特許拒絶査定不服審判
2023-022144
読取装置及び情報提供システム
- 審判番号
- 2023-022144
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-030516
- 請求日
- 2023年12月26日
- 審決日
- 2024年12月17日
- 公報発行日
- 2025年02月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社NIP
- 【請求人代理人】浅野 哲平
- 【請求人代理人】福屋 好泰
- 審判長/審判官
- 審判長 篠塚 隆
- 審判官 山澤 宏
- 審判官 北元 健太
- 分類
- P18 .121-WY (G07G) / P18 .537-WY (G07G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022- 30516「読取装置及び情報提供システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 4月28日出願公開、特開2022- 66296、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年2月28日にされた特許出願であって、平成29年5月9日に出願した特願2017-93449号を最先の出願とする、いわゆる第3世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の提出日を示す。
最先の出願 :特願2017-093449号(平成29年 5月 9日)
第1世代分割:特願2019-005597号(平成31年 1月16日)
第2世代分割:特願2019-079934号(平成31年 4月19日)
本願 :特願2022-030516号(令和 4年 2月28日)
また、本願の手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 3月 9日付け:拒絶理由通知書
令和5年 7月10日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 9月14日付け:拒絶査定
令和5年12月26日 :拒絶査定不服審判の請求
令和6年 2月15日 :手続補正書(審判請求書の補正)の提出
令和6年 8月30日付け:拒絶理由通知書
令和6年11月 5日 :意見書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和5年9月14日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりであ。
(進歩性)本願請求項1-4、6-7に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明、及び引用文献B-Dに記載された技術事項に基づいて、本願請求項5-7に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明、及び引用文献B-Fに記載された技術事項に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A.特開2015-64673号公報
B.特開2015-207119号公報
C.特開2008-84058号公報
D.特開2010-204787号公報
E.特開2008-288784号公報
F.特開2009-15517号公報
第3 当審拒絶理由の概要
令和6年8月30日付けで通知された拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
1 理由1(サポート要件)
この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
請求項1の記載に「前記筐体および前記シールド部の各々が上向きを含む2方向に開口した状態で、該シールド部内に入れられた前記物品のRFタグから情報を読み取る」とあるが、発明の詳細な説明に対応する記載がされていない。
発明の詳細な説明には、筐体およびシールド部の各々が上向きにのみ開口した状態で、該シールド部内に入れられた物品のRFタグから情報を読み取ることは記載されており、また、変形例として段落【0039】には、筐体およびシールド部の各々に横向きに開口を形成し、筐体の上端には天板を設け、天板には電磁波シールドを貼直させること(すなわち、筐体およびシールド部は上向きには開口が形成されておらず横向きにのみ開口が形成されたもの)、さらに、段落【0040】には、シールド部44に、上向きと横向きの2方向に開口を形成することが記載されている。しかしながら、筐体に、上向きと横向きの2方向に開口を形成することは記載されておらず、発明の詳細な説明に「前記筐体および前記シールド部の各々が上向きを含む2方向に開口した状態で、該シールド部内に入れられた前記物品のRFタグから情報を読み取る」ことが記載されているとは認められない。
