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特許拒絶査定不服審判

2023-021163

電磁波シールドフィルム及び回路基板

審判番号
2023-021163
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-173735外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年12月12日
審決日
2024年10月15日
公報発行日
2024年11月29日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-WY (H05K) / P18 .121-WY (H05K) / P18 .161-WY (H05K) / P18 .537-WY (H05K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条の2、特許法第41条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-173735「電磁波シールドフィルム及び回路基板」拒絶査定不服審判事件〔令和3年4月1日出願公開、特開2021-52083、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和元年9月25日の出願であって、その手続の経緯は、概略、次のとおりである。 令和5年 4月27日付け 拒絶理由通知書 令和5年 5月26日 意見書、手続補正書の提出 令和5年 9月 6日付け 拒絶査定 令和5年12月12日 審判請求書の提出 令和6年 6月21日付け 拒絶理由通知書 令和6年 8月23日 意見書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和5年9月6日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。 1 理由1(明確性) 請求項1に記載の「負荷面積率Smr(50%)」について、明細書等に「負荷面積率Smr(50%)」の定義又は測定方法が記載されておらず、当業者が見ても「負荷面積率Smr(50%)」の技術的意味を理解できない。 請求項1を引用する請求項2-4についても同様である。 したがって、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 2 理由2(新規性) 本願の請求項1,4に係る発明は、特開2019-121731号公報(以下「引用文献A」という。)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 3 理由3(進歩性) 本願の請求項1-4に係る発明は、引用文献Aに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第3 当審拒絶理由の概要 令和6年6月21日付けで当審において通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は、次のとおりである。 本願の請求項1-4に係る発明は、以下の先願1の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載された発明と同一であり、しかも、本願の発明者が先願1に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本願の出願の時において、その出願人が先願1の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特願2018-210569号(国際公開第2020/095919号) 2.「光学測定装置OLS4100」, [online], 2013年6月21日, オリンパス株式会社, [2024年6月11日検索], インターネット <URL: https://web.archive.org/web/20130621170844/http://www.olympus-ims.com:80/ja/metrology/ols4100/> 3.特開2019-73622号公報 4.特開2018-177949号公報 第4 本願発明 本願の請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、令和5年5月26日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であり、次のとおりの発明である。 「 【請求項1】 金属を含むシールド層と、前記シールド層の一方の面に接して積層された絶縁樹脂層と、前記シールド層の他方の面に接して積層された導電性接着剤層と、を備える電磁波シールドフィルムであって、 前記導電性接着剤層は導電性粒子を含み、 前記導電性接着剤層における、被着物の表面と接着される面の負荷面積率Smr(50%)が25~98%である、電磁波シールドフィルム。 ここで、前記負荷面積率Smr(50%)は、レーザーマイクロスコープ(OLS4100、オリンパス社製)を用い、ISO 25178-2:2012に準拠して測定した値である。 【請求項2】 前記導電性粒子の体積平均粒子径が2~30μmである、請求項1に記載の電磁波シールドフィルム。 ただし、前記体積平均粒子径は、レーザー回折散乱法で測定された体積平均粒子径である。 【請求項3】 前記導電性接着剤層の厚みが、前記導電性粒子の体積平均粒子径よりも薄く、かつ、5~10μmである、請求項2に記載の電磁波シールドフィルム。 【請求項4】 基板の少なくとも一方の面に回路が設けられた回路基板本体と、 前記一方の面に接して配置された絶縁フィルムと、 前記絶縁フィルムの表面に接して配置された請求項1~3のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルムと、 を備え、 前記電磁波シールドフィルムにおける前記導電性接着剤層が、前記絶縁フィルムに接着している、回路基板。」 第5 引用文献、引用発明等 1 先願1及び先願発明 (1)先願1の当初明細書等の記載 特許法第41条第1項の規定による優先権の主張の基礎とされ、同法第184条の15第2項の規定により読み替えて適用される同法第41条第3項の規定により出願公開されたものとみなされる、当審拒絶理由に引用された先願1の当初明細書等には、次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。 ア 「【0041】 図1は、本発明の第1実施形態に係る電磁波シールドフィルムの断面の一例を模式的に示す断面図である。 図1に示すように、電磁波シールドフィルム1は、シールドフィルム部10と保護部20を備えている。 シールドフィルム部10は、接着剤層11、シールド層12及び絶縁層13を備えている。 保護部20は、保護フィルム21及び粘着剤層22を備えている。 以下、電磁波シールドフィルム1の各構成について詳述する。 【0042】 (シールドフィルム部) シールドフィルム部10は、電磁波シールド性を発揮させるための部分である。 接着剤層11は、プリント配線板に電磁波シールドフィルムを貼り付ける際にプリント配線板に対する接着力を発揮させるための層である。 接着剤層は熱硬化性樹脂を含む層であることが好ましく、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含み熱硬化性であることがより好ましい。 接着剤層が上記樹脂を含み熱硬化性であると、耐熱性が良好である。 【0043】 接着剤層は、そのTgが0~100℃である樹脂を含むことが好ましい。 本明細書における樹脂のTgは樹脂のガラス転移点であり、以下のようにして測定することができる。 まず、示差走査熱量分析計(例えば、セイコー電子工業株式会社製、商品名「DSC220型」)にて、測定試料5mgをアルミパンに入れ、蓋を押さえて密封する。次に、220℃で5分間維持して試料を完全に溶融させた後、液体窒素で急冷し、その後-150℃から250℃まで、20℃/分の昇温速度で加熱する。そして、横軸を昇温時間、縦軸を試料の温度とした座標に得られたデータをプロットして曲線を描く。当該曲線の変曲点をガラス転移点Tgとする。 