特許拒絶査定不服審判
2023-009863
導電材料、接続構造体及び接続構造体の製造方法
- 審判番号
- 2023-009863
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-038350
- 請求日
- 2023年06月14日
- 審決日
- 2024年03月04日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】積水化学工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人大阪フロント特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 篠塚 隆
- 審判官 山澤 宏
- 審判官 山内 裕史
- 分類
- P18 .121-WY (H01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019- 38350「導電材料、接続構造体及び接続構造体の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 9月19日出願公開、特開2019-160788、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成31年3月4日(優先権主張 平成30年3月7日(以下、「優先日」という。))の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和4年10月18日付け:拒絶理由通知書
令和5年 2月22日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 3月 6日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和5年 6月14日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和5年3月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
(進歩性)
本願請求項1-14に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、及び、引用文献2に記載された技術事項に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
1.国際公開第2017/033930号
2.特表2015-530705号公報
第3 本願発明
本願の請求項1ないし14に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明14」という。)は、令和5年6月14日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
熱硬化性成分と、はんだ粒子とを含み、
導電材料に含まれる導電性粒子粉体は、液相線温度が300℃以下であるはんだ粒子のみであり、
前記はんだ粒子の固相線温度と前記はんだ粒子の液相線温度との差の絶対値が、5℃以上であり、
導電材料100重量%中、前記はんだ粒子の含有量が、15重量%以上である、導電材料(但し、遷移的液相焼結組成物を除く)。
【請求項2】
前記はんだ粒子の固相線温度における導電材料の粘度が、0.1Pa・s以上50Pa・s以下である、請求項1に記載の導電材料。
【請求項3】
導電材料に含まれる粒子は、液相線温度が230℃以下であるはんだ粒子のみである、請求項1又は2に記載の導電材料。
【請求項4】
導電材料に含まれる導電性粒子粉体は、錫とビスマスとを含むはんだ粒子のみであるか、錫とインジウムとを含むはんだ粒子のみであるか、錫とインジウムと銀とを含むはんだ粒子のみであるか、又は、錫とビスマスとを含むはんだ粒子と錫と銀と銅とを含むはんだ粒子との2種のみである、請求項1~3のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項5】
前記はんだ粒子が、ビスマス、インジウム、銀、銅、又は錫を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項6】
前記はんだ粒子に含まれる金属100重量%中、ビスマスの含有量が、1重量%以上58重量%以下である、請求項5に記載の導電材料。
【請求項7】
前記はんだ粒子に含まれる金属100重量%中、インジウムの含有量が、1重量%以上52重量%以下である、請求項5又は6に記載の導電材料。
【請求項8】
前記はんだ粒子の固相線温度が、115℃以上220℃以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項9】
前記はんだ粒子の粒子径が、0.01μm以上30μm以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項10】
導電ペーストである、請求項1~9のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項11】
第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、
第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、
前記第1の接続対象部材と、前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、
前記接続部の材料が、請求項1~10のいずれか1項に記載の導電材料であり、
前記第1の電極と前記第2の電極とが、前記接続部中のはんだ部により電気的に接続されている、接続構造体。
【請求項12】
前記第1の電極と前記接続部と前記第2の電極との積層方向に前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、前記接続部中のはんだ部が配置されている、請求項11に記載の接続構造体。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか1項に記載の導電材料を用いて、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材の表面上に、前記導電材料を配置する工程と、
