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特許拒絶査定不服審判

2024-001032

販促方法および販促システム

審判番号
2024-001032
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-048533
請求日
2024年01月22日
審決日
2024年12月09日
公報発行日
2025年02月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社ローソン
  • 【請求人代理人】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 相崎 裕恒
  • 審判官 月野 洋一郎
  • 審判官 小池 堂夫
分類
P18 .121-WZ (G06Q)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022- 48533「販促方法および販促システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年10月 5日出願公開、特開2023-141938〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件に係る出願(以下「本願」という。)は、令和4年3月24日の出願であって、その後の手続の経緯は、以下のとおりである。 令和5年 5月29日付け:拒絶理由通知書 8月 3日 :意見書、手続補正書 10月26日付け:拒絶査定 令和6年 1月22日 :審判請求書、手続補正書 4月30日 :前置報告書 7月30日 :上申書 8月21日付け:拒絶理由通知書 10月28日 :意見書、手続補正書 第2 本願発明 本願の請求項1~17に係る発明は、令和6年10月28日に提出された手続補正書により補正された請求項1~17に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(下線部は補正された箇所を示す。)。 「 コンピュータが、予め会員登録された顧客に関する顧客登録情報を取得する段階と、 コンピュータが、前記顧客の行動に応じた顧客行動情報を取得する段階と、 コンピュータが、前記顧客の前記顧客登録情報および前記顧客の前記顧客行動情報に基づいて、前記顧客に紐づいた販促データを生成する段階と、 コンピュータが、前記顧客に紐づいた前記販促データを前記顧客に提供する段階と を備え、 前記販促データを前記顧客に提供する段階は、 前記顧客が有する端末を通じて、前記販促データを前記顧客に提供する段階と、 前記顧客の退店後に、前記販促データを前記顧客に提供する段階と を含み、 前記顧客登録情報を取得する段階は、前記顧客の退店時に実行される、販促方法。」 第3 当審で通知した拒絶の理由 当審において令和6年8月21日付けで通知した拒絶の理由は、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明、及び引用文献2~3に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という内容を含むものである。 1.国際公開第2020/008938号 2.特開2015-149020号公報(周知技術を示す文献) 3.国際公開第2019/064381号(周知技術を示す文献) 第4 引用文献の記載、引用発明等 1 引用文献1 (1)引用文献1の記載事項 当審で通知した拒絶の理由に引用された文献であって、本願の出願前に公開された引用文献1(国際公開第2020/008938号)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審において付与した。以下同様。) ア 「【発明の詳細な説明】 [0001] 本発明は、顧客の購買意欲を高める販売促進情報を生成して配信する販売促進システムおよび販売促進方法に関するものである。」 イ [0007] 本発明の販売促進システムは、顧客の購買意欲を高める販売促進情報を生成して配信する販売促進システムであって、管理サーバと、配信サーバとを備え、前記管理サーバは、インターネット上での各人物の過去の行動に関するサイバー行動履歴情報を取得し、実店舗での各人物の過去の行動に関するリアル行動履歴情報を取得し、人物ごとに前記サイバー行動履歴情報と前記リアル行動履歴情報とを統合して、人物ごとの統合行動履歴情報を生成し、前記統合行動履歴情報を分析処理して、対象となる顧客が購買することが予測される商品に関する購買予測情報を生成し、前記配信サーバは、前記購買予測情報に基づいて、対象となる顧客に関する前記販売促進情報を、対象となる顧客の端末および実店舗の従業員の端末の少なくともいずれかに配信する構成とする。 [0008] また、本発明の販売促進方法は、顧客の購買意欲を高める販売促進情報を生成して配信する処理を情報処理装置に行わせる販売促進方法であって、インターネット上での各人物の過去の行動に関するサイバー行動履歴情報を取得し、実店舗での各人物の過去の行動に関するリアル行動履歴情報を取得し、人物ごとに前記サイバー行動履歴情報と前記リアル行動履歴情報とを統合して、人物ごとの統合行動履歴情報を生成し、前記統合行動履歴情報を分析処理して、対象となる顧客が購買することが予測される商品に関する購買予測情報を生成し、前記購買予測情報に基づいて、対象となる顧客に関する前記販売促進情報を、対象となる顧客の端末および実店舗の従業員の端末の少なくともいずれかに配信する構成とする。 ウ 「[0042] また、販売促進システムは、リアル行動管理サーバ11と、画像解析サーバ12と、購買管理サーバ13と、タッチポイントシステム管理サーバ14と、カメラ15と、POS端末16と、タッチポイント端末17と、を備えている。」 