審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2023-008818

収量マップ作成装置

審判番号
2023-008818
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-112752
請求日
2023年05月30日
審決日
2024年05月16日
公報発行日
2024年06月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
  • 【請求人代理人】稲岡 耕作
  • 【請求人代理人】香山 秀幸
  • 【請求人代理人】丸山 温道
審判長/審判官
  • 審判長 古屋野 浩志
  • 審判官 加藤 範久
  • 審判官 西田 秀彦
分類
P18 .121-WY (A01F) / P18 .561-WY (A01F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-112752「収量マップ作成装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年12月24日出願公開、特開2020-202791、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和元年6月18日の出願であって、令和4年9月30日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月21日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月28日付けで最後の拒絶理由通知として拒絶の理由が通知され、令和5年2月24日に意見書及び手続補正書が提出され、同年3月27日付けで、同年2月24日付けの手続補正は却下されるとともに、拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年5月30日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 原査定の概要 原査定(令和5年3月27日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 ・請求項 2-4 請求項2には「…当該注目情報に対して前記所定時間だけ前の作業情報とに基いて…」との記載があるが、この記載よりも前に「所定時間」の記載が無く、「前記所定時間」が何を指し示しているのかが不明確である。 よって、請求項2-4に係る発明は明確でない。 2.請求項1から4に係る発明は、以下の引用文献1及び2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2018-078820号公報 2.米国特許出願公開第2015/0116330号明細書 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正によって、補正前の請求項1を削除した上で、補正前の請求項2から4を請求項1から3に繰り上げ、さらに、補正後の請求項1において、以下ア及びイで示す二点を補正した(以下、下線は補正箇所を示す。)。 ア 「収量割付部」は、「作業領域内に前記作業済領域が存在すると判定された場合には、前記作業領域から前記作業済領域を除外した領域に前記収量を割り付け、前記作業領域内に前記作業済領域が存在しないと判定された場合には、前記作業領域全体に前記収量を割り付ける」とした点 イ 「特定部」は、「前記注目情報に基づいて、前記収穫機および収量を特定し、前記注目情報と、特定された収穫機に関する作業情報のうちの当該注目情報に対して所定時間だけ前の作業情報とに基いて、前記作業領域を特定するように構成されており、前記注目情報と同じ時刻であって他の収穫機の作業情報が1以上存在する場合には、それら複数の収穫機の作業情報が、収穫作業の開始日時が早い収穫機の順に注目情報として読み出される」とした点 以下、上記ア及びイについて補正の適否を検討する。 上記アについて、「と」という文字を追加する補正は、脱字を修正するものであって、特許法第17条の2第5項第3号に規定する誤記の訂正を目的とするものであると認められる。 上記イについて、「所定時間」との補正は、補正前の【請求項2】に「前記所定時間」と記載されていたものの「前記」という誤記を削除したものであり、特許法第17条の2第5項第3号に規定する誤記の訂正を目的とするものであると認められる。 また、「前記注目情報と同じ時刻であって他の収穫機の作業情報が1以上存在する場合には、それら複数の収穫機の作業情報が、収穫作業の開始日時が早い収穫機の順に注目情報として読み出される」との補正について、「特定部」に関する発明特定事項を「注目情報と同じ時刻であって他の収穫機の作業情報が1以上存在する場合には、それら複数の収穫機の作業情報が、収穫作業の開始日時が早い収穫機の順に注目情報として読み出される」との特定を追加するものであって、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 次に、上記補正が特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものであるか否かについて検討する。 出願当初明細書の段落【0046】には、「ここでは、収穫機Aが最も早く収穫作業を開始し、その後に収穫機Bが収穫作業を開始し、その後に収穫機Cが収穫作業を開始するものとする。」と記載されている。さらに、出願当初明細書の段落【0048】には、「図9は、処理対象データの一例を示す模式図である。処理対象データは、圃場F1に対する3台の収穫機A、B、Cの作業情報が時刻の早いものから順に並べられることによって生成されている。ただし、図9では、収穫機Aの収穫機IDをA、収穫機Bの収穫機IDをB、収穫機Cの収穫機IDをCとして示している。」と記載されているとともに、図9では、同じ時刻に収穫機A、B、Cの作業情報がそれぞれ存在していることが図示されている。加えて、出願当初明細書の段落【0053】には「未選択作業情報中に、注目情報と同じ時刻であって他の収穫機2の作業情報が1以上存在する場合には、他の収穫機2の作業情報のうち、収穫機2の優先順位の高いものを優先して選択する。収穫機2の優先順位は、この例では、Aが最も高く、Bが次に高く、Cが最も低く設定される。」と記載されている。 