特許拒絶査定不服審判
2023-002361
pH測定のセンサ及び方法
- 審判番号
- 2023-002361
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-510126外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年02月10日
- 審決日
- 2024年02月19日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】恩田 誠
- 【請求人代理人】恩田 博宣
- 【請求人代理人】本田 淳
- 分類
- P18 .121-Z (A61B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-510126「pH測定のセンサ及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 2月27日国際公開、WO2020/040962、令和 4年 1月12日国内公表、特表2022-503585〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
特願2021-510126「pH測定のセンサ及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和2年2月27日国際公開、WO2020/040962、令和4年1月12日国内公表、特表2022-503585〕について、次のとおり審決する。
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)8月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年8月23日、(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 3月 9日付け:拒絶理由通知書
同年 8月12日 :意見書、手続補正書の提出
同年10月 5日付け:拒絶査定
令和5年 2月10日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和5年2月10日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年2月10日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「 【請求項1】
第1の作用電極、第2の作用電極、及び少なくとも1つの別の電極を含むセンサーテールと、
前記第1の作用電極上に配置された第1の活性部分であって、pH依存性の酸化還元の性質を有する物質を含有する前記第1の活性部分と、
前記第2の作用電極上に配置された第2の活性部分であって、pH1~14の範囲において100mV以下で変動する応答変動性を有する酸化還元の性質を有するオスミウム錯体を含有する前記第2の活性部分と、
前記第1の活性部分および前記第2の活性部分の少なくともいずれか一方を覆う膜と
を備え、
前記第1の作用電極は、第1の信号を生成するように構成されており、前記第2の作用電極は、第2の信号を生成するように構成されており、前記第1の信号と前記第2の信号との間の差は、pHに相関する、pHセンサ。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和4年8月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
第1の作用電極、第2の作用電極、及び少なくとも1つの別の電極を含むセンサーテールと、
前記第1の作用電極上に配置された第1の活性部分であって、pH依存性の酸化還元の性質を有する物質を含有する前記第1の活性部分と、
前記第2の作用電極上に配置された第2の活性部分であって、pHに対して実質的に不変である酸化還元の性質を有する物質を含有する前記第2の活性部分と、
前記第1の活性部分および前記第2の活性部分の少なくともいずれか一方を覆う膜と
を備え、
前記第1の作用電極は、第1の信号を生成するように構成されており、前記第2の作用電極は、第2の信号を生成するように構成されており、前記第1の信号と前記第2の信号との間の差は、pHに相関する、pHセンサ。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「pHに対して実質的に不変である酸化還元の性質を有する物質」という「第2の活性成分」に関する構成について、「pH1~14の範囲において100mV以下で変動する応答変動性を有する酸化還元の性質を有するオスミウム錯体」との限定を付加するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、前記1(1)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
(2)引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定
ア 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定
原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特表2010-529462号公報(平成22年8月26日出願公開、以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審で付した。)
(ア)引用文献1に記載された事項
「【0062】
