特許拒絶査定不服審判
2024-006008
情報処理装置および方法、並びにプログラム
- 審判番号
- 2024-006008
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-553779
- 請求日
- 2024年04月09日
- 審決日
- 2025年06月05日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
- 【請求人代理人】西川 孝
- 【請求人代理人】三浦 勇介
- 審判長/審判官
- 審判長 岡田 吉美
- 審判官 南川 泰裕
- 審判官 谷垣 圭二
- 分類
- P18 .121-Z (G09B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-553779「情報処理装置および方法、並びにプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 5月 7日国際公開、WO2020/090510〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続きの経緯
本願は、2019年(令和元年)10月18日を国際出願日とする日本語特許出願であって(優先権主張 平成30年11月1日(以下「優先日」という。))、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和5年 9月14日付け:拒絶理由通知書
同年10月20日 :意見書、手続補正書の提出
同年12月28日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和6年 1月 9日 :原査定の謄本の送達
同年 4月 9日 :審判請求書の提出
2 本願発明について
(1) 本願発明の認定
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年10月20日に提出された手続補正書により補正された請求項1に記載された次に示す事項により特定されるとおりのものである。
「対象領域における対象物である自身の位置を示す第1の位置情報を取得する取得部と、
前記対象領域における第1の方向の位置に応じて第2の方向の分割数が変化するように前記対象領域を前記第1の方向および前記第2の方向に分割して得られる複数のエリアメッシュのうち、前記対象物が含まれる対象エリアメッシュを示すエリアメッシュ情報と、前記対象エリアメッシュにおける前記対象物の位置を示す相対位置情報とからなる第2の位置情報であって、前記対象領域における前記対象エリアメッシュの前記第1の方向の位置を示す前記エリアメッシュ情報としての第1のエリアメッシュ情報と、その前記第1のエリアメッシュ情報に付加された、前記対象エリアメッシュにおける前記対象物の前記第1の方向の位置を示す前記相対位置情報としての第1の相対位置情報とからなり、前記対象領域における前記対象物の前記第1の方向の絶対的な位置を示す第1の絶対位置情報、および前記対象領域における前記対象エリアメッシュの前記第2の方向の位置を示す前記エリアメッシュ情報としての第2のエリアメッシュ情報と、その前記第2のエリアメッシュ情報に付加された、前記対象エリアメッシュにおける前記対象物の前記第2の方向の位置を示す前記相対位置情報としての第2の相対位置情報とからなり、前記対象領域における前記対象物の前記第2の方向の絶対的な位置を示す第2の絶対位置情報からなる第2の位置情報を前記第1の位置情報に基づいて生成する生成部と、
他の対象物の前記第1の相対位置情報および前記第2の相対位置情報を受信する通信部と
を備え、
前記生成部は、前記対象物の前記第1のエリアメッシュ情報および前記第2のエリアメッシュ情報と、前記他の対象物の前記第1の相対位置情報および前記第2の相対位置情報とに基づいて、前記他の対象物の前記第2の位置情報を生成する
情報処理装置。」
(2) 本願発明の分説
検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Cまでに分説する。なお、分説するにあたり、適宜改行を加えて表記した。
また、参考図として、【図8】の抜粋(エリアメッシュへの分割例)、【図16】(絶対座標データの復元について説明する図)、【図18】(受信処理を説明するフローチャート)及び【図23】(相対座標データの生成と絶対座標データの復元の例)を掲載する。
<本願発明の分説>
(構成A)対象領域における対象物である自身の位置を示す第1の位置情報を取得する取得部と、
(構成B)
(構成B0a)前記対象領域における第1の方向の位置に応じて第2の方向の分割数が変化するように前記対象領域を前記第1の方向および前記第2の方向に分割して得られる複数のエリアメッシュのうち、前記対象物が含まれる対象エリアメッシュを示すエリアメッシュ情報と、前記対象エリアメッシュにおける前記対象物の位置を示す相対位置情報とからなる第2の位置情報であって、
(構成B1a)前記対象領域における前記対象エリアメッシュの前記第1の方向の位置を示す前記エリアメッシュ情報としての第1のエリアメッシュ情報と、その前記第1のエリアメッシュ情報に付加された、前記対象エリアメッシュにおける前記対象物の前記第1の方向の位置を示す前記相対位置情報としての第1の相対位置情報とからなり、前記対象領域における前記対象物の前記第1の方向の絶対的な位置を示す第1の絶対位置情報、
および
(構成B1b)前記対象領域における前記対象エリアメッシュの前記第2の方向の位置を示す前記エリアメッシュ情報としての第2のエリアメッシュ情報と、その前記第2のエリアメッシュ情報に付加された、前記対象エリアメッシュにおける前記対象物の前記第2の方向の位置を示す前記相対位置情報としての第2の相対位置情報とからなり、前記対象領域における前記対象物の前記第2の方向の絶対的な位置を示す第2の絶対位置情報
からなる第2の位置情報
(構成B0b)を前記第1の位置情報に基づいて生成する生成部と、
(構成C) 他の対象物の前記第1の相対位置情報および前記第2の相対位置情報を受信する通信部とを備え、
前記生成部は、前記対象物の前記第1のエリアメッシュ情報および前記第2のエリアメッシュ情報と、前記他の対象物の前記第1の相対位置情報および前記第2の相対位置情報とに基づいて、前記他の対象物の前記第2の位置情報を生成する
(構成X)情報処理装置。
<参考図>
【図8】の抜粋(エリアメッシュへの分割例)
[図:0001425381000001.jpg]
【図16】(絶対座標データの復元について説明する図)
[図:0001425381000002.jpg]
11 送信装置、 61 受信装置
【図18】(受信処理を説明するフローチャート)
[図:0001425381000003.jpg]
【図24】(相対座標データの生成と絶対座標データの復元の例)
[図:0001425381000004.jpg]
(3) 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本技術は、情報処理装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、位置情報のビット数を削減することができるようにした情報処理装置および方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低ビットレートで100ビット程度の少量のペイロードデータを送受信するLPWA(Low Power Wide Area)通信が知られている。
【0003】
例えばLPWA通信を利用して対象物の位置情報を送受信するアプリケーションを考えた場合、位置情報のビット数(大きさ)はできる限り少ないことが望ましい。
【0004】
ところがGNSS(Global Navigation Satellite System)から取得できる位置情報、すなわち位置を示す座標はミリ秒形式を用いた場合、約3cmの精度で緯度方向の情報が30ビット、経度方向の情報が31ビットで合計61ビットとなってしまう。
【0005】
このようなミリ秒形式では2進数の変数域の約36%しか利用されず、座標の変数域を有効利用することができない。また、ミリ秒形式では経度の分解能が緯度に依存して変動してしまうため、座標の情報量が無駄に多くなる。
【0006】
そこで、例えばジオハッシュを用いることにより地理座標の情報圧縮を実現する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、世界全体の地理範囲を階層的に分割して得られる矩形領域のうちの何れかに地理座標が割り当てられて、割り当てられた矩形領域がジオハッシュ符号化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-54183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においても経度の分解能は緯度に依存して変動するため、必要な精度で十分に少ないビット数の位置情報を得ることができなかった。
【0009】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、位置情報のビット数を削減することができるようにするものである。」
「【0024】
エリアメッシュは、例えば図1に示すように略矩形状の領域となっている。ここでは図中、縦方向が緯度方向となっており、図中、横方向が経度方向となっている。」
「【図1】
[図:0001425381000005.jpg]
」
「【0025】
図1の例では領域R11が1つのエリアメッシュとなっており、エリアメッシュの1辺の長さがDとなっている。なお、より詳細にはエリアメッシュの緯度方向の長さと経度方向の長さは異なる長さとなる。また、緯度ごとにエリアメッシュの経度方向の長さが異なる。
