商標取消審判
2023-300404
フドーシン
- 審判番号
- 2023-300404
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2003-043892
- 登録番号
- 4727548
- 請求日
- 2023年06月15日
- 審決日
- 2025年03月27日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】小高 芳宗
- 【請求人代理人】正林 真之
- 【請求人代理人】林 栄二
- 【被請求人】城本 健司
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 雅也
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- T131 .1 -Y (Y16)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第2号、商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項第1号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4727548号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第4727548号商標(以下「本件商標」という。)は、「不動心」の文字を標準文字で表してなり、平成15年5月29日に登録出願、第16類「文房具類,紙類」を指定商品として同年11月21日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和5年7月3日になされたものであり、この登録前3年以内の期間(令和2年7月3日~令和5年7月2日)を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書、令和5年9月13日付け(令和5年9月14日差出)審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年11月10日付け審判事件弁駁書及び同7年1月22日付け意見書(以下「意見書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
なお、以下、証拠の表記に当たっては、甲第1号証を「甲1」、乙第1号証を「乙1」のように省略して表示する場合がある。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)はじめに
不使用による商標登録取消審判においては、商標法第50条第2項の規定により、被請求人は、要証期間内に日本国内において、その請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについて、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標と同一の商標を使用していることを証明しなければならないのであって、その証明ができない場合は、商標登録の取消しを免れない。
しかし、本件商標の使用の証明においては、少なくとも、以下の(2)以降の事項が証明されたということはできないから、被請求人が提出した乙各号証によっては、商標法第50条第2項に規定する商標の使用の証明がされたということはできない。
したがって、本件商標の商標登録は、取消しを免れない。
(2)通常使用権の許諾について
被請求人は、答弁書において、乙第1号証を提出して、商標権者は、本件商標について、広島筆産業株式会社(以下「広島筆産業社」という。)に通常使用権を許諾している旨主張している。
しかし、乙第1号証は、本件審判請求の登録後の2023年8月3日付けをもって、「通常使用権者」として広島筆産業社の名称を記載し、商標権者が同社に通常使用権を許諾していることに相違ない旨を記述した「通常使用権許諾証書」なる書面にすぎない。
すなわち、乙第1号証は、本件審判請求がなされたことを知った後になって、商標権者が、自身が代表取締役をしている会社に通常使用権を許諾したと一方的に陳述しているにすぎないのであって、要証期間内に商標権者と広島筆産業社の両当事者間で、本件商標の通常使用権の許諾契約があったことを証明しているとはいい難い。
本来、商標権に関する通常使用権の許諾に当たっては、許諾の条件や、許諾範囲などを明らかにするため契約書を締結するのが通常であり、そのような契約書を提出できないこと自体、要証期間内に通常使用権の許諾契約が存在していることを証明できたということはできない。
このため、乙第1号証をもって、要証期間内に広島筆産業社に通常使用権を許諾していたことが証明されたということはできない。
(3)本件商標の使用(使用時期を含む。)について
被請求人は、本件商標を「書道用毛筆」に使用しているとして、乙第2号証として、その筆の写真を提出しているが、証拠説明書によれば、乙第2号証の作成年月日は「撮影日不詳」と記載されていることから、乙第2号証をもって、要証期間内に本件商標が「毛筆」に使用されたことが証明されたということはできない。
また、被請求人は、乙第3号証ないし乙第6号証として、広島筆産業社のホームページの写しや写真を提出しているが、証拠説明書によれば、その作成年月日は「2023年8月3日」として、本件審判請求の登録日より後の日付が記載されていることから、乙第3号証ないし乙第6号証をもって、要証期間内に本件商標が「毛筆」に使用されたことが証明されたということはできない。