【0044】 接着剤層は、粘着剤層と接する側の接着剤層の表面の負荷面積率Smr(c)が50%となる高さcが2~15μmである。 また、粘着剤層と接する側の接着剤層の表面の算術平均粗さRaが0.7~1.2μmであることが好ましい。粘着剤層と接する側の接着剤層の表面の算術平均粗さRaが0.7μm未満であると、保護フィルムの貼り合わせはできるが、保護フィルムを剥がしにくくなる。また、粘着剤層と接する側の接着剤層の表面の算術平均粗さRaが1.2μmを超えると、粘着剤層と接着剤層の密着性が保てなくなり、電磁波シールドフィルムを取扱う際に、保護フィルムが接着剤層から脱落し易くなる。 接着剤層の表面の負荷面積率Smr(c)が50%となる高さcは、ISO 25178-6(2010)で定められる3次元表面性状のパラメータである。また、接着剤層の表面の算術平均粗さRaは、JIS B 0601(2001)で定められる表面粗さパラメータである。 これらのパラメータは、コンフォーカル顕微鏡(Lasertec社製、OPTELICS HYBRID)等の表面形状測定機に付随する解析ソフトウェアを用いて測定することができる。 【0045】 本発明の電磁波シールドフィルムにおける接着剤層は、プリント配線板との接着力を発揮させるための硬化が進んでいない状態、すなわち未硬化状態であることが好ましい。 接着剤層のゲル分率を測定して接着剤層中のゲル分率が10~50質量%であれば接着剤層が未硬化状態であるといえるので、接着剤層のゲル分率が10~50質量%であることが好ましく、接着剤層のゲル分率が10~30質量%であることがより好ましい。 【0046】 なお、接着剤層の「ゲル分率」とは以下のようにして求めることができる。 100メッシュの金網を幅30mm、長さ100mmに裁断し、重量(W1)を測定する。続いて、10mm、長さ80mmの接着剤層を前述の金網で包み試験片とし、重量(W2)を測定する。作製した試験片をTHF(テトラヒドロフラン)中に侵漬させて、25℃で1時間振とう後、試験片をTHFから取り出し、150℃で10分間乾燥したあと、重量(W3)を測定する。下記計算式[2]を用いて、溶解せずに金網に残った成分の重量分率をゲル分率として算出する。 (W3-W1)/(W2-W1)×100 [%][2] 【0047】 接着剤層には、必要に応じて、硬化促進剤、粘着性付与剤、酸化防止剤、顔料、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、充填剤、難燃剤、粘度調節剤等が含まれていてもよい。 【0048】 また、接着剤層は、導電性を有する接着剤層(以下、導電性接着剤層ともいう)であることも好ましい。 接着剤層が導電性接着剤層であると、電磁波シールドフィルムの接着剤層と外部グランドとを電気的に接続させることにより、グランド回路と外部グランドとを電気的に接続させることができる。 接着剤層が導電性接着剤層である場合、導電性接着剤層は導電性粒子と樹脂から構成されていてもよい。 樹脂としては上記した樹脂を使用することができる。 【0049】 導電性粒子としては、特に限定されないが、金属微粒子、カーボンナノチューブ、炭素繊維、金属繊維等であってもよい。 【0050】 導電性粒子が金属微粒子である場合、金属微粒子としては、特に限定されないが、銀粉、銅粉、ニッケル粉、ハンダ粉、アルミニウム粉、銅粉に銀めっきを施した銀コート銅粉、高分子微粒子やガラスビーズ等を金属で被覆した微粒子等であってもよい。 これらの中では、経済性の観点から、安価に入手できる銅粉又は銀コート銅粉であることが望ましい。 【0051】 導電性粒子の形状は、特に限定されないが、球状、扁平状、リン片状、デンドライト状、棒状、繊維状等から適宜選択することができる。 導電性接着剤層は、異方導電性を有していても、等方導電性を有していてもよい。 【0052】 シールド層12は、導電性を有する層であり、金属からなることが好ましい。 シールド層は、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、スズ、パラジウム、クロム、チタン、亜鉛等の材料からなる層を含んでいてもよく、銅層を含むことが望ましい。 銅は、導電性及び経済性の観点からシールド層にとって好適な材料である。 なお、シールド層は、上記金属の合金からなる層を含んでいてもよい。 また、シールド層としては金属箔を用いてもよく、スパッタリングや無電解めっき、電解めっき等の方法で形成された金属膜であってもよい。 【0053】 また、シールド層が導電性接着剤層であってもよい。シールド層が導電性接着剤層である場合、接着剤層は絶縁性の接着剤層であってもよく、接着剤層も導電性接着剤層であってもよい。 シールド層及び接着剤層がいずれも導電性接着剤層である場合、その組成は同じであっても異なっていてもよい。 【0054】 絶縁層13は充分な絶縁性を有し、接着剤層11及びシールド層12を保護できれば特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、活性エネルギー線硬化性組成物等から構成されていることが望ましい。 上記熱可塑性樹脂組成物としては、特に限定されないが、スチレン系樹脂組成物、酢酸ビニル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、ポリエチレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂組成物、イミド系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物等が挙げられる。 【0055】 上記熱硬化性樹脂組成物としては、特に限定されないが、エポキシ系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、ウレタンウレア系樹脂組成物、スチレン系樹脂組成物、フェノール系樹脂組成物、メラミン系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物及び アルキッド系樹脂組成物からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂組成物が挙げられる。 【0056】 上記活性エネルギー線硬化性組成物としては、特に限定されないが、例えば、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合物等が挙げられる。 【0057】 絶縁層は、1種単独の材料から構成されていてもよく、2種以上の材料から構成されていてもよい。 【0058】 絶縁層には、必要に応じて、硬化促進剤、粘着性付与剤、酸化防止剤、顔料、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、充填剤、難燃剤、粘度調節剤、ブロッキング防止剤等が含まれていてもよい。 【0059】 絶縁層の厚さは、特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができるが、1~15μmであることが望ましく、3~10μmであることがより望ましい。 絶縁層の厚さが1μm未満であると、薄すぎるので接着剤層及びシールド層を充分に保護しにくくなる。 絶縁層の厚さが15μmを超えると、厚すぎるので電磁波シールドフィルムが折り曲がりにくくなり、また、絶縁層自身が破損しやすくなる。そのため、耐折り曲げ性が要求される部材へ適用しにくくなる。 【0060】 シールドフィルム部においては、シールド層と絶縁層との間にアンカーコート層が形成されていてもよい。 アンカーコート層の材料としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂をシェルとしアクリル樹脂をコアとするコア・シェル型複合樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、アミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ポリイソシアネートにフェノール等のブロック化剤を反応させて得られたブロックイソシアネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。」 (当審注:段落【0044】に「ISO 25718」と記載されているのは、段落【0098】の記載に照らして「ISO 25178」の明らかな誤記であるので、誤記を正して摘記した。) イ 「【0081】 (シールドプリント配線板の製造方法) 次に、本発明のシールドプリント配線板の製造方法について説明する。 本発明のシールドプリント配線板の製造方法では、本発明の電磁波シールドフィルムを使用する。 【0082】 図4(a)、図4(b)及び図4(c)は、本発明のシールドプリント配線板の製造方法の一例を模式的に示す工程図である。 図4(a)には本発明の電磁波シールドフィルム1を示している。 まず、保護部20を電磁波シールドフィルム1から剥離する。 本発明の電磁波シールドフィルムでは、粘着剤層と接する側の接着剤層の表面の負荷面積率Smr(c)が50%となる高さcが2~15μmであり、粘着剤層を構成する樹脂の貯蔵弾性率が0.1~0.5MPaであるので、保護フィルムを含む保護部を接着剤層から容易に剥離することができる。 【0083】 図4(b)には保護部を剥離した電磁波シールドフィルム、すなわちシールドフィルム部10を示している。また、電磁波シールドフィルムを接着する対象となるプリント配線板の一例としてのプリント配線板40を示している。 プリント配線板40は、ベースフィルム41と、ベースフィルム41上に形成されたプリント回路42と、プリント回路42を覆うように形成されたカバーレイ43からなる。 【0084】 プリント配線板40を構成するベースフィルム41及びカバーレイ43の材料は、特に限定されないが、エンジニアリングプラスチックからなることが望ましい。このようなエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、架橋ポリエチレン、ポリエステル、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイドなどの樹脂が挙げられる。 また、これらのエンジニアリングプラスチックの内、難燃性が要求される場合には、ポリフェニレンサルファイドフィルムが望ましく、耐熱性が要求される場合にはポリイミドフィルムが望ましい。なお、ベースフィルム41の厚みは、10~40μmであることが望ましい。また、カバーレイ43の厚みは、10~30μmであることが望ましい。 【0085】 プリント配線板40を構成するプリント回路42は、特に限定されないが、導電性材料をエッチング処理すること等により形成することができる。 導電材料としては、銅、ニッケル、銀、金等が挙げられる。 【0086】 保護部の剥離によって露出した接着剤層11をプリント配線板40に向けて接触させて、シールルドフィルム部10をプリント配線板40に接着することで、図4(c)に示すようなシールドプリント配線板50が得られる。 【0087】 接着剤層が熱硬化性樹脂を含む場合には、シールドフィルム部をプリント配線板に接触させた後に熱を加えて熱硬化性樹脂を硬化させてシールドフィルム部とプ リント配線板の接着を行うことが好ましい。 上記工程により、本発明の電磁波シールドフィルムを使用してシールドプリント配線板を製造することができる。」 ウ 「【0095】 以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 【0096】 (実施例1) まず、転写フィルムとして、片面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。 次に、転写フィルムの剥離処理面にエポキシ樹脂を塗工し、電気オーブンを用い、100℃で2分間加熱し、厚さ5μmの絶縁層を作製した。 その後、絶縁層の上に、無電解めっきにより2μmの銅層を形成した。当該銅層は、シールド層となる。 【0097】 次に、アミド変性エポキシ樹脂100.0部(Tg:60℃)、銀コート銅粉(平均粒子径D50:15μm)49.6部、及び、有機リン系難燃剤(クラリアントケミカル製、OP935)49.6部を混合し、接着剤層用組成物を作製した。 この接着剤層用組成物を銅層の上に塗工し、電気オーブンを用い、100℃で2分間加熱し、厚さ15μmの接着剤層を作製した。 上記工程によってシールドフィルム部を作製した。 【0098】 接着剤層の表面の負荷面積率及び算術平均粗さをコンフォーカル顕微鏡(Lasertec社製、OPTELICS HYBRID、対物レンズ20倍)を用いて、電磁波シールドフィルムの絶縁層の表面の任意の5か所を測定した後、データ解析ソフト(LMeye7)を用いて表面の傾き補正を行い、ISO 25178-6:2010に準拠して表面性状を測定し、その算術平均を得た。なお、Sフィルタのカットオフ波長は0.0025mm、Lフィルタのカットオフ波長は0.8mmとした。その結果、負荷面積率Smr(c)が50%となる高さcが8.26μmであった。 【0099】 次に、保護フィルムとして、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。 保護フィルムに、20℃での貯蔵弾性率が0.232MPaであるアクリル系粘着剤(粘着剤A-1:Tg -20℃)を塗工して粘着剤層を形成した。 【0100】 粘着剤層を接着剤層に向けて保護フィルムを重ね合わせ、熱ロールラミネーター を用いて、温度40℃、圧力0.4MPaで保護フィルムの貼り合わせを行った。 上記工程により電磁波シールドフィルムを製造した。」 エ 「【図1】 [図:0001416247000001.jpg] 」 オ 「【図4】 [図:0001416247000002.jpg] 」 カ 上記エから、シールド層12の一方の面に接して絶縁層13が積層され、シールド層の他方の面に接して接着剤層11が積層されることが見て取れる。 (2)先願発明 上記(1)から、特に下線を付した記載に着目すると、先願1の当初明細書等には次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されていると認められる。 「シールドフィルム部10を備え、 シールドフィルム部10は、接着剤層11、シールド層12及び絶縁層13を備え、 接着剤層は、接着剤層の表面の負荷面積率Smr(c)が50%となる高さcが2~15μmであり、接着剤層の表面の負荷面積率Smr(c)が50%となる高さcは、ISO 25718で定められる3次元表面性状のパラメータであり、このパラメータは、コンフォーカル顕微鏡等を用いて測定することができ、 接着剤層は、導電性接着剤層であり、 シールド層12は、金属からなり、 絶縁層13は充分な絶縁性を有し、樹脂組成物から構成され、 銀コート銅粉(平均粒子径:15μm)を混合し、接着剤層用組成物を作製し、厚さ15μmの接着剤層を作製し、 シールド層12の一方の面に接して絶縁層13が積層され、シールド層の他方の面に接して接着剤層11が積層され、 ベースフィルム41と、ベースフィルム41上に形成されたプリント回路42と、プリント回路42を覆うように形成されたカバーレイ43からなり、カバーレイ43の材料はプラスチックからなるプリント配線板40に向けて接着剤層11を接触させて、シールドフィルム部10をプリント配線板40に接着することで、シールドプリント配線板50が得られる、 電磁波シールドフィルム1。」 2 引用文献2-4及び参考文献 (1)引用文献2の記載 当審拒絶理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。 「さらに進化した粗さ測定性能 OLS4100搭載パラメーター OLS4100は表面粗さ測定機の新基準をめざし開発されました。必要なほぼ全ての粗さパラメーター、フィルターを搭載しています。これにより、触針式表面粗さ測定機をご使用のお客様にとって抵抗のない操作性、互換性のある出力結果を実現しました。 さらに、OLS4100では粗さ専用モードを搭載し、自動ラインステッチングで最大100mmの長寸法線粗さの測定が可能です。OLS4100は、触針式表面粗さ測定機と同様の粗さ(2次元)パラメーターを搭載しています。触針式表面粗さ測定機と同様の操作性、互換性のある測定結果を得ることができます。 