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特許拒絶査定不服審判

2023-014116

タッチセンサ

審判番号
2023-014116
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-173007外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年08月22日
審決日
2024年04月01日
公報発行日
2024年04月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .113-WY (G06F) / P18 .121-WY (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-173007「タッチセンサ」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年10月17日出願公開、特開2022-158850、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、令和3年10月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2021年(令和3年)3月31日(以下、「優先日」という。) 中国)の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。

令和4年12月13日付け:拒絶理由通知書
令和5年 3月20日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 4月18日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和5年 8月22日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和5年4月18日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1 理由1(新規性)

本願請求項1、4-6、8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2 理由2(進歩性)

本願請求項1、4-6、8に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、本願請求項2、3に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて、本願請求項7に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.国際公開第2016/038940号

2.特開2017-156828号公報(周知技術を示す文献)

3.国際公開第2019/031400号(周知技術を示す文献)

第3 本願発明

本願の請求項1ないし7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は、令和5年8月22日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
可視領域と、前記可視領域の少なくとも片側に周辺領域とを有するタッチセンサであって、
基板;
前記基板の表面上に配置され、前記可視領域に対応する複数のタッチ電極を含む、タッチ電極層;および
続きを表示(全23行)
前記周辺領域に対応しかつ前記基板の表面上に配置される、複数の周辺トレース、
を含み、
前記タッチ電極層は、金属ナノワイヤ層の第1の部分によって形成され、前記金属ナノワイヤ層は、マトリクスと、前記マトリクス内に分布された金属ナノワイヤとを含み、
前記周辺トレースの各々は、第1の導電層と、前記第1の導電層上に配置された第2の導電層とを含み、前記第1の導電層は、前記金属ナノワイヤ層の第2の部分によって形成され、前記第2の導電層は金属材料で構成され、
前記周辺トレースの各々のライン幅は、6μm以上、10μm未満であり、前記周辺トレースの任意の隣接する周辺トレースのライン間隔は、6μm以上、10μm未満であり、
前記可視領域の幅に対する、前記可視領域の片側の前記周辺領域の幅の比は、0.003~0.010の間であり、
前記第1の導電層の側壁は、前記第2の導電層の側壁と位置合わせされていることを特徴とするタッチセンサ。
【請求項2】
前記周辺トレースの各々のライン幅が8μm以下であり、前記周辺トレースの任意の隣接する周辺トレースのライン間隔が8μm以下である、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項3】
前記第1の導電層が、前記第2の導電層の下面に接触する、請求項1又は2に記載のタッチセンサ。
【請求項4】
前記第1の導電層および前記タッチ電極層が、同じ水平面上にある、請求項1又は2に記載のタッチセンサ。
【請求項5】
前記金属ナノワイヤ層の前記第1の部分と、前記第2の部分とが、それらの間に界面を有さず一体的に形成される、請求項1又は2に記載のタッチセンサ。
【請求項6】
前記周辺トレースを覆うフィルム層をさらに備える、請求項1又は2に記載のタッチセンサ。
【請求項7】
前記第2の導電層が、単一の金属材料または合金材料から構成される単層構造、あるいは、2つ以上の金属材料または合金材料から構成される二層構造または多層構造である、請求項1又は2に記載のタッチセンサ。」

第4 引用文献、引用発明等

1 引用文献1について

(1)引用文献1記載事項

折りたたみ中(クリックで表示)

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審により付与。以下同様。)

ア 「[0001] 本発明は、タッチパネル用導電フィルムおよびタッチパネルに係り、特に、薄い樹脂基板を用いたタッチパネル用導電フィルムおよびタッチパネルに関するものである。」

