商標取消審判
2023-300573
サンズ
- 審判番号
- 2023-300573
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2010-075721
- 登録番号
- 5485183
- 請求日
- 2023年08月10日
- 審決日
- 2024年08月21日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ザ エスカル インスティチュート オブ アドバンスド テクノロジーズ,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】塚田 美佳子
- 【請求人代理人】山田 薫
- 【請求人代理人】桶川 美和
- 【被請求人】ラスベガス サンズ コープ
- 【被請求人代理人】稲葉 良幸
- 【被請求人代理人】田中 克郎
- 【被請求人代理人】石田 昌彦
- 【被請求人代理人】平井 沙恵子
- 【被請求人代理人】右馬埜 大地
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 阿曾 裕樹
- 分類
- T132 .1 -Y (X09)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第1号、商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第2条、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5485183号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5485183号商標(以下「本件商標」という。)は、「SANDS」の文字を標準文字で表してなり、平成22年9月28日に登録出願、同24年3月21日に登録査定され、第9類「電子計算機用ゲームプログラム及びゲームソフトウェア,家庭用テレビゲームおもちゃ用ゲームプログラム及びゲームソフトウェア,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」のほか、第35類、第39類、第41類及び第43類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年4月6日に設定登録されたものである。
第2 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は、本件商標の指定商品及び指定商品中、第9類「全指定商品」(以下「本件請求商品」という。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(以下、証拠の表記にあたっては、「甲○」又は「乙○」と表記する。)を提出した。
2 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、本件請求商品について、継続して3年以上(2020年8月28日から2023年8月27日まで。以下「要証期間」という。)日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
3 答弁に対する弁駁
(1)要旨
乙1から乙6で使用されている「Las Vegas Sands」、「Marina Bay Sands」、「Sands Lifestyle」、「Sands Resorts Macao」、「Sands REWORDS LIFESTYLE」、「Marina Bay Sands Singapore」は、全体として一つの商標として出所識別機能を発揮しており、「Sands」部分が単独で独立した商標として使用されている事実は見出せない。
したがって、乙1から乙6からは、本件商標と社会通念上同一の商標が使用された事実を読み取ることはできない。
また、答弁書とともに提出された乙1から乙6によっては、本件商標がその指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について、要証期間内に使用されていたといえない。
さらに、乙3の1及び2、乙6については日本語の記載はなく、中国語、英語が記載されているのみで訳文もなく、日本で本件商標が使用されていることを示す証拠として不適切である。
(2)被請求人が提出した使用証拠
被請求人は、本件商標に係る「SANDS」は、被請求人の商号である「LAS VEGAS SANDS CORP(ラスベガス サンズ コープ)」を示す文字であるとともに、同社が運営するリゾートホテル、カジノ場、ショッピングモール又はそれらの複合施設の名称に共通して用いられる、代表的出所標識「SANDS(サンズ)」として採択されたものであると記載している。
確かに、被請求人が提出した乙号証には、複合施設等の名称の一部において「SANDS」の語が使用されているものが見受けられるが、その使用態様によって直ちに「SANDS」の語が分離して認識されるとはいえない。
ア 乙1について
乙1は、被請求人が所有するマカオ及びシンガポールのホテルに関する記事であり、本件商標の要証期間の使用証拠ではない。
イ 乙2の1から4について
乙2の1から3は、被請求人所有のシンガポールのホテル「マリーナベイ・サンズ」が提供するホテルの会員になるための新規登録、また、ホテル会員がログインするためのウェブページと思われる。記事の上部に「サンズ・ライフスタイル/マリーナベイ・サンズ」と記載され、このホテルの会員制サービスの名称として「サンズ・ライフスタイル」が記載されている。記事及びカード状の画像「Sands/LIFESTYLE」により、「サンズ・ライフスタイル会員」になることで、シンガポールのマリーナベイ・サンズホテルにおいて特典や優待サービスを受けられることが説明されている。また、米国アップル社による「App Store」や米国グーグル社による「Google Play」へのリンク表示がある。
乙2の1から3において被請求人が主張する「画像内に、太いやや図案化した薄茶色の文字で「Sands」の文字が表示されている」とするのは、二段書きで印字された「Sands/LIFESTYLE」の「Sands」部分を抽出したものであるが、この「Sands」と「LIFESTYLE」は同じ幅でまとまりよくカード状の画像に記載されており、全体として無理なくホテルの会員制サービス「Sands LIFESTYLE」(サンズ・ライフスタイル)の名称として読み取れるが、「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」についての使用とは読み取れない。
また、「App Store」や「Google Play」のリンクは、「マリーナベイ・サンズ公式アプリ」と記載があることから、被請求人のホテル「「マリーナベイ・サンズ」の公式な「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」」をダウンロードするために表示されたものであり、「マリーナベイ・サンズ」がホテルの名称として使用されている事実は読み取れるものの、本件商標「SANDS」が「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」の名称として使用されている事実は読み取れない。
以上より、乙2の1から3によって、本件商標「SANDS」が「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について使用されていた事実は読み取れない。
乙2の4は、米国グーグル社によるGoogle Playのアプリのウェブ記事である。この記事の上部には「Sands Lifestyle - Google Play のアプリ」と記載されている。このことから、「Google Play のアプリ」である「Sands Lifestyle」という内容が読み取れる。
被請求人は、乙2の4の右上に「当該アプリケーションソフトウェアのファビコンを表した、角を丸くした四角形の中央に、薄茶色に着色してやや図案化した、太く大きな文字で「Sands」の文字が表示されている」と主張しており、この記事に表示されたアプリのアイコンについて言及している。
この図案化した「Sands」は、下部にはそれと同じ幅で「LIFESTYLE」の文字がまとまりよく配置されており、かつ、このアイコン右横には二段書きで上段に大きく「Sands Lifestyle」、下段に小さく「Sands China」と記載されていることから、このアプリの名称は無理なく「Sands Lifestyle」であると読み取れる。さらに、「このアプリについて」と説明された箇所において、「私たちのサンズライフスタイルアプリでは、マカオへの旅行を・・・」との記載があることからも、このアプリの名称は「サンズライフスタイル」であると認識するのが自然である。
このように「Sands Lifestyle」、「サンズライフスタイル」は、全体として一つの商標として出所識別機能を発揮している。「Sands」はこの一部を構成する文字にすぎず、「Sands」の部分のみを取り出して、この部分が単独で独立した商標として使用されているということはできない。
以上より、乙2の4からアプリの名称として読み取れるのは「Sands Lifestyle」、「サンズライフスタイル」であって、「SANDS」ではない。被請求人が本件商標「SANDS」が使用されていると主張するアイコンにおいては、アイコン自体にある「(漢字4文字)/Sands/LIFESTYLE」(三段書き)という記載及びその横に記載された「Sands Lifestyle」の文字をみれば、このアプリの名称は「Sands Lifestyle」であると認識され、「SANDS」ではない。
よって、乙2の4からは、本件商標である「SANDS」が「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について使用されていた事実は読み取れない。
ウ 乙3の1から4について
被請求人は、乙3は、被請求人のホームページ及び同ホームページのリンク先であり、スマートフォン用アプリケーションソフトウェアのダウンロードの窓口となる米国アップル社のウェブサイト「App Store」のアーカイブの写しであると主張する。
そして、乙3の1及び2は、上記アップル社によるアプリストアのスマートフォン用アプリケーションソフトウェアのダウンロードのためのウェブサイトリンクであると被請求人は主張しているが、そのスマートフォンの画面には日本語は見られず、我が国の需要者向けのアプリケーションソフトウェアであるか否か不明であり、かつ、日本国内の表示であるかも不明であり証拠として不適切である。
乙3の1及び2は、証拠としては上記のとおり不適切ではあるが、被請求人が本件商標を使用していると主張している箇所を検討すると、乙3の1に「ウェブサイトの表示画面の左上に、薄茶色に着色してやや図案化した、太く大きな文字で「Sands」の文字が表示されている」として矢印を付している。この表示はやや不鮮明で中央部の語頭の文字は、「S」又は数字の「8」の左側が切れているように認識でき、必ずしも大文字「S」とは認識できない。また、左上にこのロゴが表示されているだけであって、この表示が「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について使用されている事実は読み取れない。
さらに、QRコードとみられる白及び黒の四角形の図形模様が記載されているが、その中央には図形が表示されているのみであり、この表示のみでは、何に使用されているのか不明である。また、「Sands」と思しき文字の下には同じ幅で「RESORTS MACAO」の文字が記載されており、このロゴは「Sands」単体で使用されていたとはいえない。
