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特許拒絶査定不服審判

2024-007157

喫煙物品の製造方法

審判番号
2024-007157
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-126903
請求日
2024年04月26日
審決日
2025年09月29日
公報発行日
2025年12月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】日本たばこ産業株式会社
  • 【請求人代理人】山本 修
  • 【請求人代理人】宮前 徹
  • 【請求人代理人】松尾 淳一
  • 【請求人代理人】新井 規之
審判長/審判官
  • 審判長 平瀬 知明
  • 審判官 柳幸 憲子
  • 審判官 鈴木 充
分類
P18 .113-Z (A24C) / P18 .121-Z (A24C) / P18 .575-Z (A24C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第44条第1項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-126903「喫煙物品の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年10月25日出願公開、特開2022-163146〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成30年10月5日を国際出願日とする特願2020-551049号の一部を、特許法第44条第1項の規定により、令和4年8月9日に新たな特許出願としたものであって、その手続の主な経緯は以下のとおりである。 令和4年9月7日 :手続補正書の提出 令和5年5月31日付け :拒絶理由通知書 令和5年7月31日 :意見書・手続補正書の提出 令和5年11月9日付け :拒絶理由通知書 令和6年1月10日 :意見書・手続補正書の提出 令和6年1月24日付け :拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和6年4月26日 :審判請求書及び手続補正書(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)の提出 第2 本件補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「【請求項1】 機能セグメント、たばこロッド、冷却セグメント、ならびにフィルターセグメントを備える喫煙物品の製造方法であって、 (A)前記機能セグメントの2倍の長さを有する倍長機能セグメント、およびその両端に前記たばこロッドを備え、当該倍長機能セグメントおよびたばこロッドが隣接しているセグメントAを準備する工程、 (C)1対の前記冷却セグメントを準備し、前記セグメントAの両端に当接して配置し、セグメントCを調製する工程、 (D)前記セグメントCを、その長手方向における中央部で切断して分離し、1対のセグメントDを調製し、これらを反転して、両者の長手方向軸が同一であり、かつ冷却セグメント同士が対向するように離間して配置する工程、 (E)前記フィルターセグメントの2倍の長さを有する倍長フィルターセグメントを準備し、前記1対のセグメントDの間に、その両端が前記セグメントDの冷却セグメント側の端と当接するように配置してセグメントEを調製する工程、 (F)前記セグメントEを1枚のチップペーパーでラップして一体化して、前記喫煙物品の2倍の長さを有する倍長喫煙物品を製造する工程、ならびに (G)前記倍長喫煙物品を、その長手方向における中央部で切断して、喫煙物品とする工程、を含む、製造方法で製造された、前記機能セグメントおよびたばこロッドが隣接している喫煙物品。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和6年1月10日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。 「【請求項1】 機能セグメント、たばこロッド、冷却セグメント、ならびにフィルターセグメントを備える喫煙物品の製造方法であって、 (A)前記機能セグメントの2倍の長さを有する倍長機能セグメント、およびその両端に前記たばこロッドを備えるセグメントAを準備する工程、 (C)1対の前記冷却セグメントを準備し、前記セグメントAの両端に当接して配置し、セグメントCを調製する工程、 (D)前記セグメントCを、その長手方向における中央部で切断して分離し、1対のセグメントDを調製し、これらを反転して、両者の長手方向軸が同一であり、かつ冷却セグメント同士が対向するように離間して配置する工程、 (E)前記フィルターセグメントの2倍の長さを有する倍長フィルターセグメントを準備し、前記1対のセグメントDの間に、その両端が前記セグメントDの冷却セグメント側の端と当接するように配置してセグメントEを調製する工程、 (F)前記セグメントEを1枚のチップペーパーでラップして一体化して、前記喫煙物品の2倍の長さを有する倍長喫煙物品を製造する工程、ならびに (G)前記倍長喫煙物品を、その長手方向における中央部で切断して、喫煙物品とする工程、を含む、製造方法で製造された喫煙物品。