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特許拒絶査定不服審判

2023-022193

印刷物品質の調整方法

審判番号
2023-022193
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-223906
請求日
2023年12月27日
審決日
2024年09月09日
公報発行日
2024年11月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】DIC株式会社
  • 【請求人代理人】長谷川 芳樹
  • 【請求人代理人】清水 義憲
  • 【請求人代理人】中塚 岳
  • 【請求人代理人】古下 智也
  • 【請求人代理人】吉住 和之
審判長/審判官
  • 審判長 神谷 健一
  • 審判官 本田 博幸
  • 審判官 河原 正
分類
P18 .121-Z (B41M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2019-223906「印刷物品質の調整方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 6月17日出願公開、特開2021- 91165〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特願2019-223906号(以下「本願」という。)は、2019年(令和元年)12月11日を出願日とする出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和 5年 7月20日付け:拒絶理由通知書 令和 5年 9月22日 :手続補正書、意見書の提出 令和 5年10月10日付け:拒絶査定 令和 5年12月27日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和5年12月27日提出の手続補正書による手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年12月27日提出の手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 (1)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前である、令和5年9月22日にした手続補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。 「顔料を含む顔料分散液と、界面活性剤、バインダー樹脂及び有機溶剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の添加剤との混合時期に基づきインクジェット印刷の印刷物品質を調整する印刷物品質の調整方法であって、 前記顔料分散液と前記添加剤とを混合してインク組成物を得てから30分以上1か月以内に前記インク組成物を印刷する、印刷物品質の調整方法。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。なお、下線は補正箇所を示す。 「顔料を含む顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤との混合時期に基づきインクジェット印刷の印刷物品質を調整する印刷物品質の調整方法であって、 前記顔料分散液と前記添加剤とを混合してインク組成物を得てから30分以上1か月以内に前記インク組成物を印刷し、 前記インク組成物が、尿素結合を有する化合物を含有する、印刷物品質の調整方法。」 (3)本件補正について 本件補正前の請求項1に係る発明の「添加剤」は、「界面活性剤、バインダー樹脂及び有機溶剤からなる群より選ばれる少なくとも一種」とされていたところ、本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「添加剤」について、「界面活性剤」及び「有機溶剤」を削除して「バインダー樹脂を含む」ものに限定する補正事項と、本件補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「インク組成物」について、「尿素結合を有する化合物を含有する」ものに限定する補正事項を含むものである。 そして、本件補正前の請求項1に係る発明と、本件補正後の請求項1に係る発明の、産業上の利用分野及び解決しようとする課題は、同一である(本願明細書の【0001】及び【0005】~【0006】)。 してみると、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に適合するものであり、また、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。 2 独立特許要件(進歩性)についての判断 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(2)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献3に記載された事項 ア 引用文献3の記載 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、国際公開第2018/221235号(平成30年12月 6日国際公開。