審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2023-002940

加工機、加工システム及び被加工物の製造方法

審判番号
2023-002940
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-127195
請求日
2023年02月21日
審決日
2024年08月21日
公報発行日
2024年11月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】芝浦機械株式会社
  • 【請求人代理人】飯島 康弘
審判長/審判官
  • 審判長 鈴木 貴雄
  • 審判官 刈間 宏信
  • 審判官 田々井 正吾
分類
P18 .121-WZ (G05B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-127195「加工機、加工システム及び被加工物の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和4年2月9日出願公開、特開2022-24542〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年7月28日の出願であって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年 7月27日付け:拒絶理由通知書 同年 9月16日 :意見書、手続補正書の提出 同年12月 5日付け:拒絶査定 令和5年 2月21日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和6年 2月21日~ 2月27日 :審判官と請求人代理人の電話による応対 令和6年 3月12日付け:拒絶理由通知書 同年 5月17日 :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1~10に係る発明は、令和6年5月17日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「 【請求項1】 ワーク及び工具の一方を、第3可動部を介して支持する第1可動部と、 基台に対して前記第1可動部を第1方向に案内する第1ガイドと、 前記基台に対して前記第1可動部を前記第1方向に駆動する第1駆動源と、 前記基台に対する前記第1可動部の前記第1方向における変位である第1変位と、前記基台に対する前記第1可動部の前記第1方向に直交する第2方向における変位である第1誤差とに応じた信号を出力する第1センサと、 前記ワーク及び前記工具の他方を支持する第2可動部と、 前記基台に対して前記第2可動部を前記第2方向に案内する第2ガイドと、 前記基台に対して前記第2可動部を前記第2方向に駆動する第2駆動源と、 前記基台に対する前記第2可動部の前記第2方向における変位である第2変位に応じた信号を出力する第2センサと、 前記第1可動部に対して前記第3可動部を前記第1方向及び前記第2方向の双方に直交する第3方向に案内する第3ガイドと、 前記第1可動部に対して前記第3可動部を前記第3方向に駆動する第3駆動源と、 前記第1可動部、前記第2可動部及び第3可動部の移動に関する指令の情報を含むプログラムに従って前記第1駆動源、前記第2駆動源及び第3駆動源を制御する制御装置と、 を有しており、 前記制御装置が、 前記プログラムの情報に基づいて、前記第1可動部の前記第1方向における所定の制御周期毎の第1目標位置と、前記第2可動部の前記第2方向における前記制御周期毎の第2目標位置と、前記第3可動部の前記第3方向における前記制御周期毎の第3目標位置と、を算出する補間部と、 前記制御周期毎に、前記第1センサからの信号に基づく前記第1変位の間近の検出値を取得し、その取得した検出値と前記第1目標位置との差に基づいて第1偏差を算出し、前記第1偏差を縮小するように前記第1駆動源を制御する第1制御部と、 前記制御周期毎に、前記第2センサからの信号に基づく前記第2変位の間近の検出値を取得し、その取得した検出値と前記第2目標位置との差に基づいて第2偏差を算出し、前記第2偏差を縮小するように前記第2駆動源を制御する第2制御部と、 前記制御周期毎に、前記第3可動部の検出位置と前記第3目標位置とに基づいて前記第3駆動源を制御する第3制御部と、を有しており、 前記第2制御部が、前記制御周期毎に、前記第1センサからの信号に基づく前記第1誤差の間近の検出値を取得し、前記第1誤差に起因する前記ワークと前記工具との前記第2方向における相対位置の誤差の少なくとも一部が、前記第2可動部の前記第2方向における前記第1誤差が生じた側と同じ側への移動によって打ち消されるように、前記第1誤差の検出値に基づいて前記第2偏差を増加又は減少させ、 その一方で、前記制御周期毎に前記第3可動部の前記第1可動部に対する前記第2方向における変位である第3誤差の間近の検出値に基づいて前記第2偏差を増加又は減少させることは行われない 加工機。」 第3 当審における拒絶の理由 当審が、令和6年3月12日付けで通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)のうち、請求項1に係る発明に対する特許法29条2項(進歩性)に係る理由の概要は、次のとおりである。 この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1~2に記載された発明及び引用文献3に示す周知の技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2007-226836号公報 引用文献2:特許第2539097号公報 引用文献3:藤森徹、「NC工作機械の高精度運動制御のためのリニアスケールシステムに関する研究」、学位論文 博士(工学)、慶應義塾大学大学院理工学研究科、2014年度、43~46ページ 第4 引用文献の記載及び引用発明 1 引用文献1の記載事項 当審拒絶理由で引用した引用文献1には、次の事項が記載されている。 (下線は当審で付したものである。以下同じ。) 