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「倍長機能セグメント、およびその両端に前記たばこロッドを備え」ることについて、「当該倍長機能セグメントおよびたばこロッドが隣接している」ことに限定し、さらに「喫煙物品」が備える「機能セグメント」及び「たばこロッド」について「前記機能セグメントおよびたばこロッドが隣接している」ことに限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 また、「当該倍長機能セグメントおよびたばこロッドが隣接している」こと、及び「前記機能セグメントおよびたばこロッドが隣接している」ことは、願書に最初に添付した明細書の段落【0020】及び図2に記載されているから、本件補正は、同条第3項の規定に適合する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項等 ア 引用文献2 原査定で引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、国際公開第2017/207586号(以下「引用文献2」という。)には、関連する図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、当審が付与した。以下同様。)。 (ア) 「As the article is intended to be disposed after one or two uses, the hygiene issues that may be associated with typical e-cigarette systems are overcome. Furthermore, the liquid aerosol-forming substrate does not directly contact a heating element and, thus, problems with overheating of the aerosol-forming substrate do not occur. The liquid impervious wrapper, if provided, helps to prevent leakage of liquid aerosol-forming substrate. Articles may be produced with a wide range of different liquid aerosol-forming substrate compositions, thereby providing the user with the wide range of flavours and experiences that can be provided by e-cigarette systems. In particular, where a first volatile liquid substrate comprises a first liquid aerosol-forming substrate and a second volatile liquid substrate comprises a second liquid aerosol-forming substrate, the article may be provided with multiple liquid aerosol-forming substrate compositions, and thereby provide the user with multiple flavours and experiences. In preferred embodiments, the articles may be consumed using aerosol- generating devices configured for heating aerosol-generating articles comprising solid aerosol-forming substrates. Thus, a user may select either a tobacco containing heated aerosol-generating article or select an article containing a liquid aerosol-forming substrate and consume either one using the same device.」(第23ページ第36行目-第24ページ第14行目) (当審訳:「物品は1回又は2回の使用後に廃棄されることが意図されているので、典型的な電子タバコシステムに関連し得る衛生問題が克服される。さらに、液体エアロゾル形成基体は加熱要素と直接接触せず、したがって、エアロゾル形成基体の過熱に関する問題は生じない。液体不透過性ラッパーは、提供される場合、液体エアロゾル形成基体の漏出を防止するのに役立つ。物品は、広範囲の異なる液体エアロゾル形成基体組成物を用いて製造されてもよく、それによってユーザーに、電子たばこシステムによって提供されうる広範囲の風味及び経験を提供する。特に、第1の揮発性液体基材が第1の液体エアロゾル形成基材を含み、第2の揮発性液体基材が第2の液体エアロゾル形成基材を含む場合、物品には複数の液体エアロゾル形成基材組成物が提供されてもよく、それによってユーザーに複数の風味及び体験を提供する。好ましい実施形態では、物品は、固体エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を加熱するように構成されたエアロゾル発生装置を使用して消費されてもよい。