【0026】
エリアメッシュの図中、左下の頂点位置、すなわちエリアメッシュにおける経度および緯度が最小となる位置を、エリアメッシュの原点であるエリアメッシュ原点として定義することとする。
…(中略)…
【0028】
BA形式においては、地表面上の対象物の絶対的な位置が、その対象物を含むエリアメッシュを示す情報であるエリアメッシュ番号と、そのエリアメッシュ内における対象物の位置(相対座標)を示す相対座標データとにより表現される。」
「【0076】
そこで、本技術では経度方向については緯度ごとに経度方向のエリアメッシュ分割数が異なるようにした。このようにすることで、最小単位あたりの間隔、つまりLSBによる精度として最低限必要な精度を確保しつつ、緯度に応じて絶対経度座標データのビット数(大きさ)を適切に削減することができるようになる。また、BA形式とすることでDEG形式と比較して変数域の利用効率も向上させることができる。」
「【0253】
以上のようにして受信装置61は、送信装置11から受信した送信データと、自身の位置を示す位置情報とから、送信装置11の絶対的な位置を示すDEG形式の位置情報を得る。この場合、位置情報として、緯度に応じてビット数が変化するBA形式の位置情報を用いることで、必要な精度を確保したままビット数を削減することができる。しかも、送信データとして相対座標データのみを送信することで、エリアメッシュ番号のビット数分だけさらにビット数を削減することができる。」
3 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由2(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由2(進歩性の欠如) 本願発明は、優先日前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.国際公開第2005/001794号(主たる引用文献)
引用文献2.特開2000-181345号公報
引用文献3.米国特許出願公開第2013/0325903号明細書
引用文献5.西岡徹,中野潔,情報通信技術を活用した安全確保システムとNコード,情報処理学会研究報告,社団法人情報処理学会,2007年3月17日,Vol. 2007, No. 30,pp. 1-8
4 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
(1) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、優先日前に発行された文献である国際公開第2005/001794号(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記(4)の引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。
ア 技術分野、背景技術、発明の開示の欄
「技術分野
[0001] 本発明は、従来、新、旧測地系座標の緯度・経度やX、Y座標等の使い難い座標系で表現されていた位置情報と、人が理解しやすい10進法、整数表示を用い、全世界を1つの系で表現できる特開2000-181345号公報に開示されたNコードとを相互変換することによって移動体、地理情報、危機管理、流通、サービス、レジャー観光、防災、教育、環境調査、福祉、資源調査、軍事、その他位置情報が伴う分野において位置情報を効率的に行うことを可能にする座標相互変換モジュールに関する。
[0002] 本明細書では、特開2000-181345号公報における世界メッシュコードをNコードとし、世界メッシュコードで用いられている「メッシュ」を「ユニット」、「細メッシュ」を「メッシュ」と呼称変更する。また、日本測地系座標を旧測地系と表現し、新測地系座標の座標系を新測地系と表現する。なお、新測地系座標とは、日本測地系の世界測地系とのずれを修正した成果品であり、事実上、世界測地系と同一となるため、世界測地系座標と表現する場合もある。
背景技術
…(中略)…
[0024] しかし、分り易い座標とするためには10進法、整数表示など多くの条件を満たす必要がある。このような条件を満たすコード系が開示されている(特開2000-181345号公報参照)。
発明の開示
[0025] しかしながら、特開2000-181345号公報には、世界メッシュコード(Nコード)の利用法について十分に開示されておらず、その普及のためのシステムが必要である。
[0026] そこで、本発明は、Nコードと、新、旧測地系座標の緯度・経度およびそれぞれに対応するX、Y座標からなる群より選択された一の座標系とを変換することで、Nコードを容易に利用することが可能な座標相互変換モジュールを提供することを目的とする。
[0027] さらには、座標相互変換モジュールを適用した、地理情報システム、汎地球測位システム、携帯端末、撮像装置、ナビゲーションシステム、航行制御システム、現場撮影用テレビカメラ、および車両管理システムを提供することを目的とする。
[0028] 本発明の座標相互変換モジュールは、地球を、経度60度毎の経線に沿って東西方向に6分割し、かつ緯線に沿って南北方向に少なくとも3分割する、番号が付された複数のブロック、各ブロックを東西方向および南北方向に略正方形状にそれぞれ100分割する、番号が付された複数のユニット、および各ユニットを東西方向および南北方向に略正方形状にそれぞれ10n分割する、番号が付された複数のメッシュにより分割し、ブロックのブロック番号、ユニットのユニット番号、およびメッシュのメッシュ番号の組み合わせにより位置表示するメッシュコードと、新測地系座標および旧測地系座標の各緯度・経度、新測地系座標および旧測地系座標のそれぞれに対応するX、Y座標の座標値と、を相互に変換する座標相互変換モジュールであって、各緯度・経度と、座標値とを入力する入力手段と、各緯度・経度と、座標値とが、各ブロックの何れのブロック内に位置するかを求めるブロック番号選択手段と、各緯度・経度と、座標値とが、ブロック番号選択手段で求められたブロック内の何れのユニット内に位置するかを求めるユニット番号選択手段と、各緯度・経度と、座標値とが、ユニット番号選択手段で選択されたユニット内の何れのメッシュ内に位置するかを求めるメッシュ番号選択手段と、メッシュコードによる位置に対応する、緯度'経度、座標値を求め出力する出力手段とを有する。
…(中略)…
[0035] また、本発明の座標変換モジュールは、国際的な利用の場合、19座標系ではなく、UTM座標をメッシュコードに変換することも可能である。メッシュコードは、その構造上、例えば、日本国内で使う際にはブロック番号6Aが不要となり、また、ユニットのサイズは約50km四方の大きさを持ため、1つの市外局番で通話可能な領域より遥かに広いエリアをカバーできる。このため、メッシュコードは、約50km四方、すなわち、日常生活における行動範囲内では、ブロック番号およびユニット番号を省略することができるため、桁数が少なくて済む。一方、メッシュコードは、台風情報や外国の位置を表す場合など、50km程度の精度でよい場合にはメッシュ番号を省略することができる。なお以下の説明において、メッシュコードと表現する場合は原則として、前記の如く必要に応じて選択された桁数のメッシュコードを指すものとする。」
イ [0065]~[0072]、図1~図4
「[0065] 以下にNコードの概略、および地図とNコードの親和性について説明する。
[0066] 図1は、Nコードによる世界ブロック図である。」
「[図1]
[図:0001425381000006.jpg]
」
「[0067] Nコードは、世界地図を、東西南北に正方形の領域を基本形状としたブロック番号1A-6Cで示されるブロック80により、経度60度毎の経線に沿って東西方向に6分割し、かつ緯線に沿って南北方向に3分割しており、さらに各ブロック80を東西方向に100分割(00-99)し、南北方向に100分割(00-99)の略正方形状のユニットに分割している。
[0068] Nコードは、電子地図及び紙地図に格子状に記載可能であり、Nコードのブロック80は世界をほぼ文化圏により非常にうまく分割している。図1に示すように、極東は6A、ヨーロッパは4A、北アメリカは2A、南アメリカは3B、アフリカは4B、インドは5B、インドネシアやオーストラリアは6Bに位置する。
[0069] 図2は、図1に示したブロック6A内のユニット80のうち、東西方向32-64、南北方向64-95の領域を示した地図である。図2には、日本全域が表示されており、日本の主要都市をNコードのユニット番号で表すと、例えば、東京は、東西方向の番号49と、南北方向の番号86とを組み合わせた4桁のユニット番号4986で表される。また、札幌は5270、大阪は4288となる。Nコードは、日本全域をNコードの連続数による1つの系により連続的に位置表現できるため、日本を19の原点で分割している平面直角座標に比べ、広域行政などでの有効性が想起できる。」
「[図2]
[図:0001425381000007.jpg]
」
「[0070] 図3は、東京都23区、川崎市、横浜市を含む、ユニット番号4986近辺のユニット81を表示した地図である。1つのユニット81は、1つの市外局番で通話可能な領域より遥かに広い領域を持っている。すなわち、Nコードのユニット81は、市町村レベルで用いる場合、あるいは日常生活における行動範囲を表現する上で十分に有効な領域を有していることを示している。」
「[図3]
[図:0001425381000008.jpg]
」
「[0071] また、Nコードは、10進数の連続数字でユニット、メッシュを表現しているので、ユニットを跨いだ都道府県であっても、隣のコード番号を容易に推定でき、容易に位置を理解することができる。
