審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2023-009477

ダイクロイックミラーアレイ

審判番号
2023-009477
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-549924
請求日
2023年06月08日
審決日
2024年12月03日
公報発行日
2025年02月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社日立ハイテク
  • 【請求人代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 三崎 仁
  • 審判官 樋口 宗彦
  • 審判官 伊藤 幸仙
分類
P18 .65 -WZ (G01J) / P18 .121-WZ (G01J) / P18 .113-WZ (G01J) / P18 .537-WZ (G01J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-549924「ダイクロイックミラーアレイ」拒絶査定不服審判事件〔令和2年4月16日国際公開、WO2020/075293〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1.手続の経緯 本件出願(以下「本願」という。)は、2018年(平成30年)10月12日を国際出願日とする特許出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 令和3年 4月 5日:手続補正書提出 令和4年 4月28日付け:拒絶理由通知 同年 7月 8日:意見書・手続補正書提出 同年10月20日付け:拒絶理由通知 同年12月21日:意見書・手続補正書提出 令和5年 4月13日付け:拒絶査定 同年 6月 8日:手続補正書提出 (以下「前置補正書」という。) 同日:審判請求書提出 令和6年 7月 1日付け:拒絶理由通知 (以下「当審拒絶理由通知」という。) 同年 8月27日:意見書提出 (以下「当審意見書」という。) 同日:手続補正書提出 (以下「当審補正書」という。) 第2.本願発明について 1 本願発明1 本願の請求項1~18に係る発明は、当審補正書により補正された特許請求の範囲における請求項1~18の各記載事項により特定されるとおりのものであって、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は以下のとおりである。ここで、各構成単位冒頭の「A」などは当審にて付した分説番号であり、以下、各構成単位について該分説番号を用いて「構成A」などということがある(以下、他の発明の認定についても同様。)。また、当審補正書によって加筆補正された箇所には、参考のために下線を施した。 「 【請求項1】 A 右手系XYZ直交座標系において、 m個(m≧2)のダイクロイックミラーDA1~DAmが、Z軸から見たときにX軸の正方向に沿って、互いに平行に順番に配列する第1のグループと、 B n個(n≧2)のダイクロイックミラーDB1~DBnが、Z軸から見たときにX軸の負方向に沿って、互いに平行に順番に配列する第2のグループと、を備え、 C m+n≧6であり、 D 前記DA2~DAmのX座標が正であり、 E 前記DB2~DBnのX座標が負であり、 F 前記DA1~DAmの入射面及び前記DB1~DBnの入射面がXZ平面に垂直であり、 G 前記DA1~DAmの前記入射面の法線を前記XZ平面に投影した直線の前記XZ平面における傾きが負であり、 H 前記DB1~DBnの前記入射面の法線を前記XZ平面に投影した直線の前記XZ平面における傾きが正であり、 I Z軸の正方向に進行する少なくとも1つの入射光を、Z軸の正方向に進行する少なくともm+n-1個の出射光に分割することを特徴とする J ダイクロイックミラーアレイ。」 2 当審補正前発明 当審補正書による補正がされる前の、前置補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「当審補正前発明1」という。)は、以下のとおり。内容が共通する構成単位には共通の分説番号を付した。 「 【請求項1】 A’右手系XYZ直交座標系において、 m個(m≧2)のダイクロイックミラーDA1~DAmが、X軸の正方向に沿って互いに平行に順番に配列する第1のグループと、 B’n個(n≧2)のダイクロイックミラーDB1~DBnが、X軸の負方向に沿って互いに平行に順番に配列する第2のグループと、を備え、 C m+n≧6であり、 D 前記DA2~DAmのX座標が正であり、 E 前記DB2~DBnのX座標が負であり、 F 前記DA1~DAmの入射面及び前記DB1~DBnの入射面がXZ平面に垂直であり、 G 前記DA1~DAmの前記入射面の法線を前記XZ平面に投影した直線の前記XZ平面における傾きが負であり、 H 前記DB1~DBnの前記入射面の法線を前記XZ平面に投影した直線の前記XZ平面における傾きが正であり、 I Z軸の正方向に進行する少なくとも1つの入射光を、Z軸の正方向に進行する少なくともm+n-1個の出射光に分割することを特徴とする J ダイクロイックミラーアレイ。」 第3.当審における拒絶の理由 当審拒絶理由通知により通知した拒絶の理由は、概略以下の理由を含むものである。 ・理由1(進歩性):当審補正前発明1は、引用文献1に記載された発明、引用文献1・2の記載事項、及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ・引用文献等一覧 引用文献1:米国特許出願公開第2008/0100917号明細書 引用文献2:特開昭53-107383号 引用文献3:特開2012-242117号公報 引用文献4:国際公開第2017/145231号 引用文献5:再公表特許WO2012/060163号 第4.引用文献の記載及び引用発明 1 引用文献1の記載 (1)引用文献1の記載事項 引用文献1の記載事項は以下のとおりである。摘記箇所ごとに、続く括弧内に当審訳を記す。 ・記載15 「[0015] The present invention provides a novel imaging system and method, utilizing a plurality of spectrally different imaging modules operating together for imaging input broadband light. Each of these imaging modules is configured for operating with its own limited spectral range with practically no (or minimal) chromatic aberrations. The imaging module includes one or more focusing/imaging lenses, which may be specifically configured for correcting chromatic aberrations. Such a system including multiple spectrally different imaging modules each with practically no chromatic aberration effects provides for imaging input broadband light with no or significantly reduced chromatic aberrations over a large range of wavelengths. This enables to provide total correction for chromatic aberration or significantly reduce the chromatic aberration in the system output. The latter may be in the form of multiple spatially separated light components, or in the form of a single broadband beam in which case the light components, after passing through corresponding narrow-band imaging modules (e.g. corrected for chromatic aberrations), are combined together by passing them through an appropriate spectral beam combiner.」 (当審訳:「本発明は、入力広帯域光を撮像するために一緒に動作する複数のスペクトル的に異なる撮像モジュールを利用する、新規な撮像システムおよび方法を提供する。これらの撮像モジュールの各々は、実質的に色収差のない(または最小の)それ自身の限定されたスペクトル範囲で動作するように構成される。撮像モジュールは、色収差を補正するために特別に構成され得る1つ以上の集光/撮像レンズを含む。色収差の影響が実質的にない複数のスペクトル的に異なる撮像モジュールをそれぞれ含むこのようなシステムは、広い波長範囲にわたって色収差がないか著しく低減された入力広帯域光を撮像することを提供する。これにより、色収差を完全に補正するか、またはシステム出力の色収差を大幅に低減することができる。後者は、複数の空間的に分離された光成分の形態であってもよいし、単一の広帯域ビームの形態であってもよい。この場合、光成分は、対応する狭帯域イメージングモジュール(例えば、色収差を補正されたもの)を通過した後、適切なスペクトルビームコンバイナーを通過させることによって一緒に結合される。」) ・記載19 「[0019] The invention may be used in various applications including those of a type operating with spatially separated input light beams of different relatively narrow wavelength ranges required to be concurrently focused onto a common region of interest and of a type operating with one or more broadband input beams. In the systems of the second type, the input broadband beam is first split into a plurality of narrower-band light components, and then these light components pass through appropriate imaging modules. Thus, the use of a spectral beam splitter is optional.」 (当審訳:「[0019]本発明は、共通の関心領域に同時に集光されることが要求される異なる比較的狭い波長範囲の空間的に分離された入力光ビームで動作するタイプのものや、1つ以上の広帯域入力ビームで動作するタイプのものを含む様々な用途に使用することができる。第2のタイプのシステムでは、まず入力広帯域ビームが複数の狭帯域光成分に分割され、次にこれらの光成分が適切なイメージング・モジュールを通過する。したがって、スペクトルビームスプリッタの使用は任意である。」) ・記載42 「[0042] In the present example, system 200 is used as a part of a microscope or telescope set up, being associated with a microscope/telescope objective or aperture 210 constituting a first common imaging module that performs an intermediate imaging of input broadband light 201. System 200 includes a spectral beam splitting arrangement (module) 220 accommodated in the optical path of light emerging from common imaging module 210; an array of spectral imaging modules