断面曲線 Pp, Pv, Pz, Pc, Pt, Pa, Pq, Psk, Pku, Psm, PΔq, Pmr(c), Pδc, Pmr 粗さ曲線 Rp, Rv, Rz, Rc, Rt, Ra, Rq, Rsk, Rku, Rsm, RΔq, Rmr(c), Rδc, Rmr, RZJIS, Ra75 うねり曲線 Wp, Wv, Wz, Wc, Wt, Wa, Wq, Wsk, Wku, Wsm, WΔq, Wmr(c), Wδc, Wmr 負荷曲線 Rk, Rpk, Rvk, Mr1, Mr2 モチーフ R, Rx, AR, W, Wx, AW, Wte 粗さ(JIS1994) Ra(JIS1994), Ry, Rz(JIS1994), Sm, S, tp その他 R3z, P3z, PeakCount 次世代のパラメーターへの対応 OLS4100は、ISO25178準拠した粗さ(3次元)パラメーターを搭載しています。面領域での評価を行うことで、より信頼性の高い解析が可能です。 振幅パラメーター Sq, Ssk, Sku, Sp, Sv, Sz, Sa 機能パラメーター Smr(c), Sdc(mr), Sk, Spk, Svk, SMr1, SMr2, Sxp 体積パラメーター Vv(p), Vvv, Vvc, Vm(p), Vmp, Vmc 横方向パラメーター Sal, Str」 (2)引用文献3の記載 当審拒絶理由に引用された引用文献3には、次の事項が記載されている。 ア 「【0014】 本実施形態の導電性接着剤層101は、図1に示すように、バインダ樹脂102と、バインダ樹脂102中に分散した導電性フィラー103とを含む導電性接着剤の層である。導電性フィラー103は、円形度の10%累積値が0.65以下、好ましくは0.60以下である。また、導電性フィラー103は、面積包絡度の10%累積値が0.70以下、好ましくは0.65以下である。円形度及び面積包絡度は小さい方がよいが、導電性接着剤層の厚み方向、面方向で良好な導電性が得られるという観点からは、円形度の10%累積値は、0.50以上、好ましくは0.55以上であり、面積包絡度の10%累積値は、0.50以上、好ましくは0.55以上である。 【0015】 円形度とは、粒子の投影像と面積が等しい円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値である。円形度が大きいほど真円に近い形状となる。円形度は、実施例において説明する方法により測定することができる。面積包絡度とは、粒子の投影像の面積を、粒子投影像の包絡面積で割った値である。面積包絡度が小さいほど凹凸を有する複雑な形状となる、面積包絡度は、実施例において説明する方法により測定することができる。n%累積値とは、頻度累積を100%とした場合の、n%累積に相当する値である。円形度及び面積包絡度は、実施例において示す方法により求めることができる。」 イ 「【図1】 [図:0001416247000003.jpg] 」 ウ 「【0019】 導電性フィラー103のメジアン径(D50)は、特に限定されないが、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上で、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは18μm以下である。導電性フィラー103のメジアン径をこのような範囲とすることにより、シールドフィルムをプリント配線基板に貼り付ける際等に用いるのに適した、厚さが数μm~数十μmの導電性接着剤層を容易に得ることができる。導電性フィラーのメジアン径は、レーザ回折式粒子径分布測定装置や、フロー式粒子像分析装置等の既知の方法により測定することができる。」 エ 「【0030】 導電性接着剤層101の厚さは、導電性フィラー103の粒径に応じて調整する。良好な導電性を実現する観点から、導電性接着剤層101の厚さは導電性フィラー103のメジアン径の好ましくは1.4倍以下、より好ましくは1.3倍以下である。また、導電性フィラーのメジアン径の好ましくは+4μm以下、より好ましくは+3μm以下である。良好な塗工を行う観点から、導電性接着剤層101の厚さは導電性フィラー103のメジアン径の好ましくは0.6倍以上、より好ましくは0.7倍以上である。また、導電性フィラーのメジアン径の好ましくは-4μm以上、より好ましくは-3μm以上である。」 オ 「【0032】 導電性接着剤層101を形成する基層は、用途に応じて選択することができる。電磁波シールドフィルムの場合には、図1に示すように保護層105とシールド層106との積層体とすることができる。 【0033】 保護層105は、充分な絶縁性を有し、導電性接着剤層101及び必要な場合にはシールド層106を保護できれば特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は活性エネルギー線硬化性樹脂等を用いて形成することができる。」 カ 「【0036】 シールド層106は、金属薄膜や導電性フィラー等により構成することができる。金属薄膜である場合には、ニッケル、銅、銀、錫、金、パラジウム、アルミニウム、クロム、チタン、及び亜鉛等のいずれか、又は2つ以上を含む合金により構成することができる。金属薄膜は、金属箔を用いたり、アディティブ法によって金属を堆積したりすることにより製造することができる。アディティブ法としては、電解メッキ法、無電解メッキ法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、真空蒸着法、化学気相堆積(CVD)法、又はメタルオーガニック堆積(MOCVD)法等を用いることができる。」 キ 「【0051】 (実施例1) 導電性フィラーとして、メジアン径(D50)が10μm、円形度の10%累積値が0.51、50%累積値が0.72、面積包絡度の10%累積値が0.52、50%累積値が0.77である、Agコート電解Cu粉を用いた。導電性接着剤層の厚さが7μm、10μm、及び13μmのいずれの場合においても、表面抵抗及び接続抵抗は良好であった。 【0052】 (実施例2) 導電性フィラーとして、D50が11μm、円形度の10%累積値が0.58、50%累積値が0.74、面積包絡度の10%累積値が0.57、50%累積値が0.80である、Agコート電解Cu粉を用いた。導電性接着剤層の厚さが8μm、11μm、及び14μmのいずれの場合においても、表面抵抗及び接続抵抗は良好であった。 【0053】 (実施例3) 導電性フィラーとして、D50が12μm、円形度の10%累積値が0.56、50%累積値が0.75、面積包絡度の10%累積値が0.55、50%累積値が0.81である、Agコート電解Cu粉を用いた。導電性接着剤層の厚さが9μm、12μm、及び15μmのいずれの場合においても、表面抵抗及び接続抵抗は良好であった。」 ク 「【0061】 【表1】 [図:0001416247000004.jpg] 」 ケ 「【0056】 (比較例1) 導電性フィラーとして、D50が10μm、円形度の10%累積値が0.72、50%累積値が0.90、面積包絡度の10%累積値が0.76、50%累積値が0.93である、Agコート電解Cu粉を用いた。導電性接着剤層の厚さが7μmの場合には表面抵抗及び接続抵抗は良好であった。厚さが10μmの場合には表面抵抗は許容範囲内であり、接続抵抗は不良であった。厚さが13μmの場合には、表面抵抗及び接続抵抗は不良であった。 【0057】 (比較例2) 導電性フィラーとして、D50が10μm、円形度の10%累積値が0.83、50%累積値が0.96、面積包絡度の10%累積値が0.83、50%累積値が1.0である、AgコートアトマイズCu粉(球状)を用いた。導電性接着剤層の厚さが7μmの場合には表面抵抗及び接続抵抗は良好であった。厚さが10μmの場合には表面抵抗は許容範囲内であり、接続抵抗は不良であった。厚さが13μmの場合には、表面抵抗及び接続抵抗は不良であった。 【0058】 (比較例3) 導電性フィラーとして、D50が12μm、円形度の10%累積値が0.83、50%累積値が0.96、面積包絡度の10%累積値が0.83、50%累積値が1.0である、AgコートアトマイズCu粉(球状)を用いた。導電性接着剤層の厚さが9μmの場合には表面抵抗及び接続抵抗は良好であった。厚さが12μmの場合には表面抵抗は許容範囲内であり、接続抵抗は不良であった。厚さが15μmの場合には、表面抵抗及び接続抵抗は不良であった。」 コ 「【0062】 【表2】 [図:0001416247000005.jpg] 」 (3)引用文献4の記載 当審拒絶理由に引用された引用文献4には、次の事項が記載されている。 