審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2023-007421

がんワクチン

審判番号
2023-007421
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-548908
請求日
2023年05月08日
審決日
2025年06月04日
公報発行日
2025年11月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
  • 【請求人代理人】葛和 清司
審判長/審判官
  • 審判長 冨永 みどり
  • 審判官 山村 祥子
  • 審判官 関 景輔
分類
P18 .536-Z (A61K) / P18 .537-Z (A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条4項1号特許法36条6項1号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-548908「がんワクチン」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 9月13日国際公開、WO2018/165631、令和 2年 4月 2日国内公表、特表2020-510038〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2018年(平成30年)3月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年3月9日、(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その主な手続の経緯は、次のとおりである。 令和3年 3月 9日 手続補正書の提出 同年 7月26日 手続補正書の提出 令和4年 4月 7日付け 拒絶理由通知書 同年10月11日 意見書及び手続補正書の提出 同年12月28日付け 拒絶査定 令和5年 5月 8日 審判請求書及び手続補正書の提出 同年 6月29日 手続補正書(方式)の提出 第2 令和5年5月8日提出の手続補正書による手続補正についての補正却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年5月8日提出の手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正前(令和4年10月11日提出の手続補正書)の特許請求の範囲の記載 本件補正前の特許請求の範囲の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物であって、 (i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および(ii)ガイドポリヌクレオチド、 を含み、 ここで(ii)のガイドポリヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を、腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、およびここで融合タンパク質は、標的シトシン(C)塩基を、脱アミノ化を介してチミン(T)塩基に変更し、 ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインは、Cas9ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメイン、Cas9ニッカーゼ(nCas9)ドメイン、Cpf1ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1(dCpf1)ドメイン、およびそのバリアントからなる群より選択され、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%配列同一性を有し、および ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換される、 前記組成物。 表4.塩基編集によるコドンの変更 【表1-1】 [図:0001428429000001.jpg] 【表1-2】 [図:0001428429000002.jpg] 表8.終止コドンへの変換 【表2】 [図:0001428429000003.jpg] 【請求項2】 腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドが、腫瘍細胞のゲノムに位置し、任意にここで標的C塩基の脱アミノ化が、C-G塩基対からチミン-アデニン(T-A)塩基対への変更をもたらす、請求項1に記載の組成物。 【請求項3】 ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインが、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメインであり、任意にここでdCas9ドメインのアミノ酸配列が、配列番号1におけるD10AおよびH840A変異に対応する変異を含む、請求項1または2に記載の組成物。 【請求項4】 ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインが、nCas9ドメインであり、任意にここでnCas9ドメインのアミノ酸配列が、配列番号1におけるD10AまたはH840A変異に対応する変異を含み、さらに任意にここでnCas9ドメインのアミノ酸配列が、配列番号1におけるD10A変異に対応する変異を含む、請求項1または2に記載の組成物。 【請求項5】 ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインが、以下: ヌクレアーゼ不活性型Cpf1(dCpf1)ドメイン、任意にここでdCpf1ドメインが、AcidaminococcusまたはLachnospiraceaeの種からのものである;を含む、請求項1または2に記載の組成物。 【請求項6】 腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物であって、 (i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および(ii)ガイドポリヌクレオチド、 を含み、 ここで(ii)のガイドポリヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を、腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、およびここで融合タンパク質は、標的シトシン(C)塩基を、脱アミノ化を介してチミン(T)塩基に変更し、 ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインは、ヌクレアーゼ不活性型アルゴノート(dAgo)ドメイン、任意にここでdAgoドメインが、Natronobacterium gregoryiからのもの(dNgAgo)であり、 ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが前記表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、前記表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換される、 前記組成物。 【請求項7】 シトシンデアミナーゼが、配列番号271~292、303、および1072~1083のいずれかのアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意にここでシトシンデアミナーゼが、配列番号271~292、303、および1072~1083のいずれかのアミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項8】 (i)の融合タンパク質が、ウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)ドメインをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項9】 シトシンデアミナーゼドメインが、ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインのN末端に融合しており、任意にここでUGIドメインが、ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインのC末端に融合している、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項10】 シトシンデアミナーゼおよびガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインが、リンカーを介して融合しており、任意にここでUGIドメインが、ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインにリンカーを介して融合しており、さらに任意にここで融合タンパク質が、以下の構造: (a)NH2-[シトシンデアミナーゼドメイン]-[リンカー配列]-[ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン]-[リンカー配列]-[UGIドメイン]-COOH; (b)NH2-[UGIドメイン]-[リンカー配列]-[シトシンデアミナーゼドメイン]-[リンカー配列]-[ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン]-COOH;または (c)NH2-[シトシンデアミナーゼドメイン]-[リンカー配列]-[ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン]-COOH、を含み、任意にここでリンカーが、(GGGS)n(配列番号337)、(GGGGS)n(配列番号308)、(G)n(配列番号783)、(EAAAK)n(配列番号309)、(GGS)n(配列番号784)、SGSETPGTSESATPES(配列番号310)、(XP)n(配列番号785)、またはこれらのいずれかの組み合わせを含み、ここでnは、独立して1~30の整数であり、Xは、任意のアミノ酸であり、任意にここでリンカーが、アミノ酸配列SGSETPGTSESATPES(配列番号310)を含み、さらに任意にここでリンカーが、(GGS)n(配列番号784)であり、ここでnは、1、3、または7である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項11】 融合タンパク質が、配列番号293~302、1071、および1084のいずれか1つと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意にここで融合タンパク質が、配列番号293~302、1071、および1084のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項12】 腫瘍特異的抗原が、以下からなる群より選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物:gp100;Pmel17;マンマグロビン-A;メラン-A;MART-1;hTERT;TyRP1;HER2;CEA-CAM;NY-BR-1;ERBB2;OA1;PAP;PSA;RAB38;NY-MEL-1;TRP-1;gp75;TRP-2;チロシナーゼ;WT1;CD33;BAGE-1;D393-CD20n;サイクリン-A1;GAGE-1,2,8;GAGE-3,4,5,6,7;GnTVf;HERV-K-MEL;KK-LC-1;KM-HN-1;LAGE-1;LY6K;MAGE-A1;MAGE-A2;MAGE-A3;MAGE-A4;MAGE-A6;MAGE-A9;MAGE-A10;MAGE-A12;MAGE-C1;MAGE-C2;ムチンク;NA88-A;NY-ESO-1;LAGE-2;SAGE;Sp17;SSX-2;SSX-4;サバイビン;BIRC5;TAG-1;TAG-2;TRAG-3;TRP2-INT2g;XAGE-1b;GAGED2a;BCR-ABL(b3a2);アジポフィリン;AIM-2;ALDH1A1;Bcl-X(L);BING-4;CALCA;CD45;CD274;CPSF;サイクリンD1;DKK1;ENAH(hMena);EpCAM;EphA3;EZH2;FGF5;グリピカン-3;G250;MN;CAIX;HER-2;neu;HLA-DOB;ヘプシン;IDO1;IGF2B3;IL13Rα2;腸のカルボキシルエステラーゼ;α-フェトプロテイン;カリクレイン4;KIF20A;Lengsin;M-CSF;MCSP;mdm-2;Meloe;ミッドカイン;MMP-2;MMP-7;MUC1;MUC5AC;p53;PAX5;PBF;PRAME;PSMA;RAGE-1;RGS5;RhoC;RNF43;RU2AS;セセルニン1(secerning 1);SOX10;STEAP1;テロメラーゼ;TPBG;およびVEGF。 【請求項13】 免疫原性エピトープを含有する免疫原性ペプチドを腫瘍特異的抗原から生成することにおける使用のための請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物であって、任意にここで免疫原性エピトープが、ヘテロクリティックエピトープまたはクリプティックエピトープである、前記組成物。 【請求項14】 ヘテロクリティックエピトープが、腫瘍特異的抗原からの天然エピトープよりも、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、またはそれ以上、免疫原性である;またはクリプティックエピトープが、腫瘍特異的抗原からの天然エピトープよりも、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、またはそれ以上、免疫原性である、請求項13に記載の組成物。 【請求項15】 免疫原性ペプチドが、MHCクラスI抗原提示経路を介して、腫瘍細胞の表面に提示される;または免疫原性ペプチドが、MHCクラスII抗原提示経路を介して、抗原提示細胞(APC)の表面に提示される、請求項13または14に記載の組成物。 【請求項16】 脱アミノ化が、ex vivoで実施される、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項17】 APCが、腫瘍細胞、樹状細胞、単核食細胞、胸腺上皮細胞、およびB細胞からなる群より選択される、請求項15または16に記載の組成物。 【請求項18】 免疫原性ペプチドが、腫瘍特異的抗原に対する適応免疫応答を誘導し、任意にここで適応免疫応答が、樹状細胞の成熟、CD4+Tリンパ球の活性化、CD8+Tリンパ球の活性化、Bリンパ球の活性化と成熟、および/または腫瘍抗原特異的抗体の生産を促進することを含み、さらに任意にここで適応免疫応答が、腫瘍細胞を殺傷し、腫瘍サイズを低減し、および/または転移を防止する、請求項13~17のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項19】 ガイドポリヌクレオチドが、RNAであり、任意にここでRNAが、化学修飾されている;またはガイドポリヌクレオチドが、一本鎖DNA(ssDNA)である、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項20】 ガイドポリヌクレオチドが、表5および表7に列挙されるガイドポリヌクレオチドのいずれかから選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。 表5.ヘテロクリティックエピトープ 【表3-1】 [図:0001428429000004.jpg] 【表3-2】 [図:0001428429000005.jpg] 【表3-3】 [図:0001428429000006.jpg] 【表3-4】 [図:0001428429000007.jpg] 【表3-5】 [図:0001428429000008.jpg] 【表3-6】 [図:0001428429000009.jpg] 【表3-7】 [図:0001428429000010.jpg] 【表3-8】 [図:0001428429000011.jpg] 表7.クリプティックエピトープ 【表4-1】 [図:0001428429000012.jpg] 【表4-2】 [図:0001428429000013.jpg] 【表4-3】 [図:0001428429000014.jpg] 【表4-4】 [図:0001428429000015.jpg] 【請求項21】 腫瘍特異的抗原、標的コドン、および塩基編集反応が、以下の表に列挙される組合せのいずれか1つである、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。 【表5】 [図:0001428429000016.jpg] 【請求項22】 腫瘍特異的抗原が、gp100であり;任意にここでgp100が、黒色腫由来であり、およびここで標的C塩基の脱アミノ化が、以下: (a)gp100のコドンT210において、T210I変異をもたらし;任意にここでアミノ酸配列IIDQVPFSV(配列番号786)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のIがT210I変異に対応し;さらに任意にここでガイドポリヌクレオチドが、配列番号724および870~888からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (b)gp100のコドンA288において、A288V変異をもたらし;任意にここでアミノ酸配列YLEPGPVTV(配列番号818)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置7のVがA288V変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが、配列番号725および889からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む;または (c)gp100のコドンT155において、T155I変異をもたらし;任意にここでアミノ酸配列KIWGQYWQV(配列番号787)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のIがT155I変異に対応する、 請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項23】 腫瘍特異的抗原が、以下: (a)T細胞1によって認識される黒色腫抗原(MART-1)であり;任意にここでMART-1抗原が、黒色腫由来であり;さらに任意にここでMART-1のコドンA27における標的C塩基の脱アミノ化がA27V変異をもたらし;任意にここでアミノ酸配列EVAGIGILTV(配列番号819)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のVがA27V変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが、配列番号727および893~896からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (b)がん/精巣抗原1B(NY-ESO-1)であり;任意にここでNY-ESO-1抗原が、黒色腫または乳がん由来であり;任意にここでNY-ESO-1のコドンC165における標的C塩基の脱アミノ化がC165Y変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列SLLMWITQY(配列番号788)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置9のCがC165Y変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号728および897からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (c)チロシナーゼ(TYR)であり、任意にここでTYR抗原が黒色腫由来であり;任意にここでTYRのコドンT373における標的C塩基の脱アミノ化がT373I変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列YMNGIMSQV(配列番号789)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置5のIがT373I変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号729および898~901からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (d)チロシナーゼ関連タンパク質1(TyRP1)であり;任意にここでTyRP1抗原が黒色腫由来であり;任意にここでTyRP1のコドンC244における標的C塩基の脱アミノ化がC244Y変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列DAEKYDICTDEY(配列番号790)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置5のYがC244Y変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号730および902からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (e)サバイビンであり;任意にここでサバイビンが黒色腫、乳がん、または白血病由来であり;任意にここでサバイビンのコドンT97における標的C塩基の脱アミノ化がT97I変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列ELILGEFLKL(配列番号791)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置3のIがT97I変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号731および903からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (f)テロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)であり;任意にここでhTERTが乳がん由来であり;任意にここでhTERTのコドンM549における標的C塩基の脱アミノ化がM549I変異をもたらし、さらに任意にここでアミノ酸配列ILAKFLHWLI(配列番号792)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置10のIがM549I変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号735および916~920からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む;または (g)ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)であり;任意にここでHER2が乳がん由来であり;任意にここで標的C塩基の脱アミノ化が、以下: (i)HER2のコドンV658においてV658M変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列AMVGILLVVV(配列番号793)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のMがV658M変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号732および904~909からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (ii)HER2のコドンT912においてT912I変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列IIWELMTFGA(配列番号794)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のIがT912I変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号733および910~912からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む;または (iii)HER2のコドンA920においてA920V変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列ITWELMTFGV(配列番号795)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置10のVがA920V変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号734および913~915からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、 請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項24】 腫瘍特異的抗原が、以下: (a)CD33であり;任意にここでCD33が白血病由来であり;任意にここでCD33のコドンA65における標的C塩基の脱アミノ化がA65V変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列VIISGDSPV(配列番号796)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置1のVがA65V変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号740および930~932からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (b)滑膜肉腫Xブレークポイント2(SSX2)であり;任意にここでSSX2のコドンA42における標的C塩基の脱アミノ化がA42V変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列KVSEKIFYV(配列番号797)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のVがA42V変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号737および921からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (c)ウィルムス腫瘍1(WT1)タンパク質であり;任意にここでWT1が白血病由来であり、さらに任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号739および926~929からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含み;任意にここで標的C塩基の脱アミノ化が、以下: (i)WT1のコドンC235においてC235Y変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列YMTWNQMNL(配列番号798)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置1のYがC235Y変異に対応する;または (ii)WT1のコドンM236においてM236I変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列CITWNQMNL(配列番号799)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のIがM236I変異に対応する; (d)上皮細胞接着分子前駆体(EpCAM)であり;任意にここでEpCAMのコドンT192における標的C塩基の脱アミノ化がT192I変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列ILYENNVII(配列番号800)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置9のIがT192I変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号741および933~934からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (e)癌胎児性抗原関連細胞接着分子(CEA-CAM)であり;任意にここでCEA-CAMが大腸がん、肺がん、または乳がんに由来し;任意にここで標的C塩基の脱アミノ化が、以下: (i)CEA-CAMのコドンT314においてT314I変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列LLTFWNPPI(配列番号801)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置9のIがT314I変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号742および935~936からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (ii)CEA-CAMのコドンT311においてT311I変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列RITVTTITV(配列番号802)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のVがT311I変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号743および937~940からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (iii)CEA-CAMのコドンT688においてT688V変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列AVVGIMIGV(配列番号803)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のVがT688V変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号744および941~947からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む;または (iv)CEA-CAMのコドンV695においてV695M変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列IMIGMLVGV(配列番号804)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置5のMがV695M変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号745および948~953からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (f)黒色腫関連抗原A3(MAGEA3)であり;任意にここでMAGEA3のコドンH118における標的C塩基の脱アミノ化がH118Y変異をもたらし、さらに任意にここでアミノ酸配列KVAELVYFL(配列番号805)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置7のYがH118Y変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号746および954からなる群よる選択されるヌクレオチド配列を含む; (g)黒色腫関連抗原(MAGE)共通抗原A3、A1、A4、A2、またはA12であり;任意にここでMAGE共通抗原A3、A1、A4、A2、またはA12のコドンC181における標的C塩基の脱アミノ化がC181Y変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列YLGLSYDGLL(配列番号806)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置1のYがC181Y変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号747~750および955~983からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む;または (h)MUC-1であり;任意にここでMUC-1のコドンT93における標的C塩基の脱アミノ化がT93I変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列AIWGQDVTSV(配列番号807)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のIがT93I変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号751および984~985からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、 請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項25】 腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物であって、 (i))(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および (ii)ガイドポリヌクレオチド、 を含み、 ここで(ii)のガイドポリヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を、腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、およびここで融合タンパク質は、標的シトシン(C)塩基を、脱アミノ化を介してチミン(T)塩基に変更し、 ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインは、Cas9ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメイン、Cas9ニッカーゼ(nCas9)ドメイン、Cpf1ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1(dCpf1)ドメイン、およびそのバリアントからなる群より選択され、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、および ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基が、以下: (a)プレメラノソームタンパク質(PMEL)遺伝子のイントロン4に位置し;任意にここで標的C塩基の脱アミノ化がアミノ酸配列VYFFLPDHL(配列番号808)を含むクリプティックペプチドをもたらし;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号752~753および986~998からなる群より選択されるヌクレオチドを含む; (b)TYRP1遺伝子のオープンリーディングフレーム1(ORF1)の相補鎖上に位置し;任意にここで標的C塩基がTYRP1遺伝子のORF1の第1の開始コドン(ATG)の相補鎖に位置し;さらに任意にここで標的C塩基の脱アミノ化がアミノ酸配列MSLQRQFLR(配列番号809)を含むクリプティックペプチドをもたらし、およびここでガイドポリヌクレオチドが配列番号754および999~1005からなる群より選択されるヌクレオチドを含む; (c)マンノシル(アルファ-1,6-)-糖タンパク質ベータ-1,6-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(MGAT5)遺伝子のイントロン2の最後の塩基の相補鎖上に位置し;任意にここで標的C塩基の脱アミノ化がアミノ酸配列VLPDVFIRCV(配列番号810)を含むクリプティックペプチドをもたらし;任意にここでクリプティックペプチドがMGAT5遺伝子のエクソン3から翻訳され、さらに任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号755および1006~1008からなる群より選択されるヌクレオチドを含む; (d)がん/精巣抗原2(LAGE-1)遺伝子のオープンリーディングフレーム1(ORF1)に位置し;任意にここで標的C塩基がLAGE-1遺伝子のORF1の第1の開始コドンの相補鎖に位置し;任意にここで標的C塩基の脱アミノ化がMLMAQEALAFL(配列番号811)、LAAQERRVPR(配列番号812)、APRGVRMAV(配列番号813)、QGAMLAAQERRVPRAAEVPR(配列番号814)、およびCLSRRPWKRSWSAGSCPGMPHL(配列番号815)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むクリプティックペプチドをもたらし、およびここでガイドポリヌクレオチドが配列番号756および1009~1014からなる群より選択されるヌクレオチドを含む; (e)チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP-2)遺伝子のイントロン2に位置し;任意にここで標的C塩基がTRP-2遺伝子のイントロン2の第1の塩基の相補鎖上に位置し;さらに任意にここで標的C塩基の脱アミノ化がアミノ酸配列EVISCKLIKR(配列番号816)を含むクリプティックペプチドをもたらし;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号757~758および1015~1023からなる群より選択されるヌクレオチドを含む; (f)バキュロウイルスIAPリピート含有5(BIRC5)遺伝子のイントロン2に位置し;任意にここで標的C塩基がBIRC5遺伝子のイントロン2のスプライソソーム分岐部分に位置し;さらに任意にここで標的C塩基がBIRC5遺伝子のイントロン2の最後の塩基の相補鎖に位置し;任意にここで標的C塩基の脱アミノ化がアミノ酸配列AYACNTSTL(配列番号817)を含むクリプティックペプチドをもたらし;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号759~760および1024~1031からなる群より選択されるヌクレオチドを含む;または (g)BCR/ABL融合タンパク質(BCR/ABL-OOF)遺伝子のイントロン1アクセプター部位またはBCR/ABL融合タンパク質(BCR/ABL-OOF)遺伝子のイントロン2アクセプター部位に位置し;任意にここで標的C塩基の脱アミノ化がSSKALQRPV(配列番号603)、GFKQSSKAL(配列番号604)、およびATGFKQSSKALQRPVAS(配列番号605)のいずれか1つのアミノ酸配列を含むクリプティックペプチドをもたらし;さらに任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号761および1032~1045からなる群より選択されるヌクレオチドを含むか、またはここでガイドヌクレオチドが配列番号762および1046~1056からなる群より選択されるヌクレオチドを含む、前記組成物。 【請求項26】 免疫チェックポイント阻害剤の治療有効量と組み合わせて投与され、任意にここで免疫チェックポイント阻害剤がCTLA-4、PD-1、PD-L1、TIM3、LAG3、B7-H3、B7-H4、BTLA、GAL9、Chk1、またはA2aRの、同族結合パートナーへの結合を阻害する、請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項27】 免疫チェックポイント阻害剤が抗体またはそのフラグメントであり、任意にここで抗体が、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗TIM3抗体、抗LAG3抗体、抗B7-H3抗体、抗B7-H4抗体、抗BTLA抗体、抗GAL9抗体、抗Chk1抗体、および抗A2aR抗体から選択される抗体であり、さらに任意にここで抗体が、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、およびイピリムマブから選択される、請求項26に記載の組成物。 【請求項28】 がんを処置するための組成物であって、 (i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質; (ii)ガイドポリヌクレオチド;および (iii)治療有効量の免疫チェックポイント阻害剤、 を含み、ここでガイドポリヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、ここで融合タンパク質は、ポリヌクレオチドの標的シトシン(C)残基を(T)残基に変更し、ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なヌクレアーゼが、Cas9、Cpf1、またはそのバリアントを含み、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、および ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択される、 前記組成物。 【請求項29】 腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物であって、 (i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)ヌクレアーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および (ii)ガイドヌクレオチド、 を含み、 ここでガイドヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、ここで融合タンパク質は、ポリヌクレオチドにインデルを導入し、任意にここでインデルが、変異またはフレームシフトを引き起こし、ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なヌクレアーゼが、Cas9、Cpf1、またはそのバリアントを含み、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、および ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが前記表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、前記表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換される、前記組成物。 【請求項30】 腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物であって、 (a)プログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)デアミナーゼドメインを含む融合タンパク質を含み、 ここで融合タンパク質は腫瘍細胞に入り、腫瘍細胞中のポリヌクレオチドの標的塩基を脱アミノ化を介して変更し、ここでデアミナーゼドメインがシトシンデアミナーゼを含み、標的塩基がシトシン(C)塩基であり、ここでプログラミング可能なDNA結合ドメインが、Cas9ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cas9ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1ドメイン、およびそれらのバリアントからなる群から選択され、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、および ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが前記表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、前記表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換され、 任意にここで: i)標的C塩基の脱アミノ化が、翻訳コドンにおいてC-G塩基対からチミン-アデニン(T-A)への変更をもたらし、免疫原性ペプチドまたはヘテロクリティックペプチドに異なるアミノ酸の取り込みをもたらす; ii)標的C塩基の脱アミノ化が、遺伝子の非コードイントロン領域においてC-G塩基対からチミン-アデニン(T-A)への変更をもたらし、免疫原性ペプチド配列またはクリプティックペプチド配列の選択的スプライシングおよび翻訳をもたらす;または iii)標的C塩基の脱アミノ化が遺伝子のオープンリーディングフレームの開始(Met)コドンにおいてC-G塩基対からチミン-アデニン(T-A)への変更をもたらし、免疫原性ペプチド配列またはクリプティックペプチド配列を含む代替オープンリーディングフレームの翻訳をもたらす、 前記組成物。 【請求項31】 以下を含むがんワクチン: (i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および(ii)(i)の融合タンパク質を、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化する、ガイドポリヌクレオチド、 ここで(ii)のガイドポリヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、 ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインは、Cas9ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメイン、Cas9ニッカーゼ(nCas9)ドメイン、Cpf1ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1(dCpf1)ドメイン、およびそのバリアントからなる群より選択され、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、および ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが前記表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、前記表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換される、前記がんワクチン。 【請求項32】 融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドおよびガイドポリヌクレオチドを含むがんワクチンであって、ここで融合タンパク質は、(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメインを含み、 ここでガイドポリヌクレオチドは、融合タンパク質を腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、 ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインは、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメイン、Cas9ニッカーゼ(nCas9)ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1ドメイン、およびそのバリアントからなる群より選択され、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、 ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが前記表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、前記表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換される、 前記がんワクチン。 【請求項33】 がんの処置に使用するための請求項1~30のいずれか一項に記載の融合タンパク質およびガイドポリヌクレオチドを含む組成物、または請求項31または32に記載のがんワクチン。 【請求項34】 請求項1~30および33のいずれか一項に記載の組成物であって、ガイドポリヌクレオチドが、以下から選択される前記組成物: (a)配列番号727および893~896からなる群; (b)配列番号728および897からなる群; (c)配列番号729および898~901からなる群; (d)配列番号730および902からなる群; (e)配列番号731および903からなる群; (f)配列番号735および916~920からなる群; (g)配列番号732および904~909;配列番号733および910~912;および配列番号734および913~915からなる群; (h)配列番号740および930~932からなる群; (i)配列番号737および921からなる群; (j)配列番号739および926~929からなる群; (k)配列番号741、933、および934からなる群; (l)配列番号742、935、および936;配列番号743および937~940;配列番号744および941~947;および配列番号745および948~953からなる群; (m)配列番号746および954からなる群; (n)配列番号747~750および955~983からなる群; (o)配列番号751、984、および985からなる群; (p)配列番号724および870~888からなる群; (q)配列番号725および889からなる群; (r)配列番号752、753、および986~998からなる群; (s)配列番号754および999~1005からなる群; (t)配列番号755および1006~1008からなる群; (u)配列番号756および1009~1014からなる群; (v)配列番号757、758、および1015~1023からなる群; (w)配列番号759、760、および1024~1031からなる群;および (x)配列番号761、762、および1032~1056からなる群。」 (2)本件補正後(令和5年5月8日提出の手続補正書)の特許請求の範囲の記載 本件補正後の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである(下線部は、本件補正による補正箇所である。)。 「【請求項1】 免疫原生ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを生産するための組成物であって、 (i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および(ii)ガイドポリヌクレオチド、 を含み、 ここで(ii)のガイドポリヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を、腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、およびここで融合タンパク質は、標的シトシン(C)塩基を、脱アミノ化を介してチミン(T)塩基に変更し、 ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインは、Cas9ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメイン、Cas9ニッカーゼ(nCas9)ドメイン、Cpf1ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1(dCpf1)ドメイン、およびそのバリアントからなる群より選択され、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%配列同一性を有し、および ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換される、 前記組成物。 表4.塩基編集によるコドンの変更 【表1-1】 [図:0001428429000017.jpg] 【表1-2】 [図:0001428429000018.jpg] 表8.終止コドンへの変換 【表2】 [図:0001428429000019.jpg] 【請求項2】 腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドが、腫瘍細胞のゲノムに位置し、任意にここで標的C塩基の脱アミノ化が、C-G塩基対からチミン-アデニン(T-A)塩基対への変更をもたらす、請求項1に記載の組成物。 【請求項3】 ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインが、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメインであり、任意にここでdCas9ドメインのアミノ酸配列が、配列番号1におけるD10AおよびH840A変異に対応する変異を含む、請求項1または2に記載の組成物。 【請求項4】 ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインが、nCas9ドメインであり、任意にここでnCas9ドメインのアミノ酸配列が、配列番号1におけるD10AまたはH840A変異に対応する変異を含み、さらに任意にここでnCas9ドメインのアミノ酸配列が、配列番号1におけるD10A変異に対応する変異を含む、請求項1または2に記載の組成物。 【請求項5】 ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインが、以下: ヌクレアーゼ不活性型Cpf1(dCpf1)ドメイン、任意にここでdCpf1ドメインが、AcidaminococcusまたはLachnospiraceaeの種からのものである;である請求項1または2に記載の組成物。 【請求項6】 免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原生クリプティックエピトープを生産するための組成物であって、 (i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および(ii)ガイドポリヌクレオチド、 を含み、 ここで(ii)のガイドポリヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を、腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、およびここで融合タンパク質は、標的シトシン(C)塩基を、脱アミノ化を介してチミン(T)塩基に変更し、 ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインは、ヌクレアーゼ不活性型アルゴノート(dAgo)ドメイン、任意にここでdAgoドメインが、Natronobacterium gregoryiからのもの(dNgAgo)であり、 ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが前記表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、前記表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換される、 前記組成物。 【請求項7】 シトシンデアミナーゼが、配列番号271~292、303、および1072~1083のいずれかのアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意にここでシトシンデアミナーゼが、配列番号271~292、303、および1072~1083のいずれかのアミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項8】 (i)の融合タンパク質が、ウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)ドメインをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項9】 シトシンデアミナーゼドメインが、ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインのN末端に融合しており、任意にここでUGIドメインが、ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインのC末端に融合している、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項10】 シトシンデアミナーゼおよびガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインが、リンカーを介して融合しており、任意にここでUGIドメインが、ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインにリンカーを介して融合しており、さらに任意にここで融合タンパク質が、以下の構造: (a)NH2-[シトシンデアミナーゼドメイン]-[リンカー配列]-[ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン]-[リンカー配列]-[UGIドメイン]-COOH; (b)NH2-[UGIドメイン]-[リンカー配列]-[シトシンデアミナーゼドメイン]-[リンカー配列]-[ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン]-COOH;または (c)NH2-[シトシンデアミナーゼドメイン]-[リンカー配列]-[ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン]-COOH、を含み、任意にここでリンカーが、(GGGS)n(配列番号337)、(GGGGS)n(配列番号308)、(G)n(配列番号783)、(EAAAK)n(配列番号309)、(GGS)n(配列番号784)、SGSETPGTSESATPES(配列番号310)、(XP)n(配列番号785)、またはこれらのいずれかの組み合わせを含み、ここでnは、独立して1~30の整数であり、Xは、任意のアミノ酸であり、任意にここでリンカーが、アミノ酸配列SGSETPGTSESATPES(配列番号310)を含み、さらに任意にここでリンカーが、(GGS)n(配列番号784)であり、ここでnは、1、3、または7である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項11】 融合タンパク質が、配列番号293~302、1071、および1084のいずれか1つと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意にここで融合タンパク質が、配列番号293~302、1071、および1084のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項12】 腫瘍特異的抗原が、以下からなる群より選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物:gp100;Pmel17;マンマグロビン-A;メラン-A;MART-1;hTERT;TyRP1;HER2;CEA-CAM;NY-BR-1;ERBB2;OA1;PAP;PSA;RAB38;NY-MEL-1;TRP-1;gp75;TRP-2;チロシナーゼ;WT1;CD33;BAGE-1;D393-CD20n;サイクリン-A1;GAGE-1,2,8;GAGE-3,4,5,6,7;GnTVf;HERV-K-MEL;KK-LC-1;KM-HN-1;LAGE-1;LY6K;MAGE-A1;MAGE-A2;MAGE-A3;MAGE-A4;MAGE-A6;MAGE-A9;MAGE-A10;MAGE-A12;MAGE-C1;MAGE-C2;ムチンク;NA88-A;NY-ESO-1;LAGE-2;SAGE;Sp17;SSX-2;SSX-4;サバイビン;BIRC5;TAG-1;TAG-2;TRAG-3;TRP2-INT2g;XAGE-1b;GAGED2a;BCR-ABL(b3a2);アジポフィリン;AIM-2;ALDH1A1;Bcl-X(L);BING-4;CALCA;CD45;CD274;CPSF;サイクリンD1;DKK1;ENAH(hMena);EpCAM;EphA3;EZH2;FGF5;グリピカン-3;G250;MN;CAIX;HER-2;neu;HLA-DOB;ヘプシン;IDO1;IGF2B3;IL13Rα2;腸のカルボキシルエステラーゼ;α-フェトプロテイン;カリクレイン4;KIF20A;Lengsin;M-CSF;MCSP;mdm-2;Meloe;ミッドカイン;MMP-2;MMP-7;MUC1;MUC5AC;p53;PAX5;PBF;PRAME;PSMA;RAGE-1;RGS5;RhoC;RNF43;RU2AS;セセルニン1(secerning 1);SOX10;STEAP1;テロメラーゼ;TPBG;およびVEGF。 