記ホース本体4は、外面層4aに耐候性、耐食用油性熱可塑性エラストマーを用いた強化ガスホースであって、鋼線補強層4bを備えるとともに、内面層4cに耐ガス性ゴムを用いた3層構造に形成してある。
【0011】そして、前記ガス栓用の接続部5は、通常建物構造体壁面に設けられるガス栓3に対して確実に接続可能な自在ねじ接続部を有し、ホースと接続部には、現地にて適切な長さに切断した後、接続作業可能なリューザブルホースの金具を採用する。
【0012】また、前記調理器具用の接続部6は、ソケット部7に施錠部材8、施錠部材支承環9、操作部10、弁部材11を設けて構成してあり、各部材は以下のように構成される。
【0013】図1に示すように、円筒状のソケット部7を設け、そのプラグ挿入口7a近傍に孔部12を設けて、球体からなる施錠部材8を求遠心方向に突出、没入自在に装着してある。前記孔部12は、前記施錠部材8を前記ソケット部7の径方向内側には突出しつつも抜け落ちない程度に保持可能で、前記ソケット部7の径方向外側には、取出し可能な構成のテーパー形状であり、前記施錠部材8は、前記ソケット部7の肉厚よりも大径で、ソケット部7よりも突出した部分に他の部材(操作部10、溝部14a)を係止可能な大きさに設定してある。
【0014】前記ソケット部7の外周面には、前記施錠部材8の径方向外方側への動きを規制、解除姿勢切り替え可能にする操作部10を外嵌して設けてある。この操作部は、前記ソケット部7との間に介装してあるコイルスプリング7bによって、前記ソケット部7の軸心方向に摺動して前記プラグ挿入口7a側に付勢した状態で、抜け止め部材7cによって、前記操作部10が前記施錠部材8を規制状態にした姿勢で嵌着保持される。前記操作部10と、前記施錠部材8との接当部はテーパー状に形成してあり、前記操作部10を規制解除姿勢から規制姿勢に変位させるのにともなって、前記前記施錠部材8を前記ソケット部7の径方向内側に突出移動可能に構成してある。
【0015】このような構成により、前記施錠部材8は、前記操作部10の摺動操作に伴って前記施錠部材8がプラグ14に形成されている溝部14aに対して係脱自在に形成される。また、前記ソケット部7には前記プラグ挿入口7aにプラグ14を挿入する際に、前記プラグ14によりソケット部7内部に押し込まれる施錠部材支承環9を設け、前記ソケット部7との間にコイルスプリング7eを介して、前記プラグ挿入口7a側に付勢した状態で内装してある。尚、前記プラグ14には、前記ソケット部7に対するプラグ挿入口7a側には、前記ソケット部7に接続した状態で前記施錠部材8の係合可能な溝部14aが環状に設けてある。
【0016】さらに、前記施錠部材支承環9の内方には、弁部材11を設けてあり、前記弁部材11は、前記プラグ挿入口7a側最外径が前記施錠部材8の前記ソケット部7内方側への最大没入到達位置にかからない小径に形成してある。また、前記弁部材11は、側壁部に複数の開口部11aを設けて構成してあり、前記ソケット部7との間に円錐コイルバネ11bを介して前記ソケット部7内を軸心方向に摺動可能に支持され、前記プラグ挿入口7a側へ付勢され、かつ、前記弁部材11の外周面に設けたフランジ部11cが、前記ソケット部7に設けた弁座7dに接当して抜け止め規制されつつ、前記ソケット部7内の流路を閉塞する弁体Vとして働く構成としてある。これにより、前記弁部材11が、前記円錐コイルバネ11bの付勢力で前記弁座7dに接当した通常の姿勢においては、前記ソケット部7内部の流路は遮断され、前記弁部材11が前記円錐コイルバネ11bの付勢力に抗して引退した場合には、前記開口部11aを通じて前記ソケット部7内部に流路を形成できるように前記ソケット内面形状を形成してある。」
「【図1】
[図:0001429645000006.jpg]
」
(3) 引用文献3、4の図面から見て取れる事項
引用文献3の【図2】からは、引用文献3の「器具側カプラ3b」が、また、引用文献4の【図1】からは、引用文献4の「プラグ14」が、それぞれ内周面に雌螺子部を有し、接続対象に設けられた雄螺子部に螺合して接続されていることが見て取れる。
