特許拒絶査定不服審判
2023-009577
バーナ
- 審判番号
- 2023-009577
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-091332
- 請求日
- 2023年06月09日
- 審決日
- 2024年04月22日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】三浦工業株式会社
- 【請求人代理人】岩池 満
- 【請求人代理人】加藤 竜太
- 審判長/審判官
- 審判長 鈴木 充
- 審判官 村山 美保
- 審判官 槙原 進
- 分類
- P18 .121-WY (F23N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2019-91332「バーナ」拒絶査定不服審判事件〔令和2年11月19日出願公開、特開2020-186852、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年5月14日の出願であって、令和4年10月20日付けで拒絶理由が通知され、同年12月23日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和5年3月31日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して令和5年6月9日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は、次のとおりである。
本願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項1~4に対して 引用文献1~2
引用文献等一覧
1.特開2001-201019号公報
2.特開2006-300461号公報
第3 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、令和4年12月23日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
燃料ガスが流通する燃料ガス流通管と、
前記燃料ガス流通管を包囲し、前記燃料ガス流通管の外周面との間に燃焼用空気が流通する燃焼用空気流路を形成するバーナ外筒と、
基端部が前記燃料ガス流通管と接続されると共に、先端部が前記燃料ガスの流れの下流側に向かって拡開する円錐台状の保炎器と、
前記保炎器よりも基端側に配置され、前記保炎器に保炎された火炎の光を検知可能な火炎検知部と、を備え、
前記保炎器の円錐台状の周面には、前記燃焼用空気が流通する貫通孔が形成され、
先端部が拡開する前記保炎器の円錐台状の周面に形成された前記貫通孔の貫通軸方向に、前記火炎検知部が配置されている、バーナ。
【請求項2】
前記保炎器の周面には、前記燃焼用空気が流通する複数の貫通孔が形成され、
前記複数の貫通孔のうち、少なくとも2つ以上の貫通孔の貫通軸方向が同じ方向となるように、前記複数の貫通孔が形成されており、
前記少なくとも2つ以上の貫通孔の貫通軸方向に、前記火炎検知部が配置されている、請求項1に記載のバーナ。
【請求項3】
前記貫通孔の貫通軸方向が、前記燃料ガス流通管の管軸方向と一致するように、前記貫通孔が形成されており、
前記火炎検知部は、前記管軸方向の基端側に配置されている、請求項1または請求項2に記載のバーナ。
【請求項4】
前記燃料ガス流通管を流通する燃料ガスは、炭化水素ガスから水素を製造する過程で発生するオフガスである、請求項1~3のいずれか1項に記載のバーナ。」
第4 引用文献に記載された事項及び引用発明
(1)引用文献1の記載事項、認定事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-201019号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与した。以下同様。)
ア 「【0027】図2は、このような改質器1の燃焼装置9の構成の一実施例を示す断面図である。
【0028】この燃焼装置9は、燃焼器19の炎孔部20へ炭化水素燃料を供給する高カロリー燃焼ガス供給管21と燃料電池システムに供給された後の未反応ガス(オフガス)を燃焼器19に供給する高カロリーガス供給管22とを二重管23で形成した燃料ガス供給路と、これらのガス供給路下流側に設けられた高カロリーガスと低カロリーガスとのガス吐出部24、25と、これらの吐出部24、25を中心にしてすり鉢形状に広がる炎孔板26と、空気口10から流入した燃焼空気を炎孔部20へ供給する燃焼空気噴出孔27等から構成されている。
