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特許拒絶査定不服審判

2022-011433

コンバイン

審判番号
2022-011433
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-185100
請求日
2022年07月22日
審決日
2024年03月11日
公報発行日
2024年05月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社クボタ
  • 【請求人代理人】弁理士法人R&C
審判長/審判官
  • 審判長 前川 慎喜
  • 審判官 佐藤 史彬
  • 審判官 西田 秀彦
分類
P18 .121-WZ (A01F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-185100「コンバイン」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月 9日出願公開、特開2020- 54243〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、平成30年9月28日に出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年10月28日付け:拒絶理由通知書 令和4年 1月 6日 :意見書、手続補正書 令和4年 4月13日付け:拒絶査定 令和4年 7月22日 :審判請求書 令和5年 5月24日付け:応対記録 令和5年 5月29日付け:拒絶理由通知書 令和5年 7月31日 :意見書、手続補正書 令和5年10月13日付け:拒絶理由通知書(最後) 令和5年12月15日 :意見書 2 本願発明 本願の請求項に係る発明は、令和5年7月31日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 走行機体の前部に設けられた運転部と、 収穫部によって収穫された収穫物を脱穀処理する脱穀装置と、 前記運転部の後方に設けられ、前記脱穀装置によって得られた穀粒を貯留する穀粒タンクと、 前記穀粒タンクの後下部に接続され、かつ、上下方向に沿って上方に向けて延びる縦搬送部、及び、先端部に排出口が設けられるとともに前記縦搬送部の上端部に上下揺動可能に接続され、かつ、機体内側に収納された状態で支持部材に支持されたホーム状態から旋回して機体外側に張り出し可能に構成された横搬送部を有し、前記排出口から前記穀粒タンクに貯留された穀粒を機外に排出する排出作業が可能な穀粒排出装置と、 前記横搬送部の任意位置への移動を指示する手動操作具と、 前記横搬送部の特定位置への移動を指示する自動操作具と、が備えられ、 前記横搬送部の旋回範囲に、機体左右方向において前記運転部の横外端部よりも機体外側かつ機体前後方向において前記穀粒タンクの前端部よりも前側の横外前領域が含まれており、 前記特定位置は、前記ホーム状態から前記特定位置への前記横搬送部の旋回量が前記ホーム状態から前記横外前領域への前記横搬送部の旋回量よりも大きくなる位置に位置固定して設定されており、 前記横搬送部が前記ホーム状態であるときに前記自動操作具が操作されると、前記横搬送部は前記ホーム状態から自動上昇してその後に前記特定位置まで自動旋回し、 前記手動操作具の操作によって前記排出口が前記横外前領域に位置するように前記横搬送部を移動させることが可能であるとともに前記排出口が前記横外前領域に位置する状態において前記横搬送部の上下揺動が可能であり、かつ、前記排出口が前記横外前領域に位置する状態において前記排出作業が可能であるコンバイン。」 3 当審における拒絶の理由 当審において通知した令和5年10月13日付け拒絶理由の理由1は、次のとおりのものである。 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献1を主引用例とする場合> ・請求項1~4、6、8、9 ・引用文献1~3 ・請求項5 ・引用文献1~4 ・請求項7 ・引用文献1~3、5 <引用文献2を主引用例とする場合> ・請求項1、2、6、9 ・引用文献2、3 ・請求項3、4、8 ・引用文献2、1、3 ・請求項5 ・引用文献2~4 ・請求項7 ・引用文献2、3、5 <引用文献> 1.特開2006-271269号公報 2.特開2011-223936号公報 3.特開2007-330139号公報 4.特開平5-15246号公報 5.実願昭62-27720号(実開昭63-134644号)のマイクロフィルム 4 引用文献の記載及び引用発明等 (1)引用文献1 ア 引用文献1には、次の記載がある(下線は当審が付した。以下同様。)。 (ア)「【0030】 以下、本発明の穀粒排出用オーガの無線式操作装置を図面に基づいて説明する。図1は、コンバイン本体Vの側面図である。図1に示すように、コンバイン本体Vは、エンジンEの動力により駆動される左右一対のクローラ走行装置1を備え、穀桿を刈取る刈取部3が機体の前部に横軸芯周りに揺動操作自在な状態で付設され、刈取穀稈を脱穀・選別する脱穀部4、脱穀部4にて選別回収された穀粒を貯留する穀粒タンク5、及び穀粒タンク5に貯留された穀粒を機外に排出するための穀粒排出用オーガ(以下、オーガという)9、作業者が搭乗して運転操作を行う操縦部2等を備えている。」 (イ)「【0037】 次に、穀粒タンク5に貯留された穀粒を機外に排出する構成について説明する。 図1に示すように、穀粒タンク5の底部に前後方向に沿う状態で底部スクリューコンベア7が設けられ、その底部スクリューコンベア7の搬送終端部から上方に向けてベベルギア連動される状態で縦送りスクリューコンベア8が延設され、この縦送りスクリューコンベア8の上部には、ベベルギア連動される状態で穀粒排出用オーガ9が、横軸芯P1周りに揺動操作自在で、且つ、縦軸芯P2周りに旋回操作自在に装備されている。 【0038】 底部スクリューコンベア7の搬送始端部には、機体右前部に設けたエンジンEから底部スクリューコンベア7への動力伝達を断続するベルトテンション式の排出クラッチ13の出力プーリ13Aが装着されている。さらに、縦送りスクリューコンベア8は、底部スクリューコンベア7にベベルギアを介して連動連結された縦コンベアスクリュー8Aと、それを覆うとともに穀粒タンク5に連通接続された円筒ケース8Bとからなる。 【0039】 前記排出クラッチ13を入り状態と切り状態とに切り換え操作するためのクラッチ操作用の電動モータ(排出状態切り換え用アクチュエータの一例)M2が備えられ、このクラッチ操作用の電動モータ(以下、クラッチモータと略称する)M2を正転方向に駆動することで排出クラッチ13が入り状態に切り換えられ、クラッチモータM2を逆転方向に駆動することで排出クラッチ13が切り状態に切り換えられる構成となっている。 この排出クラッチ13を入り状態に切り換えると、底部スクリューコンベア7、縦スクリューコンベア8及びオーガ9が、排出クラッチ13を介して伝達されるエンジンEの動力で駆動されて、穀粒タンク5に貯留された穀粒がオーガ9の先端部の穀粒排出口10から排出される構成となっている。」 (ウ)「【0043】 次に、オーガ9の昇降操作の駆動手段について説明すると、図3に示すように、オーガ9の基端部と、回動ケース6との間に、昇降用油圧シリンダ(昇降用アクチュエータ及び排出位置変更用手段の一例)15が設けられ、この昇降用油圧シリンダ15を伸長させるに伴ってオーガ9が横軸芯P1周りで上昇操作され、かつ、昇降用油圧シリンダ15を短縮させるに伴ってオーガ9が横軸芯P1周りで下降操作されるように構成されている。尚、オーガ9が昇降操作範囲の上限位置にあるときにオン作動する上限スイッチ14が設けられている。」 (エ)「【0044】 図4に示すように、図中の仮想線で示したオーガ9は、オーガ9が左限界位置LE及び右限界位置REまで旋回操作された場合のオーガ9の旋回位置を示したものである。このように、オーガ9は予め旋回可能範囲が設定され、上記旋回位置検出センサRyの検出情報に基づいて、オーガ9がその旋回可能範囲の左限界位置LE及び右限界位置REに達したときには、自動的にオーガ9の旋回を停止するように、旋回モータM3が制御される構成となっている。なお、刈取走行時などオーガ9を使用しない場合は、オーガ9格納用の旋回位置HPに位置した状態でオーガ9を下降させて格納用保持具としての受止具32(図1参照)に受け止めさせて、オーガ9を格納することになる。 