2 理由2(進歩性)
本願請求項1-7に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2008-84058号公報(原査定の引用文献C)
2.特開2015-207119号公報(原査定の引用文献B)
第4 本願発明
本願請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、令和6年11月5日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、次のとおりの発明である。
「【請求項1】
物品に付されたRFタグから情報を読み取る据置式の読取装置であって、
前記RFタグと交信するための電波を放射するアンテナと、
筐体内に設けられ、前記アンテナを収容するシールド部と、
を備え
前記シールド部が、上向きに開口し、且つ、横方向においては一方向にのみ開口した状態で、該シールド部内に入れられた前記物品のRFタグから情報を読み取ることを特徴とする、読取装置。
【請求項2】
前記シールド部は、前記筐体内に設けられた水平板よりも上に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記シールド部は、前記筐体の上部に設けられていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記物品は、店舗にある商品であり、
前記シールド部は、前記商品を入れた買い物かごを収容可能であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項5】
前記シールド部は、
前記電波を吸収する電波吸収層と、
前記電波吸収層の外側に形成され、前記電波を反射させる電波反射層と、
を備えることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項6】
前記読み取った情報を送信すること特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の読取装置と、
前記読取装置と通信可能な情報提供装置と、
を備え、
前記情報提供装置は、
前記物品に関する物品情報を前記RFタグの情報に対応付けて記憶する記憶部と、
前記読取装置から前記RFタグの情報を取得する取得部と、
取得した前記RFタグの情報に対応する前記物品情報を前記記憶部から抽出して提供すべき情報を生成する生成部と、
生成された前記提供すべき情報を出力する出力部と、
を備える情報提供システム。」
第5 引用文献の記載、引用発明等
1 引用文献1、引用発明1
(1)引用文献1の記載事項
当審拒絶理由にて引用された引用文献1(引用文献C)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
ア 引用文献1の記載事項
(ア)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のRFID読取装置では、RFIDタグの識別情報を読取るためには、RFIDタグの付いた流通物を収納ケースに収納し、さらに収納ケースをRFID読取装置の中空部内に搬入して開口部を封じるという行為が必要となり、流通物のハンドリングが損なわれ、作業効率が悪くなる。
【0006】
従って、本発明は、ハンドリングを損なわず、作業効率を向上するRFID読取装置およびRFID読取装置の電波出力制御方法を提供することを目的とする。」
(イ)「【0010】
図1は、本発明に係る第1の実施形態のRFID読取装置を概略的に示す斜視図である。
【0011】
RFID読取装置1は、RFIDタグ2が取付けられた流通物3を載せる載置台4と、流通物3のRFIDタグ2の識別情報を読取るRFID読取装置本体5と、シールド部材6で構成されている。
【0012】
載置台4は、上面が平坦な矩形状、例えば四角形状の板状構造に構成されている。
【0013】