本発明は、酸化還元活性剤で修飾した半導体電極をセンサとして製造し使用する構成物、デバイス、システムおよび方法に関する。本デバイスおよびシステムは、対象の検体の濃度をボルタンメトリーで測定するのに特に有用である。本発明のセンサは、酸化還元活性種を表面に含む半導体電極を利用する。半導体表面の少なくとも1つの酸化還元活性種は、対象の検体の存在および、または量に感応する酸化還元電位(還元電位または酸化電位)を有する。ボルタンメトリーを半導体電極上で実施し、ボルタンメトリーを用いて電極の表面の検体に感応する酸化還元基の酸化還元電位を測定することができる。次に、この酸化還元電位の測定値を用いて、検体、例えば溶液中の検体の濃度を決定することができる。いくつかの実施形態では、本発明の半導体電極は、複数の酸化還元活性種を有する。一態様では、少なくとも1つの酸化還元活性種が1つの検体に感応し、別の酸化還元活性種は、その検体の存在に感応しない。本発明の別の態様は、本デバイスまたはシステムを使用して水素イオン濃度、すなわちpHを測定することに関する。本発明の表面修飾半導体センサを使用して、様々な溶液のpHを測定することができる。本発明の表面修飾センサは堅牢で、高信頼性で、正確であり、かつ/または較正の必要がないように作製することができる。」
「【0123】
検体の存在に感応しない酸化還元活性部分は、そのような検体の存在時または不在時に、それらの酸化電位および/または還元電位の変化を示さない、またはほとんど示さないはずである。検体の存在に一般に不感応であり、特に水素イオンの存在に不感応である酸化還元活性部分には、フェロセン、ポリビニルフェロセン、Os(bpy)2C12、Ru(bpy)2C12、ビオロゲン、ポリビオロゲン、およびポリチオフェンが含まれる。高度の電気化学的可逆性を有する酸化還元試薬が一般に好ましい。図5は、シリコン表面に結合された水素イオン不感応酸化還元活性部分フェロセンの各例を示す。
【0124】
水素イオンに感応する非限定的な酸化還元活性部分には、キノン、アンスロキノン、フェナントロキノン、フェニレンジアミン、カテコール、フェノチアジニウム染料、およびモノ四級化N-アルキル-4,4’-ビピリジニウムが含まれる。いくつかの実施形態では、水素イオンに感応する酸化還元活性部分は、無機材料および金属酸化物を含むことができる。水素イオン感応無機酸化還元活性無機部分には、プルシアンブルー、Ni(OH)2、およびRuOxが含まれる。図6は、シリコン表面に共有結合された水素イオン感応酸化還元活性部分アントラセンの各例を示す。図7は、水素イオン感応酸化還元活性部分フェロセンおよび水素イオン不感応酸化還元活性剤アントラセンの両方を共有結合させたシリコン表面の各例を示す。」
「【0143】
本発明の一態様は、定常的な較正を必要としない、あるいは場合により、いかなる較正も全く必要としないセンサである。従来の電位差センサは、例えば水素イオンを検知するのにガラス部材に依拠する。これらのタイプのセンサは一般に、通常は既知の検体濃度の標準液中に入れることによって、定期的に較正する必要がある。これらのタイプのセンサは一般に、1つの溶液から別の溶液に移るときに較正が必要であり、また同じ溶液中に保存されても、溶液の外にあっても、時間の経過につれてやはり較正が必要である。この状況は、例えば化学反応、生物化学反応、または発酵を監視しているときに、センサが監視している媒体の成分の経時的な変化があると悪化する。こうした場合では、電位差センサは、反応におけるある化学種の蓄積のために、あるいは存在する化学種によるセンサの汚損のためにドリフトすることがあり、較正が必要になる。」
「【0152】
いくつかの実施形態では、システムは2つ以上の電極を有する。例えば、いくつかの実施形態では、このシステムは、前記検体の存在に酸化電位および/または還元電位が感応する酸化還元活性部分を上に固定化した半導体表面を含む1つの作用電極と、前記検体の存在に酸化電位および/または還元電位が感応しない酸化還元活性部分を含む第2の作用電極とを有する。2つの作用電極を伴うシステムの例としては、2つの半導体ウェハまたはチップを有し、そのうちの一方が、pHに感応するアントラセンなどの酸化還元活性部分を有し、もう一方が、pHに感応しないフェロセンなどの酸化還元活性部分を有するシステムがある。場合によっては、各酸化還元活性種が上に固定化される半導体ウェハまたはチップは、異なる種類の半導体ウェハまたはチップである。例えば、pH感応部分が結合される半導体ウェハまたはチップが1つのドーピングレベルを有し、pH不感応部分が結合される半導体ウェハまたはチップが異なるドーピングレベルを有することができる。このタイプの構成は、場合によっては、ある1つの種類の酸化還元活性種がある1つの種類のドーピングで振幅、感度または安定性の面でよりよく機能し、別の酸化還元種が別の種類のドーピングで半導体ウェハまたはチップ上でよりよく機能するので、有益である。いくつかの実施形態では、pH感応部分、例えばアントラセンが、ドーピングのレベルが低い半導体ウェハに結合され、pH不感応部分、例えばフェロセンが、ドーピングのレベルが高いシリコンウェハに結合される。いくつかの実施形態では、pH感応部分、例えばアントラセンが上に結合される半導体ウェハは、1Ω・cmから1000Ω・cm、または10Ω・cmから90Ω・cm、または10Ω・cmから40Ω・cmの間の固有抵抗を有し、pH不感応部分、例えばフェロセンが上に結合される半導体ウェハは、0.001Ω・cmと0.1Ω・cmの間、または0.001~0.005Ω・cmから0.02~0.05Ω・cmの固有抵抗を有する。いくつかの実施形態では、N形半導体、例えばシリコンウェハがpH不感応部分、例えばフェロセンに対して使用される。いくつかの実施形態では、N形半導体、例えばシリコンウェハが、pH感応部分とpH不感応部分の両方に対して使用される。