【0045】 図4の斜線で示した領域は、穀粒排出用オーガ9を横軸芯P1周りに揺動操作及び縦軸芯P2周りに旋回操作した場合に、オーガ9の先端部に下向きに開口する状態で設けた穀粒排出口10が位置する範囲を平面視にて示したものである。つまり、図4の斜線で示した領域は、コンバイン本体Vが同図に示す位置にある場合に、穀粒の排出位置として設定可能な領域を示すものである。」 (オ)「【0053】 ちなみに、自動旋回開始指令S5は、オーガ9を、目標旋回位置から格納位置HPへ、或いは、格納位置HPから目標旋回位置へ旋回移動させる指令である。なお、目標旋回位置は、コンバイン本体Vに備えた前述の目標旋回位置設定ボリューム19により設定される。」 (カ)「【0102】 制御装置Hは、無線リモコン42が備える各指令スイッチ42~53により指令されるオーガ9に対する操作指令並びに本体Vに対する走行指令及び走行停止指令(以下、操作指令等という場合がある。)に基づいて、各操作指令等に対応するオーガ操作や走行作動を実行するべく、夫々の指令に対応するアクチュエータの作動を制御する。 【0103】 上昇スイッチ43がオン操作されて上昇指令S1が指令されている間は(ステップ#6)、昇降用油圧シリンダ15によるオーガ9の上昇操作を実行し(ステップ#19)、上昇スイッチ43がオフ操作されて上昇指令S1が指令されなくなると昇降用油圧シリンダ15による上昇操作を停止させる(ステップ#26)。 【0104】 下降スイッチ44がオン操作されて下降指令S2が指令されている間は(ステップ#7)、昇降用油圧シリンダ15によるオーガ9の下降操作を実行し(ステップ#20)、下降スイッチ44がオフ操作されて下降指令S2が指令されなくなると昇降用油圧シリンダ15による下降操作を停止させる(ステップ#26)。 【0105】 左旋回スイッチ45がオン操作されて左旋回指令S3が指令されている間は(ステップ#8)、旋回モータM3によるオーガの左旋回操作を実行し(ステップ#21)、左旋回スイッチ45がオフ操作されて左旋回指令S3が指令されなくなると旋回モータM3による左旋回操作を停止させる(ステップ#26)。 【0106】 右旋回スイッチ46がオン操作されて右旋回指令S4が指令されている間は(ステップ#9)、旋回モータM3によるオーガの右旋回操作を実行し(ステップ#22)、右旋回スイッチ46がオフ操作されて右旋回指令S4が指令されなくなると旋回モータM3による右旋回操作を停止させる(ステップ#26)。」 (キ)「【0116】 自動旋回スイッチ47、旋回停止スイッチ48、排出開始スイッチ49、排出停止スイッチ50により操作指令が指令される場合は、これらの各スイッチはトリガスイッチとして機能する。 【0117】 つまり、図10に示すように、自動スイッチ47がオン操作されて自動旋回開始指令S5が指令されると(ステップ#3)、旋回モータM3の正転或いは逆転駆動が開始され、オーガ9の目標位置(又は格納位置HP)への旋回操作が開始される(ステップ#13)。オーガ9の目標位置(又は格納位置HP)まの旋回が完了したことが検出されると(ステップ#29)、旋回モータM3の駆動が停止され(ステップ#37)、オーガ9の旋回操作が停止される。 ・・・」 (ク)「【0119】 図9に示すように、排出開始スイッチ49がオン操作されて排出開始指令S7が指令されると(ステップ#2)、クラッチモータM2の正転駆動が開始され、排出クラッチ13の入り状態への切り換え操作が開始される。排出クラッチ13が入り状態へ切り換えられると、オーガ9が穀粒排出状態に切り換えられる(ステップ#11)。 【0120】 排出停止スイッチ50がオン操作されて排出停止指令S8が指令されると(ステップ#4)、クラッチモータM2の逆転駆動が開始され、排出クラッチ13の切り状態への切り換え操作が開始される。排出クラッチ13が切り状態へ切り換えられると、オーガ9が排出停止状態に切り換えられる(ステップ#15)。なお、制御装置Hは、排出クラッチ13が入り状態及び切り状態となるときの排出クラッチ13の変位を検出する切換え位置検出スイッチの検出信号に基づいて、排出クラッチの切換えが完了したことを検出して、クラッチモータM2の駆動を停止するようにしている。」 (ケ)「【図面の簡単な説明】 【0141】 【図1】コンバイン本体の全体側面図 ・・・ 【図4】オーガの昇降旋回操作による穀粒排出口の移動軌跡の平面図 ・・・」 (コ)図1はコンバイン本体の全体側面図であり、次のとおりである。 [図:0001409596000001.jpg] (サ)上記(ア)の【0030】の「穀桿を刈取る刈取部3が機体の前部に横軸芯周りに揺動操作自在な状態で付設され」との記載及び上記(イ)の【0037】の「穀粒タンク5の底部に前後方向に沿う状態で底部スクリューコンベア7が設けられ」との記載を踏まえ、図1より、図1において右が前方向、左が後方向であるといえる。 (シ)上記(イ)の【0038】の記載及び上記(サ)を踏まえ、図1より、円筒ケース8Bが穀粒タンク5の後下部に連通接続されることが看取される。 (ス)上記(ア)の【0030】の記載及び上記(サ)を踏まえ、図1より、操縦部2が刈取部3の後方に設けられ、穀粒タンク5が操縦部2の後方に設けられていることが看取される。 (セ)図4はオーガの昇降旋回操作による穀粒排出口の移動軌跡の平面図であり、次のとおりである。 [図:0001409596000002.jpg] (ソ)上記(エ)の【0044】の「図4に示すように、図中の仮想線で示したオーガ9は、オーガ9が左限界位置LE及び右限界位置REまで旋回操作された場合のオーガ9の旋回位置を示したものである。」との記載、及び、【0045】の記載を踏まえ、図4より、オーガ9が左限界位置LEから右限界位置REまで旋回操作された場合に、オーガ9の先端部に下向きに開口する状態で設けた穀粒排出口10が位置する領域を、穀粒の排出位置として設定可能であること、及び、オーガ9が旋回して機体外側に張り出し可能であることが看取される。 (タ)上記(ス)を踏まえ、図1とともに図4より、図4において右が前方向、左が後方向であるといえる。 また、図4より、左限界位置LE及び右限界位置REがコンバイン本体Vの左後方に位置し、格納位置HPがコンバイン本体Vの左前方に位置し、操縦席2が格納位置HPの右方に位置することが看取される。 イ 引用文献1に記載された発明 上記アを総合すると引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。(なお、関連する段落または上記ア中の項目を括弧書きで付した。以下同様。) なお、上記(キ)の【0117】の「オーガ9の目標位置(又は格納位置HP)まの旋回が完了したことが検出されると」との記載は、「オーガ9の目標位置(又は格納位置HP)までの旋回が完了したことが検出されると」の誤記であることが明らかであることを踏まえ、引用発明1を認定した。 (引用発明1) 「穀桿を刈取る刈取部3が機体の前部に横軸芯周りに揺動操作自在な状態で付設され、刈取穀稈を脱穀・選別する脱穀部4、脱穀部4にて選別回収された穀粒を貯留する穀粒タンク5、及び穀粒タンク5に貯留された穀粒を機外に排出するためのオーガ9、作業者が搭乗して運転操作を行う操縦部2等を備え、(【0030】) 操縦部2が刈取部3の後方に設けられ、穀粒タンク5が操縦部2の後方に設けられており、(上記(ス)) 穀粒タンク5の底部に前後方向に沿う状態で底部スクリューコンベア7が設けられ、その底部スクリューコンベア7の搬送終端部から上方に向けてベベルギア連動される状態で縦送りスクリューコンベア8が延設され、この縦送りスクリューコンベア8の上部には、ベベルギア連動される状態でオーガ9が、横軸芯P1周りに揺動操作自在で、且つ、縦軸芯P2周りに旋回操作自在に装備されており、(【0037】) 円筒ケース8Bが穀粒タンク5の後下部に連通接続され、(上記(シ)) 排出クラッチ13を入り状態と切り状態とに切り換え操作するためのクラッチ操作用の電動モータM2が備えられ、排出クラッチ13を入り状態に切り換えると、底部スクリューコンベア7、縦スクリューコンベア8及びオーガ9が、排出クラッチ13を介して伝達されるエンジンEの動力で駆動されて、穀粒タンク5に貯留された穀粒がオーガ9の先端部の穀粒排出口10から排出され、(【0039】) 刈取走行時などオーガ9を使用しない場合は、オーガ9格納用の旋回位置HPに位置した状態でオーガ9を下降させて格納用保持具としての受止具32に受け止めさせて、オーガ9を格納し、(【0044】) オーガ9が旋回して機体外側に張り出し可能であり、(上記(ソ)) 