特許拒絶査定不服審判
2023-009814
遊技機
- 審判番号
- 2023-009814
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-013279
- 請求日
- 2023年06月13日
- 審決日
- 2024年03月19日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社大一商会
- 【請求人代理人】弁理士法人崇河特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 長井 真一
- 審判官 渋谷 知子
- 審判官 長崎 洋一
- 分類
- P18 .4 -WY (A63F) / P18 .537-WY (A63F) / P18 .55 -WY (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第39条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2020- 13279「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 8月12日出願公開、特開2021-118800、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年1月30日の出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。
令和 4年10月 7日 :手続補正書の提出
同年10月27日 :上申書の提出
同年11月18日付け:拒絶理由通知
令和 5年 3月 6日 :意見書の提出
同年 3月24日付け:拒絶査定(原査定)
同年 6月13日 :審判請求書の提出
同年11月29日付け:審判合議体(以下「当審」という)による 拒絶理由通知
令和 6年 1月26日 :意見書、手続補正書の提出
第2 当審拒絶理由の概要
令和5年11月29日付けで通知した当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
「1(同日出願)令和4年10月7日付け手続補正により補正された本願の請求項1に係る発明(以下「補正前発明」という。)は、同一出願人が同日出願した下記の出願の請求項1に係る発明と同一と認められるから、この通知書と同日に発送した特許庁長官名による指令書に記載した届出がないときは、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。
2(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・理由1(同日出願)について
<引用文献等一覧>
1.特願2020-13280(同日出願)
・理由2(明確性)について
(1)補正前発明の構成Jに「前記第2操作部のみを連続操作する」、「前記第1操作部のみを連続して操作する」と記載されているが、異なる表現が用いられているから、「連続操作する」ことと「連続して操作する」こととの操作の内容が異なるのか、異なるとした場合にどのように異なるのかが不明である。
また、「連続して操作する」ことや「連続操作する」ことが、操作を繰り返すことと操作を維持することのどちらを意味するのかが不明確であるから、構成Jの「連続操作する」ことや「連続して操作する」ことと、補正前発明の構成Hにおける「操作した状態に維持し続け」ることとの異同が不明である。
(2)補正前発明の構成Hには「前記第1操作部を操作した状態に維持し続けたとしても前記操作受付が特殊時間毎に複数回なされることはない」と特定されているから、補正前発明の構成Jの「前記第1操作部のみを連続して操作する」ことは、遊技者による複数回の操作によりなされるものと理解できる一方、補正前発明の構成Hには「前記第2操作部を操作した状態に維持し続けたときには前記操作受付が特殊時間毎に複数回なされうるようになって」いると特定されているから、補正前発明の構成Jの「前記第2操作部のみを連続操作する」ことは、遊技者による複数回の操作によりなされるものと「操作した状態に維持し続けたとき」に「前記操作受付が特殊時間毎に複数回なされ」たことによるもののいずれとも理解できるところ、いずれによるものであるのかが不明である。