「【0001】 本願発明は、X、Y、Z軸の直交3軸の送り軸、またはそれにA、B、C軸のうち少なくとも1つの回転軸を付加した複数の送り軸を有するフライス盤、マシニングセンタ、放電加工機等の数値制御工作機械の制御方法及び数値制御工作機械に関するものであり、機械の送り速度を高速にしても加工精度を劣化させない新規な技術に関するものである。」 「【発明を実施するための最良の形態】 【0040】 図1を参照して、本願発明の数値制御工作機械を説明する。図1において、数値制御工作機械10は所謂横形マシニングセンタであり、工場等の床面に設置されるベッド12を具備している。ベッド12の上面には、Z軸ガイドレール28が水平なZ軸方向(図1において左右方向)に延設されており、該Z軸ガイドレール28にはワークWを固定するためのテーブル14が摺動自在に取り付けられている。図1は、テーブル14上にB軸方向に回転送り可能なNCロータリテーブルを固定し、その上にワークWを積載している例を示しているが、NCロータリテーブルを介在させることなくテーブル14上に直接ワークWを積載しても良い。ベッド12の上面には、更に、X軸ガイドレール36がZ軸に対して垂直でかつ水平なX軸方向(図1の紙面に垂直方向)に延設されており、該X軸ガイドレール36にはコラム16が摺動自在に取り付けられている。コラム16においてワークWに対面する前面には、X軸およびZ軸に対して垂直なY軸方向(図1において上下方向)にY軸ガイドレール34が延設されており、該Y軸ガイドレール34には、主軸20を回転自在に支持する主軸頭18が摺動自在に取り付けられている。 【0041】 ベッド12内においてテーブル14の下側にはZ軸送り軸としてのZ軸送りねじ24がZ軸方向に延設されており、テーブル14の下面にはZ軸送りねじ24に螺合するナット26が固定されている。Z軸送りねじ24の一端にはZ軸送りサーボモータMZが連結されており、該サーボモータMzを駆動しZ軸送りねじ24を回転させることにより、テーブル14はZ軸ガイドレール28に沿って移動する。同様にベッド12内においてコラム16の下側にはX軸送り軸としてのX軸送りねじ(図示せず)がX軸方向に延設されており、コラム16の下面には前記X軸送りねじに螺合するナット(図示せず)が固定されている。前記X軸送りねじの一端にはX軸送りサーボモータMXが連結されており、該サーボモータMXを駆動し前記X軸送りねじを回転させることにより、コラム16は前記X軸ガイドレール36に沿って移動する。更に、コラム16内にはY軸送り軸としてのY軸送りねじ32がY軸方向に延設されており、主軸頭18の背面にはY軸送りねじ32に螺合するナット30が固定されている。Y軸送りねじ32の上端にはY軸送りサーボモータMYが連結されており、該サーボモータMYを駆動しY軸送りねじ32を回転させることにより、主軸頭18はY軸ガイドレール34に沿って移動する。 【0042】 主軸20の先端には工具22、例えばエンドミルが装着されており、工具22を回転させながら、コラム16、主軸頭18、テーブル14を各々X軸、Y軸、Z軸方向に相対動作させることにより、テーブル14に固定されたワークWを所望形状に切削加工する。NCロータリテーブルが固定されている場合、数値制御工作機械10は、更にB軸を有する4軸の数値制御工作機械と言える。 【0043】 数値制御工作機械10は、コラム16、主軸頭18、テーブル14のX軸、Y軸、Z軸方向に3軸方向へ移動させるX軸、Y軸、Z軸送りサーボモータMX、MY、MZを制御する数値制御部40を具備している。もちろんNCロータリテーブルが固定されている場合には、B軸送りサーボモータMB(図示せず)を具備している。数値制御部40は、NCプログラム42を読取りこれを解釈するプログラム読取解釈部44、解釈されたプログラムを一時的に記憶する解釈済みプログラム記憶部46、解釈済みプログラム記憶部46からプログラムを適宜引き出して実行プログラムデータを発するプログラム実行指令部48、プログラム実行指令部48からの実行プログラムデータに基づいてX軸、Y軸、Z軸の各々の方向への移動指令値を発する移動指令分配制御部50、移動指令分配制御部50からの移動指令値および後述するフィードバック信号に基づいて送り軸モータ駆動部54へトルク指令値または電流指令値を発するサーボ制御部52を含んでいる。送り軸モータ駆動部54は、サーボ制御部52からのトルク指令値または電流指令値に基づき電流を出力してX軸、Y軸、Z軸の各々の送り軸モータMX、MY、MZを駆動する。更に、本実施形態では、サーボ制御部52から送り軸モータ駆動部54へのトルク指令値または電流指令値を補正する演算制御部56が設けられている。 【0044】 次に、図2を参照して、サーボ制御部52および演算制御部56の好ましい実施形態を説明する。図2の実施形態では、演算制御部56は、その一態様として所謂バックラッシ加速補正を行う負荷トルク演算部70を具備している。図2において図1の対応する構成要素には同じ参照符号にて指示されている。また、以下の記載ではテーブル14に関するZ軸の送り制御についてのみ説明するが、X軸およびY軸の送り制御についても同様に構成されていることは理解されよう。 【0045】 サーボ制御部52は、移動指令分配制御部50からの移動指令値と、テーブル14に取着したデジタル直線スケール等の位置検出器SPからの位置フィードバック信号とを比較する減算器58、減算器58からの出力を増幅する位置制御部60、位置制御部60の出力値と送り軸モータMZに設けたパルスコーダPCからの速度フィードバック信号を比較する減算器62、減算器62の出力を増幅する速度制御部64を含んでいる。」 図1 「 [図:0001415830000001.jpg] 」 図2 「 [図:0001415830000002.jpg] 」 2 引用文献1の記載事項の整理 上記1の記載事項から見て、以下の技術的事項を理解することができる。なお、括弧内に引用文献1の記載箇所を付記する。 (1)引用文献1には、コラム16をX軸方向に、主軸頭18をY軸方向に、テーブル14をZ軸方向に、それぞれ相対動作させることにより、テーブル14に固定されたワークWを切削加工する数値制御工作機械10が記載され(【0042】、図1)、数値制御工作機械10は、X軸、Y軸、Z軸送りサーボモータMX、MY、MZを制御する数値制御部40を備えている(【0043】、図2)。 (2)主軸頭18は、主軸20を支持し(【0040】)、主軸20には工具22が装着される(【0042】)ところ、主軸頭18は、Y軸ガイドレール34に沿って移動し(【0041】)、Y軸ガイドレール34は、コラム16の前面側に延設されている(【0040】)から、コラム16は、主軸頭18を介して工具22を支持しているといえる。 (3)コラム16は、ベッド12に対してX軸方向に延設されたX軸ガイドレール36に摺動自在に取り付けられており(【0040】)、X軸送りサーボモータMXにより移動する(【0041】)。 (4)ワークWはテーブル14に固定されており、テーブル14は、ベッド12に対してZ軸方向に延設されたZ軸ガイドレール28に摺動自在に取り付けられており(【0040】)、Z軸送りサーボモータMZにより移動する(【0041】)。 (5)ベッド12に対するテーブル14のZ軸方向の位置フィードバック信号は、テーブル14に装着された位置検出器SPから出力される。(【0045】) (6)テーブル14に関するZ軸の送り制御の説明は、X軸及びY軸の送り制御についても同様であること(【0044】)から、ベッド12に対するコラム16のX軸方向の位置フィードバック信号は、上記(5)のテーブル14のZ軸方向の位置フィードバック信号と同様に、コラム16に装着された位置検出器SPから出力され、主軸頭18のY軸方向の位置フィードバック信号は、主軸頭18に装着された位置検出器SPから出力されるといえる。 (7)主軸頭18は、X軸方向及びZ軸方向に対して垂直なY軸方向に延設するY軸ガイドレール34に摺動自在に取り付けられ(【0040】)、サーボモータMYにより移動する(【0041】)。 (8)数値制御部40は、NCプログラム42を読取って解釈するプログラム読取解釈部44と、解釈されたプログラムを一時的に記憶する解釈済みプログラム記憶部46と、解釈済みプログラム記憶部46からプログラムを適宜引き出して実行プログラムデータを発するプログラム実行指令部48と、プログラム実行指令部48からの実行プログラムデータに基づいてX軸、Y軸、Z軸の各々の方向への移動指令値を発する移動指令分配制御部50と、移動指令分配制御部50からの移動指令値及びフィードバック信号に基づいて送り軸モータ駆動部54へトルク又は電流の指令値を発するサーボ制御部52を含み、トルク又は電流の指令値に基づいて、送り軸モータ駆動部54が、送り軸モータMX、MY、MZを駆動する。(【0043】) そのため、数値制御部40は、NCプログラム42に従って、サーボモータMX、MY、MZを制御するといえ、NCプログラム42は、コラム16、テーブル14及び主軸頭18の移動に関する指令の情報を含んでいるといえる。 (9)上記(8)から、数値制御部40の移動指令分配制御部50は、NCプログラム42を解釈した実行プログラムデータに基づいて、X軸、Y軸、Z軸の各々の方向への移動指令値を算出しているといえる。 (10)上記(8)から、数値制御部40のサーボ制御部52は、位置フィードバック信号を取得して、移動指令分配制御部50からの移動指令値及び位置フィードバック信号に基づいて送り軸モータ駆動部54へトルク又は電流の指令値を算出しているから、サーボモータMX、MY、MZを制御するといえる。 (11)主軸頭18のコラム16に対するZ軸方向における変位に基づいて、サーボモータMZを制御することは行われていない(上記1を含めた引用文献1には、当該制御を行う旨の記載がないことは明らかである。)。 3 引用発明 上記2をまとめると、引用文献1には、次の発明が記載されているということができる。 「工具22を、主軸頭18を介して支持するコラム16と、 ベッド12に対して前記コラム16をX軸方向に摺動自在に取り付けるX軸ガイドレール36と、 前記ベッド12に対して前記コラム16を前記X軸方向に移動するX軸送りサーボモータMXと、 前記ベッド12に対する前記コラム16の前記X軸方向における位置フィードバック信号を出力するコラム16に装着された位置検出器SPと、 ワークWを固定するテーブル14と、 前記ベッド12に対して前記テーブル14をZ軸方向に摺動自在に取り付けるZ軸ガイドレール28と、 前記ベッド12に対して前記テーブル14を前記Z軸方向に移動するZ軸送りサーボモータMZと、 前記ベッド12に対する前記テーブル14の前記Z軸方向における位置フィードバック信号を出力するテーブル14に装着された位置検出器SPと、 前記コラム16に対して前記主軸頭18を前記X軸方向及び前記Z軸方向に対して垂直なY軸方向に摺動自在に取り付けるY軸ガイドレール34と、 前記コラム16に対して前記主軸頭18を前記Y軸方向に移動するサーボモータMYと、 前記コラム16、前記テーブル14及び前記主軸頭18の移動に関する指令の情報を含むNCプログラム42に従って前記サーボモータMX、前記サーボモータMZ及び前記サーボモータMYを制御する数値制御部40と、 を有しており、 前記数値制御部40が、 NCプログラム42を解釈した実行プログラムデータに基づいて、前記コラム16の前記X軸方向の移動指令値と、前記テーブル14の前記Z軸方向の移動指令値と、前記主軸頭18の前記Y軸方向の移動指令値と、を算出する移動指令分配制御部50と、 前記コラム16に装着された位置検出器SPからの前記X軸方向における位置フィードバック信号を取得し、その取得した位置フィードバック信号と前記X軸方向の移動指令値とに基づいて、サーボモータMXを制御するサーボ制御部52と、 前記テーブル14に装着された位置検出器SPからの前記Z軸方向における位置フィードバック信号を取得し、その取得した位置フィードバック信号と前記Z軸方向の移動指令値とに基づいて、サーボモータMZを制御するサーボ制御部52と、 前記主軸頭18に装着された位置検出器SPからの前記Y軸方向における位置フィードバック信号と前記Y軸方向の移動指令値とに基づいて、サーボモータMYを制御するサーボ制御部52と、を有しており、 前記主軸頭18の前記コラム16に対する前記Z軸方向における変位に基づいて、前記サーボモータMZを制御することは行われない 数値制御工作機械10。」(以下「引用発明」という。) 4 引用文献2の記載事項 当審拒絶理由で引用した引用文献2には、次の事項が記載されている。 「【0003】図1は超精密旋盤の基本構成を示している。