制御装置Hは、無線リモコン42が備える各指令スイッチ42~53により指令されるオーガ9に対する操作指令並びに本体Vに対する操作指令等に基づいて、各操作指令等に対応するオーガ操作や走行作動を実行するべく、夫々の指令に対応するアクチュエータの作動を制御し、(【0102】) 上昇スイッチ43がオン操作されて上昇指令S1が指令されている間は、昇降用油圧シリンダ15によるオーガ9の上昇操作を実行し、上昇スイッチ43がオフ操作されて上昇指令S1が指令されなくなると昇降用油圧シリンダ15による上昇操作を停止させ、(【0103】) 下降スイッチ44がオン操作されて下降指令S2が指令されている間は、昇降用油圧シリンダ15によるオーガ9の下降操作を実行し、下降スイッチ44がオフ操作されて下降指令S2が指令されなくなると昇降用油圧シリンダ15による下降操作を停止させ、(【0104】) 左旋回スイッチ45がオン操作されて左旋回指令S3が指令されている間は、旋回モータM3によるオーガの左旋回操作を実行し、左旋回スイッチ45がオフ操作されて左旋回指令S3が指令されなくなると旋回モータM3による左旋回操作を停止させ、(【0105】) 右旋回スイッチ46がオン操作されて右旋回指令S4が指令されている間は、旋回モータM3によるオーガの右旋回操作を実行し、右旋回スイッチ46がオフ操作されて右旋回指令S4が指令されなくなると旋回モータM3による右旋回操作を停止させ、(【0106】) 自動旋回スイッチ47、旋回停止スイッチ48、排出開始スイッチ49、排出停止スイッチ50により操作指令が指令される場合は、これらの各スイッチはトリガスイッチとして機能し、(【0116】) 自動スイッチ47がオン操作されて自動旋回開始指令S5が指令されると、旋回モータM3の正転或いは逆転駆動が開始され、オーガ9の目標位置(又は格納位置HP)への旋回操作が開始され、オーガ9の目標位置(又は格納位置HP)までの旋回が完了したことが検出されると、旋回モータM3の駆動が停止され、オーガ9の旋回操作が停止され、(【0117】) オーガ9が左限界位置LEから右限界位置REまで旋回操作された場合に、オーガ9の先端部に下向きに開口する状態で設けた穀粒排出口10が位置する領域を、穀粒の排出位置として設定可能であり、(上記(ソ)) 左限界位置LE及び右限界位置REがコンバイン本体Vの後方に位置し、格納位置HPがコンバイン本体Vの左前方に位置し、操縦席2が格納位置HPの右方に位置し、(上記(タ)) 自動旋回開始指令S5は、オーガ9を、目標旋回位置から格納位置HPへ、或いは、格納位置HPから目標旋回位置へ旋回移動させる指令であり、目標旋回位置は、コンバイン本体Vに備えた目標旋回位置設定ボリューム19により設定され、(【0053】) 排出開始スイッチ49がオン操作されて排出開始指令S7が指令されると、クラッチモータM2の正転駆動が開始され、排出クラッチ13の入り状態への切り換え操作が開始され、排出クラッチ13が入り状態へ切り換えられると、オーガ9が穀粒排出状態に切り換えられ(【0119】)、排出停止スイッチ50がオン操作されて排出停止指令S8が指令されると、クラッチモータM2の逆転駆動が開始され、排出クラッチ13の切り状態への切り換え操作が開始され、排出クラッチ13が切り状態へ切り換えられると、オーガ9が排出停止状態に切り換えられ、(【0120】) オーガ9が昇降操作範囲の上限位置にあるときにオン作動する上限スイッチ14が設けられた、(【0043】) コンバイン。」 (2)引用文献2 ア 引用文献2には、次の記載がある。 (ア)「【0019】 コンバイン1は、図1及び図2に示すように、機体フレーム10に対して、走行部2と、刈取部3と、脱穀部4と、選別部5と、穀粒貯溜部6と、排藁処理部7と、エンジン部8と、運転部9等とから構成される。」 (イ)「【0022】 脱穀部4は、機体フレーム10の左側前部であって、刈取部3の後方に設けられる。脱穀部4は、フィードチェン16と、図示せぬ扱胴等とから構成される。脱穀部4は、刈取部3から搬送される穀稈を受け継いで、フィードチェン16により排藁処理部7側へ搬送し、搬送中の穀稈を前記扱胴等により脱穀し、その脱穀処理物を選別部5へ落下させるように構成される。」 (ウ)「【0027】 運転部9は、機体フレーム10の右側前部であって、刈取部3の搬送装置15の右側方に設けられる。運転部9は、キャビン18と、座席19と、ハンドル20と、操作ペダルや操作レバー等の操作具類と、操作パネル等とから構成される。運転部9は、キャビン18により座席19やハンドル20等が覆われるように構成される。」 (エ)「【0029】 次に、穀粒貯溜部6のグレンタンク17及び穀粒排出装置30の構成について、図1から図4を用いてさらに詳細に説明する。 【0030】 グレンタンク17は、選別部5による選別後の穀粒を貯溜するものである。グレンタンク17は、図1及び図2に示すように、機体フレーム10上に設けられる。グレンタンク17は、脱穀部4及び選別部5の右側方であって、運転部9の後方に配置される。グレンタンク17は、その後部が穀粒排出装置30の一部(排出オーガ32の縦排出オーガ筒34)に回動可能に支持されて、グレンタンク17の前部が脱穀部4及び選別部5に対して近接又は離間する左右方向へ移動するように構成される。 【0031】 穀粒排出装置30は、グレンタンク17に貯溜される穀粒を機体の外部へ排出するものである。穀粒排出装置30は、図1及び図2に示すように、排出コンベア31と、排出オーガ32とを備える。 【0032】 排出コンベア31は、図2に示すように、スクリューコンベアで構成され、長手方向を前後方向としてグレンタンク17内の底部に配置される。排出コンベア31は、エンジン8aに伝動機構を介して接続される。そして、排出コンベア31は、エンジン8aの動力により回転して、グレンタンク17内の底部で穀粒を後部へ搬送するように構成される。エンジン8aから排出コンベア31までの動力伝達経路上には、ベルトテンションクラッチ等のオーガクラッチ33(図5参照)が配設される。オーガクラッチ33は、入り切り操作されることにより、エンジン8aの動力が排出コンベア31へ伝達又は遮断されるように構成される。 【0033】 排出オーガ32は、図3及び図4に示すように、縦排出オーガと、横排出オーガと、旋回用アクチュエータ35と、昇降用アクチュエータ37と、穀粒排出筒体40と、筒体回動アクチュエータ41とを備える。排出オーガ32は、使用時には、横排出オーガの横排出オーガ筒36がグレンタンク17や脱穀部4等の上方を移動可能に構成される。横排出オーガ筒36は、図1及び図2に示すように、不使用時には脱穀部4の前上部付近に設けられたオーガレスト21に載置される。 【0034】 縦排出オーガは、機体上下方向に延在して、グレンタンク17からの穀粒を揚送するものである。縦排出オーガは、縦排出オーガ筒34と、縦排出コンベア38とを備える。 【0035】 縦排出オーガ筒34は、図1及び図3に示すように、細長い中空筒状の部材である。縦排出オーガ筒34は、グレンタンク17の後方で長手方向を上下方向として垂直方向(縦方向)に立設される。縦排出オーガ筒34の下端部は、排出コンベア31の後端と連通するように接続される。縦排出オーガ筒34の上端部は、横排出オーガ筒36の基端部と連通するように接続される。縦排出オーガ筒34は、機体フレーム10に対して左右方向(水平方向)へ回動可能に構成される。」 (オ)「【0037】 横排出オーガは、その基端部で縦排出オーガの上部に昇降かつ旋回可能に支持されて、縦排出オーガからの穀粒を搬送し、その先端部から外部に排出するものである。横排出オーガは、横排出オーガ筒36と、横排出コンベア39とを備える。 【0038】 横排出オーガ筒36は、図1から図3に示すように、細長い中空筒状の部材である。横排出オーガ筒36は、縦排出オーガ筒34の上端部から水平方向へ延設される。横排出オーガ筒36の基端部は、縦排出オーガ筒34の上端部に上下方向へ回動可能に支持される。図4に示すように、横排出オーガ筒36の先端部には、投出口体47が固設される。投出口体47は、四角筒を略L形に折り曲げた形状に形成されている。投出口体47は、開口された一側が横排出オーガ筒36の先端部と連通するように接続され、且つ開口された他側が下方を臨むように配置される。横排出オーガ筒36の先端部から排出された穀粒は、投出口体47の前記開口された他側を通じて外部へ排出される。