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特許拒絶査定不服審判

2024-002011

圧力検出装置

審判番号
2024-002011
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-061805
請求日
2024年02月05日
審決日
2025年08月07日
公報発行日
2025年10月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】シチズンファインデバイス株式会社
  • 【請求人】シチズン時計株式会社
審判長/審判官
  • 審判長 道祖土 新吾
  • 審判官 喜々津 徳胤
  • 審判官 濱野 隆
分類
P18 .55 -Z (G01L) / P18 .121-Z (G01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

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特願2020-61805号「圧力検出装置」拒絶査定不服審判事件〔令和3年10月11日出願公開、特開2021-162376号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年3月31日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和5年 5月31日付け:拒絶理由通知書 同年 8月 2日 :意見書、手続補正書の提出 同年10月30日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同年11月 6日 :原査定の謄本の送達) 令和6年 2月 5日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和6年2月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年2月5日にされた手続補正を却下する。 [補正の却下の決定の理由] 1 本件補正の内容 令和6年2月5日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲を補正するものであって、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記の(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。 (1) 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1 「【請求項1】 外部からの圧力を受けて電気信号を発生させる圧力検出部と、 前記外部からの圧力を受ける受圧部材、前記圧力検出部を内部に収容する第1筐体、および前記第1筐体に取り付けられ、前記第1筐体に収容された前記圧力検出部を支持する第2筐体を有する筐体部と、を備えた圧力検出装置において、 前記受圧部材は、前記圧力を受ける受圧面と、前記圧力検出部と接続され前記受圧面で受けた前記圧力を前記圧力検出部に伝達する伝達部と、を含む受圧部を有し、 前記圧力検出部と前記筐体部との間には弾性部材が配置され、当該弾性部材に弾性力を生じさせることで前記圧力検出部に所定の荷重が作用しており、前記受圧部には前記弾性力が作用していないことを特徴とする圧力検出装置。」 (2) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1 「【請求項1】 外部からの圧力を受けて電気信号を発生させる圧力検出部と、 前記外部からの圧力を受ける受圧部材、前記圧力検出部を内部に収容する第1筐体、および前記第1筐体に取り付けられ、前記第1筐体に収容された前記圧力検出部を支持する第2筐体を有する筐体部と、を備えた圧力検出装置において、 前記受圧部材は、前記圧力を受ける受圧面と、前記圧力検出部と接続され前記受圧面で受けた前記圧力を前記圧力検出部に伝達する伝達部と、を含む受圧部を有し、 前記圧力検出部と前記筐体部との間には弾性部材が配置され、当該弾性部材に弾性力を生じさせることで前記圧力検出部に所定の荷重が作用しており、前記受圧部には前記弾性力が作用しておらず、 前記弾性部材の一端は、前記第1筐体から突出する庇部の表面と前記第1筐体の内面とで形成された角部、又は前記受圧部材から突出する突出部の表面と前記第1筐体の内面とで形成された角部に係止されている、 ことを特徴とする圧力検出装置。」 2 本件補正についての当審の判断 本件補正後の請求項1の記載は次に示す発明特定事項(以下「発明特定事項A」という。)を含むところ、以下に詳細に検討するとおり、当該発明特定事項Aを追加する補正はいわゆる新規事項を追加するものであるから、本件補正は特許法17条の2第3項の規定に違反するものである。 <発明特定事項A> 「前記弾性部材の一端は、前記第1筐体から突出する庇部の表面と前記第1筐体の内面とで形成された角部、又は前記受圧部材から突出する突出部の表面と前記第1筐体の内面とで形成された角部に係止されていること」 (1) 当初明細書等の記載について 本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には以下の記載がある。下線は審判合議体が付したものである。 ア 特許請求の範囲 「【請求項1】 外部からの圧力を受けて電気信号を発生させる圧力検出部と、 前記外部からの圧力を受ける受圧部を有し、当該受圧部に前記圧力検出部が接続されるとともに前記圧力検出部を内部に収容する第1筐体、および前記第1筐体に取り付けられ、前記第1筐体に収容された前記圧力検出部を支持する第2筐体を有する筐体部、とを備えた圧力検出装置において、 前記圧力検出部と前記筐体部との間には弾性部材が配置されており、当該弾性部材に弾性力を生じさせることで前記圧力検出部に所定の荷重を作用させたことを特徴とする圧力検出装置。 【請求項2】 前記受圧部は、前記外部からの圧力を受圧する受圧面と、前記圧力検出部と当接し、前記受圧面で受けた圧力を前記圧力検出部に伝達する伝達部とを備え、前記弾性部材は前記伝達部の周囲を包囲するリング状の弾性部材であることを特徴とする請求項1に記載の圧力検出装置。 【請求項3】 前記弾性部材は、その一端が前記第1筐体に設けられた庇部に当接し、他端が前記圧力検出部材に当接して配置されることを特徴とする請求項2記載の圧力検出装置。 【請求項4】 前記弾性部材は、その一端が前記受圧部に当接し、他端が前記圧力検出部材に当接して配置されることを特徴とする請求項1記載の圧力検出装置。 【請求項5】 前記圧力検出部は、第1電極部材、圧電素子、第2電極部材および絶縁部材が、前記受圧部と接続される側より積層配置されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項記載の圧力検出装置。」 イ 明細書及び図面 (ア) 【0001】~【0011】 「【技術分野】 【0001】 本発明は、圧力検出装置に関し、詳しくは内燃機関の燃焼室に装着され、燃焼室内の圧力を検出することができる装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、内燃機関に装着されて燃焼室内の圧力を検出する装置として、圧電素子等の感圧素子を圧力検出部に使用した装置が提案されている。例えば、特許文献1に記載された圧力検出器について説明する。 【0003】 圧力検出器に用いられる感圧素子は、その両端面に出力用電極が設けられており、予荷重カバー及びダイアフラム等の部材によってそれらを押圧した状態で圧力検出器本体に組み込まれ、電気的導通を保っている。 【0004】 感圧素子には、感度および直線性を高めるために予め定められた荷重(予荷重)を作用させておく必要がある。このように予荷重を作用させた状態で組み立てられたセンサは、例えば、特許文献2に記載されたものがある。特許文献2の燃焼圧センサ(圧力検出装置)は、筒状に形成された加圧部材の内部に圧電素子、電極部等の部材を配置し、加圧部材の中央部に設けた薄肉部やスリット部の伸縮を利用して中心軸方向へ荷重を加えた状態で外周部に位置する筐体部に固定する構造を成すものである。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 【特許文献1】特開昭63-48296号公報 【特許文献2】特許第5978073号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 ここで、前述の加圧部材は、ばね特性を得るために部分的に薄肉化するための加工や、一部に貫通孔加工などの切削加工が必要になるが、この加工は著しくコストをアップさせてしまう。 【0007】 また、組み立て時には、この加圧部材と他部材との組み立てにおいて、複数個所に溶接等の接合工程が必要となり、生産性を大幅に低下させる原因ともなっていた。 【0008】 本発明は、予荷重を作用させるための加圧構造を簡素化し、低コスト化を図ると共に組み立て性を向上することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明の圧力検出装置は、外部からの圧力を受けて電気信号を発生させる圧力検出部と、前記外部からの圧力を受ける受圧部を有し、当該受圧部に前記圧力検出部が接続されるとともに前記圧力検出部を内部に収容する第1筐体、および前記第1筐体に取り付けられ、前記第1筐体に収容された前記圧力検出部を支持する第2筐体を有する筐体部、とを備えた圧力検出装置において、前記圧力検出部と前記筐体部との間には弾性部材が配置されており、当該弾性部材に弾性力を生じさせることで前記圧力検出部に所定の荷重を作用させたことを特徴としている。 また、前記受圧部は、前記外部からの圧力を受圧する受圧面と、前記圧力検出部と当接し、前記受圧面で受けた圧力を前記圧力検出部に伝達する伝達部とを備え、前記弾性部材は前記伝達部の周囲を包囲するリング状の弾性部材であることを特徴とすることができる。 また、前記弾性部材は、その一端が前記第1筐体に設けられた庇部に当接し、他端が前記圧力検出部材に当接して配置されることを特徴とすることができる。 また、前記弾性部材は、その一端が前記受圧部に当接し、他端が前記圧力検出部材に当接して配置されることを特徴とすることができる。 さらにまた、前記圧力検出部は、第1電極部材、圧電素子、第2電極部材および絶縁部材が、前記受圧部と接続される側より積層配置されていることを特徴とすることができる。 【発明の効果】 【0010】 本発明によれば、予荷重を作用させるための簡素化した加圧構造が得られ、構成部材の低コスト化を図ると共に組み立て性を向上することができる。 【図面の簡単な説明】 【0011】 【図1】実施の形態に係る圧力検出システムの概略構成図である。 【図2】圧力検出装置の側面図である。 【図3】圧力検出装置の断面図(図2のA-A断面図)である。 【図4】圧力検出装置の先端側(図3のI領域)の拡大断面図である。 【図5】圧力検出装置に設けられた弾性部材を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、(a)のA-A断面図である。 【図6】圧力検出装置に設けられた弾性部材を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、断面図である。 【図7】圧力検出装置に設けられた弾性部材を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、(a)のA-A断面図である。 【図8】圧力検出装置に設けられた弾性部材を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、(a)のA-A断面図である。」 (イ) 【0012】~【0013】、【図1】 「【発明を実施するための形態】 【0012】 以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。 [圧力検出システムの構成] 図1は、実施の形態に係る圧力検出システム1の概略構成図である。 この圧力検出システム1は、内燃機関10における燃焼室C内の圧力(燃焼圧)を検出する圧力検出装置20と、圧力検出装置20に対する給電を行うとともに圧力検出装置20が検出した圧力に基づいて内燃機関10の動作を制御する制御装置100と、圧力検出装置20と制御装置100とを電気的に接続する接続ケーブル80とを備えている。」 「【図1】 [図:0001427420000001.jpg] 」 「【0013】 ここで、圧力の検出対象となる内燃機関10は、内部にシリンダが形成されたシリンダブロック11と、シリンダ内を往復運動するピストン12と、シリンダブロック11に締結されてピストン12等とともに燃焼室Cを構成するシリンダヘッド13とを有している。また、シリンダヘッド13には、燃焼室Cと外部とを連通する連通孔13aが設けられている。この連通孔13aの内側には、図示しない雌ねじが設けられている。そして、この連通孔13aに圧力検出装置20の先端側を挿入するとともに、圧力検出装置20をシリンダヘッド13に固定することで、内燃機関10に対して圧力検出装置20を取り付けている。より具体的に説明すると、連通孔13aに設けられた雌ねじに、圧力検出装置20の先端側に設けられた雄ねじをねじ込むことで、圧力検出装置20の取り付けを行っている。ここで、内燃機関10を構成するシリンダブロック11、ピストン12およびシリンダヘッド13は、鋳鉄やアルミニウム等、導電性を有する金属材料で構成されている。」 (ウ) 【0014】~【0030】、【図2】~【図4】 「【0014】 [圧力検出装置の構成] 図2は、圧力検出装置の側面図である。また、図3は、圧力検出装置20の断面図(図2のA-A断面図)である。さらに、図4は、圧力検出装置20の先端側(図3のI領域)の拡大断面図である。」 「【図2】 [図:0001427420000002.jpg] 」 「【図3】 [図:0001427420000003.jpg] 」 「【図4】 [図:0001427420000004.jpg] 」 「【0015】 圧力検出装置20は、全体として筒状を呈するとともに外部に露出するように設けられる筐体部30と、圧力を検出するための各種機構を含み、ほぼ全体が筐体部30の内部に収容されるとともに一部が外部に露出するように設けられ、接続ケーブル80が接続される検出機構部40とを有している。そして、圧力検出装置20は、図1に示す内燃機関10に対し、図2における左側が燃焼室C(図1では下側)を向くとともに、図2における右側が外部(図1では上側)を向くように取り付けられる。なお、以下の説明では、図2において、図中左に向かう側を圧力検出装置20の「先端側」と称し、図中右に向かう側を圧力検出装置20の「後端側」と称する。また、以下の説明では、図2等に一点鎖線で示す圧力検出装置20の中心線方向を、単に「中心線方向」と称する。ここで、本実施の形態では、「中心線方向」が軸方向の一例であり、「先端側」が一端側の一例であり、「後端側」が他端側の一例である。 【0016】 (筐体部の構成) 筐体部30は、先端外部筐体31と、先端外部筐体31の先端側に取り付けられたダイアフラムヘッド32とを備えている。また、筐体部30は、先端外部筐体31の内側であってダイアフラムヘッド32の後端側に取り付けられた第1筐体33と、先端外部筐体31および第1筐体33の内側であってダイアフラムヘッド32の後端側に取り付けられ、第1筐体33の内部に収容する部品を支持する第2筐体34とを備えている。さらに、筐体部30は、先端外部筐体31の後端側に取り付けられた後端外部筐体35を備えている。筐体部30において、先端外部筐体31、ダイアフラムヘッド32および後端外部筐体35は外部に露出する。これに対し、第1筐体33および第2筐体34は外部に露出せず、先端外部筐体31の内側に収容されるようになっている。 【0017】 〔先端外部筐体〕 先端外部筐体31は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。先端外部筐体31は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス鋼等の金属材料によって構成されている。また、先端外部筐体31は、先端側から後端側に向かって、外径が最も小さい小径部31aと、外径が最も大きい大径部31bと、外径がこれらの中間となる中径部31cとを有している。そして、先端外部筐体31における小径部31aの先端側の外周面には、雄ねじ31dが設けられている。 【0018】 〔ダイアフラムヘッド〕 受圧部材の一例としてのダイアフラムヘッド32は、全体として円板状を呈する部材である。ダイアフラムヘッド32は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス鋼等の金属材料によって構成されている。ダイアフラムヘッド32は、先端外部筐体31および第1筐体33における先端側の開口部を塞ぐように設けられた部材であり、外部からの圧力を受ける受圧面32bと、受圧面32bの後端側より突出し、受圧面32bで受けた圧力を後述する圧力検出部へと伝達する伝達部である凸部32aを備えている。そして、ダイアフラムヘッド32は、先端外部筐体31との境界部を全周にわたってレーザ溶接が施され、先端外部筐体31に固定されている。 【0019】 〔第1筐体〕 第1筐体33は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。第1筐体33の一端側(先端側)の端部には、第1筐体33一端側の開口の一部を閉塞するように第1筐体33の端部が中心軸へ突出した庇部33aが設けられている。第1筐体33は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス鋼等の金属材料によって構成されている。第1筐体33は、その全体が先端外部筐体31の内部に収容されるとともに、その先端側の一部がダイアフラムヘッド32の後端側の一部に突き当たるように設けられている。そして、第1筐体33とダイアフラムヘッド32との境界部には、全周にわたってレーザ溶接が施されている。 【0020】 〔第2筐体〕 第2筐体34は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。第2筐体34は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス鋼等の金属材料によって構成されている。第2筐体34は、その全体が先端外部筐体31の内部に収容されるとともに、後端側を除くほぼ全域が第1筐体33の内部に収容されるように設けられている。そして、第2筐体34と第1筐体33との境界部には、全周にわたってレーザ溶接が施されている。 【0021】 〔後端外部筐体〕 収容部材の一例としての後端外部筐体35は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。後端外部筐体35は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス鋼等の金属材料で構成されている。また、後端外部筐体35は、先端側から後端側に向かって、第1筒状部35aと、第2筒状部35bと、第3筒状部35cと、第4筒状部35dと、第5筒状部35eとを有している。ここで、第1筒状部35a、第2筒状部35b、第3筒状部35cおよび第4筒状部35dは、この順で外径が小さくなっている。これに対し、第5筒状部35eは、隣接する第4筒状部35dよりも外径が大きくなっており、第3筒状部35cとほぼ同じになっている。また、後端外部筐体35では、先端側の内部が第1内径部35fとなっており、後端側の内部が第2内径部35gとなっている。ここで、第2内径部35gは、第1内径部35fよりも内径が小さくなっており、第1内径部35fと第2内径部35gとの境界には、内側段差部35hが設けられている。後端外部筐体35における第1筒状部35aの先端側は、先端外部筐体31における大径部31bの後端側に突き当たるように設けられている。そして、後端外部筐体35と先端外部筐体31との境界部には、全周にわたってレーザ溶接が施されている。 【0022】 なお、上述した各溶接部位については、必ずしもそれぞれの全周にわたって形成する必要はなく、複数個のレーザスポットを形成するスポット溶接により形成してもよい。 【0023】 (検出機構部の構成) 検出機構部40は、圧電素子41と、先端電極部材42と、後端電極部材43と、絶縁部材44と、コイルばね45とで構成される圧力検出部と、回路内蔵部材46と、接続部材47と、閉塞部材48とで構成される信号処理部に大別できる。 【0024】 〔圧電素子〕 圧電素子41は、全体として円柱状を呈する部材である。圧電素子41は、圧電縦効果の圧電作用を示す圧電体を備えている。圧電素子41は、先端外部筐体31(および第1筐体33)の内側に配置されている。 【0025】 ここで、圧電縦効果とは、圧電体の電荷発生軸と同一方向の応力印加軸に外力を加えると、電荷発生軸方向の圧電体の表面に電荷が発生することをいう。したがって、この例では、中心線方向に沿う圧力の変化に応じて、圧電素子41の先端側の面と後端側の面とに、発生した電荷による信号(電荷信号:電気信号の一例)が出力されることになる。 【0026】 次に、圧電素子41に圧電横効果を利用した場合を例示する。圧電横効果とは、圧電体の電荷発生軸に対して直交する位置にある応力印加軸に外力を加えると、電荷発生軸方向の圧電体の表面に電荷が発生することをいう。薄板状に薄く形成した圧電体を複数枚積層して構成しても良く、このように積層することで、圧電体に発生する電荷を効率的に集めてセンサの感度を上げることができる。圧電素子41で使用可能な圧電体としては、圧電縦効果及び圧電横効果を有するランガサイト系結晶(ランガサイト、ランガテイト、ランガナイト、LTGA)や水晶、ガリウムリン酸塩などを使用することを例示することができる。また、圧電素子41で用いる圧電体としては、上述した無機材料で構成された単結晶(無機単結晶)を用いるとよく、特にランガサイト系単結晶を用いることが望ましい。 【0027】 〔先端電極部材〕 先端電極部材42は、全体として円柱状を呈する部材である。先端電極部材42は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス鋼等の金属材料によって構成されている。先端電極部材42は、先端外部筐体31(第1筐体33)の内側且つ圧電素子41の先端側に配置されており、先端電極部材42の後端側の面が、圧電素子41の先端側の面と接触するようになっている。また、先端電極部材42の先端側の面は、ダイアフラムヘッド32の中央部から後端側に向かって突出する凸部の面と接触するようになっている。そして、先端電極部材42の外径は、圧電素子41の外径よりも大きくなっている。 【0028】 〔後端電極部材〕 後端電極部材43は、全体として独楽状を呈する部材である。より具体的に説明すると、後端電極部材43は、T字状の断面を有しており、先端側の外径よりも後端側の外径が小さくなっている。後端電極部材43は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス鋼等の金属材料によって構成されている。後端電極部材43は、先端外部筐体31(第1筐体33)の内側に配置されており、後端電極部材43の先端側の面が、圧電素子41の後端側の面と接触するようになっている。また、後端電極部材43の先端側の外径は、圧電素子41の外径よりもわずかに大きくなっており、後端電極部材43の後端側の外径は、圧電素子41の外径よりも小さくなっている。 【0029】 〔絶縁部材〕 絶縁部材44は、中空構造を有し且つ全体として環状(円筒状)を呈する部材である。絶縁部材44は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。