(4) 周知技術の認定
前記(1)(2)に摘記した引用文献3、4の記載事項、及び前記(3)の図面から見て取れる事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術」という。)
なお、各構成に対応する引用文献3、4の文言を括弧内に順に記載した。
<周知技術>
「ガス配管を接続するためのカプラ構造であって、
筒外周に環状溝(ボール用溝19、溝部14a)を備える雄型カプラ(器具側カプラ3b、プラグ14)と、
雌型カプラ(建屋側カプラ3a、ソケット部7と施錠部材8と施錠部材支承環9と操作部10を有する構成)を備え、
前記雄型カプラは内周面に雌螺子部を有し、接続対象に設けられた雄螺子部に螺合して接続され、(前記(3)の図面から見て取れる事項)
前記雌型カプラは、前記雄型カプラが挿入されると、前記環状溝に接続球(ボール15、球体からなる施錠部材8)が嵌入されて両カプラが接続され、その接続状態が維持される機構を有しており、
前記機構は、筒状の雌型カプラ本体(図2でパッキンホルダ12とスリーブ14に挟まれた部材、円筒状のソケット部7)と、
前記雄型カプラが未挿入の状態で、第1スプリング(パッキンホルダ用スプリング11、コイルスプリング7e)により開口側に付勢される移動部材(パッキンホルダ12、施錠部材支承環9)であって、前記雄型カプラの挿入により押し込み操作され、前記環状溝に前記接続球が嵌入されて両カプラが接続され、その接続状態が維持される前記移動部材と、
前記雄型カプラが未挿入の状態で、第2スプリング(スリーブスプリング13、コイルスプリング7b)により開口側に付勢され、前記移動部材の押し込みに伴い、前記接続球に対する係合が外れて前記第2スプリングの付勢力により移動当接し、前記環状溝に前記接続球が嵌入されて両カプラが接続される操作部(スリーブ14、ソケット部7)
を備えるカプラ構造。」
6 本願発明と引用発明の対比
(1) 対比分析
本願発明と引用発明を対比する。
ア 構成Xの観点(ガス管とガスメータを連結するメータカプラ構造)
(ア) 引用発明の「ガスメータB」が「入側配管」及び「出側配管」を流れるガスの流量を計測することは明らかであるから、引用発明の「ガスメータB」は、本願発明の「ガス管を通流するガス流量を計測するガスメータ」に相当する。
(イ)a 引用発明の「ガスメータBの入側メータ口金1aと出側メータ口金1b」は、本願発明の「ガスメータへガスが流入出するメータ通流端部のうちガスが流入するメータ流入部」及び「前記メータ通流端部のうちガスが流出するメータ流出部」に相当する。
b 引用発明の「入側配管口金3aと出側配管口金3b」は、本願発明の「一次側ガス管のガス管端部であるガス管流出部」及び「二次側ガス管の前記ガス管端部であるガス管流入部」に相当する。
c 前記a及びbを踏まえると、引用発明において「入側配管口金3aと出側配管口金3bの各々に固定したプラグ7に、新規ガスメータBの入側メータ口金1aと出側メータ口金1bに固定してあるソケット6を押し込んで互いに嵌合接続することにより、入側メータ口金1aと出側メータ口金1bを入側配管口金3aと出側配管口金3bに連通させる」ことは、本願発明において「ガスが流入出するメータ通流端部のうちガスが流入するメータ流入部と、一次側ガス管のガス管端部であるガス管流出部との連結」及び「前記メータ通流端部のうちガスが流出するメータ流出部と、二次側ガス管の前記ガス管端部であるガス管流入部との連結」が行われることに相当する。
(ウ) 引用発明の「ソケット6とプラグ7とからなる一対のカプラーを備えている、所謂、ワンタッチ式の管ジョイント19の二個を使用して、既設ガスメータAを新規ガスメータBに交換するための構造」は、本願発明の「メータカプラ構造」に相当する。
(エ) したがって、本願発明と引用発明は、次の点において一致する。