これらの記載から、「注目情報と同じ時刻であって他の収穫機の作業情報が1以上存在する場合」において、「他の収穫機の作業情報のうち、収穫機の優先順位の高いものを優先して選択する」際の優先順位について、「Aが最も高く、Bが次に高く、Cが最も低く設定される」点と、当該A、B、及びCにおいて、それらは同じ時刻の作業情報が存在しており、収穫作業の開始日時に関して、収穫機Aが最も早く、その後に収穫機B、その後に収穫機Cとなっている点とが記載されていることから、「前記注目情報と同じ時刻であって他の収穫機の作業情報が1以上存在する場合には、それら複数の収穫機の作業情報が、収穫作業の開始日時が早い収穫機の順に注目情報として読み出される」という事項が記載されていることは明らかである。 よって、上記補正は、出願当初の本願明細書に記載されている事項であるから、新規事項を追加するものであるとはいえない。 そして、上記イの補正は、先に記載したとおり、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、特許法第17条の2第6項の規定により、補正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならないところ、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1及びそれを引用する請求項2、3に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。 したがって、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。 なお、上記イの補正について、令和5年3月27日付けの補正却下の決定では、「これらの段落では、『収穫作業の開始日』と『優先順位』の関係性について何ら説明されていないことから、『収穫機2の優先順位は、この例では、Aが最も高く、Bが次に高く、Cが最も低く設定される』という事項が、『収穫作業の開始日』を考慮した結果であるのか、それとも偶々そのように設定されたということであるのかを、明確に理解することができない。」として、補正後の請求項1に記載された「複数の収穫機の作業情報が、収穫作の開始日時が早い収穫機の順に注目情報として読み出される」という事項は、出願当初の明細書等において明確に記載されていたものとはいえないとしているが、上記の検討で示したとおり、出願当初明細書の段落【0046】、【0048】、【0053】及び図9の記載を総合すれば、「複数の収穫機の作業情報が、収穫作業の開始日時が早い収穫機の順に注目情報として読み出される」という事項は、出願当初明細書等において記載されていることは明らかである。特に、収穫機A、B、Cの違いは、出願当初明細書の段落【0046】の記載から「走行経路」と「収穫作業の開始日時」の二点であって、そのうち「走行経路」は、同一の圃場を複数の収穫機で収穫作業を行う以上、収穫機の違いとして現れるのは当然であることに鑑みれば、収穫機A、B、Cの違いとして記載されている特徴は、実質的には「収穫作業の開始日時」のみであるということができる。してみれば、出願当初の明細書の段落【0053】に、収穫機の優先順位は、「Aが最も高く、Bが次に高く、Cが最も低く設定される」と記載されていることは、当然に収穫機の優先順位として「収穫作業の開始日時」で決定していると考えるのが自然であって、偶々そのように設定されたということはできない。 第4 本願発明 本願請求項1から3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」から「本願発明3」という。)は、令和5年5月30日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1から3に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 同一圃場に対して、複数の収穫機によって、収穫作業領域の一部が前記複数の収穫機間で重なるように、収穫作業が行われる場合に、前記複数の収穫機各々における時刻毎の測位情報および収量を含む作業情報を取得して前記収穫機毎に記憶する作業情報取得部と、 圃場別に各収穫機の作業情報を共通の時刻毎に統合して、圃場別統合作業情報を生成する情報統合部と、 ある圃場に対する前記圃場別統合作業情報に基づいて、前記時刻毎に、収穫作業を行った収穫機、収穫作業が行われた作業領域および当該作業領域での収量を特定する特定部と、 前記作業領域内に、当該収穫作業よりも前に、当該収穫作業を行った他の収穫機によって既に収穫作業が行われた作業済領域が存在するか否かを判定する判定部と、 前記作業領域内に前記作業済領域が存在すると判定された場合には、前記作業領域から前記作業済領域を除外した領域に前記収量を割り付け、前記作業領域内に前記作業済領域が存在しないと判定された場合には、前記作業領域全体に前記収量を割り付ける収量割付部と、 前記収量割付部による収量割付結果に基づいて、前記圃場内の複数の分割領域毎の収量を算出する算出部とを含み、 任意の圃場に対する前記圃場別統合作業情報を時刻の早いものから順番に注目情報として読み出し、読み出した注目情報毎に、前記収穫機、作業領域および収量を特定するように構成されており、 前記特定部は、 前記注目情報に基づいて、前記収穫機および収量を特定し、 前記注目情報と、特定された収穫機に関する作業情報のうちの当該注目情報に対して所定時間だけ前の作業情報とに基いて、前記作業領域を特定するように構成されており、 前記注目情報と同じ時刻であって他の収穫機の作業情報が1以上存在する場合には、それら複数の収穫機の作業情報が、収穫作業の開始日時が早い収穫機の順に注目情報として読み出される、収量マップ作成装置。 【請求項2】 前記判定部は、前記作業済領域が存在するか否かを、前記圃場に予め設定された基準小領域単位で判定するように構成されており、 前記収量割付部は、前記作業領域内に前記作業済領域が存在すると判定された場合には 、前記作業領域内に含まれる前記基準小領域のうち、作業済領域として判定された基準小領域を除外した領域に、前記収量を割り付けるように構成されている、請求項1に記載の収量マップ作成装置。 【請求項3】 前記作業情報取得部は、管理サーバに設けられており、 前記複数の収穫機から、前記作業情報が前記管理サーバに送信される、請求項1または2に記載の収量マップ作成装置。」 