加えて、乙第5号証及び乙第6号証の写真は、広島筆産業社の店舗内の写真か否か、さらに、このような写真にある毛筆が需要者によって視認できる状態なのか、それとも、例えば事務所奥にあって需要者は視認できない状態なのかも明らかでないし、乙第5号証の写真の毛筆が乙第6号証に映っていることも確認できないので、本件商標が商標法第2条第3項第2号の「展示」に該当する使用がなされていたことが証明されたということもできない。
さらに、被請求人は、乙第7号証として、「古城園」名の「納品書」の写しを提出しているが、そもそも、納品書は、企業が取引先に対して商品やサービスを納めた際に発行する書類であり、どこへ納品したのかなどを明らかにするためのものであるにもかかわらず、この「納品書」には宛先が記載されておらず、「品名」も手書きで「10号 不動心」と記載しただけのものであることを踏まえると、乙第7号証をもって、販売の事実が証明されたともいい難いものといわざるを得ない。
(4)まとめ
以上のとおり、商標権者が要証期間内に広島筆産業社に通常使用権を許諾していたことは証明されておらず、しかも、本件商標の使用に関しても、要証期間内に、商標法上の「使用」に該当する行為が行われたことまでが証明されているということはできず、乙各号証のいずれをもってしても、本件商標を要証期間内に商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその指定商品について使用していたことを証明できたということはできないから、本件商標の商標登録は取り消されるべきである。
3 意見書による主張
令和6年6月11日付け審尋に対する同年7月12日付け回答書(以下「回答書」という。)に対して、以下のとおり弁駁する。
(1)通常使用権の許諾について
被請求人は、回答書において、乙第8号証及び乙第9号証を提出して、商標権者は、広島筆産業社の代表取締役社長であり続けている旨主張している。
しかし、商標権者と広島筆産業社とは、別人格であって、商標権者が広島筆産業社の代表取締役であったとしても、本件商標の使用許諾と広島筆産業社の代表取締役であったことは別異の事象であり、商標権者が広島筆産業社の代表取締役であったことをもって、本件商標が広島筆産業社に対して使用許諾されていたことが立証されたということはできない。
このことは、本件商標が商標登録された2003年から2009年までは使用許諾されていなかったことを踏まえても、本件商標の使用許諾と広島筆産業社の代表取締役であったことを同様視することはできない。
このため、乙第1号証のほか、乙第8号証及び乙第9号証を勘案しても、要証期間内に広島筆産業社に通常使用権を許諾していたことが証明されたということはできない。
(2)伝票について
被請求人は、商品の納品書や値引き販売について種々述べ、乙第10号証を提出しているが、日付や品名、店舗名なども不鮮明であって、何が記載されているかさえ判別できないものである。
そもそも、このような不鮮明なものが伝票として通用し得るのかも疑問であり、まして、商品の取引の存在が証明されたということはできない。
なお、被請求人は、乙第11号証も併せて提出しているが、以下の(3)のとおり、それをもっても、本件商標の使用が証明されたということはできない。
(3)新たな証拠ついて
被請求人は、値引き販売について種々述べ、乙第11号証として売上伝票の写しを提出しているが、売上伝票は、通常、顧客に頒布される取引書類ではなく、たとえ、「品名」の記載として本件商標の構成文字が掲載されていたとしても、これをもって、本件商標の使用が証明されたということはできない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書及び回答書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第11号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)請求人は、本件商標が、その指定商品について過去3年間において使用された事実が存しない旨を主張するが、以下に述べるとおり、本件商標は、前記指定商品のうち「書道用毛筆」につき、要証期間において、本件商標の通常使用権者によって使用されているので、請求人の主張には理由がない。
(2)商標権者について
商標権者は、本店を広島県に有する広島筆産業社の代表取締役社長であり、2009年4月1日に代表取締役社長に就任して以来、広島筆産業社に本件商標について通常使用権を許諾している(乙1)。
(3)商標権者による本件商標の使用事実について
ア 乙第2号証は、通常使用権者である広島筆産業社が10年以上前から継続的に販売している書道用毛筆(サイズは複数あり)の10号サイズの写真(本件商標が刻印されている)である。
イ 乙第3号証は、筆匠古城園(広島市)が広島筆産業社の直営販売店であることを示している(広島筆産業社のホームページ)。
ウ 乙第4号証は、店舗(箪匠古城園)の外観を示している。
エ 乙第5号証は、店舗(筆匠古城園)の内観(書道用毛筆の陳列棚)を示している。
オ 乙第6号証は、店舗内(筆匠古城園)での乙第2号証で示した書道用毛筆の陳列状況を示している。
カ 乙第7号証は、乙第2号証に示した商品が販売された時(令和5年3月13日)の伝票の写しであり、商品に貼付されている値段シールに値段が記載されているが(乙6)、他の商品とまとめて購入された方に値引き販売している。