(3)上記(1)、(2)の点が不明確である結果、補正前発明の構成Jにおいて、「前記第2操作部のみを連続操作する場合」と「前記第1操作部のみを連続して操作するとき」とで「前記操作受付に応じた受付後変化」の「回数」を比較し、前者の方が「多い」ことを特定しているが、どのような条件において「前記操作受付に応じた受付後変化」の「回数」を比較しているのかが不明であるから、補正前発明の構成Jの技術的意義を理解することができない。
(4)補正前発明の構成Hにおいて「第1操作許容状態においては、複数回の操作受付が許容可能とされている状態にある操作部として第1操作部及び第2操作部が少なくともあ」るとされる一方、構成M、Nには「第2操作許容状態において前記操作部に対する操作受付がなされ」るとある。
そうすると、補正前発明の構成M、Nの「操作部」が、構成H~Jにおいて特定されている「第1操作部」や、「第2操作部」のことを指すのか、それとも、「第1操作部」や「第2操作部」とは別の操作部のことを指すのか明らかでない。
(なお、発明の詳細な説明には、補正前発明の構成M、Nに対応させて、【2921】に「・・・受付期間Dにおいて、「受付後表示D」を表示開始させるために求められる操作内容(操作ボタン410に対する押圧操作)と、「受付後表示D」が表示されている期間において、該「受付後表示D」を早期終了させるために求められる操作内容(操作ボタン410に対する押圧操作)とを互いに同じ操作内容として設定することとしているが、これらの操作内容は互いに異なるものであってもよい。例えば、「受付後表示D」を表示開始させるために求められる操作内容は「操作ボタン410に対する押圧操作」であるのに対し、該「受付後表示D」を終了させるために求められる操作内容を「刀装飾体5001の抜刀操作」とするようにしてもよいし、若しくは「操作ボタン410に対する押圧操作」と「刀装飾体5001の抜刀操作」との組み合わせなどであってもよい。」ことのみが記載されているため、「第1操作部」や「第2操作部」とは別の操作部のことを指す場合にはサポート要件を満たさない可能性がある点に留意されたい。)」
第3 補正後の本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和6年1月26日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものとなった(符号A~Qは、それぞれ、本願発明を分説するため当審で付した。また、下線は補正箇所を示すために当審が付した。)。
「【請求項1】
A 遊技者による操作対象とされる操作部と、
B 判定を行う判定手段と、
C 前記判定手段による判定に用いられる判定情報を記憶可能な保留記憶手段と、
D 前記保留記憶手段により記憶される判定情報に基づいて複数の変動パターンのいずれかを選択し、該選択した変動パターンで図柄変動を実行可能な図柄変動実行手段と、
E 前記判定手段による判定にて所定の結果が得られたことに基づいて遊技者に特典を付与しうる特典付与手段と、
F 前記操作部に対する操作受付が許容可能とされる操作許容状態を発生可能であり、該操作許容状態において前記操作部に対する操作受付がなされると、該操作受付に応じた受付後変化として、表示変化及び音出力の少なくとも1つを生じさせうる操作許容状態実行手段と
を備え、
G 前記操作許容状態として、第1操作許容状態及び第2操作許容状態が用意されており、
H 前記第1操作許容状態においては、複数回の操作受付が許容可能とされている状態にある操作部として第1操作部及び第2操作部が少なくともあり、前記第1操作部を操作した状態に維持し続けたとしても前記操作受付が特殊時間毎に複数回なされることはないが、前記第2操作部を操作した状態に維持し続けたときには前記操作受付が前記特殊時間毎に複数回なされうるようになっており、
I 前記第1操作許容状態では、前記第1操作部に対する操作受付がなされたときと、前記第2操作部に対する操作受付がなされたときとで、該操作受付に応じた前記受付後変化が互いに異なる態様で生じるようになっており、
J 前記第1操作許容状態において前記操作部のうち前記第2操作部のみを繰り返し操作する場合に、前記第1操作許容状態において前記操作部のうち前記第1操作部のみを繰り返し操作するときよりも、前記操作受付に応じた受付後変化としての前記表示変化及び前記音出力の少なくとも1つを、多くの回数にわたって生じさせることができるようになっており、