「ガス管を通流するガス流量を計測するガスメータへガスが流入出するメータ通流端部のうちガスが流入するメータ流入部と、一次側ガス管のガス管端部であるガス管流出部との連結、又は前記メータ通流端部のうちガスが流出するメータ流出部と、二次側ガス管の前記ガス管端部であるガス管流入部との連結の少なくとも何れか一方を担うメータカプラ構造」の発明である点。
イ 構成Aの観点(アダプタ部材)
(ア) 引用発明においては「プラグ7」に、「ソケット6を押し込んで互いに嵌合接続することにより、入側メータ口金1aと出側メータ口金1bを入側配管口金3aと出側配管口金3bに連通させる」ことから、「プラグ7」がガス通流路を形成する中空筒形状であることは自明であり、これは本願発明において「ガス通流路に連通するアダプタ通流路を有する筒形状であ[る]」ことに相当する。
(イ) 引用発明の「プラグ7」は、本願発明の「アダプタ部材」に相当する。
(ウ) したがって、本願発明と引用発明は、次の点において共通する。
「ガス通流路に連通するアダプタ通流路を有する筒形状であるアダプタ部材」を備える点。
(エ) また、本願発明と引用発明は、次の点において相違する。
本願発明においては「アダプタ部材」は「前記メータ通流端部に接続可能である」と共に「当該メータ通流端部の内部に形成される」ガス通流路に連通するものであり、且つ「筒外周方向に沿って形成される第1環状凹欠部」を有するのに対し、引用発明の「プラグ7」は「入側配管口金3a」及び「出側配管口金3b」(本願発明の「一次側ガス管のガス管端部であるガス管流出部」及び「二次側ガス管の前記ガス管端部であるガス管流入部」に相当する。)に固定されて連通するものであり、また「筒外周方向に沿って形成される第1環状凹欠部」が設けられているかどうかは不明である点。
ウ 構成Bの観点(ロック機構1)
引用発明は、本願発明の構成Bに相当する構成を備えていないから、本願発明と引用発明は、次の点において相違する。
本願発明においては、「前記アダプタ部材に前記ガス管端部を対向させた状態において、前記アダプタ部材が前記ガス管端部に接近する方向へ移動したときに、前記アダプタ部材の筒径方向で移動して前記第1環状凹欠部に掛止するロック部材により前記アダプタ部材と前記ガス管端部とをロック状態とするロック機構とを有[する]」のに対し、引用発明は、そのような構成を有しない点。
エ 構成Cの観点(雄螺子部)
(ア) 引用発明の「ガスメータBの入側メータ口金1aと出側メータ口金1b」は、本願発明の「ガスメータへガスが流入出するメータ通流端部のうちガスが流入するメータ流入部」及び「前記メータ通流端部のうちガスが流出するメータ流出部」に相当する。
(イ) 引用発明においては、「入側メータ口金1aや出側メータ口金1bの雄ねじ部15」が設けられている。
(ウ) したがって、本願発明と引用発明は、次の点において一致する。
「前記メータ通流端部は、その外周面に雄螺子部が設けられる」点。
オ 構成D及びEの観点(雌螺子部と接続機構)
引用発明は、本願発明の構成D及びEに相当する構成を備えていないから、本願発明と引用発明は、次の点において相違する。
本願発明においては、
「前記アダプタ部材の前記アダプタ通流路の内周面のうち、前記メータ通流端部の側には、前記雄螺子部に螺合する雌螺子部が設けられ、
前記メータ通流端部の前記雄螺子部と前記アダプタ部材の前記雌螺子部とが、前記メータ通流端部と前記アダプタ部材とを接続する接続機構として働[く]」のに対し、
引用発明の「プラグ7」は雄螺子部を備えるものである点。
カ 構成Fの観点(ユニオン螺子部)
(ア) 前記エの検討を踏まえると、引用発明の「入側メータ口金1aや出側メータ口金1bの雄ねじ部15」は、本願発明の「前記メータ通流端部」の外周面に設けられた「雄螺子部」に相当する。
(イ) 引用発明の前記「雄ねじ部15」は、「ソケット6」に装着された「雌ねじ部21を形成したソケットユニオン22」が「螺合する」ものであるから、ユニオンナットが螺合可能なユニオン螺子部であるといえる。
(ウ) したがって、本願発明と引用発明は、次の点において共通する。