乙3の3及び4は、被請求人によると米国アップル社のアプリケーションストア「App Store」におけるアプリケーションソフトウェアのダウンロード用ページとのことであるが、乙3の1及び2と同様に、図形が表示されており、このアイコンの右横に横一連で「Sands Resorts Macao」の記載があることから、このアイコンが使用されているアプリの名称は「Sands Resorts Macao」であることが自然と読み取れる。また、このアイコン内にも「(漢字7文字)/Sands/RESORTS MACAO」(三段書き)の記載がされていることからもアプリの名称が「Sands Resorts Macao」であることが認識できる。乙3の3のページ上部には「「Sands Resorts Macao」をApp Storeで」という記載があり、この記載からもこのアプリの名称は「Sands Resorts Macao」であることが認識できる。
以上より、乙3の1及び2は証拠として不適切であり、また、乙3の1から4によって、本件商標「SANDS」が使用されていた事実は読み取れない。
エ 乙4の1から4について
乙4について、被請求人は、被請求人のホームページ及び同ホームページのリンク先であり、スマートフォン用アプリケーションソフトウェアのダウンロードの窓口となる米国アップル社のウェブサイト「App Store」のアーカイブの写しであると主張する。
そして、乙4の1及び2において、「スマートフォンの表示画面に、薄茶色に着色してやや図案化した、太く大きな文字で「Sands」の文字が表示されている」と主張している。この被請求人の主張する「Sands」の文字を表示した画像には、本件商標である「SANDS」は単独で表示されていない。この画像の下部には、「サンズリワード会員アカウントにログインまたは無料会員登録していただくと・・・」という記載がある。かかる記載から「Sands REWARDS(サンズリワード)」は全体としてマリーナベイ・サンズホテルの会員制サービスの名称であることが読み取れ、「Sands」は特段分離して認識されない。
乙4の3及び4は、被請求人によると、米国アップル社のウェブサイト「App Store」におけるアプリケーションソフトウェアのダウンロード用ページのアーカイブ記事とのことであるが、乙4の3には王冠と思しき図形のアイコンの横に「Marina Bay Sands Singapore」との記載があるのみで、「Sands」単独の記載はみられない。また、ページ上部に「「Marina Bay Sands Singapore」をApp Storeで」と記載があることから、王冠と思しきアイコンが使用されているアプリの名称は「Marina Bay Sands Singapore」であることが読み取れる。「Marina Bay Sands Singapore」は全体として一つの商標と読み取れ、ここから「Sands」の文字のみが取り出されて単独で独立した商標として使用されていたとはいえない。
乙4の4における画像は、小さくて文字が読み取れないが、下記の説明箇所に「Get・・・instant access to you Sands Rewards account anywhere, anytime.」と記載があることから、おそらくカード状の画像に記載された文字は「Sands/REWARDS」と推察する。乙4の1及び2で記載したのと同様、「Sands REWARDS」は全体としてマリーナベイ・サンズホテルの会員制サービスの名称であり、「Sands」は特段分離しない。
以上より、乙4の1から4からは、「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について「SANDS」が識別標識として使用されていることは読み取れない。
オ 乙5の1及び2について
乙5の1及び2は、被請求人所有のシンガポールのホテル「マリーナベイ・サンズ」が提供するホテルの会員になるための新規登録、また、ホテル会員がログインするためのウェブページと思われる。記事の上部左側にロゴの表示がある。また、米国アップル社による「App Store」や米国グーグル社による「Google Play」へのリンク表示がある。ロゴは、被請求人のホテル「MARINA BAY SANDS SINGAPORE」を表すロゴであると読み取れる。「Sands」と思しき部分の書体及び色彩は他の文字と異なるが、このロゴ全体で「MARINA BAY SANDS SINGAPORE」という請求人のホテルを表す商標として使用されており、ここから「Sands」部分が単独で独立した商標として使用されていたことは読み取れない。また、このロゴはホテルを表す表示として使用されており、「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」の名称としては使用されていない。
「App Store」や「Google Play」のリンクは、「・・・マリーナベイ・サンズ公式アプリが登場!」との記載から、被請求人のホテル「マリーナベイ・サンズ」のアプリをダウンロードするために表示されたものであることが読み取れ、ホテルの名称として「マリーナベイ・サンズ」が使用されているが、本件商標「SANDS」が「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」の名称として使用されている事実は読み取れない。
以上より、乙5の1及び2からは、本件商標である「SANDS」が「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について使用されていた事実は読み取れない。
カ 乙6の1から3について
被請求人は、乙6として、我が国需要者による、アプリケーションソフトウェアのダウンロード実績に関する資料を提出した。そしてこれらには、要証期間である2021年1月以降の「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」を譲渡する取引が、我が国において継続してなされている、と主張している。
しかしながら、乙6は、左下又は上部左方向に「Japan」の文字が見られることから、「日本国内向けのダウンロード数」を示す表示であると推測することは可能ではあるものの、折れ線グラフの内容が何を意味するのか英語のみが記載されており、被請求人による訳文も添付されていないため、証拠として不適切である。
また、「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」の名称としては、乙6の1には「Sands Lifestyle」の表示、乙6の2には「Sands Resorts Macao」の表示、そして乙6の3には「Marina Bay Sands Singapore」の表示は読み取れるものの、本件商標「SANDS」は単独では表示されていない。また、乙6にある表示「Sands Lifestyle」、「Sands Resorts Macao」、「Marina Bay Sands Singapore」は、それぞれ全体として一つの商標であると認識でき、各商標の態様から「Sands」単独で独立した商標として読み取ることもできない。
被請求人自身も答弁書において、「乙6の1は、乙2に係る電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)「Sands Lifestyle」のダウンロード数を示すものである。」と記載しており、電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)の名称は「Sands」ではなく、「Sands Lifestyle」であることを認めている。この被請求人の答弁書の記載をみても、「Sands Lifestyle」は全体として一つの商標であることは間違いない。
よって、乙6の1から3は証拠として不適切であり、かつ、それらからは、本件商標「SANDS」が使用されていた事実は読み取れない。
(3)使用商標
被請求人は、乙2から乙5に表示されている、「Sands」と本件商標は、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標というべきものである、と主張している。
しかしながら、請求人は上記の主張について到底承服することはできない。
乙号証に記載されたロゴ部分を検討すると、「d」の縦線が特徴的に上方から左方向に湾曲して伸びていることから直ちに「d」と看取するとは限らず、例えば「Sanos」と読み取る場合も容易に想定できる。したがって、ここまで図案化されたロゴ部分から、「Sands」の文字からなると無理なく認識され、「Sands」の使用であるとする被請求人の主張は認められない。
また、仮に乙号証におけるロゴ部分が欧文字「Sands」と認識できたとしても、乙号証を検証したところ、「Sands」は乙号証にある各商標の一部として使用されているにすぎず、「Sands」が独立した商標として使用されている事例は見当たらない。乙号証において使用されている態様から、被請求人が個別商標と主張する「LIFESTYLE」や「REWARDS/LIFESTYLE」及び、商品、役務の提供地を表すと主張する「RESORT MACAO」や「SINGAPORE」が捨象されて、「Sands」のみが抽出されて独立した商標として認識されている事実は全く読み取れない。
よって、「Sands」は乙号証における表示の一部として使用されているにすぎず、独立した商標として使用されていない。
以上より、被請求人が提出した乙号証に示されている使用商標は、本件商標「SANDS」と社会通念上同一の商標とはいえない。
(4)使用商品
被請求人は、乙2から乙5に掲載されている「ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア」は、「電子計算機用プログラム」と同一の商品であり、指定商品中「電子応用機械器具及びその商品」の範ちゅうに属するものである、と主張する。
しかしながら、上記で検証したとおり、乙号証に示された商標が使用されていた対象は、「ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア」とは読み取れなかった。
(5)使用行為
被請求人は、乙2の1から3、乙3の1及び2、乙4の1及び2、乙5の1及び2によれば、電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)の提供を行う被請求人の運営するウェブサイトに本件商標が使用されている、と主張する。
しかしながら、これら乙号証には本件商標「SANDS」単独の記載はなく、証拠において使用された表示の態様をみても、本件商標「SANDS」と社会通念上同一の商標は使用されていない。
また、乙2の1から3は、ホテルの会員制サービス名称として、乙3の1及び2は、使用対象が不明で証拠として不適切、乙4の1及び2は、「マリーナベイ・サンズ」がホテルの名称として、乙5の1及び2は、MARINA BAY SANDS SINGAPOREホテルのロゴとして、それぞれ商標が使用されており、電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)について使用されているとはいえない。
被請求人は、乙2の4、乙3の3及び4には、被請求人の運営するウェブサイトのリンク先であって、電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)の提供の窓口となる、アップル社とグーグル社のウェブサイトにおいて、被請求人の提供するスマートフォン用アプリケーションソフトウェアのファビコンを示す、角を丸くした黒地四角形の枠内に本件商標が表示されていることから、需要者のスマートフォンの表示画面において、当該ソフトウェアの起動に用いるファビコンにも本件商標が使用されていると主張している。
