商標取消審判
2023-300009
ブラスト
- 審判番号
- 2023-300009
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2007-037204
- 登録番号
- 5113503
- 請求日
- 2023年01月06日
- 審決日
- 2024年12月18日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】ブラスト モーション インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】村井 康司
- 【請求人代理人】魯 佳瑛
- 【被請求人】豊田 真也
- 【被請求人代理人】玉利 冨二郎
- 審判長/審判官
- 審判長 板谷 玲子
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 岩谷 禎枝
- 分類
- T131 .1 -Z (X28)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第50条、商標法第38条第5項、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5113503号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第5113503号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5113503号商標(以下「本件商標」という。)は、「BLASTO」の欧文字と「ブラスト」の片仮名を2段書きした構成よりなり、平成19年4月13日に登録出願、第28類「運動用具」を指定商品として、同20年2月22日に設定登録されたものである。
そして、本件取消審判請求の予告登録は、令和5年1月24日になされたものであり、この予告登録前3年以内の期間(令和2年1月24日~令和5年1月23日)を、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、令和5年6月7日差出の答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年8月22日付け弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上、日本国内において、本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)、専用使用権者又は通常使用権者(以下、これらをまとめて「商標権者等」という。)のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は、答弁書において、本件商標の使用についての証拠として乙第1号証ないし乙第17号証を提出し、要証期間に本件商標を本件審判請求に係る指定商品について使用していると主張しているが、答弁書の全趣旨及び使用証拠からすると、商標権者等のいずれによって登録商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を本件審判請求に係る指定商品に使用していたかについて明らかではなく、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
まず、答弁書では、単に「本件商標は、第28類の運動用具について、乙第1号証から乙第17号証に示すように使用している」と述べており、乙第1号証ないし乙第17号証を提出しているが、どの商標がどのように使用されてきたかについて具体的な主張に欠けており、提出された証拠によって商標権者等により、要証期間に本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標が指定商品との関係で使用されていたことは認められない。
よって、被請求人は、まずは、具体的な主張とその主張と各証拠との関係を明らかにする必要がある。
(1)各証拠が示す内容について
ア 乙第1号証について
乙第1号証は、別掲1のとおりの構成よりなる商標(以下「使用商標1」という。)又は別掲2のとおりの構成よりなる商標(以下「使用商標2」という。)が付されたパタークラブ全体及びその一部並びにゴルフカバーに係る写真と見受けられ、使用商標1又は使用商標2が付されたパタークラブ及びそのカバーは存在していたように思われる。
しかしながら、使用商標1又は使用商標2が商標権者等によってパタークラブ等に付されていたかどうか、又は、商標権者等によって使用商標1又は使用商標2が付されたパタークラブが譲渡し、引き渡し等されていたかどうかに関する具体的な主張及び裏付けが欠けており、乙第1号証からは、商標権者等が使用商標1又は使用商標2を指定商品に使用したことを証明するのに充分でない。万一、乙第2号証ないし乙第17号証に記載の商品名「SUPER BLASTO PUTTER CLUB ML-01」(以下「使用商標3」という。)、「SUPER BLASTO PUTTER CLUB ML-02」(以下「使用商標4」という。)、「スーパーブラスト ML-01」又は「スーパーブラスト ML-02」といった商品が、乙第1号証に表されているパタークラブを示す場合、その関係を主張し、明確に裏付ける必要がある。
