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特許拒絶査定不服審判

2024-002413

血管内部位から閉塞性物質を除去する装置および方法

審判番号
2024-002413
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-560794
請求日
2024年02月13日
審決日
2025年05月29日
公報発行日
2025年11月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】インセプト・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
  • 【請求人代理人】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 平瀬 知明
  • 審判官 安井 寿儀
  • 審判官 栗山 卓也
分類
P18 .121-Z (A61B) / P18 .56 -Z (A61B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第1号
データ出所
審決公報(XML)

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特願2020-560794「血管内部位から閉塞性物質を除去する装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 元年11月 7日国際公開、WO2019/212984、令和 3年 9月 2日国内公表、特表2021-522885〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(平成31年) 4月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年 5月 1日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 令和 2年12月28日提出:翻訳文 令和 4年 4月27日提出:手続補正書 令和 5年 3月10日付け:拒絶理由通知書 同年 9月14日提出:意見書及び誤訳訂正書 同年 9月28日付け:拒絶査定 令和 6年 2月13日提出:審判請求書及び手続補正書 第2 令和 6年 2月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和 6年 2月13日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1の記載を、次のとおり補正することを含むものである(下線部は、補正箇所である。)。 「【請求項1】 非外傷性ナビゲーション用先端部を有する神経血管カテーテルであって、 長手方向軸および遠位ゾーンを含む管状体を含み、前記遠位ゾーンが、 前記管状体の前記長手方向軸に対して約55度から約65度までの範囲内の第1角度を形成するカテーテル遠位面と、 内側ライナと、 前記内側ライナを取り囲み、遠位端を含む支持体と; 前記支持体を取り囲み、前記支持体の前記遠位端を越えて遠位に延びて、前記カテーテル遠位面で終端するジャケットと、 前記支持体の前記遠位端と前記カテーテル遠位面との間で前記ジャケット内に埋め込まれた放射線不透過性マーカであって、 前記管状体の前記長手方向軸に対してほぼ垂直な近位面と、 前記管状体の前記長手方向軸に対して約55度から約65度までの範囲内の第2角度を形成し、前記カテーテル遠位面にほぼ平行である遠位面と、 前記放射線不透過マーカの前記近位面と前記遠位面の間で延び、かつ約0.2mmと約4mmの間の長さを有する第1側壁と、 前記放射線不透過マーカの前記近位面と前記遠位面の間で延び、前記第1側壁対し前記放射線不透過マーカの反対側にあり、かつ約1mmと約5mmの間の長さを有する第2側壁と、を含む、放射線不透過性マーカと、 軸方向に延びるフィラメントを含む張力支持体であって、前記軸方向に延びるフィラメントが前記内側ライナと前記支持体との間に支持される張力支持体と、を含む、神経血管カテーテル。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和 5年 9月14日にされた誤訳訂正により訂正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 非外傷性ナビゲーション用先端部を有する神経血管カテーテルであって、 長手方向軸および遠位ゾーンを含む管状体を含み、前記遠位ゾーンが、 前記管状体の前記長手方向軸に対して約55度から約65度までの範囲内の第1角度を形成するカテーテル遠位面と、 内側ライナと、 前記内側ライナを取り囲み、遠位端を含む支持体と; 前記支持体を取り囲み、前記支持体の前記遠位端を越えて遠位に延びて、前記カテール遠位面で終端するジャケットと、 前記支持体の前記遠位端と前記カテーテル遠位面との間で前記ジャケット内に埋め込まれた放射線不透過性マーカであって、 前記管状体の前記長手方向軸に対してほぼ垂直な近位面と、 前記管状体の前記長手方向軸に対して約55度から約65度までの範囲内の第2角度を形成し、前記カテーテル遠位面にほぼ平行である遠位面と、を含む、放射線不透過性マーカと、 軸方向に延びるフィラメントを含む張力支持体であって、前記軸方向に延びるフィラメントが前記内側ライナと前記支持体との間に支持され、かつ前記内側ライナの周りにらせんを形成する張力支持体と、を含む、神経血管カテーテル。」 2 補正の適否 本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「軸方向に延びるフィラメントを含む張力支持体」について、フィラメントが「内側ライナの周りにらせんを形成する」ことを削除する補正事項を含むものである。 そして、当該補正事項は、直列的に記載された発明特定事項の一部を削除するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものには当たらない。