投出口体47には、穀粒排出筒体40が取り付けられる。」 (カ)「【0051】 本機側操作装置70は、排出オーガ32を、有線通信を用いて操作するための部材である。本機側操作装置70は、運転部9に設けられた支持ホルダに着脱可能に支持される。本機側操作装置70は、排出オーガ32の操作に関する操作手段としての各種ボタンを備える。なお、本機側操作装置70と同等の機能を有する操作装置を、排出オーガ32の穀粒排出口近傍に設けることも可能である。 【0052】 前記各種ボタンは、自動右セットボタン(「右」表示ボタン)70aと、自動後セットボタン(「後」表示ボタン)70bと、自動リターンボタン(「前」表示ボタン)70cと、オーガクラッチボタン(「クラッチ」表示ボタン)70dと、オーガ上昇ボタン(「上」表示ボタン)70eと、オーガ下降ボタン(「下」表示ボタン)70fと、オーガ左旋回ボタン(「左」表示ボタン)70gと、オーガ右旋回ボタン(「右」表示ボタン)70hと、筒体前回動ボタン(「リターン」表示ボタン)70iと、筒体後回動ボタン(「セット」表示ボタン)70jとからなる。 【0053】 自動右セットボタン70aは、排出オーガ32を予め設定された使用時の所定位置へ自動的に移動(昇降及び旋回)させるためのものである。横排出オーガ(以下、単に排出オーガ32という。)がオーガレスト21に載置されている状態で、自動右セットボタン70aが押し操作されると、制御手段60が旋回用アクチュエータ35及び昇降用アクチュエータ37を受信した操作信号に基づいて駆動させる。その結果、排出オーガ32は、昇降及び旋回して、穀粒排出筒体40(穀粒排出口)が機体右側方に位置するように所定位置に自動的に移動する。 【0054】 自動後セットボタン70bは、排出オーガ32を予め設定された使用時の所定位置へ自動的に移動(昇降及び旋回)させるためのものである。横排出オーガ筒36がオーガレスト21に載置されている状態で、自動後セットボタン70bが押し操作されると、制御手段60が旋回用アクチュエータ35及び昇降用アクチュエータ37を受信した操作信号に基づいて駆動させる。その結果、排出オーガ32は、昇降及び旋回して、穀粒排出筒体40(穀粒排出口)が機体後方に位置するように所定位置に自動的に移動する。 【0055】 自動リターンボタン70cは、排出オーガ32を予め設定された非使用時の収納位置(オーガレスト21に載置される位置)へ自動的に移動(昇降及び旋回)させるためのものである。自動リターンボタン70cが押し操作されると、制御手段60が旋回用アクチュエータ35及び昇降用アクチュエータ37を受信した操作信号に基づいて駆動させる。その結果、排出オーガ32は、昇降及び旋回して、非使用時の収納位置に自動的に移動する。 【0056】 なお、オーガレスト21には、横排出オーガ筒36が載置されているか否かを検出するオーガレストセットセンサ57が配置される。そして、オーガレストセットセンサ57は制御手段60と接続される。 【0057】 オーガクラッチボタン70dは、オーガクラッチ33を入り切りさせるためのものである。オーガクラッチボタン70dが押し操作されている間、制御手段60はオーガクラッチ33を「入」にする。オーガクラッチボタン70dの押し操作が解除されると、制御手段60はオーガクラッチ33を「切」にする。その結果、排出オーガ32は、オーガクラッチボタン70dが押し操作されているときだけ、穀粒を外部に排出する。 【0058】 オーガ上昇ボタン70e、オーガ下降ボタン70fは、それぞれ排出オーガ32を上昇、下降させるためのものである。オーガ上昇ボタン70e又はオーガ下降ボタン70fが押し操作されている間、制御手段60は昇降用アクチュエータ37を受信した操作信号に基づいて駆動させる。オーガ上昇ボタン70e又はオーガ下降ボタン70fの押し操作が解除されると、制御手段60は昇降用アクチュエータ37を停止させる。その結果、排出オーガ32は、オーガ上昇ボタン70e又はオーガ下降ボタン70fが押し操作されているときは、その押し操作に対応して上昇又は下降し、押し操作されていないときは、昇降せずに停止する。 【0059】 オーガ左旋回ボタン70g、オーガ右旋回ボタン70hは、それぞれ排出オーガ32を左旋回、右旋回させるためのものである。オーガ左旋回ボタン70g又はオーガ右旋回ボタン70hが押し操作されている間、制御手段60は旋回用アクチュエータ35を受信した操作信号に基づいて駆動させる。オーガ左旋回ボタン70g又はオーガ右旋回ボタン70hの押し操作が解除されると、制御手段60は旋回用アクチュエータ35を停止させる。その結果、排出オーガ32は、オーガ左旋回ボタン70g又はオーガ右旋回ボタン70hが押し操作されているときは、その押し操作に対応して左旋回又は右旋回し、押し操作されていないときは、旋回せずに停止する。」 (キ)図2はコンバインの全体的な構成を示した平面図であり、次のとおりである。 [図:0001409596000003.jpg] (ク)図6はコンバインの本機側操作装置の構成を示した正面図であり、次のとおりである。 [図:0001409596000004.jpg] (ケ)上記(キ)の図2から、オーガレスト21がコンバイン1の左前方に位置し、運転部9がオーガレスト21の右方に位置することが看取できる。 (コ)上記(カ)の段落【0053】~【0054】の「横排出オーガ(以下、単に排出オーガ32という。)がオーガレスト21に載置されている状態で、自動右セットボタン70aが押し操作されると・・・排出オーガ32は、昇降及び旋回して、穀粒排出筒体40(穀粒排出口)が機体右側方に位置するように所定位置に自動的に移動する」との記載、及び、「横排出オーガ筒36がオーガレスト21に載置されている状態で、自動後セットボタン70bが押し操作されると、・・・排出オーガ32は、昇降及び旋回して、穀粒排出筒体40(穀粒排出口)が機体後方に位置するように所定位置に自動的に移動する。」との記載を踏まえると、上記(ク)の図6の本機側操作装置の上部領域に示されたコンバインの平面図、弧状の矢印から、排出オーガ32の旋回範囲は、少なくとも機体右側方の位置から機体後方の位置までであること、自動後セットボタン70bに対応する機体後方の位置は、機体の真後ろの位置であること、及び、排出オーガ32オーガ9が旋回して機体外側に張り出し可能であることが看取できる。 イ 上記アを総合すると引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 (引用発明2) 「機体フレーム10に対して、刈取部3と、脱穀部4と、穀粒貯溜部6と、運転部9とから構成されるコンバイン1であって、(【0019】) 脱穀部4は、刈取部3から搬送される穀稈を受け継いで、脱穀し、その脱穀処理物を選別部5へ落下させ、(【0022】) 運転部9は、機体フレーム10の右側前部に設けられ、(【0027】) 穀粒貯溜部6のグレンタンク17は、選別部5による選別後の穀粒を貯溜するものであり、運転部9の後方に配置され、(【0029】、【0030】) 穀粒貯溜部6の穀粒排出装置30は、排出コンベア31と、排出オーガ32とを備え、(【0029】、【0031】) 排出コンベア31は、グレンタンク17内の底部に配置され、(【0032】) 排出オーガ32は、縦排出オーガと、横排出オーガと、を備え、(【0033】) 縦排出オーガは、縦排出オーガ筒34と、縦排出コンベア38とを備え、(【0034】) 縦排出オーガ筒34は、グレンタンク17の後方で長手方向を上下方向として垂直方向(縦方向)に立設され、縦排出オーガ筒34の下端部は、排出コンベア31の後端と連通するように接続され、(【0035】) 横排出オーガは、その基端部で縦排出オーガの上部に昇降かつ旋回可能に支持され、横排出オーガ筒36と、横排出コンベア39とを備え、(【0037】) 横排出オーガ筒36の基端部は、縦排出オーガ筒34の上端部に上下方向へ回動可能に支持され、横排出オーガ筒36の先端部には、投出口体47が固設され、横排出オーガ筒36の先端部から排出された穀粒は、投出口体47を通じて外部へ排出され、(【0038】) 本機側操作装置70は、排出オーガ32を、有線通信を用いて操作するための部材であり、排出オーガ32の操作に関する操作手段としての各種ボタンを備え、(【0051】) 