イ 「[図1]
[図:0001408987000001.jpg]
」
ウ 「[0016] [タッチパネル用導電フィルム]
実施の形態1
図1に、この発明の実施の形態1に係るタッチパネル用導電フィルムの構成を示す。このタッチパネル用導電フィルムは、厚さが40μm以下で且つ可撓性を有する透明な樹脂基板1を有し、この樹脂基板1の表面上に複数の第1の検出電極2が形成されると共に樹脂基板1の裏面上に複数の第2の検出電極3が形成されている。また、樹脂基板1の表面上には、複数の第1の検出電極2に対応する複数の第1の周辺配線4が形成され、この複数の第1の周辺配線4に接続された複数の第1の外部接続端子5が樹脂基板1の縁部に形成されている。同様に、樹脂基板1の裏面上には、複数の第2の検出電極3に対応する複数の第2の周辺配線6が形成され、この複数の第2の周辺配線6に接続された複数の第2の外部接続端子7が樹脂基板1の縁部に形成されている。」
エ 「[0021] (検出電極)
検出電極とは、タッチパネルの表面への接触を検出する為の電極であり、特開2013-182548に記載された投影型静電容量式タッチパネルにおいて、自己容量方式の電極Xおよび電極Y、または相互容量方式の駆動電極および検知電極に相当する。
図1に示すように、複数の第1の検出電極2は、タッチパネルにおけるアクティブ領域(透光エリア)に形成され、それぞれ第1の方向D1に沿って延び且つ第1の方向D1に直交する第2の方向D2に並列配置されている。また、それぞれの第1の検出電極2の一端には、第1のコネクタ部8が形成されている。一方、複数の第2の検出電極3は、アクティブ領域(透光エリア)に形成され、それぞれ第2の方向D2に沿って延び且つ第1の方向D1に並列配置されている。また、それぞれの第2の検出電極3の両端には、それぞれ第2のコネクタ部9が形成されている。
第1の検出電極2および第2の検出電極は、透明な電極であり、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)および酸化インジウム亜鉛(IZO)等で代表される透明導電金属酸化物、PEDOT-PSSおよびチオフェン等の透明高分子導電材料、カーボンナノチューブ(CNT)および銀ナノワイヤー等の透明導電膜、または銀、アルミニウム、銅および金等の金属細線からなるメッシュパターンにより形成されたメッシュ状導電膜で形成することができる。」
オ 「[0027](周辺配線)
複数の第1の周辺配線4は、非アクティブ領域(額縁部)に形成され、複数の第1の検出電極2に形成された複数の第1のコネクタ部8にそれぞれ対応して一端部が接続されると共に、複数の第1の外部接続端子5にそれぞれ対応して他端部が接続されている。
また、複数の第2の周辺配線6は、非アクティブ領域(額縁部)に形成され、複数の第2の検出電極3に形成された複数の第2のコネクタ部9にそれぞれ対応して一端部が接続されている。この時、複数の第2の周辺配線6は、複数の第2の検出電極3を挟むように複数の第2の検出電極3の一端側と他端側にそれぞれ別れて配置されており、一端側に配置された第2の周辺配線6と他端側に配置された第2の周辺配線6が、第1の方向D1に向かって交互に対応する複数の第2のコネクタ部9と接続されている。また、複数の第2の周辺配線6の他端部は、それぞれ対応して複数の第2の外部接続端子7に接続されている。
[0028] ここで、図1において、第1の検出電極2と第1の周辺配線4は、第1のコネクタ部8を介して接続されているが、第1のコネクタ部8を形成することなく、第1の検出電極2と第1の周辺配線4とを直接接続する構成とすることができる。同様に、第2の検出電極3と第2の周辺配線6は、第2のコネクタ部9を形成することなく、直接接続する構成とすることができる。なお、第1のコネクタ部8および第2のコネクタ部9は、第1の検出電極2と第1の周辺配線4の接続部、および、第2の検出電極3と第2の周辺配線6の接続部での電気的導通を向上させる効果があるため、特に検出電極と周辺配線の材料が異なる場合には設けることが好ましい。
[0029] 第1の周辺配線4および第2の周辺配線6を構成する材料としては、金属が好ましく、銀、アルミニウム、銅、金、モリブデン、クロム等の金属およびそれらの合金を用いることができ、これらを単層または積層体として用いることができ、さらに検出電極を構成する材料との積層体とすることもできる。これらの構成材料の中でも、抵抗の観点より銀を用いることが好ましい。
また、第1の周辺配線4および第2の周辺配線6の最小線幅および最小間隔は、10μm以上50μm以下であることが好ましい。第1の周辺配線4および第2の周辺配線6の最小線幅および最小間隔が小さいほどタッチパネルの額縁部を小さくすることができ、10μm以上とすることで周辺配線の抵抗不足を抑制して周辺配線間でショートすることを防ぐことができる。
[0030] 第1の周辺配線4および第2の周辺配線6の膜厚としては、抵抗値の観点からは厚い方が良いが、膜厚が50μmを越えると、後述するカバー部材とタッチパネル用導電フィルムとを貼り合わせる際に、接着部に気泡が生じ易くなるので、膜厚は50μm以下が好ましい。接着部に気泡が生じると、接着部の剥がれの原因となるので、気泡の発生を抑制することで剥がれを抑制することができる。
また、第1の周辺配線4上および第2の周辺配線6上を覆うように、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、およびエポキシ樹脂等からなる絶縁膜を設けても良い。絶縁膜を設けることにより、第1の周辺配線4および第2の周辺配線6のマイグレーションおよび錆び等を防止できる。」