また、特許法第17条の2第5項第1号(請求項の削除)、同第3号(誤記の訂正)及び同第4号(明りょうでない記載の釈明)を目的とするものでもない。 よって、上記補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものではない。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和 6年 2月13日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の各請求項に係る発明は、令和 5年 9月14日にされた誤訳訂正により訂正された特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)に記載されたとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、概略、次の理由を含むものである。 本願発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1 米国特許出願公開第2017/0239447号明細書 3 当審の判断 (1)引用文献1の記載事項 ア 引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、和訳及び下線は当審で付与したものである。)。 (ア)「[0009] ・・・Suctioning of the clot has also been used with single-lumen catheters and syringes or aspiration pumps, with or without adjunct disruption of the clot.・・・」 (当審訳) [0009] ・・・血餅の吸引はまた、単一管腔カテーテル、及びシリンジ又は吸引ポンプを使用して行われており、血餅の破壊を伴うこともあれば伴わないこともある。・・・ (イ)「[0133] Tortuous vasculature is a common reason for failure to treat vasculature occlusions in the body due to inability to track the catheter to the location of the disease. Navigating catheters through tortuous anatomy such as neurovasculature can be a challenge. The catheter has to be very soft as not to damage the vessel wall. At the same time, it also has to be able to negotiate multiple tight turns without kinking. In addition, it has to have sufficient column strength to transmit force axially for advancing through the vasculature. All these performance characteristics are competing design requirements. It is difficult to optimize one performance characteristic without sacrificing the others.」 (当審訳) [0133] 曲がりくねった血管系は、体内の血管系閉塞を治療するのに失敗する一般的な理由であり、これは、カテーテルを疾患の場所に追従させることができないせいである。カテーテルを、曲がりくねった解剖学的構造、例えば神経血管系の中に通して案内するのは、難題であり得る。カテーテルは、非常に柔軟で血管壁を損傷させないものでなければならない。同時にそれは、よじれることなく複数の急旋回を通り抜けることができなければならない。加えて、それは、血管系の中を通って前進するために力を軸方向に伝達させるには充分な柱強度を有していなければならない。これらすべての性能特性は、競合する設計要件である。1つの性能特性を、その他を犠牲にすることなく最適化することは難しい。 (ウ)「[0179] Any of the catheter shaft or sections of the catheter shaft or telescoping extensions in accordance with the present invention may comprise a multi-layer construct having a high degree of flexibility and sufficient push ability to reach deep into the cerebral vasculature, such as at least as deep as the petrous, cavernous, or cerebral segment of the internal carotid artery (ICA).」 (当審訳) [0179] 本発明によるカテーテルシャフト、カテーテルシャフトの部分、又は伸縮する伸縮部のいずれも、高度に可撓性の、そして脳血管系に深く、例えば内頸動脈(ICA)の少なくとも錐体、海綿質、又は大脳区域まで深く到達するのに充分な高度な押し込み性を有する多層構造を含んでいてもよい。 (エ)「[0180] ・・・Referring to FIG. 30, an inner liner 3014 may be formed by dip coating a mandrel (not shown) to provide a thin walled tubular inside layer of the catheter body 3000. The dip coating may be produced by coating a wire such as a silver coated copper wire in PTFE. The mandrel may thereafter be axially elongated to reduce diameter, and removed to leave the tubular inner liner. The outside surface of the tubular inner liner 3014 may thereafter be coated with a soft tie layer 3012 such as polyurethane (e.g., TecoflexTM), to produce a layer having a thickness of no more than about 0.005 inches, and in some implementations approximately 0.001 inches. The tie layer 3012 will generally extend along at least about the most distal 10 cm or 20 cm of the catheter shaft 3000 generally less than about 50 cm and may in one implementation extend approximately the distal 30 cm of the catheter shaft 3000, 3100. [0181] A braid such as a 75 ppi stainless steel braid 3010 may thereafter be wrapped around the inner liner 3014 through a proximal zone up to a distal transition 3011. From the distal transition 3011 to the distal end of the catheter 3000, a coil 3024 comprising a shape memory material such as a Nitinol alloy may thereafter be wrapped around the inner liner 3014.・・・」 (当審訳) [0180] ・・・図30を参照すると、内側ライナ3014は、カテーテル本体3000の薄壁で管状の内部層を提供するためにマンドレル(図示せず)を浸漬コーティングすることによって形成することができる。浸漬コーティングは、ワイヤ、例えば銀コーティングされた銅ワイヤを、PTFE中でコーティングすることによって製造してもよい。その後にマンドレルを軸方向に細長くして直径を減少させて抜き取り、管状の内側ライナを残す。管状の内側ライナ3014の外面はその後、柔軟な結合層3012、例えばポリウレタン(例えば、Tecoflex(商標))でコーティングし、約0.005インチ以下、そしていくつかの実装では約0.001インチの厚さを有する層を製造してもよい。結合層3012は、一般に、約50cm未満のカテーテルシャフト3000の少なくとも最遠位約10cm又は20cmに沿って延びることになり、一実装では、カテーテルシャフト3000、3100の遠位約30cmに延びていてもよい。 [0181] その後、編組み、例えば75ppiステンレススチール編組み3010を、近位領域を通って遠位移行部3011まで内側ライナ3014の周りに巻き付けることができる。その後、遠位移行部3011からカテーテル3000の遠位端まで、形状記憶材料、例えばニチノール合金を含むコイル3024が内側ライナ3014の周りに巻き付けられる。・・・ (オ)「[0182] The distal end of the coil 3024 is spaced proximally from the distal end of the inner liner 3014 to provide room for an annular radiopaque marker 3040. In one embodiment, the distal end of the catheter 3000 is provided with a beveled distal surface 3006 residing on a plane having an angle of at least about 10° or 20° and in one embodiment about 30° with respect to a longitudinal axis of the catheter 3000. The radiopaque marker 3040 may reside in a plane that is transverse to the longitudinal axis. Alternatively, at least the distally facing edge of the annular radiopaque marker 3040 may be an ellipse, residing on a plane which is inclined with respect to the longitudinal axis to complement the bevel angle of the distal surface 3006. [0183] After applying the proximal braid 3010, the distal coil 3024 and the RO marker 3040 an outer Jacket 3020 maybe applied such as a shrink wrap tube to enclose the catheter body 3000. The outer shrink-wrapped sleeve 3020 may comprise any of a variety of materials, such as polyethylene, polyurethane, PEBAX, nylon or others known in the art. Sufficient heat is applied to cause the polymer to flow into and embed the proximal braid and distal coil.」 (当審訳) [0182] コイル3024の遠位端は、内側ライナ3014の遠位端から近位方向に離間しており、これにより、環状の放射線不透過性マーカ3040のための空間が設けられている。一実施形態では、カテーテル3000の遠位端は、カテーテル3000の長手方向の軸に対して少なくとも約10°、又は20°、及び一実施形態では約30°の角度を有する平面上に存在する傾斜遠位面3006を備えている。放射線不透過性マーカ3040は、長手方向の軸を横断する平面内に存在していてもよい。あるいは、環状の放射線不透過性マーカ3040の少なくとも遠位に面する縁は、長手方向の軸に対して傾斜した平面上に存在する楕円形であってもよく、これにより、遠位表面3006の傾斜角を補う。 [0183] 近位編組み3010を付けた後、遠位コイル3024及びROマーカ3040、外側ジャケット3020に、例えば収縮包装チューブを付けて、カテーテル本体3000を包んでもよい。外側の収縮包装されたスリーブ3020は、多様な材料、例えばポリエチレン、ポリウレタン、PEBAX、ナイロン、又は当技術分野で公知のもののいずれを含んでいてもよい。充分な熱を加えることにより、ポリマーを近位編組み及び遠位コイル内に流入させてこれらを埋め込む。 (カ)「[0186] Referring to FIGS. 31A-31C, the catheter may further comprise a tension support for increasing the tension resistance in the distal zone. The tension support may comprise a filament and, more specifically, may comprise one or more axially extending filaments 3042. The one or more axially extending filaments 3042 may be axially placed inside the catheter wall near the distal end of the catheter. The one or more axially extending filaments 3042 serve as a tension support and resist elongation of the catheter wall under tension (e.g., when the catheter is being proximally retracted through tortuous vasculature).・・・」 (当審訳) [0186] 図31A~31Cを参照すると、カテーテルは、遠位領域において張力抵抗性を増加させる張力支持体を更に含んでいてもよい。張力支持体は、フィラメントを含んでいてもよく、そしてより具体的には、軸方向に延びる1つ又は複数のフィラメント3042を含んでいてもよい。軸方向に延びる1つ又は複数のフィラメント3042は、カテーテルの遠位端近傍のカテーテル壁の内部に置いてもよい。軸方向に延びる1つまたは複数のフィラメント3042は、張力支持体として機能し、張力下で(例えば、カテーテルを、曲がりくねった血管系の中を通って近位に後退させる場合に)カテーテル壁の伸びに抵抗する。・・・ (キ)「[0187] The one or more axially extending filaments 3042 may be placed near or radially outside the tie layer 3012 or the inner liner 3014. The one or more axially extending filaments 3042 may be placed near or radially inside the braid 3010 and/or the coil 3024. The one or more axially extending filaments 3042 may be carried between the inner liner 3014 and the helical coil 3024.」 (当審訳) [0187] 軸方向に延びる1つ又は複数のフィラメント3042は、結合層3012又は内側ライナ3014の、近傍又は半径方向外側に置かれていてもよい。軸方向に延びる1つ又は複数のフィラメント3042は、編組み3010及び/又はコイル3024の近傍又は半径方向内側に置かれていてもよい。軸方向に延びる1つ又は複数のフィラメント3042は、内側ライナ3014とヘリカルコイル3024との間で支持されていてもよい。 (ク)「[0223] The catheter body may further comprise other components, such as radiopaque fillers; colorants; reinforcing materials; reinforcement layers, such as braids or helical reinforcement elements; or the like. In particular, the proximal body segment may be reinforced in order to enhance its column strength and torqueability (torque transmission) while preferably limiting its wall thickness and outside diameter.」 (当審訳) [0223] カテーテル本体は、その他の構成要素、例えば、放射線不透過性フィラー、着色材、補強材料、補強層、例えば編組み又はらせん状補強構成要素、又は同種のものを更に含んでいてもよい。特に、近位本体区域は、その壁厚、及び外径を好ましくは制限しつつ、その柱強度及びトルク性能(トルク伝達)を高めるために強化されてもよい。 (ケ)「[0228] ・・・The tubular body 16, and particularly the distal section 34, may be provided with any of a variety of torque and/or column strength enhancing structures. For example, axially extending stiffening wires, spiral wrapped support layers, braided or woven reinforcement filaments may be built into or layered on the tubular body 16.・・・」 (当審訳) [0228] ・・・管状体16及び特に遠位部34は、多様なトルク強化構造及び/又は柱強度強化構造のいずれを備えていてもよい。例えば、軸方向に延びる強化ワイヤ、らせん状に被覆された支持層、編組みされた又は織られた補強フィラメントを、管状体16中に組み込んでも、その上に層形成してもよい。・・・ (コ)「[0251] In accordance with one aspect, there is provided an enhanced flexibility neurovascular catheter, comprising: an elongate flexible body, having a proximal end, a distal end and a side wall defining a central lumen, a distal zone of the side wall comprising: a tubular inner liner; a soft tie layer separated from the lumen by the inner liner; a helical coil surrounding the tie layer, adjacent windings of the coil spaced progressively further apart in the distal direction; and an outer jacket surrounding the helical coil, the outer jacket formed from a plurality of tubular segments positioned coaxially about the coil; wherein a proximal one of the tubular segments has a durometer of at least about 60 D and a distal one of the tubular segments has a durometer of no more than about 35 D. In one aspect of present disclosure, the tubular liner is formed by dip coating a removable mandrel. In another aspect of present disclosure, the tubular liner comprises PTFE.」 (当審訳) [0251] 一態様によれば、強化された可撓性神経血管カテーテルが提供され、カテーテルは、細長い可撓性本体であって、近位端、遠位端、及び中心管腔を規定する側壁を有し、側壁の遠位領域は、管状の内側ライナと、内側ライナによって内腔から分離された軟質の結合層と、結合層を取り囲むヘリカルコイルであって、該コイルの隣接する巻線が遠位方向に漸次離間するヘリカルコイルと、該ヘリカルコイルを取り囲む外側ジャケットであって、該コイルに対して同軸に配置された複数の管状セグメントから形成される外側ジャケットと、を備え、管状セグメントの近位部分は、少なくとも約60Dのデュロメータを有し、管状セグメントの遠位部分は約35D以下のデュロメータを有する。本開示の一態様では、管状ライナは着脱可能なマンドレルを浸漬コーティングすることによって形成される。本開示の別の態様では、管状ライナはPTFEからなる。 (サ)「図30 [図:0001428632000001.jpg] 」 (シ)「図31A [図:0001428632000002.jpg] 」 (ス)上記(カ)の記載事項を踏まえると、上記(シ)には、軸方向に延びるフィラメント3042を含む張力支持体を含んだカテーテル3000が図示されている。 (セ)上記(コ)の記載事項及び上記(サ)の図示内容を踏まえれば、上記(オ)に記載される外側ジャケット3020は、コイル3024を取り囲むものである。 イ 上記アを総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「内側ライナ3014と、 内側ライナ3014の周りに巻き付けられるコイル3024と、 コイル3024を取り囲む外側ジャケット3020と、を含み、 カテーテル3000の遠位端は、カテーテル3000の長手方向の軸に対して角度を有する平面上に存在する傾斜遠位面3006を備え、 コイル3024の遠位端は、内側ライナ3014の遠位端から近位方向に離間しており、環状の放射線不透過性マーカ3040の空間が設けられ、環状の放射線不透過性マーカ3040の少なくとも遠位に面する縁は、長手方向の軸に対して傾斜した平面上に存在する楕円形であって、遠位表面3006の傾斜角を補い、 遠位領域において張力抵抗性を増加させる張力支持体を更に含んでおり、張力支持体は、軸方向に延びるフィラメント3042を含み、軸方向に延びるフィラメント3042は、内側ライナ3014とコイル3024との間で支持される、 カテーテル3000。」 (2)対比・判断 ア 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「カテーテル3000」は、引用文献1の上記(1)ア(コ)の「カテーテルは、細長い可撓性本体であって、近位端、遠位端、及び中心管腔を画定する側壁を有し、側壁の遠位領域は、・・・」との記載に照らせば、本願発明の「長手方向軸および遠位ゾーンを含む管状体を含」む「カテーテル」に相当する。 また、引用発明の「カテーテル3000」と、本願発明の「非外傷性ナビゲーション用先端部を有する神経血管カテーテル」とは、カテーテルである限りで一致する。 (イ)引用発明の「内側ライナ3014」は、本願発明の「内側ライナ」に相当する。 また、引用発明の「内側ライナ3014の周りに巻き付けられるコイル3024」は、「遠位端」を有するので、本願発明の「前記内側ライナを取り囲み、遠位端を有する支持体」に相当する。 さらに、引用発明の「コイル3024の遠位端は、内側ライナ3014の遠位端から近位方向に離間しており、環状の放射線不透過性マーカ3040の空間が設けられ、環状の放射線不透過性マーカ3040の少なくとも遠位に面する縁は、長手方向の軸に対して傾斜した平面上に存在する楕円形であって、遠位表面3006の傾斜角を補」うことは、引用文献1の図30及び31A(上記(1)ア(サ)及び(シ))から、外側ジャケット3020がコイル3024の遠位端を超えて遠位に延びて、遠位表面3006で終端することであり、該「遠位表面3006」は本願発明の「カテーテル遠位面」に相当するので、引用発明の「コイル3024を取り囲む外側ジャケット3020」は、本願発明の「前記支持体を取り囲み、前記支持体の前記遠位端を超えて遠位に延びて、前記カテーテル遠位面で終端するジャケット」に相当する。 そして、引用文献1の上記(1)ア(コ)の「カテーテルは、細長い可撓性本体であって、・・・側壁を有し、側壁の遠位領域は、・・・内側ライナと、・・・ヘリカルコイルと、・・・外側ジャケットと、を備え」との記載に照らせば、引用発明の「内側ライナ3014と、内側ライナ3014の周りに巻き付けられるコイル3024と、外側ジャケット3020と、を含」むことは、本願発明の「前記遠位ゾーンが」、「内側ライナと、前記内側ライナを取り囲み、遠位端を有する支持体と;前記支持体を取り囲み、前記支持体の前記遠位端を超えて遠位に延びて、前記カテーテル遠位面で終端するジャケットと」「を含む」ことに相当する。 (ウ)引用発明の「カテーテル3000の遠位端」は、管状体の遠位領域にあることは明らかであるから、引用発明の「カテーテル3000の遠位端は、カテーテル3000の長手方向の軸に対して角度を有する平面上に存在する傾斜遠位面3006を備え」ることと、本願発明の「前記遠位ゾーンが、前記管状体の前記長手方向軸に対して約55度から約65度までの範囲内の第1角度を形成するカテーテル遠位面」「を含む」こととは、前記遠位ゾーンが、前記管状体の前記長手方向軸に対して所定の傾斜角度を形成するカテーテル遠位面を含むことの限りで一致する。 (エ)引用発明の「コイル3024の遠位端は、内側ライナ3014の遠位端から近位方向に離間しており、環状の放射線不透過性マーカ3040の空間が設けられ」ることは、引用文献1の図30(上記(1)ア(サ))から、放射線不透過性マーカ3040が、コイル3024の遠位端と傾斜遠位面3006との間で外側ジャケット3020内に埋め込まれていることであるので、本願発明の「前記遠位ゾーンが」、「前記支持体の前記遠位端と前記カテーテル遠位面との間で前記ジャケット内に埋め込まれた放射線不透過性マーカ」「を含む」ことに相当する。 また、「放射線不透過性マーカ3040」は、引用文献1の図30及び31Aから、長手方向の軸に対してほぼ垂直な近位面を有することが看て取れるから、本願発明の「前記管状体の前記長手方向軸に対してほぼ垂直な近位面」「を含む」放射線不透過性マーカに相当する。 (オ)引用発明の「環状の放射線不透過性マーカ3040の少なくとも遠位に面する縁は、長手方向の軸に対して傾斜した平面上に存在する楕円形であって、遠位表面3006の傾斜角を補」うことと、本願発明の「放射線不透過性マーカ」が、「前記管状体の前記長手方向軸に対して約55度から約65度までの範囲内の第2角度を形成し、前記カテーテル遠位面にほぼ平行である遠位面と、を含む」こととは、放射線不透過性マーカが、前記管状体の前記長手方向軸に対して傾斜した遠位面、を含むことの限りで一致する。 (カ)引用発明の「遠位領域において張力抵抗性を増加させる張力支持体を更に含んでおり、張力支持体は、軸方向に延びるフィラメント3042を含み、軸方向に延びるフィラメント3042は、内側ライナ3014とヘリカルコイル3024との間で支持される」ことと、本願発明の「前記遠位ゾーンが」、「軸方向に延びるフィラメントを含む張力支持体であって、前記軸方向に延びるフィラメントが前記内側ライナと前記支持体との間に支持され、かつ前記内側ライナの周りにらせんを形成する張力支持体」「を含む」こととは、前記遠位ゾーンが、軸方向に延びるフィラメントを含む張力支持体であって、前記軸方向に延びるフィラメントが前記内側ライナと前記支持体との間に支持される張力支持体を含むことの限りで一致する。 (キ)したがって、本願発明と引用発明とは、 「カテーテルであって、 長手方向軸および遠位ゾーンを含む管状体を含み、前記遠位ゾーンが、 前記管状体の前記長手方向軸に対して所定の傾斜角度を形成するカテーテル遠位面と、 内側ライナと、 前記内側ライナを取り囲み、遠位端を含む支持体と; 前記支持体を取り囲み、前記支持体の前記遠位端を越えて遠位に延びて、前記カテール遠位面で終端するジャケットと、 前記支持体の前記遠位端と前記カテーテル遠位面との間で前記ジャケット内に埋め込まれた放射線不透過性マーカであって、 前記管状体の前記長手方向軸に対してほぼ垂直な近位面と、 前記管状体の前記長手方向軸に対して傾斜した遠位面と、を含む、放射線不透過性マーカと、 軸方向に延びるフィラメントを含む張力支持体であって、前記軸方向に延びるフィラメントが前記内側ライナと前記支持体との間に支持される張力支持体と、を含む、カテーテル。