前記導電材料の前記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材を、前記第1の電極と前記第2の電極とが対向するように配置する工程と、
前記はんだ粒子の液相線温度以上に前記導電材料を加熱することで、前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部を、前記導電材料により形成し、かつ、前記第1の電極と前記第2の電極とを、前記接続部中のはんだ部により電気的に接続する工程とを備える、接続構造体の製造方法。
【請求項14】
前記第1の電極と前記接続部と前記第2の電極との積層方向に前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、前記接続部中のはんだ部が配置されている接続構造体を得る、請求項13に記載の接続構造体の製造方法。」
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審により付与。以下同様。)
ア 「[0028] 以下、本発明の詳細を説明する。
[0029] (導電材料)
本発明に係る導電材料は、複数の導電性粒子と、バインダーとを含む。上記導電性粒子は、導電部を有する。上記導電性粒子は、導電部の外表面部分に、はんだを有する。はんだは、導電部に含まれ、導電部の一部又は全部である。上記バインダーは、上記導電材料に含まれる導電性粒子を除く成分である。
[0030] 本発明に係る導電材料は、上記バインダーとして、熱硬化性成分と、フラックスとを含む。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物を含む。上記熱硬化性成分は、熱硬化剤を含むことが好ましい。
・・・中略
[0039] 上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電ペーストは異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは異方性導電フィルムであることが好ましい。上記導電材料は、電極の電気的な接続に好適に用いられる。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
・・・中略・・・
[0194] (他の成分)
上記導電材料は、必要に応じて、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。」
イ 「[図1]
[図:0001408925000001.jpg]
」
ウ 「[0204] 以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
[0205] 図1は、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて得られる接続構造体を模式的に示す断面図である。
[0206] 図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材3と、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4とを備える。接続部4は、上述した導電材料により形成されている。本実施形態では、導電材料は、導電性粒子として、はんだ粒子を含む。
[0207] 接続部4は、複数のはんだ粒子が集まり互いに接合したはんだ部4Aと、熱硬化性成分が熱硬化された硬化物部4Bとを有する。
[0208] 第1の接続対象部材2は表面(上面)に、複数の第1の電極2aを有する。第2の接続対象部材3は表面(下面)に、複数の第2の電極3aを有する。第1の電極2aと第2の電極3aとが、はんだ部4Aにより電気的に接続されている。従って、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とが、はんだ部4Aにより電気的に接続されている。なお、接続部4において、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まったはんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)では、はんだは存在しない。はんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)では、はんだ部4Aと離れたはんだは存在しない。なお、少量であれば、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まったはんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)に、はんだが存在していてもよい。」
エ 「[0230] 以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
[0231] 熱硬化性化合物:
三菱化学社製「YL980」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
日産化学工業社製「TEPIC-PAS」、イソシアヌル骨格を有するエポキシ化合物
TEPIC-PASの変性物:日産化学工業社製「TEPIC」のエポキシ基をチイラン基に変換した化合物(合成品)、イソシアヌル骨格を有するエピスルフィド化合物
日産化学工業社製「TEPIC-VL」
日産化学工業社製「TEPIC-UC」
[0232] 熱硬化剤:
旭化成イーマテリアルズ社製「HXA3922HP」
SC有機化学工業株式会社製「TEMPIC」
[0233] 硬化促進剤:
四国化成工業社製「2MA-OK」、イミダゾール硬化促進剤
[0234] リン酸化合物:
城北化学工業社製「JP260」、ジフェニルハイドロフェンホスファイト、(C6H5-O-)2P(=O)H
[0235] フラックス:
グルタル酸
四国化成工業社製「CIC」
四国化成工業社製「MACIC-1」
[0236] 導電性粒子:
SnBiはんだ粒子(平均粒子径30μm)、三井金属社製、Sn42Bi58