イ 乙第2号証ないし乙第9号証について
乙第2号証ないし乙第9号証は、「株式会社ゴルフプレミアム」(以下「ゴルフプレミアム社」という。)から「つるや株式会社」(以下「つるや社」という。)宛に発行された納品書であり、要証期間に複数回にわたってゴルフプレミアム社が取引書類に使用商標3及び使用商標4を記載したことが見受けられる。
しかしながら、ゴルフプレミアム社は、商標権者又は登録原簿に記載された使用権者ではなく、被請求人は、ゴルフプレミアム社と商標権者との関係を明らかにしていない。
よって、乙第2号証ないし乙第9号証で示す商標の使用が、商標権者等によるものであるためには、商標権者とゴルフプレミアム社との関係に関する具体的な主張及びその裏付けが必要である。
ウ 乙第10号証ないし乙第13号証について
乙第10号証ないし乙第13号証は、「つるやゴルフ商品センター」より「株式会社ゴルフプレミアム 豊田 様」宛に発行された注文書であり、要証期間に複数回にわたって使用商標3及び使用商標4等の商品が注文されたことを示すように思われる。
しかし、乙第10号証ないし乙第13号証は、使用商標3及び使用商標4等の商品が取引されている事実を裏付ける証拠にはなり得るかもしれないが、買い手による商品特定の方法で商品名が記載されたにすぎず、商標権者等による本件商標の使用ではない。
よって、商標権者等による商標の使用には該当しないため、本件商標の使用を直接的に裏付けるものではない。
エ 乙第14号証ないし乙第17号証について
乙第14号証ないし乙第17号証は、「スーパーブラスト ML-01」又は「スーパーブラスト ML-02」の商品に関する発注予定表であり、要証期間に複数回にわたってこれらの商品が発注される予定であることを示すものと見受けられる。また、うっすらと「ゴルフプレミアム」の表示があり、「ゴルフプレミアム」社に対する発注予定であるように推測できるかもしれないが、その点は明らかでない。乙第14号証ないし乙第17号証は、「スーパーブラスト ML-01」又は「スーパーブラスト ML-02」の商品が取引される予定である事実を裏付ける証拠になり得るかもしれないが、買い手による商品特定の方法で商品名が記載されたにすぎず、商標権者等による本件商標の使用を直接的に裏付けるものではない。
オ まとめ
以上からすると、被請求人は、おそらく商標権者と何らかの関係のあるゴルフプレミアム社が、要証期間に使用商標1又は使用商標2が付されたパタークラブ等の商品をつるや社に販売(譲渡)したことを証明しようとしているようには推測される。
しかし、答弁書の全趣旨及び全証拠からは、(ア)ゴルフプレミアム社と被請求人との関係が明らかではなく、ゴルフプレミアム社の使用が商標権者等による使用と認められるかどうか、(イ)使用商標1ないし使用商標4は、本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標であるかどうか、(ウ)単に注文書又は納品書等をもって商品が実質的に商取引されたことを裏付けるに充分であるかどうか等が不明であり、具体的な主張及びその主張を裏付ける証拠の提出が必要である。
(2)本件商標の使用について
上記(1)オ(ア)及び(ウ)は、被請求人による追加主張及び証拠の提出により解消される可能性があることを前提として、仮にこれらが適切に証明された場合であっても、使用商標1ないし使用商標4は本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当しないため、本件商標は、使用されたと認められない。
ア 本件商標と同一の商標の使用について
被請求人は、商標権者等が本件商標を使用した旨主張しているが、本件商標は、欧文字「BLASTO」と片仮名「ブラスト」が同サイズ、同書体で2段書きしてなる文字商標であるところ、提出された全証拠からすると、本件商標と同一の商標は使用されていないことが明らかである。
乙第1号証ないし乙第9号証によると、実際に使用されていた商標の態様は、使用商標1は別掲1のとおりであり、使用商標2は別掲2のとおりであり、使用商標3は「SUPER BLASTO PUTTER CLUB ML-01」であり、使用商標4は「SUPER BLASTO PUTTER CLUB ML-02」であり、外観上、明らかに本件商標とは異なるため、本件商標と同一の商標は使用されていない。
イ 本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用について
商標法第38条第5項によると、登録商標は、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。第五十条において同じ。」との規定があり、登録商標そのものではないけれど、社会通念上同一と認められる商標を使用された場合、不使用による登録の取消しをまぬがれることが可能である。
