特許拒絶査定不服審判
2023-021728
積層セラミックコンデンサおよび積層セラミックコンデンサの製造方法
- 審判番号
- 2023-021728
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-235298
- 請求日
- 2023年12月21日
- 審決日
- 2024年09月09日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社村田製作所
- 【請求人代理人】弁理士法人深見特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 信一
- 審判官 ▲高▼橋 徳浩
- 審判官 山本 章裕
- 分類
- P18 .121-Z (H01G) / P18 .56 -Z (H01G) / P18 .57 -Z (H01G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-235298「積層セラミックコンデンサおよび積層セラミックコンデンサの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 6月25日出願公開、特開2020- 98816〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年12月17日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 4年 8月30日付け:拒絶理由通知
令和 4年11月 4日 :手続補正書、意見書の提出
令和 5年 2月 8日付け:最後の拒絶理由通知
令和 5年 6月 7日 :手続補正書、意見書の提出
令和 5年 9年25日付け:令和5年6月7日の手続補正についての補
正の却下の決定
令和 5年 9年25日付け:拒絶査定(原査定)
令和 5年12年21日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和5年12月21日の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和5年12月21日の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】
誘電体層と内部電極とが交互に複数積層され、積層方向において相対する第1の主面および第2の主面と、前記積層方向と直交する幅方向において相対する第1の側面および第2の側面と、前記積層方向および前記幅方向と直交する長さ方向において相対する第1の端面および第2の端面とを有するセラミック素体と、
少なくとも前記セラミック素体の前記第1の端面の一部および前記第2の端面の一部に設けられている外部電極と、
を備え、
前記外部電極は、
Cuを含有し、少なくとも前記セラミック素体の前記第1の端面の一部および前記第2の端面の一部に設けられている下地電極層と、
Pを含有し、少なくとも前記下地電極層の一部を覆うように設けられている第1のめっき層と、
少なくとも前記第1のめっき層の一部を覆うように設けられている第2のめっき層と、
を備え、
前記内部電極は、Cuを含有することを特徴とする積層セラミックコンデンサ。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和4年11月4日の手続補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
誘電体層と内部電極とが交互に複数積層され、積層方向において相対する第1の主面および第2の主面と、前記積層方向と直交する幅方向において相対する第1の側面および第2の側面と、前記積層方向および前記幅方向と直交する長さ方向において相対する第1の端面および第2の端面とを有するセラミック素体と、
少なくとも前記セラミック素体の前記第1の端面の一部および前記第2の端面の一部に設けられている外部電極と、
を備え、
前記外部電極は、
少なくとも前記セラミック素体の前記第1の端面の一部および前記第2の端面の一部に設けられている下地電極層と、
Pを含有し、少なくとも前記下地電極層の一部を覆うように設けられている第1のめっき層と、
少なくとも前記第1のめっき層の一部を覆うように設けられている第2のめっき層と、
を備え、
前記内部電極は、Cu、Ni、Ag、Pd、TiおよびAuからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属、および、前記群より選ばれる2種以上の金属からなる合金のうちの一方からなることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。」
2.補正の適否
本件補正は、
(1)本件補正前の請求項1に記載された「下地電極層」について、「Cuを含有」するという限定を付加するとともに、
(2)本件補正前の請求項1に記載された「内部電極」について、「Cu、Ni、Ag、Pd、TiおよびAuからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属、および、前記群より選ばれる2種以上の金属からなる合金のうちの一方からなる」を「Cuを含有する」に補正するものである。
ここで、上記(2)に係る補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「内部電極」が「Cu、Ni、Ag、Pd、TiおよびAuからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属、および、前記群より選ばれる2種以上の金属からなる合金のうちの一方からなる」ものであったのを、「Cuを含有する」ものに変更するものであって、本件補正前の請求項1に係る発明においては、内部電極はCu、Ni、Ag、Pd、Ti及びAu以外の元素を電極材料として含有しないのに対して(この点については、令和4年11月4日に提出した意見書の第2頁第24~29行の記載も参照)、本件補正後の請求項1に係る発明においては、内部電極はCu以外のあらゆる元素、つまり、Ni、Ag、Pd、Ti及びAu以外の元素をも電極材料として含有し得るものであると解されることから、上記(2)に係る補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定するものではない。
