特許拒絶査定不服審判
2024-000669
電子機器、車両、報知制御方法及びプログラム
- 審判番号
- 2024-000669
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-151553
- 請求日
- 2024年01月16日
- 審決日
- 2024年11月25日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】いすゞ自動車株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人創光国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 相崎 裕恒
- 審判官 小池 堂夫
- 審判官 伏本 正典
- 分類
- P18 .121-WY (G08G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-151553「電子機器、車両、報知制御方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 6年 4月 3日出願公開、特開2024- 46265、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年9月22日にされた特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 6月27日付け:拒絶理由通知書
令和5年 8月23日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年10月10日付け(同月17日発送):拒絶査定
令和6年 1月16日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和6年 5月29日付け:拒絶理由通知書
令和6年 7月31日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 8月26日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
令和6年10月10日 :意見書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和5年10月10日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1~12に係る発明は、以下の引用文献1~4に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A.国際公開第2021/002239号
B.特開2010-152444号公報
C.特開2017-117040号公報
D.特開2019-059359号公報
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由(令和6年8月26日付け拒絶理由通知書)の概要は以下のとおりである。
本願請求項1~12に係る発明は、以下の引用文献1~2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2018-185739号公報(当審において新たに引用した文献)
2.特開2000-121370号公報(当審において新たに引用した文献)
第4 本願発明
本願請求項1~11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明11」という。)は、令和6年10月10日になされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は、以下のとおりである。
「【請求項1】
車両が位置する道路の標識を撮像部で撮像して認識した、又は前記道路の地図情報から特定された制限速度に、前記車両のユーザによって調整された所定速度を加算した第1設定速度を取得する第1取得部と、
前記制限速度と連動せずに前記車両のユーザによって任意に設定された第2設定速度を取得する第2取得部と、
前記車両の速度が前記第1設定速度及び前記第2設定速度のうちの前記第1設定速度を超えた場合には、報知部に第1報知を行わせ、前記速度が前記第2設定速度を超えた場合には、前記報知部に前記第1報知と識別可能な第2報知を行わせる報知制御部と、
を備え、
前記第1取得部は、前記制限速度が変化した場合に、前記第1設定速度を更新し、
前記報知制御部は、更新後の前記第1設定速度を前記第2設定速度が超える場合、前記報知部に第3報知を行わせる、
電子機器。」
なお、本願発明2~9は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明10は、本願発明1に対応する方法発明であり、本願発明11は、本願発明1に対応するプログラム発明である。
第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
令和6年8月26日付けの当審拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審において付与した。)
「【0008】
(実施の形態1)
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる運転支援装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1は、実施の形態1にかかる運転支援装置10を搭載した車両20の構成を示すブロック図である。
車両20は、ナビゲーション装置202、車輪速センサ204、車外カメラ206、レーダ208、操作部210、表示部212、スピーカ214、ECU220を備える。」
「【0012】
ECU220は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などによって構成される。