K さらに、
前記第1操作許容状態は、前記保留記憶手段により記憶される判定情報の数にかかわらず、所定変動パターンで前記図柄変動が実行開始されたときには、該図柄変動が実行開始されてから所定時間が経過したときに発生するものであるのに対し、
L1 前記第2操作許容状態は、前記保留記憶手段により記憶される判定情報の数が所定数未満の状況にあるときに特定変動パターンで前記図柄変動が実行開始されたときには、該図柄変動が実行開始されてから特定時間が経過したときに発生しうるものであるが、前記保留記憶手段により記憶される判定情報の数が前記所定数未満の状況にあるときに前記特定変動パターンで前記図柄変動が実行開始された場合であっても、該図柄変動が実行開始されてから前記特定時間が経過するよりも前に前記保留記憶手段により記憶される判定情報の数が増加したときには該図柄変動が実行開始されてから前記特定時間が経過しても発生しないようになっており、
さらに、
M 前記第2操作許容状態において前記操作部に対する操作受付がなされた場合、該操作受付に応じた受付後変化として、特定の表示態様が表示可能とされており、
N 前記第2操作許容状態は、前記保留記憶手段により記憶される判定情報の数が前記所定数未満の状況にあるときに前記特定変動パターンで前記図柄変動が実行開始されたときには、該図柄変動が実行開始されてから前記特定時間が経過したときに発生しうるものであるが、該第2操作許容状態において前記操作部に対する操作受付がなされてこれに応じた受付後変化として前記特定の表示態様が表示されている間に前記保留記憶手段により記憶される判定情報の数が増加したときには該表示されている状態にある前記特定の表示態様を非表示にする
Q ことを特徴とする遊技機。」
第4 当審拒絶理由についての判断
1 補正後の同日発明について
(1)同日出願1の請求項1に係る発明
本願と同一出願人が、本願と同日に出願した特願2020-13280号の請求項1に係る発明(以下「同日発明」という。)は、令和6年1月26日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものとなった(a~qは、本願発明の分説と対応させて当審で付した。また、下線は補正箇所を示すために当審が付した。)。
「【請求項1】
a 遊技者による操作対象とされる操作部と、
b 判定を行う判定手段と、
c 前記判定手段による判定に用いられる判定情報を記憶可能な保留記憶手段と、
d 前記保留記憶手段により記憶される判定情報に基づいて複数の変動パターンのいずれかを選択し、該選択した変動パターンで図柄変動を実行可能な図柄変動実行手段と、
e 前記判定手段による判定にて所定の結果が得られたことに基づいて遊技者に特典を付与しうる特典付与手段と、
f 前記操作部に対する操作受付が許容可能とされる操作許容状態を発生可能であり、該操作許容状態において前記操作部に対する操作受付がなされると、該操作受付に応じた受付後変化として、表示変化及び音出力の少なくとも1つを生じさせうる操作許容状態実行手段と
を備え、
g 前記操作許容状態として、第1操作許容状態及び第2操作許容状態が用意されており、
h 前記第1操作許容状態においては、複数回の操作受付が許容可能とされている状態にある操作部として第1操作部及び第2操作部が少なくともあり、前記第1操作部を操作した状態に維持し続けたとしても前記操作受付が特殊時間毎に複数回なされることはないが、前記第2操作部を操作した状態に維持し続けたときには前記操作受付が前記特殊時間毎に複数回なされうるようになっており、
i 前記第1操作許容状態では、前記第1操作部に対する操作受付がなされたときと、前記第2操作部に対する操作受付がなされたときとで、該操作受付に応じた前記受付後変化が互いに異なる態様で生じるようになっており、
j 前記第1操作許容状態において前記操作部のうち前記第2操作部のみを繰り返し操作する場合に、前記第1操作許容状態において前記操作部のうち前記第1操作部のみを繰り返し操作するときよりも、前記操作受付に応じた受付後変化としての前記表示変化及び前記音出力の少なくとも1つを、多くの回数にわたって生じさせることができるようになっており、
k さらに、
