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特許拒絶査定不服審判

2023-001633

バイオマス燃料用燃焼炉及びボイラシステム並びにバイオマス燃料の燃焼方法

審判番号
2023-001633
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-053685
請求日
2023年01月31日
審決日
2024年03月19日
公報発行日
2024年04月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】株式会社御池鐵工所
  • 【請求人代理人】森川 淳
審判長/審判官
  • 審判長 間中 耕治
  • 審判官 鈴木 充
  • 審判官 村山 美保
分類
P18 .121-WY (F23B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2021-53685「バイオマス燃料用燃焼炉及びボイラシステム並びにバイオマス燃料の燃焼方法」拒絶査定不服審判事件〔令和4年10月7日出願公開、特開2022-150887、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和3年3月26日の出願であって、令和4年4月15日付けで拒絶理由が通知され、同年6月27日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年10月28日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して令和5年1月31日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 (進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記(引用文献等については引用文献等一覧参照) <引用文献等一覧> 1.実願昭48-36117号(実開昭49-137381号)のマイクロフ ィルム 2.国際公開第2007/100120号 3.特開2001-254082号公報 4.特開昭58-102019号公報 5.中国特許出願公開第108692456号明細書 6.米国特許出願公開第2005/0126454号明細書 7.特開2004-141716号公報 8.特開2004-361030号公報 (以下、「引用文献1」ないし「引用文献8」という。) ・請求項1、2、6ないし8、15及び16に対して 引用文献等1ないし4 ・請求項3及び4に対して 引用文献1ないし5 ・請求項5に対して 引用文献1ないし4及び6 ・請求項 9ないし11に対して 引用文献1ないし4及び7 ・請求項 12及び13に対して 引用文献1ないし4、7及び8 ・請求項14に対して 引用文献1ないし8 第3 本願発明 本願の請求項1ないし16に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明16」という。)は、令和4年6月27日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 廃油又は油由来廃液と植物系バイオマスとが混合されてなるバイオマス燃料を燃焼するバイオマス燃料用燃焼炉であって、 他端が一端よりも大きい径を有して開口し、一端よりも他端が低くなるように中心軸を水平方向に対して傾斜して配置された円錐台形状の第1燃焼室と、この第1燃焼室の一端側に設けられた燃料投入部及び着火部と、上記第1燃焼室の側面に設けられて第1燃焼空気を供給する第1燃焼空気供給口とを有する第1燃焼部と、 一端が上記第1燃焼部の第1燃焼室の開口に連なると共に他端に灰及び熱風の排出口が形成され、一端よりも他端が低くなるように中心軸を水平方向に対して傾斜して配置され、上記中心軸回りに回転駆動される円筒形状の第2燃焼室を有する第2燃焼部とを備え、上記第1燃焼空気供給口は、上記第1燃焼室の側面の接線方向に延在する燃焼空気供給管に連通していることを特徴とするバイオマス燃料用燃焼炉。 【請求項2】 請求項1に記載のバイオマス燃料用燃焼炉において、 上記第1燃焼室と第2燃焼室との間に、上記第2燃焼室に向かって第2燃焼空気を供給する第2燃焼空気供給口が設けられていることを特徴とするバイオマス燃料用燃焼炉。 