at the output of the beam splitting module, five such imaging modules 230a-230e being shown in the present example. Module 220 is configured for splitting broadband light incident thereon into a plurality of relatively narrowband beams, such a beam splitting module may include wavelength-selective filter(s), for example dichroic filters, or resonators such as ring resonators. Each of spectral imaging modules 230a-230e operates on its own limited (narrowband) spectral range, and includes for example one or more lenses, which may be configured for aberration correction for a respective spectral range.」 (当審訳:「[0042]本実施例において、システム200は、顕微鏡又は望遠鏡のセットアップの一部として使用され、入力広帯域光201の中間撮像を行う第1の共通撮像モジュールを構成する顕微鏡/望遠鏡対物レンズ又は開口210と関連付けられる。システム200は、共通イメージングモジュール210から出る光の光路に収容されたスペクトルビーム分割配置(モジュール)220、ビーム分割モジュールの出力にあるスペクトルイメージングモジュールのアレイを含み、本実施例では5つのそのようなイメージングモジュール230a~230eが示されている。モジュール220は、その上に入射する広帯域光を複数の比較的狭帯域のビームに分割するように構成され、このようなビーム分割モジュールは、例えばダイクロイックフィルタなどの波長選択フィルタ、またはリング共振器などの共振器を含むことができる。分光イメージングモジュール230a~230eの各々は、それ自身の限定された(狭帯域の)スペクトル範囲で動作し、例えば、それぞれのスペクトル範囲の収差補正のために構成され得る1つ以上のレンズを含む。」) ・記載49 「[0049] Reference is now made to FIG. 4 exemplifying the configuration and operation of a beam splitter arrangement 400 suitable to be used in the system of the present invention. Beams splitting arrangement 400 is configured to split a broadband input beam 410 into an array of output spatially separated substantially parallel light components 415a-415d of narrow wavelength ranges. Broadband beam 410 of electromagnetic radiation impinges onto a beam splitting surface 420 configured for example as a dichroic mirror, which is formed of a certain material adapted for transmitting a certain spectral range and reflecting all the others, thus producing two light components 411 and 412 of narrower band widths, which propagate towards further wavelength-selective filters (e.g. dichroic filters or mirrors) 421 and 422, respectively. Light component 411 is split by dichroic filter 421 into two output light components 415a and 415b. A mirror 401 is appropriately accommodated in the optical path of light component 415a to reflect to propagate along an axis substantially parallel to the axis of propagation of light component 415b. Similarly, light component 412 is split by dichroic filter 422 into two output light components 415c and 415d, and the latter is reflected by a mirror 402 to propagate along an axis substantially parallel to the other output light components. All the output light components will then pass through an array of spaced-apart parallel spectral imaging modules as described above. It should be understood that a beam splitting arrangement can be appropriately configured to divide input light into any number of light components of any desired spectral width.」 (当審訳:「[0049]ここで、本発明のシステムで使用するのに適したビームスプリッタ配置400の構成と動作を例示する図4を参照する。