[0237] (実施例1~11及び比較例1)
(1)異方性導電ペーストの作製
下記の表1,2に示す成分を下記の表1,2に示す配合量で配合して、異方性導電ペーストを得た。
・・・中略
[0254]
[表1]
[図:0001408925000002.jpg]
」
(2)引用文献1の記載事項
ア 上記(1)アには、導電性粒子と、フラックスと、熱硬化性化合物と熱硬化剤をと含む熱硬化性成分と、添加剤とを含む導電材料、が記載されている。
イ 上記(1)アの段落[0039]には、導電材料は、異方性導電ペーストであることが好ましいことが記載され、そして、上記(1)エには、導電材料を異方性導電ペーストとした実施例1として、導電性粒子がSn42Bi58を40重量部であり、フラックスがグルタル酸を4重量部であり、熱硬化性化合物がビスフェノールA型エポキシ樹脂を24重量部とイソシアヌル骨格を有するエポキシ化合物を2重量部とであり、熱硬化剤がHXA3922HPを30重量部であり、添加剤が硬化促進剤としてイミダゾール硬化促進剤が2重量部とリン酸化合物としてジフェニルハイドロフェンホスファイトが1重量部である異方性導電ペースト、が記載されている。
(3)引用発明
上記(2)ア、イから、引用文献1には、特に、実施例1に注目すると、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「導電性粒子と、フラックスと、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを含む熱硬化性成分と、添加剤とを含む導電材料において、
導電性粒子がSn42Bi58を40重量部であり、
フラックスがグルタル酸を4重量部であり、
熱硬化性化合物がビスフェノールA型エポキシ樹脂を24重量部とイソシアヌル骨格を有するエポキシ化合物を2重量部とであり、
熱硬化剤がHXA3922HPを30重量部であり、
添加剤が硬化促進剤としてイミダゾール硬化促進剤が2重量部とリン酸化合物としてジフェニルハイドロフェンホスファイトが1重量部である、
導電材料。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。
ア 「【0004】
粉末に関する「一時的な液相焼結(transient liquid phase sintering)」または「TLPS」という用語は、金属の均質化の結果、液体が短期間のみ存在し、固体合金および/またはインターメタリックの混合物を形成するプロセスをいう。液相は、周囲の固相に対する非常に高い溶解牲がある。その結果、急速に固体内に拡散して、最終的には固まる。混合物を平衡融解温度より上まで加熱しなくとも、拡散均質化は最終組成物を作成する。
【0005】
粉末冶金を含むTLPS組成物では、比較的低い融点(LMP)合金と比較的高い融点(HMP)金属が微粒子形態で混合される。それぞれの合金の中の少なくとも1の元素は、受容性HMP金属(receptive HMP metal)中に高度に溶解性であるか、またはそれと反応する。温度がLMP合金の融点に上げられるのに従って、合金粒子は溶融状態になる。この遷移状態は吸熱事象として示差走査熱量計(DSC)で観測される。比較的低融点な合金内の反応性元素は、受容的な高融点金属と反応して新しい合金組成物、および/またはインターメタリックを形成する。DSCにより、発熱事象としてインターメタリック種の形成を観測できる。したがって、典型的なTLPS DSC「シグネチャー(signature)」は、吸熱とその後の発熱である。低融点合金と受容的な高融点金属からの反応性元素の拡散と反応は、どちらかの反応剤が完全に減耗され、処理温度における溶融相がもうなくなるか、または反応系が混合物の冷却により停止されるまで続く。冷却後、次の温度サイクルでは、元のLMP合金の融解温度を超えても、混合物のオリジナルの溶融シグネチャーを再生しない。これは典型的な低温過渡的液相焼結金属混合物の「シグネチャー」である。」
イ 「【0057】
非共晶合金
共晶組成と実質的に異なった合金類の使用には、はんだ結合における好ましくない結果がある。非共晶合金の広い溶融範囲は、接合されるべき部分がより長い時間固定されることを必要とし、鋭い融点を有する共晶合金はんだについて必要とされる時間よりも長いサイクル時間を要する。より長い滞留時間はより厚いインターメタリック層をもたらし、これは回路パッドとのラメラ界面に沿ってクラッキングを生ずる可能性を大きくする。さらに、非共晶はんだはしばしば共晶はんだほどには濡れ性が大きくない。得られた結合の外観はつやが無く、それは輝いている共晶ジョイントよりも、自動化された目視検査を難しくする。これらの理由により、共晶割合と実質的に異なった組成を有する合金類は、はんだ結合に好ましくないと見なされている。
【0058】
しかしながら、TLPS組成物では、これらの特性は有害でなく、事実、非共晶はんだ合金類はいくつかの予期していなかった利益を与える。比較的長いサイクルタイムは、TLPSの材料が揮発性有機物成分に起因する気泡を最小にして、一体化されたポリマー接着剤を硬化するのを許容するために一般的である。したがって、非共晶合金が固まるために必要とするより長いプロセスサイクルは、より良質の複合材料接合を与える。また、非共晶合金の広い溶融範囲は、広い凝固範囲を意味する。過剰な量の合金がTLPS組成物に取り入れられ、処理の後に未反応の合金が残っているようにされる場合には、この残りの合金は、インターメタリックネットワークを崩壊させずに繰り返し溶融し、再固形化することができる。その結果、非共晶合金の広い凝固範囲は、金属マトリックスが、電子部品で典型的に使用されるポリマ成分のガラス転移温度範囲でCTEのミスマッチを吸収することを許容する。ぬれ挙動ははんだほどTLPS組成物では重要ではない。なぜならはんだ付けで形成された実質的にラメラ界面ではなく、TLPSの間に個別粒子およびスポット接続が形成されるからである。有利なことには、より貧弱な濡れは、TLPS組成物が希望の接触領域を超えて広がることを防止し、その結果ショートを防止する。処理される時、TLPS材料は導電性接着材と同様の外観を有し、輝いているジョイントは、これらの材料のための産業では期待されず、必要ともされない。