ア 「【0065】 図1は、第一実施形態の電磁波シールドフィルム1を示す断面図であり、図2は、第二実施形態の電磁波シールドフィルム1を示す断面図である。 電磁波シールドフィルム1は、絶縁樹脂層10と;絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と;金属薄膜層22の絶縁樹脂層10とは反対側に隣接する接着剤層24と;絶縁樹脂層10の金属薄膜層22とは反対側に隣接する第1の離型フィルム30と;接着剤層24の金属薄膜層22とは反対側に隣接する第2の離型フィルム40とを有する。」 イ 「【図1】 [図:0001416247000006.jpg] 」 ウ 「【0079】 (導電性接着剤層) 導電性接着剤層は、少なくとも厚さ方向に導電性を有し、かつ接着性を有する。 導電性接着剤層としては、厚さ方向に導電性を有し、面方向には導電性を有さない異方導電性接着剤層24、または厚さ方向および面方向に導電性を有する等方導電性接着剤層26が挙げられる。導電層(I)における導電性接着剤層としては、導電性接着剤層を薄くでき、導電性粒子の量が少なくなり、その結果、電磁波シールドフィルム1を薄くでき、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる点からは、異方導電性接着剤層24が好ましい。導電層(I)における導電性接着剤層としては、電磁波シールド層として十分に機能できる点からは、等方導電性接着剤層26が好ましい。 【0080】 本実施形態における導電性接着剤層として、本発明の第一態様の熱硬化性組成物又は第二態様の硬化物からなる塗膜が用いられている。前記塗膜は熱硬化性であるため、耐熱性に優れる。また、前記2種以上の化合物(1)を含有しているので、比較的穏やかなラミネート処理によって容易に接着することができる。また、熱プレス時にも速やかに硬化するので、熱プレス時に組成物中の成分が流出することが抑制されているとともに、硬化後の硬度及び難燃性にも優れる。さらに、前記エポキシ基含有化合物及び化合物(2)を含有する場合には、金属薄膜層22に対する接着性が特に優れる。 導電性接着剤層を構成する前記熱硬化性組成物の硬化の程度は特に制限されず、未硬化状態、Bステージ化された状態、完全硬化状態のいずれであってもよい。 導電性接着剤層を構成する前記硬化物は、Bステージよりも未硬化に近い状態、Bステージ化された状態、完全に硬化した状態のいずれであってもよい。 【0081】 熱硬化性の異方導電性接着剤層24は、例えば、導電性粒子24bを含む熱硬化性組成物24aによって構成される。 熱硬化性の等方導電性接着剤層26は、例えば、導電性粒子26bを含む熱硬化性組成物26aによって構成される。 【0082】 前記熱硬化性組成物は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシ変性ニトリルゴム、アクリルゴム等)、粘着付与剤等を含んでいてもよい。 前記熱硬化性組成物は、必要に応じて前記化合物(1)以外の難燃剤を含んでいてもよい。 前記熱硬化性組成物は、導電性接着剤層の強度を高め、打ち抜き特性を向上させるために、セルロース樹脂、ミクロフィブリル(ガラス繊維等)を含んでいてもよい。 前記熱硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。 【0083】 導電性粒子としては、金属(銀、白金、金、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、ハンダ等)の粒子、黒鉛粉、焼成カーボン粒子、めっきされた焼成カーボン粒子等が挙げられる。導電性粒子としては、導電性接着剤層が適度の硬さを有するようになり、熱プレスの際の導電性接着剤層における圧力損失を低減できる点からは、金属粒子が好ましく、銅粒子がより好ましい。 【0084】 異方導電性接着剤層24における導電性粒子24bの平均粒子径は、2μm以上26μm以下が好ましく、4μm以上16μm以下がより好ましい。導電性粒子24bの平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の厚さを確保することができ、十分な接着強度を得ることができる。導電性粒子24bの平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、異方導電性接着剤層24の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。 【0085】 等方導電性接着剤層26における導電性粒子26bの平均粒子径は、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.2μm以上1μm以下がより好ましい。導電性粒子26bの平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、導電性粒子26bの接触点数が増えることになり、3次元方向の導通性を安定的に高めることができる。導電性粒子26bの平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。 【0086】 異方導電性接着剤層24における導電性粒子24bの割合は、異方導電性接着剤層24の100体積%のうち、1体積%以上30体積%以下が好ましく、2体積%以上15体積%以下がより好ましい。導電性粒子24bの割合が前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の導電性が良好になる。導電性粒子24bの割合が前記範囲の上限値以下であれば、異方導電性接着剤層24の接着性、流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)が良好になる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。 【0087】 等方導電性接着剤層26における導電性粒子26bの割合は、等方導電性接着剤層26の100体積%のうち、50体積%以上80体積%以下が好ましく、60体積%以上70体積%以下がより好ましい。導電性粒子26bの割合が前記範囲の下限値以上であれば、等方導電性接着剤層26の導電性が良好になる。導電性粒子26bの割合が前記範囲の上限値以下であれば、等方導電性接着剤層26の接着性、流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)が良好になる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。 【0088】 導電性接着剤層の180℃における貯蔵弾性率は、1×103Pa以上5×107Pa以下が好ましく、5×103Pa以上1×107Pa以下がより好ましい。導電性接着剤層の180℃における貯蔵弾性率が前記範囲の下限値以上であれば、導電性接着剤層がさらに適度の硬さを有するようになり、熱プレスの際の導電性接着剤層における圧力損失を低減できる。その結果、導電性接着剤層とプリント配線板のプリント回路とが十分に接着され、導電性接着剤層が絶縁フィルムの貫通孔を通ってプリント配線板のプリント回路により確実に電気的に接続される。導電性接着剤層の180℃における貯蔵弾性率が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。その結果、電磁波シールドフィルム1が絶縁フィルムの貫通孔内に沈み込みやすくなり、導電性接着剤層が絶縁フィルムの貫通孔を通ってプリント配線板のプリント回路により確実に電気的に接続される。 【0089】 異方導電性接着剤層24の表面抵抗は、1×104Ω以上1×1016Ω以下が好ましく、1×106Ω以上1×1014Ω以下がより好ましい。異方導電性接着剤層24の表面抵抗が前記範囲の下限値以上であれば、導電性粒子24bの含有量が低く抑えられる。異方導電性接着剤層24の表面抵抗が前記範囲の上限値以下であれば、実用上、異方性に問題がない。 【0090】 等方導電性接着剤層26の表面抵抗は、0.05Ω以上2.0Ω以下が好ましく、0.1Ω以上1.0Ω以下がより好ましい。等方導電性接着剤層26の表面抵抗が前記範囲の下限値以上であれば、導電性粒子26bの含有量が低く抑えられ、導電性接着剤の粘度が高くなりすぎず、塗布性がさらに良好となる。