前記第1操作許容状態は、前記保留記憶手段により記憶される判定情報の数にかかわらず、所定変動パターンで前記図柄変動が実行開始されたときには、該図柄変動が実行開始されてから所定時間が経過したときに発生するものであり、
m 前記第2操作許容状態において前記操作部に対する操作受付がなされた場合、該操作受付に応じた受付後変化として、特定の表示態様が表示可能とされており、
n 前記第2操作許容状態は、前記保留記憶手段により記憶される判定情報の数が所定数未満の状況にあるときに特定変動パターンで前記図柄変動が実行開始されたときには、該図柄変動が実行開始されてから特定時間が経過したときに発生しうるものであるが、該第2操作許容状態において前記操作部に対する操作受付がなされてこれに応じた受付後変化として前記特定の表示態様が表示されている間に前記保留記憶手段により記憶される判定情報の数が増加したときには該表示されている状態にある前記特定の表示態様を非表示にするようになっており、
p さらに、
前記第1操作許容状態において、前記第2操作部に対する操作受付に応じた前記受付後変化が生じているなかで前記第1操作部を操作した場合は、前記第1操作部に対する操作受付に応じた前記受付後変化が、前記第2操作部に対する操作受付に応じた前記受付後変化が生じているなかで新たに生じるようになっており、前記第1操作部に対する操作受付に応じた前記受付後変化が生じているなかで前記第2操作部を操作した場合は、前記第2操作部に対する操作受付に応じた前記受付後変化が、前記第1操作部に対する操作受付に応じた前記受付後変化が生じているなかで新たに生じる
q ことを特徴とする遊技機。」
(2)対比
本願発明と同日発明を対比すると、本願発明の構成A~J、M、N、Qは、同日発明の構成a~j、m、n、qに相当し、本願発明の構成Kは、同日発明の構成kに実質的に相当する。
すると、本願発明と同日発明とは、本願発明が「前記第2操作許容状態は、前記保留記憶手段により記憶される判定情報の数が所定数未満の状況にあるときに特定変動パターンで前記図柄変動が実行開始されたときには、該図柄変動が実行開始されてから特定時間が経過したときに発生しうるものであるが、前記保留記憶手段により記憶される判定情報の数が前記所定数未満の状況にあるときに前記特定変動パターンで前記図柄変動が実行開始された場合であっても、該図柄変動が実行開始されてから前記特定時間が経過するよりも前に前記保留記憶手段により記憶される判定情報の数が増加したときには該図柄変動が実行開始されてから前記特定時間が経過しても発生しないようになって」いる構成(構成L1)を備えるのに対し、同日発明は、構成L1を備えておらず、その代わりに、本願発明が備えていない、「前記第1操作許容状態において、前記第2操作部に対する操作受付に応じた前記受付後変化が生じているなかで前記第1操作部を操作した場合は、前記第1操作部に対する操作受付に応じた前記受付後変化が、前記第2操作部に対する操作受付に応じた前記受付後変化が生じているなかで新たに生じるようになっており、前記第1操作部に対する操作受付に応じた前記受付後変化が生じているなかで前記第2操作部を操作した場合は、前記第2操作部に対する操作受付に応じた前記受付後変化が、前記第1操作部に対する操作受付に応じた前記受付後変化が生じているなかで新たに生じる」構成(構成p)を備える点で相違し、その余の点で一致する。
(3)判断
上記(2)で検討したとおり、令和6年1月26日提出の手続補正書による補正により、本願発明は、同日発明が備えない構成L1を備え、同日発明は、本願発明が備えない構成pを備えることになった。
そして、本願発明は、構成L1を備えることにより、「受付期間Dを、「遊技を中止しようとしているときに限り出現しうる種別の受付期間」として、より適正に機能させることができるようになる。」(【2983】)という効果を奏するものであり、同日発明は、構成pを備えることにより、「図305(a)に示されるように、「第10F操作部A(ここでは、刀装飾体5001)」に対する操作受付と、「第10F操作部B(ここでは、操作ボタン410)」に対する操作受付とがいずれも許容されうる状態にあることが、「第10F受付期間」の発生時点においては秘匿にされうる。ただし、その秘匿状態は、図305(b)に示されるように、「第10F受付期間」において「第10F操作部B(ここでは、操作ボタン410)」に対する操作受付が一度でもなされると、「第10F操作部B(ここでは、操作ボタン410)」側の秘匿性に関してのみ解除されるようになることから、緊張感を好適に維持しつつも遊技興趣の向上を図ることが期待されうるようになる。」(【5165】)という効果を奏するものである。