被請求人の主張するファビコンにはロゴ化された「Sands/LIFESYLE」、「Sands/RESORTS MACAO」の記載があり、「Sands」と思しきロゴは読み取れるが、提出された乙号証を検証したところ、これらは「Sands Lifestyle」アプリや「Sands Resorts Macao」アプリにそれぞれ使用されており、ファビコンからは「Sands」と読み取れたとしても、「Sands Lifestyle」や「Sands Resorts Macao」といったアプリの名称で取引されるのが通常である。したがって、被請求人が提出した乙号証のファビコンから生じるアプリの名称は「Sands Lifestyle」や「Sands Resorts Macao」であって、「Sands」単体ではない。そのことは、ファビコン自体にもアプリの名称「Sands/LIFESYLE」や「Sands/RESORTS MACAO」が記載されていることからも明らかであり、その配置上「Sands」が大きく表示されてはいるが、ファビコンから商品名として「Sands」部分が分離抽出されて取引されることは考え難い。よって、「Sands」は独立して出所識別標識として「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」に使用されているとはいえない。
さらに、被請求人は、乙4の1、2及び4に表示された、スマートフォン(iPhone)のスクリーンショットの画像によれば、被請求人が提供する電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)を起動した際の表示画面の一部に、本件商標が使用されている、と主張する。
しかしながら、被請求人が主張する表示画面に表示された商標は、「Sands REWORDS」というホテルの会員サービスの名称として使用されているのが読み取れるが、「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」の名称としては使用されていない。
以上より、乙号証より被請求人が「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」に本件商標を使用したことは読み取れないため、被請求人が主張する、商標法第2条第3第1項の「商品又は商品の包装に標章を付する行為」又は同法第2条第3項第8号の「商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」は乙号証によって証明されていない。
(6)使用場所
被請求人は、いずれの証拠も、日本国内で本件商標が使用された事実を示すものである、と主張する。
乙3の1及び2は、日本語の記載は一切なく、画像が表示されているスマートフォンの画面には、中国及び英語の表記のみが記載されており、到底日本国内で使用されたものとはいえず、証拠として不適切である。
乙6については、左下又は上部左方向に「Japan」の文字が見られることから、「日本国内向けのダウンロード数」であるかの表示であると推測することは可能であるが、折れ線グラフの内容が何を意味するのか英語の説明のみが記載されており、被請求人による訳文も添付されていないため、証拠として不適切である。
第3 被請求人の主張
1 答弁の趣旨
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙1から乙10(枝番号あり。)を提出した。
2 答弁の理由
(1)本件商標権者である被請求人について
被請求人は、マカオ(中華人民共和国マカオ特別行政区)とシンガポールにおいて、リゾートホテル、カジノ場、ショッピングモール又はそれらの複合施設の運営を通じて、各種商品とサービスを提供している。
2004年に、マカオに、リゾートホテル「Sands Macao(サンズ マカオ)」を開業したのを皮切りに、2007年に世界最大級のホテル「ザ・ベネチアン・マカオ」、2008年に「ザ プラザ マカオ」、2011年には「サンズ・コタイ・セントラル(2019年に「ザ・ロンドナー マカオ」に改称した)」、2016年に「ザ・パリジャン・マカオ」を次々に開業した。
シンガポールにおいては、2010年に同国のランドマークの一つとなっている、「マリーナベイ・サンズ」を開業した(乙1)。
シンガポールとマカオは、我が国の需要者にとって人気の高い旅行先であることから、被請求人が運営するリゾートホテル、カジノ場、ショッピングモール又はそれらの複合施設は、我が国の数多くの需要者に利用されている。
(2)本件商標の使用事実
ア 使用証拠
本件商標に係る「SANDS」は、被請求人の商号である「LAS VEGAS SANDS CORP(ラスベガス サンズ コープ)」を示す文字であるとともに、同社が運営するリゾートホテル、カジノ場、ショッピングモール又はそれらの複合施設の名称に共通して用いられる、代表的出所標識「SANDS(サンズ)」として採択されたものである。
被請求人は、被請求人が運営するリゾートホテル、カジノ場、ショッピングモール又はそれらの複合施設における、宿泊施設の提供、カジノ施設の提供、ショッピングモールの運営、飲食物の提供又はそれらのプロモーションに関連した情報の提供、施設近辺の観光に関する情報の提供、利用者のための顧客優待プログラムの提供のための、「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」を提供している。
(ア)「サンズ・ライフスタイル」「Sands Lifestyle」(乙2)
乙2は、被請求人が、電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)をインターネット経由で提供している事実を示す、同社のホームページ及び同ホームページのリンク先であって、スマートフォン用アプリケーションソフトウェアのダウンロードの窓口となる、グーグル社の「Google Play」のダウンロードページの写しである。
乙2の1から3は、アプリケーションソフトウェア(電子計算機用プログラム)のダウンロードのためのウェブサイトリンクを含むウェブページのアーカイブである。当該ウェブページには、スマートフォン用アプリケーションソフトウェアのダウンロードの窓口となる、アップル社のウェブサイト「App Store」及びグーグル社のウェブサイト「Google Play」へのリンクが表示されている。
乙2の1から3は、冒頭の画像内に、太いやや図案化した薄茶色の文字で「Sands」の文字が表示されている。
乙2の4は、米国グーグル社のウェブサイト「Google Play」における、当該アプリケーションソフトウェアのダウンロード用ページである。
そして、乙2の4は、右上に表示された、当該アプリケーションソフトウェアのファビコンを表した、角を丸くした四角形の中央に、薄茶色に着色してやや図案化した、太く大きな文字で「Sands」の文字が表示されている。
(イ)「Sands Macao Resort」(乙3)
乙3は、被請求人が、電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)をインターネット経由で提供している事実を示す、同社のホームページ及び同ホームページのリンク先であって、スマートフォン用アプリケーションソフトウェアのダウンロードの窓口となる米国アップル社のウェブサイト「App Store」のアーカイブの写しである。
乙3の1及び2は、アプリケーションソフトウェア(電子計算機用プログラム)のダウンロードのためのウェブサイトリンクを含むウェブページのアーカイブである。当該ウェブページには、スマートフォン用アプリケーションソフトウェアのダウンロードの窓口となる、アップル社のウェブサイト「App Store」及びグーグル社のウェブサイト「Google Play」へのリンクが表示されている。
乙3の1及び2は、ウェブサイトの表示画面の左上に、薄茶色に着色してやや図案化した、太く大きな文字で「Sands」の文字が表示されている。
乙3の3及び4は、米国アップル社のウェブサイト「App Store」における、当該アプリケーションソフトウェアのダウンロード用ページのアーカイブとスクリーンショットである。なお、アーカイブページにおいては、印刷時に表示画面どおりに印刷ができなかったことから、念のために同ページのスクリーンショットを提出する。
乙3の1から4は、スマートフォンの表示画面に表示される、当該アプリケーションソフトウェアのファビコンを表した、角を丸くした黒地四角形の枠内の中央に、薄茶色に着色してやや図案化した、太く大きな文字で「Sands」の文字が表示されている。
(ウ)「マリーナベイ・サンズ」「Marina Bay Sands Singapore」(乙4)
乙4は、被請求人が、電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)をインターネット経由で提供している事実を示す、同社のホームページ及び同ホームページのリンク先であって、スマートフォン用アプリケーションソフトウェアのダウンロードの窓口となる米国アップル社のウェブサイト「App Store」のアーカイブの写しである。
乙4の1及び2は、アプリケーションソフトウェア(電子計算機用プログラム)のダウンロードのためのウェブサイトリンクを含むウェブページのアーカイブである。当該ウェブページには、スマートフォン用アプリケーションソフトウェアのダウンロードの窓口となる、アップル社のウェブサイト「App Store」及びグーグル社のウェブサイト「Google Play」へのリンクが表示されている。
乙4の1及び2は、中央の画像内に示された、スマートフォンの表示画面に、薄茶色に着色してやや図案化した、太く大きな文字で「Sands」の文字が表示されている。
乙4の3及び4は、米国アップル社のウェブサイト「App Store」における、当該アプリケーションソフトウェアのダウンロード用ページのアーカイブ及びスクリーンショットである。なお、アーカイブページにおいては、印刷時に表示画面どおりに印刷ができなかったことから、念のために同ページのスクリーンショットを提出する。
乙2の4は、中央の画像内に示された、スマートフォンの表示画面の一つの中に、薄茶色に着色してやや図案化した、太く大きな文字で「Sands」の文字が表示されている。
(エ)被請求人のウェブサイト「サンズリワード・クラブ」(乙5)
乙5は、被請求人が、電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)をインターネット経由で提供している事実を示す、同社のウェブサイトのアーカイブの写しである。
当該ウェブサイトには、スマートフォン用アプリケーションソフトウェアのダウンロードの窓口となる、アップル社のウェブサイト「App Store」及びグーグル社のウェブサイト「Google Play」へのリンクが表示されている。
そして、乙5には、1ページ目の左上に、薄茶色に着色してやや図案化した、太く大きな文字で「Sands」の文字が表示されている。
(オ)我が国需要者による、アプリケーションソフトウェアのダウンロード実績に関する資料(乙6)
乙6は、同ホームページのリンク先であって、スマートフォン用アプリケーションソフトウェアのダウンロードの窓口となる、アップル社のウェブサイト「App Store」を通じて我が国の需要者に対して行われた、当該アプリケーションソフトウェアダウンロード数に関する、アップル社より提供された資料である。
乙6の1は、乙2に係る電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)「Sands Lifestyle」のダウンロード数を示すものである。
乙6の2は、乙3に係る電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)「Sands Macao Resort」のダウンロード数を示すものである。
乙6の3は、乙4に係る電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)「Sands Macao Resort」のダウンロード数を示すものである。
例えば、表における、横軸は、年月を表し、縦軸は、ダウンロード数を示している。
そして、乙6の1と2の下方には「Japan」にチェックが入っていることから、表に示された数字が、日本の需要者のダウンロード数であることを示している。同様に、乙6の3の上方には「Japan」にチェックが入っていることから、表に示された数字が、日本の需要者のダウンロード数であることを示している。