したがって、ユーザーは、たばこ含有加熱式エアロゾル発生物品又は液体エアロゾル形成基体を含有する物品のいずれかを選択し、同じ装置を使用していずれかを消費し得る。」) (イ)「Figure 2a illustrates an aerosol-generating article 200a for use with the heat diffuser 100 of Figure 1 . An aerosol generating article can be also called a heated aerosol-generating article. The aerosol-generating article 200a comprises three elements arranged in coaxial alignment: a tubular liquid retention medium 210a, an aerosol-cooling element 220a, and a mouthpiece 230a. An aerosol cooling element can also be called an aerosol-generating section.. A mouthpiece can also be called a mouthpiece filter. Each of these three elements is a substantially cylindrical element, each having substantially the same diameter. These three elements are arranged co-axially and circumscribed by an outer wrapper 240a to form a cylindrical rod. These three elements are arranged sequentially and circumscribed by an outer wrapper 240a to form a cylindrical rod. The outer wrapper 240a may be non-porous. The outer wrapper 240a may be liquid-impervious.」(第36ページ第24-34行目) (当審訳:「図2aは、図1の熱拡散器100とともに使用するためのエアロゾル発生物品200aを示す。エアロゾル発生物品はまた、加熱式エアロゾル発生物品と呼ぶこともできる。エアロゾル発生物品200aは、同軸に整列して配置された3つの要素:管状液体保持媒体210a、エアロゾル冷却要素220a、およびマウスピース230aを含む。エアロゾル冷却要素は、エアロゾル発生セクションと呼ぶこともできる。マウスピースは、マウスピースフィルタと呼ぶこともできる。これら3つの要素の各々は、実質的に円筒形の要素であり、各々が実質的に同じ直径を有する。これらの3つの要素は、同軸に配置され、外側ラッパー240aによって囲まれて円筒形ロッドを形成する。これらの3つの要素は連続的に配置され、外側ラッパー240aによって囲まれて円筒形ロッドを形成する。外側ラッパー240aは非多孔質であってもよい。外側ラッパー240aは液体不透過性であってもよい。」) (ウ)「The liquid retention medium 210a is located at the extreme distal or upstream end 250a of the aerosol-generating article 200a. In the embodiment illustrated in Figure 2a, the article 200a includes a frangible capsule 212a located within the lumen 214a of the liquid retention medium 210a. The frangible capsule 212a contains a liquid aerosol-forming substrate 216a.」(第37ページ第3-6行目) (当審訳:「液体保持媒体210aは、エアロゾル発生物品200aの最遠位端または上流端250aに位置する。図2aに示す実施形態では、物品200aは、液体保持媒体210aの内腔214a内に配置された壊れやすいカプセル212aを含む。壊れやすいカプセル212aは、液体エアロゾル形成基体216aを含む。」) (エ)「The liquid aerosol-forming substrate 216a comprises propylene glycol, nicotine extract, and 20 weight percent water. A wide range of flavourants may be optionally added. A wide range of aerosol formers may be used as alternative, or in addition to, propylene glycol. The capsule is about 4 mm in length and contains a volume of about 33 microlitres of liquid aerosol-forming substrate.」(第37ページ第18-22行目) (当審訳:「液体エアロゾル形成基体216aは、プロピレングリコール、ニコチン抽出物、および20重量パーセントの水を含む。広範囲の風味剤が任意に添加されてもよい。