したがって、上記(2)に係る補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正ではない。
また、上記(2)に係る補正は、請求項の削除、誤記の訂正及び明瞭でない記載の釈明を目的とする補正でもない。
してみると、上記(2)に係る補正は、特許法第17条の2第5項各号のいずれを目的とするものでない。
以上のとおり、上記(2)に係る補正を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下され、令和5年6月7日の手続補正についても令和5年9月25日付けで補正却下の決定がなされているので、本願の請求項1ないし7に係る発明は、平成4年11月4日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1.(2)」に記載したとおりのものである。
2.原査定の概要
本願の請求項1に対する原査定(令和5年9月25日付け拒絶査定)の拒絶の理由のうち、理由2(進歩性)の概要は以下のとおりである。
この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献4に記載された発明及び周知の技術事項(下記の引用文献3、5に記載された技術事項)に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献4:特開2007-281125号公報
引用文献3:特開平11-26293号公報
引用文献5:特開2018-81951号公報
3.引用例の記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用文献4として引用された特開2007-281125号公報(以下、「引用例」という。)には、「積層セラミックコンデンサ」について、以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【0002】
一般に、電子部品の代表的な例である積層セラミックコンデンサは、複数の積層された誘電体層と、その界面に沿って形成された複数の層状の内部電極とを含む積層体に対し、前記積層体の表面に露出した内部電極を電気的に接続するよう複数の外部電極が形成されている。この積層セラミックコンデンサの例を図1に示す。
【0003】
図1によると、積層体2における、複数の内部電極4が露出する面、および複数の内部電極5が露出する面に、これらの複数の内部電極を電気的に接続するよう、外部電極6、7が形成されている。一般的な外部電極の形成方法は、まず金属成分とガラス成分とを含む金属ペーストを前記露出する面に塗布し、熱処理して焼き付けることである。
【0004】
そして、外部電極6および7の表面に、Niを主成分とする第1のめっき層8および9が形成され、さらにその表面に、SnまたはAuを主成分とする第2のめっき層10および11が形成される。」
イ.「【0013】
さらに、本発明は、前記電子部品素体が、誘電体層と内部電極層とを交互に積層させた積層体からなることが望ましい。」
ウ.「【0032】
チタン酸バリウム系セラミックを誘電体層とし、Niを主成分とする内部電極層とする、大きさ2.0mm×1.25mm×1.25mmの積層体を1000個用意した。隣り合う内部電極層間の誘電体層の厚みは約1.9μmであった。この積層体の内部電極の端部が露出する面に、Cuを主成分とする電極ペーストを塗布し、焼き付けることによって、外部電極を備える電子部品素体を得た。」
エ.「【0044】
[実施例2] 本実施例は、図1に表される積層セラミックコンデンサの、外部電極上に形成された第1のNiめっき層と第2のAuめっき層において、撥水性粒子を分散させた効果をみたものである。
【0045】
実施例1と同じ積層体を1000個用意し、この積層体にCuを主成分とする電極ペーストを塗布し、焼き付けることによって、外部電極を備える電子部品素体を得た。
【0046】
次に、上記外部電極を形成した積層体を、容積300ccの回転バレル中に投入し、奥野製薬製ICPクリーン91に3分間、奥野製薬製ICPアクセラに1分間浸漬させ、触媒付与を行った。
【0047】
次いで、前記回転バレルを、以下のNi無電解めっき浴に浸漬させた。このとき、第1のめっき層となるNiめっき層に撥水性粒子を分散させる試料12および試料13に関しては、Ni無電解めっき浴中に、ポリテトラフルオロエチレン微粒子を、100g/Lの濃度で分散させた。そして回転数10rpm.にて回転させながら、外部電極上に厚み4.0~5.0μmのNi-Pめっき層を形成した。
〔無電解Niめっき浴組成〕
塩化ニッケル: 30g/L
ホスフィン酸ナトリウム: 10g/L
クエン酸ナトリウム: 10g/L
グリコール酸ナトリウム: 10g/L
pH : 4.2
浴温 : 85℃
次に、Ni-Pめっき層の形成された被めっき物を下記のめっき組成を有する無電解Auめっき浴中に浸漬した。このとき、第2のめっき層となるAuめっき層に撥水性粒子を分散させる試料12および試料14に関しては、Au無電解めっき浴中に、ポリテトラフルオロエチレン微粒子を、100g/Lの濃度で分散させた。置換めっきを施してNi-Pめっき層の表面に、厚み0.1μmのAuめっき層を形成した。
〔無電解Auめっき浴組成〕
亜硫酸金: 5.5g/L
亜硫酸ナトリウム: 15g/L
エチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム: 45g/L