ビーム分割配置400は、広帯域入力ビーム410を、狭い波長範囲の出力空間的に分離された実質的に平行な光成分415a~415dのアレイに分割するように構成される。電磁放射の広帯域ビーム410は、例えばダイクロイックミラーとして構成されたビーム分割面420に入射する。ダイクロイックミラー420は、特定のスペクトル範囲を透過し、他のすべてを反射するように適合された特定の材料で形成され、その結果、帯域幅の狭い2つの光成分411および412が生成され、それぞれさらなる波長選択フィルタ(例えばダイクロイックフィルタまたはミラー)421および422に向かって伝搬する。光成分411はダイクロイックフィルター421によって2つの出力光成分415aと415bに分割される。ミラー401は、光成分415aの光路に適切に収容され、光成分415bの伝搬軸に実質的に平行な軸に沿って伝搬するように反射する。同様に、光成分412はダイクロイックフィルター422によって2つの出力光成分415cと415dに分割され、後者はミラー402によって反射され、他の出力光成分と実質的に平行な軸に沿って伝搬する。すべての出力光成分は、上述のように、間隔をあけて並列に配置された分光イメージング・モジュールのアレイを通過する。ビーム分割配置は、入力光を任意の所望のスペクトル幅の任意の数の光成分に分割するように適切に構成できることを理解すべきである。」) (2)引用文献1についての認定事項 ア 図4について (ア)図4の記載 引用文献1の図4(Fig.4)は次のとおりである。 [図:0001418701000001.jpg] (イ)図4の説明 図4に関し引用文献1の[0049]には、上記(1)の記載49(の当審訳)で示したとおりの説明がなされている。 (ウ)認定事項1 a(a)上記(イ)の説明において、図4の「ダイクロイックフィルター421」の機能について、「光成分411はダイクロイックフィルター421によって2つの出力光成分415aと415bに分割される。」と記載される。 ダイクロイックミラーは、入射光の一部の波長帯域を波長選択性ミラーとして反射し、それとは異なる他の(一部の)波長帯域を透過させる光学素子であるというのが技術常識である。 該技術常識に照らすと、図4のダイクロイックフィルター421は、その左方から入射した光411に対し、出力光成分415bは前記入射した光411と同光軸であるからダイクロイックフィルター421の透過光成分であり、上方のミラー401へ向かう成分は、ダイクロイックフィルター421の反射光成分であると解される。 また、ミラー(反射鏡)は、入射光をその入射面側において、入射角と等しい反射角で、入射角に対し入射点における入射面の法線に対し線対称な方向へ反射させる光学要素であることも技術常識である。 そうすると、図4のダイクロイック421は、該図のとおりであれば入射光411を、前記反射光成分については図の下方へ反射させることになるが、図4では下方に向かう光束は描かれず、代わりに該ダイクロイックフィルターー421から上方へ向かう光束が描かれている。 よって、前記各技術常識に照らし、≪図4におけるダイクロイックフィルター421の設置方向は誤っており、正しくは下記に示す図4修正図のとおり、図上、反射面の法線が右斜め下に向かう向きに設置されるべきであること≫(以下「認定事項1」という。)が明らかである。 引用発明の認定にあたっては、該認定事項1のとおり、図4に代えて該図4修正図に基づいて認定を行うこととする。 (b)ここで、請求人は当審意見書において、ダイクロイックフィルター421の配置は上記(ア)に摘記した修正前の図4の記載どおりであり、ミラー401の位置が誤りである誤記の形態も想定可能である旨主張する。 この場合、該ダイクロイックミラーによる反射光は該図上下方に向かい、例えば出力光成分415b及び同415cの間や、同415dよりさらに下方にミラー401が図4とは90度回転した向き(反射面法線が左下・右上に向かう向き)に配置されることで、4本の出力光成分が生成されることになる。 しかし、上記(ア)の図4と請求人主張の誤記修正後の態様とを比較すると、変更対象が ・ミラー401の向きと位置、 ・ダイクロイックミラーの反射光の出射方向、 ・出力光成分415aと他の出力光成分との位置関係 の3項目となる。 また、出力光成分の付番も、図上の上から ・415b、415a、415c、415d となって付番のアルファベットの順序が変更前と異なるし、アルファベット表の順序とも異なる不自然なものとなる。 また、4本の出力光成分の間隔も不揃いとなって不自然である。 さらに、入射光である広帯域ビーム410の光軸に対し図上下方への出力光成分の展開はダイクロイックミラー410が担っているところ、ダイクロイックフィルター421が同様に図上下方への出力光成分の展開を担うことになる点も不自然である。 よって、請求人の前記主張は採用できず、上記(a)で説示したとおり、技術常識上明かな誤記を伴う図4の誤記箇所は、ダイクロイックフィルター421の向きの誤りのみであり、他の光学要素や各光束の配置は図記載のとおり(正しい)と解釈することが自然であって、当業者にとって自明であるといえる。 b 図4修正図 [図:0001418701000002.jpg] イ 図4修正図から看取・認定される事項 (ア)座標系の定め 上記図4修正図に示したとおり、≪右手系XYZ直交座標系のZ軸を便宜上、広帯域入射光410~入射光411~出力光成分415bに沿う軸に一致させ、該Z軸上の任意の原点を起点として図の鉛直下方をX軸の正方向、該原点から図の平面に垂直かつ図の奥方向をY軸の正方向と定める≫(以下「座標系の定め」という。)こととする。 (イ)図4看取事項 図4修正図から、次の事項(以下「図4看取事項」という。)が看取される。 「右手系XYZ直交座標系において、Z軸に沿ってZ軸正方向に向かう広帯域入射光410をZ軸に平行な複数の光成分の出力光アレイに分割するために、2個のダイクロイックミラー420・422と1個のミラー402とが順にX軸の正方向に変位して配列する第1の群と、1個のダイクロイックフィルター421と1個のミラー401とが順にX軸の負方向に変位して配列する第2の群とを備え、 ダイクロイックミラー422とミラー402のX座標は正であり、 ミラー401のX座標は負であり、 ダイクロイックミラー420・422とミラー402の各入射面、及び、ダイクロイックフィルター421とミラー401の各入射面はXZ平面に垂直であり、 ダイクロイックミラー420・422とミラー402の各入射面の法線をXZ平面に投影した直線のXZ平面における傾きは負であり、 ダイクロイックフィルター421とミラー401の各入射面の法線をXZ平面に投影した直線のXZ平面における傾きは正であり、 ダイクロイックミラー・フィルターの全枚数とミラーの全枚数との和は5であり、共にZ軸に平行な4本の出力光成分415a~415dの本数は、前記和より1少ない4であり、 Z軸に沿った広帯域入射光410から、共にZ軸に平行な4本の出力光成分415a~415dを出力する、 ビーム分割光学系。」 