第5 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について (1)引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(以下、下線は当審で付した。以下同様。)。 ア 段落【0050】から【0052】 「【0050】 コンバイン100は、図4に示すように、GNSS受信機61と、穀粒センサ62と、穀稈検出センサ64と、をセンサとして備える。 【0051】 GNSS受信機61は、キャビン11の上面に配置されたGNSSアンテナ60と接続されている。なお、GNSSアンテナ60とGNSS受信機61は同じ位置に配置されていても良いし、異なる位置に配置されていても良い。GNSS受信機61は、GNSSアンテナ60が測位衛星から受信した信号に基づいて、コンバイン100の位置(詳細にはGNSSアンテナ60の位置)の緯度・経度情報として算出する。GNSS受信機61が行う測位は、単独測位であっても良いし、別のGNSS受信機の算出結果を用いる相対測位であっても良い。また、相対測位としては、ディファレンシャルGNSSを用いても良いし、干渉測位を用いても良い。GNSS受信機61が検出したコンバイン100の位置(位置検出値)は、検出した時刻とともに、管理装置70へ出力される。なお、時刻との対応付けは、GNSS受信機61側で行っても良いし、管理装置70側で行っても良い(他のセンサについても同様)。 【0052】 穀粒センサ62は、コンバイン100で収穫された穀粒量(収量)を検出する。具体的には、図5に示すように、穀粒センサ62はグレンタンク7の上面に取り付けられている。上述のように、脱穀装置5等によって得られた穀粒102は、一番揚穀筒33の内部に設けられた揚穀コンベア41によってグレンタンク7へ向けて搬送される。この揚穀コンベア41の軸の下流側の端部には、放出羽根43が接続されている。放出羽根43は、揚穀コンベア41により搬送された穀粒102をグレンタンク7に向けて跳ね飛ばす。また、穀粒センサ62には、歪みゲージ又は圧電素子等の衝撃検出部が設けられている。この構成により、穀粒センサ62は、放出羽根43が跳ね飛ばした穀粒102が衝突した際の衝撃力を検出する。穀粒センサ62は、この衝撃力に基づいて、穀粒量(収量検出値)を検出する。穀粒センサ62は、検出した穀粒量を管理装置70へ出力する。なお、穀粒センサ62は、穀粒量ではなく、衝撃力を管理装置70へ出力しても良い。つまり、穀粒センサ62は、穀粒量(収量)に関する値である収量検出値(穀粒量そのもの、又は穀粒量を算出するための値)を検出して管理装置70へ出力する構成であれば良い。」 イ 段落【0056】から【0059】 「【0056】 管理装置70は、キャビン11内に設けられており、オペレータの操作等に応じて様々な情報を表示可能である。管理装置70は、制御部71と、表示部75と、記憶部76と、操作部77と、を備える。 【0057】 制御部71は、管理装置70内に配置されたCPU等の演算装置であるが、FPGA又はASIC等の演算装置であっても良い。制御部71は、ROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することで、様々な処理を行うことができる。制御部71は、取得部72と、判定部73と、算出部74と、表示処理部78と、を備える。取得部72は、GNSS受信機61、穀粒センサ62、及び、穀稈検出センサ64等の検出値を取得する。判定部73が行う処理は後述する。算出部74は、取得部72が取得した検出値に基づいて収量分布を算出する(詳細な算出方法を後述する)。表示処理部78は、取得部72が取得した検出値、及び、算出部74が算出した収量分布等に基づいて、表示画面を生成する。 ・・・ 【0059】 次に、収量分布を算出する処理について説明する。図6は、収量分布を求めるフローチャートである。図7及び図8は、コンバイン100が進行した場合における未通過領域と既通過領域の変化を示す図である。」 ウ 段落【0066】から【0069】 「【0066】 次に、判定部73は、コンバイン100が刈取りを行った(コンバイン100が通過した)領域であって、収量の割り付けの判定がまだ行われていない領域(処理対象の領域)を特定する(S103)。判定部73は、この領域に、未通過領域が含まれるか否かを判定する(S104)。初めに、未通過領域/既通過領域の変化について説明する。GNSS受信機61の検出結果と、GNSSアンテナ60と刈取装置3の位置関係と、コンバイン100の刈り幅と、を用いることで、圃場のどの位置がコンバイン100が通過した領域であるかを算出できる。具体的には、図7及び図8に示すように、コンバイン100が走行することで、左右方向においてコンバイン100の刈り幅かつ前後方向において刈取装置3を通過した部分に含まれる全ての領域単位が、未通過領域から既通過領域に変更され、記憶部76に記憶される。なお、未通過領域から既通過領域に変更する処理は、図6に示す収量の割付けが行われた後である。つまり、判定部73は、今回の刈取りが行われる前の時点(収量の割付けが行われる前の時点)において、未通過と既通過の何れが登録されているかを記憶部76にアクセスして領域単位毎に判定することで、ステップS104の判定を行う。なお、コンバイン100が走行した領域には収量が割り付けられるため、算出部74は、今回の刈取りが行われる前の時点において収量が対応付けられている領域単位を既通過領域と判定し、収量が対応付けられていない領域単位を未通過領域と判定することで、ステップS104の判定を行うこともできる。 【0067】 処理対象の領域に未通過領域が含まれている場合(言い換えれば、今回の刈取りが行われる前の時点において、全てが未通過領域である場合か、未通過領域と既通過領域の両方が含まれる場合)、コンバイン100による刈取りが行われている。この場合、算出部74は、穀粒センサ62の検出値に基づいて得られた収量を、処理対象の領域のうちの未通過領域に割り付ける(S105)。上述のように位置に応じた収量は、GNSS受信機61及び穀粒センサ62等の検出値に基づいて算出できる。しかし、コンバイン100の左右方向の収量の分布は穀粒センサ62等では検出できない。従って、算出部74は、ある位置の収量を、当該位置の左右方向に存在する未通過の領域単位に均等に割り付けて記憶部76に記憶する。なお、当該位置に既通過の領域単位が存在している場合、この既通過の領域単位には収量を割り付けない(以前に割り付けた収量を維持する)。