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特許拒絶査定不服審判

2023-015428

組成物、膜、硬化膜、硬化膜の製造方法、電子部品

審判番号
2023-015428
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-567295外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年09月12日
審決日
2024年09月24日
公報発行日
2024年10月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H05K) / P18 .16 -WY (H05K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条の2
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-567295「組成物、膜、硬化膜、硬化膜の製造方法、電子部品」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 7月 1日国際公開、WO2021/131890、請求項の数(28)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 27項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、2020年12月15日(優先権主張 令和元年12月26日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和4年12月 8日付け:拒絶理由通知書
令和5年 2月13日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 6月 5日付け:拒絶査定
令和5年 9月12日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出
令和6年 6月14日付け:拒絶理由通知書(以下「当審拒絶理由」という。)
令和6年 8月19日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和5年6月5日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりであ。

理由2(進歩性)

本願請求項2、5-9、14、15、17に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明、及び引用文献B、Cに記載された技術事項に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

引用文献A:国際公開第2019/131675号
引用文献B:特開2009-88237号公報
引用文献C:特開2015-82554号公報

第3 当審拒絶理由の概要

1 当審拒絶理由

令和6年6月14日付けで通知された拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。

理由1(拡大先願)本件出願の請求項2-9、13に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた下記の特許出願1(以下「先願1」という。)の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

1.特願2020-532445号(特許7081667号公報)

2.特開2021-105087号公報

第4 本願発明

本願請求項1~28に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明28」という。)は、令和6年8月19日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~28に記載された事項により特定される発明であり、次のとおりの発明である。

「【請求項1】
コア-シェル構造粒子ではない電磁波吸収粒子と、分散剤と、溶剤とを含み、
膜を形成したときに1GHz以上の周波数帯域の電磁波を吸収する組成物であって、
前記粒子が、下記式(1)で表されるマグネトプランバイト型六方晶フェライト粒子を含み、
続きを表示(全71行)
前記分散剤が、グラフト鎖を有する樹脂である、組成物。
AFe(12-x)AlxO19 ・・・式(1)
式(1)中、Aは、Sr、Ba、Ca、及びPbからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を表し、xは、1.5≦x≦8.0を満たす。
【請求項2】
前記分散剤が、グラフト鎖を有する樹脂である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
膜を形成したときに1GHz以上100GHz未満の周波数帯域の電磁波を吸収する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記分散剤の分子量が、50,000以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記粒子の含有量が、組成物の全質量に対して、60.0~95.0質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記分散剤の含有量が、組成物の全質量に対して、1.0~10.0質量%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記溶剤の含有量が、組成物の全質量に対して、10.0~30.0質量%である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記溶剤の沸点が、110~170℃である、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
更に、熱重合性化合物を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
更に、光重合性化合物を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
更に、光重合開始剤を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物から形成される、膜。
【請求項13】
請求項9~11のいずれか1項に記載の組成物を硬化して形成される、硬化膜。
【請求項14】
請求項11に記載の組成物を用いて基材上に組成物層を形成する工程と、
前記組成物層をパターン状に露光する工程と、
現像液を用いて、露光された前記組成物層を現像する工程と、を有する、硬化膜の製造方法。
【請求項15】
コア-シェル構造粒子ではない電磁波吸収粒子と、分散剤と、溶剤と、熱重合性化合物とを含み、
膜を形成したときに1GHz以上の周波数帯域の電磁波を吸収する組成物であって、
前記粒子が、Fe-Co系合金粒子を含む、組成物。
【請求項16】
コア-シェル構造粒子ではない電磁波吸収粒子と、分散剤と、溶剤と、光重合性化合物とを含み、
膜を形成したときに1GHz以上の周波数帯域の電磁波を吸収する組成物であって、
前記粒子が、Fe-Co系合金粒子を含む、組成物。
【請求項17】
コア-シェル構造粒子ではない電磁波吸収粒子と、分散剤と、溶剤と、光重合性化合物と、光重合開始剤とを含み、
膜を形成したときに1GHz以上の周波数帯域の電磁波を吸収する組成物であって、
前記粒子が、Fe-Co系合金粒子を含む、組成物。
【請求項18】
前記分散剤が、グラフト鎖を有する樹脂である、請求項15~17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
膜を形成したときに1GHz以上100GHz未満の周波数帯域の電磁波を吸収する、請求項15~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記分散剤の分子量が、50,000以下である、請求項15~19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記粒子の含有量が、組成物の全質量に対して、60.0~95.0質量%である、請求項15~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記分散剤の含有量が、組成物の全質量に対して、1.0~10.0質量%である、請求項15~21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
前記溶剤の含有量が、組成物の全質量に対して、10.0~30.0質量%である、請求項15~22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
前記溶剤の沸点が、110~170℃である、請求項15~23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
請求項15~24のいずれか1項に記載の組成物から形成される、膜。
【請求項26】
請求項15~24のいずれか1項に記載の組成物を硬化して形成される、硬化膜。
【請求項27】
請求項17に記載の組成物を用いて基材上に組成物層を形成する工程と、
前記組成物層をパターン状に露光する工程と、
現像液を用いて、露光された前記組成物層を現像する工程と、を有する、硬化膜の製造方法。
【請求項28】
請求項13又は26に記載の硬化膜を含む電子部品。」