[0072] 図4は、50km四方からなるユニット番号4288を、1辺5kmのメッシュ311である5kmメッシュによって東西方向および南北方向のそれぞれに10分割した地図である。図4に示すように、ユニット番号4288は、大阪市、堺市といった大阪府の主要部を包含しているため、1つの行政区画内では、電話の市外局番が省かれるのと同様に、ユニット番号4288内では、ユニット番号4288を省略して位置情報を表すことができる。また、Nコードは、陸上海上問わず網羅的に位置表現でき、数字の大小差で2地点間の相対方向と距離が推定できる。」
「[図4]
[図:0001425381000009.jpg]
」
「[0073] 図5は、堺市役所付近の50mメッシュ(1辺50mのメッシュ3111)を示した地図である。市役所やその周辺も建物などの相対位置の方向、距離は、Nコードの差により感覚的に推定できる。」
「[図5]
[図:0001425381000010.jpg]
」
ウ [0079]、[0080]
「[0079] 変換モジュール1は、旧日本測地系座標、および新測地系座標の緯度・経度またはそれぞれに対応するX、Y座標を入力する入力部1a1、Nコード(用途に応じ選択された桁数のNコードを含む)によるブロック番号等を入力するNコード入力部1a2を有する入力部1aと、入力された緯度・経度に対応するブロックを選択するブロック選択部1b1、ユニットを選択するユニット選択部1b2、メッシュを選択するメッシュ選択部1b3と、緯度・経度Nコード変換テーブルとを有する選択部1bと、選択部1bにより選択されたブロック番号、ユニット番号、メッシュ番号より生成されるNコードを出力するコード出力部1c1、およびNコード入力部1a2で入力された、ブロック番号、ユニット番号、メッシュ番号からなるNコードに対応する緯度・経度を求め、出力する緯度・経度出力部1c2を有する出力部1c、を備えている。
[0080] 表1-a中、PANcdNToB(table、Jb、Jl、Jx、Jy、Wb、Wl、Wx、Wy、Int、Nb、Nu、New、Nns)で示される本実施形態の変換モジュールは、旧日本測地系座標、新測地系座標の緯度・経度またはX、Y座標を入力データとして、本発明の変換モジュールに投入することによりNコードを出力するものである。本実施形態の変換モジュールは、引数として、緯度・経度Nコード変換テーブルの他、旧日本測地系の緯度Jb、経度JI、旧日本測地系の平面直角座標のx座標Jx、y座標Jy、新測地系座標の緯度Wb、経度Wl、新測地系座標の平面直角座標のx座標Wx、y座標Wyを入力引数とし、Nコードの、メッシュ縮尺Int、ブロック番号Nb、ユニット番号Nu、東西メッシュ番号New、南北メッシュ番Nnsを出力引数としている。」
エ [0144]
「[0144] 変換モジュール1は、国際的な利用の場合、19座標系ではなく、UTM座標をNコードに変換することも可能である。Nコードは、他の座標系に比較して元々桁数が少なくて済むだけでなく、その構造上、日本国内で使う際にはブロック番号6Aが不要となり、また、ユニットのサイズは約50km四方の大きさを持つため、1つの市外局番で通話可能な領域より遥かに広いエリアをカバーできる。このため、Nコードは、約50km四方、すなわち、日常生活における行動範囲内では、ブロック番号およびユニット番号を省略することができる。一方、Nコードは、台風情報や外国の位置を表す場合など、50km程度の精度でよい場合にはメッシュ番号を省略することができる。このように、変換モジュール1へのNコードの入力桁数は、用途に応じて必要な桁数を選択することができるので、従来に較べ大幅に入力桁数が少なくて済む。つまり、変換モジュール1を有するGIS10は、用途に応じて必要なNコードの桁数を選択することができるので世界文化圏、国、都市、地域、建物、街路灯など、任意の規模での検索を容易にする。」
オ [0173]~[0184]、図17、図18
「[0173] 図17は本実施形態の変換モジュールを備えた携帯端末のブロック構成図を示す図である。」
「[図17]
[図:0001425381000011.jpg]
」
「[0174] 携帯端末60は、変換モジュール1および位置取得部21を有するGPS20と、画像を撮像する撮像部61と、撮像した画像を記録するとともに、画像にNコードを記録する画像記録部62と、データ、音声等を送信する送信部63と、音声によりNコードを入力する、あるいはNコードを音声として出力する音声入出力部64と、Nコード等を表示する表示部65とを有する。携帯端末60としては、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistant)等が挙げられる。
[0175] 図18 (a)は、携帯端末60のGPS初期画面を示す図である。
[0176] 表示部65に表示されたGPS初期画面には、現在地入力6a、目的地入力6b、地図表示6cのボタンが表示される。ここで、例えば、*#を入力すると、画面下部に「4288* 2345#5678」といった具合にGPSで取得した現在置が現在地表示6dに表示され、位置が取得できない場合には、「位置を取得できません」との表示がなされる。また、携帯端末60は、GPSで現在置が取得できない場合や、GPSで取得した現在置とは異なる位置を入力した場合は、画面上の現在地入力6aをクリックすることで位置の入力が可能である。現在置6dの地図が欲しい場合は、地図表示6cをクリックすると、携帯端末60は、現在置を中心とした地図をダウンロードする。また、表示部65の画面は、目的地入力6bがクリックされると、図18(b)に示すナビゲーションモードの画面に切り替わる。」
「[図18]
[図:0001425381000012.jpg]
」
「[0177] 画面の一番下には現在置6dのNコード「4288* 2345#5678」が表示されており、その上方には、目的地のNコードを入力する目的地入力7aが表示されている。携帯端末60は、目的地入力7aの上方に表示された、目的地ボタン7d1、前回ボタン7d2、および検索ボタン7d3のうちから目的地ボタン7d1がクリックして選択され、目的地入力7aに目的地のNコードが入力されると、現在地から目的地までの距離および方向を距離表示7cおよび方向表示7bにそれぞれ表示する。なお、各ユニットは約50km四方の広さを有しており、任意の1地点を中心とした東西、南北50km四方の中では同じメッシュ番号は出てこない。そして、通常、携帯端末におけるナビゲーションでの目的地の位置は、この範囲内であるため、ユーザは、図18(b)の目的地入力7aの例のようにユニット番号は省略し、メッシュ番号だけを入力すればよい。
…(中略)…
[0184] また、携帯電話は、カメラ、GPSが標準で装備されるようになってきており、撮影した写真をメールで送信することが盛んに行われている。携帯端末60も送信部63によりメール送信することができるが、携帯端末60は、GPS20の位置取得部21で取得した位置のNコード、あるいは手入力されたNコードを画像記録部62が画像に写し込み、これを送信部63によりメール送信することができる。携帯端末60は、このNコード付きの画像を表示部65に表示することもできる。」
カ 段落[0202]
「[0202] 以上のようにホームポジション機能は、日常生活における行動範囲内では、ユニット番号を省略してもメッシュ番号を上述したように一義的に決定することができる。この機能は特に携帯電話60に適用すると好適である。ホームポジション機能を備えた変換モジュール1を上述の携帯電話60を有するユーザが、現在地にてホームポジションを設定すると、ユーザの現在地を中心に50km四方の範囲が規定される。この範囲の大きさは日常生活における行動範囲、すなわち、携帯電話が利用されるような行動範囲を十分にカバーする大きさである。よって、携帯電話60のユーザは、変換モジュール1を使用する際、ユニット番号の入力が不要となる。また、携帯電話60は、ユニット番号を省略してメッシュコードを出力することができる。なお、日本国内で使う際にはブロック番号6Aは当然に不要となる。」
(2) 引用文献1が引用する特開2000-181345号公報について
ア 引用文献1における引用文献2の参照
引用文献1の[0002]においては、「本明細書では、特開2000-181345号公報における世界メッシュコードをNコードとし、世界メッシュコードで用いられている「メッシュ」を「ユニット」、「細メッシュ」を「メッシュ」と呼称変更する。」と記載されている。
引用文献1と特開2000-181345号公報(以下「引用文献2」という。)における用語の対応関係は、次のとおりである。
<引用文献1> <引用文献2>
Nコード 世界メッシュコード
ユニット メッシュ
メッシュ 細メッシュ
イ 引用文献2の記載内容
引用文献2を参照すると、段落【0027】~【0029】、【図4】には、次のとおり記載されている。
「【0027】その際に、上記各帯4の任意の緯度におる東西幅Wが赤道5上での経度36分の東西幅W1に当該緯度の余弦値を乗じたものである(図3参照)ことに基づき、隣接する緯線に沿った線2aの間隔は、該隣接する緯線に沿った線2aと隣接する経線に沿った1bとで形成される格子状の各メッシュ6が、常に正方形状になるように引いていく。即ち、隣接する緯線に沿った線2aの間隔、換言すれば南北幅Hを、その緯度での経度36分の東西幅Wと同じにして、各メッシュ6が常に正方形状になるように形成し(図4参照)、そのメッシュ6を赤道5を起点に順次に積み上げていく(上記図2参照)。
【0028】より詳しく説明すれば、上記で隣接する緯線に沿った線2aの間隔をその緯度での経度36分の東西幅Wと同じにしたのは、各帯4の東西幅Wが緯度の高くなるほど次第に狭くなることを考慮したものである。即ち、仮に緯度36分の間隔で、緯線に沿った線2を一律に引いていくと、その間隔は常に一定であるのに対して、緯度が高くなるに連れて隣接する経線に沿った線1bの間隔は狭くなる。これでは、赤道5付近でのメッシュ6の形状は正方形になるが、高緯度になるほどメッシュ6の形状が縦長となり、極圏近くでは縦横比が2.5対1にもなってしまうという不都合が生じ、位置情報をできるだけ正確に示そうとするメッシュコードのメッシュ6の形状として不適当だからである。