(2)引用発明

上記(1)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「厚さが40μm以下で且つ可撓性を有する透明な樹脂基板1を有し、この樹脂基板1の表面上に複数の第1の検出電極2が形成されると共に樹脂基板1の裏面上に複数の第2の検出電極3が形成され、また、樹脂基板1の表面上には、複数の第1の検出電極2に対応する複数の第1の周辺配線4が形成され、この複数の第1の周辺配線4に接続された複数の第1の外部接続端子5が樹脂基板1の縁部に形成され、同様に、樹脂基板1の裏面上には、複数の第2の検出電極3に対応する複数の第2の周辺配線6が形成され、この複数の第2の周辺配線6に接続された複数の第2の外部接続端子7が樹脂基板1の縁部に形成されているタッチパネル用導電フィルムにおいて、
検出電極とは、タッチパネルの表面への接触を検出する為の電極であって、複数の第1の検出電極2は、タッチパネルにおけるアクティブ領域(透光エリア)に形成され、それぞれ第1の方向D1に沿って延び且つ第1の方向D1に直交する第2の方向D2に並列配置され、一方、複数の第2の検出電極3は、アクティブ領域(透光エリア)に形成され、それぞれ第2の方向D2に沿って延び且つ第1の方向D1に並列配置され、また、第1の検出電極2および第2の検出電極3は、透明な電極であり、銀ナノワイヤーの透明導電膜であって、
複数の第1の周辺配線4は、非アクティブ領域(額縁部)に形成され、また、複数の第2の周辺配線6は、非アクティブ領域(額縁部)に形成され、
第1の周辺配線4および第2の周辺配線6を構成する材料としては、金属が好ましく、銀、アルミニウム、銅、金、モリブデン、クロム等の金属およびそれらの合金を用い、これらを単層または積層体として用い、さらに検出電極を構成する材料との積層体であって、
また、第1の周辺配線4および第2の周辺配線6の最小線幅および最小間隔は、10μm以上50μm以下であることが好ましく、第1の周辺配線4および第2の周辺配線6の最小線幅および最小間隔が小さいほどタッチパネルの額縁部を小さくすることができ、10μm以上とすることで周辺配線の抵抗不足を抑制して周辺配線間でショートすることを防ぐことができる、
タッチパネル用導電フィルム。」

2 引用文献2について

(1)引用文献2記載事項

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原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。

「【0031】
本発明において周辺配線部14を構成する周辺配線、およびダミー周辺配線部15を構成するダミー周辺配線の線幅は、5~200μmであることが好ましく、10~100μmであることがより好ましい。周辺配線の長さ、およびダミー周辺配線の長さは、タッチパネルの画面の大きさによって異なるが、一般的に1~3000mmである。また周辺配線部14を構成する周辺配線の間隔、およびダミー周辺配線部15を構成するダミー周辺配線の間隔については、個々の配線間の距離が最も短い位置において、5~150μmであることが好ましく、10~70μmであることがより好ましく、10~50μmであることが特に好ましい。これによりディスプレイの額縁部をより狭くすることが可能となり、デザイン性がより高まる。」

3 引用文献3について

(1)引用文献3記載事項

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原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、次の事項が記載されている。

「[0020] また、タッチパネル20における最も表側の面に配される第2タッチ電極24及び第2周辺配線32は、図4に示すように、タッチパネル20に対して表側に貼り付けられる表側の偏光板11Cによってほぼ全域にわたって覆われている。この偏光板11Cによって第2タッチ電極24及び第2周辺配線32が外部に露出することが避けられるから、第2タッチ電極24及び第2周辺配線32の保護が図られる。」