RFID読取装置本体5は、四角形状の筐体を有し、筐体の側面側に電波を送受信するためのアンテナ7が設けられている。また、筐体内部にはRFIDタグ2の識別情報を読取るための電子回路部品が内蔵され、筐体前面には読取スイッチ8が設けられている。そして、このRFID読取装置本体5は、アンテナ7をRFID読取装置1の内側にして、載置台4の一端部上に縦置きに取付けられている。したがって、アンテナ7からの送信波は、主に載置台4の上面に沿ってアンテナ7の前方に放射され、アンテナ7の横方向および上方向には余り放出されない。
【0014】
シールド部材6は、第1側板9とこの第1側坂と直交方向に延びる第2側板10とを有するL字状をなし、その第1側板9はRFID読取装置本体5のアンテナ7と対向して、RFID読取装置本体5が取付けられた載置台4の端部と反対側の端部上面に縦置きに取付けられ、また第2側板10はRFID読取装置本体5の端部と第1側板9の端部との間の空隙を塞ぐように載置台4の上に縦置きに取付けられている。
【0015】
シールド部材6の第1側版9は、アンテナ7からの送信波がRFID読取装置1外へ漏洩、およびRFID読取装置1外の流通物3のRFIDタグ2からの送信波の進入を遮断する機能を有し、第2側坂10は、第1側板9と同様に送信波の漏洩、および進入を遮断する機能の他に、流通物3が載置台4を積載する際の位置決めためのストッパーとしての機能を有する。
【0016】
なお、シールド部材6は必ずしも載置台4の上面に取付ける必要はなく、例えば、図2に示すように載置台4の側面に取付けてもよい。
【0017】
そして、このシールド部材6、載置台4およびRFID読取装置本体5によりRFID読取装置1の前後、左右、上下の六方の内、上方と前方が開放された流通物の載置領域12が構成され、流通物3は上方、前方、または斜め上方から流通物の載置領域12内に積載される。」
(ウ)「【図1】
[図:0001419011000001.jpg]
」
(エ)「【0024】
まず、図1に示すように、郵便封筒等の流通物3を、RFIDタグ2をRFID読取装置本体5のアンテナ7側に向けて郵便封筒等の流通物3を流通物の載置領域12内の載置台4上に数十個、例えば30個、横置きに積載する。流通物3の積載は、RFID読取装置1の上方、前方、または斜め上方から流通物3を束にして載置するか、もしくは、個々に載置する。この流通物3の積載においては、流通物3はシールド部材6の第2側板10のストッパー機能により端部が揃えられて載置される。
【0025】
続いて、PCを操作して、もしくはRFID読取装置本体5に設けられた読取開始スイッチ8を操作して、RFID読取装置本体5を駆動して読取動作を開始させる。RFID読取装置本体5では、PCからの所定の読取コマンドがインターフェース部13を介して制御部14に送信され、制御部14から送信された所定の読取コマンドを変調部15で電波に変調して出力部16を介してアンテナ部17から送信され、このアンテナ部17から放射された電波は、流通物の載置領域12内の各RFIDタグ2に送信される。
【0026】
一方、シールド部材6に達した電波は、このシールド部材6で吸収、もしくは反射されてRFID読取装置1から外への漏洩が阻止される。また、RFID読取装置1の近傍に置かれた読取対象外の流通物3におけるRFIDタグ2の読取を防ぐことができる。
【0027】
流通物の載置領域12内のRFIDタグ2では、アンテナ部17からの送信波をタグアンテナ20で受信すると、電源生成部21から各回路部に電源が供給され、記憶部25に記憶された識別情報が制御部22に読出される。制御部22に読み出された識別情報が変調部24に送られ、タグアンテナ20を介して送信される。この流通物3のRFIDタグ2からの電波をRFID読取装置本体5のアンテナ部17で受信し、制御部14、インターフェース部13を介してPCに取り込まれる。
【0028】
読取りが終了すると、流通物3をRFID読取装置1より取り出し、新たな流通物3の読取り作業を続けるか終了するか選択する。このようにして、RFID読取装置1の流通物の載置領域12内にあるRFIDタグ2の識別情報の読み取りが行われる。
【0029】
上記第1の実施の形態のRFID読取装置によると、RFID読取装置1の上方と前方は開いているため流通物3の載置台4への積載作業、および流通物3のRFID読取装置1からの取り出し作業のハンドリングが良く、作業効率は向上する。また、シールド6により、RFID読取装置1外の流通物3のRFIDタグ2の読取を防ぐことができるため、読取精度が向上する。」
イ 引用発明1
上記アの記載内容(特に、下線部を参照)から、上記引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