【請求項13】 免疫原性エピトープを含有する免疫原性ペプチドを腫瘍特異的抗原から生成することにおける使用のための請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物であって、任意にここで免疫原性エピトープが、ヘテロクリティックエピトープまたはクリプティックエピトープである、前記組成物。 【請求項14】 ヘテロクリティックエピトープが、腫瘍特異的抗原からの天然エピトープよりも、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、またはそれ以上、免疫原性である;またはクリプティックエピトープが、腫瘍特異的抗原からの天然エピトープよりも、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、またはそれ以上、免疫原性である、請求項13に記載の組成物。 【請求項15】 免疫原性ペプチドが、MHCクラスI抗原提示経路を介して、腫瘍細胞の表面に提示される;または免疫原性ペプチドが、MHCクラスII抗原提示経路を介して、抗原提示細胞(APC)の表面に提示される、請求項13または14に記載の組成物。 【請求項16】 脱アミノ化が、ex vivoで実施される、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項17】 APCが、腫瘍細胞、樹状細胞、単核食細胞、胸腺上皮細胞、およびB細胞からなる群より選択される、請求項15または16に記載の組成物。 【請求項18】 免疫原性ペプチドが、腫瘍特異的抗原に対する適応免疫応答を誘導し、任意にここで適応免疫応答が、樹状細胞の成熟、CD4+Tリンパ球の活性化、CD8+Tリンパ球の活性化、Bリンパ球の活性化と成熟、および/または腫瘍抗原特異的抗体の生産を促進することを含み、さらに任意にここで適応免疫応答が、腫瘍細胞を殺傷し、腫瘍サイズを低減し、および/または転移を防止する、請求項13~17のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項19】 ガイドポリヌクレオチドが、RNAであり、任意にここでRNAが、化学修飾されている;またはガイドポリヌクレオチドが、一本鎖DNA(ssDNA)である、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項20】 ガイドポリヌクレオチドが、表5および表7に列挙されるガイドポリヌクレオチドのいずれかから選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。 表5.ヘテロクリティックエピトープ 【表3-1】 [図:0001428429000020.jpg] 【表3-2】 [図:0001428429000021.jpg] 【表3-3】 [図:0001428429000022.jpg] 【表3-4】 [図:0001428429000023.jpg] 【表3-5】 [図:0001428429000024.jpg] 【表3-6】 [図:0001428429000025.jpg] 【表3-7】 [図:0001428429000026.jpg] 【表3-8】 [図:0001428429000027.jpg] 表7.クリプティックエピトープ 【表4-1】 [図:0001428429000028.jpg] 【表4-2】 [図:0001428429000029.jpg] 【表4-3】 [図:0001428429000030.jpg] 【表4-4】 [図:0001428429000031.jpg] 【請求項21】 腫瘍特異的抗原、標的コドン、および塩基編集反応が、以下の表に列挙される組合せのいずれか1つである、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。 【表5】 [図:0001428429000032.jpg] 【請求項22】 腫瘍特異的抗原が、gp100であり;任意にここでgp100が、黒色腫由来であり、およびここで標的C塩基の脱アミノ化が、以下: (a)gp100のコドンT210において、T210I変異をもたらし;任意にここでアミノ酸配列IIDQVPFSV(配列番号786)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のIがT210I変異に対応し;さらに任意にここでガイドポリヌクレオチドが、配列番号724および870~888からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (b)gp100のコドンA288において、A288V変異をもたらし;任意にここでアミノ酸配列YLEPGPVTV(配列番号818)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置7のVがA288V変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが、配列番号725および889からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む;または (c)gp100のコドンT155において、T155I変異をもたらし;任意にここでアミノ酸配列KIWGQYWQV(配列番号787)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のIがT155I変異に対応する、 請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項23】 腫瘍特異的抗原が、以下: (a)T細胞1によって認識される黒色腫抗原(MART-1)であり;任意にここでMART-1抗原が、黒色腫由来であり;さらに任意にここでMART-1のコドンA27における標的C塩基の脱アミノ化がA27V変異をもたらし;任意にここでアミノ酸配列EVAGIGILTV(配列番号819)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のVがA27V変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが、配列番号727および893~896からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (b)がん/精巣抗原1B(NY-ESO-1)であり;任意にここでNY-ESO-1抗原が、黒色腫または乳がん由来であり;任意にここでNY-ESO-1のコドンC165における標的C塩基の脱アミノ化がC165Y変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列SLLMWITQY(配列番号788)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置9のCがC165Y変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号728および897からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (c)チロシナーゼ(TYR)であり、任意にここでTYR抗原が黒色腫由来であり;任意にここでTYRのコドンT373における標的C塩基の脱アミノ化がT373I変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列YMNGIMSQV(配列番号789)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置5のIがT373I変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号729および898~901からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (d)チロシナーゼ関連タンパク質1(TyRP1)であり;任意にここでTyRP1抗原が黒色腫由来であり;任意にここでTyRP1のコドンC244における標的C塩基の脱アミノ化がC244Y変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列DAEKYDICTDEY(配列番号790)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置5のYがC244Y変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号730および902からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (e)サバイビンであり;任意にここでサバイビンが黒色腫、乳がん、または白血病由来であり;任意にここでサバイビンのコドンT97における標的C塩基の脱アミノ化がT97I変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列ELILGEFLKL(配列番号791)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置3のIがT97I変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号731および903からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (f)テロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)であり;任意にここでhTERTが乳がん由来であり;任意にここでhTERTのコドンM549における標的C塩基の脱アミノ化がM549I変異をもたらし、さらに任意にここでアミノ酸配列ILAKFLHWLI(配列番号792)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置10のIがM549I変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号735および916~920からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む;または (g)ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)であり;任意にここでHER2が乳がん由来であり;任意にここで標的C塩基の脱アミノ化が、以下: (i)HER2のコドンV658においてV658M変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列AMVGILLVVV(配列番号793)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のMがV658M変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号732および904~909からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (ii)HER2のコドンT912においてT912I変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列IIWELMTFGA(配列番号794)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のIがT912I変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号733および910~912からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む;または (iii)HER2のコドンA920においてA920V変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列ITWELMTFGV(配列番号795)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置10のVがA920V変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号734および913~915からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、 請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項24】 腫瘍特異的抗原が、以下: (a)CD33であり;任意にここでCD33が白血病由来であり;任意にここでCD33のコドンA65における標的C塩基の脱アミノ化がA65V変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列VIISGDSPV(配列番号796)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置1のVがA65V変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号740および930~932からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (b)滑膜肉腫Xブレークポイント2(SSX2)であり;任意にここでSSX2のコドンA42における標的C塩基の脱アミノ化がA42V変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列KVSEKIFYV(配列番号797)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のVがA42V変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号737および921からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (c)ウィルムス腫瘍1(WT1)タンパク質であり;任意にここでWT1が白血病由来であり、さらに任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号739および926~929からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含み;任意にここで標的C塩基の脱アミノ化が、以下: (i)WT1のコドンC235においてC235Y変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列YMTWNQMNL(配列番号798)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置1のYがC235Y変異に対応する;または (ii)WT1のコドンM236においてM236I変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列CITWNQMNL(配列番号799)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のIがM236I変異に対応する; (d)上皮細胞接着分子前駆体(EpCAM)であり;任意にここでEpCAMのコドンT192における標的C塩基の脱アミノ化がT192I変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列ILYENNVII(配列番号800)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置9のIがT192I変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号741および933~934からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (e)癌胎児性抗原関連細胞接着分子(CEA-CAM)であり;任意にここでCEA-CAMが大腸がん、肺がん、または乳がんに由来し;任意にここで標的C塩基の脱アミノ化が、以下: (i)CEA-CAMのコドンT314においてT314I変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列LLTFWNPPI(配列番号801)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置9のIがT314I変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号742および935~936からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (ii)CEA-CAMのコドンT311においてT311I変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列RITVTTITV(配列番号802)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のVがT311I変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号743および937~940からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (iii)CEA-CAMのコドンT688においてT688V変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列AVVGIMIGV(配列番号803)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のVがT688V変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号744および941~947からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む;または (iv)CEA-CAMのコドンV695においてV695M変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列IMIGMLVGV(配列番号804)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置5のMがV695M変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号745および948~953からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む; (f)黒色腫関連抗原A3(MAGEA3)であり;任意にここでMAGEA3のコドンH118における標的C塩基の脱アミノ化がH118Y変異をもたらし、さらに任意にここでアミノ酸配列KVAELVYFL(配列番号805)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置7のYがH118Y変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号746および954からなる群よる選択されるヌクレオチド配列を含む; (g)黒色腫関連抗原(MAGE)共通抗原A3、A1、A4、A2、またはA12であり;任意にここでMAGE共通抗原A3、A1、A4、A2、またはA12のコドンC181における標的C塩基の脱アミノ化がC181Y変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列YLGLSYDGLL(配列番号806)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置1のYがC181Y変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号747~750および955~983からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む;または (h)MUC-1であり;任意にここでMUC-1のコドンT93における標的C塩基の脱アミノ化がT93I変異をもたらし;さらに任意にここでアミノ酸配列AIWGQDVTSV(配列番号807)を含むヘテロクリティックエピトープが生成され、位置2のIがT93I変異に対応し;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号751および984~985からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、 請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項25】 免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを産生するための組成物であって、 (i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および(ii)ガイドポリヌクレオチド、 を含み、 ここで(ii)のガイドポリヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を、腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、およびここで融合タンパク質は、標的シトシン(C)塩基を、脱アミノ化を介してチミン(T)塩基に変更し、 ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインは、Cas9ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメイン、Cas9ニッカーゼ(nCas9)ドメイン、Cpf1ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1(dCpf1)ドメイン、およびそのバリアントからなる群より選択され、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、および ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基が、以下: (a)プレメラノソームタンパク質(PMEL)遺伝子のイントロン4に位置し;任意にここで標的C塩基の脱アミノ化がアミノ酸配列VYFFLPDHL(配列番号808)を含むクリプティックペプチドをもたらし;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号752~753および986~998からなる群より選択されるヌクレオチドを含む; (b)TYRP1遺伝子のオープンリーディングフレーム1(ORF1)の相補鎖上に位置し;任意にここで標的C塩基がTYRP1遺伝子のORF1の第1の開始コドン(ATG)の相補鎖に位置し;さらに任意にここで標的C塩基の脱アミノ化がアミノ酸配列MSLQRQFLR(配列番号809)を含むクリプティックペプチドをもたらし、およびここでガイドポリヌクレオチドが配列番号754および999~1005からなる群より選択されるヌクレオチドを含む; (c)マンノシル(アルファ-1,6-)-糖タンパク質ベータ-1,6-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(MGAT5)遺伝子のイントロン2の最後の塩基の相補鎖上に位置し;任意にここで標的C塩基の脱アミノ化がアミノ酸配列VLPDVFIRCV(配列番号810)を含むクリプティックペプチドをもたらし;任意にここでクリプティックペプチドがMGAT5遺伝子のエクソン3から翻訳され、さらに任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号755および1006~1008からなる群より選択されるヌクレオチドを含む; (d)がん/精巣抗原2(LAGE-1)遺伝子のオープンリーディングフレーム1(ORF1)に位置し;任意にここで標的C塩基がLAGE-1遺伝子のORF1の第1の開始コドンの相補鎖に位置し;任意にここで標的C塩基の脱アミノ化がMLMAQEALAFL(配列番号811)、LAAQERRVPR(配列番号812)、APRGVRMAV(配列番号813)、QGAMLAAQERRVPRAAEVPR(配列番号814)、およびCLSRRPWKRSWSAGSCPGMPHL(配列番号815)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むクリプティックペプチドをもたらし、およびここでガイドポリヌクレオチドが配列番号756および1009~1014からなる群より選択されるヌクレオチドを含む; (e)チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP-2)遺伝子のイントロン2に位置し;任意にここで標的C塩基がTRP-2遺伝子のイントロン2の第1の塩基の相補鎖上に位置し;さらに任意にここで標的C塩基の脱アミノ化がアミノ酸配列EVISCKLIKR(配列番号816)を含むクリプティックペプチドをもたらし;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号757~758および1015~1023からなる群より選択されるヌクレオチドを含む; (f)バキュロウイルスIAPリピート含有5(BIRC5)遺伝子のイントロン2に位置し;任意にここで標的C塩基がBIRC5遺伝子のイントロン2のスプライソソーム分岐部分に位置し;さらに任意にここで標的C塩基がBIRC5遺伝子のイントロン2の最後の塩基の相補鎖に位置し;任意にここで標的C塩基の脱アミノ化がアミノ酸配列AYACNTSTL(配列番号817)を含むクリプティックペプチドをもたらし;任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号759~760および1024~1031からなる群より選択されるヌクレオチドを含む;または (g)BCR/ABL融合タンパク質(BCR/ABL-OOF)遺伝子のイントロン1アクセプター部位またはBCR/ABL融合タンパク質(BCR/ABL-OOF)遺伝子のイントロン2アクセプター部位に位置し;任意にここで標的C塩基の脱アミノ化がSSKALQRPV(配列番号603)、GFKQSSKAL(配列番号604)、およびATGFKQSSKALQRPVAS(配列番号605)のいずれか1つのアミノ酸配列を含むクリプティックペプチドをもたらし;さらに任意にここでガイドポリヌクレオチドが配列番号761および1032~1045からなる群より選択されるヌクレオチドを含むか、またはここでガイドヌクレオチドが配列番号762および1046~1056からなる群より選択されるヌクレオチドを含む、前記組成物。 【請求項26】 免疫チェックポイント阻害剤の治療有効量と組み合わせて投与され、任意にここで免疫チェックポイント阻害剤がCTLA-4、PD-1、PD-L1、TIM3、LAG3、B7-H3、B7-H4、BTLA、GAL9、Chk1、またはA2aRの、同族結合パートナーへの結合を阻害する、請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物。 【請求項27】 免疫チェックポイント阻害剤が抗体またはそのフラグメントであり、任意にここで抗体が、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗TIM3抗体、抗LAG3抗体、抗B7-H3抗体、抗B7-H4抗体、抗BTLA抗体、抗GAL9抗体、抗Chk1抗体、および抗A2aR抗体から選択される抗体であり、さらに任意にここで抗体が、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、およびイピリムマブから選択される、請求項26に記載の組成物。 【請求項28】 免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを産生するための組成物であって、 (i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質; (ii)ガイドポリヌクレオチド;および (iii)治療有効量の免疫チェックポイント阻害剤、 を含み、ここでガイドポリヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、ここで融合タンパク質は、ポリヌクレオチドの標的シトシン(C)残基を(T)残基に変更し、ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なヌクレアーゼが、Cas9、Cpf1、またはそのバリアントを含み、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、および ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択される、 前記組成物。 