乙6は、要証期間外に作成されたものであるところ、各電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)のダウンロード数が、2020年1月以降、現在まで掲載されているものである。これは、要証期間において、本件商標を付した「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」を譲渡する取引が、我が国において、継続してなされていた事実を示すものである。
イ 使用商標
被請求人の提出する乙2から乙5に係る証拠に表示されている「Sands」と本件商標は、ともに「Sands」の文字を表したものであり、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標というべきものである。
乙2から乙5に係る証拠に表示されている「Sands」の文字は、薄茶色に着色してやや図案化された文字を使用してなるが、商標の使用は、対象に応じて適宜変更を加えて使用されるのが通常であり、使用商標において、その文字の表現方法に若干の差異があるとしても、いずれも「SANDS」の文字からなるものと無理なく認識され、「サンズ」という同一の称呼を生ずるから、出所表示機能自体に差異はない。
そして、使用商標「Sands」は、他の文字、例えば、「LIFESTYLE」(乙2)、「RESORTS MACAO」(乙3)、「REWARDS/LIFESTYLE」(乙4)、「SINGAPORE」(乙5)とともに表示しているものであるが、これらは、上下2段又は3段に配置され、文字の大きさ、書体を異にすることから、視覚上自ずと分離され、観念上も、各使用態様における、両文字を常に一体のものとして把握しなければならない格別の事情は存在しない。
むしろ、商取引においては、商号を表す標識又は代表的出所標識(使用商標における「Sands」)と、個別商標の併記が普通に行われるところ、「LIFESTYLE」(乙2)や「REWARDS/LIFESTYLE」(乙4)は個別商標であって、需要者にも無理なくそのように理解、把握される。
そして、「RESORTS MACAO」(乙3)、「SINGAPORE」(乙5)は、商品、役務の提供地を表すものであって、これらの文字単体では識別標識としての機能を果たし得ないものである。
よって、「SANDS」の文字からなる本件商標の出所表示機能は、上記各文字の付加によっても損なわれていない。
使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標である。
ウ 使用商品
乙2から乙5に係る証拠に掲載されている「ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア」は、「電子計算機用プログラム」と同一の商品であり、指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属するものである。
エ 使用行為
乙2の1から3、乙3の1及び2、乙4の1及び2、乙5の1及び2によれば、電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)の提供を行う被請求人の運営するウェブサイトに本件商標が使用されている。
乙2の4、乙3の3及び4には、被請求人の運営するウェブサイトのリンク先であって、電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)の提供の窓口となる、アップル社とグーグル社のウェブサイトにおいて、被請求人の提供するスマートフォン用アプリケーションソフトウェアのファビコンを示す、角を丸くした黒地四角形の枠内に本件商標が明示されていることから、需要者のスマートフォンの表示画面において、当該ゾフトウェアの起動に用いるファビコンにも本件商標が使用されている。
また、乙4の1、2及び4に表示された、スマートフォン(iPhone)のスクリーンショットの画像によれば、被請求人が提供する電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)を起動した際の表示画面の一部に、本件商標が使用されている。
これらの使用行為は、商標法第2条第3項第1号の「商品又は商品の包装に標章を付する行為」又は同項第8号の「商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
オ 使用時期、使用場所
乙2の1から3、乙3の1及び2、乙4の1及び2、乙5の1及び2は、被請求人によって作成又は頒布されたウェブサイトであって、日本語又は英語で記載されたものであり、いずれも要証期間(乙2につき、令和5年5月6日、同月26日、同年8月12日、乙3につき、同3年7月28日、同4年5月20日、乙4につき、同年12月5日、同5年3月21日、乙5につき、同3年10月20日、同4年1月6日)のものである。
乙3の3及び4、乙4の3及び4は、被請求人の運営するウェブサイトからリンクされている、スマートフォン用アプリケーションソフトウェアのダウンロードの窓口となるアップル社によって作成又は頒布されたウェブサイトであって、一部日本語で記載されたものである。これらは、いずれも要証期間(乙3につき、令和4年6月25日、乙4につき同5年1月3日)のものである。
乙2の4は、要証期間外に印刷されたものであるところ、「最終更新日2022/05/23」の記載があることから、要証期間に、インターネットを通じて閲覧が可能であったことが理解できる。
乙6は、要証期間外に作成されたものであるが、各電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)のダウンロード数が、2020年1月以降、現在まであった事実を示すものであるから、要証期間において、本件商標を付した「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」を譲渡する取引が、我が国において、継続してなされていた事実を示すものである。
よって、いずれの証拠も、要証期間内において、日本国内で本件商標が使用された事実を示す。
カ 使用者
被請求人は、自己が所有する、マカオ(中華人民共和国マカオ特別行政区)とシンガポールのリゾートホテル、カジノ場、ショッピングモール又はそれらの複合施設に関連して運営するウェブサイトを通じて「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」を提供している。
ところで、スマートフォン用アプリケーションソフトウェアは、アップル社のスマートフォン用オペレーションソフトウェア「iOS」とグーグル社の同ソフトウェア「Android」の2種類が存在し、そのダウンロードはそれら会社のシステムを通じてのみ行われているのが実情である。
このため、被請求人は、アップル社とグーグル社に対して、本件商標の使用を許諾していたことは明らかである。
よって、アップル社及びグーグル社は、被請求人の通常使用権者といえる。
キ 小括
以上より、要証期間において、本件商標の商標権者及び通常使用権者が、本件商標と同一の商標を、「電子応用機械器具及びその部品」について使用していた。
3 審尋に対する回答書
(1)被請求人の意見
乙2の4に係るアプリケーションソフトウェアの配信主体はSands China Ltd.である。このことは、乙2の4に表示された、当該アプリケーションソフトウェアのアイコンの右横に、「Sands Lifestyle」の文字が表示されており、その下部に当該アプリケーションソフトウェアの配信主体としてSands China Ltd.の略称である「Sands China」が表示されていることから、当該アプリケーションソフトウェアの配信主体がSands China Ltd.であることは明らかである。
Sands China Ltd.は、本件商標権者であるラスベガス サンズ コープの子会社である。Sands China Ltd.が本件商標権者の子会社であることを証明する資料として、同社のウェブサイトの会社情報ページ(乙7の1~4)及び米国証券取引委員会に提出されたラスベガス サンズ コープのアニュアルレポート別紙21.1を提出する(乙7の5、6)。
乙7の1は2022年2月28日当時のSands China Ltd.のウェブサイトの会社情報ページのアーカイブであり、当該ページに「我々は、ザ ベネチアン リゾート-ホテル-カジノ、ザ パラッゾ リゾート-ホテル-カジノ、ラスベガスのサンズ エキスポ アンド コンベンションセンター、シンガポールのマリーナ ベイ サンズ、サンズ カジノ リゾート ベツレヘム、米国ペンシルバニアの最初のゲーミングリゾートデスティネーションの親会社である、ラスベガス サンズ コープ(ニューヨーク証券取引所:LVS)の子会社です。」との記載がある。
乙7の3は2024年6月1日時点のSands China Ltd.のウェブサイトの会社情報ページであり、当該ページに「我々は、シンガポールのマリーナ ベイ サンズの親会社である、ラスベガス サンズ コープ(ニューヨーク証券取引所:LVS)の子会社です。」との記載がある。
乙7の5はラスベガス サン コープの2023年12月31日時点における主要子会社のリストであるが、当該リストにSands China Ltd.の記載がある。
これらの証拠から、少なくとも2022年2月28日時点においてSands China Ltd.がラスベガス サンズ コープの子会社であったことが立証され、また、2023年12月31日及び2024年6月1日時点においてもSands China Ltd.が、継続して、ラスベガス サンズ コープの子会社であったことが立証される。
そうすると、当該アプリケーションソフトウェアの最終更新日である2022年5月23日当時においても、Sands China Ltd.はラスベガス サンズ コープの子会社の関係にあったことは明らかである。そして、被請求人は、子会社であるSands China Ltd.に対し、本件商標の使用について黙示の使用許諾を与えていた。したがって、Sands China Ltd.は、本件商標の通常使用権者である。
以上より、当該アプリケーションソフトウェアの配信主体がSands China Ltd.であること、Sands China Ltd.が本件商標の通常使用権者であること、上記配信が本件商標の通常使用権者であるSands China Ltd.による使用行為であることが明らかとなった。
(2)弁駁書の主張に対する被請求人の意見
ア 弁駁書中の「要旨」について
請求人は、乙1から乙6で使用されている「Las Vegas Sands」、「Marina Bay Sands」、「Sands Lifestyle」、「Sands Resorts Macao」、「Sands REWARDS LIFESTYLE」、「Marina Bay Sands Singapore」は、全体として一つの商標として出所識別機能を発揮しており、「Sands」部分が単独で独立した商標として使用されている事実は見出せず、乙1から乙6より、本件商標と社会通念上同一の商標が使用された事実を読み取ることはできない旨主張している。
しかしながら、以下に詳述するとおり、乙1から乙6に示された各使用商標中の「Sands」の文字は、被請求人の商号を表す標識、及び、被請求人の子会社であり、我が国でも広く知られているシンガポールのホテル「マリーナベイ・サンズ」を運営する、Marina Bay Sands Pte.Ltd.、そして、マカオに所在する「サンズ・マカオ」等の施設を運営するSands China Ltd.等の商号において、統一的に使用している標識でもあり、各子会社が運営するホテル等施設の名称、関連商品、役務に統一的に使用されている代表的出所標識である。このため、「Sands」の文字部分が、それ単体で独立して自他商品等識別標識としての機能を発揮する商標といい得る。よって、乙1から乙6は、本件商標と社会通念上同一の商標が使用された事実を立証するものであるから、請求人の主張は失当である。
また、請求人は、乙1から乙6によっては、本件商標がその指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について、要証期間に使用されていたといえない旨主張している。