Xテーブル13及びZテーブル14は、石定盤16上に直交して配置されている。Xテーブル13は刃物台12を搭載し主軸回転半径方向に直進し、Zテーブル14は工作物15を回転させる主軸スピンドル10を搭載し主軸回転軸方向に直進する。夫々のテーブル13,14の位置をNC装置17によってNCデータに従い同時2軸制御し、工作物15を球面・非球面の回転形状に旋削加工することが可能である。」 「【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、X、Z軸各テーブルの加工中における真直度誤差をリアルタイムで補正することにより理想形状の加工を可能とする加工誤差補正方法及びその方法を具備する工作機械を提供することを目的とする。」 「【0010】 【作用】このような加工誤差補正方法を採用することにより、加工中のX、Z両軸テーブルの真直度誤差をリアルタイムで補正でき、従って工作機械はNC指令に対し理想形状の加工が可能となる。 【0011】 【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。 【0012】図2は図1の超精密旋盤に真直度誤差検出器を設置した一実施例である。Xテーブル23の刃物台22にはXテーブル23のストローク以上の長さのターゲット26が長手方向をZ軸と直交させて固定されている。X軸テーブル23の直進運動中の真直度誤差ΔZはターゲット26に対向して刃物台22上に設置された真直度誤差検出器27によってX軸からの変位として検出される。同様にZ軸テーブル24にはZ軸テーブル24のストローク以上の長さのターゲット28が長手方向をX軸と直交させて固定されており、Z軸テーブル24の真直度誤差ΔX(当審注:「ΔX」の記載は「ΔXは」の誤記と認める。)ターゲット28に対向して設置された真直度誤差検出器29により検出される。真直度誤差検出器27,29には例えばレーザ干渉測長計を用い、ターゲット26,28として反射鏡を各テーブル上に軸と平行に固定すれば、ナノ・メータ(nm)・オーダでの高精度真直度誤差測定が可能である。これらの真直度誤差検出器27,29はその測定値ΔX,ΔZを加工中にリアルタイムで出力する機能を有する。 【0013】図3は本実施例の誤差補正システムのブロック図である。破線内はNC装置30の構成であり、これは位置指令部31からのX軸テーブル23及びZ軸テーブル24の位置を指定する命令を、パルス分配部32により位置指令信号NX,NZとして、X軸テーブル23及びZ軸テーブル24の各位置制御部33,34に分配することにより、テーブル駆動モータ35a,35bを駆動して、2軸を同時に制御するように設けられている。また、同時にX軸テーブル23及びZ軸テーブル24の位置を位置検出器36a,36bにより測定し、このときの位置検出器36a,36bから位置検出信号をフィードバック信号FX,FZとして、X軸及びZ軸の位置制御部33,34にフィードバックして位置指令部31にて指定された位置に位置決めされるように位置制御する。本実施例では、これに対しさらにX軸テーブル23及びZ軸テーブル24の真直度誤差検出器27,29と、得られた真直度誤差信号SX,SZに基づいてテーブル位置補正信号TX,TZを位置指令信号NX,NZに重畳させる重畳手段としてのインターフェース38を有する。いま、加工プログラムを紙テープあるいは内部メモリ等より与えると、位置指令部31はこれに応じた位置指令を示す位置指令信号NX,NZをX軸テーブル23及びZ軸テーブル24の各位置制御部33,34に印加する。ついで、位置制御部33,34は、テーブル駆動モータ35a,35bを駆動し、X軸テーブル23及びZ軸テーブル24を変位させる。同時に、位置制御部33,34は、位置検出器36a,36bからのフィードバック信号FX,FZに基づき連続的に位置制御する。このとき、刃物台22上のターゲット26に対向する真直度誤差検出器27により測定されるXテーブル23のZ方向真直度誤差ΔZを示す真直度誤差信号SZがインターフェース38に出力されるとともに、Z軸テーブル24上のターゲット28に対向する真直度誤差検出器29により測定されるZ軸テーブル24のX方向真直度誤差ΔXを示す真直度誤差信号SXがインターフェース38に出力される。その結果、インターフェース38にては、真直度誤差信号SXに基く-ΔXなる補正を行わせるためのX軸テーブル位置補正信号TXが位置指令信号NXに重畳され、重畳された信号が位置制御部33に印加される。また、インターフェース38にては、真直度誤差信号SZに基く-ΔZなる補正を行わせるためのZ軸テーブル位置補正信号TZが位置指令信号NZに重畳され、重畳された信号が位置制御部34に印加される。」 「【符号の説明】 10…主軸スピンドル、11…刃物、12…刃物台、13…X軸テーブル、14…Z軸テーブル、15…工作物、16…石定盤、17…NC装置、18…除振台、20…主軸スピンドル、21…刃物、23…X軸テーブル、24…Z軸テーブル、25…工作物、26…ターゲット、27…真直度誤差検出器、28…ターゲット、29…真直度誤差検出器、30…NC装置、31…位置指令部、32…パルス分配部、33…X軸位置制御部、34…Z軸位置制御部、35…テーブル駆動モータ、36…位置検出器、37…真直度誤差検出器、38…インターフェース、50…主軸スピンドル、51…刃物、53…X軸テーブル、54…Z軸テーブル、55…工作物、56…石定盤、57…レーザ発振器、58…ビームスプリッタ、59…レーザ干渉計、60…反射鏡、61…レシーバ。」 図1 「 [図:0001415830000003.jpg] 」 図2 「 [図:0001415830000004.jpg] 」 図3 「 [図:0001415830000005.jpg] 」 5 引用文献2の記載事項の整理 上記4の記載事項から見て、以下の技術的事項を理解することができる。なお、括弧内に引用文献2の記載箇所を付記する。 (1)引用文献2には、工作機械のX、Z軸各テーブルの加工中における真直度誤差をリアルタイムで補正することが記載されている。(【0010】) (2)工作機械は、刃物21(【符号の説明】)を支持するX軸テーブル23(図2)と、工作物25(【符号の説明】)を支持するZ軸テーブル24(図2)を備えている。 (3)X軸テーブル23は、石定盤16(【0003】)に対してX軸方向に変位するから、X軸方向の変位を案内するX軸方向案内部材を備えていることは明らかであり、同様に、Z軸テーブル24は、石定盤16に対してZ軸方向に変位するから、Z軸方向の変位を案内するZ軸方向案内部材を備えていることは明らかである。 (4)工作機械は、石定盤16に対してX軸テーブル23をX軸方向に変位するテーブル駆動モータ35aと、Z軸テーブル24をZ軸方向に変位するテーブル駆動モータ35bを備えている。(【0013】) (5)工作機械は、石定盤16に対するX軸テーブル23のX軸方向の変位である位置検出信号FXを検出する位置検出器36aと、石定盤16に対するZ軸テーブル24のZ軸方向の変位である位置検出信号FZを検出する位置検出器36bを備えている。(【0013】) (6)工作機械は、石定盤16に対するX軸テーブル23のX軸方向に直交するZ軸方向における変位である真直度誤差ΔZを検出する真直度誤差検出器27を備えている。(【0012】) (7)工作機械は、位置指令部31からのX軸テーブル23の位置指令信号NX及びZ軸テーブル24の位置指令信号NZに従って、テーブル駆動モータ35a及び35bを制御するNC装置30を備えている。(【0013】) (8)NC装置30は、X軸テーブル23のX軸方向の位置指令信号NXと、Z軸テーブル24のZ軸方向の位置指令信号NZを分配するパルス分配部32を備えている。(【0013】) (9)NC装置30は、位置検出器36aからの位置検出信号FXを取得し、その取得した位置検出信号FXと位置指令信号NXに基づいてX軸テーブル23を位置制御するX軸テーブル位置制御部33と、位置検出器36bからの位置検出信号FZを取得し、その取得した位置検出信号FZと位置指令信号NZに基づいてZ軸テーブル24を位置制御するZ軸テーブル位置制御部34を備えている。(【0013】) そして、X軸テーブル23を位置制御することは、位置検出信号FXと位置指令信号NXとの差に基づいてX軸方向の偏差を算出し、前記X軸方向の偏差を縮小するようにテーブル駆動モータ35aを制御することであり、同様に、Z軸テーブル24を位置制御することは、位置検出信号FZと位置指令信号NZとの差に基づいてZ軸方向の偏差を算出し、前記Z軸方向の偏差を縮小するようにテーブル駆動モータ35bを制御することであるといえる。 (10)インターフェース38は、真直度誤差検出器27からの真直度誤差ΔZを示す真直度誤差信号SZを取得し、真直度誤差信号SZに基く「-ΔZなる補正」を行わせるためのZ軸テーブル位置補正信号TZを位置指令信号NZに重畳させる(【0013】)ところ、これにより、真直度誤差がリアルタイムで補正される(【0010】)から、「-ΔZなる補正」とは、「真直度誤差ΔZを打ち消す補正」という意味であると解するのが相当である。そして、真直度誤差ΔZを打ち消すような補正とは、例えば、X軸テーブル23が図2の右側に動くような誤差が生じた場合に、Z軸テーブル24を同じ右側に動かすように補正して、刃物21と工作物25との相対的な位置の誤差を打ち消すことを意味する。したがって、インターフェース38は、真直度誤差ΔZに起因する刃物21と工作物25とのZ軸方向における相対位置の誤差が、Z軸テーブル24のZ軸方向における真直度誤差ΔZが生じた側と同じ側への移動によって打ち消されるように、真直度誤差ΔZを示す真直度誤差信号SZに基づいてZ軸方向の偏差を増加又は減少させているといえる。 6 引用文献2記載の技術的事項 上記5をまとめると、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているということができる。 「刃物21を支持するX軸テーブル23と、 石定盤16に対して前記X軸テーブル23をX軸方向に案内するX軸方向案内部材と、 前記石定盤16に対して前記X軸テーブル23を前記X軸方向に変位するテーブル駆動モータ35aと、 前記石定盤16に対する前記X軸テーブル23の前記X軸方向の変位である位置検出信号FXを検出する位置検出器36aと、 前記石定盤16に対する前記X軸テーブル23の前記X軸方向に直交するZ軸方向における変位である真直度誤差ΔZを検出する真直度誤差検出器27と、 工作物25を支持するZ軸テーブル24と、 石定盤16に対して前記Z軸テーブル24をZ軸方向に案内するZ軸方向案内部材と、 前記石定盤16に対して前記Z軸テーブル24を前記Z軸方向に変位するテーブル駆動モータ35bと、 前記石定盤16に対する前記Z軸テーブル24のZ軸方向の変位である位置検出信号FZを検出する位置検出器36bと、 位置指令部31からの前記X軸テーブル23及び前記Z軸テーブル24の位置指令信号NX及びNZに従って前記テーブル駆動モータ35a及び35bを制御するNC装置30と、 を有しており、 前記NC装置30が、前記X軸テーブル23の前記X軸方向の前記位置指令信号NXと、前記Z軸テーブル24の前記Z軸方向の前記位置指令信号NZを分配するパルス分配部32と、 前記位置検出器36aからの前記位置検出信号FXを取得し、その取得した位置検出信号FXと前記位置指令信号NXとの差に基づいてX軸方向の偏差を算出し、前記X軸方向の偏差を縮小するように前記テーブル駆動モータ35aを制御することで前記X軸テーブル23を位置制御するX軸テーブル位置制御部33と、 前記位置検出器36bからの前記位置検出信号FZを取得し、その取得した位置検出信号FZと前記位置指令信号NZとの差に基づいてZ軸方向の偏差を算出し、前記Z軸方向の偏差を縮小するように前記テーブル駆動モータ35bを制御することで前記Z軸テーブル24を位置制御するZ軸テーブル位置制御部34と、を有しており、 インターフェース38が、前記真直度誤差検出器27からの前記真直度誤差ΔZを示す真直度誤差信号SZを取得し、前記真直度誤差ΔZに起因する前記工作物25と前記刃物21との前記Z軸方向における相対位置の誤差が、前記Z軸テーブル24の前記Z軸方向における前記真直度誤差ΔZが生じた側と同じ側への移動によって打ち消されるように、前記真直度誤差ΔZを示す真直度誤差信号SZに基づいて前記Z軸方向の偏差を増加又は減少させる、 工作機械。」(以下「引用文献2記載の技術的事項」という。) 