【請求項29】 免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを産生するための組成物であって、 (i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)ヌクレアーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および (ii)ガイドヌクレオチド、 を含み、 ここでガイドヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、およびここで融合タンパク質は、ポリヌクレオチドの標的塩基を脱アミノ化を介して変更し、シトシンデアミナーゼを含み、標的塩基がシトシン(C)塩基であり、ここで融合タンパク質は、ポリヌクレオチドにインデルを導入し、任意にここでインデルが、変異またはフレームシフトを引き起こし、ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なヌクレアーゼが、Cas9、Cpf1、またはそのバリアントを含み、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、 ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、および さらにここで標的コドンが、表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換される、前記組成物。 表4.塩基編集によるコドンの変更 【表6-1】 [図:0001428429000033.jpg] 【表6-2】 [図:0001428429000034.jpg] 表8.終止コドンへの変換 【表7】 [図:0001428429000035.jpg] 【請求項30】 免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを産生するための組成物であって、 (a)プログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)デアミナーゼドメインを含む融合タンパク質を含み、 ここで融合タンパク質は腫瘍細胞に入り、腫瘍細胞中のポリヌクレオチドの標的塩基を脱アミノ化を介して変更し、ここでデアミナーゼドメインがシトシンデアミナーゼを含み、標的塩基がシトシン(C)塩基であり、ここでプログラミング可能なDNA結合ドメインが、Cas9ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cas9ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型アルゴノートドメイン、およびそれらのバリアントからなる群から選択され、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、 ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、および さらにここで標的コドンが、表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換され、 任意にここで: i)標的C塩基の脱アミノ化が、翻訳コドンにおいてC-G塩基対からチミン-アデニン(T-A)への変更をもたらし、免疫原性ペプチドまたはヘテロクリティックペプチドに異なるアミノ酸の取り込みをもたらす; ii)標的C塩基の脱アミノ化が、遺伝子の非コードイントロン領域においてC-G塩基対からチミン-アデニン(T-A)への変更をもたらし、免疫原性ペプチド配列またはクリプティックペプチド配列の選択的スプライシングおよび翻訳をもたらす;または iii)標的C塩基の脱アミノ化が遺伝子のオープンリーディングフレームの開始(Met)コドンにおいてC-G塩基対からチミン-アデニン(T-A)への変更をもたらし、免疫原性ペプチド配列またはクリプティックペプチド配列を含む代替オープンリーディングフレームの翻訳をもたらす、 前記組成物。 表4.塩基編集によるコドンの変更 【表8-1】 [図:0001428429000036.jpg] 【表8-2】 [図:0001428429000037.jpg] 表8.終止コドンへの変換 【表9】 [図:0001428429000038.jpg] 【請求項31】 以下を含む、免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを産生するためのがんワクチン: (i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および(ii)(i)の融合タンパク質を、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化する、ガイドポリヌクレオチド、 ここで(ii)のガイドポリヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、およびここで融合タンパク質は、ポリヌクレオチドの標的塩基を脱アミノ化を介して変更し、標的塩基がシトシン(C)塩基であり、 ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインは、Cas9ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメイン、Cas9ニッカーゼ(nCas9)ドメイン、Cpf1ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1(dCpf1)ドメイン、およびそのバリアントからなる群より選択され、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、 ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、および さらにここで標的コドンが、表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換される、前記がんワクチン。 表4.塩基編集によるコドンの変更 【表10-1】 [図:0001428429000039.jpg] 【表10-2】 [図:0001428429000040.jpg] 表8.終止コドンへの変換 【表11】 [図:0001428429000041.jpg] 【請求項32】 融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドおよびガイドポリヌクレオチドを含む、免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを産生するためのがんワクチンであって、ここで融合タンパク質は、(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメインを含み、 ここでガイドポリヌクレオチドは、融合タンパク質を腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、およびここで融合タンパク質は、ポリヌクレオチドの標的塩基を脱アミノ化を介して変更し、標的塩基がシトシン(C)塩基であり、 ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインは、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメイン、Cas9ニッカーゼ(nCas9)ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型アルゴノートドメイン、およびそのバリアントからなる群より選択され、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、 ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換される、 前記がんワクチン。 表4.塩基編集によるコドンの変更 【表12-1】 [図:0001428429000042.jpg] 【表12-2】 [図:0001428429000043.jpg] 表8.終止コドンへの変換 【表13】 [図:0001428429000044.jpg] 【請求項33】 がんの処置に使用するための請求項1~30のいずれか一項に記載の融合タンパク質およびガイドポリヌクレオチドを含む組成物、または請求項31または32に記載のがんワクチン。 【請求項34】 請求項1~30および33のいずれか一項に記載の組成物であって、ガイドポリヌクレオチドが、以下から選択される前記組成物: (a)配列番号727および893~896からなる群; (b)配列番号728および897からなる群; (c)配列番号729および898~901からなる群; (d)配列番号730および902からなる群; (e)配列番号731および903からなる群; (f)配列番号735および916~920からなる群; (g)配列番号732および904~909;配列番号733および910~912;および配列番号734および913~915からなる群; (h)配列番号740および930~932からなる群; (i)配列番号737および921からなる群; (j)配列番号739および926~929からなる群; (k)配列番号741、933、および934からなる群; (l)配列番号742、935、および936;配列番号743および937~940;配列番号744および941~947;および配列番号745および948~953からなる群; (m)配列番号746および954からなる群; (n)配列番号747~750および955~983からなる群; (o)配列番号751、984、および985からなる群; (p)配列番号724および870~888からなる群; (q)配列番号725および889からなる群; (r)配列番号752、753、および986~998からなる群; (s)配列番号754および999~1005からなる群; (t)配列番号755および1006~1008からなる群; (u)配列番号756および1009~1014からなる群; (v)配列番号757、758、および1015~1023からなる群; (w)配列番号759、760、および1024~1031からなる群;および (x)配列番号761、762、および1032~1056からなる群。」 2.本件補正 本件補正は、特許請求の範囲について、次の補正事項を含むものである。 (1)補正事項1 本件補正前の請求項1の「腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物」を、補正後の請求項1の「免疫原生ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを生産するための組成物」とする補正。 (なお、本件補正後の請求項1では、「免疫原生ヘテロクリティックエピトープ」と記載されているが、「免疫原性ヘテロクリティックエピトープ」の誤記であることは明らかであるから、以下、そのように解して検討する。) (2)補正事項2 本件補正前の請求項6の「腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物」を、補正後の請求項6の「免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原生クリプティックエピトープを生産するための組成物」とする補正。 (なお、本件補正後の請求項6では、「免疫原生クリプティックエピトープ」と記載されているが、「免疫原性ヘテロクリティックエピトープ」の誤記であることは明らかであるから、以下、そのように解して検討する。) (3)補正事項3 本件補正前の請求項25の「腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物」を、補正後の請求項25の「免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを生産するための組成物」とする補正。 (4)補正事項4 本件補正前の請求項28の「がんを処置するための組成物」を、「免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを生産するための組成物」とする補正。 (5)補正事項5 本件補正前の請求項29の「腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物」を、補正後の請求項29の「免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを生産するための組成物」とする補正。 (6)補正事項6 本件補正前の請求項30の「腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物」を、補正後の請求項30の「免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを生産するための組成物」とする補正。 3 補正の適否 (1)拒絶査定不服審判を請求する場合において、その審判の請求と同時にするときに特許請求の範囲についてする補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げられた事項を目的とするものに限られる。そして、補正が第17条の2第5項第2号の限定的減縮を目的とするものというためには、補正が補正前の請求項に記載した発明を特定するために必要な事項(以下「発明特定事項」ということがある。)を限定したものに限られる。 (2)補正事項1に係る補正が「本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定したもの」といえるか否かについて 補正事項1は、請求項1について、「腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物」を「免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを生産するための組成物」との発明特定事項へと変更する補正であって、この補正事項は組成物の用途を異なるものへと変更する補正である。 ここで、【0084】には、「「免疫応答」とは、細菌、ウイルス、および身体に異物であり有害であると思われる物質に対して、身体がそれ自体を認識し、防御する方法である。」と記載されていることから、補正前の「腫瘍特異的免疫応答を誘導するため」とは、身体、すなわち、in vivoでの腫瘍特異的免疫応答を誘導することを目的とするものである。 これに対し、補正後の「免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを生産するため」という用途について、本願明細書の発明の詳細な説明の記載をみると【0004】には、「本明細書に記載されるのは、in vivoまたはex vivoでがんワクチンとして使用され得る、腫瘍特異的抗原に由来する免疫原性ペプチド(例えば、ヘテロクリティックエピトープまたはクリプティックエピトープ)を生産するための、システム、方法、組成物、およびキットである」と記載され、【0162】には、「本開示のいくつかの側面は、腫瘍特異的抗原をコードする遺伝子をin vivo(例えば、対象における腫瘍細胞)でまたはex vivo(例えば、単離された腫瘍細胞)で編集して、腫瘍特異的抗原をコードする遺伝子に変異を導入する、システム、組成物、および方法を提供する。」と記載され、及び【0285】には、「本明細書に記載の組成物またはがんワクチン(例えば、改変された腫瘍細胞を含む全細胞ワクチン)は、がんを処置するために、それを必要とする対象に治療有効量で投与することができる。」と記載されていることからみて、補正後の「免疫原性 ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを生産するため」とは、in vivoにおける「免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープ」の「生産」だけでなく、ex vivoでの全細胞ワクチンの生産のために、例えば単離された腫瘍細胞において「免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを生産する」ことまでをも目的として含むものになる。このことは、請求人自身が、令和5年6月29日提出の手続補正書(方式)により補正された審判請求書の請求の理由において、補正後の請求項1は、「in vivoまたはex vivoで」「免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原生クリプティックエピトープを生産するための組成物」を提供するものであると主張していることに符合する(令和5年6月29日提出の手続補正書(方式)の3.(2)(2-1))。 そうすると、補正後の請求項1において特定される事項は、補正前の請求項1において特定される事項を限定した関係にあるものではなく、むしろ用途を拡張するものであるから、補正事項1に係る補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。 (3)特許法17条の2第5項各号のその他の補正要件について 補正事項1に係る補正は、特許法17条の2第5項1、3、4号それぞれに掲げる、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。 (4)補正事項2~4、6について 補正事項2~4、6はそれぞれ、請求項6、25、29、30について、「腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物」との発明特定事項を「免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを生産するための組成物」との発明特定事項へと変更する補正であるところ、上記(2)で説示した理由と同様に、これらの補正事項は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。 また、補正事項2~4、6に係る補正は、特許法17条の2第5項1、3、4号それぞれに掲げる、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。 (5)補正事項5 補正事項5は、請求項28について「がんを処置するための組成物」との発明特定事項を「免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを生産するための組成物」へと変更する補正であって、この補正事項は組成物の用途を異なるものへと変更する補正である。そして、技術常識からみて、補正前の「がんを処置するため」とは、in vivoでがんを処置することを目的とするものであるのに対し、補正後の「免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを生産するため」は、上記(2)で説示したとおり、in vivoだけでなく、ex vivoにて、細胞において「免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを生産する」ことまでをも目的として含むものになる。 そうすると、補正後の請求項28において特定される事項は、補正前の請求項28において特定される事項を限定した関係にあるものではなく、むしろ用途を拡張するものであるから、補正事項5に係る補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。 また、補正事項5に係る補正は、特許法17条の2第5項1、3、4号にそれぞれに掲げる、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。 (6)請求人の主張 請求人は、審判請求書を補正する令和5年6月29日提出の手続補正書(方式)において、請求項1、6、25、29および30に記載の「腫瘍特異的応答を誘導するための組成物」並びに請求項28に記載の「がんを処置するための組成物」を、本願明細書【0004】等の記載に依拠して、「免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを生産するための組成物」とした補正は、いずれも、特許請求の範囲の限定的な減縮を目的としたものである旨を主張する。 しかしながら、請求人は、本願明細書【0004】等の記載に依拠して限定した、と述べるに留まり、補正事項1~6に係る補正が補正前の発明特定事項の限定にあたる具体的な理由を何ら挙げていない。そして、請求人が挙げる【0004】をみても、補正後の「免疫原性ヘテロクリティックエピトープまたは免疫原性クリプティックエピトープを生産するための組成物」は、補正前の「腫瘍特異的応答を誘導するための組成物」又は「がんを処置するための組成物」という発明特定事項を限定するものではなく、むしろ用途を拡張するものであることは、上記(2)、(4)及び(5)で述べたとおりである。 したがって、請求人の主張は採用できない。 (7)小括 以上のとおり、補正事項1~6に係る補正は、特許法第17条の2第5項各号のいずれを目的とするものとはいえない。 よって、これらの補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項に違反するものである。 3 補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明 上記第2のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項1~34に係る発明(以下、請求項番号の順に「本願発明1」等という。)は、令和4年10月11日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~34に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1、6、29~32に係る発明は、次のとおりである。 「【請求項1】 腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物であって、 (i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および(ii)ガイドポリヌクレオチド、 を含み、 ここで(ii)のガイドポリヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を、腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、およびここで融合タンパク質は、標的シトシン(C)塩基を、脱アミノ化を介してチミン(T)塩基に変更し、 ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインは、Cas9ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメイン、Cas9ニッカーゼ(nCas9)ドメイン、Cpf1ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1(dCpf1)ドメイン、およびそのバリアントからなる群より選択され、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%配列同一性を有し、および ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換される、 前記組成物。 表4.塩基編集によるコドンの変更 【表1-1】 [図:0001428429000045.jpg] 【表1-2】 [図:0001428429000046.jpg] 表8.終止コドンへの変換 【表2】 [図:0001428429000047.jpg] 」 「【請求項6】 腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物であって、 (i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および(ii)ガイドポリヌクレオチド、 を含み、 ここで(ii)のガイドポリヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を、腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、およびここで融合タンパク質は、標的シトシン(C)塩基を、脱アミノ化を介してチミン(T)塩基に変更し、 ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインは、ヌクレアーゼ不活性型アルゴノート(dAgo)ドメイン、任意にここでdAgoドメインが、Natronobacterium gregoryiからのもの(dNgAgo)であり、 ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが前記表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、前記表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換される、 前記組成物。」 「【請求項29】 腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物であって、 (i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)ヌクレアーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および (ii)ガイドヌクレオチド、 を含み、 ここでガイドヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、ここで融合タンパク質は、ポリヌクレオチドにインデルを導入し、任意にここでインデルが、変異またはフレームシフトを引き起こし、ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なヌクレアーゼが、Cas9、Cpf1、またはそのバリアントを含み、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、および ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが前記表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、前記表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換される、前記組成物。」 「【請求項30】 腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物であって、 (a)プログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)デアミナーゼドメインを含む融合タンパク質を含み、 ここで融合タンパク質は腫瘍細胞に入り、腫瘍細胞中のポリヌクレオチドの標的塩基を脱アミノ化を介して変更し、ここでデアミナーゼドメインがシトシンデアミナーゼを含み、標的塩基がシトシン(C)塩基であり、ここでプログラミング可能なDNA結合ドメインが、Cas9ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cas9ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1ドメイン、およびそれらのバリアントからなる群から選択され、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、および ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが前記表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、前記表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換され、 任意にここで: i)標的C塩基の脱アミノ化が、翻訳コドンにおいてC-G塩基対からチミン-アデニン(T-A)への変更をもたらし、免疫原性ペプチドまたはヘテロクリティックペプチドに異なるアミノ酸の取り込みをもたらす; ii)標的C塩基の脱アミノ化が、遺伝子の非コードイントロン領域においてC-G塩基対からチミン-アデニン(T-A)への変更をもたらし、免疫原性ペプチド配列またはクリプティックペプチド配列の選択的スプライシングおよび翻訳をもたらす;または iii)標的C塩基の脱アミノ化が遺伝子のオープンリーディングフレームの開始(Met)コドンにおいてC-G塩基対からチミン-アデニン(T-A)への変更をもたらし、免疫原性ペプチド配列またはクリプティックペプチド配列を含む代替オープンリーディングフレームの翻訳をもたらす、 前記組成物。」 「【請求項31】 以下を含むがんワクチン: (i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および(ii)(i)の融合タンパク質を、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化する、ガイドポリヌクレオチド、 ここで(ii)のガイドポリヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、 ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインは、Cas9ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメイン、Cas9ニッカーゼ(nCas9)ドメイン、Cpf1ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1(dCpf1)ドメイン、およびそのバリアントからなる群より選択され、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、および ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが前記表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、前記表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換される、前記がんワクチン。」 