「RFIDタグ2が取付けられた流通物3を載せる載置台4と、流通物3のRFIDタグ2の識別情報を読取るRFID読取装置本体5と、シールド部材6で構成されているRFID読取装置1において、
RFID読取装置本体5は、四角形状の筐体を有し、筐体の側面側に電波を送受信するためのアンテナ7が設けられ、アンテナ7をRFID読取装置1の内側にして、載置台4の一端部上に縦置きに取付けられており、
シールド部材6は、第1側板9とこの第1側坂と直交方向に延びる第2側板10とを有するL字状をなし、その第1側板9はRFID読取装置本体5のアンテナ7と対向して、RFID読取装置本体5が取付けられた載置台4の端部と反対側の端部上面に縦置きに取付けられ、また第2側板10はRFID読取装置本体5の端部と第1側板9の端部との間の空隙を塞ぐように載置台4の上に縦置きに取付けられており、
シールド部材6の第1側版9は、アンテナ7からの送信波がRFID読取装置1外へ漏洩、およびRFID読取装置1外の流通物3のRFIDタグ2からの送信波の進入を遮断する機能を有し、第2側坂10は、第1側板9と同様に送信波の漏洩、および進入を遮断する機能の他に、流通物3が載置台4を積載する際の位置決めためのストッパーとしての機能を有するものであって、
シールド部材6、載置台4およびRFID読取装置本体5によりRFID読取装置1の前後、左右、上下の六方の内、上方と前方が開放された流通物の載置領域12が構成され、流通物3は上方、前方、または斜め上方から流通物の載置領域12内に積載され、
RFID読取装置1の上方と前方が開いているため流通物3の載置台4への積載作業、および流通物3のRFID読取装置1からの取り出し作業のハンドリングが良く、作業効率が向上し、また、シールド6により、RFID読取装置1外の流通物3のRFIDタグ2の読取を防ぐことができる、
RFID読取装置1。」
2 引用文献2
当審拒絶理由にて引用された引用文献2(引用文献B)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0012】
読取装置10は、読取装置10の主たる外装を構成する筐体11と、筐体11に設けられた買物カゴC(商品G)の出入り口となる開口部Hを開閉するための開閉フタ12とを有する。筐体11の外形は、略箱型の形状を備え、横幅寸法よりも奥行寸法が大きい、奥行方向に長いプロポーションとなっている。ここで、開口部Hは、商品Gを収容するための買物カゴCが通過することが可能な大きさを有する。また、筐体11は、その内部に買物カゴCを収納可能な大きさの読取室13を有する。
【0013】
筐体11及び開閉フタ12は、外部の電波が読取室13内に届くことを防ぐため、電波を反射する部材(電波反射材)又は電波を吸収する部材(電波吸収材)で形成される。係る部材としては、金属やモールド材、フェライト等の公知・公用の電波反射材又は電波吸収材を用いることが可能である。また、例えば、筐体11及び開閉フタ12の外壁(外面)や、読取室13を形成する筐体11及び開閉フタ12の内壁(内面)を、電波反射材又は電波吸収材で覆う構成としてもよい。」
イ 「【0016】
このような構造を備える読取装置10によれば、読取室13に買物カゴCを収容することで、買物カゴCの中の商品G(RFIDタグT)を一括で読み取ることができる。また、RFIDアンテナ15が読み取りを行う読取室13を、客等が存在する空間から隔離することで、読み取りの最中に商品Gが抜き取られる等の不正な操作が行われることを抑制することができる。また、読取装置10(筐体11及び開閉フタ12)の外面を電波反射材や電波吸収材で覆うことで、読取室13を外部の電波(ノイズ)から遮蔽することができるため、誤動作等の発生を防ぐことができる。このように、読取装置10を用いることで、自装置周辺の環境が読み取り動作に及ぼす影響を低減することができるため、RFIDタグTの読み取りを効率的に行うことができる。」
3 引用文献A、引用発明A
(1)引用文献Aの記載事項
原査定の理由にて引用された引用文献Aには、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【図14】
[図:0001419011000002.jpg]
」
イ 「【0045】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るについて説明を行う。なお、第1の実施形態で説明した部分と共通する部分は説明を省略する。
【0046】