ウ 図2看取事項 (ア)引用文献1の図2は次のとおりである。 [図:0001418701000003.jpg] (イ)上記図2から、≪ビーム分割用モジュール220の長手方向中央位置に広帯域入射光201(201’)が入射し、該入射光に平行に、前記長手方向中央位置に一本とその両側に2本ずつ、計5本の相互に平行な出力光202a~202eを出力する≫との態様(以下「図2看取事項」という。)を看取できる。 (3)引用発明 引用文献1には、下記の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。ここで、各構成単位末尾の括弧内に、主たる認定根拠となった記載箇所示す。 「a1 広帯域入射光を複数の、例えば5個の異なる比較的狭帯域の出力光に分割するシステムにおいて用いるビーム分割用モジュールであって、(記載19、記載42、図2看取事項) a2 該ビーム分割用モジュールは、ビームスプリッタ配置として、例えば、右手系XYZ直交座標系において、Z軸に沿ってZ軸正方向に向かう広帯域入射光410をZ軸に平行な光成分の出力光アレイに分割するために、2個のダイクロイックミラー420・422と1個のミラー402とが順にX軸の正方向に変位して配列する第1の群と、(図4看取事項、記載49) b1 1個のダイクロイックフィルター421と1個のミラー401とが順にX軸の負方向に変位して配列する第2の群とを例示的に備えるビーム分割配置であって、(図4看取事項、記載49) b2 Z軸に沿った広帯域入射光410から、共にZ軸に平行な4本の出力光成分415a~415dを出力するものであり、(図4看取事項、記載49) c1 前記ビーム分割配置は、入射光を任意の所望のスペクトル幅の任意の数の光成分(出力光)に分割できるように適切に構成できるものであり、(記載49) c2 ビーム分割用モジュール220の長手方向中央位置に広帯域入射光201(201’)が入射し、該入射光に平行に、前記長手方向中央位置に一本とその両側に2本ずつ、計5本の相互に平行な出力光202a~202eを出力する態様を含んでおり、(図2看取事項) d 前記ダイクロイックミラー422とミラー402のX座標は正であり、(図4看取事項;座標系の定め) e 前記ミラー401のX座標は負であり、(図4看取事項;座標系の定め) f 前記ダイクロイックミラー420・422とミラー402の各入射面、及び、前記ダイクロイックフィルター421とミラー401の各入射面はXZ平面に垂直であり、(図4看取事項;座標系の定め) g 前記ダイクロイックミラー420・422とミラー402の各入射面の法線をXZ平面に投影した直線のXZ平面における傾きが負であり、(図4看取事項;座標系の定め) h 前記ダイクロイックフィルター421とミラー401の各入射面の法線をXZ平面に投影した直線のXZ平面における傾きが正であり、(図4看取事項、座標系の定め) i Z軸上をその正方向に進行する広帯域入射光410を、ダイクロイックミラー・フィルターの全枚数とミラーの全枚数との和(5つ)より1少ない数(4つ)の、共にZ軸に平行な4本の出力光成分415a~415dに分割するものである、(図4看取事項;座標系の定め) j 複数のダイクロイックミラー・フィルター及び複数のミラーの配列からなるビーム分割用モジュール。(図4看取事項)」 2 引用文献2の記載 引用文献2には次の記載がある。 (1)記載2p3 3頁右上欄には次の記載がある。 [図:0001418701000004.jpg] (2)記載2F5 引用文献2の第5図は次のとおり。 「 [図:0001418701000005.jpg] 」 第5.対比 1 本願発明1と引用発明との対比 本願発明1を引用発明と対比する。 (1)ア 構成a2の「2個のダイクロイックミラー420・422」は、構成Aの「m個(m≧2)のダイクロイックミラーDA1~DAm」のm=2の場合に相当する。 イ 構成a2で前記「2個のダイクロイックミラー420・422」が含まれる「第1の群」は、構成Aの「第1のグループ」に相当する。 ウ(ア)構成Aは、「Z軸から見たときにX軸の正方向に沿って」という特定事項を含む。 しかし、構成Aにおける「X軸の正方向」とは「右手系XYZ直交座標系」において唯一無二の軸線である「X軸」上での、Xの座標値が増加する方向を指し、見込む方向によって該X軸の位置は変化しないから、前記方向も変化しない。また、見込む方向によって、前記唯一のX軸以外の軸線がX軸になるというものでもない。前記「Z軸から見たときにX軸の正方向に沿って」は、「X軸の正方向に沿って」と、その技術的な意味において変わりがないといえる。仮に前者が後者より広義であるとしても、少なくとも、後者の意味が前者から排除されることはない。 また、「沿う」の字義は、「長く続いているものに、離れないように付き従う。何かに並行した形で続いている。」である(デジタル大辞泉)から、前記「X軸の正方向に沿って」とは、前記X軸上、またはX軸に平行な直線上での、X座標値が増加する方向を指す(少なくとも該方向を含む)と認められる。 (イ)よって、構成a2の「2個のダイクロイックミラー420・422」が「順にX軸の正方向に変位して配列する」ことは、構成Aの「ダイクロイックミラーDA1~DAmが、Z軸から見たときにX軸の正方向に沿って、互いに平行に順番に配列する」ことと、「ダイクロイックミラーDA1~DAmが、Z軸から見たときにX軸の正方向(X軸に平行に、X座標値が増す方向)に変位して順番に配列する」点(以下「共通点A1」という。)で共通する。 エ さらに、構成a2の「2個のダイクロイックミラー420・422と1個のミラー402とが順にX軸の正方向に変位して配列する第1の群」と、構成Aの「ダイクロイックミラーDA1~DAmが、Z軸から見たときにX軸の正方向に沿って、互いに平行に順番に配列する第1のグループ」とは、「m個(m=3≧2)の≪ダイクロイックミラー又はミラー≫dA1~dA3が、Z軸から見たときにX軸の正方向(X軸に平行に、X座標値が増す方向)に変位して順番に配列する第1のグループ」である点(以下「共通点A2」という。)