第5 引用文献の記載、引用発明等

1 先願1、先願発明

(1)先願明細書等の記載事項

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先願1の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審による。以下同様。)。

ア 「【0012】
[磁性ペースト]
本発明の磁性ペーストは、(A)磁性粉体、(B)エポキシ樹脂、(C)酸性分散剤、及び(D)硬化剤を含む。」
イ 「【0015】
<(A)磁性粉体>
磁性ペーストは、(A)成分として、(A)磁性粉体を含有する。(A)磁性粉体としては、例えば、純鉄粉末;Mg-Zn系フェライト、Fe-Mn系フェライト、Mn-Zn系フェライト、Mn-Mg系フェライト、Cu-Zn系フェライト、Mg-Mn-Sr系フェライト、Ni-Zn系フェライト、Ba-Zn系フェライト、Ba-Mg系フェライト、Ba-Ni系フェライト、Ba-Co系フェライト、Ba-Ni-Co系フェライト、Y系フェライト、酸化鉄粉(III)、四酸化三鉄などの酸化鉄粉;Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、あるいはFe-Ni-Co系合金粉末などの鉄合金系金属粉;Co基アモルファスなどのアモルファス合金類、が挙げられる。
・・・中略・・・
【0023】
(A)磁性粉体の含有量(質量%)は、比透磁率を向上させ及び損失係数を低減させる観点から、磁性ペースト中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。また、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。
なお、本発明において、磁性ペースト中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、磁性ペースト中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。」

ウ「【0034】

<(C)酸性分散剤>

磁性ペーストは、(C)成分として(C)酸性分散剤を含有する。上記したように、(A)磁性粉体の含有量が多ければ多いほど、磁性ペーストの粘度が上昇し、さらに磁性ペーストの硬化物の機械的強度及び密着強度が劣ってしまう。本発明では、磁性ペースト中に分散剤としての(C)酸性分散剤を含有するので、(C)酸性分散剤を含まないペースト(即ち、(C)成分を含まないこと以外は磁性ペーストと同じ組成を有するペースト)に比べ、粘度を低くできる。よって、(A)磁性粉体の含有量が多くても、磁性ペーストの粘度の上昇を抑制することができ、さらに磁性ペーストの硬化物の機械的強度及び密着強度を向上させることが可能となる。通常、分散剤としての(C)酸性分散剤は、揮発性を有さないので、硬化後に得られる硬化物に残留し得る。

・・・中略・・・

【0041】

(C)酸性分散剤は、市販品を用いることができる。その具体例としては、日油社製の「C-2093I」、「SC-1015F(主鎖にイオン性基、グラフト鎖にポリオキシアルキレン鎖を有する多官能櫛型の機能性ポリマー)」、楠本化成社製の「DA―375(ポリエーテル燐酸エステル化合物系分散剤)」;東邦化学工業社製「フォスファノール」シリーズの「RS-410」、「RS-610」、「RS-710」(pHは1.9)(リン酸エステル系分散剤);日油社製「マリアリム」シリーズの「AKM-0531」、「AFB-1521」、「SC-0505K」、「SC-0708A」が挙げられる。(C)酸性分散剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。

【0042】

(C)酸性分散剤の含有量は、本発明の効果を顕著に発揮させる観点から、磁性ペースト中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、上限は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。」

エ「【0083】

[磁性シート]