【0029】燃料ガス供給路となる二重管23の外管28は、下流端がラッパ状に末広がりになった、すり鉢状の炎孔板26に接続され、この炎孔板26に沿って燃料ガスを拡散させここに炎を形成させるようになっている。」
イ 「【0033】空気噴出孔27は、空気供給路34を経て空気口10から供給された燃焼空気を燃料ガスに供給するための孔であり、燃焼器19本体の軸心に対し、外側に向けて放射状に形成され、ここから炎孔部20に燃焼空気を供給するようになっている。図2では、炎孔板26の傾斜面に多数の空気噴出孔27を設けることにより、炎孔部20へ空気供給がおこなわれるようになっている。
【0034】図3は、本発明によるこのような燃焼装置9の空気噴出孔27の一実施例を示す炎孔部20の要部の正面図である。
【0035】内管29のガス吐出部25及び外管28のガス吐出部24は、それぞれ二重円筒管の上端部に設けられ、内管29の上端部には円板状のガス拡散板33が取り付けられている。さらに、外側のガス供給管の上端縁周部には、すり鉢形状の炎孔板26が設けられ、該炎孔板26の傾斜面には多数の空気噴出孔27が,例えば、燃焼装置9本体の軸心に対し、外側に向けて15度の間隔で4列に配置されて、該空気噴出孔27から炎孔部20に燃焼空気が噴射されるようになっている。」
ウ 「【0041】また、低カロリーの燃料ガスと高カロリーの燃料ガスとをあらかじめ混合させつつ燃焼空気を供給して燃焼させるときは、燃料ガス成分の変動が少ないので、ガス量と燃焼空気量(風量)とのバランスも崩れ難く、燃焼器19における逆火を生じたり、燃焼装置9本体を損傷させるおそれもなくなる上に、燃料ガスの炎形成部が一個所にまとめられるので、一つのセンサーで燃焼器19の炎検知ができるものである。」
エ 図2「
[図:0001410009000001.jpg]
」
オ 図3「
[図:0001410009000002.jpg]
」
カ 図2から、外管28を包囲し、外管28の外周面との間に空気供給路34を形成する燃焼器19の外筒が看取される。
キ 上記アの【0029】の「外管28は、下流端がラッパ状に末広がりになった、すり鉢状の炎孔板26に接続され」との記載及び図2から、炎孔板26の基端部は外管28と接続されることが把握される。
ク 上記アの【0028】の「吐出部24、25を中心にしてすり鉢形状に広がる炎孔板26」との記載及び図2から、図2の図面下方から上方に向けて燃料ガスが流れることを考慮すれば、炎孔板26は、炎孔板26の先端部が燃料ガスの流れの下流側に向かってすり鉢状に広がることが把握される。
ケ 上記アの【0028】の「これらのガス供給路下流側に設けられた高カロリーガスと低カロリーガスとのガス吐出部24、25と、これらの吐出部24、25を中心にしてすり鉢形状に広がる炎孔板26」との記載と、上記ウの【0041】の「低カロリーの燃料ガスと高カロリーの燃料ガスとをあらかじめ混合させつつ燃焼空気を供給して燃焼させるときは」「燃料ガスの炎形成部が一個所にまとめられるので、一つのセンサーで燃焼器19の炎検知ができる」との記載から、センサーは、燃焼器19の炎孔板26における燃焼によって発生した炎を検知することが把握される。
以上の事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
<引用発明>
「 燃料ガス供給路となる外管28と、
外管28を包囲し、外管28の外周面との間に燃焼空気を供給する空気供給路34を形成する燃焼器19の外筒と、
基端部が外管28と接続されるとともに、先端部が燃料ガスの流れの下流側に向かってすり鉢状に広がる炎孔板26と、
炎孔板26における燃焼によって発生した炎を検知するセンサーと、を備え、
すり鉢状に広がる炎孔板26の傾斜面には、燃焼空気が噴射される空気噴出孔27が設けられている燃焼器19。」
(2)引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-300461号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0027】