7 引用文献3の記載事項 当審拒絶理由で引用した引用文献3には、次の事項が記載されている。なお、句読点は「。」及び「、」で表記する。 「3-3 補正用磁気式スケールの検出原理と補正方法の提案 図3-2に提案する補正用磁気式スケールの原理図を示す。 補正用磁気式スケールは、スケール側にX軸方向のアブソリュートコードが記録されたスケール部と、その両側に1本づつ、合計2本のインクリメンタルスケール部を有し、検出側は、アブソリュートスケール検出部と各インクリメンタルスケールに対応する合計4つのインクリメンタル検出部から構成されている。図中、X軸方向が主移動方向、Y軸方向はスケール面内で主移動に直行する(当審注:「直行する」の記載は「直交する」の誤記と認める。)方向である。」(43ページ1~7行) Fig.3-2 「 [図:0001415830000006.jpg] 」 「3-3-1 X、Y軸方向の測定 X、Y軸方向の測定原理を、ヘッド2、3を例にして説明する。図3-4に、インクリメンタルヘッドの検出値とXY移動量の関係を示す。ヘッドで検出される値は、X軸方向・Y軸方向それぞれの移動量のうち、記録された信号パターンと直交する成分である。ヘッド2およびヘッド3のXY軸方向の移動量を、Xh2、Yh2およびXh3、Yh3、検出値をSh2、Sh3とすると、 ・・・ヘッド2、3のX軸、Y軸方向移動量として以下を得る。」(45ページ1行~46ページ2行」 (3-19)式及び(3-20)式 「 [図:0001415830000007.jpg] 」 Fig.3-4 「 [図:0001415830000008.jpg] 」 8 引用文献3に示す周知の技術的事項 上記7の記載事項から見て、引用文献3には、補正用磁気式スケールが記載され、主移動方向であるX軸方向の移動量(Xh2、Xh3)と、主移動方向に直交する方向であるY軸方向の移動量(Yh2、Yh3)を検出できることを理解できる。 また、引用文献3は、「NC工作機械の高精度運動制御のためのリニアスケールシステムに関する研究」という学位論文であるから、補正用磁気式スケールは、工作機械の運動制御に用いられるものであり、また、引用文献3は、工作機械の運動制御の分野における先端的な研究成果であると同時に、大学の社会貢献の一環として、当該研究成果が広く利用されるように発行されるものといえる。 したがって、「工作機械の運動制御に用いられ、主移動方向であるX軸方向の移動量と、X軸方向に直交するY軸方向の移動量を検出できる補正用磁気式スケール」は、工作機械の運動制御の分野において、周知の技術的事項(以下「引用文献3に示す周知の技術的事項」という。)といえる。 第5 対比及び判断 1 対比 本願発明と引用発明を対比すると、以下のとおりである。 (1)引用発明の「工具22」が本願発明の「ワーク及び工具の一方」に相当することは明らかであり、以下同様に、「主軸頭18を介して支持する」ことが「第3可動部を介して支持する」ことに、「コラム16」が「第1可動部」に、「ベッド12」が「基台」に、「X軸方向」が「第1方向」に、「摺動自在に取り付ける」ことが「案内する」ことに、「X軸ガイドレール36」が「第1ガイド」に、「移動する」が「駆動する」に、「X軸送りサーボモータMX」が「第1駆動源」に、それぞれ相当する。 (2)引用発明の「前記ベッド12に対する前記コラム16の前記X軸方向における位置フィードバック信号を出力するコラム16に装着された位置検出器SP」と、本願発明の「前記基台に対する前記第1可動部の前記第1方向における変位である第1変位と、前記基台に対する前記第1可動部の前記第1方向に直交する第2方向における変位である第1誤差とに応じた信号を出力する第1センサ」を対比すると、「前記基台に対する前記第1可動部の前記第1方向における変位である第1変位に応じた信号を出力する第1変位センサ」という点に限って一致する。 (3)引用発明の「ワークW」が本願発明の「前記ワーク及び前記工具の他方」に相当することは明らかであり、以下同様に、「固定するテーブル14」が「支持する第2可動部」に、「Z軸方向」が「前記第2方向」に、「Z軸ガイドレール28」が「第2ガイド」に、「Z軸送りサーボモータMZ」が「第2駆動源」に、「前記Z軸方向における位置フィードバック信号」が「前記第2方向における変位である第2変位に応じた信号」に、「テーブル14に装着された位置検出器SP」が「第2センサ」に、「前記X軸方向及び前記Z軸方向に対して垂直なY軸方向」が「前記第1方向及び前記第2方向の双方に直交する第3方向」に、「Y軸ガイドレール34」が「第3ガイド」に、「サーボモータMY」が「第3駆動源」に、「前記コラム16、前記テーブル14及び前記主軸頭18の移動に関する指令の情報を含むNCプログラム42」が「前記第1可動部、前記第2可動部及び第3可動部の移動に関する指令の情報を含むプログラム」に、「前記サーボモータMX、前記サーボモータMZ及び前記サーボモータMYを制御する数値制御部40」が「前記第1駆動源、前記第2駆動源及び第3駆動源を制御する制御装置」に、それぞれ相当する。 (4)引用発明の「NCプログラム42を解釈した実行プログラムデータ」が本願発明の「前記プログラムの情報」に相当することは明らかである。 また、引用発明における「数値制御部40」が、所定の周期でデジタル制御することは明らかであるから、引用発明の「前記コラム16の前記X軸方向の移動指令値」は、本願発明の「前記第1可動部の前記第1方向における所定の制御周期毎の第1目標位置」に相当し、以下同様に、「前記テーブル14の前記Z軸方向の移動指令値」が「前記第2可動部の前記第2方向における前記制御周期毎の第2目標位置」に、「前記主軸頭18の前記Y軸方向の移動指令値」が「前記第3可動部の前記第3方向における前記制御周期毎の第3目標位置」に、「移動指令分配制御部50」が「補間部」に相当する。 (5)引用発明において「前記コラム16に装着された位置検出器SPからの前記X軸方向における位置フィードバック信号を取得」することが、引用発明において「前記制御周期毎に、前記第1センサからの信号に基づく前記第1変位の間近の検出値を取得」することに相当する。 