絶縁部材44は、先端外部筐体31(第1筐体33)の内側且つ後端電極部材43の後端側に配置されており、絶縁部材44の先端側の面が、後端電極部材43の先端側における後端側の面と接触するようになっている。また、絶縁部材44に設けられた貫通孔の先端側には、後端電極部材43の後端側に設けられた凸部が挿入されるようになっている。さらに、絶縁部材44の後端側の面は、第2筐体34の先端側の面と接触するようになっている。これにより、先端電極部材42、圧電素子41、後端電極部材43および絶縁部材44は、第1筐体33を介して、ダイアフラムヘッド32と第2筐体34とによって挟み込まれ、固定されるようになっている。このとき、先端電極部材42、圧電素子41、後端電極部材43および絶縁部材44と、第1筐体33の内周面との間には、ギャップが存在していることが望ましい。 【0030】 〔弾性部材〕 弾性部材90は、圧電素子41に一定の応力を付加するための部材である。圧電素子41は、その感度および直線性を高めるために予め定められた荷重(予荷重)を作用させた状態を保つ必要があるが、この弾性部材90を組み込むことで予荷重の作用を維持した状態を実現している。この弾性部材90は、前述の圧電素子41、先端電極部材42、後端電極部材43、絶縁部材44の各部材と共に、第1筐体33内に積層配置され、第1筐体33の内部収容部品の一つを構成している。組込み形態の一例としては、図4に示すように、第1筐体33のダイアフラムヘッド32側に配置され、先端電極部材42に当接した配置構成とすることができる。この場合、第1筐体33の先端側へ弾性部材90を配置し、次いで先端電極部材42、圧電素子41、後端電極部材43、絶縁部材44の順に各々の部材を収容する。次に、第2筐体34を挿入し、第1筐体33の軸方向に押圧することで、積層された各部材と共に弾性部材90に一定の応力が付加され、圧縮された状態で固定されている。圧縮された弾性部材90は、その弾性力の働きによって、圧電振動子41へ一定の応力(所定の荷重)をかけることとなり、一定の予荷重を作用させた状態が維持されることとなる。」 (エ) 【0031】、【図5】 「【0031】 弾性部材90は種々の形状が採用できるが、その形状について図面を参照して説明する。図5は、圧力検出装置に設けられた弾性部材の一例を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、(a)のA-A断面図である。この弾性部材90は、周縁部がテーパー面90aを有する皿形状に形成されている。また、その底部には開口部90bが設けられており、全体がリング状の部材である。この弾性部材90は、テーパー面90aの伸縮、撓みによりばね性を有した部材となっている。この弾性部材90の配置構成については、図4に示したように、開口部90bの形成面が先端電極部材42に当接し、その他端側が第1筐体33の端部に形成された庇部33aに当接して配置される。ダイアフラムヘッド32から突出する凸部32aは、開口部90bを介して先端電極部材42に直接当接する構成となっている。このため、開口部90bの開口径は、凸部32aの径よりも大きく形成されていればよく、底部全体が開口した状態でもよい。また、底部に開口形状部を設けない構成であってもよい。この弾性部材90の材料には、銅、ステンレス、アルミなどの金属から適宜選択して用いることができる。弾性部材90の形成は、例えば金属プレス加工技術により容易に形成することができ、その材質、板厚や焼き入れ条件等の選定・設定条件によりばね特性等、多彩な特性を選択することができる。したがって、従来技術に示される、筒状に形成された加圧部材の内部に圧電素子、電極部等の部材を配置し、その加圧部材の伸縮を利用し予荷重を加える構成と比較し、設計の自由度が大幅に向上し、装置の小型化やコストダウンを図ることが容易となる。」 「【図5】 [図:0001427420000005.jpg] 」 (オ) 【0032】、【図6】 「【0032】 図6は、圧力検出装置に設けられた弾性部材の他の例を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、(a)のA-A断面図である。弾性部材91は、断面視くさび形状に形成されている。この弾性部材91は、テーパー面91aの伸縮、撓みによりばね性を有した部材となっている。弾性部材91の底部には開口形状部を有しない構造であるが、図5の弾性部材90と同様に、ダイアフラムヘッド32から突出する凸部32aが先端電極部材42に直接当接する構成となるよう開口部を設けても良い。この弾性部材91の材料は、銅、ステンレス、アルミなどの金属から適宜選択して用いることができる。弾性部材91の形成は、金属プレス加工技術により容易に形成することができ、その材質、板厚や焼き入れ条件等の選定・設定条件によりばね特性等、多彩な特性を選択することができる。」 「【図6】 [図:0001427420000006.jpg] 」 (カ) 【0033】、【図7】 「【0033】 図7は、圧力検出装置に設けられた弾性部材の他の例を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、(a)のA-A断面図である。弾性部材92は、開口部92aを有し全体がリング形状となっており、断面がC形状に形成されている。この弾性部材92は、C形状部の伸縮、撓みによるばね性を有した部材となっている。弾性部材92の配置構成については、図5に示した弾性部材90と同様の配置構成をとることができる。この弾性部材90の材料には、銅、ステンレス、アルミなどの金属から適宜選択して用いることができる。弾性部材90の形成は、金属プレス加工技術により容易に形成することができ、その材質、板厚や焼き入れ条件等、C形状部の曲率等の選定・設定条件によりばね特性等、多彩な特性を選択することができる。尚、弾性部材92は、断面視した図から分かるように曲率部を有した構成であるため、周辺部品との接触面積が小さくでき、摩耗による特性変化を抑えることができる。」 「【図7】 [図:0001427420000007.jpg] 」 (キ) 【0034】、【図8】 「【0034】 図8は、圧力検出装置に設けられた弾性部材の他の例を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、断面図である。弾性部材93は、開口部93aを有し全体がリング形状となっており、断面が馬蹄形状に形成されている。この弾性部材93は、馬蹄形状部の伸縮、撓みによるばね性を有した部材となっている。弾性部材93の配置構成については、図5に示した弾性部材90と同様の配置構成をとることができる。この弾性部材93の材料には、銅、ステンレス、アルミなどの金属から適宜選択して用いることができる。弾性部材93の形成は、金属プレス加工技術により容易に形成することができ、その材質、板厚や焼き入れ条件等、馬蹄形状部の曲率等の選定・設定条件によりばね特性等、多彩な特性を選択することができる。尚、弾性部材92は、断面視した図から分かるように曲率部を有した構成であるため、周辺部品との接触面積が小さくでき、摩耗による特性変化を抑えることができる。」 「【図8】 [図:0001427420000008.jpg] 」 (ク) 【0035】~【0040】 「【0035】 〔コイルばね〕 コイルばね45は、全体として螺旋状を呈する部材であって、中心線方向に伸縮するようになっている。コイルばね45は、導電性を有するリン青銅等の金属材料によって構成されている。コイルばね45は、先端外部筐体31(第1筐体33)の内側であって、絶縁部材44の内部と第2筐体34の内部とに跨がって配置されている。このため、コイルばね45の外径は、絶縁部材44に設けられた貫通孔の内径よりも小さくなっている。そして、コイルばね45の先端側は、絶縁部材44の内部において後端電極部材43の後端側の面と接触している。 【0036】 〔回路内蔵部材〕 回路内蔵部材46は、圧電素子41が出力する微弱な電荷による電気信号に処理を施す回路基板50と、回路基板50を内部に収容することで回路基板50を封止する封止部60とを備えている。また、回路内蔵部材46は、回路基板50と電気的に接続される、入力信号電極71、入力接地電極72、受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75をさらに備えている。ここで、入力信号電極71は、回路基板50よりも先端側に設けられており、入力接地電極72、受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75は、回路基板50よりも後端側に設けられている。そして、これら入力信号電極71~出力接地電極75は、それぞれの一端側が封止部60に封止されて回路基板50に接続される一方、それぞれの他端側は封止部60によって覆われることなく外部に露出している。なお、入力信号電極71~出力接地電極75は、それぞれ、導電性を有する板状の金属材料によって構成されている。 【0037】 入力信号電極71は、中心線方向に沿って延びるとともに回路基板50に接続される基部711と、基部711の先端側に突出する突出部712とを有している。ここで、突出部712の幅(中心線方向と交差する方向の長さ)は、基部711の幅よりも狭くなっており、コイルばね45の内径よりも小さくなっている。入力信号電極71は、突出部712の全体と基部711の先端側とが、封止部60によって覆われることなく露出している。そして、この部位が、第2筐体34の内側に挿入されるとともに、突出部712にはコイルばね45の後端側が巻き付くようになっている。 【0038】 〔接続部材〕 接続部材47は、全体として柱状を呈する部材である。接続部材47は、絶縁性を有するPPSあるいはPPT等の合成樹脂材料によって構成された基材と、導電性を有する銅等の金属材料で構成された配線および端子等を含んでいる。接続部材47は、後端外部筐体35の内側に配置されている。接続部材47の先端側には、回路内蔵部材46の後端側が対峙しており、回路内蔵部材46に設けられた受電電極73、出力信号電極74および出力接地電極75の、それぞれの後端側が挿入されている。 【0039】 〔閉塞部材〕 閉塞部材48は、全体として柱状を呈する部材である。ただし、閉塞部材48には、中心線方向に沿って3つの貫通孔が形成されている。閉塞部材48は、絶縁性を有するゴム材料で構成されている。閉塞部材48は、その先端側が後端外部筐体35の内側に配置され、その後端側が後端外部筐体35の後端よりも外側に飛び出している。閉塞部材48の先端側は、接続部材47の後端側に対峙している。また、閉塞部材48に設けられた3つの貫通孔には、接続ケーブル80を構成する各電線(詳細は後述する)が挿入されている。閉塞部材48の外径は、後端外部筐体35の後端側(第2内径部35g)の内径よりもわずかに大きくなっており、後端外部筐体35と閉塞部材48とは、圧入(しまりばめ)により一体化している。 【0040】 [接続ケーブルの構成] 接続ケーブル80は、撚り合わせられた電源線81、信号線82および接地線83と、これら電源線81、信号線82および接地線83の外周を覆う被覆部材84と、電源線81、信号線82および接地線83と、被覆部材84との隙間を埋める介在物85とを備えている。そして、電源線81は受電電極73に、信号線82は出力信号電極74に、接地線83は出力接地電極75に、接続部材47を介してそれぞれ接続される。ここで、電源線81、信号線82および接地線83は、それぞれ、錫メッキ軟銅撚り線で構成された導体部と、電子線等を用いて架橋構造を強化してなるポリエチレン(架橋ポリエチレン)等で構成されるとともに導体部の外周を被覆して絶縁する絶縁部とを有している。また、被覆部材は、絶縁性を有するゴム材料または樹脂材料で構成されている。なお、接続ケーブル80には、必要に応じて、電源線81、信号線82および接地線83を遮へいする遮へい体を設けてもかまわない。」 (ケ) 【0041】~【0046】 「【0041】 [圧力検出装置による圧力検出動作] では、圧力検出装置20による圧力検出動作について説明を行う。 