また、「遊技機」が構成L1や、構成pを備えることが、本願出願前に周知技術であったともいえない。
したがって、本願発明を先願とし同日発明を後願として仮定しても、本願発明を後願とし同日発明を先願として仮定しても、いずれにおいても、両者を実質的に同一ということはできない。
2 明確性について
(1)構成Jについて
当審では、補正前発明 の構成Jの「前記第2操作部のみを連続操作する」、「前記第1操作部のみを連続して操作する」という記載は、明確でないとの拒絶の理由を通知したところ、令和6年1月26日提出の手続補正書による補正より、それぞれ、「前記第2操作部のみを繰り返し操作する」、「前記第1操作部のみを繰り返し操作する」と補正された結果、いずれも、操作を維持するのでなく、操作を繰り返すことを意味することが明らかとなり、また、遊技者による複数回の操作のみによりなされるものであることが明確になり、また、「特定の操作許容期間(例えば、第10F受付期間(図303~図306を参照))」で「繰り返し操作したときに操作受付がなされうる」(【5578】)という条件における回数を比較していることが明確になった。
したがって、この拒絶の理由は解消された。
(2)構成M、Nについて
当審では、補正前発明の構成M、Nの「操作部に対する操作受付がなされ」という記載は、「操作部」が第1操作部又は第2操作部のいずれの操作部を指すのか明らかでなく、明確でないとの拒絶の理由を通知したが、令和6年1月26日提出の意見書において請求人が主張するとおり、構成M、Nの上記指摘箇所が、本願明細書の【5158】の記載に基づくもので、「操作部」が、第1操作部や、第2操作部に限られるものではないと認められるので、この拒絶の理由は解消された。
第5 原査定の概要
1 令和5年3月24日付け拒絶査定における指摘事項の概要は次のとおりである。
「この出願については、令和4年11月18日付け拒絶理由通知書に記載した理由1及び理由2によって拒絶をすべきものです。
理由1(特許法第17条の2第3項)及び理由2(特許法36条第6項第1号)について
令和 4年10月 7日付け手続補正後の請求項1に記載した事項は、意見書における出願人の主張を考慮しても、依然として、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内にない。かつ、請求項1に係る発明は、意見書における出願人の主張を考慮しても、依然として、発明の詳細な説明に記載したものではない。」
2 令和4年11月18日付け拒絶理由通知における指摘事項
「・理由1 新規事項について
1 令和4年10月7日付け手続補正により、請求項1の記載に基づいて特許を受けようとする発明は、その発明を特定するために必要な事項として「操作許容状態として、第1操作許容状態及び第2操作許容状態が用意されており、」との事項、「第1操作許容状態」について「第1操作部を操作した状態に維持し続けたとしても操作受付が特殊時間毎に複数回なされることはないが、第2操作部を操作した状態に維持し続けたときには前記操作受付が特殊時間毎に複数回なされうる」との事項、及び、「第2操作許容状態」について「保留記憶手段により記憶される判定情報の数が所定数未満の状況」であるときに「発生」するとの事項を含むものとなった。
2 上記請求項1の記載に基づいて特許を受けようとする発明を特定するために必要な事項に関連して、本願の当初明細書等の記載から以下(1)及び(2)に示す事項がいえる。
(1)段落[2949]-[3012]及び図190には、保留数が「1」のときに保留消化がなされたときにのみ「受付期間D」が発生可能であること、及び、遊技の変動パターンが「第3変動パターン」であるときにも「受付期間D」が発生可能であることが開示されていると認められる。
(2)段落[4962]-[4964]及び[5031]-[5032]には、「第3F変動パターン」で変動するときに「第3F受付期間」が発生すること、及び、「第3F受付期間」では「操作ボタン410」は「オート連打機能が有効化されない」一方で「刀装飾体5001」については「オート連打機能が有効化されて所定時間毎に操作受付が自動的に繰り返しなされる」ことが開示されていると認められる。
