意匠拒絶査定不服審判
2023-010559
携帯情報端末保持具
- 審判番号
- 2023-010559
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2022-002334
- 登録番号
- 1769504
- 請求日
- 2023年06月26日
- 審決日
- 2024年03月27日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社グルマンディーズ
- 【請求人代理人】福島 三雄
- 審判長/審判官
- 審判長 内藤 弘樹
- 審判官 小林 裕和
- 審判官 成田 陽一
- 分類
- D18 .121-WY (H7-7)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2022- 2334「携帯情報端末保持具」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
令和4年(2022年) 2月 7日 意匠登録出願
同年 10月25日付け 拒絶理由通知書
同年 12月 7日 意見書
令和5年(2023年) 3月22日付け 拒絶査定
同年 6月26日 審判請求書
第2 本願意匠
本願は物品の部分について意匠登録を受けようとする出願であって、本願意匠の意匠に係る物品は、本願の願書の記載によれば「携帯情報端末保持具」であり、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)は、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりであり、願書の「意匠の説明」の欄には「実線で表した部分(当審注:以下「本願部分」という。)が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」と記載されている(別紙第1参照)。
第3 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。
「本願出願前から、携帯電話機や携帯情報端末機の保持具として、略長方形のシート体の1辺の中央に延出部が設けられたものが、引用意匠1及び引用意匠2に見られるように公然知られており、延出部にリングを通した態様も、引用意匠2に見られるように公然知られています。
また、本願出願前から、シート状のプラスチックを溶着した跡として、短い平行線状の溝が表れる態様が、例えば引用意匠3及び引用意匠4に見られるように広く知られています。さらに、丸型カラビナと呼ばれる、円環状で一部が内側に開くリングも、引用意匠5のように広く知られています。
そうすると、本願意匠は、出願前から公然知られた引用意匠1を基に、その帯状の延出部の折返し部を、広く知られた短い平行線状の溝が表れる態様のものとし、同折返し部に、広く知られた円環状で一部が内側に開くリングを通したものに過ぎないため、当業者が容易に創作することができたものと判断されます。
(中略)
<引用意匠>
※特許庁のシステムの都合により、引用意匠の掲載順が前後しています。
(引用意匠2→5→1→3→4の順に掲載しています。)
●引用意匠2
・著者の氏名
アマゾンジャパン合同会社
・表題
「Amazon | エレコム スマホバンド スマホベルト 外付けストラップホール挟み込みシート フィンガーリング付き カラビナタイプ ブラック P-STHFINBK | エレコム | 家電&カメラ」
・掲載箇所
ウェブページの冒頭
・媒体のタイプ
[online]
・掲載年月日
2021年11月25日
・検索日
[2022年10月25日]
・情報の情報源
インターネット
・情報のアドレス
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%82%B3%E3%83%A0-%E5%A4%96%E4%BB%98%E3%81%91%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB-%E6%8C%9F%E3%81%BF%E8%BE%BC%E3%81%BF%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%88-%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E4%BB%98%E3%81%8D-P-STHFINBK/dp/B09MQ7CYCG?th=1
に掲載された、スマートフォン用保持具の意匠における、延出部及びD環部の意匠)
●引用意匠5
・著者の氏名
アマゾンジャパン合同会社
・表題
「Amazon | NBK 丸型カラビナ 36mm ブラックニッケル 4個 S27-311-BN | 手芸・画材 通販」
・掲載箇所
ウェブページの冒頭
・媒体のタイプ
[online]
・掲載年月日
2015年1月11日
・検索日
[2022年10月25日]
・情報の情報源
インターネット
・情報のアドレス
https://www.amazon.co.jp/NBK-%E4%B8%B8%E5%9E%8B%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%93%E3%83%8A-36mm-%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%B1%E3%83%AB-S27-311-BN/dp/B00S4FUE36
に掲載された、丸型カラビナの意匠)
●引用意匠1
米国特許商標公報 2018年10月 9日