バーナ本体2の内部中心には、火炎保持部3へ燃料を供給する金属製の燃料パイプ8が配設される。燃料パイプ8の先端部8aは、火炎保持部3に位置する。この先端部8aには、その半径方向へ突出する複数のガスノズル9が設けられる。このガスノズル9は、点火電極10としても機能する。また、ガスノズル9の近傍には、バーナ本体2を軸方向に流れる空気をガスノズル9へ噴出させる複数のエアノズル11が設けられる。これらエアノズル11は、遮蔽盤12に空けられた複数の孔より構成される。つまり、空気導入部4と火炎保持部3との間のバーナ本体2には、空気導入部4から供給された空気を火炎保持部3に噴出させるエアノズル11が設けられる。そして、火炎検知器5は、このエアノズル11より空気導入部4側に設けられる。燃料パイプ8の基端部8bは、絶縁材11を介してバーナ本体2に固定される。バーナ本体2の基端部2bには、給電コネクタ14が絶縁材15を介して取り付けられる。各点火電極10に給電するために、給電コネクタ14と燃料パイプ8がリード線16を介して接続される。給電コネクタ14には、点火トランス17から「7~16kV」の高電圧が供給されるようになっている。
【0028】
この実施形態で、火炎検知器5は、紫外線検知タイプのUVセンサより構成される。火炎検知器5は、検知回路18に接続される。この火炎検知器18として、「浜松ホトニクス社製R2868」が使用される。この実施形態で、火炎検知器5の取付部6は、バーナ本体2の基端部2bに取り付けられる収容箱19により構成される。図3に、収容箱19とその中の火炎検知器5を平面図により示す。図4に、収容箱19を縦断面図により示す。火炎検知器5は、この収容箱19の中に収容されて取り付けられる。この収容箱19は、バーナ本体2に対して着脱可能に設けられる。収容箱19における火炎検知器5の取付部位には、ハーメチックシール7が設けられる。ハーメチックシール7の材料として、電気絶縁性の高いセラミックス又はPTFE等の樹脂材料が使用される。一般にハーメチックシールは、電気絶縁性、気密性及び耐熱性において優れた特性を有する。
【0029】
以上説明したこの実施形態のバーナ1によれば、燃料パイプ8を流れる燃料は、その先端部8aの各ガスノズル9から噴出する。また、空気導入部4から導入される空気は、バーナ本体2を軸方向に流れて各エアノズル11から噴出され、各ガスノズル9から噴出される燃料と混合気を形成する。ここで、点火トランス17から各点火電極10に高電圧が印加されることにより、電気スパークが発生する。この電気スパークにより混合気が着火して燃焼する。この燃焼により生成される火炎FLから紫外線が発生する。火炎検知器5は、その紫外線を各エアノズル11を通じて観察することで火炎FLを検知する。この火炎検知器5による検知信号は、検知回路18へ送られ、同回路18により増幅出力される。
【0030】
この実施形態のバーナ1における火炎検知器5の取付構造によれば、火炎検知器5が、火炎保持部3より基端部2b側であって、空気導入部4の近傍に設けられるので、空気導入部4からバーナ本体2に導入される空気により火炎検知器5が冷却される。また、その導入空気により、火炎保持部3の火炎FLから放射される伝導熱や輻射熱が冷やされる。つまり、火炎保持部3に燃焼のために供給される空気流により、火炎検知器5が、火炎FLの伝導熱や輻射熱から保護される。このため、空気冷却だけのための空気が火炎保持部3に余分に排出されることがなく、燃焼のための空気だけが火炎保持部3に供給されることになり、その空気により火炎燃焼の安定性を確保することができる。」
イ 図1「
[図:0001410009000003.jpg]
」
ウ 図2「
[図:0001410009000004.jpg]
」
エ 図1及び図2から、遮蔽盤12は円柱形状であることが看取される。
以上の事項から、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。
<引用文献2記載事項>
「バーナ本体2には、円柱形状の遮蔽板12に複数の孔より構成されたエアノズル11が設けられ、バーナ本体2の基端部2bに設けられた火炎検知器5は、燃焼により生成される火炎FLから発生する紫外線を各エアノズル11を通じて観察することで火炎FLを検知すること。」
第5 当審の判断
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明とを、その技術的意義を考慮して対比する。
引用発明の「燃料ガス供給路となる外管28」は、燃料ガスを供給する管であり、内部を燃料ガスが流通することが技術常識であることを考慮すれば、本願発明1の「燃料ガスが流通する燃料ガス流通管」に相当する。