第2の実施形態は、BOX部300aのRFIDリーダライタ320a、制御部321a、アンテナ322a及び電源装置340aが、箱部310aの側面に備えられている点が第1の実施形態と異なっている。ここで、図14は、第2の実施形態に係る薬剤監査装置14aの外観を示す斜視図である。第2の実施形態に係る薬剤監査装置14aは、RFIDリーダライタ320a及び電源装置340aが箱部310aの側面に備える。そして、第2の実施形態に係る薬剤監査装置14aは、他の面に遮断板350が備えられている点が第1の実施形態に係る薬剤監査装置14と異なっている。
【0047】
第2の実施形態に係る薬剤監査装置14aは、箱部310aに薬剤が入れられた場合に、薬剤に付されているRFIDタグから薬剤を識別するコード情報を読み取る。よって、RFIDリーダライタ320aは、薬剤を収集する箱部310aに入れられた薬剤のRFIDタグからコード情報を読み取れる程度の電波強度を有していればよい。よって、RFIDリーダライタ320aの通信可能距離は、1m程度あればよい。すなわち、RFIDリーダライタ320aは、13.56MHzの周波数を用いる電子誘導方式での通信を行うタイプが好ましい。
【0048】
また、第2の実施形態に係る薬剤監査装置14aは、箱部310aの側面にアンテナ322aが備えられていることから、外側にある薬剤のRFIDタグを読み取ってしまう可能性がある。そこで、箱部310aは、アンテナ322aが備えられていない側面に、電波を遮断する遮断板350を備えればよい。遮断板350は、例えば、アルミなどの電波を遮断する金属製の板である。または、遮断板350は、例えば、電波を吸収する電波吸収パネルなどでもよい。
【0049】
また、遮断板350は、アンテナ322aが備えられている側面の箱部310aの外側に備えられてもよい。更に、箱部310aの上面や、底面に備えられてもよい。
【0050】
以上のように、第2の実施形態によれば、箱部310aの側面にRFIDリーダライタ320a及びアンテナ322aを備える。そして、第2の実施形態にかかる箱部310aは、他の側面に遮断板350を備える。これにより、外側にある薬剤のRFIDタグを読み取ってしまうことを防止する。よって、RFIDリーダライタ320aの仕様に合わせて箱部310aの底面の大きさ、形状などを変える必要がないことから設計の自由度を向上させることが可能となる。」
ウ 図14(上記ア)によれば、RFIDリーダライタ320a、制御部321a、アンテナ322a及び電源装置340aが、箱部310aの側面の内側に備えられ、遮断板350が、アンテナ322a、RFIDリーダライタ320a及び電源装置340aが備えられていない箱部310aの側面の外側に備えられていることが看取できる。
(2)引用発明A
上記(1)から、引用文献Aには、特に第2の実施形態に注目すると、以下の発明(以下、「引用発明A」という。)が記載されている。
「BOX部300aのRFIDリーダライタ320a、制御部321a、アンテナ322a及び電源装置340aが、箱部310aの側面の内側に備えられている薬剤監査装置14aにおいて、
アンテナ322a、RFIDリーダライタ320a及び電源装置340aが備えられていない箱部310aの側面の外側に遮断板350が備えられており、
箱部310aに薬剤が入れられた場合に、薬剤に付されているRFIDタグから薬剤を識別するコード情報が読み取られる、
薬剤監査装置14a。」
4 引用文献D
原査定の理由にて引用された引用文献Dには、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【図1】
[図:0001419011000003.jpg]
」
イ 「【図2】
[図:0001419011000004.jpg]
」
ウ 「【0020】
図1に示すシステムは、商品組合せ価格表示装置1、計算装置2およびDBサーバ3を有する。装置1,2およびサーバ3は、無線または有線のネットワーク4に接続されており、互いにデータ通信が可能である。また、ネットワーク4には、レジスタ5が接続されている。
【0021】
商品組合せ価格表示装置1は、台11、ICタグ用アンテナ12、検出回路、制御装置14、通信装置15、表示装置16および入力装置17を有する。図2は、本発明の実施の形態に係る商品組合せ価格表示装置1の外観を示す斜視図である。
【0022】
台11は、複数の商品101,102を置くことができるように筐体表面に形成される。ICタグ用アンテナ12は、台11の筐体内側に配置され、電波または電磁波をICタグ111,112へ送出するとともに、ICタグ111,112からの電波または電磁波を感受する。なお、ICタグは、RFIDなどである。」