しかしながら、以下に詳述のとおり、乙1から乙6は本件商標と社会通念上同一の商標がその指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」と同一の商品である「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について、要証期間内に使用されていた事実を立証するものであるから、請求人の主張は失当である。
さらに、請求人は、乙3の1及び2、乙6については日本語の記載はなく、中国語、英語が記載されているのみで訳文もなく、日本で本件商標が使用されていることを示す証拠として不適切である旨主張している。
これを受けて、被請求人は、乙3の1及び2、乙6の日本語による抄訳を提出する(乙8、乙9の1及び2、乙10)。これにより、乙3の1及び2、乙6は日本で本件商標が使用されていることを示す証拠として適切なものとなった。
イ 弁駁書中の「被請求人が提出した使用証拠」について
被請求人は、乙号証に対する請求人の主張に対し、以下のとおり意見を申し述べる。
(ア)乙1について
乙1の立証趣旨は、被請求人がマカオ及びシンガポールのホテル関連施設を所有している事実である。被請求人は、本件商標の使用の事実を立証する証拠として乙1を提出したものではない。
(イ)乙2の1から4について
請求人は乙2の1から3の商標について、「Sands」と「LIFESTYLE」は同じ幅でまとまりよくカード状の画像に記載されており、全体として無理なくホテルの会員制サービス「Sands LIFESTYLE」(サンズ・ライフスタイル)の名称として読み取れるが、「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」についての使用とは読み取れない旨主張している。
しかしながら、乙2の1から3に表示されている使用商標「Sands」は、「LIFESTYLE」の文字とともに表示されているものであるが、これらは、上下2段に配置され、文字の大きさ、書体、彩色を異にすることから、構成上まとまりがよいとはいえず、外観上自ずと分離して看取され、観念上も、両文字を常に一体のものとして把握しなければならない格別の事情も見当たらない。また、「Sands」は、先に述べたとおり、被請求人及び子会社の商号を表す標識又はそれら被請求人の企業グループが統一的に使用している代表的出所標識である。商取引においては、代表的出所標識と個別商標の併記が普通に行われ、「LIFESTYLE」の文字部分は、需要者等にも無理なく個別商標のように理解、把握されるものである。
してみると、使用商標「Sands」に接する需要者等は、自他商品等識別標識としての機能を発揮する支配的な文字である「Sands」を独立した商標と認識するといえる。したがって、使用商標「Sands」は単独で独立した商標として使用されているといえる。
なお、使用商標「Sands」と本件商標は、ともに「Sands」の文字を表したものであり、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標というべきものである。
また、本件商標と社会通念上同一の商標が使用された事実があることは上述のとおりであり、この事実は、取引書類の一部において、仮に使用商標がホテルの会員制サービス「Sands LIFESTYLE」(サンズ・ライフスタイル)の名称として読み取れるとしても、このことによって影響を受けるものではない。
さらに、乙2の1から3は、アプリケーションソフトウェア(電子計算機用プログラム)のダウンロードのためのウェブサイトリンクを含むウェブページのアーカイブである。当該ウェブページには、スマートフォン用アプリケーションソフトウェアのダウンロードの窓口となる、アップル社のウェブサイト「App Store」及びグーグル社のウェブサイト「Google Play」へのリンクが表示されている。したがって、本件商標と社会通念上同一の商標「Sands」の使用は、「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について、商品に標章を付する行為(商標法第2条第3項第1号)、または、商品に関する広告等の取引書類を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為(同項第8号)についての使用といえる。
また、請求人は、「App Store」や「Google Play」のリンクは、「マリーナベイ・サンズ公式アプリ」と記載があることから、被請求人のホテル「「マリーナベイ・サンズ」の公式な「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」」をダウンロードするために表示されたものであり、「マリーナベイ・サンズ」がホテルの名称として使用されている事実は読み取れるものの、本件商標「SANDS」が「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について使用されている事実は読み取れない旨主張している。
しかしながら、本件商標と社会通念上同一の商標が使用された事実があることは上述のとおりであり、この事実は、仮に取引書類の一部において「マリーナベイ・サンズ公式アプリ」との記載があったとしても、このことによって影響を受けるものではない。被請求人の「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」をダウンロードすることができる「App Store」や「Google Play」へのリンクを有する被請求人ウェブサイトにおいて、本件商標と社会通念上同一の商標「Sands」が表示されている以上、本件商標が「電子応用機械器具及びその部品」と同一の商品である「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について使用されているというべきである。
以上より、乙2の1から3より、本件商標と社会通念上同一の商標「Sands」が「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について、商品に標章を付する行為(商標法第2条第3項第1号)、又は商品に関する広告等の取引書類を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為(同項第8号)について使用されていたといえる。
請求人は、乙2の4は、記事の上部に「Sands Lifestyle-Google Play のアプリ」と記載されていることから、「Google Play のアプリ」である「Sands Lifestyle」という内容が読み取れる旨主張している。
しかしながら、本件商標と社会通念上同一の商標が使用された事実があることは上述のとおりであり、この事実は、取引書類の一部において、「Sands Lifestyle-Google Play のアプリ」との記載があることによって影響を受けるものではない。
乙2の4は、「Google Play」のウェブサイトにおける電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)の配信ページであって、「Sands」の文字を特別顕著に表示するアイコンが表示されていることから、本件商標と社会通念上同一の商標「Sands」が「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について使用されていたといえる。
また、請求人は、図案化した「Sands」の下部には「Sands」と同じ幅で「LIFESTYLE」の文字がまとまりよく配置されており、かつ、このアイコン右横には二段書きで上段に大きく「Sands Lifesty1e」、下段に小さく「Sands China」と記載されていることから、このアプリの名称は無理なく「Sands Lifestyle」であると読み取れ、さらに「このアプリについて」と説明された箇所において、「私たちのサンズライフスタイルアプリでは、マカオヘの旅行を・・・」との記載があることからも、このアプリの名称は「サンズライフスタイル」であると認識するのが自然である。このように、「Sands Lifestyle」、「サンズライフスタイル」は、全体として一つの商標として出所識別機能を発揮している。「Sands」は「Sands Lifestyle」「サンズライフスタイル」の一部を構成する文字にすぎず、「Sands」の部分のみを取り出して、この部分が単独で独立した商標として使用されているということはできない旨主張している。
しかしながら、乙2の4に表示されている「Sands」は、「金沙時尚」及び「LIFESTYLE」の文字とともに表示されているものであるが、これらは上下3段に配置され、文字の大きさ、書体を異にすることから、構成上まとまりがよいとはいえず、外観上分離して看取される。また、「Sands」は被請求人の商号を表す標識又は代表的出所標識であり、商取引においては、代表的出所標識と個別商標の併記が普通に行われることから、「金沙時尚」、「LIFESTYLE」の各文字部分は、需要者等にも無理なく個別商標のように理解、把握されるものであるから、使用商標「Sands」に接する需要者等は、「Sands」を独立した商標と認識するといえる。したがって、使用商標「Sands」は単独で出所識別機能を発揮しており、「Sands」は単独で独立した商標として使用されているといえる。
なお、使用商標「Sands」と本件商標は、ともに「Sands」の文字を表したものであり、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標というべきものである。
また、本件商標と社会通念上同一の商標が使用された事実があることは上述のとおりであり、この事実は、取引書類の一部において、「私たちのサンズライフスタイルアプリでは、マカオヘの旅行を・・・」との記載があることによって影響を受けるものではない。
以上より、乙2の4から、本件商標と社会通念上同一の商標「Sands」が「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について、商品に標章を付する行為(商標法第2条第3項第1号)、商品に関する広告等を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為について使用されていたといえる。
(ウ)乙3の1から4について
請求人は、乙3の1及び2は、スマートフォンの画面には日本語はみられず、我が国の需要者向けのアプリケーションソフトウェアであるか否か不明であり、かつ、日本国内の表示であるかも不明であり証拠として不適切である旨主張している。
これを受けて、被請求人は乙3の1及び2の日本語による抄訳を提出する(乙9の1及び2)。これにより、乙3の1及び2は証拠として適切なものとなった。
請求人は、乙3の1及び2のアイコンの表示がやや不鮮明で中央部の語頭の文字は、「S」又は数字の「8」の左側が切れているように認識でき、必ずしも大文字「S」とは認識できず、また、この左上に当該ロゴが表示されているだけであって、この表示が「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について使用されている事実は読み取れない旨主張している。
これを受けて、被請求人は当該アイコンを明瞭に表示する拡大図を提出する(乙9の3)。これにより、当該アイコンが本件商標と社会通念上同一の商標「Sands」を表すものであることが明らかとなった。
乙3の1及び2は、アプリケーションソフトウェア(電子計算機用プログラム)のダウンロードのためのウェブサイトリンクを含むウェブページのアーカイブである。当該ウェブページには、スマートフォン用アプリケーションソフトウェアのダウンロードの窓口となる、アップル社のウェブサイト「App Store」及びグーグル社のウェブサイト「Google Play」へのリンクが表示されている。したがって、本件商標と社会通念上同一の商標「Sands」の使用は、「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について、商品に標章を付する行為(商標法第2条第3項第1号)、又は商品に関する広告等を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為についての使用といえる。