エ 「[0050] また、販売促進システムは、統合行動管理サーバ21と、販売促進情報配信サーバ22と、店員端末23と、事業者サーバ24と、を備えている。」 オ 「[0054] 次に、本販売促進システムの概要について説明する。図2は、本販売促進システムの概要を示す説明図である。」 カ [0061] 画像解析サーバ12では、店舗の入口に設置されたカメラ15の撮影画像に基づく顔照合により、顧客の来店を検知して、リアルタイムの来店情報を生成する。したがって、店舗の入口に設置されたカメラ15は、顧客の来店を検知するためのセンサとして機能する。また、画像解析サーバ12では、売場に設置されたカメラ15の撮影画像に基づく行動解析により、顧客の棚前行動(顧客が商品に手を伸ばす行動、商品を陳列棚に戻す行動、商品を品定めする行動など)を検出して、店内行動情報を生成する。 [0062] 購買管理サーバ13では、顧客の購買情報をPOS端末16から収集する。 [0063] タッチポイントシステム管理サーバ14では、各ユーザのタッチポイント端末17の利用状況に関する情報をタッチポイント端末17から収集する。特に、店舗の入口の近傍に設置されたタッチポイント端末17での顧客のタッチ操作により顧客の来店を検知して、リアルタイムの来店情報を生成する。したがって、店舗の入口の近傍に設置されたタッチポイント端末17は、顧客の来店を検知するためのセンサとして機能する。 [0064] リアル行動管理サーバ11では、画像解析サーバ12、購買管理サーバ13、およびタッチポイントシステム管理サーバ14の各々に蓄積された情報を収集して、それらの情報を人物ごとに統合して、リアル行動履歴情報として蓄積する。 [0065] 統合行動管理サーバ21では、サイバー行動管理サーバ1からサイバー行動履歴情報を収集し、また、リアル行動管理サーバ11からリアル行動履歴情報を収集して、それらの情報を人物ごとに統合する。これにより、インターネット上での過去の行動と実店舗での過去の行動とを人物ごとに一括管理することができる。 [0066] また、統合行動管理サーバ21は、人物ごとの統合行動履歴情報を分析して、対象となる顧客がどの商品を購買するかに関する購買予測情報を生成する。 [0067] また、統合行動管理サーバ21では、統合行動履歴情報に対して統計処理などの加工を行って、事業者向け情報を生成して、その事業者向け情報を事業者サーバ24に配信する。ここで、情報配信の対象となる事業者は、店舗を運営する事業者、マーケティングを助言する事業者、商品を製造する事業者、商品の広告を製作する事業者などである。 [0068] 販売促進情報配信サーバ22では、統合行動管理サーバ21から購買予測情報を収集して、その購買予測情報に基づいて、顧客の購買意欲を高める販売促進情報を顧客端末5および店員端末23に配信する。本実施形態では、顧客向けの販売促進情報として、クーポンを顧客端末5に配信する。また、接客の必要性がある場合に、店員向けの販売促進情報として、接客指示を店員端末23に配信する。」 キ 「[0074] 次に、リアル行動管理サーバ11、画像解析サーバ12、購買管理サーバ13、およびタッチポイントシステム管理サーバ14について説明する。図5は、各サーバを示す機能ブロック図である。図6は、顔登録データベース45、顧客購買履歴データベース52、ユーザ管理データベース63、およびタッチポイント履歴データベース64の登録内容の一例を示す説明図である。図7は、リアル行動履歴データベース72、および顧客情報データベース73の登録内容の一例を示す説明図である。 [0075] 図5に示すように、画像解析サーバ12は、撮影画像収集部41と、顔照合部42と、来店情報取得部43と、行動解析部44と、顔登録データベース45とを備えている。なお、画像解析サーバ12の各部は、メモリに記憶したプログラムをプロセッサ(制御部)で実行することで実現される。 [0076] 撮影画像収集部41は、カメラ15から撮影画像を収集する。 [0077] 顔照合部42は、カメラ15の撮影画像に対する顔照合(人物認識)を行う。具体的には、カメラ15の撮影画像から検出した顔画像から特徴量を抽出し、その顔画像の特徴量と、予め登録された各顧客の顔画像の特徴量とを比較して、撮影画像に写る人物を特定する。この顔照合により、来店した顧客の会員IDを取得して、その会員IDと、顔画像の特徴量(顔特徴情報)とを顔登録データベース45に登録する。 [0078] 来店情報取得部43は、顔照合部42の照合結果に基づいて、来店した顧客を検知して、来店した顧客に関する情報(来店情報)を取得する。本実施形態では、来店情報として、日時、店舗ID、来店時間を取得する。また、顔照合部42の照合結果に基づいて、退店する顧客を検知して、退店時間を取得する。」 ク 「[0091] 図5に示すように、リアル行動管理サーバ11は、情報収集部71と、リアル行動履歴データベース72と、顧客情報データベース73とを備えている。なお、リアル行動管理サーバ11の各部は、メモリに記憶したプログラムをプロセッサ(制御部)で実行することで実現される。 [0092] 情報収集部71は、画像解析サーバ12から来店情報および店内行動情報を収集して、その来店情報および店内行動情報をリアル行動履歴データベース72に登録する。また、情報収集部71は、購買管理サーバ13から顧客購買履歴情報(図6(B)参照)を収集して、その顧客購買履歴情報をリアル行動履歴データベース72に登録する。また、情報収集部71は、タッチポイントシステム管理サーバ14からタッチポイント履歴情報(図6(D)参照)を収集して、そのタッチポイント履歴情報をリアル行動履歴データベース72に登録する。 [0093] なお、タッチポイントシステム管理サーバ14からユーザ管理情報(図6(C)参照)を取得して、そのユーザ管理情報に基づいて、会員IDとタッチポイント履歴情報のユーザIDとを紐付ければよい。 [0094] リアル行動履歴データベース72は、顧客ごとのリアル行動履歴情報を管理するものである。このリアル行動履歴データベース72には、図7(A)に示すように、会員ID、来店情報、顧客購買履歴情報、店内行動情報、タッチポイント情報などが登録される。来店情報には、日時、店舗ID、来店時間、退店時間が含まれる。また、顧客購買履歴情報には、POS端末16の番号、クーポンの使用の有無に関する情報、購入した商品に関する情報(商品名(品番)、価格)が含まれる。また、店内行動情報には、棚前の滞在、陳列棚の商品に手を伸ばす動作、商品を陳列棚に戻す動作、商品を品定めする動作の各行動の対象となる商品(商品カテゴリ、商品名、品番)に関する情報などが含まれる。タッチポイント情報には、タッチポイント端末17の関連商品に関する情報が含まれる。 [0095] 顧客情報データベース73は、顧客の情報を管理するものである。この顧客情報データベース73には、図7(B)に示すように、会員ID、氏名、年齢、性別、住所、電話番号、メールアドレス、およびアンケート結果に関する情報などが登録される。」 「図2 [図:0001419048000001.jpg] 」 「図5 [図:0001419048000002.jpg] 」 「図6 [図:0001419048000003.jpg] 」 「図7 [図:0001419048000004.jpg] 」 (2)引用文献1に記載された発明 上記(1)の摘記事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「 顧客の購買意欲を高める販売促進情報を生成して配信する処理を情報処理装置である販売促進システムに行わせる販売促進方法であって([0001]、[0007]、[0008])、 販売促進システムはリアル行動管理サーバ11と、画像解析サーバ12と、統合行動管理サーバ21と、販売促進情報配信サーバ22とを備えており([0042]、[0050])、 画像解析サーバ12は、売場に設置されたカメラ15の撮影画像に基づく行動解析により、顧客の棚前行動(顧客が商品に手を伸ばす行動、商品を陳列棚に戻す行動、商品を品定めする行動など)を検出して、店内行動情報を生成し([0061])、 リアル行動管理サーバ11は、画像解析サーバ12に蓄積された情報を収集してリアル行動履歴情報として蓄積し([0064])、 統合行動管理サーバ21は、サイバー行動管理サーバ1からサイバー行動履歴情報を収集し、リアル行動管理サーバ11からリアル行動履歴情報を収集して、それらの情報を人物ごとに統合し、人物ごとの統合行動履歴情報を分析して、対象となる顧客がどの商品を購買するかに関する購買予測情報を生成し([0065]、[0066])、 販売促進情報配信サーバ22は、統合行動管理サーバ21から購買予測情報を収集して、その購買予測情報に基づいて、顧客の購買意欲を高める販売促進情報を顧客端末5に配信するものであって([0068])、 画像解析サーバ12は、顔照合部42を備え([0075])、 顔照合部42は、カメラ15の撮影画像から検出した顔画像から特徴量を抽出し、その顔画像の特徴量と、予め登録された各顧客の顔画像の特徴量とを比較して、撮影画像に写る人物を特定し、来店した顧客の会員IDを取得するものであり([0077])、 顔照合部42の照合結果に基づいて、退店する顧客を検知して、退店時間を取得するものであり([0078])、 リアル行動管理サーバ11は、リアル行動履歴データベース72と、顧客情報データベース73とを備え([0091])、 リアル行動履歴データベース72には、会員ID、店内行動情報が登録され([0094])、 顧客情報データベース73には、会員ID、氏名、年齢、性別、住所、電話番号、メールアドレスが登録される([0095])、 販売促進方法。」 2 引用文献2(周知技術を示す文献) 当審で通知した拒絶の理由に引用された文献であって、本願の出願前に公開された引用文献2(特開2015-149020号公報)には、以下の事項が記載されている。 (1)「【技術分野】 【0001】 本発明は、ユーザに対し情報を提供するための技術に関する。」 (2)「【発明を実施するための形態】 【0013】 [概略] 通信システムでは、施設に設置されている中継装置に対して通信端末が無線接続を開始した後の所定のタイミングで、通信端末に対し第一提供情報が提供される。また、中継装置と通信端末との無線接続が解除された後の所定のタイミングで、通信端末に対し第二提供情報が提供される。 【0014】 第一提供情報は、施設内にてユーザに提供されることが望ましい情報である。第一提供情報は、例えば、施設内にて利用可能なクーポン情報又はポイント情報、施設に関する情報、施設で行われるイベントに関する情報である。 【0015】 第二提供情報は、施設の利用後にユーザに提供されることが望ましい情報である。第二提供情報は、例えば、次回の訪問時に利用可能なクーポン情報又はポイント情報、この施設の付近に位置する他の施設にて利用可能なクーポン情報又はポイント情報、この施設の付近に位置する他の施設に関する情報である。 このように情報が提供されることにより、より有用な情報をユーザに対して提供することが可能となる。より具体的には、場所に応じた情報、ユーザの行動に応じた情報、入店や退店などのタイミングに応じた情報を提供することが可能となる。」 3 引用文献3(周知技術を示す文献) 当審で通知した拒絶の理由に引用された文献であって、本願の出願前に公開された引用文献3(国際公開第2019/064381号)には、以下の事項が記載されている。 「技術分野 [0001] 本発明は情報処理装置、情報処理方法、プログラム、記憶媒体に関し、特にユーザに情報を送信する技術に関する。 