エ 「【0064】
また、上記実施の形態において、図2に示す装置1を複数個配列させて設置してもよい。その場合、図2に示す装置1の台11の壁に、アンテナ12と別の装置1におけるICタグとの間の電波または電磁波を遮断する遮蔽材を含めてもよい。これにより、隣接する別の装置1に置かれた商品を検出回路13が誤検出しないようにすることができる。」
5 引用文献E
原査定の理由にて引用された引用文献Eには、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0029】
(第1の応用例)
電磁波遮蔽板103は、アンテナ外装102側に電磁波吸収材を有し、この電磁波吸収材のアンテナ外装102側と反対側に電磁波を反射する金属を含む。
【0030】
電磁波を反射する金属は、例えば鉄や銅などの単体に近い材質や、ステンレスなどの合金が挙げられる。」
6 引用文献F
原査定の理由にて引用された引用文献Fには、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【図3】
[図:0001419011000005.jpg]
」
イ 「【0034】
図3は、アンテナ格納壁213Cの図2におけるAA線断面図である。上側がアンテナ格納壁側、すなわち外側であり、下側が内側である。図3(a)に示すように、電磁波吸収材401を、均一に電磁波を反射する金属402に設置してもよい。また、図3(b)に示すように、電磁波吸収材401をモールド形状、すなわち空洞を有する形状にして電磁波を反射する金属402に設置してもよい。いずれも第2のアンテナ404(図1、121Cに相当)は電磁波吸収材401の内側に設置する。他のアンテナ格納壁213B,213D,213Eも同様の構成をなす。」
第6 対比・判断
1 本願発明1について(引用文献1との対比・判断)
(1)対比
ア 引用発明1の「流通物3」、「RFIDタグ2」は、各々、本願発明1の「物品」、「RFタグ」に相当する。
そして、引用発明1の「RFID読取装置1」は、「流通物3のRFIDタグ2の識別情報を読取るRFID読取装置本体5」を有し、また、「RFID読取装置1」の「載置領域12内」に「流通物3」を載置して読み取りが行われるものであって据置式と認められることから、本願発明1の「物品に付されたRFタグから情報を読み取る据置式の読取装置」に相当する。
イ また、引用発明1の「RFID読取装置本体5」の「アンテナ7」は、「RFIDタグ2と」交信するための電波を放射していることは明らかであるから、本願発明1の「前記RFタグと交信するための電波を放射するアンテナ」に相当する。
ウ 引用発明1は、「シールド部材6、載置台4およびRFID読取装置本体5によりRFID読取装置1の前後、左右、上下の六方」を構成するものであり、「シールド部材6」、「RFID読取装置本体5」、「載置台4」によって「RFID読取装置1」の筐体を構成していると認められる。しかしながら、「シールド部材6」は筐体の一部であって、筐体内に設けられるものではない。また、「アンテナ7」は、「RFID読取装置本体5」の「四角形状の筐体」の「側面側」に設けられるものであるが、「RFID読取装置本体5」の「筐体」の「側面」の内側と外側のいずれに設けられているか不明であって、「シールド部材6」が「アンテナ7」を収容しているかは不明である。
したがって、引用発明1の「シールド部材6」と、本願発明1の「筐体内に設けられ、前記アンテナを収容するシールド部」とは、後記の点で相違するものの、「シールド部」の点では共通する。
エ 引用発明1は、「L字状」の「シールド部材6、載置台4およびRFID読取装置本体5によりRFID読取装置1の前後、左右、上下の六方の内、上方と前方が開放された流通物の載置領域12が構成され、流通物3は上方、前方、または斜め上方から流通物の載置領域12内に積載」し読み取りを行うものであって、また、RFID読取装置本体5にはシールドは設けられていないことから、引用発明1は、「シールド部材6」が、上向きに開口し、且つ、横方向において2方向に開口した状態で、該「シールド部材6」内に入れられた「流通物3」の「RFIDタグ2」から情報を読み取るものといえる。
したがって、引用発明1と、本願発明1の「前記シールド部が、上向きに開口し、且つ、横方向においては一方向にのみ開口した状態で、該シールド部内に入れられた前記物品のRFタグから情報を読み取ること」とは、後記の点で相違するものの、「前記シールド部が、上向きに開口し、且つ、横方向において開口した状態で、該シールド部内に入れられた前記物品のRFタグから情報を読み取ること」の点では共通する。