「【請求項32】 融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドおよびガイドポリヌクレオチドを含むがんワクチンであって、ここで融合タンパク質は、(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメインを含み、 ここでガイドポリヌクレオチドは、融合タンパク質を腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、 ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインは、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメイン、Cas9ニッカーゼ(nCas9)ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1ドメイン、およびそのバリアントからなる群より選択され、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、 ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが前記表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、前記表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換される、 前記がんワクチン。」 第4 原査定の理由 原査定の拒絶の理由の概要は次のとおりである。 (1)特許法第36条第4項第1号(実施可能要件) 本願の発明の詳細な説明には、実際に、請求項1において特定される構成を有する「組成物」を製造し、腫瘍特異的免疫応答を誘導できることを確認したことは記載されておらず、いかなる腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、ポリヌクレオチドにいかなる変異導入した場合に、腫瘍特異的免疫応答を誘導できるかについても不明であって、あらゆる、請求項1に規定される「(i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および(ii)ガイドポリヌクレオチドを含む」組成物の中から、「腫瘍特異的免疫応答を誘導」可能である組成物をスクリーニングによって得るためには、当業者といえども過度の試行錯誤を要することから、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでなく、請求項2~34も同様である。したがって、本願は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 (2)特許法第36条第6項第1号(サポート要件) 発明の詳細な説明に開示された内容を、請求項1~34に係る発明の範囲にまで発明の詳細な説明の内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 第5 当審の判断 1 特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)について (1)本願明細書の記載 本願明細書には以下の記載がある。(なお、下線は強調のために当審合議体で付与した。) 「【0002】 発明の背景 腫瘍特異的免疫応答は、腫瘍細胞内または腫瘍細胞表面で発現されたタンパク質から生成されるペプチド(例えば、腫瘍特異的抗原)により、誘導され得る。腫瘍特異的抗原に由来する天然ペプチドは、免疫系により「自己」として耐容され、腫瘍特異的抗原に対する強い免疫応答を誘導しない。腫瘍特異的抗原に由来する天然ペプチドの変更バージョン(例えば、ヘテロクリティックペプチドまたはクリプティックペプチド)は、MHC-IおよびMHC-II抗原提示経路を介して強力な免疫反応を誘導するように操作され得、これはまた、天然の腫瘍特異的抗原配列に対する交差反応性応答を生成する。 【0004】 本明細書に記載されるのは、in vivoまたはex vivoでがんワクチンとして使用され得る、腫瘍特異的抗原に由来する免疫原性ペプチド(例えば、ヘテロクリティックエピトープまたはクリプティックエピトープ)を生産するための、システム、方法、組成物、およびキットである。標的変異は、遺伝子編集剤、例えばシトシンデアミナーゼに融合したプログラミング可能なDNA結合ドメインを含む核酸塩基エディター(例えば、触媒的に不活性なCas9またはCas9ニッカーゼ)を使用して、腫瘍特異的抗原に導入され、腫瘍特異的抗原から生じるペプチド(ヘテロクリティックエピトープ)、または腫瘍特異的抗原遺伝子の通常非翻訳領域から生じるペプチド(クリプティックペプチド)の変更バージョンを生成する。ヘテロクリティックペプチドまたはクリプティックペプチドは、in vivoで対象(例えば、がんを有する対象)で生成され、MHCクラスIまたはMHCクラスII経路を介して適応免疫系に提示され、これは次に、強い適応免疫応答を、例えばT細胞応答およびB細胞応答を誘導する。かかる適応免疫応答は抗原特異的であり、腫瘍の成長を抑え転移を防ぐのに効果的である。 【0063】 本明細書においてさらに提供されるのは、腫瘍特異的免疫応答を、それを必要とする対象において誘導する方法であり、該方法は、対象に、(i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)ヌクレアーゼドメインを含む融合タンパク質;および(ii)ガイドヌクレオチド配列、を含む組成物の治療有効量を投与することを含み、ここで(i)の融合タンパク質および(ii)のガイドヌクレオチド配列は腫瘍細胞に入り、およびここでガイドヌクレオチド配列は、(i)の融合タンパク質を腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、ここで融合タンパク質は、ポリヌクレオチドにインデルを導入する。いくつかの態様において、ヌクレアーゼはFokIヌクレアーゼである。 【0065】 いくつかの態様において、ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なヌクレアーゼは、Cas9、Cpf1、アルゴノート、またはそのバリアントを含む。いくつかの態様において、インデルは、変異またはフレームシフトを引き起こす。 【0101】 「ヘテロクリティックエピトープ」または「ヘテロクリティックアナログ」とは、強力な免疫反応を誘導するように操作された、内在性ペプチド配列(すなわち、アナログ)の変更バージョンを指す。ヘテロクリティックエピトープは、所与の用量に対する応答の増加、または同じ応答を達成するためのより少ない量の要件によって測定された場合に、特定のT細胞に対する増強された刺激能力または効力を有し、したがってこれらのエピトープは、天然のエピトープによって誘導されるものよりも強いT細胞応答を誘導するため、ワクチン成分としての利点を提供する。 【0103】 「クリプティックエピトープ」とは、抗原プロセシング/提示を必ずしも受ける必要がなく、かつ免疫認識から「隠される」自己抗原に由来するエピトープを指す。クリプティックエピトープは通常、非常に低い濃度でAPCに現れ、自己反応性T細胞を削除しない。クリプティックエピトープは、異常に高い濃度で産生されるか、または天然抗原の構成から解放されない限り、T細胞による認識のために提示されない。腫瘍特異的抗原に由来するクリプティックエピトープを使用して、腫瘍に対するT細胞の寛容を破り、腫瘍に対する強力な免疫応答を誘導することができる。かかる原理は、Pardoll, et al., PNAS, Vol. 96, pp. 5340-5342 (1999)に記載されており、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。 【0105】 本明細書で使用される「がんワクチン」は、腫瘍または腫瘍特異的抗原に対する腫瘍特異的免疫応答を誘導する組成物を指す。かかる免疫応答は、腫瘍成長の阻害および/または腫瘍の再発防止に効果的である。 【0114】 本明細書で使用される「ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質」とは、DNAに結合することができるタンパク質、ポリペプチド、またはドメインを指し、その標的DNA配列への結合は、ガイドヌクレオチド配列によって媒介される。したがって、ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質は、ガイドヌクレオチド配列に結合することが理解される。「ガイドヌクレオチド」は、標的配列に相補的であり、DNA結合タンパク質を標的配列に誘導できる、RNA分子またはDNA分子(例えば、一本鎖DNAまたはssDNA分子)であり得る。いくつかの態様において、ガイドヌクレオチド配列は、オリゴヌクレオチド配列である。したがって、ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質は、RNAによりプログラミング可能なDNA結合タンパク質(例えばCas9タンパク質)、またはssDNAによりプログラミング可能なDNA結合タンパク質(例えばアルゴノートタンパク質)であってもよい。「プログラミング可能な」とは、DNA結合タンパク質を、ガイドヌクレオチドが標的とする任意のDNA配列に結合するようにプログラミングできることを意味する。 【0143】 本発明の特定の態様の詳細な説明 免疫系はがんの成長の予防に重要であり、がんの発生に対する免疫学的耐性を提供するために「免疫監視」が存在する(例えばOld et al., Annu Rev Med 1964; 15: 167-186; Burnet et al., Prog Exp Tumor Res 1970; 13: 1-27;およびGraziano et al., Cancer Treat Res 2005; 123: 89-111に記載されている;それぞれは参照により本明細書に組み込まれる)。 【0144】 免疫監視の存在にもかかわらず、がん細胞の免疫監視を回避する能力のために、がんは明らかに免疫適格な動物およびヒトでも発生し得る(例えば、Hanahan et al., Cell 2000; 100: 57-70およびZitvogel et al., Nat Rev Immunol 2006; 6: 715-727に記載されている;それぞれは参照により本明細書に組み込まれる)。がん細胞の免疫監視の回避は、十分に特徴づけられたさまざまなメカニズムを介して発生し、これには以下が含まれる:自発性(autochthonous)腫瘍によるT細胞寛容の誘導(例えば、Willimsky et al., Nature 2005; 437: 141-146に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる)、がん免疫編集(例えば、Dunn et al., Nat Immunol 2002; 3: 991-998に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる)、および免疫抑制性のがん微小環境の発現(例えば、Zou et al., Nat Rev Cancer 2005; 5: 263-274に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる)。腫瘍の進行を遅らせ、再発を防ぐために、腫瘍の発生後に免疫応答を強化するための潜在的なアプローチとして、治療用がんワクチンまたは養子免疫療法が開発され、試験されている。免疫療法的アプローチ、例えば、がんワクチンが記載されたが、部分的にしか成功していない(例えば、Finn et al., Nat Rev Immunol 2003; 3: 630-641に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる)。 【0147】 内在性がんワクチンをin vivoで生産する方法は、本明細書に記載の標的化核酸塩基編集技術により可能となる。かかる塩基編集技術は、当技術分野で例えば以下に記載されている:米国特許第9,068,179号、米国特許出願公開US 2015/0166980、US 2015/0166981、US 2015/0166982、US20150166984、およびUS20150165054、および米国特許仮出願U.S.S.N. 62/245,828(2015年10月23日出願);62/279,346(2016年1月15日出願);62/311,763(2016年3月22日出願);62/322178(2016年4月13日出願);62/357,352(2016年6月30日出願);62,370,700(2016年8月3日出願);62/398,490(2016年9月22日出願);62/408686(2016年10月14日出願);PCT出願 PCT/US2016/058344(2016年10月26日出願);米国特許出願15/311,852(2016年10月22日出願);およびKomor et al., Nature, Programmable editing of a target base in genomic DNA without double-stranded DNA cleavage, 533, 420-424 (2016);それぞれの内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。 【0169】 腫瘍関連抗原遺伝子を編集するために、腫瘍関連抗原遺伝子(ポリヌクレオチド分子)を核酸塩基エディターと接触させることができ、ここで核酸塩基エディターはその標的配列に結合し、所望の塩基を編集する。例えば、核酸塩基エディターは、編集が望まれる細胞(例えば、腫瘍)で発現され、核酸塩基エディターによる腫瘍関連抗原遺伝子の編集を可能にし得る。いくつかの態様において、腫瘍関連抗原遺伝子におけるその標的配列への核酸塩基エディターの結合は、ガイドヌクレオチド配列、例えば、腫瘍関連抗原遺伝子における標的配列の鎖の1つに相補的なヌクレオチド配列を含むヌクレオチド分子によって、媒介される。したがって、ガイドヌクレオチド配列を設計することにより、核酸塩基エディターは、任意の腫瘍関連抗原遺伝子の任意の標的塩基を編集するようにプログラムすることができる。いくつかの態様において、ガイドヌクレオチド配列は、編集が望まれる腫瘍細胞において、核酸塩基エディターと共発現される。いくつかの態様において、核酸塩基エディター/gRNA複合体は、編集が望まれる細胞(例えば、腫瘍細胞)に送達される。 【0171】 コドン変更 本明細書において記載される核酸塩基エディターを用いて、いくつかのアミノ酸コドンを、当該コドン中の標的塩基の脱アミノ化を介して、異なるコドンに変換することができる。例えば、いくつかの態様において、シトシン(C)塩基は、シトシンデアミナーゼドメイン(例えば、APOBEC1またはAID)を含む核酸塩基エディターによる脱アミノ化を介して、チミン(T)塩基に変換される。脱アミノ化(例えば、APOBEC1またはAIDなどのシトシンデアミナーゼによる)を介するCからTへの変更の間に、シトシンは、初めにウリジン(U)に変換され、G:Uミスマッチをもたらすことは、注目に値する。G:Uミスマッチは、次いで、DNA修復および複製経路によりT:A対に変換されて、それにより、元のシトシンの位置にチミンを導入する。こうして、C塩基の脱アミノ化は、C-G塩基対のT-A塩基対による置き換えをもたらす。 【0172】 当業者が精通しているとおり、アミノ酸コドン中の塩基の変換は、当該コドンがコードするアミノ酸の変更をもたらし得る。シトシンデアミナーゼは、脱アミノ化を介して、シトシン(C)塩基をチミン(T)塩基に変換することができる。したがって、C塩基を含むアミノ酸コドンについて、C塩基を直接Tに変換することができることが想起される。例えば、ロイシンのコドン(CTC)を、コード鎖上の第1のCの脱アミノ化を介して、 TTC(フェニルアラニン)コドンに変換することができる。グアニン(G)塩基を含むアミノ酸コドンについて、C塩基が相補鎖上に存在する;そして、G塩基は、相補鎖上のCの脱アミノ化を介して、アデノシン(A)に変換することができる。例えば、 [図:0001428429000048.jpg] コドンは、相補鎖上の第3のCの脱アミノ化を介して、 [図:0001428429000049.jpg] コドンに変換することができる。いくつかの態様において、あるコドンを異なるコドンに変換するために、2つのCからTへの変更が必要とされる。本開示の核酸塩基エディターにより任意の腫瘍関連抗原において作製することができる、可能な変異の非限定的な例を、表4にまとめる。 表4.塩基編集による例示的なコドンの変更 [図:0001428429000050.jpg] [図:0001428429000051.jpg] 【0173】 塩基編集を介して導入されるかかるアミノ酸置換は、ヘテロクリティックエピトープを生成する。腫瘍関連抗原から核酸塩基エディターによって生成され得るヘテロクリティックエピトープの非限定的な例を、表5にまとめる。 【0175】 核酸塩基エディターをその標的配列に標的化して特定の変異を腫瘍関連抗原遺伝子に誘導するために使用し得るガイド配列を、表5に提供する。本明細書において提示される変異およびガイド配列は、単に説明を目的とするものであって、限定的であることを意図しないことが、理解されるべきである。 表5.ヘテロクリティックエピトープ [図:0001428429000052.jpg] [図:0001428429000053.jpg] [図:0001428429000054.jpg] [図:0001428429000055.jpg] [図:0001428429000056.jpg] [図:0001428429000057.jpg] [図:0001428429000058.jpg] [図:0001428429000059.jpg] 【0177】 本明細書に記載の塩基編集方法を使用して生産され得る非限定的な例示的クリプティックエピトープを、表7に提供する。 表7.クリプティックエピトープ [図:0001428429000060.jpg] [図:0001428429000061.jpg] [図:0001428429000062.jpg] [図:0001428429000063.jpg] 【0178】 いくつかの態様において、核酸塩基エディターを使用して、未成熟な終止コドン(正常終止コドンの上流に存在する終止コドン)を腫瘍特異的抗原遺伝子(例えば、TAA、TAG、およびTGA)に導入することができる。いくつかの態様において、未成熟な終止コドンの導入は、腫瘍特異的抗原を不安定化する。いくつかの態様において、腫瘍特異的抗原の不安定化は、免疫原性エピトープ(例えば、ヘテロクリティックエピトープまたはクリプティックエピトープ)の増強された提示をもたらす。 【0179】 未成熟な終止コドンは、標的残基をコードする標的コドンの1つ以上の塩基を変更することにより導入される。例えば、シトシンデアミナーゼドメインを含む核酸塩基エディターは、脱アミノ化を介して、シトシン(C)塩基をチミン(T)塩基に変換することができる。したがって、C塩基を含むアミノ酸コドンについて、C塩基をTに変換し得ることが想起される。例えば、CAG(Gln/Q)コドンを、コード鎖上の第1のCの脱アミノ化を介して、TAG(アンバー)コドンに変更することができる。グアニン(G)塩基を含むセンスコドンについて、C塩基が相補鎖上に存在する;そして、G塩基は、相補鎖上のCの脱アミノ化を介して、アデノシン(A)に変換することができる。例えば、TGG(Trp/W)コドンを、相補鎖上の第2のCの脱アミノ化を介して、TAG(アンバー)コドンに変換することができる。いくつかの態様において、コドンをナンセンスコドンに変換するために、CからTへの2つの変更が必要とされる。例えば、CGG(R)コドンは、コード鎖上の第1のCの脱アミノ化および相補鎖上の第2のCの脱アミノ化を介して、TAG(アンバー)コドンに変換される。 【0180】 いくつかの態様において、標的残基は、腫瘍特異的抗原の柔軟なループ領域に位置する。いくつかの態様において、タンデムな未成熟の終止コドンが導入される。塩基編集を介して終止コドンに変更し得るコドンの非限定的な例を、表8に示す。 表8.終止コドンへの変換 [図:0001428429000064.jpg] 【0285】 治療薬 本明細書に記載の組成物またはがんワクチン(例えば、改変された腫瘍細胞を含む全細胞ワクチン)は、がんを処置するために、それを必要とする対象に治療有効量で投与することができる。本明細書に記載の組成物およびがんワクチンは、腫瘍特異的な適応反応を誘導する。がん細胞は、免疫チェックポイントを利用して免疫監視を回避することが知られている。したがって、いくつかの態様においては、本明細書に記載の組成物またはがんワクチンに加えて、免疫チェックポイントの活性を調節する薬剤も投与し、がんワクチンによって誘導される腫瘍特異的免疫応答を増進する。 【0299】 1つ以上の薬剤の投与は、例えば、患者の生理学的状態、投与の目的が治療的であるか予防的であるか、および熟練の医師にとって公知の他の要因に依存して、連続的であっても間欠的であってもよい。薬剤(例えば、がんワクチン)の投与は、本質的に、予め選択された期間にわたって連続的であってもよく、または、一連の間隔を空けた用量、例えば、疾患を発症する前、発症中、または発症後のいずれかであってもよい。本明細書において用いられる場合、用語「処置する」とは、疾患または疾患の症状、または疾病素因を、治癒させる(cure)か、治す(heal)か、緩和する(alleviate)か、軽減する(relieve)か、変化させるか、治療する(remedy)か、寛解させる(ameliorate)か、改善するか、またはこれに影響を及ぼすことを意味する。本明細書において用いられる場合、用語「処置すること」とは、本明細書に記載の組成物またはがんワクチンの、それを必要とする対象への適用または投与を指す。 【実施例】 【0306】 本明細書の開示がより完全に理解され得るために、以下の例を記載する。本願において記載される合成例は、本明細書において提供される化合物および方法を説明するために提供され、決してそれらの範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。 【0307】 例1:ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン、デアミナーゼ、および塩基エディター 好適なガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインの非限定的な例が提供される。本開示は、Cas9バリアント、例えば1つ以上の生物からのCas9タンパク質を提供し、これは1つ以上の変異を含み得る(例えば、dCas9またはCas9ニッカーゼを創るため)。いくつかの態様において、以下でアステリスク(asterek)により同定されているCas9タンパク質のアミノ酸残基の1つ以上は、変異させられ得る。いくつかの態様において、配列番号1によって提供されるアミノ酸配列のD10および/またはH840残基、または配列番号11~260によって提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する変異は、変異している。いくつかの態様において、配列番号1によって提供されるアミノ酸配列のD10残基、または配列番号11~260によって提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する変異は、D以外のいずれかのアミノ酸残基に変異している。いくつかの態様において、配列番号1によって提供されるアミノ酸配列のD10残基、または配列番号11~260によって提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する変異は、Aに変異している。いくつかの態様において、配列番号1によって提供されるアミノ酸配列のH840残基、または配列番号11~260によって提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する残基は、Hである。いくつかの態様において、配列番号1によって提供されるアミノ酸配列のH840残基、または配列番号11~260によって提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する変異は、H以外のいずれかのアミノ酸残基に変異している。いくつかの態様において、配列番号1によって提供されるアミノ酸配列のH840残基、または配列番号11~260によって提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する変異は、Aに変異している。いくつかの態様において、配列番号1によって提供されるアミノ酸配列のD10残基、または配列番号11~260によって提供されるアミノ酸配列のいずれかにおける対応する残基は、Dである。 【0308】 様々な種からのいくつものCas9配列をアラインメントして、配列番号1または配列番号11のD10およびH840の対応する相同なアミノ酸残基が他のCas9タンパク質中に同定され、相同なアミノ酸残基の対応する変異を有するCas9バリアントの生成を許し得るかどうかを決定した。アラインメントはNCBI Constraint-based Multiple Alignment Tool(COBALT(st-va.ncbi.nlm.nih.gov/tools/cobaltにおいてアクセス可能)を用いて、次のパラメータによって実施した。アラインメントパラメータ:Gap Penalties -11, -1;End-Gap Penalties -5, -1。CDDパラメータ:Use RPS BLAST on;Blast E-value 0.003;Find Conserved columns and Recompute on。クエリクラスタリングパラメータ:Use query clusters on;Word Size 4;Max cluster distance 0.8;Alphabet Regular。 【0309】 4つのCas9配列の例示的なアラインメントを下に提供する。アラインメント中のCas9配列は、配列1(S1):配列番号11|WP_010922251|gi 499224711|II型CRISPR RNAガイド型エンドヌクレアーゼCas9[Streptococcus pyogenes];配列2(S2):配列番号12|WP_039695303|gi 746743737|II型CRISPR RNAガイド型エンドヌクレアーゼCas9[Streptococcus gallolyticus];配列3(S3):配列番号13|WP_045635197|gi 782887988|II型CRISPR RNAガイド型エンドヌクレアーゼCas9[Streptococcus mitis]; 配列4(S4):配列番号14|5AXW_A|gi 924443546|Staphylococcus AureusCas9である。HNHドメイン(太字かつ下線)およびRuvCドメイン(枠囲み)が4つの配列のそれぞれについて同定されている。S1中のアミノ酸残基10および840とアラインメントされた配列中の相同なアミノ酸とは、それぞれのアミノ酸残基の次のアステリスクによって同定されている。(当審合議体注:アミノ酸配列のアライメントは省略) 【0310】 アラインメントは、当分野において公知のアラインメントプログラムおよびアルゴリズムを用いて、参照配列または参照残基とアラインメントするアミノ酸配列または残基を同定することによって、参照Cas9アミノ酸配列またはアミノ酸残基に対して相同であるアミノ酸配列およびアミノ酸残基が、異なる種からのCas9配列を包含するがこれに限定されないCas9配列バリアントから同定され得るということを実証している。本開示は、配列番号11~14中のアステリスクによって同定されているアミノ酸残基の1つ以上(例えば、それぞれS1、S2、S3、およびS4)がここに記載されるように変異した、Cas9バリアントを提供する。配列番号11~14においてアステリスクによって同定されている残基に対応する配列番号1のCas9の残基D10およびH840は、ここにおいて「相同な」または「対応する」残基と言われる。かかる相同な残基は、例えば上に記載されているように配列アラインメントによって、参照配列または残基とアラインメントする配列または残基を同定することによって同定され得る。類似に、ここにおける配列番号1中の同定された変異、例えば配列番号1の残基10および840の変異に対応するCas9配列の変異は、ここにおいて「相同な」または「対応する」変異と言われる。例えば、上の4つのアラインメントされた配列について、配列番号1またはS1(配列番号11)のD10A変異に対応する変異は、S2ではD11A、S3ではD10A、S4ではD13Aであり;配列番号1またはS1(配列番号11)のH840Aに対応する変異は、S2ではH850A、S3ではH842A、S4ではH560Aである。 【0311】 異なる種からの合計250個のCas9配列(配列番号11~260)が提供される。配列番号1の残基10および840に対して相同なアミノ酸残基は、上で概要を述べたものと同じ様式において同定することができる。これらのCas9配列の全てを、本開示に従って用いることができる。(当審合議体注:以下、配列番号とCas9の名称は省略)。 【0312】 好適なデアミナーゼドメインの非限定的な例を提供する(当審合議体注:以下、配列番号とアミノ酸配列の表記は省略)。ヒトAID・・・マウスAID・・・イヌAID・・・ウシAID・・・ラットAID・・・マウスAPOBEC-3・・・ラットAPOBEC-3・・・アカゲザルAPOBEC-3G・・・チンパンジーAPOBEC-3G・・・ミドリザルAPOBEC-3G・・・ヒトAPOBEC-3G・・・ヒトAPOBEC-3F・・・ヒトAPOBEC-3B・・・ラットAPOBEC-3B・・・ウシAPOBEC-3B・・・チンパンジーAPOBEC-3B・・・ヒトAPOBEC-3C・・・ゴリラAPOBEC-3C・・・ヒトAPOBEC-3A・・・アカゲザルAPOBEC-3A・・・ウシAPOBEC-3A・・・ヒトAPOBEC-3H・・・アカゲザルAPOBEC-3H・・・ヒトAPOBEC-3D・・・ヒトAPOBEC-1・・・マウスAPOBEC-1・・・ラットAPOBEC-1・・・ヒトAPOBEC-2・・・マウスAPOBEC-2・・・ラットAPOBEC-2・・・ウシAPOBEC-2・・・ヤツメウナギCDA1(pmCDA1)・・・ヒトAPOBEC3G D316R_D317R・・・ヒトAPOBEC3G A鎖・・・ヒトAPOBEC3G A鎖 D120R_D121R 【0313】 融合タンパク質/核酸塩基エディターの非限定的な例を提供する。 