引用発明の「燃焼空気」は、本願発明1の「燃焼用空気」に相当し、以下同様に、「空気供給路34」は「燃焼用空気流路」に、「燃焼器19の外筒」は「バーナ外筒」にそれぞれ相当する。そして、引用発明の「燃焼空気を供給する」ことは、燃焼空気を供給するために、空気供給路34を燃焼空気が流通することが技術常識であるから、引用発明の「外管28を包囲し、外管28の外周面との間に燃焼空気を供給する空気供給路34を形成する燃焼器19の外筒」は、本願発明1の「前記燃料ガス流通管を包囲し、前記燃料ガス流通管の外周面との間に燃焼用空気が流通する燃焼用空気流路を形成するバーナ外筒」に相当する。
引用発明の「炎孔板26」は、引用文献1の段落【0029】の「炎孔板26に沿って燃料ガスを拡散させここに炎を形成させる」との記載から、保炎する機能を有するといえるから、本願発明1の「保炎器」に相当する。そして、引用発明の「すり鉢状」とは、円錐形にくぼんだ形状を意味するから、引用発明の「基端部が外管28と接続されるとともに、先端部が燃料ガスの流れの下流側に向かってすり鉢状に広がる炎孔板26」は、本願発明1の「基端部が前記燃料ガス流通管と接続されると共に、先端部が前記燃料ガスの流れの下流側に向かって拡開する円錐台状の保炎器」に相当する。
引用発明の「炎孔板26における燃焼によって発生した炎を検知するセンサー」と、本願発明1の「前記保炎器よりも基端側に配置され、前記保炎器に保炎された火炎の光を検知可能な火炎検知部」とは、「保炎器に保炎された火炎を検知可能な火炎検知部」の限りにおいて一致している。
引用発明の「すり鉢状に広がる炎孔板26の傾斜面」は、本願発明1の「保炎器の円錐台状の周面」に相当し、以下同様に、「空気噴出孔27」は「貫通孔」に、「設けられ」は「形成され」に相当する。また、引用発明の「燃焼空気が噴射される空気噴出孔27」は、空気噴出孔27を燃焼空気が流通し、噴射されることが技術常識であるから、引用発明の「すり鉢状に広がる炎孔板26の傾斜面には、燃焼空気が噴射される空気噴出孔27が設けられ」ることは、本願発明1の「前記保炎器の円錐台状の周面には、前記燃焼用空気が流通する貫通孔が形成され」ることに相当する。
引用発明の「燃焼器19」は、本願発明1の「バーナ」に相当する。
以上のことから、本願発明1と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。
<一致点>
「 燃料ガスが流通する燃料ガス流通管と、
前記燃料ガス流通管を包囲し、前記燃料ガス流通管の外周面との間に燃焼用空気が流通する燃焼用空気流路を形成するバーナ外筒と、
基端部が前記燃料ガス流通管と接続されると共に、先端部が前記燃料ガスの流れの下流側に向かって拡開する円錐台状の保炎器と、
保炎器に保炎された火炎を検知可能な火炎検知部と、を備え、
前記保炎器の円錐台状の周面には、前記燃焼用空気が流通する貫通孔が形成されている、バーナ。」
<相違点1>
「保炎器に保炎された火炎を検知可能な火炎検知部」に関して、本願発明1は、「前記保炎器よりも基端側に配置され、前記保炎器に保炎された火炎の光を検知可能な火炎検知部」であって、「先端部が拡開する前記保炎器の円錐台状の周面に形成された前記貫通孔の貫通軸方向に、前記火炎検知部が配置されている」のに対して、引用発明は、炎を検知するセンサーがどのように配置されているか不明である点。
イ 当審の判断
上記相違点1について検討する。
引用文献2記載事項は、円柱形状の遮蔽板12に複数の孔より構成されたエアノズル11が設けられたものであって、円錐台状に広がる保炎板に複数の孔を設けた構成ではないから、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。
したがって、引用発明に引用文献2記載事項を適用して、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたということはできない。
よって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本願発明2ないし4について
本願発明2ないし4は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本願発明2ないし4は、本願発明1について述べたのと同様の理由により、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由は、維持することができない。
第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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