以下「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定や判断等に活用した箇所を示し、以下同様である。 (ア)「[0001] 本発明は、例えば布帛をはじめとする様々な被記録媒体への印刷に使用可能なインクに関するものである。」 (イ)「発明が解決しようとする課題 [0006] 本発明が解決しようとする課題は、例えば水や温水等で洗濯された場合であっても、布帛等の被記録媒体からの剥れを引き起こすことがないレベルの耐水堅牢性を有する印刷画像等を形成可能なインクを提供することである。 [0007] また、本発明が解決しようとする第二の課題は、例えば衣服等に付着した頑固な汚れの洗浄に使用される超音波洗浄法等で洗濯された場合であっても、色落ちを引き起こしにくい印刷画像等を形成可能なインクを提供することである。 課題を解決するための手段 [0008] 本発明は、一般式(1)で示される構造(a1)を有する重合体(A)を含有することを特徴とするインクに関するものである。 [図:0001416265000001.jpg] (一般式(1)中のR1及びR2は、それぞれ独立して水素原子または陽イオンを表す。)」 (ウ)「[0012] 本発明のインクとしては、例えば前記重合体(A)が水性媒体や有機溶剤に溶解または分散したインクを使用することができ、前記重合体(A)が水等の水性媒体(C)に溶解または分散したものを使用することが好ましい。」 (エ)「[0059] 前記重合体(A)は、インクに含まれる顔料等の着色剤(B)を被記録媒体上に固着させるバインダー樹脂として機能するものである。」 (オ)「[0085] 本発明のインクは、例えば前記重合体(A)または前記重合体(A)と溶媒との混合物と、着色剤(B)と、必要に応じてその他の添加剤とを混合することによって製造することができる。 前記インクのなかでも、水性インクは、例えば着色剤(B)として顔料を高濃度で含有する水性顔料分散体を製造し、前記水性顔料分散体と、水と、界面活性剤と、重合体(A)と、必要に応じてその他の添加剤とを混合することによって製造することができる。」 (カ)「[0094] 前記保湿剤としては、例えば有機溶媒や糖類を用いることもできる。 [0095] 前記有機溶媒としては、例えば、1価又は多価のアルコール類、アミド類、ケトン類、ケトアルコール類、環状エーテル類、グリコール類、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、ポリアルキレングリコール類、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ペンタンジオール、4-メチル-1,2-ペンタンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類および多価アルコールアラルキルエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、ε-カプロラクタム等のラクタム類、アセトン、酢酸エチル、m-ブチロラクトン、グリセリンのポリオキシアルキレン付加物、酢酸メチル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジオキソラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルスルホキシド、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を単独または2種以上組み合わせて用いることができる。」 (キ)「[0106] 本発明のインクは、例えばインクジェット記録用インク、スクリーン捺染用インク、浸染用インク等として使用することができ、インクジェット記録用インクとして使用することが好ましい。」 (ク)「[0113] <重合体(A)の合成> (製造例1:アクリル共重合体水分散体(A-1)の合成) 還流コンデンサー、窒素ガス導入管、攪拌器、滴下装置及び温度計を備えた窒素置換された容器にメチルエチルケトン41.0質量部を仕込み75℃に昇温し、これに2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)を0.12質量部加えた後、スチレン26.0質量部、n-ブチルアクリレート64.0質量部、無水マレイン酸8.0質量部、メチルエチルケトン24.0質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート2.0質量部の溶解混合物と2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.36質量部をそれぞれ3時間かけて滴下し反応を行った。