また、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)をさらに確保できる。等方導電性接着剤層26の表面抵抗が前記範囲の上限値以下であれば、等方導電性接着剤層26の全面が均一な導電性を有するものとなる。 【0091】 異方導電性接着剤層24の厚さは、3μm以上25μm以下が好ましく、5μm以上15μm以下がより好ましい。異方導電性接着剤層24の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。異方導電性接着剤層24の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。 【0092】 等方導電性接着剤層26の厚さは、5μm以上20μm以下が好ましく、7μm以上17μm以下がより好ましい。等方導電性接着剤層26の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、等方導電性接着剤層26の導電性が良好になり、電磁波シールド層として十分に機能できる。また、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができ、耐折性も確保でき繰り返し折り曲げても等方導電性接着剤層26が断裂することはない。等方導電性接着剤層26の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。」 (4)参考文献 当審において新たに引用する特許第6431998号公報(以下「参考文献」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【0025】 (最大山高さSp) また、本実施形態に係る導電性接着剤層100は、表面における最大山高さSpが1.3μm以上、30μm以下であることが好ましい。このように、本実施形態に係る導電性接着剤層100は、その表面性状を特定するパラメータとして、最大山高さSpを特定の範囲に制御することで、被着体に対する仮止め工程後の密着性をより向上させ、仮止め工程後の導電性接着剤層100の位置ずれをより防止することができる。 【0026】 最大山高さSpは、凹凸表面の平均面からの山高さの最大値を示し、最大山高さSpが大きいほど高い山を有する表面となる。 【0027】 導電性接着剤層100の表面における最大山高さSpが大きい場合、すなわち高い山を有する表面であると、その高い山が障害となって被着体との接着面積が小さくなり、このことで被着体に対する仮止め工程後の接着強度が不十分となる。 【0028】 そのため、導電性接着剤層100の表面を、最大山高さSpが特定の範囲である、最も高い山の山高さが比較的低い表面にすることにより、被着体との接着面積をより増加させ、被着体に対する仮止め工程後の密着性をより向上させることできる。 【0029】 したがって、最大山高さSpは、被着体との接着面積をより増加させ、被着体に対する仮止め工程後の密着性をより向上させる観点から、好ましくは1.3μm以上、より好ましくは1.6μm以上である。また、最も高い山の山高さが比較的低い表面に近付けることにより、被着体との接着面積をより増加させ、被着体に対する仮止め工程後の密着性をより向上させる観点から、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下である。」 イ 「【0033】 本実施形態に係る導電性接着剤層100は、バインダ樹脂110と、導電性フィラー120とを含有する導電性接着剤により形成される。」 ウ 「【0039】 また、導電性フィラー120の平均粒径D50は、導電性接着剤層100の厚さなどに応じて適宜設定すればよい。具体的には、導電性接着剤層100の厚さが5μm程度の場合、好ましくは3μm程度、より好ましくは5μm程度である。また、導電性接着剤層100の厚さが15~60μm程度の場合、好ましくは20μm程度、より好ましくは15μm程度である。」 エ 「【0059】 また、本実施形態に係る電磁波シールドフィルム200は、プリント配線基板(図示せず)のグランド回路と導通するように、本実施形態に係る導電性接着剤層100を接着することにより、該導電性接着剤層100を電磁波に対するシールドとして機能させることができる。なお、図3に示すように、本実施形態に係る電磁波シールドフィルム200は、絶縁保護層210と導電性接着剤層100との間にシールド層220を設けることもできる。 【0060】 (絶縁保護層) 絶縁保護層210は、充分な絶縁性を有し、導電性接着剤層100およびシールド層220を保護できれば特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂などを用いて形成することができる。」 オ 「【図3】 [図:0001416247000007.jpg] 」 カ 「【0063】 (シールド層) シールド層220は、導電性を有していればよく、例えば、金属薄膜、導電性フィラー、金属蒸着フィルムなどにより構成することができる。金属薄膜は、例えば、ニッケル、銅、銀、錫、金、パラジウム、アルミニウム、クロム、チタン、亜鉛などのいずれか、または2つ以上を含む合金により構成することができる。金属薄膜は、例えば、金属箔を用いたり、アディティブ法によって金属を堆積したりすることにより製造することができる。アディティブ法としては、例えば、電解メッキ法、無電解メッキ法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、真空蒸着法、化学気相堆積(CVD)法、またはメタルオーガニック堆積(MOCVD)法などを用いることができる。」 3 引用文献A及び引用発明 (1)引用文献Aの記載 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Aには、次の事項が記載されている。 ア 「【0015】 図1に、本発明の一態様に係る電磁波シールドフィルム100を示す。図1に示す通り、電磁波シールドフィルム100は、絶縁性保護層110と、シールド層120と、接着剤層130とをこの順に有する。シールド層120における接着剤層130側の表面は、RSmが40μm以上100μm以下である。 【0016】 (絶縁性保護層) 絶縁性保護層は、シールド層を保護するために設けられる。絶縁性保護層は、例えば絶縁性樹脂組成物から構成されるコーティング層および/またはフィルム等であってよい。」 イ 「【図1】 [図:0001416247000008.jpg] 」 ウ 「【0033】 (シールド層) シールド層は、導電性を有する限り特に制限されず、金属膜、または導電性粒子からなる導電膜等であってよい。」 エ 「【0046】 シールド層は、負荷面積率Smr2(以下、Smr2ともいう)が好ましくは92%以上、より好ましくは94%以上、さらに好ましくは95%以上、特にこのましくは95.5%以上である。Smr2の上限は、通常100%未満であるが、生産性の観点から99%以下であってもよい。Smr2が92%以上である場合、プリント配線板を伝送する高周波信号の伝送損失を抑制し易くなると共にプリント配線板のグランド回路との接続性を良化し易くなる傾向にある。 【0047】 負荷面積率Smr2は、ISO 25178-2:2012に規定されるパラメーターである。図3に概念的に示される通り、Smr2は、粗さ曲線についての負荷曲線の中央部分において、負荷面積率Smrの差ΔSmrを40%にして引いた負荷曲線の割線が、最も緩い傾斜となる直線を等価直線とし、等価直線が負荷面積率0%と100%の位置で縦軸と交わる二つの高さ位置の間をコア部としたときに、負荷曲線が突出谷部とコア部との境界線と交わる点における負荷面積率をいう。Smr2は、後述の実施例において説明するSmr2の測定方法に従って求めた値である。なお、負荷曲線は、面についての負荷曲線のことであり、切断レベルの負荷面積率に対する関数で表される。 【0048】 Smr2は、例えば絶縁性保護層やシールド層を構成する材料の選択、絶縁性保護層やシールド層の製造条件の調節などの手段により所望の値とすることができるが、本発明の電磁波シールドフィルムは、これらの手段により得られたものに限定されない。 【0049】 シールド層は、負荷面積率Smr1(以下、Smr1ともいう)が好ましくは17%以上、より好ましくは18%以上、さらに好ましくは20%以上、特にこのましくは22%以上である。