特許拒絶査定不服審判
2024-001719
セミクローズ家具
- 審判番号
- 2024-001719
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-064263
- 請求日
- 2024年01月31日
- 審決日
- 2025年03月27日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社イトーキ
- 【請求人代理人】樋口 盛之助
- 審判長/審判官
- 審判長 筑波 茂樹
- 審判官 小岩 智明
- 審判官 高橋 学
- 分類
- P18 .121-WZ (A47B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第44条第1項、特許法第50条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022- 64263号「セミクローズ家具」拒絶査定不服審判事件〔令和4年6月28日出願公開、特開2022-95848号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年4月8日にされた特許法第44条第1項の規定による特許出願であって、平成27年10月2日に出願した特願2015-196518号を最先の出願とする、いわゆる第2世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の願書の提出日を示す。
最先の出願:特願2015-196518号(平成27年10月 2日)
第1世代 :特願2020-123429号(令和 2年 7月20日)
本願 :特願2022-64263号 (令和 4年 4月 8日)
また、本願の出願後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和5年 3月29日付け:特許法第50条の2の通知を伴う拒絶理由
通知書
同年 7月26日 :意見書、手続補正書の提出
同年10月27日付け:令和5年7月26日にされた手続補正につい
ての補正の却下の決定、拒絶査定
令和6年 1月31日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年12月16日付け:当審における拒絶理由通知書
令和7年 2月10日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明(本願発明の認定)
本願の請求項1~3に係る発明は、令和7年2月10日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
座面を含む椅子と、
前記椅子の外側に配置されるパネルと、
を備えるセミクローズ家具であって、
前記座面は、平面視において隣接する第1辺および第2辺を含み、
前記パネルは、着座者の後方及び側方を遮蔽可能なパネル面を含むセミクローズ家具であり、
前記パネルは、
前記第1辺に沿って前記椅子の後方に固定的に配置され前記着座者の後方を遮蔽可能な第1パネル面と、
前記第2辺に沿って前記椅子の側方に固定的に配置され前記着座者の側方を遮蔽可能な第2パネル面と、
を含み、
前記椅子は、前記座面の着座者の身体を支える立壁を含み、
前記立壁は、前記第1辺に沿って配置され前記第1パネル面に面する第1立壁と、前記第2辺に沿って配置され前記第2パネル面に面する第2立壁と、を含み、
前記パネルは、前記立壁よりも高く延び、
下端にキャスタが配置され、
前記第1パネル面と前記第2パネル面とは、連続的に連なっている、
セミクローズ家具。」
第3 当審における拒絶の理由の概要
当審において通知した令和6年12月16日付けの拒絶理由のうちの理由3は、次のとおりのものである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
<引用文献一覧>
2.特開2013-94405号公報
3.特許第4537691号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2004-261471号公報(周知技術を示す文献)
5.特開平10-215980号公報(周知技術を示す文献)
<請求項と引用文献の関係>
・請求項 1~3
・引用文献等 2~5
第4 当審の判断
1 引用文献2について
(1)引用文献2の記載事項
当審における拒絶の理由で引用された引用文献2(特開2013-94405号公報;平成25年5月20日出願公開)には以下の事項が記載されている。なお、下線は、当審で付したものである。