滴下終了から引き続き1時間攪拌を行った後、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.12質量部を追加し、さらに5時間攪拌を行った後、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.2質量部を追加し4.5時間攪拌を行った。 [0114] その後、イソプロピルアルコール40質量部、12.5質量%アンモニア水溶液20.0質量部を加え、無水マレイン酸由来の構造の開環、中和を行った後、水310.0質量部を加えた。これを減圧下、60℃~70℃の温度下でメチルエチルケトン、およびイソプロピルアルコールを除去し、水を加えて濃度調節を行うことによって、前記重合体(A)が水性媒体中に分散した不揮発分20.0質量%のアクリル共重合体水分散体(A-1)を得た。」 (ケ)「[0133] <分散樹脂(P-1)の合成例> BuLiのヘキサン溶液と、スチレンを予めテトラヒドロフランに溶解したスチレン溶液とを、図1に示すチューブリアクターP1及びP2から、T字型マイクロミキサーM1に導入し、リビングアニオン重合させることによって重合体を得た。 [0134] 次に、前記工程で得られた重合体を図1に示すチューブリアクターR1を通じてT字型マイクロミキサーM2に移動させ、前記重合体の成長末端を、チューブリアクターP3から導入した反応調整剤(α-メチルスチレン(α-MeSt))によりトラップした。 [0135] 次いで、tert-ブチルメタクリレートを予めテトラヒドロフランに溶解したtert-ブチルメタクリレート溶液を図1に示すチューブリアクターP4からT字型マイクロミキサーM3に導入し、チューブリアクターR2を通じて移動させた前記トラップされた重合体と、連続的なリビングアニオン重合反応を行った。その後、メタノールを供給することによって前記リビングアニオン重合反応をクエンチすることによってブロック共重合体(PA-1)組成物を製造した。 [0136] 前記ブロック共重合体(PA-1)組成物を製造する際、図1に示すマイクロリアクター全体を恒温槽に埋没させることで、反応温度を24℃に設定した。 [0137] 前記方法で得られたブロック共重合体(PA-1)を構成するモノマーのモル比は、(BuLi/スチレン/α-メチルスチレン/tert-ブチルメタクリレート)=1.0/12.0/1.3/8.1であった。 [0138] 得られたブロック共重合体(PA-1)組成物を、陽イオン交換樹脂で処理することで加水分解した後減圧下で留去し、得られた固体を粉砕することによって、重量平均分子量2710、酸価145の、粉状の分散樹脂(P-1)を得た。」 (コ)「[0141] <水性顔料分散体(B-1)の製造方法> 顔料としてFastogenSuper Magenta RY(DIC株式会社製、C.I.PigmentRed 122)を150質量部、前記分散樹脂(P-1)を30質量部、トリエチレングリコールを150質量部、34質量%水酸化カリウム水溶液11.5質量部を、1.0Lのインテンシブミキサー(日本アイリッヒ株式会社)に仕込み、ローター周速2.94m/s、パン周速1m/sで、60分間混練した。 [0142] 次に、インテンシブミキサー容器内の混練物に、撹拌を継続しながらイオン交換水450質量部を徐々に加えた後、イオン交換水208.5質量部をさらに加え混合することによって、顔料濃度15.0質量%の水性顔料分散体(B-1)を得た。 [0143] <実施例1>水性インクの調製 前記水性顔料分散体(B-1)25.0質量部、界面活性剤(サーフィノール440)1.0質量部、前記アクリル共重合体水分散体(A-1)を30.0質量部、保湿剤としてグリセリンを25.0質量部、トリエチレングリコールを5.0質量部、および合計質量が100となるようイオン交換水を混合し、分散攪拌機(特殊機化工業(株)製のTKホモディスパー L)で十分に攪拌することによって水性インク(C1)を得た。」 (サ)「[0158] <保存安定性(粘度)の評価> 上記方法で製造した直後の水性インクの粘度を、25℃の環境下でE型粘度計を用いて測定した。 [0159] 次に、水性インク20mLをガラス容器に密閉し、60℃で1週間静置した。次に、前記静置後の水性インクの粘度を、E型粘度計を用いて測定した。 [0160] 前記静置後の水性インクの粘度の、前記製造直後の水性インクの粘度からの変化率を下記式に基づき算出し、以下の基準に基づき評価した。 変化率(%)=〔{(前記静置後の水性インクの粘度)-(前記製造直後の水性インクの粘度)}/(前記製造直後の水性インクの粘度)〕 [0161] ◎:±5%以内 〇:±10%未満 △:±10~20%未満 ×:±20%以上」 (シ)「[0167] 実施例及び比較例の水性インクの組成、各種評価結果を表4~6に示す。 [0168][表4] [図:0001416265000002.jpg] ・・・中略・・・ [0171] 表4~6の結果から、本発明のインクは、洗濯堅牢性(グレースケール)が4-5級と極めて良好な洗濯堅牢性および、耐超音波洗浄性にも優れた極めて良好な耐水堅牢性を示しており、インクの保存安定性との両立も可能である。」 