内燃機関10が動作しているとき、ダイアフラムヘッド32の先端側の面(表面)には、燃焼室C内で発生した圧力(燃焼圧)が付与される。ダイアフラムヘッド32では、自身の表面で受けた圧力が裏面へと伝達され、さらに裏面から先端電極部材42へと伝達される。そして、先端電極部材42に伝達された圧力は、先端電極部材42と後端電極部材43とに挟まれた圧電素子41に作用し、圧電素子41では、受けた圧力に応じた電荷が生じる。圧電素子41に生じた電荷は、正の経路および負の経路を介して、回路基板50の入力信号端子および入力接地端子に電荷信号として供給される。回路基板50に供給された電荷信号は、回路基板50に実装された処理回路において各種処理が施されることで出力信号とされる。そして、回路基板50の出力信号端子および出力接地端子から出力された出力信号は、接続部材47および接続ケーブル80を介して、制御装置100に送信され、内燃機関10の制御に用いられる。なお、この間、回路基板50に実装された処理回路には、受電端子および出力接地端子を介して、制御装置100から電源電圧が供給されている。 【0042】 [圧力検出装置の製造手順] 続いて、本実施の形態の圧力検出装置20(主に圧力検出部)の製造手順について図4を参照し、説明を行う。 最初に、ダイアフラムヘッド32の裏面すなわち後端側と、第1筐体33の先端側とを対峙させて突き当てる。このとき、ダイアフラムヘッド32の中央部の後端側から突出する凸部32aは、第1筐体33の内部に配置される。そして、この状態で、ダイアフラムヘッド32と第1筐体33との境界部に、一周にわたってレーザ溶接を行うことで、各々が固定される。 【0043】 次に、第1筐体33に対し、後端側から、弾性部材90、先端電極部材42、圧電素子41、後端電極部材43、絶縁部材44および第2筐体34を、この順で挿入する。このとき、先端電極部材42の先端側の面が、ダイアフラムヘッド32の中央部から後端側へ向け突出た凸部32aの面に当接する。また、このとき、第2筐体34の先端側は、第1筐体33の内部に収容されるが、その後端側は、第1筐体33の後端側からはみ出す。それから、弾性部材90等の収容部品に対し、第2筐体34に加える中心線方向の力を調整し、圧電素子41にかかる予荷重を目標値に設定する。このとき、弾性部材90は、圧縮された状態となり、この状態で第1筐体33と第2筐体34との境界部に、一周にわたってレーザ溶接を行うことで、圧電素子41に予荷重を作用させた状態の圧力検出部が得られる。 【0044】 次に、圧力検出部に対し、後端側から、小径部31aを先端側として先端外部筐体31を装着する。このとき、先端外部筐体31(小径部31a)の先端側の面が、ダイアフラムヘッド32の後端側の面に突き当たる。また、第1筐体33、第2筐体34、先端電極部材42、圧電素子41、後端電極部材43および絶縁部材44は、先端外部筐体31の内部に収容される。そして、この状態で、ダイアフラムヘッド32と先端外部筐体31との境界部に、一周にわたってレーザ溶接を行うことで、外部筐体部が得られる。最後に、外部筐体31の後方側に回路基板50等を内蔵する回路内蔵部材46から成る信号処理部が接続され、圧力検出装置が完成する。尚、外部筐体31は、第1筐体33と一体化された構成であっても良いし、外部筐体31内部に直接先端電極部材42、圧電素子41、後端電極部材43および絶縁部材44等の収容部品を配置する構成であっても構わない。また、本実施例では、弾性部材90を第1筐体33の庇部33aと圧力検出部を構成する部材の一つである先端電極部材42との間に配置したが、本発明の圧力検出装置はこの構成に限らない。例えば、第1筐体33に庇部33aを設けずに、ダイアフラムヘッド32の第1筐体33との当接部(境界部)においてダイアフラムヘッド32の一部を第1筐体33の先端側開口より中心軸側へと突出させ、第1筐体33の先端側開口の一部を閉塞するようにした構成、つまり、ダイアフラムヘッド32と第1筐体33との当接部に第1筐体33およびダイアフラムヘッド32で段差を設けた構成とし、その段差部と先端電極部材42との間に弾性部材90を配置した構成としてもよい。さらにまた、圧力検出部を構成する部材の一つである絶縁部材44と第2筐体34との間に弾性部材90を配置した構成としてもよい。 【0045】 以上説明したように、本実施の形態では、圧電素子に予荷重を作用させる構造体として、ばね性を有する弾性部材を簡易な構造としたので、その加工がしやすく、組み立て性も大幅に向上する。よって、製造メリット、コストメリットの高い圧力検出装置が得られる。 【符号の説明】 【0046】 1…圧力検出システム、10…内燃機関、20…圧力検出装置、30…筐体部、31…先端外部筐体、32…ダイアフラムヘッド、33…第1筐体、34…第2筐体、35…後端外部筐体、40…検出機構部、41…圧電素子、42…先端電極部材、43…後端電極部材、44…絶縁部材、45…コイルばね、46…回路内蔵部材、47…接続部材、48…閉塞部材、50…回路基板、71…入力信号電極、72…入力接地電極、73…受電電極、74…出力信号電極、75…出力接地電極、80…接続ケーブル、81…電源線、82…信号線、83…接地線、90…弾性部材、100…制御装置」 (2) 新規事項の追加の有無の検討 ア 「発明特定事項A」について 発明特定事項Aは、「圧力検出部」と「筐体部」との間に「配置」された「弾性部材」の「一端」が、次の(ア)又は(イ)に示す「角部」(以下、それぞれ「角部A」、「角部B」という。)に「係止されていること」を特定するものであり、要するに「弾性部材」の「一端」の配置・固定態様に係る事項を特定するものである。 (ア) 角部A 「圧力検出部を内部に収容する第1筐体から突出する庇部の表面」と「前記第1筐体の内面」とで形成された「角部」 (イ) 角部B 「外部からの圧力を受ける受圧部材から突出する突出部の表面」と「圧力検出部を内部に収容する第1筐体の内面」とで形成された「角部」 イ 当初明細書等に開示された態様について (ア) 「弾性部材」の「一端」の配置・固定態様については、前記(1)において摘記した事項を踏まえると、以下のa~fに示す記載がある。 a 【請求項3】 「前記弾性部材は、その一端が前記第1筐体に設けられた庇部に当接し、他端が前記圧力検出部材に当接して配置されることを特徴とする請求項2記載の圧力検出装置。」 b 【請求項4】 「前記弾性部材は、その一端が前記受圧部に当接し、他端が前記圧力検出部材に当接して配置されることを特徴とする請求項1記載の圧力検出装置。」 c 【0009】 「(前略) また、前記弾性部材は、その一端が前記第1筐体に設けられた庇部に当接し、他端が前記圧力検出部材に当接して配置されることを特徴とすることができる。 また、前記弾性部材は、その一端が前記受圧部に当接し、他端が前記圧力検出部材に当接して配置されることを特徴とすることができる。(後略)」 d 【0030】 「〔弾性部材〕 弾性部材90は、圧電素子41に一定の応力を付加するための部材である。圧電素子41は、その感度および直線性を高めるために予め定められた荷重(予荷重)を作用させた状態を保つ必要があるが、この弾性部材90を組み込むことで予荷重の作用を維持した状態を実現している。この弾性部材90は、前述の圧電素子41、先端電極部材42、後端電極部材43、絶縁部材44の各部材と共に、第1筐体33内に積層配置され、第1筐体33の内部収容部品の一つを構成している。組込み形態の一例としては、図4に示すように、第1筐体33のダイアフラムヘッド32側に配置され、先端電極部材42に当接した配置構成とすることができる。この場合、第1筐体33の先端側へ弾性部材90を配置し、次いで先端電極部材42、圧電素子41、後端電極部材43、絶縁部材44の順に各々の部材を収容する。次に、第2筐体34を挿入し、第1筐体33の軸方向に押圧することで、積層された各部材と共に弾性部材90に一定の応力が付加され、圧縮された状態で固定されている。圧縮された弾性部材90は、その弾性力の働きによって、圧電振動子41へ一定の応力(所定の荷重)をかけることとなり、一定の予荷重を作用させた状態が維持されることとなる。」 e 【0031】 「弾性部材90は種々の形状が採用できるが、その形状について図面を参照して説明する。図5は、圧力検出装置に設けられた弾性部材の一例を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、(a)のA-A断面図である。この弾性部材90は、周縁部がテーパー面90aを有する皿形状に形成されている。また、その底部には開口部90bが設けられており、全体がリング状の部材である。この弾性部材90は、テーパー面90aの伸縮、撓みによりばね性を有した部材となっている。この弾性部材90の配置構成については、図4に示したように、開口部90bの形成面が先端電極部材42に当接し、その他端側が第1筐体33の端部に形成された庇部33aに当接して配置される。(後略)」 f 【0044】 「(前略)また、本実施例では、弾性部材90を第1筐体33の庇部33aと圧力検出部を構成する部材の一つである先端電極部材42との間に配置したが、本発明の圧力検出装置はこの構成に限らない。例えば、第1筐体33に庇部33aを設けずに、ダイアフラムヘッド32の第1筐体33との当接部(境界部)においてダイアフラムヘッド32の一部を第1筐体33の先端側開口より中心軸側へと突出させ、第1筐体33の先端側開口の一部を閉塞するようにした構成、つまり、ダイアフラムヘッド32と第1筐体33との当接部に第1筐体33およびダイアフラムヘッド32で段差を設けた構成とし、その段差部と先端電極部材42との間に弾性部材90を配置した構成としてもよい。さらにまた、圧力検出部を構成する部材の一つである絶縁部材44と第2筐体34との間に弾性部材90を配置した構成としてもよい。」 ウ 「角部」の位置の検討 前記イに示した記載には「角部」という語句は存在せず、当初明細書等の他の記載にも「角部」という語句は存在しない。 そこで、発明特定事項Aの「角部」がどの箇所を指し示すのか、図面の記載を参照して検討する。 (ア) 「角部A」について a 「角部A」に係る「圧力検出部」、「第1筐体」、「庇部」については、当初明細書等の記載において次のとおり規定されている。 (a) 「圧力検出部」 「圧電素子41と、先端電極部材42と、後端電極部材43と、絶縁部材44と、コイルばね45とで構成される圧力検出部」(【0023】) (b) 「第1筐体」 「中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である」「第1筐体33」(【0019】) (c) 「庇部」 「第1筐体33の一端側(先端側)の端部」に「設けられた」「第1筐体33一端側の開口の一部を閉塞するように第1筐体33の端部が中心軸へ突出した庇部33a」(【0019】) b 前記aを踏まえると、「角部A」は、「第1筐体33」から突出する「庇部33a」の表面と「第1筐体33」の内面とで形成された「角」(かど)の部分のことであるから、図4(断面図)における第1筐体33がL字状又は逆L字状に曲がっている箇所(曲がり角)の内側部分を指し示すと考えられる。 「【図4】(当審において角部Aを示すように追記した。) [図:0001427420000009.jpg] 」 (イ) 「角部B」について a 「角部B」に係る「受圧部材」、「突出部」、「第1筐体」については、当初明細書等の記載において次のとおり規定されている。 (a) 「受圧部材」 「全体として円板状を呈する部材である」「ダイアフラムヘッド32」(【0018】) (b) 「突出部」 「受圧面32bで受けた圧力」を「圧力検出部へと伝達する伝達部である凸部32a」(【0018】) (c) 「第1筐体」 「中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である」「第1筐体33」(【0019】) b 前記aを踏まえると、「角部B」は、「ダイアフラムヘッド32」から突出する「凸部32a」の表面と「第1筐体33」の内面とで形成された部分ということになるが、図4(断面図)をみても、「凸部32a」の表面と「第1筐体33」の内面は隣接しておらず、「凸部32a」の表面と「第1筐体33」の内面とで形成された部分がどの箇所を指し示すのか不明である。 