・・・
【0154】
いくつかの実施形態では、本発明のシステムは、2つ以上の電極を含むプローブを備えることができる。このプローブは、その電極が試料と接触できるように電極を物理的に保持することができる。プローブは、作用電極を基準電極および/または対電極に接近して保持できるようにする。図21は、4つの電極、すなわち第1の作用電極(WE1)、第2の作用電極(WE2)、基準電極(RE)、および対電極(CE)を有する本発明のシステムのプローブの例示的な一実施形態である。図21(a)は、プローブの陰影付き図を示す。図21(b)は、プローブの線図を示す。図21に示されるように、場合によっては、基準電極および対電極が環状構成を有することが本発明では有益になりうる。別の実施形態では、基準電極または対電極のうちの1つだけが環状構成を有する。環状構成では、信号安定性を得ることができる場合がある。この実施形態は1つの構成を示すが、本発明で使用できる他の環状電極構成もある。
・・・
【0156】
このシステムは、試料に対してボルタンメトリー測定を行うように構成される。1つの態様では、本発明は、上記の半導体電極センサと、電極に電圧を供給するポテンシオスタットと、電圧の関数として電流を検出する計器とを備えたボルタンメトリーpH検知システムによるpHの測定を含む方法を提供する。」
「【0162】
いくつかの実施形態では、システムはさらに、電流を測定するデバイスと通信する計算システムを含む。この計算システムは、ボルタンメトリー測定により複数の電位で測定された電流から還元電位または酸化電位を計算するアルゴリズムを有することができる。計算システムは検知システムの一部とすることができ、場合によって、検知システムを自己完結型にすることもできる。計算システムは、センサからの生データおよび/または処理データを記憶するためのメモリーを含むことができる。計算システムは伝送デバイスに接続することができ、このデバイスは処理データを無線、有線、ファイバまたは他の手段によって外部デバイスに伝送する。計算システムは、場合によりリアルタイムで送信できる信号および測定値を提供することができ、それによってシステムは、注意が必要な状況についてエンドユーザに警告することができる。送信される信号および測定値は、例えば、化学プロセスまたは生物化学プロセスなどの製造プロセスを調整するのに必要な情報を提供することができる。」
「【0166】
図3は、本発明のシステムの一態様の別の例示的実施形態を示す。図3は、2つの半導体(シリコン)作用電極、基準電極、および対電極を含むプローブを示す。これらの電極は、複数の電位を作用電極、対電極、および任意選択で基準電極に供給する電源と、作用電極によって電流を複数の電位で測定するデバイスとにプローブを介して電気的に接続することができる。この実施形態では、2つの作用電極、基準電極、および対電極は、プローブの端部で円板上に収容され、それにより電極が、測定されるべき検体(1つまたは複数)を含む媒体と接触することができる。様々な電極の面積を変えてシステムの性能を改善することができる。この実施形態では2つの作用電極を示すが、いくつかの実施形態では1つの作用電極があり、他の実施形態では3個、4個、5個、10個、20個、またはそれを超える作用電極がある。いくつかの実施形態では、一方の作用電極が、pHに感応するアントラセンなどの酸化還元活性部分を有する半導体表面を含むことができ、他方の作用電極が、pHに感応しないフェロセンなどの酸化還元活性部分を含むことができる。いくつかの実施形態では、アントラセンなどのpH感応部分が上に結合された半導体表面が、低ドープされたシリコンウェハを含み、フェロセンなどのpH不感応部分が上に結合されたシリコン表面が、より高ドープされたシリコンウェハを含む。」
「【0195】
一態様では、この方法は、検体の濃度を(a)前記検体に接触させて、検体の濃度に感応する酸化電位および/または還元電位を示す検体感応酸化還元活性部分を上に固定化した半導体表面がある半導体基板を含む電極を配置すること、(b)電極に複数の電位を印加すること、および(c)電極を通る電流を複数の電位で測定し、検体感応酸化還元活性部分の還元電位および/または酸化電位を決定し、それによって検体の濃度を決定することによって、決定するステップを含む。
【0196】
検体の濃度を決定するこの方法は、上記のように水素イオンに感応する酸化還元活性部分を利用することによって、pHを測定するのに使用することができる。
・・・
【0199】
この方法は、さらに、検体に実質的に感応しない還元電位および/または酸化電位を有する検体不感応酸化還元活性部分を含むことが多く、さらに、検体不感応酸化還元活性部分の酸化電位および/または還元電位を決定すること、および検体感応部分の酸化電位および/または還元電位と、検体不感応部分の酸化電位および/または還元電位との差から検体の濃度を決定することを含む。」
「【0268】
図11(a)に、誘導体化されたフェロセン+アントラセン電極を使用してpH1.23から9.33まで様々なpH溶液で記録された、対応するSWボルタモグラムが示されている。これらのボルタモグラムは、pH値が増加したとき、フェロセンピークが同じピーク電位にとどまるのに対して、アントラセンピークがより大きい負の電位に移動することを示す。図11(b)に、pHに対する2つのピーク電位間の差の、対応するグラフが示されている。このグラフでは、pH1からpH9.33までの、pH単位当たり約45.1mVという対応する傾きを有する線形応答を明らかにしている。」
「図3