また、引用発明の「その取得した位置フィードバック信号と前記X軸方向の移動指令値とに基づいて、サーボモータMXを制御するサーボ制御部52」は、位置フィードバック信号が示す位置を、X軸方向の移動指令値が示す位置に一致させるように制御するもの、すなわち、位置フィードバック信号が示す位置とX軸方向の移動指令値が示す位置の偏差を小さくするように制御するものであるから、本願発明の「その取得した検出値と前記第1目標位置との差に基づいて第1偏差を算出し、前記第1偏差を縮小するように前記第1駆動源を制御する第1制御部」に相当し、以下同様に、「前記テーブル14に装着された位置検出器SPからの前記Z軸方向における位置フィードバック信号を取得」することが「前記制御周期毎に、前記第2センサからの信号に基づく前記第2変位の間近の検出値を取得」することに、「その取得した位置フィードバック信号と前記Z軸方向の移動指令値とに基づいて、サーボモータMZを制御するサーボ制御部52」が「その取得した検出値と前記第2目標位置との差に基づいて第2偏差を算出し、前記第2偏差を縮小するように前記第2駆動源を制御する第2制御部」に、「前記主軸頭18に装着された位置検出器SPからの前記Y軸方向における位置フィードバック信号と前記Y軸方向の移動指令値とに基づいて、サーボモータMYを制御するサーボ制御部52」が「前記制御周期毎に、前記第3可動部の検出位置と前記第3目標位置とに基づいて前記第3駆動源を制御する第3制御部」に相当し、「前記主軸頭18の前記コラム16に対する前記Z軸方向における変位に基づいて、前記サーボモータMZを制御することは行われない」ことが「前記制御周期毎に前記第3可動部の前記第1可動部に対する前記第2方向における変位である第3誤差の間近の検出値に基づいて前記第2偏差を増加又は減少させることは行われない」ことに、「数値制御工作機械10」が「加工機」に相当する。 2 一致点及び相違点 以上から、本願発明と引用発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。 [一致点] 両発明は、 「ワーク及び工具の一方を、第3可動部を介して支持する第1可動部と、 基台に対して前記第1可動部を第1方向に案内する第1ガイドと、 前記基台に対して前記第1可動部を前記第1方向に駆動する第1駆動源と、 前記基台に対する前記第1可動部の前記第1方向における変位である第1変位に応じた信号を出力する第1変位センサと、 前記ワーク及び前記工具の他方を支持する第2可動部と、 前記基台に対して前記第2可動部を前記第2方向に案内する第2ガイドと、 前記基台に対して前記第2可動部を前記第2方向に駆動する第2駆動源と、 前記基台に対する前記第2可動部の前記第2方向における変位である第2変位に応じた信号を出力する第2センサと、 前記第1可動部に対して前記第3可動部を前記第1方向及び前記第2方向の双方に直交する第3方向に案内する第3ガイドと、 前記第1可動部に対して前記第3可動部を前記第3方向に駆動する第3駆動源と、 前記第1可動部、前記第2可動部及び第3可動部の移動に関する指令の情報を含むプログラムに従って前記第1駆動源、前記第2駆動源及び第3駆動源を制御する制御装置と、 を有しており、 前記制御装置が、 前記プログラムの情報に基づいて、前記第1可動部の前記第1方向における所定の制御周期毎の第1目標位置と、前記第2可動部の前記第2方向における前記制御周期毎の第2目標位置と、前記第3可動部の前記第3方向における前記制御周期毎の第3目標位置と、を算出する補間部と、 前記制御周期毎に、前記第1変位センサからの信号に基づく前記第1変位の間近の検出値を取得し、その取得した検出値と前記第1目標位置との差に基づいて第1偏差を算出し、前記第1偏差を縮小するように前記第1駆動源を制御する第1制御部と、 前記制御周期毎に、前記第2センサからの信号に基づく前記第2変位の間近の検出値を取得し、その取得した検出値と前記第2目標位置との差に基づいて第2偏差を算出し、前記第2偏差を縮小するように前記第2駆動源を制御する第2制御部と、 前記制御周期毎に、前記第3可動部の検出位置と前記第3目標位置とに基づいて前記第3駆動源を制御する第3制御部と、を有しており、 前記制御周期毎に前記第3可動部の前記第1可動部に対する前記第2方向における変位である第3誤差の間近の検出値に基づいて前記第2偏差を増加又は減少させることは行われない 加工機。」 である点。 [相違点] 第1変位センサに関して、本願発明においては「前記基台に対する前記第1可動部の前記第1方向における変位である第1変位と、前記基台に対する前記第1可動部の前記第1方向に直交する第2方向における変位である第1誤差とに応じた信号を出力する」ものであり、 また、第2制御部が、「前記制御周期毎に、前記第1センサからの信号に基づく前記第1誤差の間近の検出値を取得し、前記第1誤差に起因する前記ワークと前記工具との前記第2方向における相対位置の誤差の少なくとも一部が、前記第2可動部の前記第2方向における前記第1誤差が生じた側と同じ側への移動によって打ち消されるように、前記第1誤差の検出値に基づいて前記第2偏差を増加又は減少させ」るものであるのに対して、 引用発明においては「前記ベッド12に対する前記コラム16の前記X軸方向における位置フィードバック信号を出力するコラム16に装着された」位置検出器SPであって、X軸方向に直交するZ軸方向の誤差に応じた信号を出力するものではなく、 また、サーボモータMZを制御するサーボ制御部52が、Z軸方向における相対位置の誤差が打ち消されるようにZ軸方向の偏差を増加又は減少させていない点。 3 相違点の判断 (1)上記相違点について検討すると、引用文献2記載の技術的事項に示すように、X軸テーブル23の真直度誤差ΔZを示す真直度誤差信号SZを取得し、真直度誤差ΔZに起因する工作物25と刃物21とのZ軸方向における相対位置の誤差が、Z軸テーブル24のZ軸方向における真直度誤差ΔZが生じた側と同じ側への移動によって打ち消されるように、真直度誤差ΔZを示す真直度誤差信号SZに基づいてZ軸方向の偏差を増加又は減少させて、直交するX軸及びZ軸のテーブルの真直度誤差を補正することは、公知である。 (2)そして、引用発明は、直交するX軸テーブル及びZ軸テーブルに相当するコラム16及びテーブル14を有しており、コラム16のX軸方向の移動には、Z軸方向の真直度誤差ΔZが内在されているといえる。