つまり、穀粒センサ62が微量の穀粒量を検出していた場合でも当該既通過領域と対応付けて記憶しない。更に、制御部71は、上述のように、未通過の領域単位を既通過に変更する。その後、管理装置70は、処理対象の領域が残存しているか否かを判定する(S106)。処理対象の領域が残存している場合は、再びステップS103以降の処理を行う。管理装置70は、処理対象の領域が残存していない場合は、処理を終了する。以上の処理を行うことで、圃場の位置に応じた収量(収量分布)を算出することができる。算出部74は、算出した収量分布を記憶部76に記憶する。また、表示処理部78は、算出部74から取得した収量分布に基づいて収量マップを生成し、表示部75に表示する。 ・・・ 【0069】 図9には、図6の処理を行うことで得られた収量分布に基づいて算出した収量マップである。収量マップには、位置毎の収量が圃場の模式図を用いてグラフィカルに表示されている。生産者は、この収量マップを確認することで、圃場の位置毎の生育状況を把握することができる。これを用いて、例えば次年度の肥料管理等を行うことで、収穫量を更に向上させることができる。」 (2)引用発明について したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (引用発明) 「コンバイン100は、GNSS受信機61と、穀粒センサ62と、穀稈検出センサ64と、をセンサとして備え(段落【0050】)、 GNSS受信機61が検出したコンバイン100の位置(位置検出値)は、検出した時刻とともに、管理装置70へ出力し(段落【0051】)、 穀粒センサ62は、コンバイン100で収穫された穀粒量(収量)を検出し、検出した穀粒量を管理装置70へ出力し(段落【0052】)、 管理装置70は、制御部71を備え(段落【0056】)、 制御部71は、管理装置70内に配置されたCPU等の演算装置であり、制御部71は、取得部72と、判定部73と、算出部74と、を備え、取得部72は、GNSS受信機61、穀粒センサ62、及び、穀稈検出センサ64等の検出値を取得し、算出部74は、取得部72が取得した検出値に基づいて収量分布を算出し(段落【0057】)、 コンバイン100が進行した場合(段落【0059】)、 判定部73は、コンバイン100が刈取りを行った(コンバイン100が通過した)領域であって、収量の割り付けの判定がまだ行われていない領域(処理対象の領域)を特定し、この領域に、未通過領域が含まれるか否かを判定し(段落【0066】)、 算出部74は、穀粒センサ62の検出値に基づいて得られた収量を、処理対象の領域のうちの未通過領域に割り付け、ある位置の収量を、当該位置の左右方向に存在する未通過の領域単位に均等に割り付けて記憶部76に記憶し、当該位置に既通過の領域単位が存在している場合、この既通過の領域単位には収量を割り付けないで、以前に割り付けた収量を維持し、圃場の位置に応じた収量(収量分布)を算出し、表示処理部78は、算出部74から取得した収量分布に基づいて収量マップを生成し、表示部75に表示する(段落【0067】)、 コンバイン100の管理装置70(段落【0052】)。」 2 引用文献2について (1)引用文献2の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている(以下、( )は当審訳を示す。)。 ア 段落[0002] 「[0002]Modern farmers harvest wheat and other crops using multiple harvesters working together in one field. A common scenario is that the owner of the farm drives one harvester while a hired hand drives another. The owner, being highly motivated by the success or failure of his farm, tries hard to operate his machine properly and to understand and use all of its features. In particular, the owner understands how to calibrate his harvester's yield monitoring system to obtain accurate crop yield data. Farming is a data intensive business and knowing precisely how one's crops are performing is crucial to maximizing profit.」 ([0002]現代の農家では、小麦やその他の作物を収穫する際、一つの圃場で複数の収穫機が共同で収穫作業を行う。よくあるのは、農場主が1台の収穫機を運転し、被雇用者がもう1台の収穫機を運転するというものだ。農場主は、自身の農場の成否に強い動機づけを受けているため、自分の機械を適切に操作し、その機能をすべて理解して使いこなそうと懸命になる。特に、農場主は、正確な収穫量データを得るために、収穫機の収量モニタリング・システムのキャリブレーション方法を理解している。農業はデータ集約型のビジネスであり、作物の状態を正確に把握することは利益を最大化する上で極めて重要である。) イ 段落[0004]から[0007] 「[0004]Consider what happens when the owner and the hired hand harvest a field by taking alternate rows as shown in FIG. 1. The owner, in harvester A, works rows marked “A”. Meanwhile, his help, in harvester B, works rows marked “B”. After the day's work is done, the owner plots yield data on his computer using yield monitoring software and sees . . . stripes! ([0004]図1に示すように、農場主と被雇用者が交互に畝を担当して畑を収穫する場合を考えてみよう。