[図:0001412807000001.jpg]
」
「図11
[図:0001412807000002.jpg]
」
「図21
[図:0001412807000003.jpg]
」
(イ)認定事項
a 【0154】には、「図21は、4つの電極、すなわち第1の作用電極(WE1)、第2の作用電極(WE2)、基準電極(RE)、および対電極(CE)を有する本発明のシステムのプローブの例示的な一実施形態である。」と記載されており、システムのプローブが第1の作用電極と第2の作用電極を有することが説明されている。そして、【0152】には、「このシステムは、前記検体の存在に酸化電位および/または還元電位が感応する酸化還元活性部分を上に固定化した半導体表面を含む1つの作用電極と、前記検体の存在に酸化電位および/または還元電位が感応しない酸化還元活性部分を含む第2の作用電極とを有する。」と記載されており、この記載の「第2の作用電極」と【0154】の上記「第2の作用電極(WE2)」が同じ電極であると認められるので、「前記検体の存在に酸化電位および/または還元電位が感応する酸化還元活性部分を上に固定化した半導体表面を含む1つの作用電極」は、【0154】の「第1の作用電極(WE1)」と同じ電極を説明するものと認められる。そして、それぞれの「酸化還元活性部分」として、【0152】に「pHに感応するアントラセンなどの酸化還元活性部分」、「pHに感応しないフェロセンなどの酸化還元活性部分」が記載されており、さらに「検体不感応酸化還元活性部分」の例示として、【0123】に「Os(bpy)2C12」が記載されているので、【0152】の「第2の作用電極」の「前記検体の存在に酸化電位および/または還元電位が感応しない酸化還元活性部分」を「Os(bpy)2C12」とすることが記載されていると認められる。
b 【0154】には、「図21は、4つの電極、すなわち第1の作用電極(WE1)、第2の作用電極(WE2)、基準電極(RE)、および対電極(CE)を有する本発明のシステムのプローブの例示的な一実施形態である。」と記載されており、システムのプローブが第1の作用電極と第2の作用電極を有することが説明されている。図21から、4つの電極が平面配置されていることが看取される。そして、このプローブの4つの電極を用いてpHの測定が行われるのであるから、これら4つ電極が配置される平面が、検体に接触する位置、つまり、センサの端部を構成していると認められる。
c 【0199】に「さらに、検体不感応酸化還元活性部分の酸化電位および/または還元電位を決定すること、および検体感応部分の酸化電位および/または還元電位と、検体不感応部分の酸化電位および/または還元電位との差から検体の濃度を決定する」と記載されている。「検体感応部分の酸化電位および/または還元電位と、検体不感応部分の酸化電位および/または還元電位との差から検体の濃度を決定する」には、「検体不感応酸化還元活性部分の酸化電位および/または還元電位を決定する」だけでなく、「検体感応部分の酸化電位および/または還元電位」を決定することが必要であることは自明であり、上記記載に「さらに」とあるように、上記記載は、【0195】で説明される「検体の濃度に感応する酸化電位および/または還元電位を示す検体感応酸化還元活性部分を上に固定化した半導体表面がある半導体基板を含む電極」を有する態様に加えて、「検体に実質的に感応しない還元電位および/または酸化電位を有する検体不感応酸化還元活性部分を含む」場合について説明したものであるから、【0199】の記載は、【0195】の「検体感応酸化還元活性部分の還元電位および/または酸化電位を決定」する構成を含むことを前提とするものである。そして、検体の濃度の決定について、【0196】には、水素イオンが挙げられ、pHを測定することが記載されているから、【0199】の「検体の濃度を決定すること」は、検体の水素イオン濃度を決定することであると認められる。
d 【0166】及び図3には、「別の例示的実施形態」として、長尺状のプローブが記載されており、このプローブも、【0154】及び図21に記載されているプローブと同様に、2つの半導体作用電極、基準電極、対電極を備えるものであり、機能的に同等のものである。してみると、【0154】及び図21に記載されているプローブは、その形状が明記されていないが、【0166】及び図3に記載の「別の例示的実施形態」の形状と類似の形状であると認められる。
(ウ)引用発明の認定
(ア)の摘記事項及び(イ)の認定事項を総合すると、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる(各段落の末尾の括弧内は、引用文献1における概略の引用箇所を示す。)。
「水素イオン濃度すなわちpHを測定するシステムであって、(【0062】)
先端に4つの電極、すなわち第1の作用電極(WE1)、第2の作用電極(WE2)、基準電極(RE)、および対電極(CE)を有する長尺状のプローブを備え、(【0154】、図21、認定事項b、d)
第1の作用電極は、水素イオンの存在に酸化電位および/または還元電位が感応する、アントラセンなどの酸化還元活性部分を上に固定化した半導体表面を含み、(【0152】、認定事項a)
第2の作用電極は、水素イオンの存在に酸化電位および/または還元電位が感応しない、Os(bpy)2C12を含む酸化還元活性部分を上に固定化した半導体チップを含み、(【0152】、認定事項a)
検体感応酸化還元活性部分の還元電位および/または酸化電位を決定し、検体不感応酸化還元活性部分の酸化電位および/または還元電位を決定し、検体感応部分の酸化電位および/または還元電位と、検体不感応部分の酸化電位および/または還元電位との差から検体の水素イオン濃度を決定する、(【0199】、認定事項c)