【0029】そこで本発明では、赤道5を起点として順次に引く150本の各緯線に沿った線2の間隔を、その緯度での経度36分の東西幅Wと同じにすることにより、各メッシュ6における縦と横の長さがほぼ同一になるようにしている。ここで各メッシュ6を形成する際の基準となる緯度としては、各メッシュ6の南端位置での緯度(南端緯度)を用いて、その東西幅Wを南北幅Hとしてもよい(上記図4参照)。」
「【図4】
[図:0001425381000013.jpg]
」
ウ 引用文献2の参照により記載されているに等しい事項の認定
次の事項は、引用文献1が引用文献2を参照することにより、引用文献1に記載されているに等しい事項であると認められる(以下「引用文献2の参照により記載されているに等しい事項」という。)。
<引用文献2の参照により記載されているに等しい事項>
「各ユニットにおける南北幅は、その緯度での経度36分の東西幅Wと同じになっており、各ユニットは略正方形状であること。」
(3) 図1から読み取れる事項の認定
[0067]には、次の事項が記載されている。
「Nコードは、世界地図を、東西南北に正方形の領域を基本形状としたブロック番号1A-6Cで示されるブロック80により、経度60度毎の経線に沿って東西方向に6分割し、かつ緯線に沿って南北方向に3分割しており、さらに各ブロック80を東西方向に100分割(00-99))し、南北方向に100分割(00-99))の略正方形状のユニットに分割している。」
前記[0067]の記載を踏まえつつ、図1を参照すると、Nコードのブロック番号について、次の事項が読み取れる(以下「図1から読み取れる事項」という。)。
<図1から読み取れる事項>
「ブロック番号1A-6Cにおいて、数字1~6は東西方向の位置を表し、A~Cは南北方向の位置を示すこと。」
[図1](再掲)
[図:0001425381000014.jpg]
(4) 引用発明の認定
前記(1)に摘記した引用文献1の記載事項、前記(2)において認定した引用文献2の参照により記載されているに等しい事項及び前記(3)において認定した図1から読み取れる事項を総合すると、引用文献1には、携帯端末に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明>
変換モジュール1および位置取得部21を有するGPS20と、データ、音声等を送信する送信部63と、Nコード等を表示する表示部65を有する携帯電話等の携帯端末60であって、([0174])
メッシュコードであるNコードは、地球を、経度60度毎の経線に沿って東西方向に6分割し、かつ緯線に沿って南北方向に少なくとも3分割する、番号が付された複数のブロック、各ブロックを東西方向および南北方向に略正方形状にそれぞれ100分割する、番号が付された複数のユニット、および各ユニットを東西方向および南北方向に略正方形状にそれぞれ10n分割する、番号が付された複数のメッシュにより分割し、ブロックのブロック番号、ユニットのユニット番号、およびメッシュのメッシュ番号の組み合わせにより位置表示するものであり、([0028])
変換モジュール1は、緯度・経度またはそれぞれに対応するX、Y座標を入力する入力部1a1とNコード(用途に応じ選択された桁数のNコードを含む)によるブロック番号等を入力するNコード入力部1a2を有する入力部1aと、入力された緯度・経度に対応するブロックを選択するブロック選択部1b1、ユニットを選択するユニット選択部1b2、メッシュを選択するメッシュ選択部1b3と、緯度・経度Nコード変換テーブルとを有する選択部1bと、選択部1bにより選択されたブロック番号、ユニット番号、メッシュ番号より生成されるNコードを出力するコード出力部1c1、およびNコード入力部1a2で入力された、ブロック番号、ユニット番号、メッシュ番号からなるNコードに対応する緯度・経度を求め、出力する緯度・経度出力部1c2を有する出力部1c、を備え、([0079])
ここで、Nコードは、世界地図を、東西南北に正方形の領域を基本形状としたブロック番号1A-6Cで示されるブロック80により、経度60度毎の経線に沿って東西方向に6分割し、かつ緯線に沿って南北方向に3分割しており、さらに各ブロック80を東西方向に100分割(00-99)し、南北方向に100分割(00-99)の略正方形状のユニットに分割しており、([0067])
各ユニットにおける南北幅は、その緯度での経度36分の東西幅Wと同じになっており、各ユニットは略正方形状であり、(「引用文献2の参照により記載されているに等しい事項」)
ブロック番号1A-6Cにおいて、数字1~6は東西方向の位置を表し、A~Cは南北方向の位置を示し、(「図1から読み取れる事項」)
ユニット番号は東西方向の番号と南北方向の番号とを組み合わせた4桁で示され、([0069])
メッシュ番号は東西メッシュ番号New、南北メッシュ番号Nnsで示され、([0080])
表示部65に表示されたGPS初期画面には、現在地入力6a、目的地入力6b、地図表示6cのボタンが表示され、ここで、例えば、*#を入力すると、画面下部に「4288* 2345#5678」といった具合にGPSで取得した現在置が現在地表示6dに表示され、([0176])
表示部65の画面は、目的地入力6bがクリックされると、図18(b)に示すナビゲーションモードの画面に切り替わり、([0176])
画面の一番下には現在置6dのNコード「4288* 2345#5678」が表示されており、その上方には、目的地のNコードを入力する目的地入力7aが表示されており、([0177])
目的地入力7aに目的地のNコードが入力されると、現在地から目的地までの距離および方向を距離表示7cおよび方向表示7bにそれぞれ表示するものであり、目的地の位置はユニット番号は省略しメッシュ番号だけを入力すればよい、([0177])
日常生活における行動範囲内では、ブロック番号およびユニット番号を省略することができる、([0144])
携帯端末60。
5 引用文献3、5の記載事項と技術常識の認定
(1) 引用文献3の記載事項と技術常識Aの認定
ア 引用文献3の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された、優先日前に発行された文献である米国特許出願公開第2013/0325903号明細書(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある(摘記の後の括弧内に合議体が作成した日本語訳を示す。なお、当合議体により、後記イの技術常識Aの認定に直接用いる記載に下線を付した。)。
「FIELD
[0002] The present disclosure relates generally to geographic information systems and more particularly to the organization and processing of geospatial data in a geographic information system.」
(技術分野
[0002] 本開示は、一般に地理情報システムに関し、より詳細には、地理情報システムにおける地理空間データの編成及び処理に関する。)
「[0005] Typical spatial partitioning schemes, such as spatial partitioning schemes used in three-dimensional graphics applications in gaming, spatially partition data into two or three dimensional Cartesian spaces, i.e. boxes in a coordinate system having an x-axis, y-axis, and a z-axis. For a large geographic information system, such as a virtual globe application providing for the rendering of an entire planet or other spheriod (e.g. the Earth, Moon, Mars, etc.), the source data is often available in a spherical projection, i.e. latitude, longitude, and altitude coordinates. Mapping the source data in these cases into a Cartesian spatial partitioning scheme can be cumbersome and non-trivial.」
([0005] ゲームにおける3次元グラフィックスアプリケーションで使用される空間分割方式などの典型的な空間分割方式は、データを2次元又は3次元のデカルト空間、すなわちx軸、y軸及びz軸を有する座標系におけるボックスに空間的に分割する。惑星全体や他の球体(例えば、地球、月、火星など)のレンダリングを提供する仮想地球アプリケーションなどの大規模な地理情報システムでは、ソースデータは、球面投影、すなわち緯度、経度及び高度座標で提供されることが多い。これらの場合にソースデータをデカルト空間分割方式にマッピングすることは、煩雑で容易なことではない。)