ア「【0005】
しかし、上記特許文献1に記載のソファーユニットは、利用形態に応じてソファーだけでなく、例えば、業務エリアとコミュニケーションエリアとを区分けすること等を目的として、ソファーの周囲の目線を遮るパネル等のソファーに付属する付属物品を配設することがあるが、このようなパネルをソファーとは個別に配設する場合、安定して立設支持するための設置部材が床面上に張り出して利用者の邪魔になることがあるといった問題があった。」
イ「【0015】
図1及び図2に示すように、ソファーユニット1は、複数(本実施例では2つ)のソファー2a,2bと、ソファー2bに並設して使用されるローテーブル3と、から主に構成されている。また、ソファー2a,2b及びローテーブル3の側面には、所定高さを有する仕切板4が取り付けられている。また、ソファー2a,2bの下面側には、後述する物品収容ネット5(図2参照)が取り付けられているとともに、ソファー2aの前面下部には、後述するコンセントバー6が取り付けられている。」
ウ「【0016】
ソファー2a,2bは、床面Yに接地する支持部を構成する複数(本実施例では4本)の脚部材10と、該脚部材10により床面Yから所定高さ位置(本実施例では床面Yから約200mm上方位置)に支持される被支持部としての座部11と、座部11の上面縁部に設けられる背凭れ部12と、から構成されている。これら座部11の上面までの高さ位置は全て同じとされている。」
エ「【0018】
座部11,21は、平面視略正方形状をなす直方体にて構成されるクッション材からなる。尚、本実施例では、脚部材10と脚部材20及び座部11と座部21は、それぞれ同一部材にて構成されているが、別部材にて構成されていてもよい。」
オ 「【0070】
尚、本実施例では、2つのソファー2と1つのローテーブル3とが一列に並設されていたが、このような家具のレイアウトは種々に変更可能であり、例えば図9(a)に示すように、2つのソファー2と1つのローテーブル3とをL字形に配置してもよいし、あるいは図示しないがT字形に配置してもよい。」
カ 「【0071】
また、図9(b)に示すように、4つのソファー2と1つのローテーブル3とを、ローテーブル3を中心として十字形に配置してもよい。また、ソファー2やローテーブル3は、平面視略正方形状をなす直方体にて形成されているものに限定されず、例えば平面視略長方形状をなす直方体にて形成されていてもよいし、あるいは平面視略円形をなす柱状体に手構成されていてもよい。」
キ 図1は、以下に示すとおりである。
[図:0001422099000001.jpg]
なお、「(2a)」、「(2b)」については、当審で付記した。
(2)引用文献2からの認定事項
ア 段落【0015】及び図1から、ソファー2aの外側に仕切板4が取り付けられているといえる。
イ 段落【0005】、【0015】、及び図1から、仕切板4は、ソファー2aの周囲の目線を遮るものであり、業務エリアとコミュニケーションエリアとを区分けする目的を有していると認められる。そして、ソファー2aと、ソファー2aに取り付けられる仕切板4を備えたものは、業務エリアとコミュニケーションエリアとを区分けする目的を有するソファーであるといえる。
ウ 段落【0015】、【0018】、及び図1から、平面視略正方形状をなす座部11は、平面視において隣接する、ソファー2aの前面とは反対側の後面に沿った第1辺と、ソファー2aの側面に沿った第2辺を有しているといえる。
エ 段落【0015】、図1、及び前記ウから、仕切板4は、座部11の第1辺に沿ってソファー2aの後面を仕切り可能な板面及び座部11の第2辺に沿ってソファー2aの側面を仕切り可能な板面を有し、各板面は、分かれて隣り合っているといえる。
オ 段落【0016】、図1、及び前記ウから、背凭れ部12は、座部11の第1辺に沿って配置され後面を仕切る板面に面する第1背凭れ部と座部11の第2辺に沿って配置され側面を仕切る板面に面する第2背凭れ部を有しているといえる。
カ 図1から、仕切板4は、背凭れ部12よりも高く延びているといえる。
(3)引用発明2
前記(1)、(2)から、引用文献2には、以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているといえる。
「平面視略正方形状をなす座部11と、前記座部11の上面縁部に設けられる背凭れ部12と、4本の脚部材10から構成されるソファー2aと、
前記ソファー2aの外側に取り付けられる仕切板4と、
を備えた業務エリアとコミュニケーションエリアとを区分けする目的を有するソファーであって、