システム。」(以下、「引用発明」という。)
イ 周知例に記載された事項と周知技術の認定
(ア)周知例1の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、米国特許出願公開第2011/0048969号明細書(2011年3月3日公開。以下「周知例1」という。)には、次の記載がある。(下線は当審で付した。)
「[0157] FIG. 11 is a schematic-type representation of a working electrode with polymer coating covering at least a portion of the working electrode, in accordance with one embodiment of the present invention. In an embodiment of the present invention, a polymer coating 1100 may be applied to a working electrode 1110 that is coupled with/comprises a sensitive redox species 1120; where the sensitive redox species 1120 is sensitive to an analyte 1135 to be detected. The analyte 1135 may be found in a fluid 1130, where the fluid 1130 may be a fluid that is being tested or the fluid 1130 may comprise a fluid into which the analyte is deposited/diffused, for example by diffusion from a sample flowing over a membrane (not shown) contacting the fluid 1130. In some aspects, the fluid 1130 may comprise a buffer solution.
[0158] The polymer coating 1100 may be configured to prevent leeching, diffusion and/or the like of the sensitive redox species 1120 into the fluid 1130. This may be important where the fluid 1130 is a fluid being tested and it is not desirable to contaminate the fluid 1130, for example the fluid may be water in a water treatment process, a batch of a pharmaceutical process, a food substance or the like. In other aspects, the electrochemical sensor/working electrode may be subject to human contact in use and it may be desirable to prevent such contact with the redox species.」
(当審訳:
[0157] 図11は、本発明の一実施形態による、作用電極の少なくとも一部を覆うポリマーコーティングを有する作用電極の概略型表現である。本発明の一実施形態において、ポリマーコーティング1100は、感応性酸化還元種1120と結合される/感応性酸化還元種1120を含む作用電極1110に適用され得る;ここで、感応性酸化還元種1120は、検出されるべき被分析物111135に対して高感度である。被分析物1135は流体1130中に存在してもよく、流体1130は検査される流体であってもよく、または流体1130は、例えば、流体1130に接触する膜(図示せず)上を流れる試料からの拡散によって、被分析物が沈着/拡散される流体から構成されてもよい。いくつかの態様において、流体1130は緩衝液からなる場合がある。
[0158] ポリマーコーティング1100は、感受性酸化還元種1120の流体1130中への浸出、拡散などを防止するように構成することができる。これは、流体1130が試験される流体であり、流体1130を汚染することが望ましくない場合に重要であり得、例えば、流体は、水処理プロセスにおける水、医薬プロセスのバッチ、食品物質などであり得る。他の態様では、電気化学センサ/作用電極は、使用中に人の接触にさらされる可能性があり、酸化還元種とのそのような接触を防止することが望ましい場合がある。)
(イ)周知例2(米国特許出願公開第2012/0187000号明細書、2012年7月26日公開)
原査定の拒絶の理由で引用文献3として引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、米国特許出願公開第2012/0187000号明細書(2012年7月26日公開。以下「周知例2」という。)には、次の記載がある。(下線は当審で付した。)