【請求項3】 請求項2に記載のバイオマス燃料用燃焼炉において、 上記第1燃焼部の第1燃焼室の外側を耐火材で隔てて取り囲み、外部から空気が供給される円環円筒状の空気室と、 上記空気室の他端と上記第2燃焼空気供給口の間に形成され、上記空気室からの空気を旋回状に整流して上記第2燃焼空気供給口に導く整流室と を備えることを特徴とするバイオマス燃料用燃焼炉。 【請求項4】 請求項3に記載のバイオマス燃料用燃焼炉において、 上記整流室に、上記第1燃焼室の中心軸に対して傾斜方向に延在する整流羽根が設けられていることを特徴とするバイオマス燃料用燃焼炉。 【請求項5】 請求項1に記載のバイオマス燃料用燃焼炉において、 上記燃料投入部は、バイオマス燃料を第1燃焼室に圧送するポンプを含むことを特徴とするバイオマス燃料用燃焼炉。 【請求項6】 請求項1に記載のバイオマス燃料用燃焼炉において、 上記燃料投入部はスクリューコンベヤを含み、上記バイオマス燃料を排出する開口が上記第1燃焼室の底部に配置されていることを特徴とするバイオマス燃料用燃焼炉。 【請求項7】 請求項1に記載のバイオマス燃料用燃焼炉において、 上記第1燃焼室の中心軸を通る鉛直断面における底側の壁面の水平方向に対する傾斜角度が、5°以上25°以下であることを特徴とするバイオマス燃料用燃焼炉。 【請求項8】 請求項1に記載のバイオマス燃料用燃焼炉において、 上記第2燃焼室の水平方向に対する傾斜角度が、1°以上6°以下であることを特徴とするバイオマス燃料用燃焼炉。 【請求項9】 請求項1に記載のバイオマス燃料用燃焼炉において、 上記第2燃焼部の第2燃焼室の他端の開口に連通する第3燃焼室と、この第3燃焼室の壁面に配置されて第3燃焼空気を吹き出す複数の第3燃焼空気供給口とを有する第3燃焼部を備えることを特徴とするバイオマス燃料用燃焼炉。 【請求項10】 請求項9に記載のバイオマス燃料用燃焼炉において、 上記第3燃焼部の第3燃焼室の外側を耐火材で隔てて取り囲み、外部から空気が供給される空気室と、 上記空気室に連通して上記耐火材を貫通し、先端が上記第3燃焼空気供給口に連なる複数の第3燃焼空気供給路と を備えることを特徴とするバイオマス燃料用燃焼炉。 【請求項11】 請求項9に記載のバイオマス燃料用燃焼炉において、 上記第3燃焼部の第3燃焼室の上端に、ガスを排出するガス排出口が形成されており、 上記第3燃焼部の第3燃焼室の下端に、上記第2燃焼室の他端の開口の鉛直下方に位置する灰排出口が形成されていることを特徴とするバイオマス燃料用燃焼炉。 【請求項12】 請求項9に記載のバイオマス燃料用燃焼炉において、 上記第2燃焼室の開口の上部に対向して配置され、上記第2燃焼室から第3燃焼室へ向かうガスの流れを迂回させる板体を備えることを特徴とするバイオマス燃料用燃焼炉。 【請求項13】 請求項12に記載のバイオマス燃料用燃焼炉において、 上記板体に、冷却水が導かれる冷却管が設けられていることを特徴とするバイオマス燃料用燃焼炉。 【請求項14】 請求項1乃至13のいずれかに記載のバイオマス燃料用燃焼炉と、 上記バイオマス燃料用燃焼炉でバイオマス燃料を燃焼して生成されたガスと、加熱対象とを熱交換するボイラと を備えることを特徴とするボイラシステム。 【請求項15】 廃油又は油由来廃液と植物系バイオマスとが混合されてなるバイオマス燃料を燃焼するバイオマス燃料の燃焼方法であって、 上記バイオマス燃料を第1燃焼室に投入する工程と、 上記第1燃焼室に投入されたバイオマス燃料を燃焼空気の旋回流に接触させて着火する工程と、 上記着火したバイオマス燃料を、上記第1燃焼室から第2燃焼室に移動させる工程と、 上記第2燃焼室に導かれたバイオマス燃料を、回転する第2燃焼室によって撹拌する工程と、 上記バイオマス燃料の燃焼に伴って生じた灰及び燃焼ガスを、上記第2燃焼室から排出する工程と を備え、 上記燃焼空気を、他端が一端よりも大きい径を有して開口し、一端よりも他端が低くなるように中心軸を水平方向に対して傾斜して配置された円錐台形状の上記第1燃焼室の側面へ接線方向に導き、この第1燃焼室の側面に形成された燃焼空気供給口から吹き出すことにより、旋回流を形成することを特徴とするバイオマス燃料の燃焼方法。 【請求項16】 請求項15に記載のバイオマス燃料の燃焼方法において、 上記第1燃焼室のバイオマス燃料を、上記燃焼空気の旋回流によって第1燃焼室から第2燃焼室へ移動させることを特徴とするバイオマス燃料の燃焼方法。」 