「前記メータ通流端部の前記雄螺子部は、前記ガス管端部と前記メータ通流端部とを互いに相対回転させることなく接続可能なユニオン式管継手としてのユニオンナットが螺合可能なユニオン螺子部であ[る]」点。
キ 構成Gの観点(ロック機構2)
引用発明は、本願発明の構成Gに相当する構成を備えていないから、本願発明と引用発明は、次の点において相違する。
本願発明においては、
「前記ロック機構は、
前記ガス管端部のガス通流路に接続する筒状のロック部材本体と、
前記アダプタ部材を前記ガス管端部に対向させた状態において、第1付勢部材により前記ガス管端部から前記アダプタ部材へ向けて付勢され、前記ロック部材としてのロック用ボールの前記筒径方向での内側への移動を規制する規制姿勢と、前記アダプタ部材が前記ガス管端部に接近する方向へ移動したときに当該移動に伴って前記第1付勢部材による付勢方向と逆方向へ移動して前記ロック用ボールの前記筒径方向での内側への移動を許容して前記ロック状態を実現する許容姿勢との間で姿勢変更自在な作動部材と、
前記アダプタ部材を前記ガス管端部に対向させた状態において、第2付勢部材により前記ガス管端部から前記アダプタ部材へ向けて付勢され、前記作動部材が前記規制姿勢にあるときに前記ガス管端部の基端側であるガス管基端側へ引退している引退姿勢と、前記作動部材が前記許容姿勢にあるときに前記ガス管基端側と逆側であるガス管先端側へ突出して前記ロック用ボールを前記筒径方向で内側へ移動させて外側への移動を規制する突出姿勢との間で姿勢変更自在なスリーブ部材とを有する」ものであるのに対し、
引用発明の「ソケット6」の内部構成は不明である点。
(2) 一致点及び相違点
前記(1)の対比分析の結果を整理すると、本願発明と引用発明は、次のアに示す一致点において一致し、後記イに示す相違点において相違すると認められる。
ア 一致点
「ガス管を通流するガス流量を計測するガスメータへガスが流入出するメータ通流端部のうちガスが流入するメータ流入部と、一次側ガス管のガス管端部であるガス管流出部との連結、又は前記メータ通流端部のうちガスが流出するメータ流出部と、二次側ガス管の前記ガス管端部であるガス管流入部との連結の少なくとも何れか一方を担うメータカプラ構造であって、
ガス通流路に連通するアダプタ通流路を有する筒形状であるアダプタ部材を有し、
前記メータ通流端部は、その外周面に雄螺子部が設けられ、
前記メータ通流端部の前記雄螺子部は、前記ガス管端部と前記メータ通流端部とを互いに相対回転させることなく接続可能なユニオン式管継手としてのユニオンナットが螺合可能なユニオン螺子部である、
メータカプラ構造。」である点。
イ 相違点
(ア) 相違点1(アダプタ部材及びロック構造の接続対象)
本願発明においては「アダプタ部材」は「前記メータ通流端部に接続可能である」と共に「当該メータ通流端部の内部に形成される」ガス通流路に連通するものであるのに対し、引用発明の「プラグ7」はメータ側に接続されず、「入側配管口金3a」及び「出側配管口金3b」(本願発明の「一次側ガス管のガス管端部であるガス管流出部」及び「二次側ガス管の前記ガス管端部であるガス管流入部」に相当する。)に固定されて連通するものであり、また、本願発明の「アダプタ部材」は連結の際に「ガス管端部」に対向し、また「ガス管端部」に接近する方向へ移動するものであるのに対し、引用発明の「プラグ7」は「ガスメータBの入側メータ口金1aと出側メータ口金1bに固定してあるソケット6を押し込んで互いに嵌合接続する」ものである点。
さらにこれらと対になる構成として、本願発明の「ロック機構」が「前記ガス管端部のガス通流路に接続する」ものであり、「ロック機構」における各構成の動作方向も前記ガス管端部の位置を基準として特定されているのに対し、引用発明の「ソケット6」はメータ側に固定されるものである点。
(イ) 相違点2(カプラ構造1:アダプタ部材の構成)
本願発明においては「アダプタ部材」は「筒外周方向に沿って形成される第1環状凹欠部」を有するのに対し、引用発明の「プラグ7」に「筒外周方向に沿って形成される第1環状凹欠部」が設けられているかどうかは不明である点。