「[0343] In some embodiments, an electrochemical sensor is provided having one or more working electrodes comprising species that are active to an analyte of interest, the species disposed over a solid state (e.g., semiconductor) surface, such as a silicon surface. One or more of the working electrodes can be covered by a layer of a polymeric material. In an embodiment, one working electrode comprises a layer of a redox-active moiety and a layer of polymeric material over the layer of a redox-active moiety. In another embodiment, an electrochemical sensor comprises two working electrodes with each working electrode comprising a layer of a redox-active moiety and a layer of polymeric material over the layer of the redox-active moiety. The electrochemical sensor can further include a counter electrode and a reference electrode (as described above). In an embodiment, the electrochemical sensor includes two working electrodes, a first working electrode having a redox-active moiety that is sensitive to an analyte of interest (e.g., H+) and a second working electrode having a redox-active moiety that is insensitive to an analyte of interest. In an embodiment, the electrode having a redox-active moiety that is insensitive to an analyte comprises a layer of a polymeric material. In some embodiments, the layer of the polymeric material can include a homopolymer of a copolymer. In an embodiment, the layer of the polymeric material can include a fluoropolymer-copolymer. In another embodiment, the layer of the polymeric material can include a sulfonated tetrafluoroethylene based fluoropolymer-copolymer. In another embodiment, the layer of the polymeric material can include perfluorosulfonate inonomer or a derivative of perfluorosulfonate inonomer. In another embodiment, the layer of the polymeric material can include Nafion, having the formula C7HF13O5S*C2F4, and the following structure:」
(当審訳:
[0343]いくつかの実施形態において、電気化学センサは、目的の分析物に対して活性な種を含む1つ以上の作用電極を有し、その種は、シリコン表面などの固体(例えば、半導体)表面上に配置されている。1つまたは複数の作用電極は、高分子材料の層で覆うことができる。一実施形態では、1つの作用電極は、酸化還元活性部分の層と、酸化還元活性部分の層の上の高分子材料の層とからなる。別の実施形態では、電気化学センサは2つの作用電極からなり、各作用電極は酸化還元活性部分の層と酸化還元活性部分の層の上の高分子材料の層からなる。電気化学センサは、対電極および参照電極(上述の通り)をさらに含み得る。実施形態において、電気化学センサは、2つの作用電極、すなわち、目的の分析物(例えば、H+)に感応する酸化還元活性部分を有する第1の作用電極、および目的の分析物に感応しない酸化還元活性部分を有する第2の作用電極を含む。一実施形態では、被分析物に感受性のない酸化還元活性部分を有する電極は、高分子材料の層からなる。いくつかの実施形態において、高分子材料の層は、コポリマーのホモポリマーを含み得る。一実施形態において、ポリマー材料の層は、フルオロポリマー-コポリマーを含み得る。別の実施形態において、ポリマー材料の層は、スルホン化テトラフルオロエチレンベースのフルオロポリマー-コポリマーを含み得る。別の実施形態において、重合体の層は、パーフルオロスルホン酸イノマーまたはパーフルオロスルホン酸イノマーの誘導体を含み得る。別の実施形態では、高分子材料の層は、式C7HF13O5S*C2F4を有し、以下の構造を有するナフィオンを含むことができる:)