イ 引用発明 上記(ア)~(シ)の記載事項を総合すれば、引用文献3には、実施例1として次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「水性顔料分散体(B-1)25.0質量部、界面活性剤(サーフィノール440)1.0質量部、バインダー樹脂として機能する重合体(A)が水性媒体中に分散したアクリル共重合体水分散体(A-1)を30.0質量部、保湿剤としてグリセリンを25.0質量部、トリエチレングリコールを5.0質量部、および合計質量が100となるようイオン交換水を混合し、分散攪拌機(特殊機化工業(株)製のTKホモディスパーL)で十分に攪拌することによって得た水性インク(C1)。」 (3)引用文献5に記載された事項 ア 引用文献5の記載 本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、特開2018-1735号公報(平成30年 1月11日出願公開。以下「引用文献5」という。)には、以下の記載がある。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、インクジェット方式を用いた画像記録方法及びそれに用いる画像記録装置に関する。詳細には、いわゆる光沢性記録媒体に対しても、記録直後から耐擦過性が良好な画像記録方法を提供する。」 (イ)「【0002】近年におけるインクジェット記録技術の進展に伴い、インクジェットによる記録画像は、その高精細・高品位な特性に加えて、優れた堅牢性(耐光性など)が求められるようになってきた。そのために、色材としては、水不溶性の色材、例えば顔料が主流となりつつある。」 (ウ) 「【発明が解決しようとする課題】 ・・・中略・・・ 【0010】 本発明はこれらの課題を鑑みたものであり、顔料インクで記録媒体、特に光沢性記録媒体に印刷した際に、加熱や、紫外線照射を行なうことなく、耐擦過性に優れた画像が形成できる画像記録方法を提案することにある。 【課題を解決するための手段】 【0011】 記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に付与する工程と、前記画像が形成された記録媒体を加圧する工程とを有する画像記録方法であって、 前記記録媒体の最表面の細孔半径が5nm以上20nm以下の範囲にピークを有しており、 前記インクが、樹脂分散顔料、水、アクリル系樹脂粒子、及び水溶性化合物を含有し、 前記樹脂分散顔料の平均粒子径が、液中での動的光散乱法により求められた値で70nm以上150nm以下であり、 前記アクリル系樹脂粒子が、ガラス転移温度が60℃以上、酸価が50~150mgKOH/g、その全体積を100%としたときに小粒径方向から連続した累積体積が50%となる粒子径(D50)が、前記樹脂分散顔料の該粒子径(D50)に対して1.2倍以上、3.5倍以下であり、その含有量が、前記樹脂分散顔料に対して質量比で0.1以上、1.6以下であり、 前記水溶性化合物の含有量が、インク全量に対して3質量%以上、40質量%以下の範囲であり、 前記加圧工程における加圧圧力(P)が下記数式(1) 0.1kPa/cm2≦P≦20kPa/cm2 (1) の範囲である であることを特徴とする画像記録方法を提供する。」 (エ)「【0017】 [1]インク 本発明に用いられるインクは、樹脂分散顔料、アクリル系樹脂粒子、水溶性化合物及び水を含有する。以下、本発明に用いられるインクについて、より詳細に説明する。」 (オ)「【0048】 [1-3]水溶性化合物 本発明に用いられるインクは水を主体とし、水溶性化合物を混合する。本発明に用いられるインクは、インク中における水溶性化合物の含有量を、インク全量に対して3質量%以上、40質量%以下とする。3質量%未満では、ノズル先端部での保湿性が十分に得られずに、吐出不良が発生し、画像掠れが生じる。また、40質量%を超えると、記録媒体へのインク吸収性が低下し、耐擦過性が低下する。 【0049】 インクを調製する上で、保存安定性とノズル先端部での保湿性を調節するために、水溶性化合物の選択は重要である。本発明に使用できるその他の水溶性化合物の例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ジメチルスルホキシド、ジアセトンアルコール、グリセリンモノアリルエーテル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール300、チオジグリコール、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、スルフォラン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、β-ジヒドロキシエチルウレア、ウレア、エチレン尿素、アセトニルアセトン、ペンタエリスリトール、1,4-シクロヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、グリセリンモノアセテート、グリセンリンジアセテート、グリセンリントリアセテート、シクロヘキサノール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1-ブタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、1-メトキシ-2-プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ビスヒドロキシエチルスルフォン等である。 