「[0006] In addition, existing spatial partitioning schemes associated with spherical or near spherical objects, such as a planet, geoid, or other spheroid, can result in distortions caused by the natural compression of longitude in geographic areas proximate the poles of the spherical or near spherical object. For instance, geographic information systems that spatially partition data using a flat latitude/longitude equirectangular projection of a planet (e.g. a plate carree) to map an image to the spherical surface of the planet can result in tessellation problems in areas adjacent the poles of the planet. For instance, the tessellation of the Earth into a quadtree data structure with each quad node being square in terms of latitude and longitude can result in compression of the quad node at geographic locations adjacent the poles. Indeed quad nodes that touch the poles can become triangles, resulting in reduced image quality when viewing imagery of the poles in the interactive geographic information system.」
([0006] さらに、惑星、ジオイドその他の回転楕円体などの球形又はほぼ球形の物体に関連付けられた既存の空間分割方式は、球形又はほぼ球形の物体の極に近接する地理的領域における経度の自然圧縮によって引き起こされる歪みが生じる。例えば、惑星の緯度経度を平面的に表す正距円筒図法(例:Plate Carree図法)を用いてデータを空間的に分割し、画像を惑星の球面にマッピングする地理情報システムでは、惑星の極に隣接する領域でテッセレーション(平面充填)の問題をもたらし得る。例えば、地球を四分木データ構造にテッセレーションし、各四分木ノードを緯度経度に関して正方形にすると、極に隣接する地理的位置では四分木ノードが圧縮される可能性がある。実際、極に接する四分木ノードは三角形になり、インタラクティブな地理情報システムで極の画像を表示すると画質が低下する。)
「[0038] Special partitioning rules can be provided in the hierarchical spatial partitioning scheme for geospatial locations proximate the poles. The hierarchical spatial partitioning scheme can provide for the modified quadtree tessellation of geospatial objects, such as two-dimensional “tiles” or three-dimensional discrete geospatial volumes, along axes of latitude and longitude at areas proximate the poles. Instead of partitioning a geospatial object located adjacent the pole into quadrants as provided in a typical quadtree tessellation, the areas proximate the poles can be spatially partitioned in a tritree.」
([0038] 特別な分割規則が、極に近接する地理空間位置の階層的空間分割法において提供することができる。階層的空間分割方式は、極に近接するエリアにおける緯度及び経度の軸に沿った、2次元「タイル」又は3次元離散地理空間ボリュームなどの地理空間オブジェクトの修正四分木テッセレーションを提供することができる。典型的な四分木テッセレーションのように極に隣接する地理空間オブジェクトを四象限に分割する代わりに、極に近接する領域を三分木に分割することができる。)
「[0039] In tritree spatial partitioning, each geospatial object that is located adjacent the pole is subdivided into three child geospatial objects-the usual two child geospatial objects located away from the pole but only one child geospatial object located adjacent the pole. The child geospatial object located adjacent the pole has the same longitudinal extent of its parent and spans the combined longitudinal extent of the child geospatial objects located away from the pole. This can reduce longitudinal compression and improve the aspect ratio of geospatial objects located adjacent the poles.」
([0039] 三分木空間分割では、極に隣接する各地理空間オブジェクトは、三つの子地理空間オブジェクト、すなわち、極から離れた通常の二つの子地理空間オブジェクトと、極に隣接するただ一つの子地理空間オブジェクトに細分される。極に隣接する子地理空間オブジェクトは、その親と同じ経度方向長さを有し、極から離れた子地理空間オブジェクトを合わせた経度方向長さを有する。これにより、経度方向の圧縮を低減し、極に隣接する地理空間オブジェクトのアスペクト比を改善することができる。)
「[0119] FIGS. 11A-11C depict exemplary tritree partitioning for a globe being initiated at a higher level in the spatial partitioning hierarchy where there are eight polar tiles A, B, C, D, E, F, G, and H. In particular, FIG. 11A depicts the latitudinal and longitudinal tessellation of an equirectangular projection of a virtual globe at level 3 in a spatial partitioning hierarchy. As shown, the virtual globe has been tessellated in quadtree into eight geospatial objects or “tiles” A, B, C, D, E, F, G, and H Each of the eight tiles A, B, C, D, E, F, G, and H is associated with a geospatial location adjacent to a pole of the virtual globe.」
([0119] 図11A~図11Cは、八つの極タイルA、B、C、D、E、F、G、Hがある空間区分階層においてより高いレベルで開始されている地球の例示的な三分木分割を示す。特に、図11Aは、空間分割階層におけるレベル3での仮想地球の正距円筒射影の緯度及び経度のテッセレーションを示す。図示されるように、仮想地球は、四分木において八つの地理空間オブジェクト又は「タイル」A、B、C、D、E、F、G、Hにテッセレートされている。八つのタイルA、B、C、D、E、F、G、Hの各々は、仮想地球の極に隣接する地理空間位置に関連付けられる。)
「
[図:0001425381000015.jpg]
」