排出オーガ32がオーガレスト21に載置されている状態で、自動右セットボタン70aが押し操作されると、制御手段60が旋回用アクチュエータ35及び昇降用アクチュエータ37を受信した操作信号に基づいて駆動させ、排出オーガ32は、昇降及び旋回して、穀粒排出口が機体右側方に位置するように所定位置に自動的に移動し、(【0053】) 横排出オーガ筒36がオーガレスト21に載置されている状態で、自動後セットボタン70bが押し操作されると、制御手段60が旋回用アクチュエータ35及び昇降用アクチュエータ37を受信した操作信号に基づいて駆動させ、排出オーガ32は、昇降及び旋回して、穀粒排出口が機体後方に位置するように所定位置に自動的に移動し、(【0054】) 排出オーガ32を予め設定された非使用時の収納位置(オーガレスト21に載置される位置)へ自動的に移動(昇降及び旋回)させるためのものである自動リターンボタン70cが押し操作されると、排出オーガ32は、昇降及び旋回して、非使用時の収納位置に自動的に移動し、(【0055】) 排出オーガ32は、オーガ左旋回ボタン70g又はオーガ右旋回ボタン70hが押し操作されているときは、その押し操作に対応して左旋回又は右旋回し、押し操作されていないときは、旋回せずに停止し、(【0059】) オーガ上昇ボタン70e又はオーガ下降ボタン70fが押し操作されている間、制御手段60は昇降用アクチュエータ37を受信した操作信号に基づいて駆動させ、オーガ上昇ボタン70e又はオーガ下降ボタン70fの押し操作が解除されると、制御手段60は昇降用アクチュエータ37を停止させ、その結果、排出オーガ32は、オーガ上昇ボタン70e又はオーガ下降ボタン70fが押し操作されているときは、その押し操作に対応して上昇又は下降し、押し操作されていないときは、昇降せずに停止し、(【0058】) 排出オーガ32は、オーガクラッチボタン70dが押し操作されているときだけ、穀粒を外部に排出し、(【0057】) オーガレスト21がコンバイン1の左前方に位置し、運転部9がオーガレスト21の右方に位置し、(上記(ケ)) 排出オーガ32の旋回範囲は、少なくとも機体右側方の位置から機体後方の位置までであり、(上記(コ)) 自動後セットボタン70bに対応する機体後方の位置は、機体の真後ろの位置であり、(上記(コ)) 排出オーガ32が旋回して機体外側に張り出し可能である、(上記(コ)) コンバイン1。」 (3)引用文献3 ア 引用文献3には、次の記載がある。 (ア)「【0001】 本発明は、穀粒タンクから穀粒を排出する排出オーガを備えると共に、該排出オーガを電動モータなどで旋回動作させるコンバインに関し、特に、排出オーガの旋回位置及び/又は旋回範囲を検出しつつ、排出オーガの旋回動作を制御するコンバインに関する。」 (イ)「【0017】 図11に示すように、「オーガ自動制御」では、まず、オーガ位置スイッチSW1がONであるか否かを判断し(S401)、該判断結果がYESの場合は、オーガ自動フラグに”2”をセットし(S402)、「オーガ自動旋回制御」を実行する一方(S403)、判断結果がNOの場合は、オーガ自動フラグに”1”をセットし(S404)、「オーガ自動収納制御」を実行する(S405)。つまり、オーガ位置スイッチSW1がONのときは、排出オーガ5が格納位置にあるので、排出オーガ5を真後位置まで自動的に旋回動作させる「オーガ自動旋回制御」を行い、オーガ位置スイッチSW1がOFFのときは、排出オーガ5が排出位置にあるので、排出オーガ5を格納位置まで自動的に旋回動作させる「オーガ自動収納制御」を行うようになっている。」 (ウ)「【0019】 図13に示すように、「オーガ自動旋回制御」では、まず、上限スイッチ22がONであるか否かを判断し(S601)、該判断結果がNOの場合は、オーガ上昇出力を行い(S602)、排出オーガ5を上昇動作させる。一方、上限スイッチ22がONの場合は、オーガ位置スイッチSW3のONを判断し(S603)、該判断結果がNOの場合は、オーガ右旋回出力を行う(S604)。そして、オーガ位置スイッチSW3がONになったら、オーガ自動フラグをリセットし(S605)、「オーガ自動旋回制御」を終了させる。」 (エ)「【図面の簡単な説明】 【0023】 ・・・ 【図13】オーガ自動旋回制御のフローチャートである。 ・・・」 (オ)図13はオーガ自動旋回制御のフローチャートであり、次のとおりである。 [図:0001409596000005.jpg] イ 上記アを総合すると引用文献3には次の技術事項(以下、「引用技術事項3」という。)が記載されていると認められる。 (引用技術事項3) 「コンバインにおいて、 排出オーガ5を真後位置まで自動的に旋回動作させるオーガ自動旋回制御では、まず、上限スイッチ22がONであるか否かを判断し、該判断結果がNOの場合は、オーガ上昇出力を行い、排出オーガ5を上昇動作させ、一方、上限スイッチ22がONの場合は、オーガ位置スイッチSW3のONを判断し、該判断結果がNOの場合は、オーガ右旋回出力を行い、オーガ位置スイッチSW3がONになったら、オーガ自動フラグをリセットし、オーガ自動旋回制御を終了させること。」 5 対比・判断 (1)引用文献2を主引用例とする場合 ア 対比 本願発明1と引用発明2とを対比する。 (ア)引用発明2の「機体フレーム10の右側前部に設けられ」る「運転部9」は、本願発明1の「走行機体の前部に設けられた運転部」に相当する。 (イ)引用発明2の「刈取部3から搬送される穀稈を受け継いで、脱穀」する「収穫部4」は、本願発明1の「収穫部によって収穫された収穫物を脱穀処理する脱穀装置」に相当する。 (ウ)引用発明2の「運転部9の後方に配置され、」「脱穀部4」が「脱穀処理物を選別部5へ落下させ」「選別部5による選別後の穀粒を貯溜する」「グレンタンク17」は、本願発明1の「前記運転部の後方に設けられ、前記脱穀装置によって得られた穀粒を貯留する穀粒タンク」に相当する。 (エ)引用発明2の「縦排出オーガ筒34」の「下端部」が「グレンタンク17内の底部に配置され」た「排出コンベア31の後端と連通するように接続され」ることは、本願発明1の「縦搬送部」が「前記穀粒タンクの後下部に接続され」ることに相当する。また、引用発明2の「縦排出オーガ筒34は、グレンタンク17の後方で長手方向を上下方向として垂直方向(縦方向)に立設され」ることは、本願発明1の「縦搬送部」が「上下方向に沿って上方に向けて延びる」ことに相当する。よって、引用発明2の「縦排出オーガ筒34」は、本願発明1の「縦搬送部」に相当する。 (オ)引用発明2の「横排出オーガ筒36の先端部には、投出口体47が固設され」ることは、本願発明1の「横搬送部」の「先端部に排出口が設けられる」ことに相当する。また、引用発明2の「横排出オーガ筒36の基端部は、縦排出オーガ筒34の上端部に上下方向へ回動可能に支持され」ることは、本願発明1の「横搬送部」が「前記縦搬送部の上端部に上下揺動可能に接続され」ることに相当する。さらに、引用発明2の「排出オーガ32がオーガレスト21に載置されている状態」から「排出オーガ32は、昇降及び旋回して、穀粒排出口が機体右側方に位置するように所定位置に自動的に移動」し「排出オーガ32が旋回して機体外側に張り出し可能」であることは、本願発明1の「機体内側に収納された状態で支持部材に支持されたホーム状態から旋回して機体外側に張り出し可能に構成され」ることに相当する。よって、引用発明2の「横排出オーガ筒36」は、本願発明1の「横搬送部」に相当する。 (カ)引用発明2において「穀粒は、投出口体47を通じて外部へ排出され」ることは、本願発明1の「前記排出口から前記穀粒タンクに貯留された穀粒を機外に排出する排出作業が可能」であることに相当するから、上記(エ)及び(オ)も踏まえると、引用発明2の「縦排出オーガ筒34」及び「横排出オーガ筒36」からなるものは、本願発明1の「穀粒搬出装置」に相当する。 (キ)引用発明2の「押し操作されているときは、その押し操作に対応して」「排出オーガ32」を「左旋回又は右旋回し、押し操作されていないときは、旋回せずに停止する」「オーガ左旋回ボタン70g又はオーガ右旋回ボタン70h」は、本願発明1の「前記横搬送部の任意位置への移動を指示する手動操作具」に相当する。 (ク)引用発明2の「押し操作されると」、「排出オーガ32は、昇降及び旋回して、穀粒排出口が機体右側方に位置するように所定位置に自動的に移動」する「自動右セットボタン70a」及び、「押し操作されると」、「排出オーガ32は、昇降及び旋回して、穀粒排出口が機体後方に位置するように所定位置に自動的に移動」する「自動後セットボタン70b」は、本願発明1の「前記横搬送部の特定位置への移動を指示する自動操作具」に相当する。 (ケ)引用発明2において、「排出オーガ32の旋回範囲は、少なくとも機体右側方の位置から機体後方の位置まで」であることから、旋回範囲にはコンバイン1に対して右前方の領域が含まれており、本願発明1と引用発明2とは、「横搬送部の旋回範囲に、機体左右方向において運転部の横外端部よりも機体外側かつ機体前後方向において穀粒タンクの前端部よりも前側の横外前領域が含まれて」いる点において一致している。 (コ)引用発明2の「機体右側方」及び「機体後方」は、いずれも本願発明1の「前記ホーム状態から前記特定位置への前記横搬送部の旋回量が前記ホーム状態から前記横外前領域への前記横搬送部の旋回量よりも大きくなる位置」である「特定位置」に相当し、引用発明2では「自動右セットボタン70a」及び「自動後セットボタン70b」の押し操作により、「機体右側方」及び「機体後方」に排出オーガ32を自動的に移動することから、「機体右側方」及び「機体後方」の位置は、本願発明1と同様に「位置固定して設定されて」いるものである。よって、本願発明1と引用発明2とは、「前記特定位置は、前記ホーム状態から前記特定位置への前記横搬送部の旋回量が前記ホーム状態から前記横外前領域への前記横搬送部の旋回量よりも大きくなる位置に位置固定して設定されて」いる点で一致している。 (サ)引用発明2の「横排出オーガ筒36がオーガレスト21に載置されている状態で、自動後セットボタン70bが押し操作されると、制御手段60が旋回用アクチュエータ35及び昇降用アクチュエータ37を受信した操作信号に基づいて駆動させ、排出オーガ32は、昇降及び旋回して、穀粒排出口が機体後方に位置するように所定位置に自動的に移動」することと、本願発明1の「前記横搬送部が前記ホーム状態であるときに前記自動操作具が操作されると、前記横搬送部は前記ホーム状態から自動上昇してその後に前記特定位置まで自動旋回」することとは、「前記横搬送部が前記ホーム状態であるときに前記自動操作具が操作されると、前記横搬送部は前記ホーム状態から自動上昇し」「前記特定位置まで自動旋回」する点で共通する。 (シ)引用発明2において、「排出オーガ32は、オーガ左旋回ボタン70g又はオーガ右旋回ボタン70hが押し操作されているときは、その押し操作に対応して左旋回又は右旋回し、押し操作されていないときは、旋回せずに停止し、排出オーガ32は、オーガ上昇ボタン70e又はオーガ下降ボタン70fが押し操作されているときは、その押し操作に対応して上昇又は下降し、押し操作されていないときは、昇降せずに停止し、排出オーガ32は、オーガクラッチボタン70dが押し操作されているときだけ、穀粒を外部に排出」することから、排出オーガ32は、旋回範囲内の任意の位置で旋回停止し、昇降及び穀粒の排出を行い得るものであるから、本願発明1と引用発明2とは、「手動操作具の操作によって排出口が横外前領域に位置するように横搬送部を移動させることが可能であるとともに排出口が横外前領域に位置する状態において横搬送部の上下揺動が可能であり、かつ、排出口が横外前領域に位置する状態において排出作業が可能である」点において一致している。 (ス)以上を総合すると、本願発明1と引用発明2とは、 (一致点1) 「走行機体の前部に設けられた運転部と、 収穫部によって収穫された収穫物を脱穀処理する脱穀装置と、 前記運転部の後方に設けられ、前記脱穀装置によって得られた穀粒を貯留する穀粒タンクと、 前記穀粒タンクの後下部に接続され、かつ、上下方向に沿って上方に向けて延びる縦搬送部、及び、先端部に排出口が設けられるとともに前記縦搬送部の上端部に上下揺動可能に接続され、かつ、機体内側に収納された状態で支持部材に支持されたホーム状態から旋回して機体外側に張り出し可能に構成された横搬送部を有し、前記排出口から前記穀粒タンクに貯留された穀粒を機外に排出する排出作業が可能な穀粒排出装置と、 前記横搬送部の任意位置への移動を指示する手動操作具と、 前記横搬送部の特定位置への移動を指示する自動操作具と、が備えられ、 前記横搬送部の旋回範囲に、機体左右方向において前記運転部の横外端部よりも機体外側かつ機体前後方向において前記穀粒タンクの前端部よりも前側の横外前領域が含まれており、 前記特定位置は、前記ホーム状態から前記特定位置への前記横搬送部の旋回量 が前記ホーム状態から前記横外前領域への前記横搬送部の旋回量よりも大きくなる位置に位置固定して設定されており、 前記横搬送部が前記ホーム状態であるときに前記自動操作具が操作されると、前記横搬送部は前記ホーム状態から自動上昇し前記特定位置まで自動旋回し、 前記手動操作具の操作によって前記排出口が前記横外前領域に位置するように前記横搬送部を移動させることが可能であるとともに前記排出口が前記横外前領域に位置する状態において、前記横搬送部の上下揺動が可能であり、かつ、前記排出口が前記横外前領域に位置する状態において前記排出作業が可能であるコンバイン。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 本願発明1では、「前記横搬送部が前記ホーム状態であるときに前記自動操作具が操作されると、前記横搬送部は前記ホーム状態から自動上昇してその後に前記特定位置まで自動旋回」するのに対し、引用発明2では、自動上昇と自動旋回の前後関係が特定されていない点。 イ 判断 上記相違点1について検討する。 引用発明2と引用技術事項3とは、共に排出オーガを自動旋回させるものであり、属する技術分野が共通する。 引用発明2において、排出オーガ32を所定位置に自動的に移動させる際、どのような経路を経るかにあたって、引用技術事項3の、上限スイッチがONであるか否かを判断し、該判断結果がNOの場合は、オーガ上昇出力を行い、排出オーガを上昇動作させ、一方、上限スイッチがONの場合は、オーガ位置スイッチのONによる排出位置への到達を判断し、該判断結果がNOの場合は、オーガ右旋回出力を行うという構成を採用することにより、上昇した後に旋回を行う経路とすることは、当業者が適宜なし得ることに過ぎない。 また、当該相違点1に係る構成による効果は、引用発明2、及び引用技術事項3の作用効果からみて、当業者が予測し得る程度のものである。 ウ 請求人の主張 令和5年12月15日提出の意見書(以下「意見書」という。)での主張においては、引用発明2を主引用例とする進歩性欠如の拒絶理由に対する具体的な意見は述べられていない。 よって、上記意見書における主張により上記イの判断が左右されるものではない。 エ 小括 以上のとおりであるから、本願発明1は、引用発明2及び引用技術事項3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)引用文献1を主引用例とする場合 上記のとおり、本願発明1は拒絶されるべきものであるが、以下では、引用発明1を主引用発明とする場合についても予備的に検討する。 ア 対比 本願発明1と引用発明1とを対比する。 (ア)引用発明1において、刈取部3の後方に操縦部2が設けられ、操縦部2の後方に穀粒タンク5が設けられており、本願の図1における収穫部10、運転部2、及び穀粒タンク12の配置と同様である。 また、引用発明1において、「刈取部3」は「機体の前部」に付設されている。 以上を総合すると、引用発明1の「操縦部2」は「機体の前部」に設けられているといえる。 したがって、引用発明1の「操縦部2」は、本願発明1の「運転部」に相当する。 (イ)引用発明1において、穀桿を刈取る「刈取部3」が機体の前部に横軸芯周りに揺動操作自在な状態で付設され、刈取穀稈を脱穀・選別する「脱穀部4」、及び、脱穀部4にて選別回収された穀粒を貯留する「穀粒タンク5」を備え、「穀粒タンク5」が「操縦部2」の後方に設けられていることから、本願発明1と引用発明1とは、「収穫部によって収穫された収穫物を脱穀処理する脱穀装置と、運転部の後方に設けられ、前記脱穀装置によって得られた穀粒を貯留する穀粒タンクと、」を備える点において一致している。 (ウ)引用発明1において、穀粒タンク5の底部に前後方向に沿う状態で底部スクリューコンベア7が設けられ、その底部スクリューコンベア7の搬送終端部から「上方に向けて」ベベルギア連動される状態で「縦送りスクリューコンベア8」が延設されること、及び、「円筒ケース8B」が「穀粒タンク5の後下部」に連通接続されることから、引用発明1における「縦送りスクリューコンベア8」は本願発明1における「縦搬送部」に相当する。 (エ)引用発明1において、穀粒タンク5に貯留された穀粒を機外に排出するための「オーガ9」を備え、「縦送りスクリューコンベア8の上部」には、ベベルギア連動される状態で「オーガ9」が、「横軸芯P1周りに揺動操作自在」で、且つ、「縦軸芯P2周りに旋回操作自在」に装備されており、穀粒タンク5に貯留された穀粒が「オーガ9の先端部」の「穀粒排出口10」から排出されること、及び、刈取走行時などオーガ9を使用しない場合は、「オーガ9格納用の旋回位置HPに位置した状態」でオーガ9を下降させて格納用保持具としての「受止具32」に受け止めさせて、「オーガ9を格納」すること、及び、オーガ9が旋回して「機体外側に張り出し可能」であることから、引用発明1における「オーガ9」は本願発明1における「横搬送部」に相当する。 (オ)引用発明1において、無線リモコン42が備える「上昇スイッチ43」、「下降スイッチ44」、「左旋回スイッチ45」、又は「右旋回スイッチ46」がオン操作されて「上昇指令S1、下降指令S2、左旋回指令S3、又は右旋回指令S4が指令されている間」は、昇降用油圧シリンダ15による「オーガ9の昇降操作」又は旋回モータM3による「旋回操作」を実施し、「上昇スイッチ43」、「下降スイッチ44」、「左旋回スイッチ45」、又は「右旋回スイッチ46」がオフ操作されて上昇指令S1、下降指令S2、左旋回指令S3、又は右旋回指令S4が指令されなくなると、昇降用油圧シリンダ15による「オーガ9の昇降操作」又は旋回モータM3による「旋回操作」を停止していることから、引用発明1における「上昇スイッチ43」、「下降スイッチ44」、「左旋回スイッチ45」、又は「右旋回スイッチ46」は、本願発明1における「横搬送部の任意位置への移動を指示する手動操作具」に相当する。 (カ)引用発明1において、自動旋回スイッチ47、旋回停止スイッチ48、排出開始スイッチ49、排出停止スイッチ50により操作指令が指令される場合は、これらの各スイッチはトリガスイッチとして機能し、「自動スイッチ47」がオン操作されて自動旋回開始指令S5が指令されると、旋回モータM3の正転或いは逆転駆動が開始され、「オーガ9の目標位置(又は格納位置HP)への旋回操作が開始され」、「オーガ9の目標位置(又は格納位置HP)までの旋回が完了したことが検出される」と、旋回モータM3の駆動が停止され、「オーガ9の旋回操作が停止される」ことから、本願発明1と引用発明1とは、「横搬送部 はホーム状態から」「自動旋回」する点で共通している。 (キ)引用発明1において、「オーガ9」が左限界位置LEから右限界位置REまで旋回操作された場合に、オーガ9の先端部に下向きに開口する状態で設けた「穀粒排出口10が位置する領域」を、「穀粒の排出位置」として「設定可能」であり、左限界位置LE及び右限界位置REがコンバイン本体Vの後方に位置することから、コンバイン本体Vに対して右前方の領域が含まれており、本願発明1と引用発明1とは、「横搬送部の旋回範囲に、機体左右方向において運転部の横外端部よりも機体外側かつ機体前後方向において穀粒タンクの前端部よりも前側の横外前領域が含まれて」いる点において一致している。 (ク)引用発明1において、「オーガ9」を旋回させる手段は、「左旋回指令S3、又は右旋回指令S4が指令されている間」、旋回操作を実施する「左旋回スイッチ45」又は「右旋回スイッチ46」と、「オーガ9の目標位置(又は格納位置HP)までの旋回が完了したことが検出される」と、オーガ9の旋回操作が停止される「自動旋回スイッチ47」であり、「オーガ9」を「目標位置以外の旋回位置」へ旋回させる場合、「左旋回スイッチ45」又は「右旋回スイッチ46」を操作することが認められること、及び、引用発明1において、「排出開始スイッチ49」及び「排出停止スイッチ50」によって穀粒排出状態と排出停止状態とを切り替えることから、本願発明1と引用発明1とは、「手動操作具の操作によって排出口が横外前領域に位置するように横搬送部を移動させることが可能であるとともに排出口が横外前領域に位置する状態において横搬送部の上下揺動が可能であり、かつ、排出口が横外前領域に位置する状態において排出作業が可能である」点において一致している。 (ケ)以上を総合すると、本願発明1と引用発明1とは、 (一致点1) 「走行機体の前部に設けられた運転部と、 収穫部によって収穫された収穫物を脱穀処理する脱穀装置と、 前記運転部の後方に設けられ、前記脱穀装置によって得られた穀粒を貯留する穀粒タンクと、 前記穀粒タンクの後下部に接続され、かつ、上下方向に沿って上方に向けて延びる縦搬送部、及び、先端部に排出口が設けられるとともに前記縦搬送部の上端部に上下揺動可能に接続され、かつ、機体内側に収納された状態で支持部材に支持されたホーム状態から旋回して機体外側に張り出し可能に構成された横搬送部を有し、前記排出口から前記穀粒タンクに貯留された穀粒を機外に排出する排出作業が可能な穀粒排出装置と、 前記横搬送部の任意位置への移動を指示する手動操作具と、 前記横搬送部の旋回範囲に、機体左右方向において前記運転部の横外端部よりも機体外側かつ機体前後方向において前記穀粒タンクの前端部よりも前側の横外前領域が含まれており、 前記横搬送部は前記ホーム状態から自動旋回し、 前記手動操作具の操作によって前記排出口が前記横外前領域に位置するように前記横搬送部を移動させることが可能であるとともに前記排出口が前記横外前領域に位置する状態において、前記横搬送部の上下揺動が可能であり、かつ、前記排出口が前記横外前領域に位置する状態において前記排出作業が可能であるコンバイン。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 本願発明1では、「前記横搬送部の特定位置への移動を指示する自動操作具と、が備えられ、」「前記特定位置は、前記ホーム状態から前記特定位置への前記横搬送部の旋回量が前記ホーム状態から前記横外前領域への前記横搬送部の旋回量よりも大きくなる位置に位置固定して設定されて」いるのに対し、引用発明1では、このような特定がされていない点。 (相違点2) 本願発明1では、「前記横搬送部が前記ホーム状態であるときに前記自動操作具が操作されると、前記横搬送部は前記ホーム状態から自動上昇してその後に前記特定位置まで自動旋回」するのに対し、引用発明1では、格納位置HPから「自動上昇してその後に」目標位置まで自動旋回することが特定されていない点。 イ 判断 上記相違点について検討する。 (ア)相違点1について 引用発明2の「機体右側方」及び「機体後方」は、いずれも本願発明1の「前記ホーム状態から前記特定位置への前記横搬送部の旋回量が前記ホーム状態から前記横外前領域への前記横搬送部の旋回量よりも大きくなる位置」に相当し、引用発明2の「機体右側方」及び「機体後方」に排出オーガ32を自動的に移動する「自動右セットボタン70a」及び「自動後セットボタン70b」は、それぞれ本願発明1の「前記横搬送部の特定位置への移動を指示する自動操作具」に相当する。 引用発明1と引用発明2とは、共に排出オーガを自動旋回させるものであり、属する技術分野が共通する。 そして、引用発明1において、「目標旋回位置設定ボリューム19」により「目標旋回位置」を設定する構成に加えて、又は、当該構成に替えて、引用発明2における「自動右セットボタン70a」又は「自動後セットボタン70b」を付加又は置換することで、上記相違点1に係る構成となすことは、当業者が容易に相当し得たことである。 また、当該相違点1に係る構成による格別の効果も見いだせない。 (イ)相違点2について 引用発明1と引用技術事項3とは、共に排出オーガを自動旋回させるものであり、属する技術分野が共通する。 また、引用発明1では、オーガ9が昇降操作範囲の上限位置にあるときにオン作動する上限スイッチ14が設けられている。 引用発明1において、オーガ9を自動旋回により目標位置まで旋回させる際、どのような経路を経るかにあたって、引用技術事項3の、上限スイッチがONであるか否かを判断し、該判断結果がNOの場合は、オーガ上昇出力を行い、排出オーガを上昇動作させ、一方、上限スイッチがONの場合は、オーガ位置スイッチのONによる排出位置への到達を判断し、該判断結果がNOの場合は、オーガ右旋回出力を行うという構成を採用することにより、上昇した後に旋回を行う経路とすることは、当業者が適宜なし得ることに過ぎない。 また、当該相違点2に係る構成による効果は、引用発明1、引用発明2及び3の作用効果からみて、当業者が予測し得る程度のものである。 ウ 請求人の主張 (ア)意見書の主張 請求人は、意見書の「2.