背景技術 [0002] ネットワーク上におけるユーザの行動に基づいてユーザに有益と思われる情報を提供する技術が知られている。例えば、ユーザの閲覧履歴に応じて該ユーザの興味を惹起させるような商品ページを提示することや、各種の広告からユーザの購買履歴に応じた広告を選択して提示することなどが行われている。 そして、これらの技術を応用して、インターネット上における情報提示だけでなく実際の店舗(実店舗)においても、ユーザの行動に基づいて有益と思われる情報の提示を行う技術が開示されている。 例えば、特許文献1においては、ユーザのプロファイル情報と購買履歴情報に基づいて実店舗における商品購入を提案する情報を提供する技術が開示されている。 [0003] 特開2015-14887号公報 [0004] しかし、特許文献1に開示された技術は、ユーザが来店した店舗に関するレコメンド情報を送信するものの、それが適切なタイミングで行われているとは限らない。 [0005] 本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、来店した店舗でユーザが目的を果たせなかったと推定できる場合に有益な情報を提供することを目的とする。 [0006] 本発明に係る情報処理装置は、ユーザが店舗から退店したことを検出する検出部と、前記店舗の情報に基づくレコメンド情報を退店が検出されたユーザに送信するレコメンド部と、を備えている。 これにより、レコメンド情報の送付対象となるユーザを退店したことを検出したユーザに絞り込んだ上でレコメンド情報の送信が行われる。」 4 引用文献4(周知技術を示す文献) 本願の出願前に公開された特開2006-185293号公報(以下「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。 (1)「【0004】 本発明の目的は、店舗等における顧客行動を把握し、行動パターンから興味を示す商品を推定し、さらには購入に至るまでの行動パターンなどの特徴を、商品の購入、非購入に関係なく収集することができる顧客情報収集システムを提供することにある。」 (2)「【発明の効果】 【0006】 本発明によれば、店舗側は顧客動線、購入商品の関連性を意識した売場作りを行うことができる。また、顧客ごとに購入傾向や行動分析を行うことで各顧客に対してよりきめ細かなサービスを提供することが可能となる。 これにより、例えば遠方に在住しているにも関わらず、特売に反応する顧客に対しては特売のダイレクトメールの送付を実施するなどより効果的な販売促進施策の実施が可能となる。 さらに、特定の商品にのみ興味を示す傾向を持つ顧客などに対しては特定商品とともに関連商品についても販売促進を行うことで店舗の利用幅を広げる施策を展開することも可能となる。 (以下略)」 (3)「【0017】 図11は、本発明における処理の流れを示すフローチャートである。 まず、店舗のマーケティング担当部署側が、顧客に対してICカード(ポイントカード)10の内容を説明し登録を受け付ける。登録を行う顧客は、顧客情報として氏名、住所、生年月日、電話番号等の顧客個人の情報とともに、家族構成などの家族情報についても申し込み用紙記入してもらう(ステップ1101)。 登録の申込み用紙を受取ったマーケティング部署は実際に顧客情報DB211に顧客情報を新規登録する(ステップ1102、1103)。 登録終了後、顧客にポイントカードを発行して渡す(ステップ1104,1105)。 渡されたポイントカードを保持した顧客が入店し(ステップ1106)、RFIDリーダ30付近を通過した時に無線タグ10Aから顧客情報を取得する(ステップ1107)。 取得された情報(顧客ID,入店時刻)はRFIDリーダ30によって店舗サーバ20に送信される。(ステップ1108)。 送信を受けた店舗サーバ20は、取得した顧客情報中の顧客IDが顧客情報DB211に格納された顧客情報と照合し、読み取り情報が妥当であるかのチェック、すなわち当該店舗に顧客登録を行っている顧客であるかのチェックを行う(ステップ1109、1110)。読み取り情報が妥当だった場合には、通過時刻(入店時刻)を顧客情報DB211に記憶する(ステップ1111、1112)。他の店舗に顧客登録した顧客であった場合には、エラー処理を行い(ステップS113)、顧客情報DB211には記録しない。 なお、他の店舗に顧客登録した顧客であった場合には、それらの顧客に対して仮の顧客IDを一時的に割り当て、店舗内での移動経路や立ち寄った売場での滞在時間などを収集することにより、興味を示した商品や消費行動などを推定することができる。そして、推定結果に基づいて、当該顧客に対する顧客登録を促す活動を行うことが可能になる。 【0018】 図12は、顧客が店舗内を移動する際の情報取得手順を示すフローチャートである。 顧客が店舗内を移動すると、店舗内の各コーナーまたは売場に設置されたRFIDリーダ30が無線タグ10Aから顧客情報を読み取り、当該位置を通過した時の移動時刻データと顧客ID並びに店舗内位置データを店舗サーバ20に送信する(ステップ120~1203)。ここで、店舗内位置データは顧客のICカード10の無線タグを感知したRFIDリーダ30の設置位置であり、予め各RFIDリーダ30に登録されているものである。 店舗サーバ20は、受信した移動時刻データと顧客IDを顧客移動テーブル51に格納する。このとき、顧客が同じRFIDリーダ30の感知範囲内に滞在していた場合には、移動時刻データが変化しないため、別の位置のRFIDリーダ30に感知されるまでの時間だけ、顧客が同じ位置に滞在したものとしてその滞在時間を顧客移動テーブル51に格納する。滞在時間Tは、位置AのRFIDリーダ30が取得した移動時刻データtaと位置BのRFIDリーダ30が取得した移動時刻データtbとの差によって算出する(ステップ1204,1205)。」 (4)「【0020】 図14は、顧客が退店する際に情報を取得する手順を示すフローチャートである。 顧客が店舗の出口に設置されたRFIDリーダ30付近を通過して退店すると、出口に設置されたRFIDリーダ30がICカード10の無線タグ10Aから顧客情報を取得する(ステップ1401,1402)。 取得された情報(顧客ID,退店時刻)は店舗サーバ20に送信される。(ステップ1403)。 店舗サーバ20は、取得した顧客情報中の顧客IDが顧客情報DB211に格納された顧客情報と照合し、読み取り情報が妥当であるかのチェック、すなわち当該店舗に顧客登録を行っている顧客であるかのチェックを行う(ステップ1404~1406)。読み取り情報が妥当であった場合には、通過時刻(退店時刻)を顧客情報DB211の顧客移動テーブル51に記憶する(ステップ1407)。他の店舗に顧客登録した顧客であった場合には、エラー処理を行い(ステップS1408)、顧客移動テーブル51には記録しない。 【0021】 図15は、情報分析部204が実行する顧客傾向分析処理の処理手順を示すフローチャートである。 情報分析部204は、各顧客の商品に対する趣向や興味、購買意欲などの消費者行動を分析するために、顧客が入店してから退店するまでの間、店舗内の各売場等に設置されたRFIDリーダ30によって収集した顧客の移動経路と各売場での滞在時間の情報を利用する。 顧客は店舗内をすべての経路巡るわけではない。また、入店から退店まで一定の速度で移動を行うわけでもない。時には売り場で立ち止まったり、商品選別に時間を費やしたりといった行動もする。そういった情報を顧客移動テーブル51に記録された移動経路の情報と滞在時間の情報に基づいて分析を行う。 図15において、各RFIDリーダ30で取得した顧客の移動時刻データを顧客ID別に時刻順に並べることにより、各顧客の店舗内における移動経路および各売り場での滞在時間を算出する(ステップ1501)。滞在時間のデータは、顧客移動テーブル51に記録する。 次に、移動経路上の売り場における購入商品データを顧客販売テーブル41から抽出する(ステップ1502)。 次に、商品購入までに要した時間を算出し、顧客販売テーブル41に記録する(ステップ1503)。この商品購入までに要した時間には、商品を購入した売り場における滞在時間を記録する。 次に、商品購入に要した時間、店舗内の移動順序、商品データ(陳列位置、販売促進の有無も含む)から顧客が興味を示した商品を分析する(ステップ1504)。 次に、分析結果を顧客が興味を示した商品情報として顧客傾向テーブル61Aに記録する。また、1ヶ月あたりの売り場毎の商品購入客数の平均値を算出し、顧客傾向テーブル61Bに記録する(ステップ1504)。 この場合、顧客が何ら商品を購入せずに退店した場合には、退店するまでに立ち寄った売り場の商品情報を滞在時間の順に分類して顧客傾向テーブル61Aに記録する。」 5 引用文献5(周知技術を示す文献) 本願の出願前に公開された国際公開第2020/195738号(以下「引用文献5」という。)には、以下の事項が記載されている。 (1)「[0005] 本開示の目的の1つは、上記の課題を解決し、顧客と店員の双方に有益となるサービスを提供する情報処理装置等を提供することにある。」 (2)「[0006] 本開示の情報処理装置の一態様は、店舗を利用する顧客を識別する顧客ID(identifier)を取得する顧客ID取得部と、前記店舗における顧客の行動を表す行動情報を生成する行動情報生成部と、前記行動情報に基づき、前記顧客IDに関連付けてポイントを付与するポイント付与部を備える。」 (3)「[0016] 顧客が店舗に入退店する度に、店舗に設置された検出装置301に携帯端末200のRF(Radio Frequency)タグをかざすことでRFタグ204に記憶された識別IDが検出装置301に検出される。」 (4)「[0020] <店舗カメラ> 図1に示す店舗カメラ302は、店舗における顧客、及び、店舗で販売する商品を撮影する。店舗における顧客の移動、商品閲覧および商品精算など、顧客が入店してから退店するまでの行動が店舗カメラ302によって撮影され、店舗における顧客の画像(以下、顧客画像と呼ぶ)が情報処理装置100に送信される。顧客が入店するとは、顧客が店舗内に入ることを意味し、顧客が退店するとは、顧客が店舗から外に出ることを意味する。」 (5)「[0028] 行動情報生成部102は、店舗における顧客を表す行動情報を生成する。 具体的には、店舗カメラ302が撮影した顧客画像を解析して、顧客と商品、さらに顧客の行動を検出し、検出した顧客と商品、顧客の行動に基づいて、店舗における顧客の行動を示す行動情報を生成する。行動情報生成部102は、生成した行動情報を記憶部10 5に記憶させる。 [0029] 図5、図6は、顧客と商品、顧客の行動の一例を説明する図である。顧客の行動とは、例えば、「(商品を)手に取る」または「(商品を)戻す」等である。また、顧客の行動に商品が関わらない場合、行動情報生成部102は、顧客と、顧客の行動を検出する。この場合の顧客の行動は、例えば、「移動する」、「ゴミを拾う」、「ゴミを落とす」等である。顧客画像からの顧客と商品、及び、顧客の行動の検出は、背景差分に基づく方法、顧客と商品の特徴を学習した識別器など、既存の方法や手段を用いて実施される。」 (6)「[0033] 行動情報生成部102は、時刻ごとに顧客と商品、顧客の行動の検出に用いた顧客ID、棚ID、商品IDと共に、生成した行動情報を関連付けて記憶部105に記憶させる。図7は、店舗における顧客の行動を示す行動情報の一例を示すデータシートである。なお、時刻は、顧客画像の撮影時刻から抽出される。 [0034] ポイント付与部103は、行動情報に基づき、顧客IDに関連付けて付与ポイントを付与する。