一方、Smr1は、通常50%以下である。Smr1が17%以上である場合、プリント配線板を伝送する高周波信号の伝送損失を抑制し易くなると共にプリント配線板のグランド回路との接続性が良化し易くなる傾向にある。 【0050】 負荷面積率Smr1は、ISO 25178-2:2012に規定されるパラメーターである。図3に概念的に示される通り、Smr1は、粗さ曲線についての負荷曲線の中央部分において、負荷面積率Smrの差ΔSmrを40%にして引いた負荷曲線の割線が、最も緩い傾斜となる直線を等価直線とし、等価直線が負荷面積率0%と100%の位置で縦軸と交わる二つの高さ位置の間をコア部としたときに、負荷曲線が突出山部とコア部との境界線と交わる点における負荷面積率をいう。Smr1は、後述の実施例において説明するSmr1の測定方法に従って求めた値である。なお、負荷曲線は、面についての負荷曲線のことであり、切断レベルの負荷面積率に対する関数で表される。 【0051】 Smr1は、例えば絶縁性保護層やシールド層を構成する材料の選択、絶縁性保護層やシールド層の製造条件の調節などの手段により所望の値とすることができるが、本発明の電磁波シールドフィルムは、これらの手段により得られたものに限定されない。」 オ 「【0053】 接着剤層は、絶縁性であってもよいし導電性であってもよい。接着剤層が導電性である場合には、異方導電性であっても等方導電性であってもよい。しかし、伝送損失を抑制する観点、薄膜化および製造コスト等の観点から、接着剤層は導電性フィラーを含まないこと(即ち絶縁性であること)が好ましい。 【0054】 接着剤層が導電性フィラーを含有する場合、導電性フィラーとしては、例えば金属フィラー、カーボンフィラーおよびこれらの混合物等が挙げられる。金属フィラーとしては、例えば銀、銅、ニッケル等の金属粉等が挙げられ、これらは金または銀でコーティングされたものであってもよい。」 (2)引用発明 上記(1)から、特に下線を付した記載に着目すると、引用文献Aには次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「絶縁性保護層110と、シールド層120と、接着剤層130とをこの順に有し、 絶縁性保護層は、絶縁性樹脂組成物から構成され、 シールド層は、金属膜であり、 シールド層は、負荷面積率Smr2が好ましくは92%以上、より好ましくは94%以上、さらに好ましくは95%以上、特にこのましくは95.5%以上であり、負荷面積率Smr2は、ISO 25178-2:2012に規定されるパラメーターであり、 シールド層は、負荷面積率Smr1が好ましくは17%以上、より好ましくは18%以上、さらに好ましくは20%以上、特にこのましくは22%以上であり、負荷面積率Smr1は、ISO 25178-2:2012に規定されるパラメーターであり、 接着剤層は、導電性であり、 接着剤層が導電性フィラーを含有し、導電性フィラーは、金属フィラーであり、金属フィラーは、金属粉である、 電磁波シールドフィルム100。」 第6 対比及び判断 1 先願発明との対比及び判断 (1)本願発明1について ア 対比 本願発明1と先願発明を対比すると、次のことがいえる。 (ア)先願発明の「シールド層12」は、「金属からな」るものであるから、本願発明1の「金属を含むシールド層」に相当する。 先願発明の「絶縁層13」は、「シールド層12の一方の面に接して」「積層され」たものであり、「充分な絶縁性を有し、樹脂組成物から構成され」たものであるから、本願発明1の「前記シールド層の一方の面に接して積層された絶縁樹脂層」に相当する。 先願発明の「接着剤層11」は、「シールド層の他方の面に接して」「積層され」たものであり、「導電性接着剤層であ」るから、本願発明1の「前記シールド層の他方の面に接して積層された導電性接着剤層」に相当する。 したがって、先願発明の「電磁波シールドフィルム1」は、「接着剤層11、シールド層12及び絶縁層13を備え」た「シールドフィルム部10を備え」るものであるから、本願発明1の「金属を含むシールド層と、前記シールド層の一方の面に接して積層された絶縁樹脂層と、前記シールド層の他方の面に接して積層された導電性接着剤層と、を備える電磁波シールドフィルム」に相当する。 (イ)先願発明の「銀コート銅粉(平均粒子径:15μm)」は、本願発明1の「導電性粒子」に相当する。 したがって、先願発明における「銀コート銅粉(平均粒子径:15μm)を混合し、接着剤層用組成物を作製し、厚さ15μmの接着剤層を作製」することは、作製された接着剤層11に銀コート銅粉(平均粒子径:15μm)が含まれることとなるから、上記(ア)を踏まえると、本願発明1における「導電性接着剤層は導電性粒子を含」むことに相当する。 (ウ)先願発明の「接着剤層の表面」は、「プリント配線板40に向けて接着剤層11を接触させて、シールドフィルム部10をプリント配線板40に接着する」のに用いる面であるから、本願発明1の「被着物の表面と接着される面」に相当する。 先願発明における「負荷面積率Smr(c)が50%となる高さcが2~15μmであ」ることは、本願発明1における「負荷面積率Smr(50%)が25~98%である」ことと、負荷面積率Smr(c)が所定の高さcにおいて50%となる点で共通する。 してみれば、先願発明における「接着剤層は、接着剤層の表面の負荷面積率Smr(c)が50%となる高さcが2~15μmであ」ることは、本願発明1における「前記導電性接着剤層における、被着物の表面と接着される面の負荷面積率Smr(50%)が25~98%である」ことと、導電性接着剤層における、被着物の表面と接着される面の負荷面積率Smr(c)が所定の高さcにおいて50%となる点で共通するが、後記イ(イ)の点で相違する。 (エ)先願発明における「接着剤層の表面の負荷面積率Smr(c)が50%となる高さcは、ISO 25178で定められる3次元表面性状のパラメータであり、このパラメータは、コンフォーカル顕微鏡等を用いて測定することができ」ることは、コンフォーカル顕微鏡がレーザーマイクロスコープの一種であることが技術常識であることから、上記(ウ)を踏まえると、本願発明1における「前記負荷面積率Smr(50%)は、レーザーマイクロスコープ(OLS4100、オリンパス社製)を用い、ISO 25178-2:2012に準拠して測定した値である」ことと、負荷面積率に関連するパラメータの少なくとも1つをレーザーマイクロスコープを用いてISO 25178に準拠して測定している点で共通するが、後記イ(ウ)の点で相違する。 イ 一致点及び相違点 上記アから、本願発明1と先願発明の間には、次の(ア)のとおりの一致点及び(イ)-(ウ)のとおりの相違点があるといえる。 (ア)一致点 「金属を含むシールド層と、前記シールド層の一方の面に接して積層された絶縁樹脂層と、前記シールド層の他方の面に接して積層された導電性接着剤層と、を備える電磁波シールドフィルムであって、 前記導電性接着剤層は導電性粒子を含み、 前記導電性接着剤層における、被着物の表面と接着される面の負荷面積率Smr(c)が所定の高さcで50%である、電磁波シールドフィルム。」 (イ)相違点1 本願発明1では、負荷面積率Smr(c)が25~98%である高さcが50%の高さであるのに対し、先願発明では、負荷面積率Smr(c)が50%となる高さcが、2~15μmと特定されており、50%の高さであるかが明らかでない点。 (ウ)相違点2 本願発明1では、負荷面積率Smr(50%)が、オリンパス社製OLS4100を用い、ISO 25178-2:2012に準拠して測定した値であるのに対し、先願発明では、負荷面積率Smr(50%)を測定することが特定されていない点。 ウ 相違点についての判断 まず、相違点1について検討する。 (ア)負荷面積率Smr(c)における高さcは、請求人が令和6年8月23日提出の意見書の第二において指摘するとおり、粗さを構成する谷(凹部)の最深部(測定した表面粗さデータにおける「最低高さ」)の位置からの高さであって、粗さを構成する山(凸部)の最頂部(測定した表面粗さデータにおける「最高高さ」)までの値をとるものと認められる。 (イ)絶縁保護層と導電性接着剤層の間にシールド層を設けた電磁波シールドフィルムにおいて、平均粒径15μm程度の導電性フィラーを含有する厚さ15μmの導電性接着剤層の表面における最大山高さSpがとり得る値に4~15μmが含まれることが、上記第5の2(4)に摘記したとおり参考文献に記載されているように、本願の出願前における技術常識と把握できることに鑑みれば、先願発明における接着剤層の表面の最高高さは4~15μmとなり得る。 また、先願発明における接着剤層の厚さが15μmであることに鑑みれば、接着剤層の表面の最低高さの上限は15μmであるから、先願発明における接着剤層の表面の最低高さは0~15μmとなり得る。 してみれば、先願発明における接着剤層の表面の最低高さから最高高さまでの値(以下「Rt」という。)は4~30μmとなり得るから、先願発明の「接着剤層の表面の負荷面積率Smr(c)」について高さc=50%に当たるRt/2は、2~15μmの値をとり得る。 (ウ)先願発明において「接着剤層の表面の負荷面積率Smr(c)が50%となる高さcが2~15μmであ」ることから、先願発明には、4~30μmの範囲でとり得る任意のRtに対して、接着剤層の表面の負荷面積率Smr(c)が50%となる高さcがRt/2である態様が常に含まれることとなる。 したがって、先願発明は、接着剤層の表面の負荷面積率Smr(50%)が50%となる態様を含み得るものであるといえる。 (エ)しかしながら、上記(イ)は、Rtが必ず4~30μmとなることをいうものではなく、Rtがこの範囲外の値をとる場合、Rt/2は2~15μmの範囲外の値をとることとなる。このとき、先願発明における接着剤層の表面の負荷面積率Smr(50%)は50%とならず、その値は不明であるから、先願発明の「接着剤層の表面の負荷面積率Smr(c)」に係る構成は、本願発明1の「導電性接着剤層における、被着物の表面と接着される面の負荷面積率Smr(50%)が25~98%である」構成と一致しない。 そして、Rtが4~30μmの範囲の値をとる場合においても、先願発明における「接着剤層の表面の負荷面積率Smr(c)が50%となる高さc」として、「2~15μm」の数値範囲からRt/2を選択すべきことは、引用文献2-4、参考文献及び引用文献Aに記載されておらず、本願の出願前における周知技術又は慣用技術であったと認められないから、先願発明に対する周知技術又は慣用技術の付加、削除、転換等によっては、本願発明1の相違点1に係る構成に至らない。 (オ)したがって、相違点1は、課題解決のための具体的手段における微差に当たらないから、本願発明1は、相違点2について判断するまでもなく、先願発明と同一であるとはいえない。 (2)本願発明2-4について 本願発明2-4は、いずれも本願発明1を減縮したものであり、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、先願発明と同一であるとはいえない。 2 引用発明との対比及び判断 (1)本願発明1について ア 対比 本願発明1と引用発明を対比すると、次のことがいえる。 (ア)引用発明の「シールド層120」は、「金属膜であ」るから、本願発明1の「金属を含むシールド層」に相当する。 引用発明の「絶縁性保護層110」は、「絶縁性樹脂組成物から構成され」たものであるから、本願発明1の「絶縁樹脂層」に相当する。 引用発明の「接着剤層130」は、「導電性であ」るから、本願発明1の「導電性接着剤層」に相当する。 したがって、引用発明の「電磁波シールドフィルム100」は、「絶縁性保護層110と、シールド層120と、接着剤層130とをこの順に有」するものであるから、本願発明1の「金属を含むシールド層と、前記シールド層の一方の面に接して積層された絶縁樹脂層と、前記シールド層の他方の面に接して積層された導電性接着剤層と、を備える電磁波シールドフィルム」に相当する。 (イ)引用発明の「導電性フィラー」は、「金属粉である」から、本願発明1の「導電性粒子」に相当する。 したがって、引用発明における「接着剤層が導電性フィラーを含有」することは、上記(ア)を踏まえると、本願発明1における「導電性接着剤層は導電性粒子を含」むことに相当する。 (ウ)引用発明における「シールド層」の「負荷面積率Smr2」及び「負荷面積率Smr1」は、本願発明1における「前記導電性接着剤層における、被着物の表面と接着される面の負荷面積率Smr(50%)」と、面の負荷面積率に関する所定の値である点で共通するが、後記イ(イ)の点で相違する。 (エ)引用発明における「負荷面積率Smr2は、ISO 25178-2:2012に規定されるパラメーターであ」ること及び「負荷面積率Smr1は、ISO 25178-2:2012に規定されるパラメーターであ」ることは、本願発明1における「前記負荷面積率Smr(50%)は、レーザーマイクロスコープ(OLS4100、オリンパス社製)を用い、ISO 25178-2:2012に準拠して測定した値である」ことと、ISO 25178-2:2012に準拠した値である点で共通するが、後記イ(ウ)の点で相違する。 イ 一致点及び相違点 上記アから、本願発明1と引用発明の間には、次の(ア)のとおりの一致点及び(イ)-(ウ)のとおりの相違点があるといえる。 (ア)一致点 「金属を含むシールド層と、前記シールド層の一方の面に接して積層された絶縁樹脂層と、前記シールド層の他方の面に接して積層された導電性接着剤層と、を備える電磁波シールドフィルムであって、 前記導電性接着剤層は導電性粒子を含み、 面の負荷面積率が所定の値である、電磁波シールドフィルム。 ここで、前記負荷面積率は、ISO 25178-2:2012に準拠した値である。」 (イ)相違点A 本願発明1では、導電性接着剤層における、被着物の表面と接着される面の負荷面積率Smr(50%)が25~98%であるのに対し、引用発明では、シールド層の負荷面積率Smr2及びSmr1が特定されている一方で、接着剤層の表面の負荷面積率Smr(50%)が特定されていない点。 (ウ)相違点B 本願発明1では、負荷面積率Smr(50%)を、オリンパス社製OLS4100を用いて測定しているのに対し、引用発明では、負荷面積率Smr(50%)を測定しておらず、測定に用いる機器も特定されていない点。 ウ 相違点についての判断 まず、相違点Aについて検討する。 絶縁性保護層と、シールド層と、接着剤層をこの順に有する電磁波シールドフィルムにおいて、接着剤層の表面の負荷面積率Smr(50%)を所定の値とすることは、引用文献2-4及び参考文献に記載されておらず、本願の出願前における周知技術であったとも認められない。 したがって、本願発明1は、相違点Bについて判断するまでもなく、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4及び参考文献に記載の発明に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 (2)本願発明2-4について 本願発明2-4は、いずれも本願発明1を減縮したものであり、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4及び参考文献に記載の発明に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定についての判断 1 理由1(明確性)について 請求項1に記載の「負荷面積率Smr(50%)」については、本願の明細書の段落【0036】及び【0085】に、レーザーマイクロスコープ(OLS4100、オリンパス社製)を用い、ISO25178-2:2012に準拠して測定した値であることが記載されており、その測定方法が明確である。 したがって、原査定の理由1を維持することはできない。 2 理由2(新規性)及び理由3(進歩性)について 上記第6の2で述べたとおり、本願発明1-4は引用文献Aに記載された発明でなく、引用文献Aに基づいて当業者が容易に発明できたものともいえない。 したがって、原査定の理由2及び理由3を維持することはできない。 第8 当審拒絶理由についての判断 上記第6の1で述べたとおり、本願発明1-4は先願1の当初明細書等に記載された発明と同一でない。 したがって、当審拒絶理由を維持することはできない。 第9 むすび 以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-021163

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