【0050】 中でも好ましい水溶性化合物としては、例えば、グリセリン、トリエチレングリコール、エチレン尿素、トリメチロールプロパン及びビスヒドロキシエチルスルフォンなどが挙げられる。」 (カ)「【0147】 [インクの調製] [インク1] 以下の方法で、インク1を調製した。容器に、色材として樹脂分散顔料濃度14%のブラック顔料分散体21.4部(樹脂分散顔料固形分:3%)を加え、樹脂濃度35%の樹脂エマルション8.6部(アクリル系樹脂粒子固形分:3%)、水溶性化合物として、固体のエチレン尿素の40%水溶液27.5部(エチレン尿素固形分:11%)、グリセリン7部、トリエチレングリコール2部、固体のビスヒドロキシエチルスルフォンの65%水溶液3.1部(ビスヒドロキシルエチルスルフォン固形分:2%)を加えた。さらに、これにノニオン性界面活性剤であるアセチレノールE100(川研ファインケミカル製)0.5部及びNIKKOL BC-20(日光ケミカルズ製)1.0部を加え、残り純水(イオン交換水)を投入して全体を100部とした。これらをプロペラ撹拌機にて30分以上撹拌した後、孔径3.0μmのフィルターで濾過することにより、黒色のインクジェット記録用インク1を得た。」 イ 引用文献5の記載事項 上記(ア)~(カ)の記載事項を総合すれば、引用文献5には、次の記載事項がある。 「樹脂分散顔料、アクリル系樹脂粒子、水溶性化合物及び水を含有するインクジェット記録用インクにおいて、保存安定性とノズル先端部での保湿性を調節するための好ましい水溶性化合物としては、例えば、グリセリン、トリエチレングリコール、エチレン尿素などが挙げられること。」 (4)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 顔料分散液 引用発明の「水性顔料分散体(B-1)」は、顔料を水に分散させたものであり、顔料を含む液体であることは明らかであるから、本件補正発明の「顔料を含む」という要件を満たす「顔料分散液」に相当する。 イ 添加剤 引用発明の「水性インク(C1)」は、「水性顔料分散体(B-1)」、「界面活性剤(サーフィノール440)」、「アクリル共重合体水分散体(A-1)」、「グリセリン」、「トリエチレングリコール」及び「イオン交換水」を混合して得たものであるが、「アクリル共重合体水分散体(A-1)」を添加することにより「水性インク(C1)」を得たともいえる。 したがって、引用発明の「アクリル共重合体水分散体(A-1)」は、本件補正発明の「添加剤」に相当する。 また、引用発明の「アクリル共重合体水分散体(A-1)」は、バインダー樹脂として機能する重合体(A)が水性媒体中に分散したものであるから、本件補正発明の「バインダー樹脂を含む添加剤」という要件を満たす。 ウ インク組成物 上記イのとおり、引用発明の「水性インク(C1)」は、「水性顔料分散体(B-1)」、「界面活性剤(サーフィノール440)」、「アクリル共重合体水分散体(A-1)」、「グリセリン」、「トリエチレングリコール」及び「イオン交換水」という複数の成分を混合して構成されており、組成物であると認められるから、本件補正発明の「インク組成物」に相当する。 また、引用発明の「水性インク(C1)」は、本件補正発明の「前記顔料分散液と前記添加剤とを混合してインク組成物を得」るという要件を満たす。 エ 一致点及び相違点 以上のことから、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。 (一致点) 「顔料を含む顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤とを混合して」得た「インク組成物。」 (相違点1) 本件補正発明は、「顔料を含む顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤との混合時期に基づきインクジェット印刷の印刷物品質を調整する印刷物品質の調整方法であって、前記顔料分散液と前記添加剤とを混合してインク組成物を得てから30分以上1か月以内に前記インク組成物を印刷」するものであるのに対し、引用発明は、「インク組成物」の発明であって、「印刷物品質の調整方法」の発明ではなく、「前記顔料分散液と前記添加剤とを混合してインク組成物を得てから30分以上1か月以内に前記インク組成物を印刷し」ていない点。 (相違点2) 「インク組成物」について、本件補正発明は、「尿素結合を有する化合物を含有する」ものであるのに対し、引用発明は、尿素結合を有する化合物を含有していない点。 (5)判断 以下、上記相違点について検討する。 ア 相違点1について 上記第2の2(2)ア(キ)のとおり、引用文献3には、本発明のインクをインクジェット記録用インクとして使用することが記載されている。 