図8は、ポイント付与部103の構成の一例を示すブロック図である。図8に示すポイント付与部103は、行動判定部1031、付与部1032を備える。」 第5 対比 1 「販促方法」について 引用発明の「販売促進方法」は、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」)の「販促方法」に相当する。 2 「コンピュータが、予め会員登録された顧客に関する顧客登録情報を取得する段階」について 引用発明は、「画像解析サーバ12」「を備えており」、「画像解析サーバ12は、顔照合部42」「を備え」、「顔照合部42は、カメラ15の撮影画像から検出した顔画像から特徴量を抽出し、その顔画像の特徴量と、予め登録された各顧客の顔画像の特徴量とを比較して、撮影画像に写る人物を特定し、来店した顧客の会員IDを取得する」ものである。 ここで、「画像解析サーバ12」は「コンピュータ」であるといえ、「顧客の会員ID」は、「顧客に関する顧客」「情報」といえるから、引用発明において、「画像解析サーバ12」が顔照合部12によって「来店した顧客の会員IDを取得する」ことは、下記相違点1を除いて、本願発明の「コンピュータが」「顧客に関する顧客」「情報を取得する段階」に相当するものであって、引用発明の「販売促進方法」は、かかる段階を備えるものである。 3 「コンピュータが、前記顧客の行動に応じた顧客行動情報を取得する段階」について 上記2で検討したとおり、引用発明は、画像解析サーバ12が顔照合により来店した顧客の会員IDを取得するものであって、さらに、「画像解析サーバ12は、売場に設置されたカメラ15の撮影画像に基づく行動解析により、顧客の棚前行動(顧客が商品に手を伸ばす行動、商品を陳列棚に戻す行動、商品を品定めする行動など)を検出して、店内行動情報を生成」するものである。 ここで、「顧客の棚前行動」における顧客とは、画像解析サーバ12が会員IDを取得した来店した顧客であることは明らかであって、「店内行動情報」は「顧客の行動に応じた顧客行動情報」といえるから、上記2の検討も踏まえると、引用発明において、「画像解析サーバ12」が「売場に設置されたカメラ15の撮影画像に基づく行動解析により、顧客の棚前行動(顧客が商品に手を伸ばす行動、商品を陳列棚に戻す行動、商品を品定めする行動など)を検出して、店内行動情報を生成」することは、本願発明における「コンピュータが、前記顧客の行動に応じた顧客行動情報を取得する段階」に相当し、引用発明の「販売促進方法」は、かかる段階を備えるものである。 4 「コンピュータが、前記顧客の前記顧客登録情報および前記顧客の前記顧客行動情報に基づいて、前記顧客に紐づいた販促データを生成する段階」、及び「コンピュータが、前記顧客に紐づいた前記販促データを前記顧客に提供する段階」について 引用発明は、「リアル行動管理サーバ11と」、「統合行動管理サーバ21と、販売促進情報配信サーバ22とを備えており」、「リアル行動管理サーバ11は、画像解析サーバ12に蓄積された情報を収集してリアル行動履歴情報として蓄積し、統合行動管理サーバ21は、サイバー行動管理サーバ1からサイバー行動履歴情報を収集し、リアル行動管理サーバ11からリアル行動履歴情報を収集して、それらの情報を人物ごとに統合し、人物ごとの統合行動履歴情報を分析して、対象となる顧客がどの商品を購買するかに関する購買予測情報を生成し、販売促進情報配信サーバ22は、統合行動管理サーバ21から購買予測情報を収集して、その購買予測情報に基づいて、顧客の購買意欲を高める販売促進情報を顧客端末5に配信する」ものであり、さらに、「リアル行動管理サーバ11は、リアル行動履歴データベース72」「を備え」、「リアル行動履歴データベース72には、会員ID、店内行動情報が登録され」るものである。 してみると、引用発明は、「統合行動管理サーバ12」が、「リアル行動管理サーバ11」が備える会員IDと店内行動情報が登録されたリアル行動履歴データベース72からリアル行動履歴情報を収集し、少なくとも、このリアル行動履歴情報に基づいて購買予測情報を生成し、この購買予測情報に基づいて、「販売促進情報配信サーバ22」が販売促進情報を顧客に提供するものであり、この販売促進情報は、リアル行動履歴データベース72に登録されている会員IDと店内行動情報に基づいて生成された購買予測情報によるものであるから、顔照合により会員IDが取得された顧客に紐付いていることは明らかである。 そして、引用発明の「リアル行動管理サーバ11」、「統合行動管理サーバ21」、「販売促進情報配信サーバ22」は、いずれも「コンピュータ」であるといえ、「販売促進情報」は「販促データ」に他ならず、また、上記2、3で検討したとおり、引用発明の「顧客の会員ID」、「店内行動情報」は、それぞれ本願発明の「顧客に関する顧客」「情報」、「顧客の行動に応じた顧客行動情報」に相当する。 よって、引用発明において、来店した顧客に関する顧客情報及び顧客行動情報に基づいて当該顧客に紐付いた販促データを生成すること、及び、この販促データを顧客に提供することは、それぞれ本願発明の「コンピュータが、前記顧客の前記顧客」「情報および前記顧客の前記顧客行動情報に基づいて、前記顧客に紐づいた販促データを生成する段階」、「コンピュータが、前記顧客に紐づいた前記販促データを前記顧客に提供する段階」に相当し、引用発明の「販売促進方法」は、かかる2つの段階を備えるものである。 5 「前記販促データを前記顧客に提供する段階は」、「前記顧客が有する端末を通じて、前記販促データを前記顧客に提供する段階」「を含む」について 引用発明は、「顧客の購買意欲を高める販売促進情報を顧客端末5に配信する」ものであるから、販売促進情報を顧客端末5を通じて顧客に提供するものであり、「顧客端末5」は「顧客が有する端末」に他ならない。 