本件商標は、欧文字「BLASTO」及び片仮名「ブラスト」からなるところ、使用商標1ないし使用商標4は、明らかに片仮名「ブラスト」が欠けており、本件商標の構成要素全てを含んでおらず、本件商標の同一性を損ねている。さらに、片仮名「ブラスト」が欧文字「BLASTO」の表音表示と自然に認識され、仮に欧文字「BLASTO」のみの使用が本件商標の使用と認められるべき場合があるとしても、使用商標1ないし使用商標4は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ではなく、また、使用商標1ないし使用商標4より「BLASTO」部分が全体の構成より独立して独自の識別力を損なわずに使用されているともいえない。
使用商標1及び使用商標2は、色彩の相違はあるものの、「B\SUPER\LASTO」の文字が全体的に一体感を有するようにまとまりよくデザインされており、その中、一部のみが抽出され独自の識別力を果たすとは考えられない。また、乙第2号証ないし乙第17号証に示された使用態様を参照の上、その全体から生じ得る「スーパーブラスト」という称呼も8音節であり冗長でなく、よどみなく称されるものである。よって、使用商標1及び使用商標2は外観上、称呼上、全体として観察されるべきであり、その全体構成をもって本件商標と比較すると、使用商標1及び使用商標2は、本件商標とは社会通念上同一と認められる商標ではないと判断されることが妥当である。
万一、使用商標1及び使用商標2より、一部の構成要素のみが抽出され識別力を果たすことが可能と考えられるとしても、全体の構成からすると、外観上、「B」部分及び「LASTO」部分を組み合わせた「BLASTO」が抽出されることは妥当でない。使用商標1及び使用商標2の態様を見るに、赤色の欧文字「B」が左側に大きく配置されており、使用商標1は、その大きく表示された欧文字「B」の右側上段に白色の欧文字「SUPER」とその下段に白色の欧文字「LASTO」の2段書きからなり、使用商標2は、白色の欧文字「SUPER」と黒色の欧文字「LASTO」の2段書きからなる。よって、文字の大きさや色彩の相違からすると、「B」、「SUPER」及び「LASTO」の3つの文字(列)からなる商標、又は使用商標1の場合「B」と「SUPER\LASTO」の2部分からなる商標と認識されることが自然であり、全体の構成より「BLASTO」部分が抽出され認識されることはない。
なお、「SUPER」という語がそもそも平凡な英単語であり、「素晴らしい」等の意味を有する既成語として直感される場合であっても、使用商標1及び使用商標2から「SUPER」を除く部分は、そのデザインの特徴から「B」と「LASTO」とそれぞれ認識されるべきであり、「B」と「LASTO」は結合されて認識されない。観念上、「BLASTO」という語は、「胚、芽」の意味を有する接頭詞として辞書に載録はある既成語のようであるが、そもそも誰もが知るような平凡な英単語ではなく、一般的に造語と認識されるべきものである。よって、「SUPER」という語が分離されて観察されるとしても、その外観上の構成より「B」と「LASTO」とそれぞれ認識されるべきであり、観念上、「B」と「LASTO」をわざわざ結合させ、一体として抽出するような事情もない。さらに、提出された全証拠からすると、本件商標に係る商品は、常に「SUPER BLASTO」又は「スーパーブラスト」といった表記で記載されており、商標権者等が「BLASTO」又は「ブラスト」のみが識別力を発揮できるように使用する意図をもって使用商標1及び使用商標2を使用したとは思えない。
使用商標3及び使用商標4は、「SUPER」、「BLASTO」、「PUTTER CLUB」及び「ML-01」又は「ML-02」が同書体、同サイズで構成されている。そのうち、「SUPER」は、素晴らしい等の意味を有する既成語であり、「BLASTO」は、本件商標の欧文字部分、「PUTTER CLUB」は商品名、「ML-01」又は「ML-02」は、おそらくモデル名を表す語であり、簡易・迅速さを好む商取引において、「PUTTER CLUB」、「ML-01」又は「ML-02」の語は、省略されるのが自然と思われる。
しかし、「SUPER」の語は、素晴らしい等の意味を有し、指定商品の品質を連想される可能性はあるものの、その意味合いは、指定商品との関係で漠然としており、必ずしも指定商品の品質を具体的に表す語ではない。また、その語そのものが、パタークラブ等、ゴルフ用品業界において、既存のモデルより優れた商品を表すように使用される商慣習もない。
よって、「SUPER」という語は、省略されず、後に位置した「BLASTO」と結合し、使用商標3及び使用商標4からは「SUPER BLASTO」が抽出されてその全体として認識されるべきである。
さらに、乙第11号証、乙第15号証ないし乙第17号証によると、「スーパーブラスト ML-01」又は「スーパーブラスト ML-02」という商品名の記載があり、おそらく「ML-01」又は「ML-02」がモデル名と推察可能であることからすると、商標権者等は、本件商標に係る商品を「ブラスト」のみで称する意図は全くなく、その商取引において「スーパーブラスト」と称されていたことを自認している。
