意匠拒絶査定不服審判
2023-005203
布団乾燥機能付きヒーター
- 審判番号
- 2023-005203
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2021-028548
- 登録番号
- 1758771
- 請求日
- 2023年03月31日
- 審決日
- 2023年10月12日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】スリーアップ株式会社
- 【請求人代理人】椿 豊
- 審判長/審判官
- 審判長 小林 裕和
- 審判官 内藤 弘樹
- 審判官 尾曲 幸輔
- 分類
- D18 .113-WY (D4-3)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条、意匠法第4条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2021- 28548「布団乾燥機能付きヒーター」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、意匠法4条2項の規定の適用を受けようとする、令和3年(2021年)12月24日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。
令和4年(2022年) 7月21日付け 拒絶理由通知
同年 9月 8日 意見書の提出
令和5年(2023年) 1月31日付け 拒絶査定
同年 3月31日 審判請求書の提出
第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「布団乾燥機能付きヒーター」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)
第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠(別紙第2参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2021年11月26日
(公知日は、Amazon.co.jpでの取り扱い開始日で認定)
検索日 令和4年7月20日検索
掲載者 Amazon/THREEUP
表題 2in1ふとん乾燥機&セラミックヒーター ドライヒート
掲載URL https://www.amazon.co.jp/dp/B09MLXS92C に掲載された、「布団乾燥機能付きヒーター」の意匠(ASIN:B09MLXS92C)
第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、共に「布団乾燥機能付きヒーター」であるから、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。
(2)両意匠の形状等
両意匠の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
ア 共通点
全体は、正面視略円形の略円盤形状で、周側面の一部を切り欠いて底面としたものであって、正面中央のやや奥に略円形のメッシュガードを取り付け、その周縁に沿ってテーパ-状の縁取りを施し、当該縁から外縁まで傾斜面状に形成し、左側面の上方寄りに略短円筒形状のホース継手を設け、右側面の上方寄りに略矩形状の区画を形成している点において、共通する。
イ 相違点
(ア)背面の態様について、本願意匠は、背面中央に略円形横桟形状のカバーを取り付け、その周縁に沿って縁取りを施し、当該縁から外縁まで傾斜面状に形成しているのに対し、引用意匠は、背面から見た図の開示がないため不明である点、
(イ)略矩形状の区画について、本願意匠は、区画の内側に何も形成していないのに対し、引用意匠は、区画内に略矩形状の操作ボタンを8個、4行2列に整列して配置している点、
(ウ)底面について、本願意匠は、四隅に略円板状の脚を取り付け、縁に沿って余地を設けて底面全体に略横長矩形状のスリットを42個、7行6列に整列して形成しているのに対し、引用意匠は、底面から見た図の開示がないため不明である点、
(エ)色彩について、本願意匠は、線図による形状のみの意匠であるのに対し、引用意匠は、全体に乳白色を基調とした色彩を施している点において、相違する。
2 類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、同一である。
(2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価
ア 共通点の評価
共通点について、この種物品の分野において、全体を、正面視略円形の略円盤形状とし、周側面の一部を切り欠いて底面とし、左側面の上方寄りに略短円筒形状のホース継手を設けたものは、両意匠の他にもごく普通に見られるものであり(参考意匠1)、また、正面中央に略円形のメッシュガードを取り付けたものも、両意匠以外にも一般に見受けられる態様であることから(参考意匠2)、格別需要者の注意を引くものとはいえず、残余の共通箇所を考慮したとしても、共通点が、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
参考意匠1(別紙第3参照)
2007年6月7日に発行の内国雑誌「ミセス」第629号第137頁に所載の「布団乾燥機」の意匠。
(公知資料番号HA19006085)
参考意匠2(別紙第4参照)
2007年8月1日に発行の外国雑誌「Global Sources Home Products」第7号第1巻第64頁に所載の「暖房機」の意匠。
(公知資料番号HB19009717)
イ 相違点の評価
相違点(ア)は、背面における相違であるが、当該小型ヒーターの物品分野においては、吸気を司る背面の態様についても、需要者の関心は高いものといえるところ、背面中央に略円形横桟形状のカバーを取り付け、その周縁に沿って縁取りを施し、当該縁から外縁まで傾斜面状に形成している本願意匠の態様は、正面の態様と対をなしており、本願意匠の特徴を顕著に表しているものといえるから、背面側の態様が不明である引用意匠との比較において、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
相違点(イ)は、区画の内側に何も形成していない本願意匠と、区画内に略矩形状の操作ボタンを複数個、整列して配置して操作部としている引用意匠とは、一見して異なるものといえ、また、当該箇所は、上面近くの比較的目に付く箇所であるから、需要者の注意を引くものといえるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
相違点(ウ)は、使用状態において隠れてしまう底面の態様であるから、ほとんど需要者の注意を引くものではなく、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
相違点(エ)は、色彩の有無についてであるが、その差異のみによって、両意匠を別異のものとする程の大きな相違とはいえないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
ウ 形状等の類否判断
両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、共通点が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいのに対して、相違点のうち、相違点(ウ)及び相違点(エ)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものの、相違点(ア)及び相違点(イ)が、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものであるから、両意匠の形状等は類似しない。
(3)小括
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、形状等において、共通点が両意匠の類否判断に与える影響は小さいのに対し、相違点(ア)及び相違点(イ)が両意匠の類否判断に与える影響は大きいことから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。
3 引用意匠が意匠法3条1項2号に該当するに至った意匠であるか否か
引用意匠は、インターネット通販サイト「Amazon.co.jp」(以下「アマゾン」という。)において掲載されたものであるところ、拒絶理由通知に添付された当該サイトにおける引用意匠の登録情報(別紙第2の第3頁所載)によれば、アマゾンでの取り扱い開始日として記載されている日付は、2021年11月26日であるが、引用意匠には、アマゾンにおける取り扱い開始日に、現実に当該サイトに掲載されたことを裏付けるための補足的証拠(例えば、本願の出願前の日付で投稿され、かつ引用意匠の全体の形状等が現されたカスタマーレビューが掲載されている等。)がないから、引用意匠の掲載年月日は、直ちに信用することができず、証拠性を欠くものといわざるを得ない。
したがって、引用意匠が意匠法3条1項2号に該当するに至った意匠であるとすることはできない。
第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-005203