で共通するともいえる。ここで、構成a2の「2個のダイクロイックミラー420・422と1個のミラー402」は順に、共通点A2の「≪ダイクロイックミラー又はミラー≫dA1~dA3」に相当する。 (2)ア ダイクロイックミラーとダイクロイックフィルターとは、透過光と反射光とに波長選択性を有する共通の光学素子を意味する別称であることは技術常識であるから、構成b1の「1個のダイクロイックフィルター421」は、構成Bの「ダイクロイックミラーDB1」に相当する。 イ 構成b1の「1個のダイクロイックフィルター421と1個のミラー401とが順にX軸の負方向に変位して配列する第2の群」は、構成Bの「n個(n≧2)のダイクロイックミラーDB1~DBnが、Z軸から見たときにX軸の負方向に沿って、互いに平行に順番に配列する第2のグループ」と、「n個(n=2≧2)の≪ダイクロイックミラー又はミラー≫dB1~dB2が、Z軸から見たときにX軸の負方向に沿って変位して順番に配列する第2のグループ」である点(以下「共通点B2」という。)で共通する。ここで、構成b1の「ダイクロイックフィルター421」、「ミラー401」はそれぞれ、共通点B2の「≪ダイクロイックミラー又はミラー≫dB1」、「≪ダイクロイックミラー又はミラー≫dB2」に相当する。 (3)上記共通点A2に関し、構成dの「前記ダイクロイックミラー422とミラー402のX座標は正であ」ることは、構成Dと、「前記dA2~dAmのX座標が正であ」る点で共通する。 (4)上記(3)と同様に、上記共通点B2に関し、構成eの「前記ミラー401のX座標は負であ」る点は、構成Eと、「前記dB2~dB2のX座標が負であ」る点で共通する。 (5)構成fの「前記ダイクロイックミラー420・422とミラー402の各入射面、及び、前記ダイクロイックフィルター421とミラー401の各入射面はXZ平面に垂直」である点は、上記共通点A2・B2に関し、構成Fと、「前記dA1~dA3の入射面及び前記dB1~dB2の入射面がXZ平面に垂直で」ある点で共通する。 (6)構成gの「前記ダイクロイックミラー420・422とミラー402の各入射面の法線をXZ平面に投影した直線のXZ平面における傾きが負であ」ることは、上記共通点A2に関し、構成Gと、「前記dA1~dA3の前記入射面の法線を前記XZ平面に投影した直線の前記XZ平面における傾きが負であ」る点で共通する。 (7)上記(6)と同様に、構成hの「前記ダイクロイックフィルター421とミラー401の各入射面の法線をXZ平面に投影した直線のXZ平面における傾きが正であ」ることは、上記共通点B2に関し、構成Hと、「前記dB1~dB2の前記入射面の法線を前記XZ平面に投影した直線の前記XZ平面における傾きが正」である点で共通する。 (8)構成iの「Z軸上をその正方向に進行する広帯域入射光410を、ダイクロイックミラーの全枚数とミラーの全枚数との和より1少ない数(4つ)の、共にZ軸に平行な4本の出力光成分415a~415dに分割するものである」点は、上記共通点A2・B2に関し、構成Iと、「Z軸の正方向に進行する少なくとも1つの入射光を、Z軸の正方向に進行する少なくともm+n-1個の出射光に分割する」点で共通する。 (9)構成jの「複数のダイクロイックミラー及び複数のミラーの配列からなるビーム分割用モジュール」は、上記共通点A2・B2に関し、構成Jと、「≪ダイクロイックミラー又はミラー≫アレイ」からなる光学デバイスである点で共通する。 2 一致点・相違点 上記1によれば、本願発明1と引用発明とは下記(1)の点で一致又は共通し、下記(2)の各点で相違する。 (1)一致(共通)する構成 A’ 右手系XYZ直交座標系において、 m個(m=3≧2)の≪ダイクロイックミラー又はミラー≫dA1~dAmが、Z軸から見たときにX軸の正方向に変位して順番に配列する第1のグループと、 B’ n個(n=2≧2)の≪ダイクロイックミラー又はミラー≫dB1~dBnが、Z軸から見たときにX軸の負方向に変位して順番に配列する第2のグループと、を備え、 D’ 前記dA2~dAmのX座標が正であり、 E’ 前記dB2~dBnのX座標が負であり、 F’ 前記dA1~dAmの入射面及び前記dB1~dBnの入射面がXZ平面に垂直であり、 G’ 前記dA1~dAmの前記入射面の法線を前記XZ平面に投影した直線の前記XZ平面における傾きが負であり、 H’ 前記dB1~dBnの前記入射面の法線を前記XZ平面に投影した直線の前記XZ平面における傾きが正であり、 I’ Z軸の正方向に進行する少なくとも1つの入射光を、Z軸の正方向に進行する少なくともm+n-1個の出射光に分割することを特徴とする J’ ≪ダイクロイックミラー又はミラー≫アレイ (2)相違点 ア 相違点1(構成A・B・J) 上記(1)の一致(共通)する構成に関し、第1のグループのdA1~dAm、第2のグループのdB1~dBnが、本願発明1ではそれぞれ全てダイクロイックミラーDA1~DAm、DB1~DBnからなる「ダイクロイックミラーアレイ」であるのに対し、引用発明では、それぞれのグループの端部dAm・dBnがミラーで構成される「≪ダイクロイックミラー又はミラー≫アレイ」である点。 イ 相違点2(構成A) 上記(1)の一致(共通)する構成に関し、第1グループのdA1~dAmなる光学要素(≪ダイクロイックミラー又はミラー≫)が、本願発明1では「Z軸から見たときにX軸の正方向に沿って互いに平行」であるのに対し、引用発明では、X軸の正方向に順に変位してはいるものの、変位の方向が「Z軸から見たときにX軸の正方向に沿って」いて「互いに平行」であるかは不明である点。 ウ 相違点3(構成B) 相違点2と同様に、上記(1)の一致(共通)する構成に関し、第2グループのdB1~dBnなる光学要素(≪ダイクロイックミラー又はミラー≫)が、本願発明1では「Z軸から見たときにX軸の負方向に沿って互いに平行」であるのに対し、引用発明では、X軸の負方向に順に変位してはいるものの、変位の方向が「Z軸から見たときにX軸の負方向に沿って」いて「互いに平行」であるかは不明である点。 エ 相違点4(構成C) 「m+n」が本願発明1では6以上であるのに対し、引用発明では5である点。 第6.判断 1 相違点について (1)相違点1について ア 相違点1が実質的な相違点であるとはいえないこと (ア)本願発明における「ダイクロイックミラー」について、本願明細書の【0026】には、 「各ダイクロイックミラーは、屈折率n0の透明基材の少なくとも一方の表面に光学的な膜が形成されたものである。