磁性シートは、支持体と、該支持体上に設けられた、磁性ペーストで形成された樹脂組成物層とを含む。」

オ「【0091】

磁性シートは、例えば、有機溶剤に磁性ペーストを溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。なお、ダイコーター等を用いて支持体上に直接磁性ペーストを塗布し、樹脂組成物層を形成させることにより製造することもできる。

【0092】

有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN-メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合

わせて使用してもよい。

【0093】

乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。」

カ 上記アないしウの記載によれば、上記先願明細書等には、

「磁性ペーストは磁性粉体、エポキシ樹脂、酸性分散剤、及び硬化剤を含むものであって、
磁性粉体はFe-Co系合金粉末であり、含有量(質量%)が、磁性ペースト中の不揮発成分を100質量%とした場合、70質量%以上95質量%以下であって、
酸性分散剤は、SC-1015F(主鎖にイオン性基、グラフト鎖にポリオキシアルキレン鎖を有する多官能櫛型の機能性ポリマー)であり、含有量(質量%)が、磁性ペースト中の不揮発成分を100質量%とした場合、5質量%以下であること。」が記載されている。

キ 上記エ、オの記載によれば、上記先願明細書等には、

「有機溶剤に磁性ペーストを溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて形成させた樹脂組成物層において、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下である、樹脂組成物層。」が記載されている。

(2)上記(1)カ、キから、先願明細書等には、以下の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されている。

「有機溶剤に磁性ペーストを溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて形成させた樹脂組成物層において、
樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下であって、
磁性ペーストは磁性粉体、エポキシ樹脂、酸性分散剤、及び硬化剤を含むものであって、
磁性粉体はFe-Co系合金粉末であり、含有量(質量%)が、磁性ペースト中の不揮発成分を100質量%とした場合、70質量%以上95質量%以下であって、
酸性分散剤は、SC-1015F(主鎖にイオン性基、グラフト鎖にポリオキシアルキレン鎖を有する多官能櫛型の機能性ポリマー)であり、含有量(質量%)が、磁性ペースト中の不揮発成分を100質量%とした場合、5質量%以下である、
樹脂組成物層。」

2 引用文献2

当審拒絶理由にて引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0079】
<分散剤(B)>
・Joncryl HPD-96J(BASFジャパン社製): スチレン-アクリル酸樹脂のアルカリ中和水溶液(不揮発分34%)。不揮発分酸価240mgKOH/g、重量平均分子量16500。
・マリアリムSC-1015F(日油社製):(無水)マレイン酸単位および(ポリ)アルキレンオキシ基含有アリルエーテル単位を有する共重合体(不揮発分100%)。不揮発分酸価66mgKOH/g。重量平均分子量36000。
・マリアリムSC-0505K(日油社製): (無水)マレイン酸単位および(ポリ)アルキレンオキシ基含有アリルエーテル単位を有する共重合体(不揮発分100%)。不揮発分酸価155mgKOH/g。重量平均分子量10000。」

3 引用文献A、引用発明

(1)引用文献Aの記載事項

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原査定の理由にて引用された引用文献Aには、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「[0001] 本開示は、マグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子及びその製造方法、並びに電波吸収体に関する。」

イ 「[0008] 上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 下記の式(1)で表され、かつ、結晶相が単相であるマグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子。
[0009]
AFe(12-x)AlxO19 ・・・式(1)
続きを表示(全14行)
[0010] 式(1)中、Aは、Sr、Ba、Ca、及びPbからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を表し、xは、1.5≦x≦8.0を満たす。
<2> 上記式(1)におけるxが、1.5≦x≦6.0を満たす<1>に記載のマグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子。
<3> 電波吸収体に用いられる<1>又は<2>に記載のマグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子。
<4> <1>~<3>のいずれか1つに記載のマグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子の製造方法であり、
液相法により、Feと、Alと、Sr、Ba、Ca、及びPbからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素と、を含む沈殿物を得る工程Aと、
上記工程Aにて得られた上記沈殿物を焼成する工程Bと、
を含むマグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子の製造方法。
<5> 上記工程Aは、Fe塩、Al塩、及び上記少なくとも1種の金属元素の塩を含む水溶液と、アルカリ水溶液と、を混合して反応生成物を得る工程を含む<4>に記載のマグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子の製造方法。
<6> <1>~<3>のいずれか1つに記載のマグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子と、バインダーと、を含み、かつ、平面形状を有する電波吸収体。
<7> <1>~<3>のいずれか1つに記載のマグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子と、バインダーと、を含み、かつ、立体形状を有する電波吸収体。」
ウ 「[0016] [マグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子]
本開示のマグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子(以下、「マグネトプランバイト型六方晶フェライト粒子」ともいう。)は、下記の式(1)で表され、かつ、結晶相が単相であるマグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子である。
[0017]
AFe(12-x)AlxO19 ・・・式(1)
[0018]
式(1)中、Aは、Sr、Ba、Ca、及びPbからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を表し、xは、1.5≦x≦8.0を満たす。」