以上からすると、被請求人が使用の立証を主張している使用商標1ないし使用商標4は、いずれも本件商標と社会通念上同一と認められる商標ではなく、さらに使用商標1ないし使用商標4より「BLASTO」部分を分離して本件商標の使用と認めるべき事情もないため、商標権者等は、本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を使用していなかったと判断されるべきである。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人が主張する商標権者等が本件商標をその指定商品に使用したとの主張は、具体的な妥当性を欠いたものであり、万一、被請求人の提出に係る証拠から何らかの使用を認められるとしても、使用された商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標に該当しないため、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書、令和5年12月6日付け審尋(以下「審尋1」という。)に対する同6年1月18日付け回答書(以下「回答書1」という。)、同日付審判事件答弁書及び同年2月15日付け審尋(以下「審尋2」という。)に対する同年3月7日付け回答書(以下「回答書2」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第19号証(枝番号を含む。)を提出した。また、回答書2と同日に「履歴事項全部証明書」が提出され、これには、乙番号が付されていないが、当審において「乙第20号証」と認定した。
なお、本審決において、証拠の表記にあたっては、乙第1号証を「乙1」のように省略して表示する場合があり、枝番号の全てを表示する場合は、枝番号を省略する。
1 答弁の概要
本件商標は、本件審判請求に係る指定商品について、平成20年2月22日の登録日から令和5年の現在に至るまで継続して使用しているものである。
2 使用の事実
本件商標は、上段に欧文字「BLASTO」、下段に片仮名「ブラスト」の二段構成からなる。
乙第1号証ないし乙第19号証に示すように、本件商標を本件審判請求に係る指定商品に使用している。
すなわち、乙第1号証及び乙第18号証に示す欧文字は、欧文字「B」を最大に大書し、該「B」より下方に向けて少し小さくした「LASTO」の欧文字を横書きしてなり、その「LASTO」の上部に小さく欧文字「SUPER」を横書きしてなる。
したがって、上記二段構成の欧文字は、上記「SUPER」の欧文字より「BLASTO」の欧文字が外観上よく感得され「ブラスト」と称呼されるのが自然であると思料される。つまり、上記「SUPER」の欧文字は識別力が弱いものである。
また、乙第20号証に示すとおり、被請求人は、ゴルフプレミアム社の代表取締役であり、同社に本件商標の使用許諾を与えている。
本件商標は、プライベートブランドであり、ゴルフの専門商社であるつるや社に納入して、販売しているものである。乙第1号証にある商品には「BLASTO」の欧文字が記載されており、納品書(乙2~乙9)及び注文書(乙10~乙13)に記載の商品と同一性があり、同書面によると、注文本数2,900本に対して納品本数2,898本である。
第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、(1)要証期間に、(2)日本国内において、(3)商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、(4)本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、(5)本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 被請求人が提出した乙各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)乙第1号証について
証拠説明書によると、乙第1号証の写真の撮影日は、いずれも2023年4月17日である。
乙第1号証の1は、パタークラブ(2本)の全体写真である。クラブのグリップに、「この性能でこの価格!」、「3,900円+(税)」、及び別掲1のとおりの構成よりなる商標(使用商標1)が付されており、当該パタークラブのシャフト上部にバーコードのシールが貼られている。
乙第1号証の2は、乙第1号証の1のグリップ付近の拡大写真と推認できるものであり、クラブのグリップに使用商標1が付されている。
乙第1号証の3は、2本のパタークラブのヘッドと推認できる写真であり、それぞれのヘッド部分に別掲2のとおりの構成よりなる商標(使用商標2)が付されている。
乙第1号証の4は、パタークラブのヘッドと推認できる写真であり、使用商標1又は使用商標2が付されている。
乙第1号証の5の上部には、パタークラブのヘッドと推認できる写真が撮影されており、使用商標2が付されている。乙第1号証の5の下部の写真は、被請求人がシャフト下端部をゴルフカバーで被覆したものと主張するが、これが、ゴルフクラブのシャフト下端部をゴルフカバーで被覆したものであるか確認できない。