また、上記第2の2(2)ア(コ)のとおり、引用文献3には、実施例1の「水性インク(C1)」を60℃で1週間静置した後の水性インクの粘度の、製造直後の水性インクの粘度からの変化率を算出することにより保存安定性を評価した結果、変化率が「◎:±5%以内」であったことが記載されており、引用発明の「水性インク(C1)」は、60℃という高温で1週間静置しても粘度の変化率が「◎:±5%以内」と良好な保存安定性を示すのであるから、室温において少なくとも1週間以上良好な保存安定性を示すことは明らかである。 また、製造直後の水性インクを用いて印刷を行う場合には、水性インクの保存安定性を評価する必要がないから、引用発明の「水性インク(C1)」を用いて印刷を行う場合には、「水性インク(C1)」を製造して所定期間経過後に印刷を行うことを想定しているものと認められる。 そして、「1か月」という、インク組成物を得てから印刷するまでの期間の上限値は、通常の保存安定性試験が想定している範囲内(必要であれば、特開2018-48282号公報の【0156】、特開2019-163422号公報の【0103】及び特開2019-202418号公報の【0056】等参照)であり、「30分」という上記期間の下限値は、通常、インク組成物の製造から印刷までに要する時間が優に超える値である。 さらに、引用発明の「水性インク(C1)」の粘度が変化すれば、一定の条件にてインクジェット印刷を行った場合の印刷物の品質が変化することも明らかである。 してみれば、引用発明の「水性インク(C1)」を用いてインクジェット印刷を行うにあたり、「水性インク(C1)」を製造してから良好な保存安定性を示す範囲内で印刷までの期間を適宜調整し、「水性インク(C1)」を得てから30分以上1か月以内とすること、すなわち、「顔料を含む顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤との混合時期に基づきインクジェット印刷の印刷物品質を調整する印刷物品質の調整方法であって、前記顔料分散液と前記添加剤とを混合してインク組成物を得てから30分以上1か月以内に前記インク組成物を印刷」する、「印刷物品質の調整方法」を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 そして、本願明細書の実験例A1~A5、B1~B5及びC1~C5を参照しても、インク組成物を得てから30分未満の実験例や、インク組成物を得てから1か月超2か月未満の実験例は記載されていない。 さらに、本願明細書の【0015】に記載された「インク調製後における印刷までの経過時間が30分以上であることにより、混合直後の不均一な混合状態(例えば、インク組成物の粘度が一定でない状態)で印刷を行うことを避けることができる。経過時間が1か月以内であることにより、顔料の過剰な凝集に起因する不具合の発生を抑制しやすい。」という効果についても、インク組成物の混合直後の不均一な混合状態が具体的にどの程度の時間持続するのかや、顔料の過剰な凝集に起因する不具合がインク組成物を得てからどの程度の期間経過後に発生するのかは、インク組成物における顔料やバインダー樹脂の化学構造や含有量、顔料の表面状態やバインダー樹脂における官能基の種類や当量、溶媒の種類、添加剤の種類及び含有量等、様々な要因により大きく変化するものと認められるところ、本件補正発明においては、インク組成物が、顔料を含む顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤と、尿素結合を有する化合物を含有することしか特定されていない。 したがって、「インク組成物を得てから30分以上1か月以内」という本件補正発明の数値範囲に臨界的意義を認めることはできない。 イ 相違点2について 引用発明と引用文献5に記載の発明とは、「インクジェット記録用インク」という共通の技術分野に属するものであり、また、「インクがグリセリン、トリエチレングリコール等の保湿剤を含有する」点で共通の構成を有するものである。 したがって、引用発明の「水性インク(C1)」において、引用文献5の記載事項に基づいて、保湿剤として、グリセリン及びトリエチレングリコールに代えて、あるいは、グリセリン及びエチレングリコールに加えて、グリセリン及びトリエチレングリコール同様に好ましいとされているエチレン尿素を用いることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 また、本願明細書の実験例A1~A5、B1~B5及びC1~C5は、いずれも保湿剤として「エチレン尿素」を含有しており、「エチレン尿素」の有無による効果の差異や他の保湿剤に対する「エチレン尿素」の優位性を確認できないため、「インク組成物が、尿素結合を有する化合物を含有する」ことにより、引用発明からは当業者が予測し得ない顕著な効果を奏するものとは認められない。 ウ 請求人の主張について (ア)請求人は審判請求書において、以下のとおり主張している(審判請求書7~10頁)。 a「また、引用文献3及び4においても、高温を伴う加速試験の保存時間が示されているに過ぎず、顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤とを混合してインク組成物を得てから印刷までの時間に関する情報(特に、インク組成物を得てから30分以上1か月以内にインク組成物を印刷すべきこと)を与えるものではありません。