エ 「[0056] 本開示の電波吸収体は、特定マグネトプランバイト型六方晶フェライト粒子及びバインダー以外に、本実施形態の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、種々の添加剤(所謂、他の添加剤)を含んでいてもよい。他の添加剤としては、分散剤、分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤等が挙げられる。他の添加剤は、1つの成分が2つ以上の機能を担うものであってもよい。」

オ 「[0058] 本開示の電波吸収体の製造方法は、特に制限されない。
本開示の電波吸収体は、特定マグネトプランバイト型六方晶フェライト粒子と、バインダーと、溶剤と、必要に応じて、他の成分と、を用いて、公知の方法により製造することができる。
例えば、特定マグネトプランバイト型六方晶フェライト粒子と、バインダーと、溶剤と、必要に応じて、他の成分と、を含む電波吸収体形成用組成物を、支持体上に塗布し、乾燥させることにより、平面形状を有する電波吸収体を製造することができる。
また、例えば、特定マグネトプランバイト型六方晶フェライト粒子と、バインダーと、溶剤と、必要に応じて、他の成分と、を含む電波吸収体形成用組成物を、支持体上にノズルを用いて吐出し、乾燥させることにより、立体形状を有する電波吸収体を製造することができる。」

(2)引用発明

上記(1)から、引用文献Aには、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「下記式(1)に記載のマグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子と、バインダーと、分散剤を含み、かつ、平面形状を有する電波吸収体。
AFe(12-x)AlxO19 ・・・式(1)
式(1)中、Aは、Sr、Ba、Ca、及びPbからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を表し、xは、1.5≦x≦8.0を満たす。」

4 引用文献B

原査定の理由にて引用された引用文献Bには、図面とともに次の事項が記載されている

ア 「【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、軟磁性金属粉、結合剤、分散剤、および難燃剤とを含有する電磁干渉抑制体において、少なくとも固体状難燃剤を含有し、その平均粒径が1μm以下である場合には、軟磁性金属粉の配向や配列を乱すことなく、軟磁性金属粉を密に充填することができることにより、難燃性を有し、且つ高い透磁率を有することを見出し、本発明を完成するに至った。」
イ 「【0028】
(分散剤)
軟磁性金属粉および固体状難燃剤の分散性を高めるために、軟磁性金属粉の含有量に対し1~5質量%の分散剤を添加するのが好ましい。分散剤としては、飽和脂肪酸系、不飽和脂肪酸系、脂肪酸金属塩、カップリング剤から選ばれる1種または2種以上であるのがよい。
飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸とも高級脂肪酸であるのが好ましい。飽和高級脂肪酸としては、例えばパルミチン酸、ステアリン酸が挙げられ、不飽和高級脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられ、いずれも炭素数は14~20であるのが好ましい。また、飽和高級脂肪酸および不飽和高級脂肪酸のいずれも使用可能であるが、安定性の上で飽和高級脂肪酸であるのが好ましい。前記脂肪酸金属塩の脂肪酸としては前記高級脂肪酸であるのが好ましい。金属塩における金属としては、例えばカドミウム、バリウム、カルシウム、亜鉛、鉛、スズ、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、リン等が挙げられる。該高級脂肪酸金属塩は、それぞれ単体で使用するほか、複数をブレンドしてもよい。 」