以上より、パタークラブのグリップに使用商標1が付されていること、ヘッド部分に、使用商標1及び使用商標2(以下、これらをまとめていうときは「使用商標」という。)が付されていることが認められるが、これらの写真の撮影日とされる2023年4月17日は、要証期間外である。
(2)乙第2号証ないし乙第9号証について
乙第2号証ないし乙第9号証は、被請求人が納品書と主張するものであり、乙第2号証は2022年7月25日付け、乙第3号証は2022年6月4日付け、乙第4号証は2022年4月15日付け、乙第5号証は2022年1月6日付け、乙第6号証は2021年8月12日付け、乙第7号証は2021年2月8日付け、乙第8号証は2020年5月13日付け、及び乙第9号証は2023年2月1日付けの納品書である。
ただし、納品書(乙9)の発行日である2023年2月1日は、要証期間外である。
そして、納品書(乙2~乙9)には、ゴルフプレミアム社の名称、住所、電話番号及びFAX番号並びにつるや社の名称及び住所の記載があり、「つるや株式会社様 毎度ありがとうございます。下記のとおり納品致しましたのでご査収ください。」と記載されている。
また、納品書(乙2~乙9)には、「商品名」として「SUPER BLASTO PUTTER CLUB ML-01」及び「SUPER BLASTO PUTTER CLUB ML-02」(以下、商品名を省略して「ML-01」、「ML-02」という場合がある。)の記載があり、上記各商品の「数量」について、「ML-01」、「ML-02」の順(ただし、乙3は「ML-01」のみである。)で、納品書(乙2)には「150」、「200」、納品書(乙3)には「200」、納品書(乙4)には「100」、「100」、納品書(乙5)には「100」、「100」、納品書(乙6)には「100」、「100」、納品書(乙7)には「149」、「99」、納品書(乙8)には「2」、「1」、納品書(乙9)には「150」、「150」の記載がある。
さらに、「単価」として、納品書(乙2~乙4、乙9)には「2,445」の記載及び納品書(乙5~乙8)には「2,250」の記載がある。
なお、納品書(乙2~乙8)は、要証期間における、ゴルフプレミアム社からつるや社に対する、複数回にわたる、「SUPER BLASTO PUTTER CLUB ML-01」又は「SUPER BLASTO PUTTER CLUB ML-02」を商品名とするパタークラブの納品を示すものであるが、納品書はゴルフプレミアム社の作成による書証であり、納品の事実を裏付ける取引者であるつるや社が発行した受領証等の書類は提出されていない。
(3)乙第10号証ないし乙第13号証について
乙第10号証ないし乙第13号証は、被請求人が注文書であると主張するものであり、乙第10号証は発注年月日を2022年12月7日、納期を2023年7月1日、乙第11号証は発注年月日を2022年7月14日、納期を2023年4月23日、乙第12号証は発注年月日を2022年3月2日、納期を2023年2月1日、乙第13号証は発注年月日を2021年8月10日、納期を2022年5月1日とする注文書である。
ただし、乙第10号証ないし乙第12号証に記載された納期は、いずれも、要証期間外である。
そして、注文書(乙10~乙13)には、いずれにも、「GOLFつるや株式会社」(「GOLF」の文字は、「つ」の文字の上部に小さく表示されている。)、「発注先 株式会社ゴルフプレミアム 豊田様」、「納品場所 つるやゴルフ商品センター」の記載がある。
また、「商品名」及び「数量」の順に、注文書(乙10)には「SUPER BLAST ML-01」の2段の記載並びに「180」及び「120」、注文書(乙11)には「スーパーブラスト ML-01」及び「スーパーブラスト ML-02」並びに「200」及び「100」、注文書(乙12)には「SUPER BLASTO ML-01」及び「SUPER BLASTO ML-02」並びに「150」及び「150」、注文書(乙13)には「SUPER BLASTO ML-01」及び「200」の記載がある。さらに、「単価」として、注文書(乙10)には「¥2,860」、注文書(乙11~乙13)には「¥2,445」の記載がある。
乙第10号証ないし乙第13号証より、要証期間につるや社からゴルフプレミアム社に対し、「SUPER BLAST ML-01」、「スーパーブラスト ML-01」、「スーパーブラスト ML-02」、「SUPER BLASTO ML-01」及び「SUPER BLASTO ML-02」を商品名とする商品が注文されたことは推認できるが、その商品名から乙第10号証及び乙第11号証の商品が上記(2)の納品書に記載の商品と同一商品であることは必ずしも確認できず、また要証期間における上記注文書は、上記(2)の納品書に記載のパタークラブの本数と相違しており、つるや社の注文した商品及び商品の発注数がゴルフプレミアム社からつるや社に実際に納品された事実は確認できない。
(4)乙第14号証ないし乙第17号証について
乙第14号証ないし乙第17号証は、被請求人が発注予定表であると主張するものであるが、当該各書面は、ゴルフプレミアム社が作成した、つるや社からの発注予定表にすぎず、発注実績を証明するものではない。
(5)乙第18号証及び乙第19号証について