Escherichia coli発現のためのHis6-rAPOBEC1-XTEN-dCas9(配列番号293)(当審合議体注:以下、【0313】~【0322】のアミノ酸配列の表記は省略)。 【0314】 哺乳動物発現のためのrAPOBEC1-XTEN-dCas9-NLS(配列番号294) 【0315】 哺乳動物発現のためのhAPOBEC1-XTEN-dCas9-NLS(配列番号295) 【0316】 rAPOBEC1-XTEN-dCas9-UGI-NLS(配列番号296) 【0317】 rAPOBEC1-XTEN-Cas9ニッカーゼ-UGI-NLS(BE3、配列番号297) 【0318】 pmCDA1-XTEN-dCas9-UGI(細菌)(配列番号298) 【0319】 pmCDA1-XTEN-nCas9-UGI-NLS(哺乳動物コンストラクト)(配列番号299): 【0320】 huAPOBEC3G-XTEN-dCas9-UGI(細菌)(配列番号300) 【0321】 huAPOBEC3G-XTEN-nCas9-UGI-NLS(哺乳動物コンストラクト)(配列番号301) 【0322】 huAPOBEC3G(D316R_D317R)-XTEN-nCas9-UGI-NLS(哺乳動物コンストラクト)(配列番号302) 塩基エディター4(BE4;APOBEC1-リンカー(32 aa)-Cas9n(D10A)-リンカー(9 aa)-UGI-リンカー(9 aa)-UGI) 【0323】 例2:CRISPR-Cas9ゲノム/塩基編集技術を使用した抗がんワクチン接種 本明細書に記載されるのは、免疫系を刺激して腫瘍を処置し、転移性病変を予防する新しい方法である。これは、悪性細胞のゲノムとプロテオームを個人化された内在性抗がんワクチンにin vivoで変えることによる。 【0324】 本明細書に提供されるのは、がん患者の免疫系によってそうでなければ「自己」として寛容される腫瘍特異的タンパク質に対する、頑健なT細胞およびB細胞媒介免疫応答を高めるための、新しい免疫腫瘍学的方法論である1-3(図1、表1~3)。この方法論は、プログラミング可能なCRISPR-Cas9のゲノム編集および塩基編集ツールに固有に適しており4-10、腫瘍特異的遺伝子11の翻訳配列を変更して、高度に免疫原性のヘテロクリティックおよびクリプティックペプチドエピトープをin situで生産するために利用される(表5および7、図1)。ヘテロクリティックエピトープは、MHC-IおよびMHC-II抗原提示経路を介して強力な免疫反応を誘導するように操作された内在性ペプチド配列の変更バージョンであり12、これはまた、親の野生型ペプチド配列に対する交差反応応答を生成する(図2A)2,13,14。例えば、メラニン細胞分化および黒色腫マーカーMART-126-36のペプチドエピトープEAAGIGILTVは、免疫原性が弱いのに対し、MHCアンカー位置のMART-1(27L)ELAGIGILTVの疎水性残基15,16で操作された同様のペプチドのワクチン接種は、黒色腫に対する堅牢なT細胞免疫応答を促進する(表5)17,18。クリプティックエピトープは、異常なmRNAスプライシング、代替オープンリーディングフレーム(ORF)、およびタンパク質の脱グリコシド化19などのがん細胞で高められるプロセスを介して、非翻訳ゲノム配列から発生する。例えば、LAGE-1免疫原性抗原は、遺伝子NY-ESO-122-24のORF-220,21から発現する(表7)。ゲノム/塩基編集を使用したこれらの免疫原性タンパク質配列の導入は、がん特異的抗原に対する「自己」寛容を破るように設計されており1-3、これは、免疫細胞の腫瘍への浸潤を駆動し、悪性細胞の異物としての認識を複数のメカニズムを通して促進することが知られている(図3)25,26。ゲノム/塩基編集を使用した抗がんワクチン接種は、自己免疫の副作用を防ぐために腫瘍細胞によって優先的または排他的に発現される遺伝子を標的とすることにより、がん特異的となる2,27。抗がんワクチン接種戦略は、黒色腫(表1)28-30および結腸直腸腫瘍、胃がん、および高頻度で非同義ヒッチハイカー変異を蓄積するその他の高度に変異誘発されたがんの処置に、特に有用である(図4)31。このような場合、細胞系統に固有の翻訳された「ネオエピトープ」32,33への適応免疫応答の広がりは、寛解を促進し34、転移病変を防ぐ35-39(アブスコパル(abscopal)効果)(図3)。重要なことには、最近FDAが承認した、T細胞刺激の閾値を下げるチェックポイント阻害剤(抗PD1および抗CTLA4抗体)27,40が、抗がんワクチンとの併用の可能性を示しており41-46、より広範ながんの種類に対する予防接種の臨床的有効性を高める得ることである47,48。 【0325】 ゲノム/塩基編集によりプログラミングされるヘテロクリティックおよびクリプティックエピトープは、各患者の悪性腫瘍および免疫系に適合するように個人化され得るか、あるいはガイドRNAカクテルが開発されてヒトの集団を広くカバーする最も頻繁なHLAアレルスーパータイプに関与し得る(図2B)。ゲノム編集ツールの送達に関する最近の進歩により、抗がんワクチン接種が可能になっている。これらの方法には、エレクトロポレーションを使用した細胞内送達49,50、ウイルスベクター51,52、細胞透過性ペプチド53,54、リポソーム55,56、ポリマー57、膜変形58、およびナノ粒子59が含まれる;カーゴ(cargo)の種類としては、RNA転写物、DNA発現ベクター、または精製されたCas9タンパク質-ガイドRNA複合体が含まれ60、またはカチオン性脂質小胞内である61,62。したがって、ワクチン接種の処置は、腫瘍細胞63、腫瘍を起源とする組織64に対して直接in vivoで、あるいは照射された全細胞ワクチンの再注入のためにex vivoで65-67実行され得る。 【0326】 本明細書でさらに提供されるのは、文献または前臨床例がある既知のエピトープを複製または厳密に模倣するための、腫瘍関連遺伝子におけるゲノム標的部位の多くの具体例(表1~3)、およびこれらの翻訳された配列の変更をプログラムするように設計されたガイドRNA(表5および7)である。ゲノム編集反応が、CRISPR/Cas9ツールの1つのために設計された:(i)核酸塩基上の化学反応を触媒する「塩基エディター」(例:シチジンデアミナーゼ-Cas9融合物4);または(ii)DNA切断活性を備えた操作されたヌクレアーゼ(例:WT Cas95-7、Cas9ニッカーゼ8またはFok1-ヌクレアーゼ-dCas9融合物9,10)。がん特異的遺伝子を変更してヘテロクリティック/クリプティックエピトープを生産する、他の潜在的に有用なゲノム編集反応の例を、表5および7に示す。拡張により、Cas9ツールおよびホモロジー指向修復(HDR)経路も活用し、ヘテロクリティックエピトープをDNA鋳型を介して、いくつかの技術を用いてインデルの割合を低下することにより、導入し得る68-70。最後に、偏りのないハイスループットな様式でヘテロクリティックおよびクリプティックエピトープのレパートリーを拡大するために、前述のツールを使用して、目的の腫瘍関連遺伝子にわたるすべてのPAM部位を標的化するガイドRNAのライブラリーをスクリーニングすることができ、これは、表5および7に示すゲノム/塩基編集反応を使用して複製可能である71,72」 (2)本願出願時の技術常識 本願出願時における技術常識を示すために、本願出願前に発行された参考文献A及びBを引用する。参考文献A及びBは英文であるため、日本語訳は当審合議体による。 ア 参考文献A(J Clin Invest., 2015, 125(9), p.3401-3412)は、「治療用がんワクチン」と題する総説であって、「図2.ワクチン由来抗原の処理」として、「HLAクラスI分子に抗原がローディングされるためには、抗原はDC(当審合議体注:樹状細胞)の細胞質に入り、プロテアソーム複合体によって処理されなければならない。長い抗原断片はプロテアソームによって切断され、9~15アミノ酸の小さな断片になる。この断片は抗原プロセシング輸送体(TAP)を通って小胞体に入り、そこで9~12アミノ酸の断片によるHLAクラスIのローディングが行われ、次いで細胞表面に輸送される。HLAクラスII分子に抗原がローディングされるためには、抗原はエンドソーム系に入る必要があり、そこでカテプシンが抗原を消化し、続いてHLAクラスIIが低pHで約12~15アミノ酸の断片をローディングし、DCの成熟後、細胞表面に輸送される。DCが完全に成熟すると、それぞれHLAクラスIまたはII分子とCD28のような共刺激分子によって提示された抗原でTCRを刺激することにより、CD8+及びCD4+T細胞と相互作用する。活性化され、プライミングされたCD8+T細胞は、HLAクラスI分子によって提示された抗原とTCRの結合によって腫瘍細胞を殺すことができる。」と記載されている(3406頁の図2の説明)。 この記載からみて、一般に、腫瘍特異的抗原から腫瘍特異的免疫応答が誘導され、さらに腫瘍細胞が殺傷されるためには、腫瘍特異的な抗原が樹状細胞に取り込まれて分解され、9~15アミノ酸の短い断片に切断された後、HLAクラスI分子には9~12アミノ酸の断片、HLAクラスII分子には約12~15アミノ酸の断片が樹状細胞の表面に提示され、それぞれCD8+及びCD4+T細胞がTCRと共刺激分子を介して相互作用し、活性化されたCD8+T細胞が腫瘍細胞を殺すという一連の工程を経る必要があることが本願出願時の技術常識であった。 イ 参考文献Aには、「はじめに」の項に「本総説では、最も効果的な前臨床及び臨床の治療的ワクチン接種戦略と、そのような治療法を改善する機会について述べる。・・・よりよい結果を得るには、抗原の選択、ワクチンデザインの改善、適切な共治療が必要である。後者は、がん微小環境における免疫抑制機構を緩和し、免疫系を適切に刺激又は調節することによってワクチンの性能を高めることができる」と記載され(3401頁左欄9行~19行)、「治療用がんワクチンの開発を成功するためのガイドライン」の項に「治療用がんワクチンはDCへの十分な抗原濃縮を達成しなければならない。治療用ワクチンには、DCへの集中的な抗原導入とDCの活性化を達成し、それによってCD4+T細胞とCD8+T細胞の両方の応答を促進する、合理的なワクチンデザインが必要である(図1及び2)。CD4+T細胞は、最適かつ持続的なエフェクターCD8+T細胞応答(120-124)だけでなく、CD8+メモリーの誘導と維持(125,126)にも必要である。」と記載され(3404頁右欄下から9行~末行)、「図1.治療用ワクチンの作用機序」として「ワクチン投与経路と免疫細胞の移動。ワクチンの投与経路と免疫細胞の移動。抗原を負荷したDC(APC)は、求心性リンパ管を通ってリンパ節に移動し、そこでT細胞を活性化する。活性化されたT細胞は、求心性リンパ管、胸管、血液を通って腫瘍細胞に到達する。ワクチンによって誘導されたT細胞は、がん微小環境内の免疫抑制細胞(Tregs、MDSCs)や腫瘍細胞から放出される免疫抑制性ケモカイン、サイトカイン、IDOなど、T細胞の移動、機能、増殖を阻害する有害な要素と対峙し、克服する必要がある。」(3705頁右欄1~9行)と記載されている。 また、参考文献B(Nat Rev Immunol., 2003, 3(8), p.630-41)は、「がんワクチン:アイデアと現実の狭間で」と題する総説であって、「治療用ワクチンの成功は、最良の条件下でも、免疫系が腫瘍誘発性、治療誘発性、または加齢誘発性の免疫抑制を克服する能力に依存する。治療用ワクチンの有効性に影響を与える追加の要因として、何らかの理由で免疫応答を回避する腫瘍細胞の増殖が挙げられる」と記載されている(635頁左欄下から8行~末行)。この点、発明の詳細な説明の【0144】において、参考文献Bを引用して、「免疫療法的アプローチ、例えば、がんワクチンが記載されたが、部分的にしか成功していない」という技術的背景があったことが記載されている。 これらの記載からみて、がん抗原を投与することにより、実際に免疫応答が誘導され、がんを治療できるがんワクチンを開発するためには、抗原の選択が重要であること、樹状細胞への十分な抗原濃縮が必要であること、そして、免疫抑制機構やT細胞の移動、機能、増殖を阻害する有害な要素といった克服しなければならない要因が複数存在することが本願出願時の技術常識であった。 (3)特許法第36条第4項第1号の判断の前提 特許法第36条第4項第1号には、発明の詳細な説明の記載について、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであることが規定されるところ、「組成物」という「物の発明」である本願発明1について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているといえるためには、発明の詳細な説明の記載及び本願出願時の当該「腫瘍免疫応答を誘導するための組成物」の技術分野における技術常識を参照した当業者が、過度の試行錯誤を要することなく、その物を作り、かつ、その物を使用できることが必要である。 以上を踏まえて、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号の要件を満たすか否かについて、検討する。 (4)判断 ア 本願発明1について 本願発明1の「(i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および(ii)ガイドポリヌクレオチド」であって、「ここで(ii)のガイドポリヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を、腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、およびここで融合タンパク質は、標的シトシン(C)塩基を、脱アミノ化を介してチミン(T)塩基に変更し、 ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインは、Cas9ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメイン、Cas9ニッカーゼ(nCas9)ドメイン、Cpf1ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1(dCpf1)ドメイン、およびそのバリアントからなる群より選択され、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%配列同一性を有し、および ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換される」ものであって、表4または表8が、「表4.塩基編集によるコドンの変更 【表1-1】 [図:0001428429000065.jpg] 【表1-2】 [図:0001428429000066.jpg] 表8.終止コドンへの変換 【表2】 [図:0001428429000067.jpg] 」であるものを便宜上、以下「本件核酸塩基エディター/gRNA複合体」と称する。 本願発明1は、本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を「腫瘍特異的免疫応答を誘導するため」という医薬用途に適用したことに技術的特徴を有する医薬用途発明である。 そうすると、本願明細書の発明の詳細な説明(以下「発明の詳細な説明」という。)が、本願発明1について当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているといえるためには、発明の詳細な説明において、薬理データ又はこれと同視することができる程度の事項を記載して、本願出願時の技術常識に照らして、本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を含む組成物が、過度な試行錯誤を要することなく、「腫瘍特異的免疫応答を誘導するため」に使用できることを当業者が理解できるように記載される必要がある。 そして、上記(2)アの本願出願時の技術常識を踏まえると、本願発明1の組成物が「腫瘍特異的免疫応答を誘導するため」に使用できるといえるためには、本件核酸塩基エディター/gRNA複合体により、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する表4及び表8に示された標的コドン内の標的C塩基が変更を受けて、標的コドンが修飾コドンに変換され、塩基が変更されたポリヌクレオチドから、アミノ酸が変更されたタンパク質が発現し、プロセッシングを受けて、アミノ酸変更を含む短いタンパク質になり、当該アミノ酸変更を含む短いタンパク質が樹状細胞に非自己と認識され、細胞表面に提示され、CD8+T細胞のTCRが認識して、CD8+T細胞が活性化し、CD8+T細胞が認識したものと同じ短いペプチドを発現する腫瘍細胞を攻撃するという一連の流れにおいて、腫瘍特異的免疫応答が誘導される必要があり、この一連の流れの工程は1つでも欠ければ腫瘍特異的免疫応答は誘導されない。また、特に、本願発明1の表4及び表8には、3塩基からなる標的コドンと、塩基の変更により生じる、3塩基からなる修飾コドンが特定されるのみであり、当該変更を受ける腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドは具体的に特定されていないし、さらに当該ポリヌクレオチドにおける変更を受ける塩基については、単に「コード領域に位置する標的コドン」内の「標的C塩基」と記載されているだけであって、その具体的な位置は特定されていないのであるから、本件核酸塩基エディター/gRNA複合体は、あらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」のコード領域に位置する、表4及び表8に列挙される標的コドンに含まれるあらゆる「標的C塩基」を変更の対象とするものである。 そうすると、本願発明1が実施可能要件に適合するためには、このように多くの変更位置を対象とする本件核酸塩基エディター/gRNA複合体の中から、上記の多くの工程を1つでも欠けることなく経た上で至る「腫瘍免疫応答」の「誘導」のために使用できるものを過度な試行錯誤を要することなく選択することが理解できるように発明の詳細な説明の記載はされていなければならない。 しかしながら、発明の詳細な説明には、実際に、本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を用いて、腫瘍特異的免疫応答が誘導されたことを示す薬理試験データは何ら記載されていないだけでなく、本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を用いて、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド内の標的C塩基を変更したことですら実施例をもって記載されていない。 発明の詳細な説明には、「例2」として、特定のペプチドエピトープにおいて、特定の位置のアミノ酸を置換したペプチドのワクチン接種がT細胞免疫応答を促進するという特定のペプチドワクチンの従来例を挙げつつ、「免疫応答を高めるための新しい免疫腫瘍学的方法論」として、「プログラミング可能なCRISPR-Cas9のゲノム編集および塩基編集ツール」から「免疫反応」が「誘導」されるまでの、一連の流れが説明されているが(【0324】)、ゲノム編集及び塩基編集ツールによる腫瘍特異的免疫応答についてはあくまで方法論の記載に留まるものであって、実際に、ゲノム編集及び塩基編集ツールを用いて、腫瘍特異的免疫応答が誘導されることを確認したことは何ら記載されていないし、薬理試験データと同視することができる程度の記載も見当たらない。 むしろ、がん抗原を投与することにより、実際に免疫応答が誘導され、がんを治療できるがんワクチンを開発するためには、抗原の選択が重要であること、樹状細胞への十分な抗原濃縮が必要であること、そして、免疫抑制機構やT細胞の移動、機能、増殖を阻害する有害な要素といった克服しなければいけない要因が複数存在することが、本願出願時の技術常識であったことを踏まえれば(上記(2)イ)、実際に免疫応答を誘導する組成物を得るためには、抗原の選択について、試行錯誤を行い、その抗原による効果を試験によって確認する必要があるというべきである。 ましてや、本願発明1は、「例2」において従来例として挙げられたペプチドワクチンではなく、腫瘍細胞中のあらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」のコード領域に位置する、表4及び表8に列挙される標的コドン内にある、あらゆる「標的C塩基」を変更対象とする本件核酸塩基エディター/gRNA複合体により、in vivoにおいて、当該ポリヌクレオチドを変更して、腫瘍特異的免疫応答を誘導しようとするものである。 そうすると、このように多くの変更位置を対象とする本件核酸塩基エディター/gRNA複合体の中から、実際に腫瘍特異的免疫応答を誘導できるものを見出すためには、当業者にとって過度の試行錯誤を要するものと認められる。 したがって、発明の詳細な説明の記載及び本願出願時の技術常識に照らして、本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を含む組成物が、「腫瘍特異的免疫応答を誘導するため」に使用できることを当業者は理解することができない。 よって、発明の詳細な説明は、本願発明1について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。 イ 本願発明6について 本願発明6は、本願発明1において、「本件核酸塩基エディター/gRNA複合体」のうちの「ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン」を「ヌクレアーゼ不活性型アルゴノート(dAgo)ドメイン」に変更したもの(以下「本願発明6の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体」という。)に相当する発明である。 そして、発明の詳細な説明は、本願発明6の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体についても、何ら具体的な試験が記載されていないことに変わりないのであるから、上記アで説示した理由と同様に、発明の詳細な説明は、本願発明6について、当業者がその実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。 ウ 本願発明29について 本願発明29の「(i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)ヌクレアーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および(ii)ガイドヌクレオチド」であって、「ここでガイドヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、ここで融合タンパク質は、ポリヌクレオチドにインデルを導入し、任意にここでインデルが、変異またはフレームシフトを引き起こし、ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なヌクレアーゼが、Cas9、Cpf1、またはそのバリアントを含み、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、および ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが前記表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、前記表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換される」ものを便宜上、以下「本願発明29の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体」と称する。 本願発明29は、「本願発明29の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体」を「腫瘍特異的免疫応答を誘導するため」という医薬用途に適用したことに技術的特徴を有する医薬用途発明である。 そうすると、発明の詳細な説明が、本願発明29について当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているといえるためには、発明の詳細な説明において、薬理データ又はこれと同視することができる程度の事項を記載して、本願出願時の技術常識に照らして、本願発明29の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を含む組成物が、過度な試行錯誤を要することなく、「腫瘍特異的免疫応答を誘導するため」に使用できることを当業者が理解できるように記載される必要がある。 しかしながら、発明の詳細な説明には、実際に、本願発明29の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を用いて、腫瘍特異的免疫応答が誘導されたことを示す薬理試験データは何ら記載されていないだけでなく、本願発明29の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を用いて、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドにインデルを導入したことや、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド内の標的C塩基を変更したことすら実施例をもって記載されていない。 また、発明の詳細な説明には、「例2」として、特定のペプチドエピトープにおいて、特定の位置のアミノ酸を置換したペプチドのワクチン接種がT細胞免疫応答を促進するという特定のペプチドワクチンの従来例を挙げつつ、「免疫応答を高めるための新しい免疫腫瘍学的方法論」として、「プログラミング可能なCRISPR-Cas9のゲノム編集および塩基編集ツール」から「免疫反応」が「誘導」されるまでの、一連の流れが説明されているが(【0324】)、ゲノム編集及び塩基編集ツールによる腫瘍特異的免疫応答についてはあくまで方法論の記載に留まるものであって、実際に、ゲノム編集及び塩基編集ツールを用いて、腫瘍特異的免疫応答が誘導されることを確認したことは何ら記載されていないし、薬理試験データと同視することができる程度の記載も見当たらない。 むしろ、がん抗原を投与することにより、実際に免疫応答が誘導され、がんを治療できるがんワクチンを開発するためには、抗原の選択が重要であること、樹状細胞への十分な抗原濃縮が必要であること、そして、免疫抑制機構やT細胞の移動、機能、増殖を阻害する有害な要素といった克服しなければいけない要因が複数存在することが、本願出願時の技術常識であったことを踏まえれば(上記(2)イ)、実際に免疫応答を誘導できる本願発明29の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を得るためには、抗原の選択について、試行錯誤を行い、その抗原による効果を試験によって確認する必要があるというべきである。 ましてや、本願発明29は、「例2」において従来例として挙げられたペプチドワクチンではなく、腫瘍細胞中のあらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」をインデルの導入対象とし、また、腫瘍細胞中のあらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」のコード領域に位置する、表4及び表8に列挙される標的コドン内にある、あらゆる「標的C塩基」を変更対象とする、本願発明29の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体により、in vivoにおいて、当該ポリヌクレオチドを変更して、腫瘍特異的免疫応答を誘導しようとするものである。 そうすると、このように多くの変更位置を対象とする本願発明29の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体の中から、実際に腫瘍特異的免疫応答を誘導できるものを見出すためには、当業者にとって過度の試行錯誤を要するものと認められる。 したがって、発明の詳細な説明の記載及び本願出願時の技術常識に照らして、本願発明29の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を含む組成物が、「腫瘍特異的免疫応答を誘導するため」に使用できることを当業者は理解することができない。 よって、発明の詳細な説明は、本願発明29について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。 エ 本願発明30について 本願発明30の「(a)プログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)デアミナーゼドメインを含む融合タンパク質」であって、「ここで融合タンパク質は腫瘍細胞に入り、腫瘍細胞中のポリヌクレオチドの標的塩基を脱アミノ化を介して変更し、ここでデアミナーゼドメインがシトシンデアミナーゼを含み、標的塩基がシトシン(C)塩基であり、ここでプログラミング可能なDNA結合ドメインが、Cas9ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cas9ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1ドメイン、およびそれらのバリアントからなる群から選択され、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、および ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが前記表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、前記表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換され、 任意にここで: i)標的C塩基の脱アミノ化が、翻訳コドンにおいてC-G塩基対からチミン-アデニン(T-A)への変更をもたらし、免疫原性ペプチドまたはヘテロクリティックペプチドに異なるアミノ酸の取り込みをもたらす; ii)標的C塩基の脱アミノ化が、遺伝子の非コードイントロン領域においてC-G塩基対からチミン-アデニン(T-A)への変更をもたらし、免疫原性ペプチド配列またはクリプティックペプチド配列の選択的スプライシングおよび翻訳をもたらす;または iii)標的C塩基の脱アミノ化が遺伝子のオープンリーディングフレームの開始(Met)コドンにおいてC-G塩基対からチミン-アデニン(T-A)への変更をもたらし、免疫原性ペプチド配列またはクリプティックペプチド配列を含む代替オープンリーディングフレームの翻訳をもたらす」ものを便宜上、以下「本願発明30の本件核酸塩基エディター」と称する。 