そのため、引用文献2-4では、顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤とを混合してインク組成物を得てから30分以上1か月以内にインク組成物を印刷することについての記載及び示唆、並びに、その動機付けとなる記載は何ら認められません。 また、以上のとおりの引用文献1-4では、「バインダー樹脂が、顔料の分散を不安定化させてインク組成物の保存安定性を低下させ得ること」、「顔料を含む顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤との混合時期を調整すべきこと」、「混合直後の不均一な混合状態で印刷を行うことを避けるために、顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤とを混合してインク組成物を得た直後に印刷することなく敢えて時間を空けるべきこと」、及び、「顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤との混合から印刷までの時間として30分以上1か月以内を選択すべきこと」について何ら認識がありません。 ここで、進歩性の要件充足性の判断について、平成20年(行ケ)第10096号審決取消請求事件、平成20年(行ケ)第10261号審決取消請求事件、平成20年(行ケ)第10153号審決取消請求事件等における判決では、「当該発明が容易想到であると判断するためには,先行技術の内容の検討に当たっても,当該発明の特徴点に到達できる試みをしたであろうという推測が成り立つのみでは十分ではなく,当該発明の特徴点に到達するためにしたはずであるという示唆等が存在することが必要であるというべきであるのは当然である」旨が判示されているところ、上述のとおり、引用文献1-4では、顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤とを混合してインク組成物を得てから30分以上1か月以内にインク組成物を印刷することについての記載及び示唆、並びに、その動機付けとなる記載は何ら認められず、また、「バインダー樹脂が、顔料の分散を不安定化させてインク組成物の保存安定性を低下させ得ること」、「顔料を含む顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤との混合時期を調整すべきこと」、「混合直後の不均一な混合状態で印刷を行うことを避けるために、顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤とを混合してインク組成物を得た直後に印刷することなく敢えて時間を空けるべきこと」、及び、「顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤との混合から印刷までの時間として30分以上1か月以内を選択すべきこと」について何ら認識がありません。さらには、上述のとおり、引用文献1では、インク組成物を調製する時期が吐出前の1分以内であることが好ましいことが記載されているように、インク組成物を調製する時期が吐出前よりも短いことが好ましいと認識されております。そのため、このような引用文献1-4では、顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤とを混合してインク組成物を得た直後に印刷することなく敢えて時間を空けた上で、顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤とを混合してインク組成物を得てから30分以上1か月以内にインク組成物を印刷したはずであるという示唆等は何ら認められず、このような引用文献1-4に基づき、「顔料を含む顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤との混合時期に基づきインクジェット印刷の印刷物品質を調整する印刷物品質の調整方法であって、顔料分散液と添加剤とを混合してインク組成物を得てから30分以上1か月以内にインク組成物を印刷」する印刷物品質の調整方法に想到することは当業者といえども困難です。 b「さらに、引用文献1-4では、インク組成物の含有成分として、尿素結合を有する化合物について記載も示唆もありません。そのため、このような引用文献1-4に基づき、インク組成物の含有成分として、尿素結合を有する化合物を用いることに着想した上で、尿素結合を有する化合物を含有するインク組成物を用いた印刷物品質の調整方法として、「顔料を含む顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤との混合時期に基づきインクジェット印刷の印刷物品質を調整する印刷物品質の調整方法であって、顔料分散液と添加剤とを混合してインク組成物を得てから30分以上1か月以内にインク組成物を印刷」する印刷物品質の調整方法に想到することは当業者といえども更に困難です。」 