ECU220は、上記CPUが各種プログラムを実行することにより、追従走行制御部222および運転支援装置10として機能する。」
「【0014】
運転支援装置10は、制限速度取得部102、表示制御部104、報知速度決定部106、報知部108を備える。
制限速度取得部102は、自車両が走行する道路の制限速度を取得する。
制限速度取得部102は、例えばナビゲーション装置202の地図データDBを参照して、自車両の走行道路(現在位置)の制限速度情報を読み出す。
また、制限速度取得部102は、例えば車外カメラ206で撮影した画像から従来公知の画像認識技術を用いて交通標識や道路標示を認識して、自車両が走行する道路の制限速度を取得してもよい。」
「【0016】
報知速度決定部106は、自車両が走行する道路の制限速度に基づいて報知速度を決定する。報知速度とは、後述する報知部108による報知を行う閾値速度である。
報知速度をどのような速度とするかは、ユーザまたは車両20の製造者などによって予め設定しておく。例えば、一般道路における報知速度は制限速度+(または-)V1km、高速道路における報知速度は制限速度+(または-)V2km、など、道路種別によって報知速度を変更してもよい。また、制限速度+(または-)V3%、などのように制限速度に対するパーセンテージによって報知速度を規定してもよい。なお、本明細書において、Vx(x=1~14)は正の数であるものとする。
【0017】
報知部108は、自車両の走行速度が報知速度以上となった場合に報知する。
報知部108は、例えば車輪速センサ204の検出値から車両20の走行速度を算出する。そして、走行速度が報知速度以上となったか否かを判断し、報知速度以上となった場合に報知する。
報知の方法としては、例えば表示部212に、制限速度を超過している、または制限速度を超過しそうである旨の表示(アイコンやメッセージなど)を表示させる。また、例えばスピーカ214から制限速度を超過している、または制限速度を超過しそうである旨のメッセージを音声出力したり、警報音を出力したりしてもよい。」
「【0022】
(実施の形態2)
実施の形態1では、追従走行制御の実施の有無によって報知速度を切り替える場合について説明した。
実施の形態2では、実施の形態1の内容に加えて、制限速度未満に設定された第1の報知速度と、制限速度以上に設定された第2の報知速度とをそれぞれ決定する場合について説明する。
なお、実施の形態2にかかる運転支援装置の構成は、実施の形態1(図1参照)と同様であるため、以下の説明では図1を援用する。
【0023】
図5は、実施の形態2における報知速度の設定例を模式的に示す説明図である。
図5Aに示すように、実施の形態2では、制限速度未満に設定された第1の報知速度と、制限速度以上に設定された第2の報知速度とを決定する。
図5Aでは、第1の報知速度を制限速度-V9km/h、第2の報知速度を制限速度+V10km/hとしている。車両20が加速している場合、まず第1の報知速度に到達し、その後制限速度、第2の報知速度の順に到達することになる。
このように報知速度が2段階に設定された場合、報知部108は、自車両の走行速度が第1の報知速度以上となった場合と、第2の報知速度以上となった場合とで報知の態様を変更する。より詳細には、自車両の走行速度が第2の報知速度以上となった場合には、第1の報知速度以上となった場合と比較して、よりユーザの注意を引く態様で報知する。
具体的には、例えば第1の報知速度以上になった際には表示部212への表示を行い、第2の報知速度以上になった際にはステアリングホイールを振動させる、などである。以下、第1の報知速度以上になった際の報知態様を「第1の態様」、第2の報知速度以上になった際の報知態様を「第2の態様」という。
【0024】
このように2種類の報知速度を設定するのは、ユーザが制限速度超過時の対応を迅速に行うことができるようにするためである。すなわち、第1の報知速度となった際の報知により、ユーザは車両20の走行速度が制限速度に近づいていることを認識する。この段階で、更なる加速を行わないようにしたり、周囲の車両の動きに注意を払い車線変更(追い越し車線から走行車線への車線変更など)を行ったりすることもできる。その後、制限速度を超過して第2の報知速度による報知が行われた場合、事前に1回目の報知を受けていたユーザは、即座に減速や追従走行制御の解除などを行うことができる。すなわち、第2の報知速度による報知のみを行う場合と比較して、報知に対する対応を迅速に行うことができる。」
「【図1】
[図:0001417450000001.jpg]
」
(2)引用文献1に記載された発明
ア 段落【0014】によると、引用文献1には、「 制限速度取得部102、報知速度決定部106、報知部108を備える運転支援装置10」が記載されている。
イ 段落【0014】によると、引用文献1には、「 制限速度取得部102は、例えばナビゲーション装置202の地図データDBを参照して、自車両の走行道路(現在位置)の制限速度情報を読み出し、また、例えば車外カメラ206で撮影した画像から従来公知の画像認識技術を用いて交通標識や道路標示を認識して、自車両が走行する道路の制限速度を取得してもよ」いことが記載されている。
ウ 段落【0016】によると、引用文献1には、「 報知速度決定部106は、自車両が走行する道路の制限速度に基づいて報知速度を決定するところ、報知速度をどのような速度とするかは、ユーザまたは車両20の製造者などによって予め設定されるものであり、例えば、一般道路における報知速度は制限速度+(または-)V1km、高速道路における報知速度は制限速度+(または-)V2km、など、道路種別によって報知速度を変更してもよ」いことが記載されている。