農場主は収穫機Aに乗り、「A」と書かれた畝を作業する。一方、被雇用者は収穫機Bに乗り、「B」と書かれた畝を作業する。一日の作業が終わり、オーナーが収量モニタリング・ソフトを使って収量データをコンピューターにプロットすると、、、縞模様が見えた。縞模様だ!) [0005]A stripe (i.e. a long narrow band or strip, typically of the same width throughout its length, differing in color from the surface or either side of it) pattern appears in the yield data because of inconsistent calibration between yield monitors on harvester A and B. ([0005]収穫機AとBの収量モニター間のキャリブレーションが一定していないため、収量データに縞模様(細長い帯又は紐で、通常、その長さ全体が同じ幅であり、表面またはその両側で色が異なるもの)が現れる。) [0006]This is unsatisfactory to the owner. Although a stripe pattern could, in limited circumstances, be accurate (e.g. two varieties of a row crop planted in alternating rows), it is much more likely, especially with broadacre crops, to be the result of inconsistent yield monitor calibration. Stripes are an annoying distraction to say the least. They obscure the visual display of yield data that would otherwise show a farmer where his field may be in trouble from too little fertilizer, too much water, or other problems. ([0006]これは農場主にとって不満足なことである。縞模様は、(例えば、二つの品種の連作作物が交互に畝に植えられている場合等)限られた状況下では正確かもしれないが、特に耕地面積の広い作物では、収量モニターのキャリブレーションが一定していない結果である可能性の方がはるかに高い。縞模様は、控えめに言っても邪魔である。そうでなければ、肥料が少なすぎる、水が多すぎる、あるいはその他の問題で農家が困っている圃場がどこにあるのかを示すはずの収量データの視覚的表示が、縞模様によって見えにくくなってしまうのだ。) [0007]What are needed are systems and methods to fix the yield stripe problem. ([0007]必要なのは、収量の縞模様の問題を解決するシステムと方法である。)」 ウ 段落[0036] 「[0036]Yield correction may also be performed as data is being collected with possible correction updates when a complete data set becomes available. FIG. 8 shows an advanced yield monitor system that offers real-time correction. The system of FIG. 8 includes display/processor 805, yield sensor 810, GPS 815, autopilot 820 and data link 825. ([0036]収量補正は、データが収集され、完全なデータセットが利用可能になったときに補正が更新される可能性もある。図8は、リアルタイム補正を提供する高度な収量モニターシステムを示す。図8のシステムは、ディスプレイ/プロセッサ805、収量センサ810、GPS815、自動操縦装置820、およびデータリンク825を含む。)」 エ 段落[0038]から[0041] 「[0038]In FIG. 8, display/processor 805 displays a yield map similar to that of FIG. 7. Display/processor 805, however, updates its map in real time as harvesting operations proceed. ‘A’ and ‘B’ show positions of two harvesters at various times. Assume for purposes of illustration that display/processor 805 is mounted in harvester ‘A’. At position 830, harvester ‘A’ recorded a yield of 4598 lbs/acre. That was several seconds before the current situation in which harvester ‘A’ has moved to position 835 and harvester ‘B’ is at position 840. ([0038]図8において、ディスプレイ/プロセッサ805は、図7と同様の収量マップを表示する。しかしながら、ディスプレイ/プロセッサ805は、収穫作業が進むにつれて、そのマップをリアルタイムで更新する。「A」および「B」は、様々な時刻における二つの収穫機の位置を示す。説明の目的で、ディスプレイ/プロセッサ805が収穫機「A」に取り付けられていると仮定する。位置830において、収穫機「A」は4598ポンド/エーカーの収量を記録した。