電話キャリア(登録番号US D830054S Phone carrier)の意匠における、延出部の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH30322688号)
●引用意匠3
特許庁発行の登録実用新案公報記載
実用新案登録第3172496号
図6に1aとして表された溶着跡の態様
●引用意匠4
特許庁発行の登録実用新案公報記載
実用新案登録第3213720号
図2ないし4の下端に表された溶着跡の態様」
第4 当審の判断
以下、本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か、すなわち、本願意匠が、この意匠の属する分野における通常の知識を有する者が容易に創作することができたものであるか否かについて検討する。
1 本願意匠
(1)本願意匠について
本願意匠の意匠に係る物品(以下「本願物品」という。)は、携帯情報端末を手の指やストラップで保持する「携帯情報端末保持具」であって、使用時には、延出部と環状部材が携帯情報端末の下方に現れる。
(2)本願部分の位置、大きさ及び範囲
本願部分は、略角丸長方形の本体部を除いた部分であって、本体部の下方に位置づけられ、具体的には、本体部の下端中央から下方に延びた延出部と、その延出部の下端部に挿通された環状部材から成り、延出部と環状部材の占める大きさ及び範囲は、本願意匠の全長の約5/8である。
(3)本願部分の用途及び機能
本願部分を構成する環状部材は、願書の意匠に係る物品の説明によれば、環状部材は、ストラップを取り付けたり手の指を通すことで携帯情報端末を保持することができる用途及び機能を有しており、延出部は、本体部と環状部材を繋ぐとともに、携帯情報端末の背面側に折り返されることによって同端末のジャックに挿し込まれる充電用コード等の邪魔にならないという用途及び機能を有している。
(4)本願部分の形状等
a 延出部の形状
延出部は略縦長長方形(縦横比約2:1)であって、本体部から下方に延びて正面側に折り返されて中央部で背面側と圧着されたものであり、正面視縦横比が約2:1であり、正面側の縦幅は背面側に比べてやや短い(背面側の約5/6)。正面側に、4本の縦長のスリット溝が、水平方向に等間隔に形成されており、「A-A切断部拡大端面図」によれば、このスリット溝の深さは正面側折り返し部分の厚みよりも小さく、すなわち、スリット溝は同部分を貫通していない。
b 環状部材
環状部材は円環状であって、その最大径は延出部の横幅よりも大きく(約3倍)、一部(下部)が内側に開くようになっている。
2 引用意匠
原査定における拒絶の理由で引用された引用意匠1~引用意匠5について、以下のとおり認定する(本願部分の向きに合わせて認定する)。なお、これらの引用意匠の出典や公知日などについては、前記第3に記載したとおりである。
(1)引用意匠1(別紙第2参照)
引用意匠1の意匠に係る物品は携帯情報端末を保持する「Phone carrier」であり、全体がシート状であって、略角丸長方形の本体部と、本体部の下端中央から下方に延びた延出部から成り、当該延出部は背面側に折り返されて、その折り返し部分は側面視ループ状に表されている。
(2)引用意匠2(別紙第3参照)
引用意匠2の意匠に係る物品は携帯情報端末を保持する「スマートフォン用保持具」であり、全体がシート状であって、略角丸長方形の本体部と、本体部の下端中央から下方に延びた延出部から成り、当該延出部の下端にはD輪状部材が取り付けられている。
(3)引用意匠3(別紙第4参照)
引用意匠3において溶着跡が施された物品は「クリアファイル」であり、下端寄りに、下端に沿って複数の矩形状溶着加工溝が表されている。
(4)引用意匠4(別紙第5参照)
引用意匠4において溶着跡が施された物品は「マスク収納ケース」であり、二つ折りにされた前面の下端寄りに、水平方向に複数の縦線状溶着加工筋が表されている。
(5)引用意匠5(別紙第6参照)
引用意匠5の意匠に係る物品は「丸形カラビナ」であり、円環状であって、一部(上部)が内側に開くようになっている。
3 創作非容易性の判断
携帯情報端末を保持する物品において、本体部の下端中央から下方に延びた延出部を有する意匠は、引用意匠1及び引用意匠2に見られるように、本願の出願前に日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となっている(以下、単に「公然知られている」という。)。また、円環状であって、一部が内側に開くようになっている意匠も、引用意匠5に見られるように公然知られている。
しかしながら、本願部分に形成された、4本の縦長のスリット溝は、延出部の正面側折り返し部分を貫通していないので、正面側と背面側の圧着に寄与しておらず、装飾目的により形成していると推認されるところ、携帯情報端末を保持する物品についてこのようなスリット溝を形成した形状等は、引用意匠1~引用意匠5には表されていない。
ちなみに、原査定において引用された引用意匠3及び引用意匠4は、溶着跡が施された物品が携帯情報端末を保持する物品ではなく、また、それらに表された溶着加工の溝や筋は、プラスチック成形としての溶着方法に関するものであって、本願部分のように専ら装飾目的のために形成された溝や筋であるとはいい難い。
したがって、原査定における拒絶の理由で引用された意匠に基づいて、当業者が容易に本願部分の創作をすることができたということはできない。
第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたとはいえないものであるから、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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