5 引用文献C

原査定の理由にて引用された引用文献Cには、図面とともに次の事項が記載されている

ア 「【0015】
また、本発明の軟磁性フィルムは、本発明の軟磁性樹脂組成物から形成されるため、軟磁性フィルムの磁気特性が優れる。」
イ 「【0073】
分散剤の含有割合は、軟磁性粒子100質量部に対し、例えば、0.05質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上である。また、例えば、5質量部以下、好ましくは、2質量部以下である。」
ウ 「【0112】
この軟磁性フィルムは、種々の工業用途に広汎に用いることができ、例えば、電磁波吸収フィルム、例えば、アンテナ、コイル、またはこれらが表面に形成された回路基板に積層するための回路基板用軟磁性フィルムとして好適に用いることができる。回路基板用軟磁性フィルムとして、より具体的には、スマートフォン、パソコン、位置検出装置(デジタイザー)などの用途に用いることができる。」

第6 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

ア 先願発明の「磁性粉体」は、特にその構造が限定されていないことから、コア-シェル構造粒子、コア-シェル構造粒子でない粒子を含むものと認められる。また、先願発明の「磁性粉体」は、「Fe-Co系合金粉末であ」るから、電磁波を吸収ことは明らかであって、さらに、膜を形成したときに1GHz以上の周波数帯域の電磁波を少なからず吸収するものと認められる。

してみると、先願発明の「磁性粉体」と、本願発明1の「コア-シェル構造粒子ではない電磁波吸収粒子」であって、「前記粒子が、下記式(1)で表されるマグネトプランバイト型六方晶フェライト粒子」、「AFe(12-x)AlxO19 ・・・式(1) 式(1)中、Aは、Sr、Ba、Ca、及びPbからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を表し、xは、1.5≦x≦8.0を満たす。」とは、後記の点で相違するものの、「コア-シェル構造粒子ではない電磁波吸収粒子」の点では共通する。

イ 先願発明の「酸性分散剤」は、「SC-1015F(主鎖にイオン性基、グラフト鎖にポリオキシアルキレン鎖を有する多官能櫛型の機能性ポリマー)」であるから、本願発明1の「分散剤」であり、「前記分散剤が、グラフト鎖を有する樹脂」に相当する。

ウ 先願発明の、「有機溶剤」は、本願発明1の「溶剤」に相当する。

そして、先願発明の「樹脂組成物層」は、「磁性粉体」と「酸性分散剤」を含む「磁性ペースト」を「有機溶剤」に溶解し支持体上に塗布し、更に乾燥させて形成されるものである。

したがって、上記ア、イの点を踏まえると、先願発明の「樹脂組成物層」は、後記の点で相違するものの、本願発明1の「組成物」に対応する。

(2)上記(1)から、本願発明1と先願発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>

「コア-シェル構造粒子ではない電磁波吸収粒子と、分散剤と、溶剤とを含み、
膜を形成したときに1GHz以上の周波数帯域の電磁波を吸収する組成物であって、
前記分散剤が、グラフト鎖を有する樹脂である、組成物。」

また、本願発明1と先願発明とは、以下の点で相違する。

<相違点1>

「電磁波吸収粒子」が、本願発明1では、「下記式(1)で表されるマグネトプランバイト型六方晶フェライト粒子」「AFe(12-x)AlxO19 ・・・式(1) 式(1)中、Aは、Sr、Ba、Ca、及びPbからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を表し、xは、1.5≦x≦8.0を満たす。」であるのに対して、先願発明では、「Fe-Co系合金粉末」である点。

(3)判断

相違点1について検討する。

先願発明において、「磁性粉体」を上記式(1)で表されるマグネトプランバイト型六方晶フェライト粒子とする理由が存在せず、上記の差異は実質的なものであって、本願発明1は、先願発明に、何らかの周知技術の付加又は周知技術による転換を行ったものであるとはいえず、本願発明1は、先願発明と別異の効果を奏するものである。

よって、本願発明1は、先願発明と実質的に同一であるとはいえない。

2 本願発明2-14について

本願発明2-14は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、先願発明と実質的に同一であるとはいえない。

3 本願発明15

(1)対比

ア 先願発明の「磁性粉体」は、特にその構造が限定されていないことから、コア-シェル構造粒子、コア-シェル構造粒子でない粒子を含むものと認められる。また、先願発明の「磁性粉体」は、「Fe-Co系合金粉末であ」るから、電磁波を吸収ことは明らかであって、さらに、膜を形成したときに1GHz以上の周波数帯域の電磁波を少なからず吸収するものと認められる。

してみると、先願発明の「磁性粉体」は、本願発明15の「コア-シェル構造粒子ではない電磁波吸収粒子」であって、「前記粒子が、Fe-Co系合金粒子を含む」ことに相当する。