前記座部11は、平面視において隣接する、前記ソファー2aの前面とは反対側の後面に沿った第1辺と、前記ソファー2aの側面に沿った第2辺を有し、
前記仕切板4は、前記第1辺に沿って前記ソファー2aの後面を仕切り可能な板面及び前記第2辺に沿って前記ソファー2aの側面を仕切り可能な板面を有し、各板面は分かれて隣り合っており、
前記背凭れ部12は、前記第1辺に沿って配置され後面を仕切る板面に面する第1背凭れ部と前記第2辺に沿って配置され側面を仕切る板面に面する第2背凭れ部を有し、
前記仕切板4は、前記背凭れ部12よりも高く延びる、
業務エリアとコミュニケーションエリアとを区分けする目的を有するソファー。」
2 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明2とを対比すると、後者の「座部11」が前者の「座面」に相当し、以下同様に、後者の「ソファー2a」が前者の「椅子」に、後者の「仕切板4」が前者の「パネル」に、後者の「取り付けられ」ることが前者の「配置される」こと及び「固定的に配置され」ることに、後者の「平面視において隣接する」は前者の「平面視において隣接する」に、後者の「第1辺」が前者の「第1辺」に、後者の「第2辺」が前者の「第2辺」に、後者の「仕切り可能」が前者の「遮蔽可能」に、後者の「板面」が前者の「パネル面」に、後者の「背凭れ部12」が前者の「立壁」に、後者の「第1背凭れ部」が前者の「第1立壁」に、後者の「第2背凭れ部」が前者の「第2立壁」に、それぞれ相当する。
また、後者の「業務エリアとコミュニケーションエリアとを区分けする目的を有するソファー」は、仕切板4によって、後面と側面において空間が部分的に区切られているといえるから、前者の「セミクローズ家具」に相当する。
そして、以上の相当関係から、以下のことがいえる。
イ 後者の「座部11と、前記座部11の上面縁部に設けられる背凭れ部12と、」「から構成されるソファー2a」「を備え」ることは、「背凭れ部12」が着座者の体を支えることは明らかなので、前者の「座面を含む椅子」「を備え」、「前記椅子は、前記座面の着座者の身体を支える立壁を含」むことに相当する。
ウ 後者の「前記ソファー2aの外側に取り付けられる仕切板4」は、前者の「前記椅子の外側に配置されるパネル」に相当する。
エ 後者の「前記座部11は、平面視において隣接する、ソファー2aの前面とは反対側の後面に沿った第1辺と、ソファー2aの側面に沿った第2辺を有」することは、前者の「前記座面は、平面視において隣接する第1辺および第2辺を含」むことに相当する。
オ 後者の「前記仕切板4は、」「前記ソファー2aの後面を仕切り可能な板面及び」「前記ソファー2aの側面を仕切り可能な板面を有」することは、着座者の後方及び側方を遮蔽可能であるといえるので、前者の「前記パネルは、着座者の後方及び側方を遮蔽可能なパネル面を含む」ことに相当する。
カ 後者の「前記ソファー2aの外側に取り付けられる仕切板4」「を備え」、「前記仕切板4は、前記第1辺に沿って前記ソファー2aの後面を仕切り可能な板面」「を有」することは、前者の「前記パネルは、前記第1辺に沿って前記椅子の後方に固定的に配置され前記着座者の後方を遮蔽可能な第1パネル面」「を含」むことに相当する。
キ 後者の「前記ソファー2aの外側に取り付けられる仕切板4」「を備え」、「前記仕切板4は、」「前記第2辺に沿って前記ソファー2aの側面を仕切り可能な板面を有」することは、前者の「前記パネルは、」「前記第2辺に沿って前記椅子の側方に固定的に配置され前記着座者の側方を遮蔽可能な第2パネル面」「を含」むことに相当する。
ク 後者の「前記背凭れ部12は、前記第1辺に沿って配置され後面を仕切る板面に面する第1背凭れ部と前記第2辺に沿って配置され側面を仕切る板面に面する第2背凭れ部を有」することは、前者の「前記立壁は、前記第1辺に沿って配置され前記第1パネル面に面する第1立壁と、前記第2辺に沿って配置され前記第2パネル面に面する第2立壁と、を含」むことに相当する。
ケ 後者の「前記仕切板4は、前記背凭れ部12よりも高く延びる」ことは、前者の「前記パネルは、前記立壁よりも高く延び」ることに相当する。
そうすると、本願発明1と引用発明2は、
「座面を含む椅子と、
前記椅子の外側に配置されるパネルと、
を備えるセミクローズ家具であって、
前記座面は、平面視において隣接する第1辺および第2辺を含み、
前記パネルは、着座者の後方及び側方を遮蔽可能なパネル面を含むセミクローズ家具であり、
前記パネルは、
前記第1辺に沿って前記椅子の後方に固定的に配置され前記着座者の後方を遮蔽可能な第1パネル面と、