「[0120] As shown in FIG. 11B, tritree partitioning begins after level 3 (i.e. level 4 and higher) in the spatial partitioning hierarchy. Each of the polar tiles A, B, C, D, E, F, G, and H is spatially partitioned in a tritree into three sub-tiles. One sub-tile is located adjacent the pole while the other two sub-tiles are located away from the pole. This results in eight tiles adjacent the pole, namely polar tiles A2, B2, C2, D2, E0, F0, G0, and H0. As one example, tile A is partitioned into sub-tiles A2, A0 and A1. The sub-tile A2 is located adjacent the pole and constitutes a polar tile. Sub-tiles A0 and A1 are located away from the pole. The polar tile A2 can be considered to have merged with or absorbed its neighboring tile to the east (e.g. the A3) and has the same longitudinal extent as its parent tile A. The polar tile A2 also spans the combined longitudinal extent of the sub-tiles A0 and A1.」
([0120] 図11Bに示されるように、三分木分割は、空間分割階層におけるレベル3の後(すなわち、レベル4以上)から開始する。極タイルA、B、C、D、E、F、G、Hの各々は、三分木において三つのサブタイルに空間的に区分される。一つのサブタイルは極に隣接して配置され、他の二つのサブタイルは極から離れて配置される。この結果、極に隣接する八つのタイル、すなわち極タイルA2、B2、C2、D2、E0、F0、G0、及びH0が得られる。一例として、タイルAはサブタイルA2、A0及びA1に分割される。サブタイルA2は極に隣接して配置され、極タイルを構成する。サブタイルA0及びA1は、極から離れて位置する。極タイルA2は、東に隣接するタイル(例えば、A3)と融合又はを吸収したと考えることができ、その親タイルAと同じ経度方向長さを有する。極タイルA2はまた、サブタイルA0及びA1を合わせた経度の範囲に広がっている。)
「
[図:0001425381000016.jpg]
」
「[0121] Referring to FIG. 11C, each of the polar tiles A2, B2, C2, D2, E0, F0, G0, and H0 located adjacent to the pole are further partitioned in tritree into three sub-tiles. This results in eight polar tiles being located adjacent the poles, namely A2,2, B2,2, C2,2, D2,2, E0,0, F0,0, G0,0, and H0,0. The remaining tiles are partitioned into four sub-tiles according to a typical quadtree tessellation. As one example, tile A2 is partitioned into sub-tiles A2,2 A2,0 and A2,1. The sub-tile A2,2 is located adjacent the pole and is a polar sub-tile. The sub-tiles A2,0 and A2,1 are located away from the poles. The sub-tile A2,2 can be considered to have merged with or absorbed its neighboring tile to the east (e.g. the A2,3) and has the same longitudinal extent as its parent tile A2. The sub-tile A2,2 also spans the combined longitudinal extent of the geospatial objects A2,0 and A2,1. Each of the sub-tiles A2,2, A2,0, and A2,1 are stored in child nodes relative to the tile A2.」
([0121] 図11Cを参照すると、極に隣接して配置された極タイルA2、B2、C2、D2、E0、F0、G0及びH0の各々は、三分木において三つのサブタイルに更に分割される。この結果、八つの極タイル、すなわちA2,2、B2,2、C2,2、D2,2、E0,0、F0,0、G0,0及びH0,0が極に隣接して配置される。残りのタイルは、典型的な四分木テッセレーションに従って四つのサブタイルに分割される。一例として、タイルA2はサブタイルA2,2、A2,0及びA2,1に分割される。サブタイルA2,2は、極に隣接して位置する極サブタイルである。サブタイルA2,0及びA2,1は極から離れて位置する。サブタイルA2,2は、東に隣接するタイル(例えば、A2,3)と融合又はを吸収したと考えることができ、その親タイルA2と同じ経度方向長さを有する。サブタイルA2,2はまた、地理空間オブジェクトA2,0及びA2,1を合わせた経度の範囲に広がっている。サブタイルA2,2、A2,0及びA2,1のそれぞれは、タイルA2に関係づけられた子ノードに格納される。)
「
[図:0001425381000017.jpg]
」
イ 技術常識Aの認定
前記アに摘記した引用文献3の記載事項に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であったと認められる(以下「技術常識A」という。)。
<技術常識A>
「経度方向の圧縮に起因する図形の歪みを小さくするために、緯度方向の位置に応じて経度方向の分割数が変化するように地球表面を分割すること。」
(2) 引用文献5の記載事項
ア 引用文献5の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された、優先日前に発行された文献である「西岡徹,中野潔,情報通信技術を活用した安全確保システムとNコード,情報処理学会研究報告,社団法人情報処理学会,2007年3月17日,Vol. 2007, No. 30,pp. 1-8」(以下「引用文献5」という。)には、次の事項が記載されている(なお、当合議体により、後記ウの技術事項の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。
「3.3.Nコードによる日本国内の位置指定
…(中略)…
大阪の場合、大阪府の主要部が[4288]の中に包含される。1つの行政区画内では電話の市外局番と同じように普段は省けるため、大きく桁数を減らすことができる。さらに例えば、4288の4-5は5km四方の地区を表すことになる。堺市役所は4288/471-530と表現できる。後半の3桁-3桁の部分により50m四方の精度で特定することができる。」
「
[図:0001425381000018.jpg]
」
「4.1.Nコードの効用
…(中略)…
Nコードがわかると、提携会社のウェブサイトでも地図が確認できるし、Nコードを書き入れた紙の地図でも確認できる。
…(中略)…
4.2.Nコードを活用した児童安全確保システム
…(中略)…
4.2.2.保護者がアクションを起こしたときの仕組み
図8は保護者の携帯電話から子どもの携帯電話の位置を知るという機能の説明である。保護者が子どものキッズ携帯の場所を検索する。検索結果は、Nコードで返ってくる。
子どもが連れ去られた場合、移動するにつれて、連続して数字が変化していく。たとえば、居住地のA市で誘拐されて、遠方のB市に連れて行かれたとする。B市の地図で表示されても,B市に馴染みのない人の行動の助けにはなりにくい。Nコードであれば,自分の位置、子どもの位置、その相対関係を知ってから、地図で確認することができる。相対関係が、リアルタイムで、わかりやすい形で示されるので、保護者自身が直接その場に迎えにいくことが容易になった。」
「
[図:0001425381000019.jpg]
」
イ 図8から読み取れる事項
図8には、子どもの近くに「5532-6483」、「5573-6491」、「5587-6521」というNコードが記載されていることから、前記アの記載を踏まえると、図8から次の事項を読み取ることができる(以下「図8から読み取れる事項」という。)。
<図8から読み取れる事項>
「保護者の携帯電話から何らかの通信手段によってキッズ携帯の位置情報を検索すると、検索結果がブロック番号及びメッシュ番号が省略されたNコードで返ってくること。」
ウ 引用文献5技術事項の認定
前記アに示した引用文献5の記載事項及び前記イにおいて認定した図8から読み取れる事項を総合すると、引用文献5には、次に示す技術事項(以下「引用文献5技術事項」という。)が記載されていると認められる。
[引用文献5技術事項]
「保護者の携帯電話から子どものキッズ携帯の場所を検索すると、検索結果がブロック番号及びメッシュ番号が省略されたNコードで返ってきて、
返ってきたNコードを利用して提携会社のウェブサイトの地図やNコードを書き入れた紙の地図から子どもの携帯電話の位置を確認する方法。」
6 本願発明と引用発明の対比
(1) 対比分析
本願発明と引用発明を対比する。
ア 構成Xの観点(情報処理装置)
「情報処理装置」の発明である本願発明と「携帯端末」の発明である引用発明は、情報処理装置」の発明である点において一致する。
イ 構成Aの観点(取得部)