それは、収穫機「A」が位置835に移動し、収穫機「B」が位置840にある現在の状況の数秒前である。) [0039]Display/processor 805 knows the position (and position history) of harvester ‘A’ based on GPS, and the position (and position history) of harvester ‘B’ as reported by harvester ‘B’ via data link 825. Thus display/processor 805 can determine that when harvester ‘B’ is at position 840, it is adjacent to where harvester ‘A’ was when it was at position 830. At position 840, harvester ‘B’ reports a raw (i.e. uncorrected) yield of 4613 lbs/acre. ([0039]ディスプレイ/プロセッサ805は、GPSに基づく収穫機「A」の位置(および位置履歴)、およびデータリンク825を介して収穫機「B」から報告される収穫機「B」の位置(および位置履歴)を知っている。したがって、ディスプレイ/プロセッサ805は、収穫機「B」が位置840にあるとき、収穫機「A」が位置830にあったときにあった場所に隣接していると決定することができる。位置840において、収穫機「B」は、4613ポンド/エーカーの生の(補正されていない)収量を報告する。) [0040]Display/processor 805 may plot the yield for position 840 in several different ways. First, the uncorrected yield (4613 lbs/acre) as reported by harvester ‘B’ may be displayed. Alternatively, if the yield monitor of harvester ‘A’ is known to be properly calibrated while that of harvester ‘B’ is not, the display may show the yield at position 840 as being equal to that at position 830, i.e. 4598 lbs/acre. (In that case, raw yield data from harvester ‘B’ is ignored for plotting purposes.) Alternatively, the display may show the yield at positions 830 and 840 to be the average of the respective reported yields, i.e. (4598+4613)/2=4605.5 lbs/acre. Alternatively, the display may apply the procedure described in connection with FIG. 6A using all adjacent data points available up to the present time. ([0040]ディスプレイ/プロセッサ805は、いくつかの異なる方法で位置840の収量をプロットすることができる。まず、収穫機「B」によって報告された補正されていない収量(4613ポンド/エーカー)が表示されてもよい。あるいは、収穫機「A」の収量モニターが適切にキャリブレーションされていることが知られている一方、収穫機「B」のそれはキャリブレーションされていない場合、ディスプレイは、位置840における収量を、位置830における収量、すなわち4598ポンド/エーカーと等しいものとして表示してもよい。(この場合、収穫機「B」からの生の収量データは、プロットの目的上無視される)。あるいは、ディスプレイは、位置830および840における収量を、それぞれの報告された収量の平均、すなわち、(4598+4613)/2=4605.5ポンド/エーカーであると表示してもよい。あるいは、表示は、現時点まで利用可能なすべての隣接データ点を用いて、図6Aに関連して説明した手順を適用してもよい。) [0041]There are clearly many different ways that display 805 may present yield data obtained from multiple harvesters. Further, a user may be presented with a choice of data display mode. A user may also be presented with an opportunity to choose manual or automatic adjustments as described in connection with FIG. 7. ([0041]ディスプレイ805が複数の収穫機から得られた収量データを提示することができる多くの異なる方法があることは明らかである。さらに、ユーザーは、データ表示モードの選択を提示されるかもしれない。また、図7に関連して説明したように、手動調整または自動調整を選択する機会がユーザーに提示されることもある。)」 (2)引用文献2に記載された技術的事項について 上記記載から、引用文献2には、以下の技術的事項(以下「引用文献2記載技術」という。)が記載されていると認められる。 (引用文献2記載技術) 「一つの圃場で、複数の収穫機が共同で収穫作業を行う場合に、複数の収穫機各々における様々な時刻の位置及び収量から、圃場内の複数の位置の収量データを提示する収量マップを表示する収量モニターシステムにおいて(段落[0002]、[0036]、[0038])、 収穫機「A」と収穫機「B」の収量モニターのキャリブレーションが一定していないことによって生じる縞模様の問題を解決するために(段落[0005]から[0007])、 ディスプレイ/プロセッサ805が、収穫機「B」が位置840にあるとき、収穫機「A」が位置830にあったときにあった場所に隣接していると決定し(段落[0039])、 収穫機「A」の収量モニターが適切にキャリブレーションされていることが知られている一方、収穫機「B」のそれはキャリブレーションされていない場合、位置840における収量を、位置830における収量と等しいものとしてプロットし(段落[0040])、 複数の収穫機から得られた収量データを提示する収量補正を提供する収量モニターシステム(段落[0036]、[0041])。」 