プロピレングリコールの代わりに、またはそれに加えて、広範囲のエアロゾル形成剤を使用することができる。カプセルは、長さが約4 mmであり、約33マイクロリットルの体積の液体エアロゾル形成基体を含む。」) (オ)「Figure 2d illustrates a heated aerosol-generating article 200d that is identical to the article 200a described in relation to figure 2a with the difference that a front-plug 251d is disposed at a distal end 250d of the article 200d. The front-plug 251d has a length of 3 mm and spans the distal end 250d of the article 200d. The front plug is formed of a highly porous cellulose acetate material and provides an air flow path into the article 200d. The front-plug 251d may help to prevent egress of liquid aerosol-forming substrate during use of the article.」(第39ページ第7-12行目) (当審訳:「図2dは、図2aに前方プラグ251dが、物品200dの遠位端250dに配置される点が異なる、図2aに関して記載された物品200aと同一である加熱式エアロゾル発生物品200dを示す。前方プラグ251dは、3 mmの長さを有し、物品200dの遠位端250dに及ぶ。前方プラグは、高度に多孔性の酢酸セルロース材料から形成され、物品200d内への空気流路を提供する。前方プラグ251dは、物品の使用中に液体エアロゾル形成基体が出るのを防止するのに役立ちうる。」) (カ)「 [図:0001429557000001.jpg] 」(当審訳:「図2a」) (キ)「 [図:0001429557000002.jpg] 」(当審訳:「図2d」) (ク)上記(オ)「図2dは、図2aに前方プラグ251dが、物品200dの遠位端250dに配置される点が異なる、図2aに関して記載された物品200aと同一である加熱式エアロゾル発生物品200dを示す。」という記載、及び、上記(イ)~(ウ)、(カ)のエアロゾル発生物品200aについての記載から、加熱式エアロゾル発生物品200dにおいて、符号216dが付された部材は、液体エアロゾル形成基体であり、符号210dが付された部材は、液体保持媒体であり、符号220dが付された部材は、エアロゾル冷却要素であり、符号230dが付された部材は、マウスピースフィルタであり、符号240dが付された部材は、外側ラッパーであると認められる。 (ケ)上記(イ)「3つの要素は、同軸に配置され、外側ラッパー240aによって囲まれて円筒形ロッドを形成する。」という記載及び上記(キ)~(ク)から、前方プラグ251d、液体エアロゾル形成基体216dが内部に配置された液体保持媒体210d、エアロゾル冷却要素220d、マウスピースフィルタ230dの順で配置され、それらが外側ラッパー240dによって囲まれていること、前方プラグ251dと液体保持媒体210dは隣接していることが理解できる。 上記(ア)ないし(ケ)から、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 [引用発明] 「前方プラグ251d、液体エアロゾル形成基体216dが内部に配置された液体保持媒体210d、エアロゾル冷却要素220d、マウスピースフィルタ230dを含むたばこ含有加熱式エアロゾル発生物品200dであって、前方プラグ251d、液体エアロゾル形成基体216dが内部に配置された液体保持媒体210d、エアロゾル冷却要素220d、マウスピースフィルタ230dの順で配置され、それらが外側ラッパー240dによって囲まれ、前方プラグ251d及び液体エアロゾル形成基体216dと内部に配置された液体保持媒体210dが隣接しているたばこ含有加熱式エアロゾル発生物品200d。」 (3)当審の判断 ア 対比 引用発明の「前方プラグ251d」、「液体エアロゾル形成基体216dが内部に配置された液体保持媒体210d」、「エアロゾル冷却要素220d」、「マウスピースフィルタ230d」、「たばこ含有加熱式エアロゾル発生物品200d」は、それぞれ、本件補正発明の「機能セグメント」、「たばこロッド」、「冷却セグメント」、「フィルターセグメント」、「喫煙物品」に相当する。 引用発明の「前方プラグ251d及び液体エアロゾル形成基体216dが内部に配置された液体保持媒体210dが隣接している」ことは、本件補正発明の「前記機能セグメントおよびたばこロッドが隣接している」ことに相当する。 そうすると、本件補正発明と引用発明は、次の一致点で一致し、相違点で相違する。 [一致点] 「機能セグメント、たばこロッド、冷却セグメント、ならびにフィルターセグメントを備える喫煙物品であって、前記機能セグメントおよびたばこロッドが隣接している喫煙物品。」 [相違点] 本件補正発明は、 「(A)前記機能セグメントの2倍の長さを有する倍長機能セグメント、およびその両端に前記たばこロッドを備え、当該倍長機能セグメントおよびたばこロッドが隣接しているセグメントAを準備する工程、 (C)1対の前記冷却セグメントを準備し、前記セグメントAの両端に当接して配置し、セグメントCを調製する工程、 (D)前記セグメントCを、その長手方向における中央部で切断して分離し、1対のセグメントDを調製し、これらを反転して、両者の長手方向軸が同一であり、かつ冷却セグメント同士が対向するように離間して配置する工程、 (E)前記フィルターセグメントの2倍の長さを有する倍長フィルターセグメントを準備し、前記1対のセグメントDの間に、その両端が前記セグメントDの冷却セグメント側の端と当接するように配置してセグメントEを調製する工程、 (F)前記セグメントEを1枚のチップペーパーでラップして一体化して、前記喫煙物品の2倍の長さを有する倍長喫煙物品を製造する工程、ならびに (G)前記倍長喫煙物品を、その長手方向における中央部で切断して、喫煙物品とする工程、を含む、製造方法で製造された」 と特定されているのに対し、引用発明はそのような製造方法で製造されたものであるか不明な点。 イ 相違点についての検討 (ア)プロダクト・バイ・プロセス・クレームに係る新規性欠如の判断方法について 最高裁判所において、「物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合であっても、その特許発明の技術的範囲は、当該製造方法により製造された物と構造、特性等が同一である物として確定されるものと解するのが相当である。」(最高裁判所平成24年(受)第1204号同27年6月5日第二小法廷判決・民集69巻4号700頁)と判示されている。 すなわち、「物」の発明において、引用発明との相違点が、「製造方法」による特定であったとしても、「物」としては、最終的に得られた「生産物」自体を意味しているものと解釈し、最終的に得られた「生産物」として引用発明と区別できない場合、その発明は新規性を欠如するものと判断するのが相当である。 (イ)判断 そこで、上記判断手法に従って、本件補正発明を判断する。 本件補正発明の 「(A)前記機能セグメントの2倍の長さを有する倍長機能セグメント、およびその両端に前記たばこロッドを備え、当該倍長機能セグメントおよびたばこロッドが隣接しているセグメントAを準備する工程、 (C)1対の前記冷却セグメントを準備し、前記セグメントAの両端に当接して配置し、セグメントCを調製する工程、 (D)前記セグメントCを、その長手方向における中央部で切断して分離し、1対のセグメントDを調製し、これらを反転して、両者の長手方向軸が同一であり、かつ冷却セグメント同士が対向するように離間して配置する工程、 (E)前記フィルターセグメントの2倍の長さを有する倍長フィルターセグメントを準備し、前記1対のセグメントDの間に、その両端が前記セグメントDの冷却セグメント側の端と当接するように配置してセグメントEを調製する工程、 (F)前記セグメントEを1枚のチップペーパーでラップして一体化して、前記喫煙物品の2倍の長さを有する倍長喫煙物品を製造する工程、ならびに (G)前記倍長喫煙物品を、その長手方向における中央部で切断して、喫煙物品とする工程、を含む」製造方法の「物」の「構造、特性」が具体的にどのようなものであるか検討すると、本件補正発明の「喫煙物品」の製造方法に由来する「構造、特性」は、「機能セグメント及びたばこロッドが隣接し、フィルターセグメントが冷却セグメントと当接するように、機能セグメント、たばこロッド、冷却セグメント、フィルターセグメントの順で配置され、それらがチップペーパーでラップされた」ものであると理解できる(製品の最終工程を示す図5(G)参照)。 一方、上記(2)ア(キ)の図示から、引用発明は、前方プラグ251d及び液体エアロゾル形成基体216dと内部に配置された液体保持媒体210dは隣接し、マウスピースフィルタ230dがエアロゾル冷却要素220dに当接することが理解できる。 そして、引用発明は、前方プラグ251d、液体エアロゾル形成基体216dが内部に配置された液体保持媒体210d、エアロゾル冷却要素220d、マウスピースフィルタ230dの順で配置され、それらが外側ラッパー240dによって囲まれているものである。 してみると、引用発明は、本件補正発明の製造方法に由来する「構造、特性」を有するといえる。したがって、本件補正発明の最終的に得られた「生産物」と、引用発明とは、区別することができないため、上記相違点は、実質的な相違点ではない。 よって、本件補正発明は、引用発明である。 また、仮に相違点があるとしても、本件補正発明は、引用発明から当業者が容易に想到し得たものである。 (4)請求人の主張 請求人は、審判請求書において、以下の主張をしている。 「3-2.拒絶査定の理由に対する意見 拒絶査定において「請求項1の工程(A)に係る記載は単に、倍長機能セグメントとタバコロッドを備えるセグメントAを準備することを記載しているだけであって、倍長機能セグメントとタバコロッドの接続態様までは記載されておらず、この工程(A)に係る記載から、出願人が主張するような「機能セグメントの位置または向きが、理想値に極めて近いという特性を備える」という構成は認定されない。・・・そうすると、本願発明によって奏される効果も参酌することはできない。」と指摘された。 前述のとおり、補正後の請求項1にかかる発明は、セグメントAが倍長機能セグメントおよびたばこロッドが隣接している。よって、令和6年1月10日提出の意見書で述べた通り、本願発明の喫煙物品は、工程(A)に起因して機能セグメントの位置または向きが、理想値に極めて近いという特性を備える点で、引用文献2に記載の発明と相違する。そして、工程(A)を示唆しない引用文献に基づいて、当業者がこの効果を予測することも容易ではない。」 また、上記審判請求書で引用している令和6年1月10日提出の意見書では、以下の主張をしている。 