また、請求人は、乙3の1及び2にはQRコードと見られる白及び黒の四角形の図形模様が記載されているが、その中には図形が表示されているのみであり、この表示のみでは、何に使用されているのか不明である。また、「Sands」と思しき文字の下には同じ幅で「RESORTS MACAO」の文字が記載されており、このロゴは「Sands」単体で使用されていたとはいえない旨主張している。
乙3の1及び2は、「Apple Store」上のアプリケーションソフトウェアの配信ページヘリンクするためのQRコードであり、当該QRコードにはアイコンが埋め込まれている。当該アイコンの使用は「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」についての使用(商標法第2条第3項第2号又は同項第8号)である。
当該アイコンの「Sands」は、漢字及び「RESORTS MACAO」の文字とともに表示されているものであるが、これらは上下3段に配置され、文字の大きさ、書体を異にすることから、構成上まとまりがよいとはいえず、外観上自ずと分離して看取され、観念上も、両文字を常に一体のものとして把握しなければならない格別の事情も見当たらない。また、「Sands」は被請求人及び子会社の商号を表す標識又はそれら被請求人の企業グループが統一的に使用している代表的出所標識である。商取引においては、代表的出所標識と個別商標の併記が普通に行われることから、漢字部分は、需要者等にも無理なく個別商標のように理解、把握される。なお、「RESORTS」「MACAO」の各文字は、商品、役務の提供地を表すものと理解、把握される可能性が高く、これらの文字単体では識別標識としての機能を発揮できない。このため、使用商標「Sands」に接する需要者は、自他商品等識別標識としての機能を発揮する支配的な文字である「Sands」を独立した商標と認識するといえる。したがって、当該ロゴの「Sands」は単独で独立した商標として使用されている。
また、請求人は、乙3の3及び4は、図形が表示されており、このアイコンの右横に横一連で「Sands Resorts Macao」の記載があることから、このアイコンが使用されているアプリの名称は「Sands Resorts Macao」であることが自然に読み取れる。また、このアイコン内にも「(漢字7文字)/Sands/RESORTS MACAO」(三段書き)の記載がされていることからもアプリの名称が「Sands Reserts Macao」であることが認識できる。乙3の3の上部には「「Sands Resorts Macao」をApp Storeで」という記載があり、この記載からもこのアプリの名称は「Sands Resorts Macao」であることが認識できる旨主張している。
しかしながら、乙3の3及び4に表示されているアイコンにおいて、「Sands」は、漢字及び「RESORTS MACAO」の文字とともに表示されているものであるが、これらは上下3段に配置され、文字の大きさ、書体を異にすることから、構成上まとまりがよいとはいえず、外観上分離して看取される。また、「Sands」は被請求人の商号を表す標識又は代表的出所標識であり、商取引においては、代表的出所標識と個別商標の併記が普通に行われることから、漢字部分は、需要者等にも無理なく個別商標のように理解、把握される。なお、「RESORTS」、「MACAO」の各文字は、商品、役務の提供地を表すものと理解、把握される可能性が高く、これらの文字単体では識別標識としての機能を発揮できない。このため、使用商標「Sands」に接する需要者は、自他商品等識別標識としての機能を発揮する支配的な文字である「Sands」を独立した商標と認識するといえる。したがって、当該ロゴの「Sands」は単独で独立した商標として使用されている。
なお、使用商標「Sands」と本件商標は、ともに「Sands」の文字を表したものであり、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標である。
また、本件商標と社会通念上同一の商標が使用された事実があることは上述のとおりであり、この事実は、取引書類の一部において、「「Sands Resorts Macao」をApp Storeで」との記載があることによって影響を受けるものではない。
以上より、乙3の1及び2は証拠として適切であり、また、乙3の1から4より本件商標と社会通念上同一の商標「Sands」が使用されていたといえる。
(エ)乙4の1から4について
請求人は、乙4の1及び2に係るロゴには、本件商標である「SANDS」は単独で表示されていない。この画像の下部には、「サンズリワード会員アカウントにログインまたは無料会員登録していただくと・・・」という記載がある。かかる記載から「Sands REWARDS(サンズリワード)」は全体としてマリーナベイ・サンズホテルの会員制サービスの名称であることが読み取れ、「Sands」は特段分離して認識されない旨主張している。
しかしながら、乙4の1及び2に表示されている「Sands」は、「REWARDS」、「LIFESTYLE」の文字とともに表示されているものであるが、これらは上下3段に配置され、文字の大きさ、書体、色彩を異にすることから、構成上まとまりがよいとはいえず、外観上自ずと分離して看取され、観念上も、両文字を常に一体のものとして把握しなければならない格別の事情も見当たらない。また、「Sands」は被請求人及び子会社の商号を表す標識又はそれら被請求人の企業グループが統一的に使用している代表的出所標識である。商取引においては、代表的出所標識と個別商標の併記が普通に行われることから、「REWARDS/LIFESTYLE」の文字部分は、需要者等にも無理なく個別商標のように理解、把握される。このため、当該ロゴの「Sands」に接する需要者は、「Sands」を独立した商標と認識するといえる。したがって、当該ロゴの「Sands」は単独で独立した商標として使用されているといえる。
請求人は、乙4の3には王冠と思しき図形のアイコンの横に「Marina Bay Sands Singapore」との記載があるのみで、「Sands」単独の記載はない。また、ページ上部に「「Marina Bay Sands Singapore」をApp Storeで」と記載があることから、王冠と思しきアイコンが使用されているアプリの名称は「Marina Bay Sands Singapore」であることが読み取れる。「Marina Bay Sands Singapore」は全体として一つの商標と読み取れ、ここから「Sands」の文字のみが取り出されて単独で独立した商標として使用されていたとはいえない旨主張している。
しかしながら、乙4の3はアップル社のウェブサイト「App Store」内、ソフトウェアのダウンロードページのアーカイブであるが、印刷時に表示画面どおりに印刷ができなかったものである。同ページのスクリーンショットを乙4の4で提出している。そして、本件商標と社会通念上同一の商標が使用された事実があることは上述のとおりであり、この事実は、取引書類の一部において、「「Marina Bay Sands Singapore」をApp Storeで」との記載があることによって影響を受けるものではない。
請求人は、乙4の4の「Sands REWARDS」は全体としてマリーナベイ・サンズホテルの会員制サービスの名称であり、「Sands」は特段分離しない旨主張している。
しかしながら、マリーナベイ・サンズホテルは、被請求人の子会社であるMarina Bay Sands Pte.Ltd.が運営する、シンガポールにありながら我が国でも著名なホテル「マリーナベイ・サンズ」を示すものであり、使用商標中の「Sands」の文字は、被請求人の各子会社が運営するホテル等施設の名称、関連商品、役務に統一的に使用されている代表的出所標識であるから、同一の出所を示すものである。そして、乙4の4に表示されている「Sands」が、「REWARDS/LIFESTYLE」の文字とともに表示されているとしても、これらは上下3段に配置され、文字の大きさ、書体、色彩を異にすることから、構成上まとまりがよいとはいえず、外観上自ずと分離して看取され、観念上も、両文字を常に一体のものとして把握しなければならない格別の事情も見当たらない。また、「Sands」は被請求人及びその子会社Marina Bay Sands Pte.Ltd.の商号を表す標識又は「マリーナベイ・サンズ」ホテルを含む被請求人の各子会社が運営するホテル等施設の名称、関連商品、役務に統一的に使用されている代表的出所標識である。商取引においては、代表的出所標識と個別商標の併記が普通に行われ、「REWARDS/LIFESTYLE」は、需要者等にも無理なく個別商標ように理解、把握されるものである。このため、当該ロゴの「Sands」に接する需要者等は、自他商品等識別標識としての機能を発揮する支配的な文字である「Sands」を独立した商標と認識するといえる。したがって、当該ロゴの「Sands」は単独で独立した商標として使用されているといえる。
なお、使用商標「Sands」と本件商標は、ともに「Sands」の文字を表したものであり、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標である。
また、乙4の「Sands」はアプリケーションソフトウェアの配信ページ内で使用されていることから、「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について使用されていたといえる。
以上より、乙4の1、2及び3から、本件商標と社会通念上同一の商標「Sands」が「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について、商品に標章を付する行為(商標法第2条第3項第1号)、又は商品に関する広告等を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為について使用されていたといえる。
(オ)乙5の1及び2について
請求人は、ロゴは、「Sands」と思しき部分の書体及び色彩は他の文字と異なるが、このロゴ全体で「MARINA BAY SANDS SINGAPORE」という請求人のホテルを表す商標として使用されており、ここから「Sands」部分が単独で独立した商標として使用されていたことは読み取れない。また、このロゴはホテルを表す表示として使用されており、「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」の名称としては使用されていない旨主張している。
しかしながら、当該ロゴの「Sands」は、「MARINA BAY」及び「SINGAPORE」の文字とともに表示されているものであるが、これらは文字の大きさ、書体、色彩を異にすることから、構成上まとまりがよいとはいえず、外観上分離して看取される。また、「Sands」は被請求人の商号を表す標識又は代表的出所標識であり、「MARINA BAY」は当該ロゴの「Sands」と併記されて「マリーナベイ・サンズ」ホテルを示すものであるが、「マリーナベイ・サンズ」ホテルは、被請求人の子会社が運営し、我が国でも著名なホテルを示すことから、同一の出所を示すものである。なお、「SINGAPORE」は、商品、役務の提供地を表すものであって、これらの文字単体では識別標識としての機能を果たし得ないものである。このため、当該ロゴの「Sands」に接する需要者等は、自他商品等識別標識としての機能を発揮する支配的な文字である「Sands」を独立した商標と認識するといえる。したがって、当該ロゴの「Sands」は単独で独立した商標として使用されていたといえる。
なお、使用商標「Sands」と本件商標は、ともに「Sands」の文字を表したものであり、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標である。