(3)段落[2815]及び[4853]の記載から見て、段落[2949]-[3012]及び図190に記載された実施の形態と段落[4962]-[4964]及び[5031]-[5032]に記載された実施の形態は異なるものであると認められる。
3 しかしながら、本願の当初明細書等には、「第3変動パターン」と「第3F変動パターン」の関係及び「受付期間D」と「第3F受付期間」の関係については明示がなく、かつ、「受付期間D」と「第3F受付期間」をともに備える遊技機を示す具体的な実施の形態については、記載も示唆もなされていない。
4 したがって、上記手続補正後の請求項1に記載した事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にない。
・理由2 サポート要件について
1 請求項1の記載に基づいて特許を受けようとする発明における、「操作許容状態として、第1操作許容状態及び第2操作許容状態が用意されており、」との事項、「第1操作許容状態」について「第1操作部を操作した状態に維持し続けたとしても操作受付が特殊時間毎に複数回なされることはないが、第2操作部を操作した状態に維持し続けたときには前記操作受付が特殊時間毎に複数回なされうる」との事項、及び、「第2操作許容状態」について「保留記憶手段により記憶される判定情報の数が所定数未満の状況」であるときに「発生」するとの事項は、本願の発明の詳細な説明中に記載も示唆もされていない。(上記「理由1」参照。)」
第6 原査定についての判断
1 新規事項について
当初明細書等には、次の記載がある。
「【4854】
・・・図278~図295を参照して、複数の受付期間のうち、第1F受付期間、第2F受付期間、第3F受付期間、第4F受付期間、及び第5F受付期間について説明することとする。なお、図277までを参照しつつ上述した各受付期間については、第1F受付期間、第2F受付期間、第3F受付期間、第4F受付期間、及び第5F受付期間とは別の受付期間として用意されているものであってもよいし、第1F受付期間、第2F受付期間、第3F受付期間、第4F受付期間、及び第5F受付期間のうちのいずれかとして実現されるものであってもよい。また、以下に説明する各発明を実現する上では、以下に説明する各構成のうちの必要な構成だけを備えるだけでよく、図277までを参照しつつ上述した各受付期間についてはこれらを必ずしも備えないようにしてもよい。」(下線は当審が付した。)
そして、上記「図277までを参照しつつ上述した各受付期間」との記載における「各受付期間」には、「図277まで」のうち、【図188】~【図190】、【図194】~【図197】に示された「受付期間D」が含まれている。
そうすると、上記【4854】の記載から、当初明細書等には、「受付期間D」と「第1~5F受付期間」を別の受付期間として用意し、ともに備えてもよいことが記載されていると認められる。
ここで、令和5年3月6日提出の意見書において、請求人は、本願発明の「第1操作許容状態」に当初明細書等に記載の「第3F受付期間」が対応し、本願発明の「第2操作許容状態」に「受付期間D」が対応するとしている。
したがって、本願発明における「遊技機」が、「第1操作許容状態(第3F受付期間)」と「第2操作許容状態(受付期間D)」をともに備えることは、当初明細書等の【4854】の記載や、【図188】~【図190】、【図194】~【図197】、【図278】~【図295】の図示内容及びこれに関連する記載に基づくものであり、願書に最初に添付した明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
2 サポート要件について
上記1において検討したように、本願発明における「遊技機」が、「第1操作許容状態」と「第2操作許容状態」をともに備えることは、本願の発明の詳細な説明に記載されたものである。
3 小括
上記1、2の検討内容からみて、原査定を維持することはできない。
第7 むすび
上記のとおり、本願については、原査定の理由及び当審拒絶理由を検討しても、その理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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