特許拒絶査定不服審判
2023-020597
梱包システム及び梱包方法
- 審判番号
- 2023-020597
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-159605
- 請求日
- 2023年12月04日
- 審決日
- 2025年06月19日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ソフトバンクロボティクス株式会社
- 【請求人代理人】青木 篤
- 【請求人代理人】三橋 真二
- 【請求人代理人】南山 知広
- 【請求人代理人】三浦 剛
- 【請求人代理人】中村 健一
- 審判長/審判官
- 審判長 吉田 美彦
- 審判官 山崎 慎一
- 審判官 脇岡 剛
- 分類
- P18 .121-WY (B65B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-159605「梱包システム及び梱包方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 4月 5日出願公開、特開2022- 53030、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1.手続きの経緯
本願は、令和2年9月24日の出願であって、その手続きの経緯は、概略、以下のとおりである。
令和5年 3月17日付け :拒絶理由通知
令和5年 5月18日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 8月15日付け :拒絶査定
令和5年12月 4日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和6年 1月22日付け :前置報告
第2.原査定の概要
原査定(令和5年8月15日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
(進歩性)この出願の請求項1ないし4に係る発明は、引用文献1に記載された発明、及び、引用文献2に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
1.特公昭58-3904号公報
2.特開平2-152624号公報(周知技術を示す文献)
第3.本願発明
本願請求項1ないし4に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、以下のとおり、令和5年12月4日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される発明である。
「 【請求項1】
少なくとも一対のフラップを有する箱体に被梱包物を梱包する梱包システムであって、
熱収縮性を有するフィルムの中央部を前記箱体の内部の底面と接着させるとともに、前記フィルムの両端部を前記一対のフラップのそれぞれから垂下させる接着装置と、
前記フィルムが接着された前記箱体の内部に前記被梱包物を配置する配置装置と、
前記垂下されたフィルムの両端部を保持して前記被梱包物の上方で相互に離隔して対向させ、前記両端部の対向面同士を挟んで接着させることにより、前記フィルムで前記被梱包物を被覆する被覆装置と、
前記両端部が接着されたフィルムを加熱して収縮させる収縮装置と、
を有することを特徴とする梱包システム。
【請求項2】
前記被覆装置は、前記垂下されたフィルムの両端部を上方に折り返した後に、前記被梱包物の上方に移動させることで、前記両端部を相互に対向させる、
請求項1に記載の梱包システム。
【請求項3】
前記被覆装置は、複数の吸気口が設けられた平板状の吸着部を有し、前記垂下されたフィルムの両端部を前記吸着部に面状に吸着することにより保持する、
請求項1又は2に記載の梱包システム。
【請求項4】
少なくとも一対のフラップを有する箱体に被梱包物を梱包する梱包システムによって実行される梱包方法であって、
熱収縮性を有するフィルムの中央部を前記箱体の内部の底面と接着させるとともに、前記フィルムの両端部を前記一対のフラップのそれぞれから垂下させ、
前記フィルムが接着された前記箱体の内部に前記被梱包物を配置し、
前記垂下されたフィルムの両端部を保持して前記被梱包物の上方で相互に離隔して対向させ、前記両端部の対向面同士を挟んで接着させることにより、前記フィルムで前記被梱包物を被覆し、
前記両端部が接着されたフィルムを加熱して収縮させる、
ことを含むことを特徴とする梱包方法。」
第4.当審の判断
1.引用文献
(1)引用文献1
ア.引用文献1の記載事項
引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、当審が付与した。以下、同様。)
(ア)「この発明は、従前包装法で中型又は小型の多数の品物を包装する際の欠点を除くもので、安全衛生的かつ魅力的に種々の数の品物を包装することができ、これらをボール紙箱に詰め又は従来の充填材や中子を用いずに一つにまとめて積める。また、改良梱包とこれを造る方法を与える。」(第2欄第14行ないし第19行)
(イ)「第1図の如く、強化平板材よりボール紙の箱1を矩形に折り込で組立て、箱1には底面2、対向する1対の短い側面3、対向する1対の長い側面4と1対のカバーフラップ5を設け、箱開梱状態の最初のカバーフラップ5の狭い方は両底面端縁7の近くに位置する。収縮するホイルフラップ8を両側面4と底面2の間に設ける。ホイルフラップは例えば側面の9で示す個所にのり付け又は接着する。ホイルフラップ8は長さを両側面4より大きくするので、横保護フラップ10が形成される。フラップ10は両側面のフラップ間に挟まれて、品物は11で示すように入る(第2図)。箱1にできるだけ平らにある数の品物を入れて並べた後、ホイルフラップ8を折り込んでその端を重ね合わせ、重ね部を12の個所で接着する。ホイルフラップ8の収縮は次いで加熱して行う。この加熱を箱の外から行うので、品物(図になし)は固く梱包される。ホイルフラップ8は一方向収縮性ホイルからなり、この収縮は側面3の方向に起るので、品物はホイル収縮後でも側面4の方向に十分に包まれる。」(第3欄第42行ないし第4欄第18行)