また、本件商標と社会通念上同一の商標が使用された事実があることは上記のとおりであり、この事実は、取引書類の一部において、「MARINA BAY SANDS SINGAPORE」という請求人のホテルを表す商標としての使用があることによって影響を受けるものではない。
そして、当該ロゴは、被請求人のスマートフォン用アプリケーションソフトウェアのダウンロードの窓口となる、アップル社のウェブサイト「App Store」及びグーグル社のウェブサイト「Google Play」へのリンクが表示されているウェブサイト上に表示されている。したがって、当該ロゴの「Sands」の使用は、「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について、商品に標章を付する行為(商標法第2条第3項第1号)、又は商品に関する広告等を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為(同項第8号)についての使用といえる。
また、請求人は、「App Store」や「Google Play」のリンクは、「・・・マリーナベイ・サンズ公式アプリが登場!」との記載から、被請求人のホテル「マリーナベイ・サンズ」のアプリをダウンロードするために表示されたものであることが読み取れ、ホテルの名称として「マリーナベイ・サンズ」が使用されているが、本件商標「SANDS」が「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」の名称として使用されている事実は読み取れない旨主張している。
しかしながら、使用商標「Sands」と本件商標は、ともに「Sands」の文字を表したものであり、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標であること、本件商標と社会通念上同一の商標が使用された事実があることは上述のとおりであり、この事実は、取引書類の一部において「・・・マリーナベイ・サンズ公式アプリが登場!」との記載があることによって影響を受けるものではない。
「App Store」や「Google Play」のリンクは、当該ロゴがヘッダー部分に表示されているウェブページ上にあることから、当該ロゴの「Sands」は「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について使用されていたといえる。
以上より、乙5の1及び2から、本件商標と社会通念上同一の商標「Sands」が「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について使用されていたといえる。
(カ)乙6の1から3について
請求人は、乙6は、折れ線グラフの内容が何を意味するのか英語のみが記載されており、被請求人による訳文も添付されていないため、証拠として不適切である旨主張している。
これを受けて、被請求人は、乙6の日本語による抄訳を提出する(乙10)。これにより、乙6が被請求人のアプリケーションソフトウェアの日本国内でのダウンロード数に係る資料であることが明らかとなった。
また、請求人は、「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」の名称としては、乙6の1には「Snads Lifestyle」の表示、乙6の2には「Sands Resorts Macao」の表示、乙6の3には「Marina Bay Sands Singapore」の表示は読み取れるものの、本件商標「SANDS」は単独では表示されていない。また、乙6にある表示「Sands Lifestyle」、「Sands Resorts Macao」、「Marina BaySands Singapore」は、それぞれ全体として一つの商標であると認識でき、各商標の態様から「Sands」単独で独立した商標として読み取ることもできない旨主張している。
乙6の1から3は、乙2、乙3、乙5に示される各アプリケーションソフトウェアの日本国内におけるダウンロード数に関する資料であるが、アップル社から提供されたものであり、被請求人は資料の作成に関与していない。
さらに、請求人は、被請求人自身も答弁書において、「乙6の1は、乙2に係る電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)「Sands Lifestyle」のダウンロード数を示すものである」、と記載しており、電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)の名称は「Sands」ではなく、「Sands Lifestyle」であることを認めており、この被請求人の答弁書の記載をみても、「Sands Lifestyle」は全体として一つの商標であることは間違いない旨主張している。
しかしながら、仮にアプリの名称が「Sands Lifestyle」であるとしても、上記で詳述したとおり、乙2の1から3に表示されている「Sands」は、「LIFESTYLE」の文字とともに表示されているものであるが、これらは上下2段に配置され、文字の大きさ、書体、彩色を異にすることから、構成上まとまりがよいとはいえず、外観上分離して看取されるといえる。また、「Sands」は被請求人及び子会社の商号を表す標識又は代表的出所標識であり、「LIFESTYLE」は個別商標であって、需要者にも無理なくそのように理解、把握されるものと思料する。このため、乙2の1から3の「Sands」に接する需要者等は、自他商品等識別標識としての機能を発揮する支配的な文字である「Sands」を独立した商標と認識するといえる。
また、乙2の4に表示されている使用商標「Sands」は、「金沙時尚」及び「LIFESTYLE」の文字とともに表示されているものであるが、これらは上下3段に配置され、文字の大きさ、書体を異にすることから、構成上まとまりがよいとはいえず、外観上分離して看取されるといえる。また、「Sands」は被請求人及び子会社の商号を表す標識又は代表的出所標識であり、「金沙時尚」と「LIFESTYLE」は個別商標であって、需要者にも無理なくそのように理解、把握されるものと思料する。このため、乙2の4の「Sands」に接する需要者等は、自他商品等識別標識としての機能を発揮する支配的な文字である「Sands」を独立した商標と認識するといえる。
以上より、乙6の1から3は証拠として適切である。また、乙6の1から3は乙2、乙3、乙5に示される各アプリケーションソフトウェアの日本国内におけるダウンロード数に関する資料であることが明らかになり、これは商品に関する広告等の取引書類を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為(商標法第2条第3項第8号)といえるのであり、乙6の1から3より本件商標と社会通念上同一の商標「Sands」が使用されていたといえる。
ウ 被請求人の使用商標について
請求人は、乙号証に記載されたロゴ部分「Sands」を検討すると、「d」の縦線が特徴的に上方から左方向に湾曲して伸びていることから直ちに「d」と看取するとは限らず、例えば「Sanos」と読み取る場合も容易に想定できる。したがって、ここまで図案化されたロゴ部分から、「Sands」の文字からなると無理なく認識され、「Sands」の使用であるとする被請求人の主張は認められない旨主張している。
しかしながら、通常「o」は上方に伸びる線を有しないから、「Sands」の「d」の縦線が特徴的に上方から左方向に湾曲して伸びているとしても、請求人が主張するように「Sanos」と読み取る場合が容易に想定できるとはいえない。
また、請求人は、仮に乙号証におけるロゴ部分が欧文字「Sands」と認識できたとしても、「Sands」は乙号証にある各商標の一部として使用されているにすぎず、「Sands」が独立した商標として使用されている事例は見当たらない。乙号証において使用されている態様から、被請求人が個別商標と主張する「LIFESTYLE」や「REWARDS\LIFESTYLE」及び、商品、役務の提供地を表すと主張する「RESORTS MACAO」や「SINGAPORE」が捨象されて、「Sands」のみが抽出されて独立した商標として認識されている事実は全く読み取れない旨主張している。
しかしながら、上述のとおり、使用商標「Sands」は、他の文字、例えば、「LIFESTYLE」(乙2)、「RESORTS MACAO」(乙3)、「REWARDS/LIFESTYLE」(乙4)、「SINGAPORE」(乙5)とともに表示しているものであるが、これらは上下2段又は3段に配置され、文字の大きさ、書体を異にすることから、構成上まとまりがよいとはいえず、外観上自ずと分離して看取され、観念上も、両文字を常に一体のものとして把握しなければならない格別の事情も見当たらない。
また、「Sands」は、被請求人及び子会社の商号を表す標識又はそれら被請求人の企業グループが統一的に使用している代表的出所標識である。商取引においては、代表的出所標識と個別商標の併記が普通に行われ、「LIFESTYLE」(乙2)や「REWARDS/LIFESTYLE」(乙4)は、個別商標といえるものであって、需要者にも無理なくそのように理解、把握されるものである。このため、乙号証の「Sands」に接する需要者等は、自他商品等識別標識としての機能を発揮する支配的な文字である「Sands」を独立した商標と認識する。したがって、乙号証の「Sands」は単独で独立した商標として使用されていたといえる。
以上より、乙号証に示されている「Sands」は、本件商標「SANDS」と社会通念上同一の商標であるといえる。
エ 被請求人の使用商品について
請求人は、乙号証に示された商標が使用されていた対象は、「ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア」とは読み取れなかった旨主張している。
しかしながら、上述のとおり、乙号証に示された商標が使用されていた対象は、「ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア」であり、商品に標章を付する行為(商標法第2条第3項第1号)、商品に関する広告等の取引書類を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為(同項第8号)について使用されていたといえる。
「ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア」は、「電子計算機用プログラム」と同一の商品であり、指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属するものである。
オ 被請求人の使用行為について
請求人は、乙号証には本件商標「SANDS」単独の記載はなく、証拠において使用された表示の態様をみても、本件商標「SANDS」と社会通念上同一の商標は使用されていない旨主張している。
しかしながら、繰り返し述べたとおり、乙号証で示された使用態様においては「Sands」のみが特別顕著な商標として抽出されて、独立した商標として使用されているというべきである。また、乙号証の「Sands」は本件商標「SANDS」と社会通念上同一の商標といえるため、乙号証では本件商標「SANDS」が使用されているといえる。
また、請求人は、乙2の1から3は、ホテルの会員制サービスの名称として、乙3の1及び2は、使用対象が不明で証拠として不適切、乙4の1及び2は、「マリーナベイ・サンズ」がホテルの名称として、乙5の1及び2は、MARINA BAY SANDS SINGAPORE ホテルのロゴとして、それぞれ商標が使用されており、電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)について使用されているとはいえない旨主張している。