透明基材として、例えば石英ガラスが用いられる。なお、本開示では、ダイクロイックミラーアレイを構成するダイクロイックミラーの一部が、波長依存性の低い全反射ミラー又はハーフミラーであってもよい。従って、本開示においては、ダイクロイックミラー、全反射ミラー及びハーフミラーを区別なくダイクロイックミラーという場合がある。」 と記載されている。 よって、本願発明における「ダイクロイックミラー」は、前記記載によって、その一部が「波長依存性の低い全反射ミラー」である場合を含むと定義づけられているといえる。 この解釈は、本願発明が実施例1・2として本願明細書の【0051】~【0070】に記載された、下記図5(a)・6(a)に係る態様において、X軸の正方向の最端部の光学要素M4、及び同負方向の最端部の光学要素M8について、【0058】において「ダイクロイックミラーM4及びM8を全反射ミラーとしてもよい。」と説明していることによっても裏付けられる。 [図:0001418701000006.jpg] (イ)そうすると、上記共通点A2・B2における「≪ダイクロイックミラー又はミラー≫dA1~dA3」及び「≪ダイクロイックミラー又はミラー≫dB1~dB2」は、それぞれ構成A・Bの「ダイクロイックミラーDA1~DAm」及び「ダイクロイックミラーDB1~DBn」と一致する、つまり、構成a2の「2個のダイクロイックミラー420・422と1個のミラー402」、及び構成b1の「1個のダイクロイックフィルター421と1個のミラー401」はそれぞれ、構成Aの「m個(m≧2)のダイクロイックミラーDA1~DAm」、及び構成Bの「n個(n≧2)のダイクロイックミラーDB1~DBn」に相当するといえる。 よって、相違点1は実質的な相違点とは認められない。 イ 容易想到であること (ア)仮に、上記アの本願発明の解釈が成り立たず、本願発明の「ダイクロイックミラー」に「ミラー」が含まれないと解すべきであるとしても、下記(イ)・(ウ)のとおり、引用発明において相違点1の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 (イ)ダイクロイックミラーが特定波長帯に対しミラーとして機能することや、反射する波長帯を実質的に自由に選択できることは技術常識であるから、引用発明において、X軸正方向、負方向それぞれ最端部のミラー402・401を、それらの入射光の波長帯に対し同等の反射能を示すダイクロイックミラーに換えること、又は同ダイクロイックミラーで代用することは、当業者が容易になし得たことである。 (ウ)a 引用発明は、構成a1・c2に認定するとおり、図2に関連し、ビーム分割用モジュールの中央部に入射した入射光(Z軸上とする)を、その延長線上とその左右(X軸正負方向にシフトした側)に2本ずつ、計5本のZ軸に平行な出力光に分割する態様を例示的に含んでいる。この態様を、上記第4.1(2)ア(ウ)bに示した図4修正図の光学系をもとに実現しようとする場合に、下記「図4出力光5本化」図のとおり、Xの負方向にもう1枚のダイクロイックミラーを追加した光学系とすることは、 ・同図(オリジナルの図4も同様)でXが正方向のダイクロイックミラーの配置からの類推が当業者にとって容易に成り立ち、また、 ・構成c1において出力光の分割数は任意であるとされ、前記光学系の追加を行う動機付けも十分に存在するから、 当業者が容易に想到し得ることである。 そうすると、当該容易想到な構成において、X軸正負側各端部のミラーを除いても、ダイクロイックミラーのみについてm=2、n=2となるから、該容易想到な構成は、相違点1に係る本願発明1の構成に相当する構成を備える。 つまり、引用発明において相違点1の構成とすることは、引用文献1に記載された他の実施形態に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 b 図4出力光5本化 [図:0001418701000007.jpg] (2)相違点2・3について ダイクロイックミラーを多連に用いて入射光を複数の異なる波長帯の、入射光と平行な出力光に分割するビーム分割用モジュールにおいて、各ダイクロイックミラーを相互に平行に、入射光に対し45度傾斜させて、入射光と直交する向き(入射光が入射するダイクロイックミラーの反射光の向き)に沿って配列するようにすることは、上記摘記した引用文献2の記載2p3、記載2F5によっても裏付けられるとおり、周知かつ第一選択的な光学系配置である。 よって、引用発明において各ダイクロイックミラー(又はミラー)の配置を相違点2・3のようにすることは、周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。 (3)相違点4について 引用発明において、構成a1・c2のように出力光の分割数を5本とすることや、構成a2~c1のように同4本とすることは例示的なものであり、構成c1として認定するとおり、引用発明としては「入射光を任意の所望のスペクトル幅の任意の数の光成分(出力光)に分割できるように適切に構成」することが展望されているものである。 そして、上記(1)イ(ウ)で説示したとおり、引用発明において出力光の数を増やすために、X軸の正方向・負方向のダイクロイックミラーの数を、相互に平行かつX軸に沿った位置に適宜増加させることは当業者が容易に想到し得ることであり、必要に応じ適宜増減させるべき設計上の事項でもある。このことを裏付けるものとして、引用文献2の記載2F5においても、ダイクロイックミラーを4つ並列した光学系が示されており、こうした形での波長分割光学系の設計は周知技術である。 よって、引用発明において、相違点4に係るm+n>6とすることは、当業者が、引用文献1に記載された事項や周知技術に基づいて、容易に想到し得たことである。 (4)効果について 本願発明1により奏される効果は、当業者が、引用発明、引用文献1・2の記載事項、及び周知技術から予測し得た範囲内のものであって、格別のものではない。 (5)小括 上記のとおりであるから、本願発明1は引用発明、引用文献1・2の記載事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。 2 請求人の主張について (1)請求人の主張 請求人は当審意見書において、請求項1に係る発明の進歩性に関し概略以下の主張をする。 