本願発明30は、「本願発明30の本件核酸塩基エディター」を「腫瘍特異的免疫応答を誘導するため」という医薬用途に適用したことに技術的特徴を有する医薬用途発明である。 そうすると、発明の詳細な説明が、本願発明30について当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているといえるためには、発明の詳細な説明において、薬理データ又はこれと同視することができる程度の事項を記載して、本願出願時の技術常識に照らして、本願発明30の本件核酸塩基エディターを含む組成物が、過度な試行錯誤を要することなく、「腫瘍特異的免疫応答を誘導するため」に使用できることを当業者が理解できるように記載される必要がある。 そして、上記(2)アの本願出願時の技術常識を踏まえると、本願発明30の組成物が「腫瘍特異的免疫応答を誘導するため」に使用できるといえるためには、本願発明30の本件核酸塩基エディターにより、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する表4及び表8に示された標的コドン内の標的C塩基が変更を受けて、標的コドンが修飾コドンに変換され、塩基が変更されたポリヌクレオチドから、アミノ酸が変更されたタンパク質が発現し、プロセッシングを受けて、アミノ酸変更を含む短いタンパク質になり、当該アミノ酸変更を含む短いタンパク質が樹状細胞に非自己と認識され、細胞表面に提示され、CD8+T細胞のTCRが認識して、CD8+T細胞が活性化し、CD8+T細胞が認識したものと同じ短いペプチドを発現する腫瘍細胞を攻撃するという一連の流れにおいて、腫瘍特異的免疫応答が誘導される必要があり、この一連の流れの工程は1つでも欠ければ腫瘍特異的免疫応答は誘導されない。また、特に、本願発明1の表4及び表8には、3塩基からなる標的コドンと、塩基の変更により生じる、3塩基からなる修飾コドンが特定されるのみであり、当該変更を受ける腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドは具体的に特定されていないし、さらに当該ポリヌクレオチドにおける変更を受ける塩基については、単に「コード領域に位置する標的コドン」内の「標的C塩基」と記載されているだけであって、その具体的な位置は特定されていないのであるから、本願発明30の本件核酸塩基エディターは、あらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」のコード領域に位置する、表4及び表8に列挙される標的コドンに含まれるあらゆる「標的C塩基」を変更の対象とするものである。 そうすると、本願発明30が実施可能要件に適合するためには、このように多くの変更位置を対象とする本願発明30の本件核酸塩基エディターの中から、上記の多くの工程を1つでも欠けることなく経た上で至る「腫瘍免疫応答」の「誘導」のために使用できるものを過度な試行錯誤を要することなく選択することが理解できるように発明の詳細な説明の記載はされていなければならない。 しかしながら、発明の詳細な説明には、実際に、本願発明30の本件核酸塩基エディターを用いて、腫瘍特異的免疫応答が誘導されたことを示す薬理試験データは何ら記載されていないだけでなく、本願発明30の本件核酸塩基エディターを用いて、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド内の標的C塩基を変更したことですら実施例をもって記載されていない。 発明の詳細な説明には、「例2」として、特定のペプチドエピトープにおいて、特定の位置のアミノ酸を置換したペプチドのワクチン接種がT細胞免疫応答を促進するという特定のペプチドワクチンの従来例を挙げつつ、「免疫応答を高めるための新しい免疫腫瘍学的方法論」として、「プログラミング可能なCRISPR-Cas9のゲノム編集および塩基編集ツール」から「免疫反応」が「誘導」されるまでの、一連の流れが説明されているが(【0324】)、ゲノム編集及び塩基編集ツールによる腫瘍特異的免疫応答についてはあくまで方法論の記載に留まるものであって、実際に、ゲノム編集及び塩基編集ツールを用いて、腫瘍特異的免疫応答が誘導されることを確認したことは何ら記載されていないし、薬理試験データと同視することができる程度の記載も見当たらない。 むしろ、がん抗原を投与することにより、実際に免疫応答が誘導され、がんを治療できるがんワクチンを開発するためには、抗原の選択が重要であること、樹状細胞への十分な抗原濃縮が必要であること、そして、免疫抑制機構やT細胞の移動、機能、増殖を阻害する有害な要素といった克服しなければいけない要因が複数存在することが、本願出願時の技術常識であったことを踏まえれば(上記(2)イ)、実際に免疫応答を誘導する組成物を得るためには、抗原の選択について、試行錯誤を行い、その抗原による効果を試験によって確認する必要があるというべきである。 ましてや、本願発明30は、「例2」において従来例として挙げられたペプチドワクチンではなく、腫瘍細胞中のあらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」のコード領域に位置する、表4及び表8に列挙される標的コドン内にある、あらゆる「標的C塩基」を変更対象とする本願発明30の本件核酸塩基エディターにより、in vivoにおいて、当該ポリヌクレオチドを変更して、腫瘍特異的免疫応答を誘導しようとするものである。 そうすると、このように多くの変更位置を対象とする本件核酸塩基エディターの中から、実際に腫瘍特異的免疫応答を誘導できるものを見出すためには、当業者にとって過度の試行錯誤を要するものと認められる。 さらに、本願発明30には、「ガイドポリヌクレオチド」の特定すらないところ、発明の詳細な説明の【0114】を参照すると、「「ガイドヌクレオチド」は、標的配列に相補的であり、DNA結合タンパク質を標的配列に誘導できる、RNA分子またはDNA分子(例えば、一本鎖DNAまたはssDNA分子)であり得る。」と記載されている。ここで、「ガイドヌクレオチド」は複数のヌクレオチドが連なった構造を持つことから「ガイドポリヌクレオチド」と同義であると解され、「ガイドポリヌクレオチド」はDNA結合タンパク質を標的配列に誘導するために必要な構成成分であることが理解される。そうすると、DNA結合タンパク質を標的配列に誘導するために必要な構成成分である「ガイドポリヌクレオチド」の特定がない本願発明30の本件核酸塩基エディターは、ますますもって、その中から腫瘍特異的免疫応答を誘導できるものを見出すことは、当業者にとって過度な試行錯誤を要することである。 したがって、発明の詳細な説明の記載及び本願出願時の技術常識に照らして、本願発明30の本件核酸塩基エディターを含む組成物が、「腫瘍特異的免疫応答を誘導するため」に使用できることを当業者は理解することができない。 よって、発明の詳細な説明は、本願発明30について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。 オ 本願発明31について 本願発明31の「(i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および(ii)(i)の融合タンパク質を、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化する、ガイドポリヌクレオチド」であって、「ここで(ii)のガイドポリヌクレオチドは、(i)の融合タンパク質を腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、 ここでガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメインは、Cas9ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメイン、Cas9ニッカーゼ(nCas9)ドメイン、Cpf1ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1(dCpf1)ドメイン、およびそのバリアントからなる群より選択され、 ここでそのバリアントは、Cas9、dCas9、nCas9、またはdCpf1タンパク質のいずれかと少なくとも85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有し、および ここでシトシンデアミナーゼは、APOBEC1デアミナーゼ、APOBEC2デアミナーゼ、APOBEC3Aデアミナーゼ、APOBEC3Bデアミナーゼ、APOBEC3Cデアミナーゼ、APOBEC3Dデアミナーゼ、APOBEC3Fデアミナーゼ、APOBEC3Gデアミナーゼ、APOBEC3Hデアミナーゼ、APOBEC4デアミナーゼ、および活性化誘導デアミナーゼ(AID)からなる群より選択され、 ここで標的C塩基は、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的コドンにあり、および ここで標的コドンが前記表4および表8に列挙される標的コドンのいずれか1つであり、 さらにここで標的コドンが、前記表4または表8の修飾コドンのいずれか1つから選択される修飾コドンに変換される」ものを便宜上、以下「本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体」と称する。 本願発明31は、本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を「がんワクチン」という医薬用途に適用したことに技術的特徴を有する医薬用途発明である。 そうすると、発明の詳細な説明において、本願発明31について当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているといえるためには、発明の詳細な説明において、薬理データ又はこれと同視することができる程度の事項を記載して、本願出願時の技術常識に照らして、本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体が、過度な試行錯誤を要することなく、「がんワクチン」に使用できることを当業者が理解できるように記載される必要がある。 ここで、「がんワクチン」という用語について、発明の詳細な説明の記載をみると、【0105】には、「がんワクチン」は、「腫瘍特異的抗原に対する腫瘍特異的免疫応答を誘導する組成物を指す」と記載されているところ、上記(2)アの本願出願時の技術常識を踏まえると、本願発明31が「がんワクチン」として使用できるといえるためには、本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体により、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する標的C塩基が変更を受けて、標的コドンが修飾コドンに変換され、塩基が変更されたポリヌクレオチドから、アミノ酸が変更されたタンパク質が発現し、プロセッシングを受けて、アミノ酸変更を含む短いタンパク質になり、当該アミノ酸変更を含む短いタンパク質が樹状細胞に非自己と認識され、細胞表面に提示され、CD8+T細胞のTCRが認識して、CD8+T細胞が活性化し、CD8+T細胞が認識したものと同じ短いペプチドを発現する腫瘍細胞を攻撃するという一連の流れにおいて、腫瘍特異的免疫応答が誘導される必要があり、この一連の流れの工程は1つでも欠ければ腫瘍特異的免疫応答は誘導されない。また、特に、本願発明31の表4及び表8には、3塩基からなる標的コドンと、塩基の変更により生じる、3塩基からなる修飾コドンが特定されるのみであり、当該変更を受ける腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドは具体的に特定されていないし、さらに当該ポリヌクレオチドにおける変更を受ける塩基については、単に「コード領域に位置する標的コドン」内の「標的C塩基」と記載されているだけであって、その具体的な位置は特定されていないのであるから、本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体は、あらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」のコード領域に位置する、表4及び表8に列挙される標的コドンに含まれるあらゆる「標的C塩基」を変更の対象とするものである。 そうすると、本願発明31が実施可能要件に適合するためには、このように多くの変更位置を対象とする本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体の中から「がんワクチン」として使用できるものを過度な試行錯誤を要することなく選択することが理解できるように発明の詳細な説明の記載はされていなければならない。 しかしながら、発明の詳細な説明には、実際に、本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体について、腫瘍特異的抗原に対する腫瘍特異的免疫応答を誘導するという、がんワクチンとしての作用を示す薬理試験データは何ら記載されていないだけでなく、本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を用いて、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド内の塩基を変更したことですら実施例をもって記載されていない。 発明の詳細な説明には、「例2」として、特定のペプチドエピトープにおいて、特定の位置のアミノ酸を置換したペプチドのワクチン接種がT細胞免疫応答を促進するという特定のペプチドワクチンの従来例を挙げつつ、「免疫応答を高めるための新しい免疫腫瘍学的方法論」として、「プログラミング可能なCRISPR-Cas9のゲノム編集および塩基編集ツール」から「免疫反応」が「誘導」されるまでの、一連の流れが説明されているが(【0324】)、ゲノム編集及び塩基編集ツールによる腫瘍特異的免疫応答についてはあくまで方法論の記載に留まるものであって、実際に、ゲノム編集及び塩基編集ツールを用いて、腫瘍特異的免疫応答が誘導されることを確認したことは何ら記載されていないし、薬理試験データと同視することができる程度の記載も見当たらない。 むしろ、がん抗原を投与することにより、実際に免疫応答が誘導され、がんを治療できるがんワクチンを開発するためには、抗原の選択が重要であること、樹状細胞への十分な抗原濃縮が必要であること、そして、免疫抑制機構やT細胞の移動、機能、増殖を阻害する有害な要素、といった克服しなければいけない要因が複数存在することが、本願出願時の技術常識であったことを踏まえれば(上記(2)イ)、実際に免疫応答を誘導できるがんワクチンを得るためには、抗原の選択について、試行錯誤を行い、その抗原による効果を試験によって確認する必要があるというべきである。 ましてや、本願発明31は、「例2」において従来例として挙げられたペプチドワクチンではなく、腫瘍細胞中のあらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」のコード領域に位置する、表4及び表8に列挙される標的コドン内にある、あらゆる「標的C塩基」を変更対象とする、本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体により、in vivoにおいて、当該ポリヌクレオチドを変更して、腫瘍特異的免疫応答を誘導するがんワクチンとしようとするものである。 そうすると、このように多くの変更位置を対象とする本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体の中から、実際に腫瘍特異的免疫応答を誘導して、がんワクチンとして使用できるものを見出すためには、当業者にとって過度の試行錯誤を要するものと認められる。 したがって、発明の詳細な説明の記載及び本願出願時の技術常識に照らして、本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体が、「がんワクチン」として使用できることを当業者は理解することができない。 よって、発明の詳細な説明は、本願発明31について、当業者がその実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。 カ 本願発明32について 本願発明32は、本願発明31において、「本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体」のうちの「ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン」を「ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメイン、Cas9ニッカーゼ(nCas9)ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1ドメイン、およびそのバリアントからなる群より選択され」に変更したもの(以下「本願発明32の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体」という。)に相当する発明である。 そして、発明の詳細な説明は、本願発明32の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体についても、何ら具体的な試験が記載されていないことに変わりないのであるから、上記オで説示した理由と同様に、発明の詳細な説明は、本願発明32について、当業者がその実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。 (5)請求人の主張について ア 請求人の主張 請求人は、審判請求書を補正する手続補正書及び令和4年10月11日提出の意見書において、次の点を述べ、本願発明1、6、29~32は実施可能要件を満たす旨主張する。 (ア)例えば、本願明細書の表5及び表7には、特定の変異を導入するために、既知の腫瘍特異的抗原(TSA)コード標的配列に塩基編集因子を標的化するために使用されるガイドポリヌクレオチド配列が記載されていることから、本願明細書は、当業者が、表4及び表8に列挙されるコドン変化を産生するために、既知のTSAのコード領域に塩基編集因子を向けることを知るための十分な記載及び指針を提供するものであって、本願明細書に触れた当業者であれば、かかるヘテロクリティックエピトープまたはクリプティックエピトープを成功裏に産生し、腫瘍特異的免疫応答を誘導することができる組成物を特定するのに、過度に複雑な、又は過剰な実験を行う必要はない。 イ 請求人の主張に対する当審の判断 発明の詳細な説明の表5及び表7には、具体的な抗原名、それに含まれるエピトープ、エピトープに特定の変異を導入するためのガイドRNA配列が示されているものの、そもそも表5及び表7は、本願発明1、29~32において、特定されているものではないので、これらの表5及び表7の記載に基づいて、十分な記載や指針がある旨の請求人の主張は、前提を欠くものである。 さらに、本願発明1、6、29~32には、標的コドン及び変更コドンのみが列挙された表4及び表8が特定されているが、あらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」のコード領域に位置する、表4及び表8に列挙される標的コドン内にある、あらゆる「標的C塩基」を変更対象とする本件核酸塩基エディター/gRNA複合体等の中から、実際に腫瘍特異的免疫応答を誘導できるもの又はがんワクチンとして使用できるものを見出すためには、当業者にとって、過度な試行錯誤を要するものであることは、上記(4)で説示したとおりである。 よって、請求人の主張は採用できない。 (6)小括 以上のとおりであるから、発明の詳細な説明の記載は、本願発明1、6、29~32を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから、本願発明1、6、29~32は、特許法第36条第4項第1号の規定により、特許を受けることができないものである。 2 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について (1)特許法第36条第6項第1号の判断手法 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 (2)判断 ア 本願発明1について (ア)本願発明1が解決しようとする課題について 本願発明1は、「腫瘍特異的抗原に由来する天然ペプチドは、免疫系により「自己」として耐容され、腫瘍特異的抗原に対する強い免疫応答を誘導しない」一方、「腫瘍特異的抗原に由来する天然ペプチドの変更バージョン(例えば、ヘテロクリティックペプチドまたはクリプティックペプチド)は、MHC-IおよびMHC-II抗原提示経路を介して強力な免疫反応を誘導するように操作され得、天然の腫瘍特異的抗原配列に対する交差反応性応答を生成する」(【0002】)という技術的背景のもと、「本明細書に記載されるのは、in vivoまたはex vivoでがんワクチンとして使用され得る腫瘍特異的抗原に由来する免疫原性ペプチド(例えば、ヘテロクリティックエピトープまたはクリプティックエピトープ)を生産するための、システム、方法、組成物、およびキット」であって、「標的変異は、シトシンデアミナーゼに融合したプログラミング可能なDNA結合ドメインを含む核酸塩基エディターを使用して、腫瘍特異的抗原に導入され、腫瘍特異的抗原から生じるペプチド(ヘテロクリティックエピトープ)、または腫瘍特異的抗原遺伝子の通常非翻訳領域から生じるペプチド(クリプティックペプチド)の変更バージョンを生成し、ヘテロクリティックペプチドまたはクリプティックペプチドは、in vivoで対象(例えば、がんを有する対象)で生成され、MHCクラスIまたはMHCクラスII経路を介して適応免疫系に提示され、これは次に、強い適応免疫応答を、例えばT細胞応答およびB細胞応答を誘導」し、「かかる適応免疫応答は抗原特異的であり、腫瘍の成長を抑え転移を防ぐのに効果的」(【0004】)であることに基づく発明であって、「それを必要とする対象において腫瘍特異的免疫応答を誘導する方法を提供し、この方法は、対象に、(i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および(ii)ガイドヌクレオチド配列、を含む組成物の治療有効量を投与することを含み、ここで(ii)のガイドヌクレオチド配列は、(i)の融合タンパク質を腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、ここで融合タンパク質は、標的シトシン(C)塩基をチミン(T)塩基へと脱アミノ化を介して変更する」(【0005】)ことが発明の詳細な説明に記載されている。 このような発明な詳細な説明の特に下線部の記載によれば、本願発明1の解決しようとする課題は、本件核酸塩基エディター/gRNA複合体によって、それを必要とする対象において腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物を提供することであると認める。 (イ)判断 本願出願時の技術常識(上記1(2)ア)を踏まえると、本願発明1の「本件核酸塩基エディター/gRNA複合体」が腫瘍特異的免疫応答を誘導するためには、本件核酸塩基エディター/gRNA複合体が腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する表4及び表8に示された標的コドン内の標的C塩基が変更を受けて、標的コドンが修飾コドンに変換され、塩基が変更されたポリヌクレオチドから、アミノ酸が変更されたタンパク質が発現し、プロセッシングを受けて、アミノ酸変更を含む短いタンパク質になり、当該アミノ酸変更を含む短いタンパク質が樹状細胞に非自己と認識され、細胞表面に提示され、CD8+T細胞のTCRが認識して、CD8+T細胞を活性化し、CD8+T細胞が認識した物と同じ短いペプチドを発現する腫瘍細胞を攻撃するという一連の流れにおいて、腫瘍特異的免疫応答が誘導される必要があり、この一連の流れの工程は、1つでも欠ければ腫瘍特異的免疫応答は誘導されない。また、特に、本願発明1の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体は、あらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」のコード領域に位置する、表4及び表8に列挙される標的コドンに含まれるあらゆる「標的C塩基」を変更の対象とするものである。 そうすると、本願発明1がサポート要件に適合するためには、このように多くの変更位置を対象とする本願発明1の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体全般が、発明の詳細な説明により、当業者が腫瘍免疫応答を誘導するための組成物を提供するという上記課題を解決できると認識できる範囲のものであるか、また、その記載や示唆がなくても当業者が出願時の技術常識に照らし上記課題を解決できると認識できる範囲のものである必要がある。 しかし、発明の詳細な説明には、実際に、本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を用いて、腫瘍特異的免疫応答が誘導されたことを示す薬理試験データは何ら記載されていないだけでなく、本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を用いて、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド内の塩基を変更したことすら実施例をもって記載されていない。 発明の詳細な説明には、「例2」として、特定のペプチドエピトープにおいて、特定の位置のアミノ酸を置換したペプチドのワクチン接種がT細胞免疫応答を促進するという特定のペプチドワクチンの従来例を挙げつつ、「免疫応答を高めるための新しい免疫腫瘍学的方法論」として、「プログラミング可能なCRISPR-Cas9のゲノム編集および塩基編集ツール」から「免疫反応」が「誘導」されるまでの、一連の流れが説明されているが(【0324】)、ゲノム編集及び塩基編集ツールによる腫瘍特異的免疫応答についてはあくまで方法論の記載に留まるものであって、実際に、ゲノム編集及び塩基編集ツールを用いて、腫瘍特異的免疫応答が誘導されることを確認したことは何ら記載されていない。 むしろ、がん抗原を投与することにより、実際に免疫応答が誘導され、がんを治療できるがんワクチンを開発するためには、抗原の選択が重要であること、樹状細胞への十分な抗原濃縮が必要であること、そして、免疫抑制機構やT細胞の移動、機能、増殖を阻害する有害な要素といった克服しなければいけない要因が複数存在することが、本願出願時の技術常識であったことを踏まえれば(上記1(2)イ)、あらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」のコード領域に位置する、表4及び表8に列挙される標的コドン内にある、あらゆる「標的C塩基」を変更対象とする本件核酸塩基エディター/gRNA複合体全般が、本願出願時の技術常識(上記1(2)ア)で示したような一連の工程を経て、実際に腫瘍特異的免疫応答を誘導できるものとは言いがたい。 したがって、本願出願時の技術常識を踏まえても、本願発明1が、発明の詳細な説明の記載により、本件核酸塩基エディター/gRNA複合体によって、それを必要とする対象において腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物を提供するという課題を解決できる範囲のものであると当業者が認識することはできない。 よって、本願発明1は、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出願時における技術常識に照らし、本願発明1の上記課題を解決できることを認識できる範囲のものではないから、本願発明1は、発明の詳細な説明に記載したものではない。 イ 本願発明6について 本願発明6は、本願発明1において、「本件核酸塩基エディター/gRNA複合体」のうちの「ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン」を「ヌクレアーゼ不活性型アルゴノート(dAgo)ドメイン」に変更したもの(以下「本願発明6の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体」という。)に相当する発明である。 そして、発明の詳細な説明は、本願発明6の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体についても、何ら具体的な試験が記載されていないことに変わりないのであるから、上記アで説示した理由と同様に、本願発明6は、発明の詳細な説明に記載したものではない。 