また、高精度な加工を行うことは、工作機械の技術分野における自明な課題といえるから、当業者であれば、引用発明のコラム16のX軸方向の移動に内在されるZ軸方向の真直度誤差ΔZを補正するように、引用文献2記載の技術的事項を適用する動機があるといえる。 (3)もっとも、引用文献2の位置検出器36aは、X軸方向の変位のみを検出するものであって、真直度誤差ΔZ(相違点1に係る「前記第1方向に直交する第2方向における変位である第1誤差」)に応じた信号を同時に出力するものではなく、真直度誤差ΔZは、別の検出器(真直度誤差検出器27)で検出するものであるが、これは、引用文献2が発行された当時には、工作機械の技術分野において、X軸方向の変位と、X軸方向に直交する真直度誤差ΔZの両方を検出できるセンサが開発されていなかったためというほかない。 (4)しかし、本件の請求項1に係る発明の出願当時には、X軸方向の変位に応じた信号と、X軸方向に直交する真直度誤差ΔZに応じた信号の両方を出力するセンサは、例えば、引用文献3に示す周知の技術的事項の「補正用磁気式スケール」として、工作機械の技術分野において周知であったから、引用発明に内在される真直度誤差ΔZを補正するように、引用文献2記載の技術的事項を適用するにあたり、引用文献3に示す周知の技術的事項である「補正用磁気式スケール」を採用することは、当業者が容易に想到できた事項である。 4 小括 以上から、本願発明は、引用発明、引用文献2記載の技術的事項及び引用文献3に示す周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 請求人の主張について 1 請求人の主張の概要 令和6年5月17日の意見書における請求人の主張の概要は、次のとおりである。 本願発明では、第1方向(X方向)に案内されている第1可動部(X軸テーブル9X)の第2方向(Z方向)における誤差が、第2可動部(Z軸テーブル9Z)の第2方向における位置制御によって補償される一方で、第3方向(Y方向)に案内されている第3可動部(サドル13)の第2方向における誤差は、補償が行われない。 引用文献1の構造は本願発明と類似し、引用文献2はX軸駆動及びZ軸駆動のみについて誤差の補償を行っているので、両者を組み合わせることで本願発明に類似した構成が得られるように思える。 しかし、引用文献1は、Y軸駆動の誤差の補償が行われないものであるが、思想としては「全て」の軸の駆動に伴う誤差の補償が行われないものであり、逆に、引用文献2は「全て」の軸の駆動に伴う誤差の補償が行われている。すなわち、いずれの文献も、本願発明のように、「選択」的に誤差の補償を行う思想を開示していないから、当然に、選択的に補償を行う場合にいずれの誤差を選択するかを決める課題も、引用文献1及び2は開示していない。 したがって、引用文献1及び2に基づいて本願発明に想到することは、当業者が容易になし得たことではない。 2 請求人の主張の検討 請求人は、引用文献1及び2には、「選択」的に誤差の補償を行うことが示されていない旨を主張しているが、どの軸の誤差を補償するかを選択することは、各軸における誤差の大小や、各軸の位置制御において要求される精度等を考慮して、当業者が適宜に決定すればよい事項であり、通常の創作能力を超えるものとはいえない。 したがって、請求人の主張は採用できない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-002940

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決8件(芝浦機械株式会社)
  • 2024-015420拒絶査定不服審判 / 2026-05-15 / 原査定取消(特許/登録すべき)積層造形システム
    同じ当事者: 芝浦機械株式会社
  • 2023-002336拒絶査定不服審判 / 2024-07-01 / 原査定取消(特許/登録すべき)間欠塗工方法および間欠塗工装置
    同じ当事者: 芝浦機械株式会社
  • 2023-009164拒絶査定不服審判 / 2024-05-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)延伸フィルム製造装置
    同じ当事者: 芝浦機械株式会社
  • 2022-011170拒絶査定不服審判 / 2023-05-22 / 原査定取消(特許/登録すべき)深紫外LED及びその製造方法
    同じ当事者: 芝浦機械株式会社
  • 2020-000475拒絶査定不服審判 / 2021-07-05 / 請求不成立射出成形機、および射出成形機の制御方法
    同じ当事者: 芝浦機械株式会社
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)314件(121・G05B)
  • 2025-014730拒絶査定不服審判 / 2026-08-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)加工面推定装置およびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体
    共通の審決分類: 121・G05B
  • 2024-019271拒絶査定不服審判 / 2026-08-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)制御ステーションのための方法及び装置
    共通の審決分類: 121・G05B
  • 2025-015169拒絶査定不服審判 / 2026-07-30 / 原査定取消(特許/登録すべき)加工システム選択装置およびプログラム
    共通の審決分類: 121・G05B
  • 2025-010423拒絶査定不服審判 / 2026-06-30 / 原査定取消(特許/登録すべき)数値制御装置
    共通の審決分類: 121・G05B
  • 2024-000378拒絶査定不服審判 / 2026-04-21 / 原査定取消(特許/登録すべき)プラント性能評価システムおよびプラント性能評価方法
    共通の審決分類: 121・G05B

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存