c もっとも、【0044】には「例えば、第1筐体33に庇部33aを設けずに、ダイアフラムヘッド32の第1筐体33との当接部(境界部)においてダイアフラムヘッド32の一部を第1筐体33の先端側開口より中心軸側へと突出させ、第1筐体33の先端側開口の一部を閉塞するようにした構成、つまり、ダイアフラムヘッド32と第1筐体33との当接部に第1筐体33およびダイアフラムヘッド32で段差を設けた構成とし、その段差部と先端電極部材42との間に弾性部材90を配置した構成としてもよい。」という記載があり、これを踏まえると、「受圧部材」の「突出部」は、図4の「凸部32a」ではなく、図4には示されていない「ダイアフラムヘッド32の一部を第1筐体33の先端側開口より中心軸側へと突出させ」たものを想定していると認められるから、図4のとおりではないものの、「角部A」とほぼ同位置において、「ダイアフラムヘッド32」の一部が突出した部分と第1筐体33が当接しており、その境界における段差部を「角部B」と称していると考えられる。 エ 「係止」の意味について (ア) 前記イに示した記載には「当接」という語句はあるものの「係止」という語句は存在せず、当初明細書等の他の記載にも「係止」という語句は存在しない。 (イ) ここで、一般に、「当接」とは、「当たり接すること」、すなわち、二つの部材が当たっている状態で接することを意味するところ、これは、例えば、二つの部材が当たってはいない状態で接することを表す「近接」に対比される概念であるといえる。 (ウ) 他方、「係止」とは、「係り止めること」、すなわち、二つの部材の一方を他方にひっかけて止めることを意味するところ、これは、二つの部材が当たっている状態で接することは前提としているが、それに加えて、両者の固定状態についても規定する概念である。 オ 「角部に係止されている」ことの検討 (ア) 発明特定事項Aの「角部A」又は「角部B」が、前記ウにおいて検討したとおりの位置を指し示すとしても、当該位置に「弾性部材の一端」が「係止されている」ことが当初明細書等に開示されているかどうかについて検討する。 (イ) 上述したとおり、当初明細書等には「係止」という語句は存在せず、また、「係止」という概念は、「当接」を前提としてさらに固定状態までも規定する概念であるから、単に「当接」という語句があるからといって、それを根拠として「係止」が自明に導き出されるものではない。 (ウ) この点に関して、図4において、「角部A」に該当する箇所に「弾性部材90」が当たっている状態で接していることは看取できるものの、「弾性部材90」が「角部A」に該当する箇所にひっかかって止められていることまでを読み取ることはできない。 (エ) すなわち、図4を参酌しても、「弾性部材90」の「角部A」に対する固定状態がどのようなものであるか(そもそも固定された状態にあるのか)については、当初明細書等に開示されていないというべきである。 (オ) そうすると、発明特定事項Aは、「角部A」の位置に「弾性部材の一端」が「係止されている」として、「弾性部材」の固定状態までも規定するという新たな技術上の意義をもたらすことになる。 (カ) 「角部B」については、図4にすら示されてはいないから、「弾性部材90」の「角部B」に対する固定状態がどのようなものであるか(そもそも固定された状態にあるのか)について当初明細書等に開示されていないのは、「角部A」の場合よりも一層明白である。 カ 検討のまとめ 前記オを踏まえると、発明特定事項Aを追加する本件補正は、「角部A」又は「角部B」の位置に「弾性部材の一端」が「係止されている」として、「弾性部材」の固定状態までも規定するという新たな技術上の意義をもたらすことになるから、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるとはいえない。 (3) 請求人の主張について ア 審判請求書の主張について 請求人は、「(2)補正の説明」において、以下のとおり主張して、本件補正が当初明細書等に記載された範囲内のものである旨主張している。 「令和5年8月2日付け手続補正書(以下、「前回補正書」と称する)における特許請求の範囲に対して、本審判請求書と同時に提出する手続補正書(以下、「今回補正書」と称する)により、以下のように補正を行った。 (a)今回補正書における請求項1(以下、「補正後の請求項1」と称する)は、前回補正書における請求項1を前回補正書における請求項3の一部ならびに請求項5の一部、出願当初明細書の段落[0019]、[0031]、[0034]および図4の記載内容に基づく新たな発明特定事項で限定したものであり、この補正は、新規事項を追加するものではない。なお、補正後の請求項1に記載された「弾性部材の一端は・・・角部に係止されている」は、本願の図4に示されているように、角部を形成する互いに隣接する二つの面の両方に弾性部材の一端が接している状態を意味する。」 イ 請求人の主張に対する当審の判断 (ア) 請求人は、本件補正の根拠の一つとして、令和5年8月2日に提出された手続補正書により補正された【請求項3】、【請求項5】を挙げているが、これらは当初明細書等の記載ではなく、新規事項の追加の判断における基準となるものではないから、本件補正の根拠として示すのはそもそも適切ではないが、その点は措くとして、上記【請求項3】、【請求項5】には、以下に示すとおり、いずれにしても「係止」という語句は登場しないから、前記(2)において検討した結果を左右するものではない。 「【請求項3】 前記弾性部材は、その一端が前記第1筐体に設けられた庇部に当接し、他端が前記圧力検出部に当接して配置されることを特徴とする請求項2記載の圧力検出装置。」 「【請求項5】 前記受圧部材と前記第1筐体とは、前記受圧部材から後端側に突出した突出部と前記第1筐体の先端側端部とを当接部として接続され、 前記当接部において、前記突出部と前記先端側端部との間で段差が形成され、 前記弾性部材は、その一端が前記段差に当接することを特徴とする請求項4に記載の圧力検出装置。」 (イ) また、請求人は、本件補正の根拠の一つとして、当初明細書等の【0019】、【0031】、【0034】を挙げているが、これらの段落には、やはり「係止」という語句は登場しないから、前記(2)において検討した結果を左右するものではない。 (ウ) 【図4】を補正の根拠とする点については、前記(2)において検討したとおり、図4の記載から、「角部A」に該当する箇所に「弾性部材90」が当たっている状態で接していることは看取できるものの、「弾性部材90」が「角部A」に該当する箇所にひっかかって止められていること(「係止」)までを読み取ることはできない。 (エ) さらに、請求人は、「なお、補正後の請求項1に記載された「弾性部材の一端は・・・角部に係止されている」は、本願の図4に示されているように、角部を形成する互いに隣接する二つの面の両方に弾性部材の一端が接している状態を意味する。」と主張しているが、「角部に係止されている」ことを「角部を形成する互いに隣接する二つの面の両方」に「接している状態を意味する」と解する根拠が不明であり、前記(2)エにおいて検討したとおり、「係止」とは、二つの部材が当たっている状態で接することは前提としているが、それに加えて、両者の固定状態についても規定する概念であると解するのが相当であるから、「係止」が「互いに隣接する二つの面の両方に接している状態」を意味するとするのは、通常の語感に沿わないものであって、請求人の上記主張に与することはできない。 したがって、請求人の主張を採用することはできない。 (4) 小括 以上検討のとおり、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法17条の2第3項の規定に違反しているから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 したがって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明の認定 本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~5に係る発明は、令和5年8月2日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2の1(1)に摘記した事項により特定されるとおりである。 ここで、検討の便宜上、本願発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Dまでに分説する。 <本願発明の分説> (構成A) 外部からの圧力を受けて電気信号を発生させる圧力検出部と、 (構成B) 前記外部からの圧力を受ける受圧部材、前記圧力検出部を内部に収容する第1筐体、および前記第1筐体に取り付けられ、前記第1筐体に収容された前記圧力検出部を支持する第2筐体を有する筐体部と、を備えた(構成X)圧力検出装置において、 (構成C) 前記受圧部材は、前記圧力を受ける受圧面と、前記圧力検出部と接続され前記受圧面で受けた前記圧力を前記圧力検出部に伝達する伝達部と、を含む受圧部を有し、 (構成D) 前記圧力検出部と前記筐体部との間には弾性部材が配置され、当該弾性部材に弾性力を生じさせることで前記圧力検出部に所定の荷重が作用しており、前記受圧部には前記弾性力が作用していないことを特徴とする (構成X)圧力検出装置。 2 拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての進歩性の欠如の理由の要旨は、次のとおりである。 理由2 (進歩性の欠如) 本願発明は、下記の引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開2017-78622号公報 引用文献2:実願昭61-172967号(実開昭63-78235号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献) 3 引用発明等の認定 (1) 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定 ア 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された文献であって、本願の出願前に発行された文献である特開2017-78622号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。下線は審判合議体が付したもので、後記ウにおいて引用発明の認定に直接用いる記載を示す。 (ア) 【0001】~【0006】 「【技術分野】 【0001】 本発明は、内燃機関等において燃焼室内の圧力を検出する圧力センサ、および、その製造方法に関する。 【背景技術】 【0002】 圧力センサとして、ダイアフラムと圧電素子と伝達部材(例えば、ロッド)とを備えるものが、提案されている。燃焼室内の圧力に応じてダイアフラムが変形すると、伝達部材は、所定の向きに変位して圧電素子に力を加える。圧電素子は、加えられた力に応じた電荷(電圧)を出力する。この結果、圧電素子から出力される電荷を測定することで、燃焼室内の圧力を検出することができる。 【0003】 圧電素子から出力される電荷を安定させるために、圧力センサは、圧電素子に対して予め荷重が付与された状態で、組立てられる。特許文献1には、圧電素子に対して伝達部材と反対側に位置し、筐体に固定された固定部材を備える圧力センサが開示されている。この圧力センサの組立て時には、固定部材を加圧しながら、固定部材と筐体とが溶接される。これによって、組立て時に、圧電素子に予め付与される荷重(以下、予荷重とも呼ぶ)を安定させることができるとされている。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、上記技術では、組立て時に、固定部材に対する加圧のばらつきを抑制できずに、圧電素子に対する予荷重のばらつきが大きくなる可能性があった。