(2)上記(1)から、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点>
「品に付されたRFタグから情報を読み取る据置式の読取装置であって、
前記RFタグと交信するための電波を放射するアンテナと、
シールド部と、
を備え
前記シールド部が、上向きに開口し、且つ、横方向において開口した状態で、該シールド部内に入れられた前記物品のRFタグから情報を読み取ることを特徴とする、読取装置。」
<相違点1>
「シールド部」が、本願発明1では、「筐体内に設けられ、前記アンテナを収容する」ものであるの対して、引用発明1では、「シールド部材6」は筐体を構成するものであって、「アンテナ7」を収容するかは不明な点。
<相違点2>
本願発明では、「前記シールド部が、上向きに開口し、且つ、横方向においては一方向にのみ開口した状態で、・・・RFタグから情報を読み取る」に対して、引用発明1では、「シールド部材6」が、上向きに開口し、且つ、横方向においては二方向に開口した状態で・・・「RFIDタグ2」から情報を読み取る点。
(3)判断
シールド部材について関連する相違点1、2についてまとめて検討する。
引用文献2には、外部の電波が読取室13内に届くことを防ぐため、読取室13を形成する筐体11及び開閉フタ12の内壁(内面)を、電波反射材又は電波吸収材(本願の「シールド部」に相当。)で覆うことが記載されている。しかしながら、引用文献2のものは、開閉フタ12で読取室13を閉めた状態でRFタグから情報を読み取るものであって、シールド部が、上向きに開口し、且つ、横方向においては一方向にのみ開口した状態で、筐体内に設けられたシールド部内に入れられた物品のRFタグから情報を読み取るものではなく、また、そのことが周知の技術であったとも認められない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用文献1に記載された発明、及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2-6について
本願発明2-6は、本願発明1を減縮した発明であり、上記相違点1、2に係る発明特定事項を含むことから、本願発明2-6は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 本願発明7について
本願発明7は、本願発明1から6いずれかの読取装置と情報提供装置を備えた情報提供システムであって、本願発明1と同一の構成を備えるものであり、上記相違点1、2に係る発明特定事項を含むことから、本願発明7は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第7 原査定について
1 本願発明1について(引用文献Aとの対比・判断)
(1)対比
ア 引用発明Aの「薬剤」、「RFIDタグ」は、各々、本願発明1の「物品」、「RFタグ」に相当する。
そして、引用発明Aの「薬剤監査装置14a」は、「RFIDリーダライタ320a」を「箱部310aの側面に備え」、また、「箱部310aに薬剤が入れられた場合に、薬剤に付されているRFIDタグから薬剤を識別するコード情報が読み取られ」ており据置式の読取装置と認められる。
したがって、引用発明Aの「薬剤監査装置14a」は、本願発明1の「物品に付されたRFタグから情報を読み取る据置式の読取装置」に相当する。
イ また、引用発明Aの「アンテナ322a」は、「RFIDタグ」交信するための電波を放射していることは明らかであるから、本願発明1の「前記RFタグと交信するための電波を放射するアンテナ」に相当する。
ウ 引用発明Aの「箱部310a」は、本願発明1の「筐体」に相当する。
また、引用発明Aの「遮断板350」は、「アンテナ322a」が「備えられていない箱部310aの側面」の「外側」に備えられるものであって、また、「アンテナ322a」は、「箱部310aの側面の内側に備えられている」ものである。してみると、引用発明Aの「遮断板350」は、「アンテナ322a」を収容しているといえる。
したがって、引用発明Aの「遮断板350」と、本願発明1の「筐体内に設けられ、前記アンテナを収容するシールド部」とは、後記の点で相違するものの、「前記アンテナを収容するシールド部」の点では共通する。