(ウ)「第9図で、第1~4図の梱包における品物11(破線で示す)の包装はコンベア方式で行う。第1図の開放箱をコンベア35のa位置におき、品物11をb位置で詰める。ホイルフラップ8を品物11上を重ね合わすように折り込みC位置で接着する。ノツズル36は、コンベア35上に設けられ加熱空気を噴出してホイルフラップ8は第2図の如くノツズル36下にコンベア35に沿うて通過すると接着される。数個のノツズルを使ってもよい。トンネルがま状のフード37をコンベア35上のd位置に置き、その位置に加熱空気浴38を具えて収縮性ホイル8は箱1内の品物31上で収縮を起す。かかる空気浴の構造と作用は周知である。トンネルを過ぎると、梱包は位置eで閉じられる。これはフラップ23を閉じて行い、ついでこの梱包を送れるようにする。」(第5欄第15行-第30行)
(エ)「【第1図】
[図:0001424143000001.jpg]
」
(オ)「【第2図】
[図:0001424143000002.jpg]
」
(カ)「【第3図】
[図:0001424143000003.jpg]
」
(キ)「【第9図】
[図:0001424143000004.jpg]
」
イ.引用発明1
上記アによると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「一対のフラップ(5,6)を有する箱体(箱1)に被梱包物(品物11)を梱包する梱包システムによって実行される梱包方法であって、(上記ア.(ア))
熱収縮性を有するフィルム(ホイルフラップ8)を箱体内部の面と接着させるとともに、一対のフィルムの端部を一対のフラップ(カバーフラップ5)のそれぞれから垂下させ、(上記ア.(ア)、(ウ))
フィルムが接着された箱体の内部に被梱包物を配置し、(上記ア.(ア)、(イ)、(エ)、(オ))
垂下されたフィルムを折り込んで端を重ね合わせ、重ね部を接着させることにより、フィルムで被梱包物を被覆し、(上記ア.(ア)、(イ)、第2図)
前記接着されたフィルムを加熱して収縮させる、(上記ア.(ア)、(イ)、(カ))
梱包方法」
(2)引用文献2
ア.引用文献2の記載事項
引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「この発明は、例えば、ポリエチレンシートなどの樹脂製の袋状シートを段ボール箱、紙面、木箱および円筒状の丸缶などの開口ケースに挿入すると共に、同ケースの上端開口からケース外にU字状に折返された上述の袋状シートを開口ケース上面部位において自動的に閉鎖する袋状シートの閉鎖方法に関する。」(第1頁右欄第11行ないし第17行)
(イ)「この結果、簡単な方法でありながら袋状シートの開口部を順序よく整然と自動閉鎖することができる効果があり、しかも、袋状シート内の空気を強制抜気した後に、熱シールにより袋状シート内を完全密封するので、袋状シート内に収納される内容物の酸化を抑制することができて、内容物の品質保持を図ることができる効果がある。」(第2頁右下欄第19行ないし第3頁左上欄第5行)
(ウ)「次に第7図の状態下におけるバキュームパイブ5.5からの真空吸引作用で袋状シート2内の空気を強制抜気すると、第9図、第10図に示す如く、袋状シート2は間口ケース1上の略中央部位において互いに対向するシート片2C,2Gが真空密着された状態で立設して、立設部2dが形成される(抜気工程)。
上述の抜気工程は張設工程後半から同張設工程と並行して行なってもよく、張設工程完了後に行なってもよい。
次に上述の立設部2d両端からバキュームパイブ5.5を上方へ離脱操作した直後、第11図に示す如く、上下者一対のホルダ6.6、7.7で袋状シート2の上述の立設部2d上部を挟持する(挟持工程)。
次に上述の上下のホルダ6.7間において立設部2dの対向位置外方から第12図に示す如く、同立設部2dにヒータ8.8を圧接することで、挟持部近傍を熱シールし、シート片2c、2cを熱溶着した溶着部9を形成する(シール工程)。」(第3頁左下欄第15行ないし右下欄第14行)
(エ)「【第12図】
[図:0001424143000005.jpg]
」
イ.引用技術2
上記ア.によると、引用文献2には、次の技術(以下、「引用技術2」という。)が記載されていると認められる。
「袋状シートを開口ケースに挿入し、間口ケース上の略中央部位において袋状シートの対向するシート片が真空密着された状態で立設し(抜気工程)、立設した上部を挟持し(挟持工程)、挟持部近傍を熱シールして閉鎖する(シール工程)こと」
2.本願発明4について
(1)対比
ア.引用発明1の「一対のフラップ(5,6)を有する箱体(箱1)に被梱包物(品物11)を梱包する梱包システムによって実行される梱包方法」は、本願発明4の「少なくとも一対のフラップを有する箱体に被梱包物を梱包する梱包システムによって実行される梱包方法」に相当する。
イ.引用発明1の「熱収縮性を有するフィルム(ホイルフラップ8)を箱体内部の面と接着させるとともに、一対のフィルムの端部を一対のフラップ(カバーフラップ5)のそれぞれから垂下させる」ことと、本願発明4の「熱収縮性を有するフィルムの中央部を前記箱体の内部の底面と接着させるとともに、前記フィルムの両端部を前記一対のフラップのそれぞれから垂下させる」こととは、「熱収縮性を有するフィルムを箱体内部の面と接着させるとともに、一対のフィルムの端部を一対のフラップのそれぞれから垂下させる」点において共通する。