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「タッチパネルにおけるアクティブ領域(透光エリア)」は、本願発明1の「可視領域」に相当し、引用発明の「非アクティブ領域(額縁部)」が、「可視領域」の額縁部(周辺)であることは明らかであり、本願発明1の「前記可視領域の少なくとも片側に周辺領域」に相当する。

そして、引用発明の「タッチパネル」が、「タッチパネル用導電フィルム」より構成されていることは明らかであって、引用発明の「タッチパネル用導電フィルム」が「アクティブ領域(透光エリア)」と「非アクティブ領域(額縁部)」を有するものと認められる。

また、引用発明の「タッチパネル用導電フィルム」は、「タッチパネルの表面への接触を検出する為の電極」である「複数の第1の検出電極2」及び「複数の第2の検出電極3」を有するものであるから、いわゆるタッチセンサといい得るものである。

したがって、引用発明の「タッチパネル用導電フィルム」は、本願発明1の「可視領域と、前記可視領域の少なくとも片側に周辺領域とを有するタッチセンサ」に相当する。

イ 引用発明の「樹脂基板1」は、本願発明1の「基板」に相当する。

ウ 引用発明の「第1の検出電極2」、「第2の検出電極3」は、各々、「樹脂基板1の表面上」、「樹脂基板1の裏面上」に形成され、さらに、「タッチパネルにおけるアクティブ領域(透光エリア)に形成され」るものであって、また、「検出電極とは、タッチパネルの表面への接触を検出する為の電極であ」るから、本願発明1の「タッチ電極」に相当する。

そして、引用発明の「複数の第1の検出電極2」及び「複数の第2の検出電極3」が層状であることは明らかであるから、引用発明の「複数の第1の検出電極2」及び「複数の第2の検出電極3」は、本願発明1の「前記基板の表面上に配置され、前記可視領域に対応する複数のタッチ電極を含む、タッチ電極層」に相当する。

エ 引用発明の「複数の第1の周辺配線4」、「複数の第2の周辺配線6」は、「非アクティブ領域(額縁部)に形成され」、また、「樹脂基板1の表面上」、「樹脂基板1の裏面上」に形成されるものであるから、上記アの点も踏まえると、本願発明1の「前記周辺領域に対応しかつ前記基板の表面上に配置される、複数の周辺トレース」に相当する。

オ 引用発明の「銀ナノワイヤーの透明導電膜」は、通常であれば、透明な樹脂の基材(いわゆるマトリクス)に「銀ナノワイヤー」が含まれているものと認められることから、引用発明のこの透明な樹脂の基材、「銀ナノワイヤー」は、各々、本願発明1の「マトリクス」、「マトリクス内に分布された金属ナノワイヤ」に相当し、そして、引用発明の「銀ナノワイヤーの透明導電膜」は、本願発明1の「金属ナノワイヤ層」に相当する。

そして、引用発明の「第1の検出電極2」、「第2の検出電極3」は、「銀ナノワイヤーの透明導電膜」である。また、引用発明の「第1の周辺配線4」、「第2の周辺配線6」は、「銀、アルミニウム、銅、金、モリブデン、クロム等の金属およびそれらの合金を用い、これらを積層体として用い、さらに検出電極を構成する材料との積層体」であるから、「銀、アルミニウム、銅、金、モリブデン、クロム等の金属およびそれらの合金」と「銀ナノワイヤーの透明導電膜」の積層体と認められる。

してみると、引用発明の「銀ナノワイヤーの透明導電膜」は、「第1の検出電極2」、「第2の検出電極3」を形成する部分と、「第1の周辺配線4」、「第2の周辺配線6」を形成する部分から構成されているものと認められる。

したがって、引用発明の「第1の検出電極2および第2の検出電極は、透明な電極であり、銀ナノワイヤーの透明導電膜であ」ることは、本願発明1の「前記タッチ電極層は、金属ナノワイヤ層の第1の部分によって形成され、前記金属ナノワイヤ層は、マトリクスと、前記マトリクス内に分布された金属ナノワイヤとを含」むことに相当する。

カ さらに、上記オの点を踏まえると、引用発明の「銀ナノワイヤーの透明導電膜」の「第1の周辺配線4」、「第2の周辺配線6」を形成する部分は、本願発明1の「前記金属ナノワイヤ層の第2の部分によって形成され」る「第1の導電層」に相当し、引用発明の「銀、アルミニウム、銅、金、モリブデン、クロム等の金属およびそれらの合金」は、本願発明1の「金属材料で構成され」る「第2の導電層」に相当する。