(ア) 構成Aは、「対象領域における対象物である自身の位置を示す第1の位置情報を取得する取得部」を備えることである。
(イ) 引用発明においては「GPSで取得した現在置が現在地表示6dに表示[される]」から([0176])、引用発明における「位置取得部21を有するGPS20」([0174])は、本願発明における「対象領域における対象物である自身の位置を示す第1の位置情報を取得する取得部」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明は、構成Aの観点、すなわち次の構成を備える点において一致する。
「対象領域における対象物である自身の位置を示す第1の位置情報を取得する取得部」
ウ 構成Bの観点(生成部)
(ア) 構成B0aの観点
a 構成B0aは、「前記対象領域における第1の方向の位置に応じて第2の方向の分割数が変化するように前記対象領域を前記第1の方向および前記第2の方向に分割して得られる複数のエリアメッシュのうち、前記対象物が含まれる対象エリアメッシュを示すエリアメッシュ情報と、前記対象エリアメッシュにおける前記対象物の位置を示す相対位置情報とからなる第2の位置情報」である。
b(a) 引用発明における「Nコード」は、「地球を、経度60度毎の経線に沿って東西方向に6分割し、かつ緯線に沿って南北方向に少なくとも3分割する、番号が付された複数のブロック、各ブロックを東西方向および南北方向に略正方形状にそれぞれ100分割する、番号が付された複数のユニット、および各ユニットを東西方向および南北方向に略正方形状にそれぞれ10n分割する、番号が付された複数のメッシュにより分割し、ブロックのブロック番号、ユニットのユニット番号、およびメッシュのメッシュ番号の組み合わせにより位置表示するものであ[る]」([0028])。
(b) 引用発明における「南北方向」及び「東西方向」は、本願発明における「第1の方向」及び「第2の方向」に相当する。
(c) そして、引用発明における「番号が付された複数のユニット」は「各ブロックを東西方向および南北方向に略正方形状にそれぞれ100分割する」ものであるから、本願発明における「前記対象領域を前記第1の方向および前記第2の方向に分割して得られる複数のエリアメッシュ」に相当する。
(d) 本願発明の複数のエリアメッシュは「前記対象領域における第1の方向の位置に応じて第2の方向の分割数が変化するように前記対象領域を前記第1の方向および前記第2の方向に分割して得られる」ところ、請求項1の記載においては、必ずしも明瞭ではないが、本願明細書の段落【0024】を参酌すると、「略矩形状の領域となっている」ようにすることが目的であると認められる。
他方、引用発明においても、「複数のユニット」は「略正方形」であるから、本願発明の「複数のエリアメッシュ」と引用発明の「複数のユニット」は、「略矩形状の領域となっている」点において共通する。
(e) しかし、本願発明においては、「前記対象領域における第1の方向の位置に応じて第2の方向の分割数が変化するように」分割するものであるのに対して、引用発明においては、「各ユニットにおける南北幅は、その緯度での経度36分の東西幅Wと同じになって[いる]」(「引用文献2の参照により記載されているに等しい事項」)から、前記対象領域における第1の方向の位置に応じて第1の方向の長さが変化するように分割するものである点において、両者は異なっている。
c(a) 引用発明における「ブロック番号」と「ユニット番号」を合わせたものは、本願発明における「エリアメッシュ情報」に相当する。
(b) そして、引用発明における「メッシュ番号」は、本願発明における「相対位置情報」に相当する。
(c) そして、引用発明における「現在置」に対応する「Nコード」は、「前記対象物が含まれる対象エリアメッシュを示すエリアメッシュ情報と、前記対象エリアメッシュにおける前記対象物の位置を示す相対位置情報とからなる第2の位置情報」に相当する。
d 前記b及びcの検討結果をまとめると、本願発明と引用発明の構成B0aの観点における一致点及び相違点は、それぞれ次の(a)及び(b)に示すとおりである。
(a) 構成B0aの観点における一致点
「略矩形状の領域となっているように、前記対象領域を前記第1の方向および前記第2の方向に分割して得られる複数のエリアメッシュのうち、前記対象物が含まれる対象エリアメッシュを示すエリアメッシュ情報と、前記対象エリアメッシュにおける前記対象物の位置を示す相対位置情報とからなる第2の位置情報」である点。
(b) 構成B0aの観点における相違点
複数のエリアメッシュが略矩形状の領域となっているように分割する方法が、
本願発明においては、「前記対象領域における第1の方向の位置に応じて第2の方向の分割数が変化するように」分割するものであるのに対して、
引用発明においては、前記対象領域における第1の方向の位置に応じて第1の方向の長さが変化するように分割するものである点。
(イ) 構成B1aの観点
a 構成B1aは、「前記対象領域における前記対象エリアメッシュの前記第1の方向の位置を示す前記エリアメッシュ情報としての第1のエリアメッシュ情報と、その前記第1のエリアメッシュ情報に付加された、前記対象エリアメッシュにおける前記対象物の前記第1の方向の位置を示す前記相対位置情報としての第1の相対位置情報とからなり、前記対象領域における前記対象物の前記第1の方向の絶対的な位置を示す第1の絶対位置情報」である。
b 引用発明におけるNコードの「ブロック番号1A-6C」のアルファベットの部分及びユニット番号における南北方向の番号は、本願発明における「前記対象領域における前記対象エリアメッシュの前記第1の方向の位置を示す前記エリアメッシュ情報としての第1のエリアメッシュ情報」に相当する。
c そして、引用発明における「南北メッシュ番号Nns」は、本願発明における「その前記第1のエリアメッシュ情報に付加された、前記対象エリアメッシュにおける前記対象物の前記第1の方向の位置を示す前記相対位置情報としての第1の相対位置情報」に相当する。
d そして、引用発明におけるNコードの「ブロック番号1A-6C」のアルファベットの部分及びユニット番号における南北方向の番号並びに「南北メッシュ番号Nns」は、全体として、全メッシュの中から、メッシュを南北方向で一意に特定するものであるから、本願発明にいうところの「前記対象領域における前記対象物の前記第1の方向の絶対的な位置を示す」ものであるといえる。
e 前記b~dの検討結果を踏まえると、本願発明と引用発明は、構成B1aの観点において、次の点において一致する。
「前記対象領域における前記対象エリアメッシュの前記第1の方向の位置を示す前記エリアメッシュ情報としての第1のエリアメッシュ情報と、その前記第1のエリアメッシュ情報に付加された、前記対象エリアメッシュにおける前記対象物の前記第1の方向の位置を示す前記相対位置情報としての第1の相対位置情報とからなり、前記対象領域における前記対象物の前記第1の方向の絶対的な位置を示す第1の絶対位置情報」である点。
(ウ) 構成B1bの観点
a 構成B1bは、「前記対象領域における前記対象エリアメッシュの前記第2の方向の位置を示す前記エリアメッシュ情報としての第2のエリアメッシュ情報と、その前記第2のエリアメッシュ情報に付加された、前記対象エリアメッシュにおける前記対象物の前記第2の方向の位置を示す前記相対位置情報としての第2の相対位置情報とからなり、前記対象領域における前記対象物の前記第2の方向の絶対的な位置を示す第2の絶対位置情報」である。
b 引用発明におけるNコードの「ブロック番号1A-6C」の数字の部分及びユニット番号における東西方向の番号は、本願発明における「前記対象領域における前記対象エリアメッシュの前記第2の方向の位置を示す前記エリアメッシュ情報としての第2のエリアメッシュ情報」に相当する。
c そして、引用発明における「東西メッシュ番号New」は、本願発明における「その前記第2のエリアメッシュ情報に付加された、前記対象エリアメッシュにおける前記対象物の前記第2の方向の位置を示す前記相対位置情報としての第2の相対位置情報」に相当する。
d そして、引用発明におけるNコードの「ブロック番号1A-6C」の数字の部分及びユニット番号における東西方向の番号並びに「東西メッシュ番号New」は、全体として、全メッシュの中から、メッシュを東西方向で一意に特定するものであるから、本願発明にいうところの「前記対象領域における前記対象物の前記第2の方向の絶対的な位置を示す」ものであるといえる。
e 前記b~dの検討結果を踏まえると、本願発明と引用発明は、構成B1bの観点において、次の点において一致する。
「前記対象領域における前記対象エリアメッシュの前記第2の方向の位置を示す前記エリアメッシュ情報としての第2のエリアメッシュ情報と、その前記第2のエリアメッシュ情報に付加された、前記対象エリアメッシュにおける前記対象物の前記第2の方向の位置を示す前記相対位置情報としての第2の相対位置情報とからなり、前記対象領域における前記対象物の前記第2の方向の絶対的な位置を示す第2の絶対位置情報」である点。
(エ) 構成B0bの観点
a 構成B0bは、「第2の位置情報を前記第1の位置情報に基づいて生成する生成部」を備える点である。
b 引用発明においては、「*#を入力すると、画面下部に「4288* 2345#5678」といった具合にGPSで取得した現在置が現在地表示6dに表示され[る]」([0176])から、本願発明における「第2の位置情報を前記第1の位置情報に基づいて生成する生成部」に相当する構成を備えることは明らかである。
c そうすると、本願発明と引用発明は、構成B0bの観点において、次の点において一致する。
「第2の位置情報を前記第1の位置情報に基づいて生成する生成部」を備える点。
エ 構成Cの観点(通信部及び生成部)