イ 先願発明の「酸性分散剤」は、本願発明15の「分散剤」に相当する。

ウ 先願発明の「有機溶剤」は、本願発明15の「溶剤」に相当する。

そして、先願発明の「樹脂組成物層」は、「磁性粉体」と「酸性分散剤」を含む「磁性ペースト」を「有機溶剤」に溶解し支持体上に塗布し、更に乾燥させて形成されるものである。

したがって、上記ア、イの点を踏まえると、先願発明の「樹脂組成物層」は、後記の点で相違するものの、本願発明15の「組成物」に対応する。

(2)上記(1)から、本願発明15と先願発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>

「コア-シェル構造粒子ではない電磁波吸収粒子と、分散剤と、溶剤とを含み、
膜を形成したときに1GHz以上の周波数帯域の電磁波を吸収する組成物であって、
前記粒子が、Fe-Co系合金粒子を含む、組成物。」

また、本願発明15と先願発明とは、以下の点で相違する。

<相違点2>

「組成物」が、本願発明15では、「熱重合性化合物」を含むものであるのに対して、先願発明では、その旨の特定がされていない点。

(3)判断

相違点2について検討する。

先願発明の「組成物」において、「熱重合性化合物」を含める理由が存在せず、上記の差異は実質的なものであって、本願発明15は、先願発明に、何らかの周知技術の付加又は周知技術による転換を行ったものであるとはいえず、本願発明15は、先願発明と別異の効果を奏するものである。

よって、本願発明15は、先願発明と実質的に同一であるとはいえない。

4 本願発明16について

本願発明16は、本願発明15の組成物における「熱重合性化合物」に代えて「光重合性化合物」を含むものとしたものであるから、本願発明16と先願発明とは、以下の点で相違する。

<相違点3>

「組成物」が、本願発明16では、「光重合性化合物」を含むものであるのに対して、先願発明では、その旨の特定がされていない点。

相違点3について検討する。

先願発明の「組成物」において、「光重合性化合物」を含める理由が存在せず、上記の差異は実質的なものであって、本願発明16は、先願発明に、何らかの周知技術の付加又は周知技術による転換を行ったものであるとはいえず、本願発明16は、先願発明と別異の効果を奏するものである。

よって、本願発明16は、先願発明と実質的に同一であるとはいえない。

5 本願発明17について

本願発明17は、本願発明16の組成物がさらに「光重合開始剤」を含むものとしたものであるから、本願発明16と同様の理由により、先願発明と実質的に同一であるとはいえない。

6 本願発明18-28について

本願発明18-28は、本願発明15~17のいずれかと同一の構成を備えるものであるから、本願発明15~17と同様の理由により、先願発明と実質的に同一であるとはいえない。

第7 原査定について

1 本願発明1について(引用文献Aとの対比・判断)

(1)対比

ア 引用発明の「マグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子」は、「AFe(12-x)AlxO19 ・・・式(1)

式(1)中、Aは、Sr、Ba、Ca、及びPbからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を表し、xは、1.5≦x≦8.0を満たす。」ものであって、特にその構造が限定されていないことから、コア-シェル構造粒子、コア-シェル構造粒子でない粒子を含むものと認められる。また、引用発明の「マグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子」が電磁波を吸収ことは明らかであって、さらに、膜を形成したときに1GHz以上の周波数帯域の電磁波を少なからず吸収するものと認められる。

してみると、引用発明の「マグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子」は、本願発明1の「コア-シェル構造粒子ではない電磁波吸収粒子」であって、「前記粒子が、下記式(1)で表されるマグネトプランバイト型六方晶フェライト粒子」、「AFe(12-x)AlxO19 ・・・式(1) 式(1)中、Aは、Sr、Ba、Ca、及びPbからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を表し、xは、1.5≦x≦8.0を満たす。」に相当する。

イ 引用発明の「分散剤」と、本願発明1の「分散剤」であり、「前記分散剤が、グラフト鎖を有する樹脂」とは、後記の点で相違するものの、「分散剤」の点では共通する。

ウ 上記ア、イの点を踏まえると、引用発明の「電波吸収体」は、「マグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子」、「分散剤」を含むものであって、後記の点で相違するものの、本願発明1の「組成物」に対応するものである。