エ 段落【0017】によると、引用文献1には、「 報知部108は、自車両の走行速度が報知速度以上となった場合に報知するところ、報知の方法としては、例えば表示部212に、制限速度を超過している、または制限速度を超過しそうである旨の表示(アイコンやメッセージなど)を表示させ」ることが記載されている。
オ 段落【0022】~【0023】によると、引用文献1には、「運転支援装置10は、制限速度未満に設定された第1の報知速度と、制限速度以上に設定された第2の報知速度とをそれぞれ決定されてもよく、そのような報知速度が2段階に設定された場合、報知部108は、自車両の走行速度が第1の報知速度以上となった場合と、第2の報知速度以上となった場合とで報知の態様を変更するところ、例えば第1の報知速度以上になった際には表示部212への表示を行い、第2の報知速度以上になった際にはステアリングホイールを振動させる」ことが記載されている。
上記ア~オから、引用文献1には、次のとおりの発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「 制限速度取得部102、報知速度決定部106、報知部108を備える運転支援装置10であって、(上記(ア))
制限速度取得部102は、例えばナビゲーション装置202の地図データDBを参照して、自車両の走行道路(現在位置)の制限速度情報を読み出し、また、例えば車外カメラ206で撮影した画像から従来公知の画像認識技術を用いて交通標識や道路標示を認識して、自車両が走行する道路の制限速度を取得してもよく、(上記(イ))
報知速度決定部106は、自車両が走行する道路の制限速度に基づいて報知速度を決定するところ、報知速度をどのような速度とするかは、ユーザまたは車両20の製造者などによって予め設定されるものであり、例えば、一般道路における報知速度は制限速度+(または-)V1km、高速道路における報知速度は制限速度+(または-)V2km、など、道路種別によって報知速度を変更してもよく、(上記(ウ))
報知部108は、自車両の走行速度が報知速度以上となった場合に報知するところ、報知の方法としては、例えば表示部212に、制限速度を超過している、または制限速度を超過しそうである旨の表示(アイコンやメッセージなど)を表示させ、(上記(エ))
さらに、運転支援装置10は、制限速度未満に設定された第1の報知速度と、制限速度以上に設定された第2の報知速度とをそれぞれ決定されてもよく、そのような報知速度が2段階に設定された場合、報知部108は、自車両の走行速度が第1の報知速度以上となった場合と、第2の報知速度以上となった場合とで報知の態様を変更するところ、例えば第1の報知速度以上になった際には表示部212への表示を行い、第2の報知速度以上になった際にはステアリングホイールを振動させる、(上記(オ))
運転支援装置10。」
2.引用文献2について
(1)引用文献2に記載された事項
令和6年8月26日付けの当審拒絶理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のナビゲーション装置では道路標識にある制限速度にのみ対応しており、各自が自分の力量及び天候に合わせて任意に制限速度の設定を行なうことができない、という問題を有していた。」
「【0015】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第1の実施の形態におけるナビゲーション装置の構成を示す図である。図1に示すナビゲーション装置1は、自車速度を検出する自車速度検出手段11と、自車の制限速度を設定する制御手段12と、検出手段11からの自車速度及び制御手段12からの制限速度を比較する比較手段13と、比較手段13からの比較結果に基づいて表示手段の制御を行なう表示制御手段14と、表示制御手段14からの制御に基づいて表示を行なう表示手段15とから構成されている。
【0016】次に上記第1の実施の形態のナビゲーション装置の動作について図2を参照しながら説明する。図2は表示を行なうまでのフローチャートを示すものである。
【0017】まず、運転者は制御手段12により自車の制限速度を設定する。ナビゲーション装置は、常に自車速度検出手段11により自車速度を検出しており、比較手段13により制御手段12により設定された自車の制限速度と自車速度検出手段11により検出した自車速度を比較する。そして表示制御手段14により設定された制限速度よりも自車速度の方が速かった場合のみ表示手段15に対して表示命令を出力し、表示手段15は画面を通じて表示し運転者に対して通知し、注意を促すことができる。
【0018】このような構成としたことにより、運転者は自分の力量及び天候に応じて任意に制限速度を設定することにより安全運転を行なうことができる。」
「【図1】
[図:0001417450000002.jpg]
」
「【図2】
[図:0001417450000003.jpg]
」
(2)引用文献2に記載された技術的事項
上記(1)によれば、引用文献2には、「従来のナビゲーション装置では道路標識にある制限速度にのみ対応していたところ、ナビゲーション装置1は、運転者により設定された自車の制限速度と検出した自車速度を比較し、制限速度よりも自車速度の方が速かった場合のみ、運転者に対して通知し、注意を促すことができ、これにより、運転者は自分の力量及び天候に応じて任意に制限速度を設定することにより安全運転を行なうことができる」との技術的事項が記載されている。
3.原査定の引用文献について
(1)引用文献Aについて
引用文献A([0020]、[0029]~[0031]、[0034]、[0036]~[0037]、[0039]、[0043]、[0049]、[0054]、[0062]~[0065]、図5~7、図9~10。摘記省略。)には、ステレオカメラ200により得た交通標識情報を基に、自車両が走行する道路に規定され、前記自車両に適用する制限速度を取得する制限速度取得部101と、ドライバのスイッチ操作によって、前記自車両に適用する設定車速を上限速度として決定する上限速度設定部103と、ブザー620を用いた音声による警告および表示装置610を用いた表示によるドライバへの制御状態通知により、前記制限速度および前記スイッチ操作によって決定された前記設定車速のいずれかを上限速度として通知する上限速度通知部106と、を備える車両用速度制御装置において、前記上限速度通知部106は、前記制限速度および前記スイッチ操作によって決定された前記設定車速のいずれかを前記上限速度として通知することが記載されている。