「(1)本願発明 機能セグメントは、たばこロッドに比べて短いため、取扱いが困難であるという課題が存在する(出願時明細書段落0004)。短いセグメントは軽いため喫煙物品の製造中に位置がずれる(隣接するセグメントとの間に隙間が生じる)、または向きが変わりやすい(機能セグメントの中心軸が喫煙物品の中心軸と平行になりにくい)。その結果、喫煙物品において機能セグメントを所望の位置または所望の向きに正確に配置することは困難である。 一方、本願発明では、(A)前記機能セグメントの2倍の長さを有する倍長機能セグメント、およびその両端に前記たばこロッドを備えるセグメントAを準備する工程を経て喫煙物品を製造する。2倍の長さを有する倍長機能セグメントを用いることで喫煙物品の製造中に機能セグメントの位置がずれる、または向きが変わることを制御できる。 すなわち、本願発明の喫煙物品は、機能セグメントの位置または向きが、理想値に極めて近いという特性を備える。」 上記主張について検討する。 本願明細書には、「一般に、先落ち防止のためのフィルターはたばこロッドに比べて短いため、製造工程においてその取扱いは容易ではない。かかる事情を鑑み、本発明はたばこロッドの喫煙端とは反対の端に機能を付与する機能セグメントを備える喫煙物品を効率よく製造する方法を提供することを課題とする。」(段落【0004】)と記載され、その効果として、「本発明によって、たばこロッドの吸口端とは反対の端に機能を付与する機能セグメントを備える喫煙物品を効率よく製造する方法を提供できる。」(段落【0006】)と記載されていることから、本願発明の技術的意義は、「機能セグメントを備える物品を効率よく製造する方法を提供する」ことであると理解できる。 一方、請求人が主張する「本願発明の喫煙物品は、工程(A)に起因して機能セグメントの位置または向きが、理想値に極めて近いという特性を備える」ことは、本願明細書には記載されておらず、その主張を裏付けるものは見当たらない。 また、請求人の主張は、技術常識からも裏付けられない。すなわち、その主張の裏付けとなる技術常識は何も提示されていない。この点、喫煙物品の機能セグメントの位置又は向きの精度は、工程(A)自体の内容というより、むしろ、工程(A)中は、同工程を実施する製造装置による製造誤差(同セグメントの配置誤差等)に依存し、最終的な生産物たる喫煙物品では、工程(A)以降の各工程における製造誤差に依存するのが、通常の理解である。 請求人は、喫煙物品の複数ある製造工程のうち、工程(A)のみを取り上げて、「本願発明の喫煙物品は、工程(A)に起因して機能セグメントの位置または向きが、理想値に極めて近いという特性を備える」という効果を主張しているが、単に効果を述べているだけであって、具体的な「構造、特性」の差異を説明していない。したがって、上記主張は上記(3)の判断を左右するものでない。 (5)まとめ 以上のとおり、本件補正発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 あるいは、本件補正発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (6)本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 上記のとおり本件補正は却下されたので、本願の請求項1ないし14に係る発明は、令和6年1月10日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の1(2)に記載のとおりのものである。 第4 原査定における拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、または、本願出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含む。 記 引用文献2 国際公開第2017/207586号 第5 引用文献、引用発明 引用文献2の記載事項、認定事項及び引用発明は、上記第2の2(2)アに記載したとおりである。 第6 対比・判断 本願発明は、上記第2の2(1)の本件補正発明から、工程(A)に関して、「倍長機能セグメント、およびその両端に前記たばこロッドを備え」ることについての、「当該倍長機能セグメントおよびたばこロッドが隣接している」という限定事項を削除するとともに、「喫煙物品」が備える「機能セグメント」及び「たばこロッド」についての、「前記機能セグメントおよびたばこロッドが隣接している」という限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに、「当該倍長機能セグメントおよびたばこロッドが隣接している」、「前記機能セグメントおよびたばこロッドが隣接している」との発明特定事項を備えた本件補正発明が、前記第2 2(3)に記載したとおり引用発明であると判断され、また、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたと判断されるから、本願発明においても、本件補正発明と同様の理由により、引用発明である、あるいは、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない発明であり、また、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない発明であるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-007157

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