ウ 本願発明29について (ア)本願発明29が解決しようとする課題について 本願発明29は、「腫瘍特異的抗原に由来する天然ペプチドは、免疫系により「自己」として耐容され、腫瘍特異的抗原に対する強い免疫応答を誘導しない」一方、「腫瘍特異的抗原に由来する天然ペプチドの変更バージョン(例えば、ヘテロクリティックペプチドまたはクリプティックペプチド)は、MHC-IおよびMHC-II抗原提示経路を介して強力な免疫反応を誘導するように操作され得、天然の腫瘍特異的抗原配列に対する交差反応性応答を生成する」(【0002】)という技術的背景のもと、「本明細書に記載されるのは、in vivoまたはex vivoでがんワクチンとして使用され得る腫瘍特異的抗原に由来する免疫原性ペプチド(例えば、ヘテロクリティックエピトープまたはクリプティックエピトープ)を生産するための、システム、方法、組成物、およびキット」であって、「標的変異は、シトシンデアミナーゼに融合したプログラミング可能なDNA結合ドメインを含む核酸塩基エディターを使用して、腫瘍特異的抗原に導入され、腫瘍特異的抗原から生じるペプチド(ヘテロクリティックエピトープ)、または腫瘍特異的抗原遺伝子の通常非翻訳領域から生じるペプチド(クリプティックペプチド)の変更バージョンを生成し、ヘテロクリティックペプチドまたはクリプティックペプチドは、in vivoで対象(例えば、がんを有する対象)で生成され、MHCクラスIまたはMHCクラスII経路を介して適応免疫系に提示され、これは次に、強い適応免疫応答を、例えばT細胞応答およびB細胞応答を誘導」し、「かかる適応免疫応答は抗原特異的であり、腫瘍の成長を抑え転移を防ぐのに効果的」(【0004】)であることに基づく発明であって、「腫瘍特異的免疫応答を、それを必要とする対象において誘導する方法であり、該方法は、対象に、(i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)ヌクレアーゼドメインを含む融合タンパク質;および(ii)ガイドヌクレオチド配列、を含む組成物の治療有効量を投与することを含み、ここで(i)の融合タンパク質および(ii)のガイドヌクレオチド配列は腫瘍細胞に入り、およびここでガイドヌクレオチド配列は、(i)の融合タンパク質を腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、ここで融合タンパク質は、ポリヌクレオチドにインデルを導入」し(【0063】)、「ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なヌクレアーゼは、Cas9、Cpf1、アルゴノート、またはそのバリアントを含」み、「インデルは、変異またはフレームシフトを引き起こす」(【0065】ことが発明の詳細な説明に記載されている。 このような発明な詳細な説明の特に下線部の記載によれば、本願発明29の解決しようとする課題は、「本願発明29の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体」によって、それを必要とする対象において腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物を提供することであると認める。 (イ)判断 本願出願時の技術常識(上記1(2)ア)を踏まえると、「本願発明29の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体」が腫瘍特異的免疫応答を誘導するためには、本願発明29の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体が、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドにインデルを導入し、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する表4及び表8に示された標的コドン内の標的C塩基が変更を受けて、標的コドンが修飾コドンに変換され、塩基が変更されたポリヌクレオチドから、アミノ酸が変更されたタンパク質が発現し、プロセッシングを受けて、アミノ酸変更を含む短いタンパク質になり、当該アミノ酸変更を含む短いタンパク質が樹状細胞に非自己と認識され、細胞表面に提示され、CD8+T細胞のTCRが認識して、CD8+T細胞を活性化し、CD8+T細胞が認識した物と同じ短いペプチドを発現する、腫瘍細胞を攻撃するという一連の流れにおいて、腫瘍特異的免疫応答が誘導される必要があり、この一連の流れの工程は、1つでも欠ければ腫瘍特異的免疫応答は誘導されない。また、特に、本願発明29の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体は、あらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」をインデルの導入対象とするものであり、また、あらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」のコード領域に位置する、表4及び表8に列挙される標的コドンに含まれるあらゆる「標的C塩基」を変更の対象とするものである。 そうすると、本願発明29がサポート要件に適合するためには、このように多くの変更位置を対象とする本願発明29の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体全般が、発明の詳細な説明により、当業者が腫瘍免疫応答を誘導するための組成物を提供するという上記課題を解決できると認識できる範囲のものであるか、また、その記載や示唆がなくても当業者が出願時の技術常識に照らし上記課題を解決できると認識できる範囲のものである必要がある。 しかし、発明の詳細な説明には、実際に、本願発明29の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を用いて、腫瘍特異的免疫応答が誘導されたことを示す薬理試験データは何ら記載されていないだけでなく、本願発明29の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を用いて、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドにインデルを導入したことや腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド内の塩基を変更したことすら実施例をもって記載されていない。 発明の詳細な説明には、「例2」として、特定のペプチドエピトープにおいて、特定の位置のアミノ酸を置換したペプチドのワクチン接種がT細胞免疫応答を促進するという特定のペプチドワクチンの従来例を挙げつつ、「免疫応答を高めるための新しい免疫腫瘍学的方法論」として、「プログラミング可能なCRISPR-Cas9のゲノム編集および塩基編集ツール」から「免疫反応」が「誘導」されるまでの、一連の流れが説明されているが(【0324】)、ゲノム編集及び塩基編集ツールによる腫瘍特異的免疫応答についてはあくまで方法論の記載に留まるものであって、実際に、ゲノム編集及び塩基編集ツールを用いて、腫瘍特異的免疫応答が誘導されることを確認したことは何ら記載されていない。 むしろ、がん抗原を投与することにより、実際に免疫応答が誘導され、がんを治療できるがんワクチンを開発するためには、抗原の選択が重要であること、樹状細胞への十分な抗原濃縮が必要であること、そして、免疫抑制機構やT細胞の移動、機能、増殖を阻害する有害な要素といった克服しなければいけない要因が複数存在することが、本願出願時の技術常識であったことを踏まえれば(上記1(2)イ)、あらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」をインデルの導入対象とし、また、あらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」のコード領域に位置する、表4及び表8に列挙される標的コドン内にある、あらゆる「標的C塩基」を変更対象とする本願発明29の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体全般が、本願出願時の技術常識(上記1(2)ア)で示したような一連の工程を経て、実際に腫瘍特異的免疫応答を誘導できるものとは言いがたい。 したがって、本願出願時の技術常識を踏まえても、本願発明29が、発明の詳細な説明の記載により、本願発明29の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体によって、それを必要とする対象において腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物を提供するという課題を解決できる範囲のものであると当業者が認識することはできない。 よって、本願発明29は、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出願時における技術常識に照らし、本願発明29の上記課題を解決できることを認識できる範囲のものではないから、本願発明29は、発明の詳細な説明に記載したものではない。 エ 本願発明30について (ア)本願発明30が解決しようとする課題について 本願発明30は、「腫瘍特異的抗原に由来する天然ペプチドは、免疫系により「自己」として耐容され、腫瘍特異的抗原に対する強い免疫応答を誘導しない」一方、「腫瘍特異的抗原に由来する天然ペプチドの変更バージョン(例えば、ヘテロクリティックペプチドまたはクリプティックペプチド)は、MHC-IおよびMHC-II抗原提示経路を介して強力な免疫反応を誘導するように操作され得、天然の腫瘍特異的抗原配列に対する交差反応性応答を生成する」(【0002】)という技術的背景のもと、「本明細書に記載されるのは、in vivoまたはex vivoでがんワクチンとして使用され得る腫瘍特異的抗原に由来する免疫原性ペプチド(例えば、ヘテロクリティックエピトープまたはクリプティックエピトープ)を生産するための、システム、方法、組成物、およびキット」であって、「標的変異は、シトシンデアミナーゼに融合したプログラミング可能なDNA結合ドメインを含む核酸塩基エディターを使用して、腫瘍特異的抗原に導入され、腫瘍特異的抗原から生じるペプチド(ヘテロクリティックエピトープ)、または腫瘍特異的抗原遺伝子の通常非翻訳領域から生じるペプチド(クリプティックペプチド)の変更バージョンを生成し、ヘテロクリティックペプチドまたはクリプティックペプチドは、in vivoで対象(例えば、がんを有する対象)で生成され、MHCクラスIまたはMHCクラスII経路を介して適応免疫系に提示され、これは次に、強い適応免疫応答を、例えばT細胞応答およびB細胞応答を誘導」し、「かかる適応免疫応答は抗原特異的であり、腫瘍の成長を抑え転移を防ぐのに効果的」(【0004】)であることに基づく発明であって、「それを必要とする対象において腫瘍特異的免疫応答を誘導する方法を提供し、この方法は、対象に、(i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および(ii)ガイドヌクレオチド配列、を含む組成物の治療有効量を投与することを含み、ここで(ii)のガイドヌクレオチド配列は、(i)の融合タンパク質を腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、ここで融合タンパク質は、標的シトシン(C)塩基をチミン(T)塩基へと脱アミノ化を介して変更する」(【0005】)ことが発明の詳細な説明に記載されている。 このような発明の詳細な説明の特に下線部の記載及び特許請求の範囲の記載によれば、本願発明30の解決しようとする課題は、「本願発明30の本件核酸塩基エディター」によって、それを必要とする対象において腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物を提供することであると認める。 (イ)判断 本願出願時の技術常識(上記1(2)ア)を踏まえると、「本願発明30の本件核酸塩基エディター」が腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する表4及び表8に示された標的コドン内の標的C塩基が変更を受けて、標的コドンが修飾コドンに変換され、塩基が変更されたポリヌクレオチドから、アミノ酸が変更されたタンパク質が発現し、プロセッシングを受けて、アミノ酸変更を含む短いタンパク質になり、当該アミノ酸変更を含む短いタンパク質が樹状細胞に非自己と認識され、細胞表面に提示され、CD8+T細胞のTCRが認識して、CD8+T細胞を活性化し、CD8+T細胞が認識した物と同じ短いペプチドを発現する腫瘍細胞を攻撃するという一連の流れにおいて、腫瘍特異的免疫応答が誘導される必要があり、この一連の流れの工程は、1つでも欠ければ腫瘍特異的免疫応答は誘導されない。また、特に、本願発明30の本件核酸塩基エディターは、あらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」のコード領域に位置する、表4及び表8に列挙される標的コドンに含まれるあらゆる「標的C塩基」を変更の対象とするものである。 そうすると、本願発明30がサポート要件に適合するためには、このように多くの変更位置を対象とする本願発明30の本件核酸塩基エディター全般が、発明の詳細な説明により、当業者が腫瘍免疫応答を誘導するための組成物を提供するという上記課題を解決できると認識できる範囲のものであるか、また、その記載や示唆がなくても当業者が出願時の技術常識に照らし上記課題を解決できると認識できる範囲のものである必要がある。 しかし、発明の詳細な説明には、実際に、本願発明30の本件核酸塩基エディターを用いて、腫瘍特異的免疫応答が誘導されたことを示す薬理試験データは何ら記載されていないだけでなく、本願発明30の本件核酸塩基エディターを用いて、上記「i)~iii)」の任意の変更を含め、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド内の塩基を変更したことすら実施例をもって記載されていない。 発明の詳細な説明には、「例2」として、特定のペプチドエピトープにおいて、特定の位置のアミノ酸を置換したペプチドのワクチン接種がT細胞免疫応答を促進するという特定のペプチドワクチンの従来例を挙げつつ、「免疫応答を高めるための新しい免疫腫瘍学的方法論」として、「プログラミング可能なCRISPR-Cas9のゲノム編集および塩基編集ツール」から「免疫反応」が「誘導」されるまでの、一連の流れが説明されているが(【0324】)、ゲノム編集及び塩基編集ツールによる腫瘍特異的免疫応答についてはあくまで方法論の記載に留まるものであって、実際に、ゲノム編集及び塩基編集ツールを用いて、腫瘍特異的免疫応答が誘導されることを確認したことは何ら記載されていない。 むしろ、がん抗原を投与することにより、実際に免疫応答が誘導され、がんを治療できるがんワクチンを開発するためには、抗原の選択が重要であること、樹状細胞への十分な抗原濃縮が必要であること、そして、免疫抑制機構やT細胞の移動、機能、増殖を阻害する有害な要素といった克服しなければいけない要因が複数存在することが、本願出願時の技術常識であったことを踏まえれば(上記1(2)イ)、あらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」のコード領域に位置する、表4及び表8に列挙される標的コドン内にある、あらゆる「標的C塩基」を変更対象とする本願発明30の本件核酸塩基エディター全般が、本願出願時の技術常識(上記1(2)ア)で示したような一連の工程を経て、実際に腫瘍特異的免疫応答を誘導できるものとは言いがたい。 さらに、本願発明30には、「ガイドポリヌクレオチド」の特定すらないところ、発明の詳細な説明の【0114】を参照すると、「「ガイドヌクレオチド」は、標的配列に相補的であり、DNA結合タンパク質を標的配列に誘導できる、RNA分子またはDNA分子(例えば、一本鎖DNAまたはssDNA分子)であり得る。」と記載されている。ここで、「ガイドヌクレオチド」は複数のヌクレオチドが連なった構造を持つことから「ガイドポリヌクレオチド」と同義であると解され、「ガイドポリヌクレオチド」はDNA結合タンパク質を標的配列に誘導するために必要な構成成分であることが理解される。そうすると、DNA結合タンパク質を標的配列に誘導するために必要な構成成分である「ガイドポリヌクレオチド」の特定がない本願発明30の本件核酸塩基エディターは全般に、ますますもって腫瘍特異的免疫応答を誘導できるものとはいえない。 したがって、本願出願時の技術常識を踏まえても、本願発明30が、発明の詳細な説明の記載により、本願発明30の本件核酸塩基エディターによって、それを必要とする対象において「腫瘍特異的免疫応答を誘導するための組成物」を提供するという課題を解決できる範囲のものであると当業者が認識することができない。 よって、本願発明30は、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出願時における技術常識に照らし、本願発明30の上記課題を解決できることを認識できる範囲のものではないから、本願発明30は、発明の詳細な説明に記載したものではない。 オ 本願発明31について (ア)本願発明31が解決しようとする課題について 本願発明31は、「腫瘍特異的抗原に由来する天然ペプチドは、免疫系により「自己」として耐容され、腫瘍特異的抗原に対する強い免疫応答を誘導しない」一方、「腫瘍特異的抗原に由来する天然ペプチドの変更バージョン(例えば、ヘテロクリティックペプチドまたはクリプティックペプチド)は、MHC-IおよびMHC-II抗原提示経路を介して強力な免疫反応を誘導するように操作され得、天然の腫瘍特異的抗原配列に対する交差反応性応答を生成する」(【0002】)という技術的背景のもと、「本明細書に記載されるのは、in vivoまたはex vivoでがんワクチンとして使用され得る腫瘍特異的抗原に由来する免疫原性ペプチド(例えば、ヘテロクリティックエピトープまたはクリプティックエピトープ)を生産するための、システム、方法、組成物、およびキット」であって、「標的変異は、シトシンデアミナーゼに融合したプログラミング可能なDNA結合ドメインを含む核酸塩基エディターを使用して、腫瘍特異的抗原に導入され、腫瘍特異的抗原から生じるペプチド(ヘテロクリティックエピトープ)、または腫瘍特異的抗原遺伝子の通常非翻訳領域から生じるペプチド(クリプティックペプチド)の変更バージョンを生成し、ヘテロクリティックペプチドまたはクリプティックペプチドは、in vivoで対象(例えば、がんを有する対象)で生成され、MHCクラスIまたはMHCクラスII経路を介して適応免疫系に提示され、これは次に、強い適応免疫応答を、例えばT細胞応答およびB細胞応答を誘導」し、「かかる適応免疫応答は抗原特異的であり、腫瘍の成長を抑え転移を防ぐのに効果的」(【0004】)であることに基づく発明であって、「それを必要とする対象において腫瘍特異的免疫応答を誘導する方法を提供し、この方法は、対象に、(i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメイン、を含む融合タンパク質;および(ii)ガイドヌクレオチド配列、を含む組成物の治療有効量を投与することを含み、ここで(ii)のガイドヌクレオチド配列は、(i)の融合タンパク質を腫瘍細胞中の腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化し、ここで融合タンパク質は、標的シトシン(C)塩基をチミン(T)塩基へと脱アミノ化を介して変更する」(【0005】)こと、そして、「本開示のさらに他の側面は、以下を含むがんワクチンを提供する:(i)(a)ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン;および(b)シトシンデアミナーゼドメインを含む融合タンパク質;および、(ii)(i)の融合タンパク質を、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドに標的化する、ガイドヌクレオチド配列。」(【0071】)ことが発明の詳細な説明に記載されている。 このような発明の詳細な説明の特に下線部の記載によれば、本願発明31の解決しようとする課題は、本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を含む、がんワクチンを提供することであると認める。 (イ)判断 「がんワクチン」という用語について、発明の詳細な説明の記載をみると、【0105】には、「がんワクチン」は、「腫瘍特異的抗原に対する腫瘍特異的免疫応答を誘導する組成物を指す」と記載されているところ、本願出願時の技術常識(上記1(2)ア)を踏まえると、「本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体」により「がんワクチン」が提供できるというためには、本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体が腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチドのコード領域に位置する表4及び表8に示された標的コドン内の標的C塩基が変更を受けて、標的コドンが修飾コドンに変換され、塩基が変更されたポリヌクレオチドから、アミノ酸が変更されたタンパク質が発現し、プロセッシングを受けて、アミノ酸変更を含む短いタンパク質になり、当該アミノ酸変更を含む短いタンパク質が樹状細胞に非自己と認識され、細胞表面に提示され、CD8+T細胞のTCRが認識して、CD8+T細胞を活性化し、CD8+T細胞が認識した物と同じ短いペプチドを発現する腫瘍細胞を攻撃するという一連の流れにおいて、腫瘍特異的免疫応答が誘導される必要があり、この一連の流れの工程は1つでも欠ければ腫瘍特異的免疫応答は誘導されない。特に、本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体は、あらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」のコード領域に位置する、表4及び表8に列挙される標的コドンに含まれるあらゆる「標的C塩基」を変更の対象とするものである。 そうすると、本願発明31がサポート要件に適合するためには、このように多くの変更位置を対象とする本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体全般が、発明の詳細な説明により、当業者が「がんワクチン」を提供するという上記課題を解決できると認識できる範囲のものであるか、また、その記載や示唆がなくても当業者が出願時の技術常識に照らし上記課題を解決できると認識できる範囲のものである必要がある。 しかし、発明の詳細な説明には、実際に、本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を用いて、腫瘍特異的抗原に対する腫瘍特異的免疫応答を誘導するという、がんワクチンとしての作用を示す薬理試験データは何ら記載されていないだけでなく、本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体を用いて、腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド内の塩基を変更したことですら実施例をもって記載されていない。 発明の詳細な説明には、「例2」として、特定のペプチドエピトープにおいて、特定の位置のアミノ酸を置換したペプチドのワクチン接種がT細胞免疫応答を促進するという特定のペプチドワクチンの従来例を挙げつつ、「免疫応答を高めるための新しい免疫腫瘍学的方法論」として、「プログラミング可能なCRISPR-Cas9のゲノム編集および塩基編集ツール」から「免疫反応」が「誘導」されるまでの、一連の流れが説明されているが(【0324】)、ゲノム編集及び塩基編集ツールによる腫瘍特異的免疫応答についてはあくまで方法論の記載に留まるものであって、実際に、ゲノム編集及び塩基編集ツールを用いて、腫瘍特異的免疫応答が誘導されることを確認したことは何ら記載されていない。 むしろ、がん抗原を投与することにより、実際に免疫応答が誘導され、がんを治療できるがんワクチンを開発するためには、抗原の選択が重要であること、樹状細胞への十分な抗原濃縮が必要であること、そして、免疫抑制機構やT細胞の移動、機能、増殖を阻害する有害な要素といった克服しなければいけない要因が複数存在することが、本願出願時の技術常識であったことを踏まえれば(上記1(2)イ)、あらゆる「腫瘍特異的抗原をコードするポリヌクレオチド」のコード領域に位置する、表4及び表8に列挙される標的コドン内にある、あらゆる「標的C塩基」を変更対象とする本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体全般が、本願出願時の技術常識(上記1(2)ア)で示したような一連の工程を経て、実際に腫瘍特異的免疫応答を誘導するがんワクチンとなるものとは言いがたい。 したがって、本願出願時の技術常識を踏まえても、本願発明31が、発明の詳細な説明の記載により、本願発明31の核酸塩基エディター/gRNA複合体によってがんワクチンを提供するという課題を解決できる範囲のものであると当業者が認識することはできない。 よって、本願発明31は、当業者が発明の詳細な説明の記載及び出願時における技術常識に照らし、本願発明31の有する上記課題を解決できることを認識できる範囲のものではないから、本願発明31は、発明の詳細な説明に記載したものではない。 カ 本願発明32について 本願発明32は、本願発明31において、「本願発明31の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体」のうちの「ガイドヌクレオチド配列によりプログラミング可能なDNA結合タンパク質ドメイン」を「ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)ドメイン、Cas9ニッカーゼ(nCas9)ドメイン、ヌクレアーゼ不活性型Cpf1ドメイン、およびそのバリアントからなる群より選択され」に変更したもの(以下「本願発明32の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体」という。)に相当する発明である。 そして、発明の詳細な説明は、本願発明32の本件核酸塩基エディター/gRNA複合体についても、何ら具体的な試験が記載されていないことに変わりないのであるから、上記オで説示した理由と同様に、本願発明32は、発明の詳細な説明に記載したものではない。 (3)請求人の主張について 請求人は、サポート要件についても上記1(5)の実施可能要件と同様の理由による主張をしているが、当該主張が採用できないのは、上記1(5)で説示したとおりである。 (4)小括 以上のとおり、本願発明1、6、29~32は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、本願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 第6 むすび 以上のとおり、本願は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 また、本願は、特許請求の範囲の記載が同条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-007421

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決48件(プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ)
  • 2023-007389拒絶査定不服審判 / 2026-05-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)シトシンからグアニンへの塩基編集因子
    同じ当事者: プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
  • 2023-018625拒絶査定不服審判 / 2026-03-10 / 原査定取消(特許/登録すべき)マイクロ流体送達による遺伝子編集
    同じ当事者: プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
  • 2024-006285拒絶査定不服審判 / 2026-03-04 / 請求不成立摂取された物質のバイオアベイラビリティーおよび吸収を低下させる方法
    同じ当事者: プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
  • 2023-003366拒絶査定不服審判 / 2025-07-08 / 請求不成立lincRNA欠失非ヒト動物
    同じ当事者: プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
  • 2023-004471拒絶査定不服審判 / 2025-07-01 / 請求不成立三次元核酸含有マトリックスの立体撮像のための方法と装置
    同じ当事者: プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)3,774件(536・A61K、537・A61K)
  • 2023-019302拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)加齢性黄斑変性症(AMD)におけるスタチン療法の機能的バイオマーカー
    共通の審決分類: 536・A61K、537・A61K
  • 2023-018795拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)癌のための予防および治療処置としてのIPSCベースのワクチン
    共通の審決分類: 536・A61K、537・A61K
  • 2024-017685拒絶査定不服審判 / 2026-08-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)組み換えプロテアーゼ阻害剤含有組成物、同様物の製造およびその使用のための方法
    共通の審決分類: 536・A61K、537・A61K
  • 2023-017424拒絶査定不服審判 / 2026-08-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)ドライアイ疾患及び瞼板腺炎の治療のための組成物
    共通の審決分類: 536・A61K、537・A61K
  • 2026-002455拒絶査定不服審判 / 2026-08-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)水性液剤
    共通の審決分類: 536・A61K、537・A61K

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存