(ウ)周知技術の認定
上記(ア)及び(イ)にみられるように以下の事項は周知である。
周知技術:
「電気化学センサにおいて、酸化還元活性部分を有する作用電極をポリマーで被覆すること」
(3)対比
ア 本件補正発明の「センサーテール」は、発明の詳細な説明において定義されておらず、一般的には、「テール」が、動物の尾を意味することから、尾のような形状、つまり、長尺状のセンサーを意味すると解することができる。引用発明の「プローブ」は、「第1の作用電極(WE1)、第2の作用電極(WE2)、基準電極(RE)、および対電極(CE)」の「4つの電極」を「先端に」「備え」る「長尺状」のものであるから、引用発明の「先端に4つの電極、すなわち第1の作用電極(WE1)、第2の作用電極(WE2)、基準電極(RE)、および対電極(CE)を有する長尺状のプローブ」は、本件補正発明の「第1の作用電極、第2の作用電極、及び少なくとも1つの別の電極を含むセンサーテール」に相当する。
イ 引用文献1の【0268】の「図11(a)に、誘導体化されたフェロセン+アントラセン電極を使用してpH1.23から9.33まで様々なpH溶液で記録された、対応するSWボルタモグラムが示されている。これらのボルタモグラムは、pH値が増加したとき、フェロセンピークが同じピーク電位にとどまるのに対して、アントラセンピークがより大きい負の電位に移動する」という記載及び図11(a)から明らかなように、「アントラセン」は、pH依存性の酸化、還元の性質を有する物質である。これは、引用文献1の実施例5における「アントラセン」に特有の性質ではなく、「アントラセン」自体の性質であるから、引用発明における「アントラセン」も上記性質を有するものである。そうすると、引用発明の「第1の作用電極」の「半導体表面」に「固定化した」「水素イオンの存在に酸化電位および/または還元電位が感応する、アントラセンなどの酸化還元活性部分」は、本件補正発明の「前記第1の作用電極上に配置された第1の活性部分であって、pH依存性の酸化還元の性質を有する物質を含有する前記第1の活性部分」に相当する。
ウ 引用発明における「Os(bpy)2C12」は、オスミウム錯体の1種であり、本件補正発明「オスミウム錯体」に相当するものであり、「Os(bpy)2C12」は、「水素イオンの存在に酸化電位および/または還元電位が感応しない」ものであるから、pHに対して実質的に不変である酸化還元の性質を有するといえる。そのため、引用発明の「第2の作用電極」の「半導体チップ」「上」に含まれる「水素イオンの存在に酸化電位および/または還元電位が感応しない、Os(bpy)2C12を含む酸化還元活性部分」は、本件補正発明の「前記第2の作用電極上に配置された第2の活性部分であって、pH1~14の範囲において100mV以下で変動する応答変動性を有する酸化還元の性質を有するオスミウム錯体を含有する前記第2の活性部分」と、「前記第2の作用電極上に配置された第2の活性部分であって、pHに対して実質的に不変である酸化還元の性質を有するオスミウム錯体を含有する前記第2の活性部分」で共通するものである。
エ 引用発明の「検体感応酸化還元活性部分の還元電位および/または酸化電位を決定し、検体不感応酸化還元活性部分の酸化電位および/または還元電位を決定」することは、「検体感応酸化還元活性部分」を有する「第1の作用電極」及び「検体不感応酸化還元活性部分」を有する「第2の作用電極」で発生する酸化還元電位を測定することであるから、本件補正発明の「第1の作用電極」が「第1の信号を生成するように構成され」、「第2の作用電極」が「第2の信号を生成するように構成され」ることに相当する構成を有していることは明らかである。
そして、引用発明は、「検体感応部分の酸化電位および/または還元電位と、検体不感応部分の酸化電位および/または還元電位との差」に基づいて「検体の水素イオン濃度を決定する」ものであるから、引用発明の「検体感応部分の酸化電位および/または還元電位と、検体不感応部分の酸化電位および/または還元電位との差」は、本件補正発明の「pHに相関する」「前記第1の信号と前記第2の信号との間の差」に相当する。
オ 引用発明は、「pHを測定する」「システム」あるから、その測定部分は、本件補正発明の「pHセンサ」に相当する。
カ 以上によれば、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「第1の作用電極、第2の作用電極、及び少なくとも1つの別の電極を含むセンサーテールと、
前記第1の作用電極上に配置された第1の活性部分であって、pH依存性の酸化還元の性質を有する物質を含有する前記第1の活性部分と、
前記第2の作用電極上に配置された第2の活性部分であって、pHに対して実質的に不変である酸化還元の性質を有するオスミウム錯体を含有する前記第2の活性部分と、
を備え、
前記第1の作用電極は、第1の信号を生成するように構成されており、前記第2の作用電極は、第2の信号を生成するように構成されており、前記第1の信号と前記第2の信号との間の差は、pHに相関する、pHセンサ。」
<相違点>
相違点1:本件補正発明は、「前記第1の活性部分および前記第2の活性部分の少なくともいずれか一方を覆う膜」を備えるのに対して、引用発明は、そのような膜を備えるか否か不明である点。
相違点2:オスミウム錯体について、本件補正発明は、「pH1~14の範囲において100mV以下で変動する応答変動性を有する酸化還元の性質を有する」のに対して、引用発明は、オスミウム錯体の具体的な酸化還元の性質について不明である点。