また、本願発明の「アダプタ部材」は、内周面に「雌螺子部」が設けられて接続機構として働くのに対し、引用発明の「プラグ7」は雄螺子部を備えるものである点。
(ウ) 相違点3(カプラ構造2:ロック部材の構成)
本願発明においては、「アダプタ部材」が接近移動したときに
「前記アダプタ部材の筒径方向で移動して前記第1環状凹欠部に掛止するロック部材により前記アダプタ部材と前記ガス管端部とをロック状態とするロック機構」を有し、
「前記ロック機構は、
筒状のロック部材本体と、
前記アダプタ部材を対向させた状態において、第1付勢部材により前記アダプタ部材へ向けて付勢され、前記ロック部材としてのロック用ボールの前記筒径方向での内側への移動を規制する規制姿勢と、前記アダプタ部材が接近する方向へ移動したときに当該移動に伴って前記第1付勢部材による付勢方向と逆方向へ移動して前記ロック用ボールの前記筒径方向での内側への移動を許容して前記ロック状態を実現する許容姿勢との間で姿勢変更自在な作動部材と、
前記アダプタ部材を対向させた状態において、第2付勢部材により前記アダプタ部材へ向けて付勢され、前記作動部材が前記規制姿勢にあるときに基端側へ引退している引退姿勢と、前記作動部材が前記許容姿勢にあるときに逆側である先端側へ突出して前記ロック用ボールを前記筒径方向で内側へ移動させて外側への移動を規制する突出姿勢との間で姿勢変更自在なスリーブ部材とを有する」ものであるのに対し、
引用発明の「ソケット6」の内部構成は不明である点。
7 判断
(1) 相違点2及び相違点3について
まず相違点2及び相違点3について検討する。
ここで、相違点2及び相違点3は、一対となるカプラ構造に関するものであるから、両者を併せ検討する。
ア 前記5(4)で認定したように、
「ガス配管を接続するためのカプラ構造であって、
筒外周に環状溝を備える雄型カプラと、
雌型カプラを備え、
前記雄型カプラは内周面に雌螺子部を有し、接続対象に設けられた雄螺子部に螺合して接続され、
前記雌型カプラは、前記雄型カプラが挿入されると、前記環状溝に接続球が嵌入されて両カプラが接続され、その接続状態が維持される機構を有しており、
前記機構は、筒状の雌型カプラ本体と、
前記雄型カプラが未挿入の状態で、第1スプリングにより開口側に付勢される移動部材であって、前記雄型カプラの挿入により押し込み操作され、前記環状溝に前記接続球が嵌入されて両カプラが接続され、その接続状態が維持される前記移動部材と、
前記雄型カプラが未挿入の状態で、第2スプリングにより開口側に付勢され、前記移動部材の押し込みに伴い、前記接続球に対する係合が外れて前記第2スプリングの付勢力により移動当接し、前記環状溝に前記接続球が嵌入されて両カプラが接続される操作部
を備えるカプラ構造。」
は周知技術である。
イ 前記周知技術と本願発明を対比する。
(ア) 前記周知技術の「雄型カプラ」は、本願発明の「アダプタ部材」に相当する。
(イ) 前記周知技術の「雄型カプラ」が「筒外周に」備える「環状溝」は、本願発明の「筒外周方向に沿って形成される第1環状凹欠部」に相当する。
(ウ) 前記周知技術の「接続対象に設けられた雄螺子部に螺合して接続され」る、「雄型カプラ」が「内周面に」有する「雌螺子部」は、本願発明において「アダプタ部材」の内周面に設けられて接続機構として働く「雌螺子部」に相当する。
(エ) 前記周知技術において「前記雄型カプラが挿入されると、前記環状溝に接続球が嵌入されて両カプラが接続され、その接続状態が維持される」ことは、本願発明において「アダプタ部材」が接近移動したときに「前記アダプタ部材の筒径方向で移動して前記第1環状凹欠部に掛止するロック部材により前記アダプタ部材と前記ガス管端部とをロック状態とする」ことに相当するものであり、また、前記周知技術の「雌型カプラ本体」、「接続球」、「移動部材」、「操作部」を備える「接続状態が維持される機構」は、本願発明の「アダプタ部材」が接近移動したときに「前記アダプタ部材の筒径方向で移動して前記第1環状凹欠部に掛止するロック部材により前記アダプタ部材と前記ガス管端部とをロック状態とするロック機構」に相当する。