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 引用発明における「コンバイン」、「刈取り」は、それぞれ、本願発明1における「収穫機」、「収穫作業」に相当する。 また、引用発明における「GNSS受信機61が検出したコンバイン100の位置(位置検出値)」、「コンバイン100で収穫された穀粒量(収量)」は、それぞれ、本願発明1における「収穫機」「における」「測位情報」、「収穫機」「における」「収量」に相当し、引用発明における「取得部72」は、本願発明1における「作業情報取得部」に相当する。 また、引用発明における「判定部73」は、「コンバイン100が刈取りを行った(コンバイン100が通過した)領域であって、収量の割り付けの判定がまだ行われていない領域(処理対象の領域)を特定し、この領域に、未通過領域が含まれるか否かを判定」するものであるから、本願発明1の「作業領域内に、当該収穫作業よりも前に」「収穫機によって既に収穫作業が行われた作業済領域が存在するか否かを判定する」「判定部」に相当する。 また、引用発明における「算出部74」について、「算出部74」の「穀粒センサ62の検出値に基づいて得られた収量を、処理対象の領域のうちの未通過領域に割り付け、ある位置の収量を、当該位置の左右方向に存在する未通過の領域単位に均等に割り付けて記憶部76に記憶し、当該位置に既通過の領域単位が存在している場合、この既通過の領域単位には収量を割り付けないで、以前に割り付けた収量を維持」するとの構成は、本願発明1の「作業領域内に前記作業済領域が存在すると判定された場合には、前記作業領域から前記作業済領域を除外した領域に前記収量を割り付け、前記作業領域内に前記作業済領域が存在しないと判定された場合には、前記作業領域全体に前記収量を割り付ける」「収量割付部」に相当し、引用発明の「算出部74」の「圃場の位置に応じた収量(収量分布)を算出」するとの構成は、本願発明1の「前記収量割付部による収量割付結果に基づいて、前記圃場内の複数の分割領域毎の収量を算出する」「算出部」に相当することから、引用発明の「算出部74」は、本願発明1の「収量割付部」と「算出部」とを合わせたものに相当する。 さらに、引用発明における「管理装置70」は、それを構成する「表示処理部78」が「算出部74から取得した収量分布に基づいて収量マップを生成」するので、本願発明1における「収量マップ生成装置」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「圃場に対して、収穫機によって、収穫作業が行われる場合に、前記収穫機における時刻毎の測位情報、および収量を取得して記憶する作業情報取得部と、 前記作業領域内に、収穫作業よりも前に、既に収穫作業が行われた作業済領域が存在するか否かを判定する判定部と、 前記作業領域内に前記作業済領域が存在すると判定された場合には、前記作業領域から前記作業済領域を除外した領域に前記収量を割り付け、前記作業領域内に前記作業済領域が存在しないと判定された場合には、前記作業領域全体に前記収量を割り付ける収量割付部と、 前記収量割付部による収量割付結果に基づいて、前記圃場内の複数の分割領域毎の収量を算出する算出部とを含む、 収量マップ作成装置。」 (相違点1) 「作業情報取得部」が、本願発明1では、「同一圃場に対して、複数の収穫機によって、収穫作業領域の一部が前記複数の収穫機間で重なるように」、収穫作業が行われる場合の前記「複数の収穫機各々」における時刻毎の測位情報および収量を含む作業情報を取得して前記「収穫機毎」に記憶するものであるのに対し、引用発明では、そのようなものであるか否か不明な点。 (相違点2) 「収量マップ作成装置」が、本願発明1では、「圃場別に各収穫機の作業情報を共通の時刻毎に統合して、圃場別統合作業情報を生成する情報統合部」と、「ある圃場に対する前記圃場別統合作業情報に基づいて、前記時刻毎に、収穫作業を行った収穫機、収穫作業が行われた作業領域および当該作業領域での収量を特定する特定部」とを含み、「任意の圃場に対する前記圃場別統合作業情報を時刻の早いものから順番に注目情報として読み出し、読み出した注目情報毎に、前記収穫機、作業領域および収量を特定するように構成されており、前記特定部は、前記注目情報に基づいて、前記収穫機および収量を特定し、前記注目情報と、特定された収穫機に関する作業情報のうちの当該注目情報に対して所定時間だけ前の作業情報とに基いて、前記作業領域を特定するように構成されており、前記注目情報と同じ時刻であって他の収穫機の作業情報が1以上存在する場合には、それら複数の収穫機の作業情報が、収穫作業の開始日時が早い収穫機の順に注目情報として読み出される」のに対し、引用発明では、そのような「情報統合部」及び「特定部」を有しているか否か不明な点。 (相違点3) 「判定部」が判定する「既に収穫作業が行われた作業済領域」について、本願発明1では、「当該収穫作業を行った他の収穫機によって」収穫作業が行われたものであるのに対し、引用発明では、当該「収穫作業」が「他の収穫機によって」行われたものであるか否か不明な点。 (2)相違点についての判断 上記相違点1について検討すると、引用文献2記載技術では、一つの圃場で、複数の収穫機によって収穫作業が行われる場合に、収量マップで表示する収穫機の収量を、他の収穫機による隣接する領域の収量に基づいて補正するものではあるが、そのような補正が必要になるのは収穫機毎の収量モニターのキャリブレーションが一定していないことによって生じる縞模様の問題を解決するためであって、同一圃場に対して、複数の収穫機によって、「収穫作業領域の一部が前記複数の収穫機間で重なるように」、収穫作業が行われる場合についてまでをも示すものではない。そして、引用文献2には、同一圃場に対して、複数の収穫機によって、「収穫作業領域の一部が前記複数の収穫機間で重なるように」、収穫作業が行われる場合について示唆する記載もない。 よって、引用文献2には、上記相違点1に係る本願発明1の特定事項は記載されていない。 