よって、上記4の検討も踏まえると、引用発明は、「前記販促データを前記顧客に提供する段階は」、「前記顧客が有する端末を通じて、前記販促データを前記顧客に提供する段階」「を含む」ものである。 6 一致点及び相違点 上記1~5の検討を踏まえると、本願発明と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。 [一致点] コンピュータが、顧客に関する顧客情報を取得する段階と、 コンピュータが、前記顧客の行動に応じた顧客行動情報を取得する段階と、 コンピュータが、前記顧客の前記顧客情報および前記顧客の前記顧客行動情報に基づいて、前記顧客に紐づいた販促データを生成する段階と、 コンピュータが、前記顧客に紐づいた前記販促データを前記顧客に提供する段階と を備え、 前記販促データを前記顧客に提供する段階は、 前記顧客が有する端末を通じて、前記販促データを前記顧客に提供する段階と、 を含む、販促方法。 [相違点1] 顧客情報に関して、本願発明は「予め会員登録された」顧客「登録」情報であるのに対して、引用発明は、予め会員登録された顧客登録情報であるのか、明らかではない点。 [相違点2] 販促データを顧客に提供する段階に関して、本願発明は「前記顧客の退店後に、前記販促データを前記顧客に提供する段階とを含む」のに対して、引用発明はそのような段階を含むとはしていない点。 [相違点3] 顧客登録情報を取得する段階に関して、本願発明は「前記顧客の退店時に実行される」のに対して、引用発明は「来店した顧客の会員IDを取得する」もののの、「退店時に実行される」とはしていない点。 第6 判断 1 上記相違点について検討する。 (1)[相違点1]について 引用発明は、「顔照合部42は、カメラ15の撮影画像から検出した顔画像から特徴量を抽出し、その顔画像の特徴量と、予め登録された各顧客の顔画像の特徴量とを比較して、撮影画像に写る人物を特定し、来店した顧客の会員IDを取得する」ものであるから、来店した顧客の顔画像と当該顔画像に対応する会員IDは、予め登録されているものと解される。 また、引用発明は、「顧客情報データベース73には、会員ID、氏名、年齢、性別、住所、電話番号、メールアドレスが登録される」ものであるところ、これらの顧客の氏名、年齢などの顧客情報は、本来、顧客しか知り得ない情報であるから、顧客が予め会員登録した際に顧客から取得された情報と推察される。 してみると、引用文献1には明記されていないものの、引用発明における「予め登録された各顧客の顔画像」や、当該顔画像に対応する会員ID、氏名、年齢などの顧客情報は、「予め会員登録された顧客登録情報」と解するのが相当であり、相違点1は実質的に相違点ではない。 仮に、相違点であったとしても、会員情報を取り扱う店舗を利用する際に、店舗の利用に先立って顧客が予め会員登録することは極めて一般的なことであるから、相違点1は当業者であれば容易になし得たものである。 (2)[相違点2]について 上記第4の2、3に摘記した引用文献2、3に示されるように、退店後に顧客に販促データを提供することは本願出願時における周知技術(以下「周知技術1」という。)である。 特に、引用文献2には、来店中と退店後に、それぞれに適した販促データを提供することが開示されており、来店した顧客が有する端末に販促データを提供する引用発明において、来店中だけではなく退店後にも販促データを提供するようにすることは、上記周知技術1に基づいて、当業者であれば容易に想到し得たものである。 (3)[相違点3]について 上記第4の4、5に摘記した引用文献4、5には、いずれも、店舗における顧客の行動に基づいて顧客に販売促進を行う技術が開示されており、特に、引用文献4の段落【0017】には、「渡されたポイントカードを保持した顧客が入店し(ステップ1106)、RFIDリーダ30付近を通過した時に無線タグ10Aから顧客情報を取得する(ステップ1107)」と記載され、段落【0020】には、「顧客が店舗の出口に設置されたRFIDリーダ30付近を通過して退店すると、出口に設置されたRFIDリーダ30がICカード10の無線タグ10Aから顧客登録情報を取得する(ステップ1401,1402)」と記載されており、また、引用文献5の段落[0016]には、「顧客が店舗に入退店する度に、店舗に設置された検出装置301に携帯端末200のRF(Radio Frequency)タグをかざすことでRFタグ204に記憶された識別IDが検出装置301に検出される」と記載されている。 引用文献4、5の上記各段落の記載によれば、店舗における顧客の行動に基づいて顧客に販売促進を行う技術において、顧客の入店時だけでなく、退店時にも顧客登録情報を取得することは、本願出願時における周知技術(以下「周知技術2」という。)であるといえる。 一方、引用発明では、引用文献1の段落[0061]に「画像解析サーバ12では、店舗の入口に設置されたカメラ15の撮影画像に基づく顔照合により、顧客の来店を検知して、リアルタイムの来店情報を生成する」と記載されていることから、引用発明は、顧客の入店時に、店舗の入口に設置されたカメラ15の撮像画像に基づく顔照合により顧客登録情報を取得していると解されるところ、「顔照合部42の照合結果に基づいて、退店する顧客を検知して、退店時間を取得する」ものであるから、引用発明は顧客の入店時に加え、退店時にも顧客を識別しているものである。 そして、顧客の入店時だけでなく、退店時にも顧客登録情報を取得することは、本願出願時における周知技術(周知技術2)であって、引用発明と周知技術2とは、店舗における顧客の行動に基づいて顧客に販売促進を行う技術である点で共通し、来店した顧客登録情報を取得する点においても共通するものであるから、顧客の入店時に顧客登録情報を取得する引用発明において、顧客の退店時に顧客を識別する際にも、顧客登録情報を取得するようにすることは、上記周知技術2に基づいて、当業者であれば必要に応じて適宜なし得る程度のものにすぎない。 (4)請求人の主張に対して ア 請求人は、審判請求書において、引用文献1の段落[0006]及び[0118]の記載を示しつつ、仮に「退店後」に販促データを提供することが周知技術だったとしても、引用文献1に当該構成を組み合わせる動機付けがない等と主張している。 しかしながら、引用文献1のこれらの記載は、引用文献1の従来技術として示された「実店舗における過去の購買履歴情報」に基づいてクーポンを発行する従来技術(引用文献1の段落[0003])の存在を前提として、これを補うものとして、実店舗に来店した顧客の購買意欲を高める技術を記載した旨を示したものと捉えるのが自然であり、引用文献1の技術によって、店舗に来店していない顧客に対する購買意欲を高める必要がなくなった旨を述べた記載ではない。来店中と退店後に、それぞれに適した販促データを提供することは、引用文献2、3に記載されている上、引用文献1に接した当業者であれば上記の周知技術1の組合せを当然に考慮するのであり、それ以上の動機付けは不要である。 イ また、請求人は、令和6年10月28日に提出した意見書において、引用文献1には、本願請求項1の「前記顧客登録情報を取得する段階は、前記顧客の退店時に実行される」という上記相違点3に係る構成が開示されていないところ、引用発明に当該構成を適用した場合、販売促進情報を提供できるのは顧客の退店時よりも後となり、「実店舗に来店した顧客に対して、商品の購買につながる有効な方策をその場で実施」(段落[0002])するという、引用発明の課題を解決するための手段が達成できなくなるから、引用発明に上記相違点3に係る構成を適用することには阻害事由がある旨主張する。 しかしながら、上記(3)に示したように、顧客の入店時に顧客登録情報を取得する引用発明において、顧客の退店時に顧客を識別する際にも、周知技術2に基づいて、顧客登録情報を取得するようにしても、顧客の入店時に顧客登録情報を取得しないことにはならない。そのことは、引用発明が「顔照合部42の照合結果に基づいて、退店する顧客を検知して、退店時間を取得する」ものであって、顧客の入店時に加え、退店時にも顧客を識別していること、及び、周知技術2が「顧客の入店時だけでなく、退店時にも顧客登録情報を取得すること」であること、から明らかである。よって、引用発明において、顧客の入店時に加えて、顧客の退店時にも顧客登録情報を取得するとしても、「実店舗に来店した顧客に対して、商品の購買につながる有効な方策をその場で実施」(段落[0002])するという、引用発明の課題を解決するための手段が達成できなくなるものではなく、請求人の主張する阻害事由があるとは認められない。 補足すると、本願の請求項1に従属する請求項9には、「前記販促データを前記顧客に提供する段階は、前記顧客が来店した店舗において、予め定められた商品または予め定められたタグを撮影した時に、前記販促データを前記顧客に提供する段階を含む」ことを特定していることに鑑みると、本願発明は「前記顧客の退店後に、前記販促データを前記顧客に提供する段階とを含み」としているものの、顧客が退店する前の段階である、顧客が店内で商品の前にいる段階で販促データを提供することを包含していると解するのが相当である。 そして、退店時にのみ顧客登録情報を取得する場合、販促データを顧客に提供するのは顧客の退店時よりも後となり、顧客が退店する前の段階で販促データを提供することはできないから、本願発明は、「前記顧客登録情報を取得する段階は、前記顧客の退店時に実行される」としているものの、これは、退店時にのみ顧客登録情報を取得することを意味しているのではなく、顧客が退店する前に顧客登録情報を取得することも排除していないと解するのが相当である。 そうすると、前述したとおり、引用発明は顧客の入店時に顧客登録情報を取得していると解されるところ、上記相違点3の容易想到性の検討に際しては、引用発明において、顧客の入店時に加えて、顧客の退店時にも顧客登録情報を取得することが容易であるか否かを検討すれば足りるのであって、引用発明において、顧客の入店時に顧客登録情報を取得することなく、顧客の退店時にのみ顧客登録情報を取得することが容易か否かを検討する必要は無いことは明らかである。また、引用発明において、顧客の入店時に加えて、顧客の退店時にも顧客登録情報を取得するとしても、「実店舗に来店した顧客に対して、商品の購買につながる有効な方策をその場で実施」(段落[0002])するという、引用発明の課題を解決するための手段が達成できなくなるものではないから、請求人の上記主張は前提を誤っており失当である。 そして、前述したとおり、店舗における顧客の行動に基づいて顧客に販売促進を行う技術において、顧客の入店時だけでなく、退店時にも顧客登録情報を取得することは、本願出願時における周知技術(周知技術2)であるところ、引用発明において、顧客の入店時に加えて、退店時にも顧客登録情報を取得するようにすることに、何ら阻害要因は認められないから、引用発明に上記周知技術2を適用することは、単なる周知技術の付加に過ぎず当業者であれば必要に応じて容易になし得たものである。 よって、請求人の意見書における上記主張は採用できない。 2 作用効果について そして、上記相違点1~3を勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、本願発明の構成が奏する作用効果として予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 第7 まとめ 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-001032

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