(オ) 前記周知技術の前記機構のうち「筒状の雌型カプラ本体」は、本願発明の「筒状のロック部材本体」に相当する。
(カ) 前記周知技術の前記機構のうち「前記雄型カプラが未挿入の状態で、第1スプリングにより開口側に付勢される移動部材であって、前記雄型カプラの挿入により押し込み操作され、前記環状溝に前記接続球が嵌入されて両カプラが接続され、その接続状態が維持される前記移動部材」は、本願発明の「前記アダプタ部材を対向させた状態において、第1付勢部材により前記アダプタ部材へ向けて付勢され、前記ロック部材としてのロック用ボールの前記筒径方向での内側への移動を規制する規制姿勢と、前記アダプタ部材が接近する方向へ移動したときに当該移動に伴って前記第1付勢部材による付勢方向と逆方向へ移動して前記ロック用ボールの前記筒径方向での内側への移動を許容して前記ロック状態を実現する許容姿勢との間で姿勢変更自在な作動部材」に相当する。
(キ) 前記周知技術の前記機構のうち「前記雄型カプラが未挿入の状態で、第2スプリングにより開口側に付勢され、前記移動部材の押し込みに伴い、前記接続球に対する係合が外れて前記第2スプリングの付勢力により移動当接し、前記環状溝に前記接続球が嵌入されて両カプラが接続される操作部」は、本願発明の「前記アダプタ部材を対向させた状態において、第2付勢部材により前記アダプタ部材へ向けて付勢され、前記作動部材が前記規制姿勢にあるときに基端側へ引退している引退姿勢と、前記作動部材が前記許容姿勢にあるときに逆側である先端側へ突出して前記ロック用ボールを前記筒径方向で内側へ移動させて外側への移動を規制する突出姿勢との間で姿勢変更自在なスリーブ部材」に相当する。
(ク) 以上をまとめると、前記周知技術は、相違点2及び相違点3に係る本願発明の全ての構成を含むものである。
ウ 引用発明は、ガスメータの「入側メータ口金1aと出側メータ口金1bを入側配管口金3aと出側配管口金3bに連通させる」ための「ソケット6とプラグ7とからなる一対のカプラーを備えている、所謂、ワンタッチ式の管ジョイント19の二個を使用して、既設ガスメータAを新規ガスメータBに交換するための構造」の発明であるから、ガスメータにガス管を接続するワンタッチ式の接続部(一対のカプラー)を含むものといえる。
一方、前記周知技術は「ガス配管を接続するためのカプラ構造」に係るものであって、その形状・構造からワンタッチで接続できるものであることは明らかである。
そうすると、引用発明の「一対のカプラー」を形成する「ソケット6とプラグ7」の具体的な構成として前記周知技術の雄型カプラ及び雌型カプラを採用することは、当業者が容易になし得たものである。
(2) 相違点1について
相違点1に係る本願発明の構成は要するに、「アダプタ部材」がガス管側ではなく、ガスメータ側に設けられ、「ロック機構」がガス管側に設けられることを特定するものである。
「アダプタ部材」が「当該メータ通流端部の内部に形成される」ガス通流路に連通すること、及び「アダプタ部材」が連結の際に「ガス管端部」に対向し、また「ガス管端部」に接近する方向へ移動するものであることは、「アダプタ部材」をガスメータ側に設けることにより、当然に生じる構成にすぎない。相違点1に係る「ロック機構」の構成に関しても同様である。
そして、前記周知技術のカプラ構造において、雄型カプラと雌型カプラを相互に接続する機器のどちら側に設けても、その接続機能を奏し得ることは、カプラ構造の作動機序から自明のものである。これは例えば、前記引用文献3の請求項1の記載が「前記ガス栓とワンタッチ式カプラの一方が前記ガス配管側に接続され、ワンタッチ式カプラの他方が前記ガス器具側に接続され」とされており、カプラの雌雄配置が特定されていないことからも明らかといえる。
したがって、前記周知技術を引用発明に採用するに際し、雄型カプラと雌型カプラのどちらをガスメータ側に設けるかは、必要に応じて適宜選択されるべき設計事項の範囲内のものといえる。
(3) 総合評価