本願発明と引用文献のものとの対比」において、次の主張をしている。 「・引用文献を基に本願発明に想到するか否かについて検討します。 上述したように、引用文献1に記載の発明は、自動旋回の目標旋回位置を旋回可能範囲のいずれの箇所にも目標旋回位置設定ボリューム19によって変更して自由に設定することができるものである以上、 仮に、引用文献2に記載の発明を、引用文献1に適用したとしても、 「特定位置を、横搬送部の旋回量が、ホーム状態から横外前領域への横搬送部の旋回量よりも大きくなるような位置に設定できる」という構成が得られるに過ぎず、オーガの自動旋回を特定位置のみならず、横外前領域にも行わせることができるものとなります。 すなわち、『横搬送部の自動旋回は、横外前領域よりも旋回量が大きくなる特定位置に対してのみ行うものであり、横外前領域には自動旋回させることができず、横外前領域への旋回は手動旋回によってしか行い得ない』もの、つまり、上記相違点の構成とはなり得ません。 本願発明に至るには、引用文献1に記載の発明における目標旋回位置設定ボリューム19を取り止める必要がありますが、引用文献1及び2に接しただけでは、目標旋回位置設定ボリューム19を取り止めることまでは到底着想し得ません。 また、今回の拒絶理由通知において審査官殿の合議体は、 『引用発明1において、「目標旋回位置設定ボリューム19」により「目標旋回位置」を設定する構成に加えて、又は、当該構成に替えて、引用発明2における「自動右セットボタン70a」又は「自動後セットボタン70b」を付加又は置換することで、上記相違点1に係る構成となすことは、当業者が容易に相当し得たことである。』と認定されています。 つまり、『引用発明1は、「目標旋回位置設定ボリューム19」により「目標旋回位置」を自由に設定できるものですが、この構成に代えて、引用発明2における「特定の位置への自動スイッチ」に、置換/付加すれば、本願発明に至る』といった認定をされているものと思料いたします。 しかし、旋回する移動先の位置を自由に変えられるにも拘わらず、わざわざ、「特定の位置への自動スイッチ」に置き換えたり、さらに追加したりすることは通常では考えにくいものです。 平成20年(行ケ)第10096号審決取消請求事件における判決文の24頁において、「特許法29条2項が定める要件の充足性,すなわち,当業者が,先行技術に基づいて出願に係る発明を容易に想到することができたか否かは,先行技術から出発して,出願に係る発明の先行技術に対する特徴点(先行技術と相違する構成)に到達することが容易であったか否かを基準として判断される。・・・(中略)・・・当該発明が容易想到であると判断するためには,先行技術の内容の検討に当たっても,当該発明の特徴点に到達できる試みをしたであろうという推測が成り立つのみでは十分ではなく,当該発明の特徴点に到達するためにしたはずであるという示唆等が存在することが必要であるというべきであるのは当然である。」と判示されています。つまり、先行技術に基づいて出願に係る発明を容易に想到することができたと判断するためには、出願に係る発明の特徴点に到達することに困難性がないだけでは足らず、出願に係る発明の特徴点に到達するための動機づけや示唆等が存在し、特徴点に到達することが容易であることが必要であると言えます。 よって、本願請求項1に係る発明が、当業者にとって容易に想到し得るものであると判断されるためには、引用文献1において、『前記特定位置は、前記ホーム状態から前記特定位置への前記横搬送部の旋回量が前記ホーム状態から前記横外前領域への前記横搬送部の旋回量よりも大きくなる位置に位置固定して設定されており、』を備えるコンバインに到達できる試みをしたであろうという推測が成り立つのみでは十分ではなく、このようなコンバインに到達するための動機付けや示唆等が必要であると言えます。しかし、引用文献1~3には、そのような動機付けや示唆等は存在しません。 以上より、引用発明1、引用発明2、及び引用技術事項3を基づいて本願発明に容易に想到することはできず、本願発明は進歩性を有すると思料いたします。」 (イ)請求人の主張についての当審合議体の見解 引用発明1は、「無線リモコン42が備える」「自動スイッチ47がオン操作されて自動旋回開始指令S5が指令されると、旋回モータM3の正転或いは逆転駆動が開始され、オーガ9の目標位置(又は格納位置HP)への旋回操作が開始され」るところ、「目標旋回位置は、コンバイン本体Vに備えた目標旋回位置設定ボリューム19により設定され」るものである。つまり、自動スイッチ47は無線リモコン42に備えられるものであるのに対して、目標旋回位置設定ボリューム19はコンバイン本体Vに備えられるものであるから、無線リモコン42に備えられた自動スイッチ47を操作する際には、目標旋回位置はコンバイン本体Vに備えられた目標旋回位置設定ボリューム19により事前に設定されており、無線リモコン42側で自由に設定できるものではない。したがって、目標旋回位置が目標旋回位置設定ボリューム19により自由に設定できるものであったとしても、無線リモコン42側で自由に設定できるものではないことから、引用発明1において自動スイッチ47を有することと、これに加えて引用発明2における「自動右セットボタン70a」又は「自動後セットボタン70b」を設けることとは、整合しないものではない。 また、引用発明1では目標旋回位置は無線リモコン42側で自由に設定できるものではないから、自動スイッチ47に換えて、自動スイッチ47と同様に目標旋回位置が予め設定されている引用発明2における「自動右セットボタン70a」又は「自動後セットボタン70b」を設けることにも不整合はない。 さらに、引用発明1は、「排出位置を荷台の前後方向に変更するのに伴って、トラックの荷台の横方向についても変更されてしまい、排出位置としては好ましくない位置に調整されてしまう場合があった」(引用文献1【0008】)という従来技術の課題に対して、「穀粒の排出位置の調節を簡単な操作で行うことができるコンバインにおける穀粒排出用オーガの無線式操作装置を提供することを目的としている」(引用文献1【0009】)ものであって、この課題を解決するために「作業者は、無線式指令手段の走行指令手段を用いて、コンバイン本体を、走行状態と走行停止状態とに切換えることにより、コンバイン本体の現在の位置から別の位置まで移動させることができる」(引用文献1【0010】)ようにしたものであり、引用発明1に引用発明2を適用することにより、課題が解決できなくなるといった事情もない。 そして、操作ボタンを備える操作装置の設計にあたって、想定し得る様々な機能の操作ボタンの中から、機能の利便性や配置スペース等を考慮して、設ける操作ボタンを選択することは、当業者が当然行うことであるから、引用発明1の構成に加えて引用発明2の構成を採用することも、引用発明1の構成に換えて引用発明2の構成を採用することも、いずれも動機があるといえる。 また、上記意見書において「仮に、引用文献2に記載の発明を、引用文献1に適用したとしても、「特定位置を、横搬送部の旋回量が、ホーム状態から横外前領域への横搬送部の旋回量よりも大きくなるような位置に設定できる」という構成が得られるに過ぎず、オーガの自動旋回を特定位置のみならず、横外前領域にも行わせることができるものとなります。」と主張している点については、引用発明1の構成に換えて引用発明2の構成を採用した場合には、上記主張にある「オーガの自動旋回を特定位置のみならず、横外前領域にも行わせることができるもの」とはならないから、本願発明1の構成を充足するものであるし、引用発明1の構成に加えて引用発明2の構成を採用した場合であっても、本願発明1では、「オーガの自動旋回を特定位置のみ」に行うことは特定されていないから、本願発明1の構成を充足するものである。 したがって、請求人の主張は採用できない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、本願発明1は、引用発明1、引用発明2、及び引用技術事項3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6 むすび 以上のとおり、本願発明1は、引用発明2及び引用技術事項3に基いて、又は、引用発明1、引用発明2、及び引用技術事項3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-011433

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