乙第18号証及び乙第19号証は、パタークラブのヘッドと推認できる写真であり、乙第18号証の写真には、使用商標2が付されている。
(6)乙第20号証について
乙第20号証は、履歴事項全部証明書の写しであり、「商号」として「株式会社ゴルフプレミアム」の記載、「本店」として「兵庫県西宮市老松町14番15-602号」の記載があり、「役員に関する事項」として「兵庫県西宮市老松町14番15-602号 代表取締役 豊田眞也」の記載がある。
これより、商標権者は、ゴルフプレミアム社の代表取締役であることが認められる。
3 判断
(1)本件商標の使用者について
上記2(6)によれば、商標権者は、ゴルフプレミアム社の代表取締役であることが確認できることから、商標権者は、ゴルフプレミアム社に対して、本件商標の使用について黙示の許諾を与えていたものと推認することができる。
(2)使用商標について
本件商標は、「BLASTO」の欧文字と「ブラスト」の片仮名を2段に横書きしてなるものであるところ、上段の「BLASTO」の文字は、「胚芽」(株式会社大修館書店発行「ジーニアス英和大辞典」)の意味を有する英語であり、下段の「ブラスト」の片仮名は、上段の「BLASTO」の欧文字の読みを表した文字として認識されるというのが相当であるから、「ブラスト」の称呼及び「胚芽」の観念を生じるものである。
これに対し、使用商標は、別掲1及び別掲2のとおり、左側に「B」の欧文字を赤色で表し、その右側上段に「SUPER」の欧文字を白色で、右側下段に「LASTO」の欧文字を白色又は黒色で表してなるところ、「B」の欧文字と「LASTO」の欧文字は「SUPER」の欧文字に比べ顕著に表されており、また、「SUPER」の欧文字は、「すばらしい」等の意味を有する英語であり(前掲書)、商品の優位性を表示するにすぎないものであるから、使用商標は、「B」の文字と「LASTO」の文字部分が、自他商品を識別する標識として機能する部分であるといえ、これを結合した「BLASTO」の欧文字より「ブラスト」の称呼及び「胚芽」の観念を生じるものである。
そして、本件商標と使用商標は、外観において相違する点があるとしても、いずれも「BLASTO」の欧文字が自他商品識別標識としての機能を発揮する部分として把握され、「ブラスト」の称呼及び「胚芽」の観念が生じるものであるから、これらは社会通念上同一であると認められる。
(3)使用商品、使用行為及び使用時期について
上記2(1)からすれば、本件商標の使用に係る商品は、「パタークラブ」(以下「使用商品」という。)であって、使用商品は、本件審判請求に係る指定商品である第28類「運動用具」の範ちゅうに属するものと認められる。
しかしながら、使用商品の写真は、いずれも要証期間後に撮影されたものであるから、使用商標が付された使用商品が要証期間に存在していたことは確認できず、同使用商品の写真が納品書(乙2~乙9)及び注文書(乙10~乙13)に記載の商品と同一のものであったのかも確認できない。
また、注文書に記載の使用商品の数量と納品書に記載の使用商品の数量とは相違しており、ゴルフプレミアム社からつるや社への使用商品の納品の事実を裏付ける取引先であるつるや社が発行した受領証等の書類の提出もないことから、使用商品が要証期間につるや社に譲渡された事実を確認することができない。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、本件商標の使用を黙示に許諾されたゴルフプレミアム社が、本件審判請求に係る指定商品の範ちゅうの商品「パタークラブ」に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付したとしても、使用商標を表示した使用商品が要証期間に存在していたことは確認できず、また、当該使用商品が要証期間につるや社に譲渡されたことも確認できない。
その他、被請求人が提出した全証拠を確認しても、本件商標を要証期間に使用したと認めるに足る事実は見いだせない。
4 被請求人の主張について
被請求人は、納品書(乙2~乙9)及び注文書(乙10~乙13)における注文本数と納品本数との違いについて、注文本数2,900本に対して納品本数2,898本である旨主張する。
しかしながら、被請求人が提出した乙各号証によれば、被請求人が主張する使用商品の発注と納品とは、要証期間における各時期に対となって本数が一致するものとなっておらず、一連の取引の流れを認定することができない。また、注文本数と納品本数の相違について、被請求人は各合計本数を述べるのみで、何ら合理的な説明をしていない。
したがって、被請求人の上記主張は、採用することができない。
5 まとめ
以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠によっては、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判請求に係る指定商品についての本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを被請求人が証明したとはいえない。
また、被請求人は、当該使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-300009