しかしながら、上述のとおり、乙3の1及び2は証拠として適切であり、それら証拠からは、本件商標と社会通念上同一の商標が使用された事実が証明されることは上記のとおりである。この事実は、取引書類の一部において、「マリーナベイ・サンズ」がホテルの名称として使用されていること、「MARINA BAY SANDS SINGAPORE」という請求人のホテルを表す商標としての使用があること等によって影響を受けるものではない。しかも、「マリーナベイ・サンズ」ホテルは、被請求人の子会社が運営し、我が国でも著名なホテルを示すことから、同一の出所を示すものである。
また、乙号証に示された「Sands」が使用されていた対象は、「ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア」について、商品に標章を付する行為(商標法第2条第3項第1号)、又は商品に関する広告等の取引書類を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為(同項第8号)について使用されていたといえる。
請求人は、被請求人の主張するファビコンにはロゴ化された「Sands/LIFESTYLE」、「Sands/RESORTS MACAO」の記載があり、「Sands」と思しきロゴは読み取れるが、これらは「Sands Lifestyle」アプリや「Sands Resorts Macao」アプリにそれぞれ使用されており、ファビコンからは「Sands」と読み取れたとしても、「Sands Lifestyle」や「Sands Resorts Macao」といったアプリの名称で取引されるのが通常である。したがって、被請求人が提出した乙号証のファビコンから生じるアプリの名称は「Sands Lifestyle」や「Sands Resorts Macao」であって、「Sands」単体ではない。そのことは、ファビコン自体にもアプリの名称「Sands/LIFESTYLE」や「Sands/RESORTS MACAO」が記載されていることからも明らかであり、その配置上「Sands」が大きく表示されてはいるが、ファビコンから商品名として「Sands」部分が分離抽出されて取引されることは考え難い。よって、「Sands」は独立して出所識別標識として「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」に使用されているとはいえない旨主張している。
しかしながら、上述のとおり、使用商標「Sands」は、他の文字、例えば、「LIFESTYLE」(乙2)、「RESORTS MACAO」(乙3)、「REWARDS/LIFESTYLE」(乙4)、「SINGAPORE」(乙5)とともに表示しているものであるが、これらは上下2段又は3段に配置され、文字の大きさ、書体を異にすることから、構成上まとまりがよいとはいえず、外観上自ずと分離して看取され、観念上も、両文字を常に一体のものとして把握しなければならない格別の事情も見当たらない。
また、「Sands」は被請求人及びその子会社の商号を表す標識又は被請求人の各子会社が運営するホテル等施設の名称、関連商品、役務に統一的に使用されている代表的出所標識である。商取引においては、代表的出所標識と個別商標の併記が普通に行われ「LIFESTYLE」(乙2)、「RESORTS MACAO」(乙3)や「REWARDS/LIFESTYLE」(乙4)は個別商標といえるものであって、需要者にも無理なくそのように理解、把握されるものである。なお、「SINGAPORE」(または「RESORTS」「MACAO」)は、商品、役務の提供地を表すものであって、これらの文字単体では識別標識としての機能を発揮できないものである。このため、乙号証の「Sands」に接する需要者は、それを独立した商標と認識するといえる。
そして、使用商標「Sands」と本件商標は、ともに「Sands」の文字を表したものであり、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから、本件商標と使用商標は、社会通念上同一の商標というべきものである。
さらに、本件商標と社会通念上同一の商標が使用された事実があることは上記のとおりであり、この事実は、仮に、取引書類の一部から、アプリの名称が「Sands Lifestyle」や「Sands Resorts Macao」で読み取れる場合があるとしても、そのことによって影響を受けるものではない。
したがって、乙号証の「Sands」は独立して出所識別標識として「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について、商品に標章を付する行為(商標法第2条第3項第1号)、又は商品に関する広告等を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為(同項第8号)について使用されていたといえる。
また、請求人は、乙4の1、2及び4について、被請求人が主張する表示画面に表示された商標は、「Sands REWARDS」というホテルの会員サービスの名称として使用されているのが読み取れるが、「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」の名称としては使用されていない旨主張している。
しかしながら、当該商標からは使用商標「Sands」のみが抽出されて独立した商標として認識されるというべきであり、また使用商標「Sands」はアプリの配信ページ上に表示されていることから、「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」について、商品に関する広告等を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為(商標法第2条第3項第8号)について使用されていたといえる。
以上より、乙号証より被請求人が「電子計算機用プログラム(ダウンロード可能なスマートフォン用アプリケーションソフトウェア)」に本件商標「SANDS」と社会通念上同一の商標「Sands」を使用していたといえるため、商標法第2条第3項第1号の「商品又は商品の包装に標章を付する行為」又は同項第8号の「商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」は乙号証によって立証されたといえる。
カ 被請求人の商標の使用場所について
請求人は、乙3の1及び2については、日本語の記載は一切なく、画像が表示されているスマートフォンの画面には、中国及び英語の標記のみが記載されており、到底日本国内で使用されたものとはいえず、証拠として不適切である旨主張している。
また、乙6については、折れ線グラフの内容が何を意味するのか英語の説明のみが記載されており、被請求人による訳文も添付されていないため、証拠として不適切である旨主張している。
これを受けて、請求人は、乙3の1及び2、乙6の日本語による抄訳を提出する(乙9の1及び2、乙10)。
これにより、乙号証のいずれもが日本国内で本件商標が使用された事実を示すものであることが明らかになった。
(3)外国語で記載された乙号証について
外国語で記載された乙号証(乙1、乙3の1及び2、乙6)について、日本語による抄訳を提出する(乙8、乙9の1及び2、乙10)。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)ア 本件商標権者は、「サンズ マカオ」、「マリーナ ベイ サンズ」などのリゾートホテル、カジノ場、ショッピングモール又はそれら複合施設の運営を通じて、各種商品とサービスを提供している(被請求人の主張、乙1、乙8)。
イ 「サンズ チャイナ リミテッド」(以下「本件使用者」という。)は、本件商標権者の子会社であり、「サンズ マカオ」の施設運営をしている(乙7の6、被請求人の主張)。
ウ 本件商標権者は、本件使用者に対し、本件商標の使用について黙示の許諾を与えていた(被請求人の主張)。
(2)「Google Play」のウェブサイト(2023年10月2日印刷)において、「Sands China」が提供する「Sands Lifestyle」と称するアプリの紹介記事には、別掲のとおり、中央に「Sands」の文字を装飾した書体で表してなる商標(以下「本件使用商標」という。)を含むアイコンが表示されており、「このアプリについて」の項に「サンズリゾーツマカオで楽しい休暇をお楽しみください!私たちのサンズライフスタイルアプリでは、マカオへの旅行を最大限に活用できます。高級ホテルや特製レストランから、デザイナーブランドの人気のアトラクションやコレクションまで、必見の場所や人気の観光スポットをすぐに見つけることができます。」の記載が、「最終更新日」の項に「2022/05/23」の記載がある(乙2の4)。
2 上記の認定事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)本件使用者は、本件商標権者の子会社として「サンズ マカオ」なるリゾートホテルの施設運営に関与するなど、グループ関係や事業関係があることを踏まえると、本件商標権者が本件使用者に対し、本件商標の使用について黙示の許諾を与えていると理解することに特段の支障はなく、本件商標の通常使用権者といえる。
(2)本件使用者は、マカオ旅行の観光スポットの検索を補助するスマートフォン向けアプリ、つまり、本件請求商品中「電子応用機械器具」の範ちゅうにある商品を、オンライン配信事業者(Google Play)を通じて配信している。
(3)上記アプリは、2022年5月23日に配信画面が最終更新されているから、要証期間である同時期においてダウンロード可能な状態にあったと考えられる。
(4)ア 上記アプリの配信画面にアイコンとして表示されている本件使用商標は、本件商標「SANDS」とは、書体を異にするものの、構成文字を共通にするから、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であり、社会通念上同一の商標と認められる。
イ 請求人は、別掲のアイコンは、図案化した「Sands」の下部に同じ幅で「LIFESTYLE」の文字がまとまりよく配置されており、このアプリの名称は無理なく「Sands Lifestyle」と読み取れるから、全体として一つの商標として出所識別機能を発揮しており、「Sands」部分のみを取り出して、それが単独で独立した商標として使用されているとはいえない旨を主張する。
しかしながら、別掲のアイコンは、上部の漢字の下に本件使用商標「Sands」と「LIFESTYLE」の文字が、段を異にし、文字の大きさ及び書体が著しく相違する、視覚上分離した印象を与える態様で表示されており、また、各文字を結合して具体的な意味を有する成語となるものではなく、観念上の特段のつながりもないから、漢字部分、本件使用商標及び「LIFESTYLE」の文字がそれぞれ独立した構成文字として表示されていると看取できる。
そして、当該アイコンの中央部に目立つ態様で表示されている本件使用商標「Sands」は、本件商標権者や本件使用者が経営に関与するホテルの名称にも通じるもので、出所識別標識として他の文字部分からは分離、独立した構成要素であるとの印象を与えるものである。
そうすると、上記アのとおり、別掲のアイコンに表示された本件使用商標により、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されたといえる。
(5)以上を踏まえると、本件商標の通常使用権者(本件使用者)は、要証期間(2022年5月23日頃)に、日本国内において、本件請求商品中「電子応用機械器具」の範ちゅうの商品(アプリ)に関する広告を内容とする情報(配信画面)に、本件商標と社会通念上同一の本件使用商標を付して、電磁的方法により提供していた(商標法第2条第3項第8号)と認められる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、通常使用権者が、本件請求商品に含まれる商品について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の本件請求商品についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-300573