c「(b3)さらに、上記項目(4)(A)において申し述べましたように、本願発明によれば、顔料と、顔料の分散を不安定化させることによりインク組成物の保存安定性を低下させる添加剤とを分けて用いることから、保存時において顔料の分散を良好に維持してインク組成物の優れた保存安定性を得ることが可能であり、これにより、添加剤の混合時期を調整することによってインクジェット印刷の印刷物品質を好適に調整可能であり、インクジェット印刷の優れた印刷物品質を得ることができます。また、本願発明によれば、インク調製後における印刷までの経過時間が30分以上であることにより、混合直後の不均一な混合状態で印刷を行うことを避けることが可能であると共に、経過時間が1か月以内であることにより、顔料の過剰な凝集に起因する不具合の発生を抑制しやすいことから、30分以上1か月以内にインク組成物を印刷することにより、優れた顔料の分散安定性を得やすいことから優れた吐出安定性を得やすいため、インクジェット印刷の優れた印刷物品質を得やすく、また、分散状態が適度に不安定化した顔料が着弾後に凝集すること等により、モットリングを抑制しやすいと共に発色性等にも」優れ、印刷物品質を更に向上させることができます。 このような本願発明の効果は、「バインダー樹脂が、顔料の分散を不安定化させてインク組成物の保存安定性を低下させ得ること」、「顔料を含む顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤との混合時期を調整すべきこと」、「混合直後の不均一な混合状態で印刷を行うことを避けるために、顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤とを混合してインク組成物を得た直後に印刷することなく敢えて時間を空けるべきこと」、及び、「顔料分散液と、バインダー樹脂を含む添加剤との混合から印刷までの時間として30分以上1か月以内を選択すべきこと」について何ら認識のない引用文献1-4に基づき当業者が予期し得るものではありません。」 (イ)しかしながら、aについては上記ア、bについては上記イで述べたとおりであるから、請求人の上記主張を採用することができない。 加えて、cについては、請求人の主張する「保存時において顔料の分散を良好に維持してインク組成物の優れた保存安定性を得ることが可能」という効果は、本願明細書の段落【0147】~【0148】、【0158】~【0160】の記載から、複数の母液の状態で保存した場合に得られる効果であるといえるところ、複数の母液の状態で保管することは本件補正発明では特定されていないので、採用することができない。そして、上記アで述べたとおり、「インク組成物を得てから30分以上1か月以内」という数値範囲に臨界的意義を認めることはできないから、請求人の上記主張を採用することはできない。 エ 小括 以上のとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献3の記載事項及び引用文献5の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~4に係る発明は、令和 5年 9月22日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の1(1)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概要は、この出願の請求項1~4に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1~4のいずれかに記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 <引用文献等一覧> 引用文献1:特開2010-184428号公報 引用文献2:国際公開第2015/046011号 引用文献3:国際公開第2018/221235号 引用文献4:特開2011-88976号公報 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3及びその記載事項は、上記第2の2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記第2の2で検討した本件補正発明の「添加剤」について、「界面活性剤及び有機溶剤」という選択肢を追加し、「尿素結合を有する化合物」に係る限定事項を削除した発明に該当する。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに「添加剤」の選択肢を限定し、「尿素結合を有する化合物」に係る限定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2の2(4)、(5)に記載したとおり、引用発明、引用文献3の記載事項及び引用文献5の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願発明は「尿素結合を有する化合物」に係る限定事項を有しないから、本願発明は、第2の2(4)、(5)アに記載したとおり、上記引用発明及び引用文献3の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-022193

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