前記(1)~(2)において検討したとおり、引用発明において、前記相違点1~3に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、前記相違点1~3を総合的に勘案しても、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
8 請求人の主張について
(1) 請求人の主張内容
請求人は審判請求書において、おおよそ次のように主張している。
ア 主張1
引用文献1に開示されているワンタッチ式継手は、本願発明のメータカプラ構造の如く、
「前記アダプタ部材に前記ガス管端部を対向させた状態において、前記アダプタ部材が前記ガス管端部に接近する方向へ移動したときに、前記アダプタ部材の筒径方向で移動して前記第1環状凹欠部に掛止するロック部材により前記アダプタ部材と前記ガス管端部とをロック状態とするロック機構とを有し、
前記ロック機構は、
前記ガス管端部のガス通流路に接続する筒状のロック部材本体と、
前記アダプタ部材を前記ガス管端部に対向させた状態において、第1付勢部材により前記ガス管端部から前記アダプタ部材へ向けて付勢され、前記ロック部材としてのロック用ボールの前記筒径方向での内側への移動を規制する規制姿勢と、前記アダプタ部材が前記ガス管端部に接近する方向へ移動したときに当該移動に伴って前記第1付勢部材による付勢方向と逆方向へ移動して前記ロック用ボールの前記筒径方向での内側への移動を許容して前記ロック状態を実現する許容姿勢との間で姿勢変更自在な作動部材と、
前記アダプタ部材を前記ガス管端部に対向させた状態において、第2付勢部材により前記ガス管端部から前記アダプタ部材へ向けて付勢され、前記作動部材が前記規制姿勢にあるときに前記ガス管端部の基端側であるガス管基端側へ引退している引退姿勢と、前記作動部材が前記許容姿勢にあるときに前記ガス管基端側と逆側であるガス管先端側へ突出して前記ロック用ボールを前記筒径方向で内側へ移動させて外側への移動を規制する突出姿勢との間で姿勢変更自在なスリーブ部材とを有する」という特徴構成Aを有するものではない。
つまり、引用文献1に開示の技術では、ロック機構の詳細な構成が開示されておらず、接続時において、どのような機械的機序により接続が実現されているかが不明である。
イ 主張2
引用文献2に開示の技術は、本発明のメータカプラ構造の如く、
「メータ通流端部は、その外周面に雄螺子部が設けられると共に、アダプタ部材のアダプタ通流路の内周面のうち、メータ通流端部の側には、雄螺子部に螺合する雌螺子部が設けられ、メータ通流端部の雄螺子部は、ガス管端部とメータ通流端部とを互いに相対回転させることなく接続可能なユニオン式管継手としてのユニオンナットが螺合可能なユニオン螺子部である」という特徴構成Bを有するものではない。
引用文献3~7には、ワンタッチ式の継手が開示されているが、何れにおいても、ガスメータのメータ通流端部とガス管端部とを接続するものではなく、メータ交換の際の施工コスト低減の観点から、メータ通流端部の雄螺子部として、ユニオンナットが螺合可能なユニオン螺子部を流用する構成において、どのような構成を用いて、継手に係る構成を適用するかについて、開示も示唆もされていない。
(2) 請求人の主張についての検討
ア 主張1について
前記主張1の「特徴構成A」は、実質的に前記6(2)イの(ア)(ウ)に挙げた相違点1及び3に相当するものであって、これらについては前記7の(1)~(3)で検討したように、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、前記主張1を採用することはできない。
イ 主張2について
前記主張2の「特徴構成B」については、前記6(1)カにおいて検討したように、引用発明の「雄ねじ部15」はユニオン螺子部であるといえる。
したがって、前記主張2を採用する余地はない。
9 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-010958