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 本願発明は、「非外傷性ナビゲーション用先端部を有する神経血管」カテーテルであるのに対し、引用発明は、そのような特定がされていない点。 <相違点2> カテーテル遠位面に関し、本願発明は、管状体の長手方向軸に対して「約55度から約65度までの範囲内の第1角度」を形成するのに対し、引用発明は、カテーテル3000の長手方向の軸に対して所定の傾斜角度を有する平面上に存在するものの、具体的な角度は明らかでない点。 <相違点3> 放射線不透過性マーカに関し、本願発明は、「前記管状体の前記長手方向軸に対して約55度から約65度までの範囲内の第2角度を形成し、前記カテーテル遠位面にほぼ平行である」遠位面、を含むのに対し、引用発明は、長手方向の軸に対して傾斜した平面上に存在する楕円形であって、遠位表面3006の傾斜角を補うものである点。 <相違点4> 張力支持体に関し、本願発明は、フィラメントが「前記内側ライナの周りにらせんを形成する」のに対し、引用発明は、そのような特定がされていない点。 イ 判断 上記各相違点について以下検討する。 <相違点1について> 引用文献1の上記(1)ア(イ)の「カテーテルは、非常に柔軟で血管壁を損傷させないもの」との記載、同(ウ)の「カテーテルシャフト、カテーテルシャフトの部分、又は伸縮する伸縮部のいずれも、高度に可撓性の・・・深く到達するのに充分な高度な押し込み性を有する多層構造を含」むとの記載、及び同(コ)の「強化された可撓性神経血管カテーテル」との記載に照らせば、引用発明のカテーテル3000は、その先端部の柔軟性(可撓性)を高めて、カテーテルを神経血管系に案内する際に血管壁を損傷させないようにしたものであるので、非外傷性ナビゲーション用先端部を有する神経血管カテーテルである。 したがって、上記相違点1は実質的な相違点ではない。 仮に実質的な相違点であったとしても、引用発明のカテーテル3000を、非外傷性ナビゲーション用先端部を有する神経血管カテーテルとすることは、引用文献1の上記各記載を踏まえれば、当業者であれば容易になし得ることである。 <相違点2及び3について> 引用発明の「カテーテル3000の長手方向の軸に対して角度を有する平面上に存在する傾斜遠位面3006」に関して、引用文献1の上記(1)ア(オ)には、長手方向軸に対する角度の一実施形態として、少なくとも約10°、又は20°、及び約30°であることが記載されている。 ここで、引用文献1の上記(1)ア(イ)の記載事項に照らせば、神経血管カテーテルは、曲がりくねって柔軟な血管内の遠位にある目標部位まで案内される際、該カテーテルに求められる種々の性能特性に対して、競合する様々な設計要件を最適化して設計するものである。また、同上記(1)ア(ア)に記載されるように、カテーテルは、血餅の吸引に使用されることが知られている。 してみると、引用発明の神経血管カテーテルにおいて、該カテーテルに求められる種々の性能特性が最適となるよう、競合する各設計要件を調整しつつ設計することは、当業者が適宜なし得ることにすぎない。その際、神経血管カテーテルの遠位面について、血餅の吸引性を考慮して傾斜の程度を調整すること(長手方向軸に対する垂直面からの傾斜を大きくすると、遠位ポートの表面積が増加して、血餅の吸引が増強する)が通常の設計思想であり、所望の吸引性も考慮して、傾斜遠位面3006の角度を適宜変更し、具体的に約55度から約65度の角度のものとすることは、当業者による通常の創作能力の発揮にすぎない。 さらに、引用文献1の段落[0182](上記(1)ア(オ))には、放射線不透過性マーカ3040の遠位に面する縁が、長手方向の軸に対して傾斜され、遠位表面3006の傾斜角を補う(「complement」)ことが記載されており、また、カテーテルの遠位面と放射性不透過性マーカの遠位面とを平行にすることは、通常行われる設計であるので、放射線不透過性マーカ3040の遠位に面する縁を上記傾斜遠位面3006と平行にするために、放射線不透過性マーカ3040の遠位に面する縁の傾斜角を傾斜遠位面3006の角度と同じである約55度から約65度とすることも当業者による設計的事項である。 なお、「補う(complement)」に関し、本願明細書の段落【0144】には、「相補的である(ほぼ同じである)」(原文明細書における記載は「complementary to (approximately the same as)」)との記載がされていることを付記する。 したがって、引用発明において、上記相違点2及び3に係る本願発明の構成とすることは、当業者における設計的事項にすぎず、格別の困難性はない。 <相違点4について> 引用文献1の上記(1)ア(ク)及び(ケ)には、カテーテル内にらせん状の要素を備えることで、カテーテルの補強・強化を行うことが記載されており、当該記載事項を踏まえれば、引用発明において、張力支持体のフィラメント3042をらせん状とし、上記相違点4に係る本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。 そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び引用文献1の記載事項から当業者が予測し得る程度のものであって、格別なものとはいえない。 したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献1の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献1の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-002413

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