(4)判断
ア 上記相違点の検討
(ア)相違点1について
(2)イ(ウ)で認定したように「電気化学センサにおいて、酸化還元活性部分を有する作用電極をポリマーで被覆すること」は周知技術であり、引用発明は、引用文献1の【0162】に「システムは、・・・化学プロセスまたは生物化学プロセスなどの製造プロセスを調整するのに必要な情報を提供することができる。」と記載されているように、生物化学プロセスを有する使用態様、つまり、生物化学リアクタなどでの使用が示唆されている。酸化還元活性部分の生物化学リアクタへの浸出、拡散などが乗じないように、上記周知技術を適用して、酸化還元活性部分を含む電極部分をポリマーの膜で覆うことは当業者が容易に想到しうることである。
(イ)相違点2について
引用発明において、オスミウム錯体である「Os(bpy)2C12」の具体的な特性は不明である。しかし、引用文献1の【0268】の「図11(a)に、誘導体化されたフェロセン+アントラセン電極を使用してpH1.23から9.33まで様々なpH溶液で記録された、対応するSWボルタモグラムが示されている。これらのボルタモグラムは、pH値が増加したとき、フェロセンピークが同じピーク電位に留まるのに対して、アントラセンピークがより大きい負の電位に移動する」という記載及び図11(a)から明らかなように、【0123】及び【0152】で、「水素イオンの存在に不感応である酸化還元活性部分」に含まれる物質として挙げられている「フェロセン」は、pH1.23から9.33の範囲において、ピーク電位の変動幅が100mV以下である。引用文献1のこれらの記載は、「アントラセン」の性質について説明したものであり、特定の実施態様にのみ該当するものではなく、そして、引用発明の「Os(bpy)2C12」は、「水素イオンの存在に不感応である酸化還元活性部分」に含まれる物質として、【0123】において、この「フェロセン」と並列に挙げられている。してみると、「Os(bpy)2C12」も「フェロセン」同様の特性を有し、pH1.23から9.33より広い範囲であるpH1~14の範囲においても、同様の特性を有する蓋然性が高いので、相違点2は実質的な相違点ではない。
仮に、実質的な相違点であるとしても、引用文献1の【0123】に「水素イオンの存在に不感応である酸化還元活性部分」としてオスミウム錯体である「Os(bpy)2C12」が挙げられていることから、他のオスミウム錯体から、より水素イオンの存在に不感応であるものを選択して、引用発明の「水素イオンの存在に酸化電位および/または還元電位が感応しない」「酸化還元活性成分」を、本件補正発明の上記相違点2の特性を有するものとすることは当業者が容易に想到しうることである。
イ 本件補正発明の効果
本件補正発明が奏する効果は、引用文献1及び周知例1の記載から当業者が十分に予想しうる範囲内のものである。
ウ 審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書の「本願発明が特許されるべき理由」において、上記相違点2が引用文献1及び引用文献2、3(上記周知例1、2と同じ文献である。)に記載されていない旨を主張している。しかし、相違点2についての判断は、上記ア(イ)のとおりであるから、審判請求人の主張は採用できない。
3 補正の適否のむすび
以上のとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができず、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって上記補正の却下の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和5年2月10日付け手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和4年8月12日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略以下のとおりである。
理由2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
●理由2(特許法第29条第2項)について
・請求項 1~14
・引用文献等 1~3
引用文献1:特表2010-529462号公報
引用文献2:米国特許出願公開第2011/0048969号明細書(周知技術を示す文献)
引用文献3:米国特許出願公開第2012/0187000号明細書(周知技術を示す文献)
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1~3の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)ア並びにイ(ア)及び(イ)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「pHに対して実質的に不変である酸化還元の性質を有する物質」という「第2の活性成分」に関する構成について、「pH1~14の範囲において100mV以下で変動する応答変動性を有する酸化還元の性質を有するオスミウム錯体」との限定を削除したものである。
本件補正発明については、前記第2の[理由]2(3)及び(4)に記載したとおり、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当然、本願発明も引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1に記載された発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-002361