pH : 6.8
浴温 : 85℃
以上のようにして得た積層セラミックコンデンサ100個について、耐湿負荷試験(温度120℃、湿度85%、気圧0.2MPa、印加電圧12.6V)を行った。1000時間経過後に絶縁抵抗値が1MΩ以下になった試料を不良とし、その不良個数を表2に示した。」
オ.【図1】
「
[図:0001416255000001.jpg]
」
(2)上記記載から、引用例には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア.引用例に記載の「積層型セラミックチップコンデンサ」は、上記「(1)ア.」の段落【0002】~【0004】の記載によれば、積層体と、外部電極と、第1のめっき層と、第2のめっき層と、を備えてなるものである。
イ.上記「(1)ア.」の段落【0002】、「(1)イ.」の段落【0013】の記載によれば、積層体は、複数の誘電体層と複数の内部電極とを交互に積層させたものである。
ウ.上記「(1)ウ.」の段落【0032】の記載によれば、積層体は、チタン酸バリウム系セラミックを誘電体層とし、Niを主成分とする内部電極層とする、大きさ2.0mm×1.25mm×1.25mmのものである。
エ.上記「(1)ア.」の段落【0003】、【0004】の記載によれば、積層体における、複数の内部電極が露出する面に外部電極が形成され、外部電極の表面に第1のめっき層が形成され、第1のめっき層の表面に第2のめっき層が形成されるものである。
オ.上記「(1)ア.」の段落【0004】、「(1)エ.」の段落【0044】、【0047】の記載によれば、実施例2において、第1のめっき層はNi-Pめっき層である。
カ.上記「(1)オ.」の【図1】から、積層体は、複数の誘電体層及び複数の内部電極が積層された方向において相対する2つの主面を有するとともに、外部電極、第1のめっき層及び第2のめっき層は、複数の誘電体層及び複数の内部電極が積層された方向と直交する方向において相対する2つの面に設けられ、第1のめっき層が外部電極を覆うように設けられ、かつ、第2のめっき層が第1のめっき層を覆うように設けられて、外部電極、第1のめっき層及び第2のめっき層が一体となって外部端子を形成することが見てとれる。
(3)以上のことから、実施例2に着目し、上記記載及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「積層体と、外部電極と、第1のめっき層と、第2のめっき層と、を備えてなる積層型セラミックチップコンデンサであって、
積層体は、複数の誘電体層と複数の内部電極とを交互に積層させたものであり、
積層体は、チタン酸バリウム系セラミックを誘電体層とし、Niを主成分とする内部電極層とする、大きさ2.0mm×1.25mm×1.25mmのものであり、
積層体における、複数の内部電極が露出する面に外部電極が形成され、外部電極の表面に第1のめっき層が形成され、第1のめっき層の表面に第2のめっき層が形成され、
第1のめっき層はNi-Pめっき層であり、
積層体は、複数の誘電体層及び複数の内部電極が積層された方向において相対する2つの主面を有するとともに、外部電極、第1のめっき層及び第2のめっき層は、複数の誘電体層及び複数の内部電極が積層された方向と直交する方向において相対する2つの面に設けられ、第1のめっき層が外部電極を覆うように設けられ、かつ、第2のめっき層が第1のめっき層を覆うように設けられて、外部電極、第1のめっき層及び第2のめっき層が一体となって外部端子を形成する、
積層型セラミックチップコンデンサ。」
4.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明における「誘電体層」、「内部電極」、「外部端子」、「外部電極」、「第1のめっき層」、「第2のめっき層」は、それぞれ、本願発明でいう「誘電体層」、「内部電極」、「外部電極」、「下地電極層」、「第1のめっき層」、「第2のめっき層」に相当する。
(2)引用発明における「積層体」は、「チタン酸バリウム系セラミックを誘電体層」とするものであり、本願発明でいう「セラミック素体」に相当する。また、引用発明における「積層体」は、「複数の誘電体層と複数の内部電極とを交互に積層させたもの」であり、本願発明でいう「セラミック素体」は、「誘電体層と内部電極とが交互に複数積層され」たものであることに相当する。そして、引用発明における「積層体」は、「大きさ2.0mm×1.25mm×1.25mmのもの」であるから、略直方体の外形を有するものといえ、更に、引用発明における「積層体」は、「複数の誘電体層及び複数の内部電極が積層された方向において相対する2つの主面を有する」ことを踏まえると、積層方向において相対する第1の主面及び第2の主面と、積層方向と直交する幅方向において相対する第1の側面及び第2の側面と、積層方向及び幅方向と直交する長さ方向において相対する第1の端面及び第2の端面と、を有することになる。
したがって、本願発明と引用発明とは、「誘電体層と内部電極とが交互に複数積層され、積層方向において相対する第1の主面および第2の主面と、前記積層方向と直交する幅方向において相対する第1の側面および第2の側面と、前記積層方向および前記幅方向と直交する長さ方向において相対する第1の端面および第2の端面とを有するセラミック素体」を備えるものである点で一致する。
(3)上記(1)に記載したように、引用発明における「外部端子」は、本願発明でいう「外部電極」に相当する。そして、引用発明において、「外部電極、第1のめっき層及び第2のめっき層は、複数の誘電体層及び複数の内部電極が積層された方向と直交する方向において相対する2つの面に設けられ」、「外部電極、第1のめっき層及び第2のめっき層が一体となって外部端子を形成する」ものであり、引用発明における「外部端子」も、「複数の誘電体層及び複数の内部電極が積層された方向と直交する方向において相対する2つの面に設けられ」るものである。ここで、当該「複数の誘電体層及び複数の内部電極が積層された方向と直交する方向において相対する2つの面」は、本願発明でいう「第1の端面」及び「第2の端面」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明とは、「少なくとも前記セラミック素体の前記第1の端面の一部および前記第2の端面の一部に設けられている外部電極」を備えるものである点で一致する。