してみれば、上記相違点2及び3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 なお、念のために、相違点2について検討すると、引用文献2には、相違点2に係る本願発明1の特定事項、つまりは、「圃場別に各収穫機の作業情報を共通の時刻毎に統合して、圃場別統合作業情報を生成する情報統合部」と「ある圃場に対する前記圃場別統合作業情報に基づいて、前記時刻毎に、収穫作業を行った収穫機、収穫作業が行われた作業領域および当該作業領域での収量を特定する特定部」に関する記載は見当たらない。 また、引用文献2に「収穫作業領域の一部が前記複数の収穫機間で重なる」という点の記載がなくても、収穫作業を行う上で収穫作業領域の一部が複数の収穫機間で重なることは生じ得るが、少なくとも、引用文献2には、相違点3に係る本願発明1の特定事項、つまりは、「判定部」が判定する「既に収穫作業が行われた作業済領域」が当該収穫作業を行った「他の収穫機によって」収穫作業が行われたものである点が記載されていない以上、引用発明、及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいても、「収穫作業領域の一部が前記複数の収穫機間で重なる」ことを前提とした本願発明1の発明特定事項を有するものとはならない。 したがって、本願発明1は、引用発明、及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 なお、原審の令和4年12月28日付けの拒絶理由通知、及び、令和5年3月27日付け補正却下の決定においては、相違点1に係る本願発明1の「同一圃場に対して、複数の収穫機によって、収穫作業領域の一部が前記複数の収穫機間で重なるように、収穫作業が行われる」という点は、引用文献2に記載されているとの判断がなされているが、上記の検討で示したように、そのような点は引用文献2に記載されているとは認められない。 2.本願発明2について 本願発明2も、本願発明1と同一の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明、拒絶査定において引用された引用文献2に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 3.本願発明3について 本願発明3も、本願発明1と同一の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明、拒絶査定において引用された引用文献2に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定について 1.理由1(特許法第36条第6項第2号)について 審判請求時の補正により、補正前の請求項2の「当該注目情報に対して前記所定時間だけ前の作業情報とに基いて」との記載は、補正後の請求項1において「前記」という記載を削除して「当該注目情報に対して所定時間だけ前の作業情報とに基いて」との記載に補正された。 よって、原査定の理由1は解消した。 2.理由2(特許法第29条第2項)について 審判請求時の補正により、本願発明1ないし3は「同一圃場に対して、複数の収穫機によって、収穫作業領域の一部が前記複数の収穫機間で重なるように、収穫作業が行われる場合」に特有の「作業情報取得部」、「情報統合部」、「特定部」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 よって、原査定の理由2を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-008818

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決111件(ヤンマーパワーテクノロジー株式会社)
  • 2024-013752拒絶査定不服審判 / 2026-07-15 / 請求不成立ヒートポンプ
    同じ当事者: ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
  • 2025-008816拒絶査定不服審判 / 2026-07-13 / 原査定取消(特許/登録すべき)自動走行システムおよび表示方法
    同じ当事者: ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
  • 2024-006959拒絶査定不服審判 / 2026-06-22 / 原査定取消(特許/登録すべき)領域調整システム
    同じ当事者: ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
  • 2025-000681拒絶査定不服審判 / 2026-06-08 / 原査定取消(特許/登録すべき)魚計数システム、魚計数方法及びプログラム
    同じ当事者: ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
  • 2024-009061拒絶査定不服審判 / 2026-06-08 / 請求不成立作業車両
    同じ当事者: ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)14件(121・A01F、561・A01F)
  • 2023-018414拒絶査定不服審判 / 2024-09-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)コンバイン
    共通の審決分類: 121・A01F
  • 2022-011433拒絶査定不服審判 / 2024-03-11 / 請求不成立コンバイン
    共通の審決分類: 121・A01F
  • 2022-019562拒絶査定不服審判 / 2023-11-27 / 原査定取消(特許/登録すべき)ロールベーラ
    共通の審決分類: 121・A01F
  • 2021-016658拒絶査定不服審判 / 2023-06-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)収穫した農産物の貯蔵中及び出荷中の腐敗を低減させる方法
    共通の審決分類: 121・A01F
  • 2022-011571拒絶査定不服審判 / 2023-06-12 / 原査定取消(特許/登録すべき)コンバイン
    共通の審決分類: 121・A01F

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存