そして、引用発明の「第1の周辺配線4および第2の周辺配線6を構成する材料としては、金属が好ましく、銀、アルミニウム、銅、金、モリブデン、クロム等の金属およびそれらの合金を用いることができ、これらを積層体として用いることができ、さらに検出電極を構成する材料との積層体とすること」は、本願発明1の「前記周辺トレースの各々は、第1の導電層と、前記第1の導電層上に配置された第2の導電層とを含み、前記第1の導電層は、前記金属ナノワイヤ層の第2の部分によって形成され、前記第2の導電層は金属材料で構成され」ることに相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

〈一致点〉

「可視領域と、前記可視領域の少なくとも片側に周辺領域とを有するタッチセンサであって、
基板;
前記基板の表面上に配置され、前記可視領域に対応する複数のタッチ電極を含む、タッチ電極層;および
前記周辺領域に対応しかつ前記基板の表面上に配置される、複数の周辺トレース、
を含み、
前記タッチ電極層は、金属ナノワイヤ層の第1の部分によって形成され、前記金属ナノワイヤ層は、マトリクスと、前記マトリクス内に分布された金属ナノワイヤとを含み、
前記周辺トレースの各々は、第1の導電層と、前記第1の導電層上に配置された第2の導電層とを含み、前記第1の導電層は、前記金属ナノワイヤ層の第2の部分によって形成され、前記第2の導電層は金属材料で構成された、
タッチセンサ。」

〈相違点1〉

本願発明1では、「前記周辺トレースの各々のライン幅は、6μm以上、10μm未満であり、前記周辺トレースの任意の隣接する周辺トレースのライン間隔は、6μm以上、10μm未満であり、前記可視領域の幅に対する、前記可視領域の片側の前記周辺領域の幅の比は、0.003~0.010の間であ」るのに対して、引用発明では、「第1の周辺配線4および第2の周辺配線6の最小線幅および最小間隔は、10μm以上50μm以下であ」って、「アクティブ領域(透光エリア)」の幅に対する、「アクティブ領域(透光エリア)」の片側の「非アクティブ領域(額縁部)」の幅の比は特定されていない点。

〈相違点2〉

本願発明1では、「前記第1の導電層の側壁は、前記第2の導電層の側壁と位置合わせされている」のに対して、引用発明では、「銀ナノワイヤーの透明導電膜」の側壁と、「銀、アルミニウム、銅、金、モリブデン、クロム等の金属およびそれらの合金」の層の側壁が位置合わせされているとは特定されていない点。

(2)相違点についての判断

まず、相違点1について検討する。

引用発明は、「第1の周辺配線4および第2の周辺配線6の最小線幅および最小間隔」を、「10μm以上とすることで周辺配線の抵抗不足を抑制して周辺配線間でショートすることを防ぐことができる」ものであるから、引用発明において、「第1の周辺配線4および第2の周辺配線6の最小線幅および最小間隔」を、10μm未満とする理由が存在しない。

さらに、引用文献2には、周辺配線の線幅、間隔を、5μm以上とすることは記載されているが、「10μm未満」とすること、及び「可視領域の幅に対する、前記可視領域の片側の前期周辺領域の幅の比は、0.003~0.010の間」とすることは記載されておらず、また、引用文献3にも、周辺配線の線幅、間隔を、「10μm未満」とすること、「可視領域の幅に対する、前記可視領域の片側の前期周辺領域の幅の比は、0.003~0.010の間」とすることは記載されておらず、さらに、これらのことが周知の技術であったとも認められない。

したがって、本願発明1は、相違点2について検討するまでもなく、当業者であっても引用文献1に記載された発明、及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2-7について

本願発明2-7は、本願発明1を減縮した発明であり、相違点1に係る発明特定事項を含むことから、本願発明2~7は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1に記載された発明及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 原査定についての判断

審判請求時の補正により、本願発明1ないし7は上記第3に示したとおりのものとなっているから、本願発明1は引用文献1に記載された発明ではなく、また、本願発明1ないし7は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明及び引用文献2、3に記載された技術事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

したがって、原査定の理由1(新規性)及び理由2(進歩性)を維持することはできない。

第7 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2023-014116

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