前記第2辺に沿って前記椅子の側方に固定的に配置され前記着座者の側方を遮蔽可能な第2パネル面と、
を含み、
前記椅子は、前記座面の着座者の身体を支える立壁を含み、
前記立壁は、前記第1辺に沿って配置され前記第1パネル面に面する第1立壁と、前記第2辺に沿って配置され前記第2パネル面に面する第2立壁と、を含み、
前記パネルは、前記立壁よりも高く延びる、
セミクローズ家具。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1は、「下端にキャスタが配置され」るのに対して、引用発明2は、「キャスタ」を有していない点。
(相違点2)
第1パネル面及び第2パネル面に関して、本願発明1は、両者が「連続的に連なっている」のに対して、引用発明2では、両者が「分かれて隣り合って」いる点。
(2)相違点についての検討
ア 相違点1について
相違点1について検討するに、引用文献3の段落【0020】、【0023】、【0025】、及び図3、並びに引用文献4の段落【0026】、【0027】、及び図1に示されるように、着座者をその周囲の空間から隔離するパネルを備えたパネル付き椅子において、その移動を容易にするために、パネル付き椅子の下面にキャスタを設けることは、従来周知の技術(以下「周知技術1」という。)であるといえる。
また、引用文献5の段落【0013】、【0026】、及び図1に示されるように、ソファーの脚の下端部にキャスタを設けることも、従来周知の技術(以下「周知技術2」という。)であるといえる。
そして、一般に、ソファーにおいては、レイアウト変更に応じて移動が必要となることは、技術常識である。
そうすると、引用発明2において、周知技術1、2を踏まえ、ソファー2aの4本の脚部材10の下端部にキャスタを設けて、相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
相違点2について検討するに、例えば、特開2015-85107号公報の段落【0026】、【0058】~【0062】、【0076】、及び図1~図3、並びに特開2011-84942号公報の段落【0056】及び図9に示されるように、その後方及び側方を仕切るパネルが設けられた椅子又はソファーにおいて、後方を仕切るパネル部分と側方を仕切るパネル部分を連続的に連なるように構成することは、従来周知の技術(以下「周知技術3」という。)であるといえる。
そして、引用発明2と周知技術3とは、ともに、後方及び側方がパネルによって仕切られた椅子である点で共通するものである。
そうすると、引用発明2において、周知技術3を踏まえ、ソファー2aの後面を仕切り可能な板面とソファー2aの側面を仕切り可能な板面を連続的に連なるものとし、相違点2に係る本願発明1の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
そして、本願発明1を全体として検討しても、引用発明2及び周知技術1~3から予測される以上の格別の効果を奏するものでもない。
よって、本願発明1は、引用発明2及び周知技術1~3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)意見書における請求人の主張について
令和7年2月10日に提出された意見書における請求人の主張は、要するに、引用文献2は、あくまでも2つのソファー2a,2bと1つのローテーブル3と、仕切板4とを密着状態で一体に備えた「一つの家具」としての「ソファーユニット」について記載されたものであるから、引用文献2に、ソファーユニットの中のソファー2aを単独で使用する意図の椅子の思想、及びこのソファー2aの複数個を並べて使用する発想が開示されているとは言えないというものである。
上記主張を検討するに、前記1(1)オ、カで示した引用文献2の段落【0070】、【0071】の記載から、引用文献2に記載されたソファーユニット1において、ソファー2の個数や、ソファー2とローテーブル3の配置は、種々変更可能であることが認められる。
そうすると、引用文献2におけるソファー2及びローテーブル3は、一体不可分なものとして用いられるものではなく、それぞれが1つのソファー、1つのテーブルであるとして捉えることができるものと認められる。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用文献2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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