(ア) 構成Cは、「他の対象物の前記第1の相対位置情報および前記第2の相対位置情報を受信する通信部とを備え、前記生成部は、前記対象物の前記第1のエリアメッシュ情報および前記第2のエリアメッシュ情報と、前記他の対象物の前記第1の相対位置情報および前記第2の相対位置情報とに基づいて、前記他の対象物の前記第2の位置情報を生成する」ことである。
(イ) 引用発明は「データ、音声等を送信する送信部」を備えた携帯端末であるから、「通信部」を備えるものである。
(ウ) そうすると、本願発明と引用発明の構成Cの観点における一致点及び相違点は、次のa及びbのとおりである。
a 構成Cの観点における一致点
「通信部」を備える点。
b 構成Cの観点における相違点
本願発明においては、
通信部は「他の対象物の前記第1の相対位置情報および前記第2の相対位置情報を受信」し、
生成部は「前記対象物の前記第1のエリアメッシュ情報および前記第2のエリアメッシュ情報と、前記他の対象物の前記第1の相対位置情報および前記第2の相対位置情報とに基づいて、前記他の対象物の前記第2の位置情報を生成する」のに対して、
引用発明の携帯端末は、これに相当する処理を行うものではない点。
(2) 一致点及び相違点
前記(1)の対比分析の結果をまとめると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次のア及びイに示すとおりである(なお、見易いように適宜改行を入れている。)。
ア 一致点
「対象領域における対象物である自身の位置を示す第1の位置情報を取得する取得部と、
略矩形状の領域となっているように、前記対象領域を前記第1の方向および前記第2の方向に分割して得られる複数のエリアメッシュのうち、前記対象物が含まれる対象エリアメッシュを示すエリアメッシュ情報と、前記対象エリアメッシュにおける前記対象物の位置を示す相対位置情報とからなる第2の位置情報であって、
前記対象領域における前記対象エリアメッシュの前記第1の方向の位置を示す前記エリアメッシュ情報としての第1のエリアメッシュ情報と、その前記第1のエリアメッシュ情報に付加された、前記対象エリアメッシュにおける前記対象物の前記第1の方向の位置を示す前記相対位置情報としての第1の相対位置情報とからなり、前記対象領域における前記対象物の前記第1の方向の絶対的な位置を示す第1の絶対位置情報、
および前記対象領域における前記対象エリアメッシュの前記第2の方向の位置を示す前記エリアメッシュ情報としての第2のエリアメッシュ情報と、その前記第2のエリアメッシュ情報に付加された、前記対象エリアメッシュにおける前記対象物の前記第2の方向の位置を示す前記相対位置情報としての第2の相対位置情報とからなり、前記対象領域における前記対象物の前記第2の方向の絶対的な位置を示す第2の絶対位置情報
からなる第2の位置情報を
前記第1の位置情報に基づいて生成する生成部と、
通信部と
を備える情報処理装置」の発明である点。
イ 相違点
(ア) 相違点1(構成B0aの観点における相違点)
複数のエリアメッシュが略矩形状の領域となっているように分割する方法が、
本願発明においては、「前記対象領域における第1の方向の位置に応じて第2の方向の分割数が変化するように」分割するものであるのに対して、
引用発明においては、前記対象領域における第1の方向の位置に応じて第1の方向の長さが変化するように分割するものである点。
(イ) 相違点2(構成Cの観点における相違点)
本願発明においては、
通信部は「他の対象物の前記第1の相対位置情報および前記第2の相対位置情報を受信」し、
生成部は「前記対象物の前記第1のエリアメッシュ情報および前記第2のエリアメッシュ情報と、前記他の対象物の前記第1の相対位置情報および前記第2の相対位置情報とに基づいて、前記他の対象物の前記第2の位置情報を生成する」のに対して、
引用発明においては、これに相当する処理を行うものではない点。
7 判断
(1) 相違点1について
ア 引用発明におけるNコードは、各ユニットが略正方形状、すなわち、縦と横の長さをほぼ同一になるようにしているものである。
イ ここで、前記5(1)イにおいて、技術常識Aとして認定したとおり、「経度方向の圧縮に起因する図形の歪みを小さくするために、緯度方向の位置に応じて経度方向の分割数が変化するように地球表面を分割すること」は、技術常識である。
ウ そうすると、各ユニットの縦と横の長さをほぼ同一となるように地球表面を分割するための手段として、引用発明における「前記対象領域における第1の方向の位置に応じて第1の方向の長さが変化するように分割すること」(前記6(1)ウ(ア)b(e)参照)に代えて、技術常識Aを採用して、「緯度方向の位置に応じて経度方向の分割数が変化するように地球表面を分割する」ようにすることは、当業者にとっては、適宜なし得る設計変更にすぎない。
エ したがって、引用発明において、技術常識Aを踏まえて、設計変更し、相違点1に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(2) 相違点2について
ア 前記5(2)ウにおいて「引用文献5技術事項」として示したとおり、引用文献5には、「保護者の携帯電話から子どものキッズ携帯の場所を検索すると、検索結果がブロック番号及びメッシュ番号を省いたNコードで返ってきて、返ってきたNコードを利用して提携会社のウェブサイトの地図やNコードを書き入れた紙の地図から子どもの携帯電話の位置を確認する方法」が記載されている。
イ そして、引用発明と引用文献5技術事項は、いずれもNコードを位置情報として利用する携帯端末に関するという点で、技術分野が関連している。
ウ そうすると、引用発明に引用文献5技術事項を適用し、引用発明の携帯端末で子どものキッズ携帯の場所を検索すると、携帯端末の通信部によって検索結果がブロック番号及びメッシュ番号を省いたNコードで返ってきて、返ってきたNコードを利用して提携会社のウェブサイトの地図やNコードを書き入れた紙の地図から子どもの携帯電話の位置を確認することができるように構成することは、当業者が容易に想到する事項である。
エ その際、例えば、[4288]で表されるユニットの境界付近では、他のユニットに移動している可能性があることは、あまりにも自明であり、キッズ携帯の場所を検索することの目的の重大性に鑑みれば、通常なら[4288]で表されるユニットの境界内であって、当該ユニットの境界近辺に居るような場合に、近接する他のユニットに移動したとしても位置が特定できるようにすべきことは、当業者ならずとも、一般人にとってさえ自明のことである。
オ そうすると、キッズ携帯からブロック番号及びメッシュ番号が省略されたNコードを「保護者の携帯電話」が受信した場合に、キッズ携帯から送られたブロック番号及びメッシュ番号が省略されたNコードと「保護者の携帯電話」の現在地のブロック番号及びメッシュ番号を用いて、キッズ携帯のブロック番号やメッシュ番号も含むNコードを推定することは、ごくごく自然の配慮事項にすぎない。
カ すなわち、引用発明に引用文献5技術事項を適用し、「保護者の携帯電話」の通信部はキッズ携帯(「他の対象物」に相当する。)の「ブロック番号及びメッシュ番号が省略されたNコード」(「第1の相対位置情報および前記第2の相対位置情報」に相当する。)を受信して、「保護者の携帯電話」の生成部は「保護者の携帯電話」の現在地のブロック番号及びメッシュ番号(「前記対象物の前記第1のエリアメッシュ情報および前記第2のエリアメッシュ情報」に相当する。)と、キッズ携帯の「ブロック番号及びメッシュ番号が省略されたNコード」(「前記他の対象物の前記第1の相対位置情報および前記第2の相対位置情報」に相当する。)とに基づいて、キッズ携帯のブロック番号やメッシュ番号も含むNコード(「前記他の対象物の前記第2の位置情報」に相当する。)を生成するようにして、前記相違点2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(3) 総合評価
前記(1)及び(2)において検討したとおり、引用発明において、前記相違点1及び相違点2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、引用文献5技術事項及び技術常識Aに基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献5技術事項及び技術常識Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
8 請求人の主張について
(1) 請求人の主張内容
請求人は、審判請求書において、次のとおり主張している。
本願発明の特徴は「特に、他の対象物の第1の相対位置情報および第2の相対位置情報を受信すること、対象物の第1のエリアメッシュ情報および第2のエリアメッシュ情報と、他の対象物の第1の相対位置情報および第2の相対位置情報とに基づいて、他の対象物の第2の位置情報を生成すること」であるのに対し、引用発明は「予めホームポジションを設定しておけば、そのホームポジションを含む日常生活の行動範囲(範囲P)内では、ユニット番号を省略することができるが、そうでない場合には、ユニット番号を省略することはできない。したがって、仮に引用発明に引用文献5に記載された技術を適用したとしても、日常生活の行動範囲外においては、Nコードの一部を省略することはできない。
(2) 請求人の主張についての検討
請求人の主張は、前記相違点2の想到の困難性を主張するものであるが、相違点2が引用発明及び引用文献5技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たことは、前記7(2)に示すとおりであるから、前記請求人の主張は、前記7(3)の結論を左右するものではない。
9 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-006008