ウ.引用発明1の「垂下されたフィルムを折り込んで端を重ね合わせ、重ね部を接着させること」について、上記「重ね部」がフィルムの端の「重ね部」であることからすると、フィルムの両端部を接着させることであると解される。そうすると、引用発明1の「垂下されたフィルムを折り込んで端を重ね合わせ、重ね部を接着させることにより、フィルムで被梱包物を被覆する」ことと、本願発明4の「前記垂下されたフィルムの両端部を保持して前記被梱包物の上方で相互に離隔して対向させ、前記両端部の対向面同士を挟んで接着させることにより、前記フィルムで前記被梱包物を被覆する」こととは、「前記フィルムの両端部を接着させることにより、前記フィルムで前記被梱包物を被覆する」点で共通する。
エ.上記ウ.の説示を踏まえると、引用発明1の「前記接着されたフィルムを加熱して収縮させる」ことは、本願発明4の「前記両端部が接着されたフィルムを加熱して収縮させる」ことに相当するといえる。
オ.以上のとおりであるから、本願発明4と引用発明1とは、以下の点で一致し、また、相違する。
【一致点】
「少なくとも一対のフラップを有する箱体に被梱包物を梱包する梱包システムによって実行される梱包方法であって、
熱収縮性を有するフィルムを箱体内部の面と接着させるとともに、一対のフィルムの端部を一対のフラップのそれぞれから垂下させ、
前記フィルムが接着された前記箱体の内部に前記被梱包物を配置し、
前記フィルムの両端部を接着させることにより、前記フィルムで前記被梱包物を被覆し、
前記両端部が接着されたフィルムを加熱して収縮させる、
ことを含むことを特徴とする梱包方法。」
【相違点】
・相違点1
本願発明4は、「フィルムの中央を箱体の内部の底面と接着させる」のに対し、引用発明1は、一対のフィルムのそれぞれの端部を箱側面に接着する点。
・相違点2
本願発明4は、フィルムの両端部を接着させる際に、「前記垂下されたフィルムの両端部を保持して前記被梱包物の上方で相互に離隔して対向させ、前記両端部の対向面同士を挟んで接着させる」のに対して、引用発明1は、「垂下されたフィルムを折り込んで端を重ね合わせ、重ね部を接着させる」ものである点。
(2)判断
事案に鑑みて、まず相違点2について検討する。
引用発明1は、「安全衛生的かつ魅力的に種々の数の品物を包装することができ、これらをボール紙箱に詰め又は従来の充填材や中子を用いずに一つにまとめて積める」ために、熱収縮フィルムで被梱包物を被覆し、当該フィルムを加熱して収縮させるとの構成を備えたもの(上記1.(1)ア.(ア))であるところ、引用技術2は、「袋状シート内の空気を強制抜気した後に、熱シールにより袋状シート内を完全密封するので、袋状シート内に収納される内容物の酸化を抑制することができて、内容物の品質保持を図ることができる」ためのもの(上記1.(2)ア.(イ))であることからすると、実質的に互いに異なる技術分野に属し、互いに異なる課題に向けられたものであるといえる。
そうすると、引用発明1に引用技術2を適用する動機付けがあるとはいえない。
また、仮に引用発明1に袋状シートの立設した上部を挟持し(挟持工程)、挟持部近傍を熱シールして閉鎖する引用技術2を適用したとしても、引用文献1ないし2には、フィルムの両端部を接着させる際に、「前記垂下されたフィルムの両端部を保持して前記被梱包物の上方で相互に離隔して対向させ、前記両端部の対向面同士を挟んで接着させる」との事項は記載も示唆もされていないことからすると、当業者が、上記相違点2に係る本願発明4の構成に想到することができたものとはいえない。
なお、令和6年1月22日付けの前置報告では、周知技術を示す新たな文献として、特開2000-255505号公報が引用されているところ、上記説示と同様に、引用発明1に上記新たな文献に記載された周知技術を適用する動機付けがあるとはいえず、また、上記新たな文献についても、フィルムの両端部を接着させる際に、「前記垂下されたフィルムの両端部を保持して前記被梱包物の上方で相互に離隔して対向させ、前記両端部の対向面同士を挟んで接着させる」との事項について記載も示唆もされいないことからすると、引用発明1、引用文献2及び上記新たな文献に記載された事項に基づいて、当業者が、上記相違点2に係る本願発明4の構成に想到することができたものとはいえない。
以上のとおりであるから、相違点1を検討するまでもなく、本願発明4は、引用発明1、及び、引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3.本願発明1について
本願発明1は、本願発明4である梱包方法をシステムとして記載したものであるところ、上記2.で説示したとおり、本願発明4は、引用発明1、及び、引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、同様の理由により、本願発明1は、引用発明1、及び、引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4.本願発明2、3について
本願発明2、3は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明1、及び、引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第5.まとめ
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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