(4)まとめ
以上説明したとおり、商標権者が代表取締役社長を務め、通常使用権を許諾している広島筆産業社の製造販売に係る書道用毛筆には、本件商標と実質的に同一と認められる標章(「不動心」を筆記体で白色の縦書きしている)が刻印されており、少なくとも要証期間内において、広島筆産業社の直営販売店である筆匠古城園にて販売されている。
書道用毛筆は、本件商標の指定商品である第16類「文房具類,紙類」
に含まれる商品であり、かつ、通常使用権者が本件商標が刻印された前記商品を販売することは、「商品に標章を付する行為」(商標法第2条第3項第1号)及び「商品に標章を付したものを譲渡する行為」(同項第2号)に該当するから、請求人の主張には理由がない。
2 回答書による主張
(1)通常使用権の許諾について
商標権者は、広島筆産業社の代表取締役社長であり、2009年4月1日に代表取締役社長に就任して以来、現職であり続けている。
そこで、履歴全部事項証明書(乙8)と広島筆産業社のウェブサイトの会社概要欄・会社の沿革欄(乙9)を提出する。
(2)伝票について
ア 商品の納品先について
広島市で営業している「筆匠古城園」(乙3~乙6)は広島筆産業社の直営販売店であり、来店客の大半は個人である。法人客などの大口注文先には広島筆産業社の本社から直接納品を行うからである。
来店し店頭(在庫)商品を購入した顧客には、その購入商品の代金をその場で現金やクレジットカード等で支払ってもらい、購入商品を手交するときに、販売店員が請求書・領収書・納品書の3枚つづり(複写式)の伝票に商品名を手書きで記載している。
顧客に対しては、領収書と、その求めに応じて請求書を手交し、店舗には納品書のみを残して売上伝票として保管している。
来店客の多くは一見客であるから、名前を名乗らない人がいるし、外国人の来店客は名乗らないか、そもそも請求書や領収書を不要とされる場合もあり、そうした場合には伝票つづりの宛名欄をブランクのままとし、断られないかぎり領収書等を手渡ししているが、伝票が複写式なので、店舗保管用の納品書も宛名がブランクのままとなるわけである。
答弁書において書証として提出した納品書(乙7)は、応対した店員の記憶によると、外国人であり、一応尋ねてみたものの名前も聞き取れなかったので、宛名を記載しなかったとのことであった。
参考までに、対象商品に関するものではないが、他の納品伝票を提出する(乙10)。
イ 値引き販売について
店舗販売には様々な事情があることに鑑みて、商品代金については一定の金額(割合)の範囲内で店長の判断で値引き販売する裁量を認めている。
前記納品書(乙7)の場合においては、他の商品とともに対象商品も含めて同時購入してくれたので、接客会話の流れで各商品を同率に値引き販売したとのことであった。
以上のような事情から、店頭陳列していた商品「10号不動心」における値札シールには値段が印字されていたものの、結果的に、このときの顧客にはこの値段よりも安く販売することになったとのことであった。
(3)新たな証拠について
今回新たに特定の事業者に対する売上伝票の写し(乙11)を提出する。
第4 当審の判断
1 事実認定
(1)被請求人の主張及び乙各号証によれば、以下の事実が確認できる。
ア 乙第3号証
乙第3号証は、被請求人が、筆匠古城園が広島筆産業社の直営販売店であることを示す同社のホームページと主張するものであり、左上に、広島筆産業社の社名の記載、その下に、「○筆匠古城園|広島市の熊野筆・化粧筆・書道用品専門店」の記載、その下に、「筆匠古城園」の記載、その下に、住所(広島市)の記載、その下に、電話番号の記載がある。
イ 乙第6号証
乙第6号証は、被請求人が、店舗内(筆匠古城園)における書道用毛筆の陳列状況を示す写真と主張するものであり、それぞれ透明ビニール袋に収容された状態の複数の毛筆が並べて陳列され、このうちの1本について、別掲のとおり、黒色の柄の部分に、白色の「不動心」の文字及びこれに若干の間隔を空けた朱色の「古城園」の文字が表示され、かつ透明ビニール袋に価格を示す数字が印字されたラベルが貼付されていることが見て取れる。
ウ 乙第7号証
乙第7号証は、被請求人が、書道用毛筆が販売された時の伝票の写しと主張するものであり、左上に、「納品書」の記載、その右に、「2023年3月13日」の記載、その下に、「様」の記載がある空欄とされた宛名の記入欄、その右に、ゴム印による「古城園」、住所及び電話番号の記載がある。
ここで、住所は、冒頭の一部が印字されておらず判読できないものの、印字されている部分については乙第3号証の「筆匠古城園」の下に記載されている住所と一致しており、電話番号は、乙第3号証における当該住所の下に記載されている電話番号と一致している。
また、上記ゴム印の下に、1行目に「品名」、「数量」、「単価」、「金額(税抜・税込)」等の見出しが設けられ、2行目ないし13行目に、「品名」欄における項番を示す「1」ないし「12」の記載とともに、各見出しに対応する記入欄が設けられた表が提示されており、このうち、項番が「4」の記入欄においては、「品名」欄に、「筆 10号 不動心」(審決注:「筆」は項番が「1」の同欄に記入された「筆」に対応してノノ点により示されている。)及び「¥」の各文字並びに乙第6号証における上記イのラベルのものと一致する数字がその順に記入され、「数量」欄に「1」が、「金額(税抜・税込)」欄に「品名」欄の数字よりも少額の数字がそれぞれ記入され、さらに、項番が「10」の記入欄においては、「品名」欄に「値引き」の文字が記入されている。
エ 乙第8号証