(4)上記(1)に記載したように、引用発明における「外部電極」は、本願発明でいう「下地電極層」に相当する。そして、引用発明において、「外部電極」は、「複数の誘電体層及び複数の内部電極が積層された方向と直交する方向において相対する2つの面に設けられ」るものであり、上記(3)に記載したように、当該「複数の誘電体層及び複数の内部電極が積層された方向と直交する方向において相対する2つの面」は、本願発明でいう「第1の端面」及び「第2の端面」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明とは、「前記外部電極は、少なくとも前記セラミック素体の前記第1の端面の一部および前記第2の端面の一部に設けられている下地電極層」を備えるものである点で一致する。
(5)引用発明における「第1のめっき層」は「Ni-Pめっき層」であり、本願発明でいう「第1のめっき層」が「Pを含有」するものであることに相当する。また、引用発明における「第1のめっき層」は「外部電極を覆うように設けられ」るものであり、本願発明でいう「第1のめっき層」が「下地電極層」を「覆うように設けられている」ものであることに相当する。
したがって、本願発明と引用発明とは、「Pを含有し、少なくとも前記下地電極層の一部を覆うように設けられている第1のめっき層」を備えるものである点で一致する。
(6)引用発明における「第2のめっき層」は「第1のめっき層を覆うように設けられ」るものであり、本願発明でいう「第2のめっき層」が「第1のめっき層」を「覆うように設けられている」ものであることに相当する。
したがって、本願発明と引用発明とは、「少なくとも前記第1のめっき層の一部を覆うように設けられている第2のめっき層」を備えるものである点で一致する。
(7)本願発明では、「前記内部電極は、Cu、Ni、Ag、Pd、TiおよびAuからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属、および、前記群より選ばれる2種以上の金属からなる合金のうちの一方からなる」ことを特定するのに対して、引用発明では、「内部電極層」は「Niを主成分とする」ものである点で相違する。
(8)そして、引用発明における「積層型セラミックチップコンデンサ」は、本願発明における「積層セラミックコンデンサ」に相当するものである。
よって、上記(1)ないし(8)によれば、本願発明と引用発明とは、
「誘電体層と内部電極とが交互に複数積層され、積層方向において相対する第1の主面および第2の主面と、前記積層方向と直交する幅方向において相対する第1の側面および第2の側面と、前記積層方向および前記幅方向と直交する長さ方向において相対する第1の端面および第2の端面とを有するセラミック素体と、
少なくとも前記セラミック素体の前記第1の端面の一部および前記第2の端面の一部に設けられている外部電極と、
を備え、
前記外部電極は、
少なくとも前記セラミック素体の前記第1の端面の一部および前記第2の端面の一部に設けられている下地電極層と、
Pを含有し、少なくとも前記下地電極層の一部を覆うように設けられている第1のめっき層と、
少なくとも前記第1のめっき層の一部を覆うように設けられている第2のめっき層と、
を備えることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。」
である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点]
本願発明では、「前記内部電極は、Cu、Ni、Ag、Pd、TiおよびAuからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属、および、前記群より選ばれる2種以上の金属からなる合金のうちの一方からなる」ことを特定するのに対して、引用発明では、「内部電極層」は「Niを主成分とする」ものである点。
5.判断
上記相違点について検討する。
例えば原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用された特開平11-26293号公報(特に、段落【0054】を参照)、引用文献5として引用された特開2018-81951号公報(特に、段落【0046】を参照)、更には、特開2018-98386号公報(特に、段落【0102】を参照)に記載されているように、コンデンサ等の電子部品において、内部電極として、Niからなる金属や、Ni、Cu、Ag、Pd及びAuからなる群から選ばれた金属または合金を用いることは、周知の技術事項である。よって、引用発明における「Niを主成分とする内部電極層」の具体的な材料として、上記周知の技術事項の材料からNiを主成分とするものを適宜選択し、内部電極層を、Niからなる金属、または、Niを主成分とするものであって、Niと、Cu、Ag、Pd及びAuからなる群から選ばれた金属との合金からなるものとすることは、当業者が容易に想到し得たことであり、その場合、上記相違点に係る「前記内部電極は、Cu、Ni、Ag、Pd、TiおよびAuからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属、および、前記群より選ばれる2種以上の金属からなる合金のうちの一方からなる」という構成を充足するものとなる。
よって、本願発明は、引用発明及び周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-021728