この結果、圧電素子から出力される電荷にばらつきが生じる可能性があった。出力される電荷のばらつきは、圧力センサの性能のばらつき等を引き起こし得る。 【0006】 本明細書は、圧電素子に対する予荷重のばらつきを低減して、圧電素子から出力される電荷のばらつきを低減する技術を開示する。」 (イ) 【0026】~【0027】、【図1】 「【0026】 A.第1実施形態: A-1.圧力センサ10の構成 図1は、第1実施形態としての圧力センサ10を示す説明図である。軸線CLは、圧力センサ10の中心軸である。以下、軸線CLに平行な方向を、「軸線方向」とも呼ぶ。軸線CLと垂直な面上において軸線CLを中心とする円の径方向を、単に「径方向」とも呼び、当該円の周方向を、単に「周方向」とも呼ぶ。また、軸線CLに沿った方向のうち、図1の下に向かう方向を、「先端方向Df」と呼び、先端方向Dfの反対方向を、「後端方向Dr」と呼ぶ。先端方向Df側を「先端側」と呼び、後端方向Dr側を「後端側」とも呼ぶ。図1には、圧力センサ10の先端側の部分の軸線CLよりも左側の断面構成が示されている。この断面は、軸線CLを含む平断面(平面で切断された断面)である。また、図1には、圧力センサ10の他の部分の外観構成が示されている。」 「【図1】 [図:0001427420000010.jpg] 」 「【0027】 本実施形態の圧力センサ10は、内燃機関に取り付けられて、内燃機関の燃焼室内の圧力を検出するために用いられる。図1に示すように、圧力センサ10は、主な構成要素として、筒状金具20と、先端ユニット100と、ケーブル60と、を備えている。」 (ウ) 【0030】~【0034】、【図2】 「【0030】 図2は、第1実施形態の圧力センサ10の先端ユニット100近傍の拡大図である。具体的には、図1に領域Xとして示す部位を拡大して示す断面図である。この断面は、軸線CLを含む断面である。先端ユニット100は、筐体30と、ダイアフラム40と、圧電ユニット50と、支持ロッド70と、筒状バネ80と、伝達ロッド90と、を備えている。図2に示すように、圧力センサ10の軸線CLは、圧力センサ10を構成する筒状金具20と筐体30とダイアフラム40と圧電ユニット50と支持ロッド70と筒状バネ80と伝達ロッド90とのそれぞれの中心軸でもある。」 「【図2】 [図:0001427420000011.jpg] 」 「【0031】 筐体30は、レーザ溶接によって、筒状金具20の先端に溶融部MT1を介して接合されている。筐体30は、軸線CLに沿って延びる略筒形状を有し、内部には、軸線CLに沿って延びる軸孔31が形成されている。筐体30は、底部32と、拡径部34と、を有する。底部32は、筐体30の後端側に位置し、軸孔31を形成する内周面から径方向内側に延出する。底部32は、軸線CLと交差する部分に、軸孔31と連通する貫通穴321を有する。また、底部32は、軸線CLに近い部分、すなわち、貫通穴321が形成された内縁部分に、後端側に向かって延びる円筒状の固定部322を有する。拡径部34は、筐体30先端側に位置し、外径が先端側から後端側に向かって拡径する部分である。圧力センサ10が内燃機関に取り付けられる場合、拡径部34は、内燃機関のシリンダヘッドに密着する。筐体30は、筒状金具20と同様に、例えば、ステンレス鋼などの導電性の金属で形成されている。 【0032】 ダイアフラム40は、軸線CLを中心とする円環形状の膜である。ダイアフラム40の外周側の縁は、レーザ溶接によって、全周に亘って、筐体30の先端に、溶融部MT2を介して接合されている。すなわち、ダイアフラム40は、筐体30のうち、筐体30内の圧電ユニット50より先端側に固定されている。 【0033】 ダイアフラム40は、貫通穴41と、固定部42と、を有する。貫通穴41は、軸線CLと交差する部分に形成され、軸孔31と連通している。固定部42は、ダイアフラム40の軸線CLに近い部分、すなわち、貫通穴41が形成された内縁部分に位置し、先端側に向かって延びる円筒状の部分である。ダイアフラム40は、例えば、ステンレス鋼などの導電性の金属で形成されている。 【0034】 圧電ユニット50は、筐体30の軸孔31内に配置されている。圧電ユニット50は、圧電素子51と、圧電素子51を挟む2個の電極52と、先端側の電極52の先端側に配置された押さえ板54と、後端側の電極52から後端方向Drに向かって順番に並ぶリード部53、押さえ板54、絶縁板55と、を備えている(図2)。」 (エ) 【0040】~【0043】 「【0040】 支持ロッド70は、軸線CLに沿って延びる略円筒状の部材であり、内部には、軸線CLに沿って延びる軸孔71が形成されている。支持ロッド70は、筐体30の軸孔31内に、圧電ユニット50より後端側に配置されている。支持ロッド70は、例えば、ステンレス鋼などの導電性の金属で形成されている。 【0041】 支持ロッド70の先端は、圧電ユニット50の後端側に、具体的には、圧電ユニット50の絶縁板55の後端側の面に、当接している。支持ロッド70の軸孔71には、圧電ユニット50のリード部53の端子部56が、支持ロッド70の内周面と接触しないように、支持ロッド70の内周面から離間した状態で、配置されている。 【0042】 支持ロッド70の後端側の部分は、筐体30に対して固定されている。具体的には、支持ロッド70の後端側の部分は、筐体30の底部32の貫通穴321に、すなわち、底部32の筒状の固定部322内に、挿入・配置されている。そして、支持ロッド70の後端側の部分の外周面は、レーザ溶接によって、溶融部MT4を介して、固定部322の内周面と接合されている。 【0043】 筒状バネ80は、軸線CLに沿って延びる略円筒状の部材であり、内部に、軸線CLに沿って延びる軸孔81が形成されている。筒状バネ80は、例えば、ステンレス鋼などの導電性の金属で形成されている。」 (オ) 【0053】~【0054】 「【0053】 A-2.圧力センサ10の動作 圧力センサ10は、内燃機関のシリンダヘッドに設けられ、燃焼室と連通する取付孔に取り付けられる。該取付孔には、雌ねじが形成されており、筒状金具20のねじ部22が、当該雌ねじに固定される。この状態で、先端ユニット100の先端部は、内燃機関の燃焼室内に露出して、ダイアフラム40の先端側の面は、燃焼室内の気体(例えば、燃料ガス)の圧力を受ける。 【0054】 ダイアフラム40は、燃焼室内の圧力に応じて変形する(撓む)。伝達ロッド90は、ダイアフラム40の変形に応じて軸線CLに沿って変位することによって、ダイアフラム40が受けた圧力に応じた荷重を、後端側の圧電ユニット50に伝達する。圧電ユニット50の圧電素子51上では、ダイアフラム40(図2)から伝達ロッド90を通じて伝達された荷重に応じて、電荷が生じる。圧電素子51は、荷重に応じた電荷(例えば、電気信号)を、2個の電極52を通じて、出力する。出力された電気信号に基づいて、燃焼室内の圧力が特定される。」 (カ) 【0055】~【0065】、【図5】、【図6】 「【0055】 A-3.圧力センサ10の製造方法 次に、圧力センサ10の製造方法について説明する。図5は、第1実施形態の圧力センサ10の製造方法のフローチャートである。図6は、第1実施形態の圧力センサ10の製造方法の説明図である。」 「【図5】 [図:0001427420000012.jpg] 」 「【0056】 図5のS110では、上述した圧力センサ10を構成する部材20~90が準備される。 【0057】 S120では、筐体30に、筒状バネ80と、圧電ユニット50と、伝達ロッド90と、ダイアフラム40と、が配置される。具体的には、図6(A)に示すように、筐体30は、先端側を鉛直方向上向きに、後端側を鉛直方向下向きにした状態で、筐体保持部材210に保持される。この状態で、筐体30の軸孔31内に、筐体30の先端側の開口から、先ず、筒状バネ80が配置され、次に、筒状バネ80の軸孔81に、端子部56を挿入するように、圧電ユニット50が配置される。この結果、筐体30内に、圧電ユニット50が配置されるとともに、筐体30内の圧電ユニット50と筐体30の底部32との間に、筒状バネ80が配置される。なお、図6(A)に示すように、圧電ユニット50の端子部56には、予め細径導線CW2が溶接されている。」 「【図6】 [図:0001427420000013.jpg] 」 「【0058】 さらに、圧電ユニット50の先端側の押さえ板54に、伝達ロッド90の後端が当接するように、筐体30の軸孔31内に、伝達ロッド90が配置される。そして、ダイアフラム40の貫通穴41に、伝達ロッド90の先端部分が挿入され、ダイアフラム40が、筐体30の軸孔31の先端側の開口を覆うように、ダイアフラム40が配置される(図6(A))。 【0059】 S130では、ダイアフラム40が、筐体30に溶接される。具体的には、図6(A)に矢印Lzで示すように、レーザ溶接によって溶融部MT2(図2)が形成され、ダイアフラム40の外縁部分が、筐体30の先端部に、接合・固定される。 【0060】 S140では、図6(B)に矢印Prで示すように、圧電ユニット50の先端側に当接された伝達ロッド90に対して、図示しないプレス機を用いて、先端側から後端側に向かって加圧することに、特定のストローク量ST(以下、単にプレス量STとも呼ぶ、例えば、5mm)だけ伝達ロッド90をプレスする。プレス量STは、例えば、圧電素子51からの電荷の出力が狙い値となるように、予め決められた値、あるいは、圧電素子51からの電荷の出力をモニタリングしながら決められる値である。これによって、圧電ユニット50は、プレス量ST分だけ後端方向Drに移動する。したがって、圧電ユニット50と筐体30の底部32との間の筒状バネ80は、軸線方向に、プレス量STだけ圧縮される。この結果、筒状バネ80と、伝達ロッド90と、に挟まれた圧電ユニット50の圧電素子51には、所定の予荷重が付与される。 【0061】 S150では、伝達ロッド90がプレス量STだけプレスされた状態で、ダイアフラム40と伝達ロッド90とが溶接される。具体的には、伝達ロッド90がプレス量STだけプレスされた状態で、換言すれば、伝達ロッド90に対して先端側から後端側に向かって加圧しながら、図6(B)に矢印Lzで示すように、レーザ溶接によって溶融部MT3(図2)が形成される。これによって、伝達ロッド90の外周面が、ダイアフラム40の固定部42に対して、接合・固定される。 【0062】 S160では、筐体30が反転される。具体的には、図6(C)に示すように、筐体30および筐体30に配置された部材80、90、50、40は、先端側を鉛直方向下向きに、後端側を鉛直方向上向きにした状態で、筐体保持部材220に保持される。 【0063】 S170では、圧電ユニット50の後端側に、支持ロッド70が配置される。具体的には、図6(C)に示すように、筐体30の底部32の貫通穴321に、後端側から先端側に向かって、挿入される。重力によって、支持ロッド70の先端は、圧電ユニット50の絶縁板55に当接する。支持ロッド70は、筒状バネ80の軸孔81内であって、かつ、圧電ユニット50の端子部56の径方向の外側に、配置される。 【0064】 S180では、筐体30と支持ロッド70とが溶接される。具体的には、重力によって支持ロッド70の先端が圧電ユニット50の絶縁板55に当接した状態で、図6(C)に矢印Lzで示すように、レーザ溶接によって溶融部MT4(図2)が形成され、支持ロッド70の外周面が、底部32の固定部322に対して、接合・固定される。これによって、先端ユニット100が完成する。 【0065】 S190では、他の部材と、先端ユニット100と、を組み立てて、圧力センサ10が完成される。具体的には、先端ユニット100の後端側から引き出された細径導線CW2の後端と、ケーブル60の内部導体65と、が平板導線CW1を介して接続される。また、ケーブル60の接地導線CW3の先端部と筐体30の底部32とが溶接される。さらに、ケーブル60が筒状金具20の軸孔21内に通された上で、筒状金具20の先端に、先端ユニット100の筐体30が溶接される。その後、筒状金具20の軸孔21内に溶融ゴムが注入されて軸孔21内がゴム層で満たされて(図示省略)、圧力センサ10が完成される。」 (キ) 【0075】~【0076】、【図8】 「【0075】 B.第2実施形態: B-1.圧力センサの構成 図8は、第2実施形態の圧力センサの先端ユニット100B近傍の拡大図である。第2実施形態の筒状バネ80Bは、圧電ユニット50とダイアフラム40との間であり、かつ、伝達ロッド90の径方向の外側に配置されている。具体的には、筒状バネ80Bの先端は、ダイアフラム40の後端側の面に当接し、筒状バネ80Bの後端は、押さえ板54の先端側の面に当接している。筒状バネ80Bは、ダイアフラム40と絶縁板55とによって、軸線方向に少量だけ圧縮されている。筒状バネ80Bの軸孔81Bには、伝達ロッド90が挿入・配置されている。 【0076】 筒状バネ80Bの概略形状は、第1実施形態の筒状バネ80と同じであり、側壁が蛇腹形状を有する略円筒状を有している。」 「【図8】 [図:0001427420000014.jpg] 」 イ 引用文献1の記載から認定する際の留意事項 前記ア(キ)において摘記した第2実施形態は、前記ア(ア)~(カ)において摘記した第1実施形態の「筒状バネ80」を、「圧電ユニット50とダイアフラム40との間であり、かつ、伝達ロッド90の径方向の外側に配置されている」「筒状バネ80B」に置き換えたものであるところ、第2実施形態は、「筒状バネ80B」の配置と作用以外の構成については、第1実施形態と共通するものである。 したがって、引用文献1において、第2実施形態に係る技術事項を認定するにあたっては、第1実施形態と共通する技術事項を援用しても差し支えないというべきである。 ウ 引用発明の認定 前記アにおいて摘記した事項及び前記イにおいて述べた留意事項を踏まえると、引用文献1には、第2実施形態に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所等を括弧内に示した。 <引用発明> 「内燃機関に取り付けられて、内燃機関の燃焼室内の圧力を検出するために用いられる圧力センサ10であって、(【0027】) 圧力センサ10は、主な構成要素として、筒状金具20と、先端ユニット100と、ケーブル60と、を備えており、(【0027】) 先端ユニット100は、筐体30と、ダイアフラム40と、圧電ユニット50と、支持ロッド70と、筒状バネ80Bと、伝達ロッド90と、を備えており、(【0030】、イの留意事項) 圧力センサ10の軸線CLは、圧力センサ10を構成する筒状金具20と筐体30とダイアフラム40と圧電ユニット50と支持ロッド70と筒状バネ80Bと伝達ロッド90とのそれぞれの中心軸でもあり、(【0030】、イの留意事項) 先端ユニット100の先端部は、内燃機関の燃焼室内に露出しており、ダイアフラム40の先端側の面が、燃焼室内の気体(例えば、燃料ガス)の圧力を受けると、ダイアフラム40は、燃焼室内の圧力に応じて変形し(撓み)、(【0053】~【0054】) 伝達ロッド90は、ダイアフラム40の変形に応じて軸線CLに沿って変位することによって、ダイアフラム40が受けた圧力に応じた荷重を、後端側の圧電ユニット50に伝達するものであり、(【0054】) 圧電ユニット50は、筐体30の軸孔31内に配置されており、圧電ユニット50は、圧電素子51と、圧電素子51を挟む2個の電極52と、先端側の電極52の先端側に配置された押さえ板54と、後端側の電極52から後端方向Drに向かって順番に並ぶリード部53、押さえ板54、絶縁板55と、を備えており、(【0034】) 圧電ユニット50の圧電素子51上では、ダイアフラム40から伝達ロッド90を通じて伝達された荷重に応じて、電荷が生じ、圧電素子51は、荷重に応じた電荷(例えば、電気信号)を、2個の電極52を通じて、出力し、出力された電気信号に基づいて、燃焼室内の圧力が特定されるものであり、(【0054】) 支持ロッド70は、軸線CLに沿って延びる略円筒状の部材であり、内部には、軸線CLに沿って延びる軸孔71が形成されており、支持ロッド70は、筐体30の軸孔31内に、圧電ユニット50より後端側に配置されており、支持ロッド70の先端は、圧電ユニット50の後端側に、具体的には、圧電ユニット50の絶縁板55の後端側の面に、当接しており、支持ロッド70の後端側の部分は、筐体30に対して固定されており、(【0040】~【0042】) 筒状バネ80Bは、軸線CLに沿って延びる略円筒状の部材であり、(【0043】、イの留意事項) 筒状バネ80Bは、圧電ユニット50とダイアフラム40との間であり、かつ、伝達ロッド90の径方向の外側に配置されており、具体的には、筒状バネ80Bの先端は、ダイアフラム40の後端側の面に当接し、筒状バネ80Bの後端は、押さえ板54の先端側の面に当接しており、筒状バネ80Bは、ダイアフラム40と絶縁板55とによって、軸線方向に少量だけ圧縮されており、(【0075】) 筒状バネ80Bが、軸線方向に、プレス量STだけ圧縮される結果、圧電ユニット50の圧電素子51には、所定の予荷重が付与される、(【0060】、イの留意事項) 圧力センサ10。」 (2) 引用文献2に記載された事項及び周知技術1の認定 ア 引用文献2に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用された文献であって、本願の出願前に発行された文献である実願昭61-172967号(実開昭63-78235号)のマイクロフィルム(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。下線は審判合議体が付したものである。 (ア) 6頁1行~10頁6行、第1図 「<実施例> 第1図は、本考案の一実施例を示す。」 「第1図 [図:0001427420000015.jpg] 」 「 その細径周面にシリンダーブロックに螺合する螺子部21が形成された筒状の取付金具20には、長手方向に沿って後方から、大径孔22,リード線xを挿通する導通孔23及び先端を検出開口とする装着孔24が、その中心を貫通して順次連成されている。また装着孔24の下部内周面には雌螺子25が形成されている。 前記装着孔24の内部には、奥断面24a側に、絶縁体27,パッキン28,スペーサ29,環状の導電筒片30,端子板31,電極を上下主表面に形成されたPZT等の材料による板状圧電素子板32及び端子板33が順次積層状に配設され、その周囲を絶縁材34で覆って装着孔24と電気的に絶縁している。また端子板31の上面からは、リード線xが接続される接続用舌片31aが突設し、前記導電筒片30の孔部に挿通している。さらには絶縁体27,パッキン28,スペーサ29には導通孔23と上下で一致してリード線xを通入可能とする透孔が形成されている。 そして圧電素子板32の上面電極は、端子板31の接続用舌片31aに接続されたリード線xを介してケーブルyに電気的に接続される。 前記装着孔24の内部にはさらに圧力伝達杆36が挿通されて、その上端を端子板33の下面に当接している。前記圧力伝達杆36は中央から下方を径小とし、その頂部と径小部36a間の段部に当接顎面36bを形成している。 さらにまた、装着孔24には、圧力伝達杆36の径小部36aの周囲位置で、筒状螺子38が雌螺子25に沿って螺入されている。そして、前記筒状螺子38の内端には、皿状の挟圧バネ39の周縁が保持され、該挟圧バネ39の中心の透孔に、圧力伝達杆36の径小部36aが挿通している。前記筒状螺子38はアルミナ等の断熱材により形成される。 そして筒状螺子38の螺子込みにより、挟圧バネ39の透孔の周縁は前記圧力伝達杆36の当接顎面36b側に圧接し、圧電素子板32に所要の予圧力が付与される。 この予圧印加は、各検出部材の体積変化を吸収し、装着孔24の内部に緊密に封入するとともに、圧電素子板32にバイアスを掛けるためになされる。而て、装着孔24の内部の各検出部材は、予圧により奥段面24a側に押付けられることとなる。 前記筒状螺子38は、その上部内径を圧力伝達杆36の径小部36aの外径と略等しくしており、この装着状態で、該圧力伝達杆36は筒状螺子38内を通入して、その先端の検知端を装着孔24の内部よりもさらに突出する。そして、該検知端にはダイアフラム40を外嵌し、さらにその周部の立上がり側壁42を取付金具20下端に外嵌して、各必要接合箇所をアルゴン溶接により固着することにより、ダイアフラム40と圧力伝達杆36の検知端との連結がなされる。 前記構成からなる圧力センサーは、取付金具20の螺子部21をシリンダーブロックに装着して、取付金具20先端を該シリンダー内に露出して装着される。かかる装着状態で、シリンダー内に圧力変動が生ずると、前記圧力伝達杆36の検知端に圧力が作用する。このため、該圧力により圧電素子板32が、奥段面24a側へ圧縮され、その圧縮歪により電荷を発生する。この電荷は電圧として前記ケーブルyにより外部へ取出される。 前記構成にあって、内燃機関のシリンダーブロックに螺子部21を螺合する際に取付金具20に伸張を生じたり、または温度変化等の影響により取付は後に熱膨張して、取付金具20に寸法変化を生じることがあるが、前記圧力伝達杆36には挟圧バネ39のバネ弾力が作用し、挟圧側に付勢されている。このため、端子板31,圧電素子板32,端子板33,圧力伝達杆36等の検出部材は、奥断面24a側に圧接され、その挟圧状態を保持され、その間での緩みがなく、圧電素子板32への予圧力に変化を生じない。 また前記実施例では、挟圧バネ39の位置を装着孔37の内部に配置するとともに、シリンダーブロック内と、断熱材からなる筒状螺子38により熱的に絶縁するようにしている。このため、挟圧バネ39の周囲温度雰囲気を低温に保つことができ、温度衝撃を緩和して金属疲労を低減させることができる。このため、その弾力の低下が可及的に阻止される。」 (イ) 11頁5行~12頁下から2行、第4図 「さらに第4図は、本考案の第三実施例を示す。尚、第一実施例の構成に相当する部分は、図中同一符合で示し、説明を省略する。」 「第4図 [図:0001427420000016.jpg] 」 「 かかる実施例にあって、取付金具20の中心には、長手方向に沿って、その先端にまで開口する貫通孔60が形成されている。前記貫通孔60には、内筒61が緩く嵌装されている。前記内筒61の上部内周面には螺子62が形成され、リード線xの挿入孔63が形成された雄螺子64が螺合し、前記内筒61内部を装着孔24とするとともに、雄螺子64の前端面を奥断面24aとしている。 また内筒61の先端側内縁には係止縁65が形成されている。さらに内筒61の下部周面には取付鍔66が形成されており、該取付鍔66を取付金具20の下端に溶着することにより、該取付金具20に対して内筒61を部分固定するようにしている。 前記内筒61の内部には、圧電素子板32等の検出部材が順次積層状に配設され、前記装着孔24の内部には、さらに圧力伝達杆36が挿通されて、その上端を端子板33の下面に当接している。 また、圧力伝達杆36の径小部36aを内筒61の係止縁65の中心に挿通している。 さらにまた前記係止縁65上には、挟圧バネ67が保持され、そのバネ弾力を圧力伝達杆36の当接顎面36bに作用させている。 前記実施例にあって、取付金具20に寸法変化を生じると、内筒61は取付鍔66により部分固定されて貫通孔60内に収容されている。このため、取付金具20が伸張しても、内筒61は追従せず、その容積変化を生じない。従って、挟圧バネ67の作用と相俟って、取付金具20の伸張による影響を良好に阻止することができる。」 イ 周知技術1の認定 前記アにおいて摘記した引用文献2に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であると認められる(以下「周知技術1」という)。 <周知技術1> 「圧力センサにおいて、ダイアフラムに弾性部材の弾性力が作用しないようにすること。」 4 対比・判断 (1) 対比分析 本願発明と引用発明を対比する。 ア 構成Xの観点 (ア) 構成Xは、「圧力検出装置」の発明であることを特定するものである。 (イ) 引用発明の「筒状金具20と、先端ユニット100と、ケーブル60と、を」「主な構成要素として」「備えて[いる]」「圧力センサ10」は、本願発明における「圧力検出装置」に相当する。