(2)引用文献Bについて
引用文献B(【0035】、【0040】、【0048】、図1。摘記省略。)には、自車両が走行する走行道路または前記走行道路に含まれるリンクの識別情報および道路種別に応じて、前記自車両の走行道路の規制速度を取得する規制速度取得部20と、運転者が任意に調整した付加速度を前記規制速度に加算して車速閾値を算出する車速閾値算出部30と、備える車載装置が記載されている。
(3)引用文献Cについて
引用文献C(【0038】~【0041】、【0047】、【0051】~【0052】、図4~7。摘記省略。)には、車両10の走行位置がスクールゾーンである場合に、最高速度情報を示す画像72と前記スクールゾーンの最高速度情報を示す画像76を所定位置に表示し、車速が前記スクールゾーンの最高速度を上回っている場合に、前記スクールゾーンの最高速度情報を強調表示する車両用表示装置が記載されている。
(4)引用文献Dについて
引用文献D(【0024】、【0026】~【0027】、図1。摘記省略。)には、制限速度と調整速度との和からなる調整制限速度を上限値とする設定可能な速度範囲以内で設定速度を入力する速度設定スイッチ24e、fを含む操作部24を備える車両制御装置が記載されている。
第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「制限速度」、「+(または-)V1km」、「報知速度(第2の報知速度)」、「報知速度決定部106」は、それぞれ、本願発明1の「制限速度」、「所定速度」、「第1設定速度」、「第1取得部」に相当する。
イ 引用発明の「第1の報知速度」は、本願発明1の「第2設定速度」に相当する。
ウ 引用発明の「表示部212」及び「ステアリングホイール」は、本願発明1の「報知部」に相当する。また、引用発明の「報知部108」は、本願発明1の「報知制御部」に相当する。
エ 引用発明の「運転支援装置10」は、本願発明1の「電子機器」に相当する。
(2)一致点と相違点
(1)によれば、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
車両が位置する道路の標識を撮像部で撮像して認識した、又は前記道路の地図情報から特定された制限速度に、前記車両のユーザによって調整された所定速度を加算した第1設定速度を取得する第1取得部と、
第2設定速度を取得する第2取得部と、
前記車両の速度が前記第1設定速度及び前記第2設定速度のうちの前記第1設定速度を超えた場合には、報知部に第1報知を行わせ、前記速度が前記第2設定速度を超えた場合には、前記報知部に前記第1報知と識別可能な第2報知を行わせる報知制御部と、
を備え、
前記第1取得部は、前記制限速度が変化した場合に、前記第1設定速度を更新する、
電子機器。
<相違点1>
「第2取得部」が取得する「第2設定速度」について、本願発明1は、「前記制限速度と連動せずに前記車両のユーザによって任意に設定された」ものであるのに対し、引用発明は、「制限速度」と連動するものであり、車両のユーザによって任意に設定されるものではない点。
<相違点2>
「報知制御部」について、本願発明1は、「更新後の前記第1設定速度を前記第2設定速度が超える場合、前記報知部に第3報知を行わせる」ものであるのに対し、引用発明は、「更新後の前記第1設定速度を前記第2設定速度が超える場合、前記報知部に第3報知を行わせる」ものではない点。
(3)相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点2について検討する。
相違点2に係る本願発明1の「更新後の前記第1設定速度を前記第2設定速度が超える場合、前記報知部に第3報知を行わせる」構成は、上記引用文献1及び2に記載されておらず、本願出願日前において周知技術であるともいえない。
また、本願発明1は、相違点2に係る構成を有することにより、第2設定速度が第1設定速度を超える場合に第2設定速度の変更を運転者に促すことができる(本願明細書段落【0053】)という本願特有の効果を奏するものであり、相違点2は、設計事項であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2.本願発明2~9について
本願発明2~9は、本願発明1の上記相違点2と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3.本願発明10及び11について
本願発明10及び11は、本願発明1の上記相違点2と対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第7 原査定についての判断
令和6年10月10日になされた手続補正による補正後の本願発明1~9は、「第6」で検討した本願発明1の相違点2に係る構成を有し、同補正後の本願発明10及び11は、「第6」で検討した本願発明1の相違点2に対応する構成を有するところ、原査定における引用文献A~Dには、この点が開示されていない。また、「第6」の1.(3)に示したとおり、相違点2は、設計事項であるともいえない。
よって、本願発明1~11は、当業者であっても、原査定における引用文献A~Dに基づいて容易に発明をすることができたものではなく、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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