エ 引用発明Aの「遮断板350」は、「アンテナ322a」が「備えられていない箱部310aの側面」に備えられるものであるから、引用発明Aの「遮断板350」は、上向きに開口し、且つ、横方向においては「アンテナ322a」が「備えられていない」一方向にのみ開口しているといえる。してみると、引用発明Aは、「遮断板350」が、上向きに開口し、且つ、横方向においては一方向にのみ開口した状態で、該「遮断板350」内に入れられた「薬剤」の「RFIDタグ」から情報を読み取るものと認められる。
したがって、引用発明Aは、本願発明1の「前記シールド部が、上向きに開口し、且つ、横方向においては一方向にのみ開口した状態で、該シールド部内に入れられた前記物品のRFタグから情報を読み取ること」に相当する構成を備えているものである。
(2)上記(1)から、本願発明1と引用発明Aとの間には、次の一致点、相違点があるといえる。
<一致点>
「物品に付されたRFタグから情報を読み取る据置式の読取装置であって、
前記RFタグと交信するための電波を放射するアンテナと、
前記アンテナを収容するシールド部と、
を備え
前記シールド部が、上向きに開口し、且つ、横方向においては一方向にのみ開口した状態で、該シールド部内に入れられた前記物品のRFタグから情報を読み取る、読取装置。」
<相違点3>
「シールド部」が、本願発明1では、「筐体内に設けられ」るものであるの対して、引用発明Aでは、「遮断板350」は、箱部310aの側面の外側に設けられるものである点。
(3)判断
相違点3について検討する。
引用文献B(引用文献2)には、外部の電波が読取室13内に届くことを防ぐため、読取室13を形成する筐体11及び開閉フタ12の内壁(内面)を、電波反射材又は電波吸収材(本願の「シールド部」に相当。)で覆うことが記載されている。しかしながら、引用文献2のものは、開閉フタ12で読取室13を閉めた状態でRFタグから情報を読み取るものであって、シールド部が、上向きに開口し、且つ、横方向においては一方向にのみ開口した状態で、筐体内に設けられたシールド部内に入れられた物品のRFタグから情報を読み取るものではない。
そして、引用文献C-Fには、シールド部が、上向きに開口し、且つ、横方向においては一方向にのみ開口した状態で、筐体内に設けられたシールド部内に入れられた物品のRFタグから情報を読み取ることは記載されておらず、また、そのことが周知の技術であったとも認められない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用文献Aに記載された発明、及び引用文献B-Fに記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2-6について
本願発明2-6は、本願発明1と同一の構成を備えるものであり、上記相違点3に係る発明特定事項を含むことから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献Aに記載された発明、及び引用文献B-Fに記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
3 本願発明7について
本願発明7は、本願発明1から6いずれかの読取装置と情報提供装置を備えた情報提供システムであって、本願発明1と同一の構成を備えるものであり、上記相違点3に係る発明特定事項を含むことから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献Aに記載された発明、及び引用文献B-Fに記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
4 小括
以上から、原査定を維持することはできない。
第8 当審拒絶理由について
1 理由1(サポート要件)について
本件補正前の請求項1の「前記筐体および前記シールド部の各々が上向きを含む2方向に開口した状態で、該シールド部内に入れられた前記物品のRFタグから情報を読み取る」という記載は、本件補正により「前記シールド部が、上向きに開口し、且つ、横方向においては一方向にのみ開口した状態で、該シールド部内に入れられた前記物品のRFタグから情報を読み取る」に補正され、発明の詳細な説明における段落【0040】に対応するものであることが明確になったことから、この拒絶の理由は解消された。
2 理由2(進歩性)について
上記第6で説示したとおり、本願発明1-7は、当業者が引用文献1に記載された発明、及び、引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではないから、この拒絶の理由は解消された。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-022144