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Xの観点に関し、「圧力検出装置」の発明である点において一致する。 イ 構成Aの観点 (ア) 構成Aは、「外部からの圧力を受けて電気信号を発生させる圧力検出部」を備えることである。 (イ) 引用発明においては、「先端ユニット100の先端部は、内燃機関の燃焼室内に露出しており、ダイアフラム40の先端側の面が、燃焼室内の気体(例えば、燃料ガス)の圧力を受けると、ダイアフラム40は、燃焼室内の圧力に応じて変形し(撓み)」、「圧電ユニット50の圧電素子51上では、ダイアフラム40から伝達ロッド90を通じて伝達された荷重に応じて、電荷が生じ、圧電素子51は、荷重に応じた電荷(例えば、電気信号)を、2個の電極52を通じて、出力し、出力された電気信号に基づいて、燃焼室内の圧力が特定されるものであ[る]」から、引用発明の「圧電ユニット50」は、「内燃機関の燃焼室内」の「気体(例えば、燃料ガス)」からの「圧力」を受けて「電気信号」を発生させるものであり、本願発明の「外部からの圧力を受けて電気信号を発生させる圧力検出部」に相当する。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Aの観点に関し、次の点にいて一致する。 「外部からの圧力を受けて電気信号を発生させる圧力検出部を備えること」 ウ 構成Bの観点 (ア) 構成Bは、「前記外部からの圧力を受ける受圧部材、前記圧力検出部を内部に収容する第1筐体、および前記第1筐体に取り付けられ、前記第1筐体に収容された前記圧力検出部を支持する第2筐体を有する筐体部」を備えることである。 (イ) 引用発明においては、「ダイアフラム40の先端側の面が、燃焼室内の気体(例えば、燃料ガス)の圧力を受けると、ダイアフラム40は、燃焼室内の圧力に応じて変形し(撓み)」、「伝達ロッド90は、ダイアフラム40の変形に応じて軸線CLに沿って変位することによって、ダイアフラム40が受けた圧力に応じた荷重を、後端側の圧電ユニット50に伝達するものであ[る]」ところ、引用発明の「ダイアフラム40」及び「伝達ロッド90」は、本願発明の「前記外部からの圧力を受ける受圧部材」に相当する。 (ウ) 引用発明においては、「圧電ユニット50は、筐体30の軸孔31内に配置されて[いる]」ところ、引用発明の「圧電ユニット50」を「軸孔31内に配置」する「筐体30」は、本願発明の「前記圧力検出部を内部に収容する第1筐体」に相当する。 (エ) 引用発明における、「軸線CLに沿って延びる略円筒状の部材」であって「筐体30の軸孔31内に、圧電ユニット50より後端側に配置されて」いる「支持ロッド70」は、本願発明の「前記第1筐体に取り付けられ」る「第2筐体」に相当する。 引用発明において、「支持ロッド70の先端は、圧電ユニット50の後端側に、具体的には、圧電ユニット50の絶縁板55の後端側の面に、当接しており、支持ロッド70の後端側の部分は、筐体30に対して固定されて」いるから、引用発明の「支持ロッド70」は、「筐体30」の「軸孔31内に配置」される「圧電ユニット50」を支持するものであるといえる。 そうすると、引用発明の「支持ロッド70」は、本願発明の「前記第1筐体に取り付けられ、前記第1筐体に収容された前記圧力検出部を支持する第2筐体」に相当する。 (オ) 前記(イ)~(エ)を踏まえると、引用発明における、「ダイアフラム40」、「伝達ロッド90」、「筐体30」及び「支持ロッド70」を有する「先端ユニット100」は、本願発明の「筐体部」に相当する。 (カ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Bの観点に関し、次の点において一致する。 「前記外部からの圧力を受ける受圧部材、前記圧力検出部を内部に収容する第1筐体、および前記第1筐体に取り付けられ、前記第1筐体に収容された前記圧力検出部を支持する第2筐体を有する筐体部を備えること」 エ 構成Cの観点 (ア) 構成Cは、「前記受圧部材は、前記圧力を受ける受圧面と、前記圧力検出部と接続され前記受圧面で受けた前記圧力を前記圧力検出部に伝達する伝達部と、を含む受圧部」を有することである。 (イ) 前記ウ(イ)を踏まえると、引用発明の「ダイアフラム40」及び「伝達ロッド90」は、本願発明の「前記圧力を受ける受圧面」及び「前記圧力検出部と接続され前記受圧面で受けた前記圧力を前記圧力検出部に伝達する伝達部」に相当するから、引用発明は、本願発明の「受圧部」に相当する構成を有しているといえる。 (ウ) したがって、本願発明と引用発明は、構成Cの観点に関し、次の点において一致する。 「前記受圧部材は、前記圧力を受ける受圧面と、前記圧力検出部と接続され前記受圧面で受けた前記圧力を前記圧力検出部に伝達する伝達部と、を含む受圧部を有すること」 オ 構成Dの観点 (ア) 構成Dは、「前記圧力検出部と前記筐体部との間には弾性部材が配置され、当該弾性部材に弾性力を生じさせることで前記圧力検出部に所定の荷重が作用しており、前記受圧部には前記弾性力が作用していないこと」である。 (イ) 引用発明の「圧電ユニット50とダイアフラム40との間であり、かつ、伝達ロッド90の径方向の外側に配置されて」いる「筒状バネ80B」は、「筒状バネ80Bの先端は、ダイアフラム40の後端側の面に当接し、筒状バネ80Bの後端は、押さえ板54の先端側の面に当接して」いるから、本願発明における「前記圧力検出部と前記筐体部との間」に「配置され」る「弾性部材」に相当する。 (ウ) 引用発明において、「筒状バネ80Bは、ダイアフラム40と絶縁板55とによって、軸線方向に少量だけ圧縮されて」いることは、本願発明の「当該弾性部材に弾性力を生じさせること」に相当する。 引用発明において、「筒状バネ80Bが、軸線方向に、プレス量STだけ圧縮される結果、圧電ユニット50の圧電素子51には、所定の予荷重が付与される」ことは、本願発明の「当該弾性部材に弾性力を生じさせることで前記圧力検出部に所定の荷重が作用していること」に相当する。 (エ) 引用発明の「筒状バネ80B」は、「筒状バネ80Bの先端は、ダイアフラム40の後端側の面に当接し、筒状バネ80Bの後端は、押さえ板54の先端側の面に当接して」いるから、「筒状バネ80Bの後端」は、「伝達ロッド90」には当接しておらず、「伝達ロッド90」には「筒状バネ80B」の弾性力は作用していない(引用文献1の図8を参照)。 そうすると、本願発明と引用発明は、「前記受圧部」のうち少なくとも「伝達部」には「前記弾性力が作用していない」点において共通する。 (オ) したがって、本願発明と引用発明において、構成Dの観点についての一致点及び相違点は次のとおりである。 <構成Dの観点についての一致点> 「前記圧力検出部と前記筐体部との間には弾性部材が配置され、当該弾性部材に弾性力を生じさせることで前記圧力検出部に所定の荷重が作用しており、前記受圧部のうち少なくとも伝達部には前記弾性力が作用していないこと」 <構成Dの観点についての相違点> 本願発明においては、「前記受圧部」に含まれる「受圧面」と「伝達部」のいずれにも「前記弾性力が作用していない」のに対して、 引用発明においては、「伝達ロッド90」には「筒状バネ80B」の弾性力は作用していないものの、「ダイアフラム40」には「筒状バネ80B」の弾性力が「所定の予荷重」に対応する分だけ作用している点。 (2) 一致点及び相違点の認定 前記アの対比分析の検討結果をまとめると、本願発明と引用発明は、次のアに示す一致点において一致し、以下のイに示す相違点において相違する。 ア 一致点 「 外部からの圧力を受けて電気信号を発生させる圧力検出部と、 前記外部からの圧力を受ける受圧部材、前記圧力検出部を内部に収容する第1筐体、および前記第1筐体に取り付けられ、前記第1筐体に収容された前記圧力検出部を支持する第2筐体を有する筐体部と、を備えた圧力検出装置において、 前記受圧部材は、前記圧力を受ける受圧面と、前記圧力検出部と接続され前記受圧面で受けた前記圧力を前記圧力検出部に伝達する伝達部と、を含む受圧部を有し、 前記圧力検出部と前記筐体部との間には弾性部材が配置され、当該弾性部材に弾性力を生じさせることで前記圧力検出部に所定の荷重が作用しており、前記受圧部のうち少なくとも伝達部には前記弾性力が作用していない、圧力検出装置。」 イ 相違点 本願発明においては、「前記受圧部」に含まれる「受圧面」と「伝達部」のいずれにも「前記弾性力が作用していない」のに対して、 引用発明においては、「伝達ロッド90」には「筒状バネ80B」の弾性力は作用していないものの、「ダイアフラム40」には「筒状バネ80B」の弾性力が「所定の予荷重」に対応する分だけ作用している点。 (3) 判断 ア 相違点の検討 (ア) 「圧力センサにおいて、ダイアフラムに弾性部材の弾性力が作用しないようにすること」は、当業者にとって周知技術である(前記周知技術1を参照)。 (イ) 前記周知技術1を踏まえると、引用発明において、「伝達ロッド90」に「筒状バネ80B」の弾性力が作用していないだけでなく、「ダイアフラム40」にも「筒状バネ80B」の弾性力が作用しないようにして、前記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって自明な設計変更にすぎない。 イ 総合評価 前記アにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 請求人の主張について (1) 請求人の主張の概要 本件補正発明の「前記弾性部材の一端は、前記第1筐体から突出する庇部の表面と前記第1筐体の内面とで形成された角部、又は前記受圧部材から突出する突出部の表面と前記第1筐体の内面とで形成された角部に係止されている」との構成は、引用文献1及び2には記載されておらず示唆もされていない。 引用文献1の図8には、筒状バネ80Bの先端は、ダイアフラム40の後端側の面に当接し、筒状バネ80Bの後端は、押さえ板54の先端側の面に当接している発明が記載されているが、筒状バネ80Bの先端は、筐体30の軸孔31の内面と接触しておらず、筐体30の軸孔31の内面とダイアフラム40の後端側の面とで形成された角部には係止されていない。 引用文献2の第4図には、狭圧バネ67の一端が内筒61の係止縁65に当接している発明が記載されているが、狭圧バネ67の一端と内筒61の内面(円筒状の内面)との間には隙間が設けられているため、狭圧バネ67の一端は、係止縁65の表面と内筒61の内面とで形成された角部(第4図では鈍角の角部)には係止されていない。 また、引用文献2の第4図に記載された発明において、狭圧バネ67の一端と内筒61の内面との間に設けられた上述の隙間は、狭圧バネ67の径方向への伸びを逃がして狭圧バネ67の機能を十分に発揮させる(バネ性を線形的に機能させる)ための空間であるため、この隙間を省略して狭圧バネ67の一端が係止縁65の表面と内筒61の内面とで形成された角部に係止されるようにすること(狭圧バネ67の径方向への伸びが阻害されるようにすること)は、動機付けが無い。 これらのことは、引用文献2の第1図及び第3図に記載された発明についても同様である。 よって、当業者は、引用文献1及び2に係る発明に基づいて、本件補正発明に容易に想到し得ない。 本件補正発明は、弾性部材の位置ずれを防止することができ、圧力検出部に作用する弾性部材による荷重を安定させることができる、という格別な効果を奏する。 (2) 請求人の主張に対する審判合議体の判断 請求人の上記(1)の主張は、本件補正が適法であることを前提としたものであるところ、前記第2において検討したとおり、本件補正は不適法なものとして却下されたから、請求人の上記主張は、その根拠を失っており、前記4(3)の結論を左右するものではない。 第4 むすび 以上検討のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-002011

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