・・・中略・・・
【0063】
ある特定の実施態様では、本発明は高融点金属Mを含む第1の粒子、および低溶融温度合金XYを含む第2の粒子を含み、YはMと反応性である金属元素であり、XはMと反応しないキャリアであるかまたは促進金属元素であり、全てが有機ビヒクル中に懸濁されたTLPS組成物を提供する。この実施態様において合金のXとY構成要素は非共晶割合で存在し、低融点温度合金中のXの割合は、XとYの共晶合金中のXの割合の68重量%未満である。ある特定の態様では、第1の粒子タイプは、1種以上の追加の高融点金属を含み、および/またはHMP金属微粒子の混合物を含むことができる。同様に、第2の粒子タイプは均質であるか、または1種以上の追加合金類Y、またはMと反応性である他のLMP金属を含むことができる。
・・・中略・・・
【0066】
典型的に、低溶融温度非共晶合金XYの溶融の開始は、XとYの共晶合金の融点またはその近傍で起こる。したがって、ある特定の実施態様では、低溶融温度非共晶合金は、約5℃から約50℃の溶融温度範囲を有する。たとえば、XとYの共晶合金がSn42/Bi58(融点138℃)である場合、本発明のTLPS組成物中に存在する非共晶合金は、約138℃周辺で溶融を開始し、約142℃から約188℃の間のリキダス温度を有するだろう。」
(2)引用文献2の記載の技術事項
上記(1)から、引用文献2には、次の技術事項が記載されているものと認められる。
「高融点金属Mを含む第1の粒子、及び低溶融温度合金XYを含む第2の粒子を含むTLPS(一時的な液相焼結(transient liquid phase sintering))組成物における、低溶融温度合金XYとして非共晶はんだ合金を用いること。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「熱硬化性化合物と熱硬化剤とを含む熱硬化性成分」は、本願発明1の「熱硬化性成分」に相当する。
イ 引用発明の「導電性粒子」は、「Sn42Bi58」であって、ここで「Sn42Bi58」が共晶はんだであって融点が138℃であることは技術常識であり、引用発明の「導電性粒子」は、液相線温度が300℃以下であるはんだ粒子のみであるといえる。
してみると、引用発明の「導電性粒子」は、本願発明1の「はんだ粒子」に相当し、また、引用発明の「導電性粒子」と、本願発明1の「導電材料に含まれる導電性粒子粉体は、液相線温度が300℃以下であるはんだ粒子のみであり、前記はんだ粒子の固相線温度と前記はんだ粒子の液相線温度との差の絶対値が、5℃以上であ」ることとは、後記の点で相違するものの、「導電材料に含まれる導電性粒子粉体は、液相線温度が300℃以下であるはんだ粒子のみであ」ることの点では共通する。
ウ 引用発明の「導電材料」は、「導電性粒子がSn42Bi58を40重量部」、「フラックスがグルタル酸を4重量部」、「熱硬化性化合物がビスフェノールA型エポキシ樹脂を24重量部と、イソシアヌル骨格を有するエポキシ化合物を2重量部」、「熱硬化剤がHXA3922HPを30重量部」、「添加剤が硬化促進剤としてイミダゾール硬化促進剤が2重量部と、リン酸化合物としてジフェニルハイドロフェンホスファイトが1重量部」の合計103(40+4+24+2+30+2+1)重量部からなり、そのうち「導電性粒子」は「40重量部」であるから、「導電材料」100重量%中、「導電性粒子」は38.8重量%であるといえる。
したがって、引用発明の「導電材料」の合計103重量部中、「導電性粒子」が「40重量部」であることは、本願発明1の「導電材料100重量%中、前記はんだ粒子の含有量が、15重量%以上である」ことに相当する。
エ 引用発明の「導電材料」は、「熱硬化性化合物」と、「熱硬化剤」と、「導電性粒子」とからなり、「導電性粒子」は「Sn42Bi58」であり遷移的液相焼結組成物でないことは明らかであるから、引用発明の「導電材料」は、本願発明1の「導電材料(但し、遷移的液相焼結組成物を除く)」に対応するものである。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
〈一致点〉
「熱硬化性成分と、はんだ粒子とを含み、
導電材料に含まれる導電性粒子粉体は、液相線温度が300℃以下であるはんだ粒子のみであり、
導電材料100重量%中、前記はんだ粒子の含有量が、15重量%以上である、導電材料(但し、遷移的液相焼結組成物を除く)。」
〈相違点〉
本願発明1では、「前記はんだ粒子の固相線温度と前記はんだ粒子の液相線温度との差の絶対値が、5℃以上であ」るのに対して、引用発明では、「Sn42Bi58」は共晶はんだであって固相線温度と液相線温度との差がない点。
(2)相違点についての判断
引用文献2には、高融点金属Mを含む第1の粒子、及び低溶融温度合金XYを含む第2の粒子を含むTLPS(一時的な液相焼結(transient liquid phase sintering))組成物における、低溶融温度合金XYとして非共晶はんだ合金を用いることが記載されている。また、「TLPS」はいわゆる遷移的液相焼結組成物と認められる。
しかしながら、引用発明は、高融点金属を含んでおらずTLPSではないことから、TLPSの技術事項を適用する理由が存在しない。
また、はんだ粒子の固相線温度とはんだ粒子の液相線温度との差の絶対値が、5℃以上である非共晶はんだを用いることが周知技術であったとも認められない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用文献1に記載された発明、及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2-14について
本願発明2-10は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明11、13は、本願発明1を(間接的に)引用する、それぞれ「接続構造体」、「接続構造体の製造方法」の発明であり、また、本願発明12、14は、それぞれ本願発明11、13を減縮した発明であって、いずれも相違点に係る発明特定事項を含むことから、本願発明2ー14は、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-009863