乙第8号証は、履歴事項全部証明書であり、1葉目において、「商号」の欄に、広島筆産業社の社名の記載、その右に、「平成2年3月17日変更」の記載、「本店」の欄に、住所の記載、その右に、「平成19年12月11日登記」の記載、2葉目において、「役員に関する事項」の欄に、「代表取締役」として商標権者の氏名の記載及び同者のものと一致する住所の記載、その右に、「令和4年9月27日重任」及び「令和4年10月7日登記」の各記載がある。
オ 乙第9号証
乙第9号証は、被請求人が、広島筆産業社のウェブサイトにおける会社概要欄・会社の沿革欄と主張するものであり、1葉目において、上部に、広島筆産業社の社名の記載、その下に、「トップページ 会社概要」の記載があり、その下に提示された表中、「会社名」欄に広島筆産業社の社名の記載、「代表者」欄に商標権者の記載、「所在地」欄に乙第8号証のものと一致する住所の記載がある。
(2)上記(1)アないしオによれば、次の事実を認めることができる。
ア 乙第3号証において、広島筆産業社の社名は、本号証に係るウェブサイトの開設者として表示されていることが明らかである一方、「筆匠古城園」は、そのトップページ以下の「広島市の熊野筆・化粧筆・書道用品専門店」に関するウェブページ中に、住所が広島市であるとして記載されているから、広島筆産業社が経営する広島市における店舗の名称であると認められる。
イ 「古城園」は、2023年3月13日付けで、「筆 10号 不動心」1本を含む各種商品についての納品書(以下「納品書」という。)を発行した(乙7)。
ここで、納品書には、宛名が記入されていないが、宛名を省略することは商習慣として特段不自然なものではない。
さらに、項番が「4」の「筆 10号 不動心」について、「品名」欄に、乙第6号証におけるラベルのものと一致する数字が記載されているのに対して、「金額(税抜・税込)」欄にこの数字よりも少額の数字が記入されているものの、この点は、項番が「10」の記入欄のとおりの「値引き」によるものと理解できる。
また、「古城園」は、その名称や、納品書に印字されているゴム印における住所及び電話番号の乙第3号証との一致から、上記アの広島筆産業社が経営する「筆匠古城園」を指しているものと理解できる。
よって、納品書は、2023年3月13日に、広島筆産業社が経営する店舗(広島市)において、「筆 10号 不動心」が顧客に販売されたことを示すものと認められる。
そして、「筆 10号 不動心」は、「不動心」という名称の筆を表しており、乙第6号証の写真(別掲)に示されるように、毛筆であって、白色の「不動心」の文字及びこれに若干の間隔を空けた朱色の「古城園」の文字が表示されていたものと推認できる。
ウ 商標権者は、少なくとも令和4年10月7日以降、広島筆産業社の代表取締役であり(乙8)、同社のウェブサイトにおいても同社の「代表者」であることが表示されている(乙9)から、商標権者と広島筆産業社の間には業務上密接な関係があるといえる。
そうすると、上記イの販売は、商標権者により本件商標についての黙示の許諾を受けた、通常使用権者である広島筆産業社によってなされたものと認められる。
エ 上記アないしウによれば、本件商標の通常使用権者は、同者が経営する店舗(広島市)において、2023年3月13日に、別掲のとおりの、白色の「不動心」の文字及びこれに若干の間隔を空けた朱色の「古城園」の文字(以下「使用商標」という。)が表示された商品「毛筆」(以下「使用商品」という。)を顧客に販売したことが認められる。
2 判断
上記1(2)エの行為について、次のとおり判断できる。
(1)使用商標について
使用商標の構成中、白色の「不動心」の文字は、朱色の「古城園」の文字と若干の間隔を空けて異なる色で表示されたものであるから、両者は一連一体ではなく、使用商標においては、本件商標と書体及び文字色が異なるものの構成文字を同じくする「不動心」の文字が、「古城園」と独立に自他商品識別機能を発揮し得る部分として分離して認識されるものといえる。
そうすると、使用商標と本件商標とは、共通の文字(漢字)からなるものであり、社会通念上同一の商標であると認められる。
(2)使用商品について
使用商品は、「毛筆」であって、本件商標の指定商品中「文房具類」の範ちゅうに属する商品といえる。
(3)使用者、使用時期及び使用行為について
使用商標の使用者は、本件商標の通常使用権者(広島筆産業社)であり、使用商標の使用時期は、商品「毛筆」の販売がなされた2023年3月13日であって、要証期間であり、使用商標が表示された商品「毛筆」を販売する行為は、商標法第2条第3項第2号にいう、商品に標章を付したものを譲渡し又は引き渡す行為に該当する。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、本件商標の通常使用権者は、要証期間に日本国内において、その指定商品の範ちゅうに含まれる使用商品に、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる標章を付して譲渡する、商標法第2条第3項第2号に該当する行為を行ったことが認められる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の通常使用権者が、その指定商品の範ちゅうに含まれる使用商品「毛筆」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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