(2)上記(1)から、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>

「コア-シェル構造粒子ではない電磁波吸収粒子と、分散剤とを含み、
膜を形成したときに1GHz以上の周波数帯域の電磁波を吸収する組成物であって、
前記粒子が、下記式(1)で表されるマグネトプランバイト型六方晶フェライト粒子を含む、
組成物。
AFe(12-x)AlxO19 ・・・式(1)
式(1)中、Aは、Sr、Ba、Ca、及びPbからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を表し、xは、1.5≦x≦8.0を満たす。」

また、本願発明1と引用発明とは、以下の点で相違する。

<相違点4>

「組成物」が、本願発明1では、「溶剤」を含むのに対して、引用発明では、その旨の特定がされていない点。

<相違点5>

「分散剤」が、本願発明1では、「グラフト鎖を有する樹脂である」のに対して、引用発明では、その旨の特定がされていない点。

(3)判断

事案に鑑み、相違点5について、先に検討する。

引用発明の「組成物」において、「分散剤」をグラフト鎖を有する樹脂とする理由が存在しない。

したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明、及び引用文献B、Cに記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2-14について

本願発明2-14は、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用発明、及び引用文献B、Cに記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3 本願発明15

(1)対比

ア 引用発明の「マグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子」は、特にその構造が限定されていないことから、コア-シェル構造粒子、コア-シェル構造粒子でない粒子を含むものと認められる。また、引用発明の「マグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子」が電磁波を吸収ことは明らかであって、さらに、膜を形成したときに1GHz以上の周波数帯域の電磁波を少なからず吸収するものと認められる。

してみると、引用発明の「マグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子」と、本願発明15の「コア-シェル構造粒子ではない電磁波吸収粒子」であって、「前記粒子が、Fe-Co系合金粒子を含む」とは、後記の点で相違するもの、「コア-シェル構造粒子ではない電磁波吸収粒子」の点では共通する。

イ 引用発明の「分散剤」は、本願発明15の「分散剤」に相当する。

ウ 上記ア、イの点を踏まえると、引用発明の「電波吸収体」は、「マグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子」、「分散剤」を含むものであって、後記の点で相違するものの、本願発明15の「組成物」に対応するものである。

(2)上記(1)から、本願発明15と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>

「コア-シェル構造粒子ではない電磁波吸収粒子と、分散剤とを含み、
膜を形成したときに1GHz以上の周波数帯域の電磁波を吸収する組成物であって、
前記粒子が、Fe-Co系合金粒子を含む、組成物。」

また、本願発明15と引用発明とは、以下の点で相違する。

<相違点6>

「組成物」が、本願発明15では、「溶剤と、熱重合性化合物」を含むものであるのに対して、引用発明では、その旨の特定がされていない点。

<相違点7>

「電磁波吸収粒子」が、本願発明15では、「Fe-Co系合金粒子を含む」ものであるのに対して、引用発明では、「マグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子」は「下記式(1)で表されるマグネトプランバイト型六方晶フェライト粒子」、「AFe(12-x)AlxO19 ・・・式(1) 式(1)中、Aは、Sr、Ba、Ca、及びPbからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を表し、xは、1.5≦x≦8.0を満たす。」ものである点。

(3)判断

事案に鑑み、相違点7について先に検討する。

引用発明において、「マグネトプランバイト型六方晶フェライトの粒子」を、「Fe-Co系合金粒子」とする理由が存在しない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、及び引用文献B、Cに記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

4 本願発明16について

本願発明16は、本願発明15の組成物における「熱重合性化合物」に代えて「光重合性化合物」を含むものとしたものであるから、本願発明16と引用発明とは、少なくとも、上記相違点7の点で相違する。

したがって、本願発明16は、本願発明15と同様の理由により、当業者であっても引用発明、及び引用文献B、Cに記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

5 本願発明17について

本願発明17は、本願発明16の組成物がさらに「光重合開始剤」を含むものとしたものであるから、本願発明17と引用発明とは、少なくとも、上記相違点7の点で相違する。

したがって、本願発明17は、本願発明15と同様の理由により、当業者であっても引用発明、及び引用文献B、Cに記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

6 本願発明18-28について

本願発明18-28は、本願発明15~17のいずれかと同一の構成を備えるものであるから、本願発明15と同様の理由により、当業者であっても引用発明、及び引用文献B、Cに記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

7 小括

以上から、原査定を維持することはできない。

第8 むすび

以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2023-015428

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