ア 主張1 本願発明は、その構成を有することにより、単に1つの入射光をm+n-1個の出射光に分割するのではなく、Z軸の正方向に進行する1つの入射光を、入射光と同一方向であるZ軸の正方向に進行するm+n-1個の出射光に分割するダイクロイックミラーアレイが提供される。これにより、Z軸に垂直な同一平面上に並ぶセンサアレイまたはエリアセンサに入射させて一括検出することが可能となる。例えば、図3を参照すると、本願発明によれば、分割数が増加するにしたがって、従来例と比較し、最大光路長および光路長差(最大光路長-最小光路長)を劇的に縮小できることが分かる。 しかし、引用文献1の構成では、分割された異なる波長の光束の光路長が異なるため、それぞれの波長の結像面を同一平面上に形成することが不可能である。すなわち、複数の波長のそれぞれにフォーカスを合わせたイメージを得ることができず、高度な色収差補正の効果が得られないどころか、逆効果となる。 イ 主張2 引用文献1の図4に関する「認定事項1」は多数の修正方法の1例であって、図4を認定事項1とすることは誤りで、例えば下記修正2のような修正例も想定されるべきこと。 [図:0001418701000008.jpg] (2)請求人の主張について ア 主張1について 本願発明1は、請求人が主張1の前提とする、各分割光路の光路長差を小さくすることや、各分割した光路のついて同一平面上のエリアセンサに入射させることや、エリアセンサに対する結像の必要性について、対応する特定事項を含まない。 光路長差については、本願発明1において各ダイクロイックミラーの間隔について何らの制限もないし、仮に各ダイクロイックミラーを極限まで接近させたとしても、図1,2,4~7などいずれの具体例についてもても、X軸方向の各ミラー位置の偏位の分だけ各分割光束には光路長差が生じるのであり、この事情は引用発明1(図4)と変わりがない。 よって、主張1は請求項1の記載にその根拠を欠く主張であって失当である。 イ 主張2について 引用文献1の図4における明らかな誤記が、正しくは上記図4修正図のとおりと理解することの妥当性と、上記修正例2のような誤記修正が不自然なものであることについては、上記第4.1(2)ア(ウ)b(b)において説示したとおりである。 また、仮に引用文献1の図4が図4修正図の誤記であるとまでいえないとしても、請求人も意見書において認めるとおり、公知の図4から当業者によって類推される多数の誤記の可能性のうちの一つには相違なく、誤記を含む前記図4から、前記可能性の一つとして図4修正図の構成を想到することは当業者が容易になし得ることであるといえる。そして、ダイクロイックミラーの増減による光束(狭帯域)の分割数の増減は上記第4.1(3)でも言及したとおり設計事項であるから、引用発明において、図4修正図のようにXの正負方向にダイクロイックミラーがそれぞれ任意数配列するようにすることは、必要とする光束(狭帯域)の分割数に応じ当業者が容易に設計変更し得たことにすぎないともいえる。 第7.むすび 以上のとおり、本願発明1は、引用文献1に記載された発明、引用文献1及び引用文献2に記載された事項、並びに周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-009477

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決24件(株式会社日立ハイテク)
  • 2025-009599拒絶査定不服審判 / 2026-08-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)自動分析装置、および自動分析装置の運転方法
    同じ当事者: 株式会社日立ハイテク
  • 2025-004465拒絶査定不服審判 / 2026-07-16 / 原査定取消(特許/登録すべき)円形加速器および粒子線治療システム
    同じ当事者: 株式会社日立ハイテク
  • 2024-018863拒絶査定不服審判 / 2026-05-11 / 原査定取消(特許/登録すべき)運動可視化システムおよび運動可視化方法
    同じ当事者: 株式会社日立ハイテク
  • 2025-009651拒絶査定不服審判 / 2026-04-06 / 原査定取消(特許/登録すべき)自動分析装置
    同じ当事者: 株式会社日立ハイテク
  • 2025-002684拒絶査定不服審判 / 2026-03-23 / 原査定取消(特許/登録すべき)検体採取の呼出時間予測システム及び方法
    同じ当事者: 株式会社日立ハイテク
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)95件(113・G01J、121・G01J、537・G01J ほか)
  • 2023-008495拒絶査定不服審判 / 2025-01-15 / 原査定取消(特許/登録すべき)コーティングの性能ファクターを評価及び予測するための分析システム及び方法
    共通の審決分類: 121・G01J、537・G01J、65・G01J
  • 2023-008448拒絶査定不服審判 / 2024-09-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)画像形成装置
    共通の審決分類: 113・G01J、121・G01J、537・G01J
  • 2022-016767拒絶査定不服審判 / 2023-09-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)スパース転送セットを使用する較正モデルの転送
    共通の審決分類: 113・G01J、121・G01J、537・G01J
  • 2019-001042拒絶査定不服審判 / 2019-12-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)熱画像センサ、及び、ユーザインターフェース
    共通の審決分類: 113・G01J、121・G01J、537・G01J
  • 2018-011051拒絶査定不服審判 / 2019-09-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)熱画像内の局所コントラストを強調する方法及び装置
    共通の審決分類: 113・G01J、121・G01J、537・G01J

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存