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与した。以下同様。) (1)「この考案は一般塵芥や各種の産業廃棄物を焼却する回転式燃焼炉に関し、殊に、その回転炉体の内部をそのまま一次燃焼室と二次燃焼室とにし、それぞれに燃焼用空気を万遍なく充分に供給し、もつて回転炉体内で被焼却物を完全に燃焼するようにしたものである。」(明細書1ページ最下行ないし2ページ5行) (2)「以下、本考案の一実施例を図面に基づき説明する。 1は回転式燃焼炉、2は回転炉体である。この回転炉体2は、その前方部と後方部の外周面に接して配設した各対のタイヤ3を介して床4上に設置した支持台5上に軸着したローラー6上に可回転に、かつ後傾状態で支持され、駆動モーター7の動力で歯車駆動装置8、9を介して回転するようにしてある。そして、この回転炉体2の前面には、前壁11を設け、塵芥投入口12及び補助バーナー13をそれぞれ回転炉体2の始端部にのぞませて附設するとともに、回転炉体2の背部には灰掻出口14を形成し、その後方に煙突15を起立させてなるものである。」(明細書2ページ6行ないし19行) (3)「本考案の要部はかかる構造の回転式焼却炉1において、その回転炉体2の前後中央部より前側部を一次燃焼室16に、後側部を二次燃焼室17に形成し、各室16、17にそれぞれ燃焼用空気を供給するようにした点にある。 すなわち、一次空気は送風機18からダクト19を経て前壁11より回転炉体2内の一次燃焼室16内に供給するようにしてある。」(明細書2ページ最下行ないし3ページ7行) (4)「本考案は係る構成よりなるので、塵芥投入口12から回転炉体2内に投入された被焼却物は、回転炉体2が回転し、かつこれが後傾状態に支持されているので、順次後方へと反転攪拌されつつ移送される。然して、回転炉体2の前方から中間部に至る間に被焼却物は送風機18から送風されてきた一次空気により、また難燃物の場合には一次空気と補助バーナ13の火?とにより一次燃焼され、次いで回転炉体2の中間部から後方に至る間に、胴壁周囲に透設した噴出ノズル26から供給されて来た二次空気と回転炉体2の回転とにより、被焼却物は更に攪拌されてここで完全に燃焼され、最後に灰となった塵芥は回転炉体2の後方に位置する灰掻出口14から掻出されることとなる。」(明細書4ページ1行ないし14行) (5)「第1図 [図:0001408678000001.jpg] 」 (6)上記(2)、(3)及び(5)から、一次燃焼室16は、一端よりも他端が低くなるように中心軸を水平方向に対して傾斜して配置されていることが把握できる。 (7)上記(2)及び(5)から、塵芥投入口12及び補助バーナ13は、一次燃焼室16の始端部に設けられていることが把握できる。 (8)空気を供給するために空気の供給口が必要なことは、技術常識であるから、上記(3)及び(5)から、一次燃焼室16の始端部に一次空気を供給する供給口が設けられていることが把握できる。 (9)上記(6)ないし(8)から、一次燃焼室16と、塵芥投入口12及び補助バーナ13と、一次空気を供給する供給口とを有する第1燃焼部があるといえる。 (10)上記(2)ないし(5)から、二次燃焼室17は、一次燃焼室16の開口に連なると共に背部に灰掻出口14及び煙突15が形成され、一端よりも他端が低くなるように中心軸を水平方向に対して傾斜して配置され、上記中心軸回りに回転駆動される円筒形状であることが把握できる。 (11)上記(10)から、二次燃焼室17を有する第2燃焼部があるといえる。 (12)上記(4)から、被焼却物が、回転炉体2の一次燃焼室16に投入され、一次燃焼室16から二次燃焼室17へと反転攪拌されつつ移送されることが把握できる。 (13)煙突15は、燃焼ガスを排出するものであることが技術常識であるから、上記(4)から、燃焼ガスは、煙突15から排出されることが把握できる。 上記記載事項、認定事項及び図面の図示内容から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明A」及び「引用発明B」という。)が記載されている。 〔引用発明A〕 「一般塵芥や各種の産業廃棄物を焼却する回転式燃焼炉であって、 始端部よりも他端が低くなるように中心軸を水平方向に対して傾斜して配置された一次燃焼室16と、この一次燃焼室16の始端部に設けられた塵芥投入口12及び補助バーナ13と、上記一次燃焼室16の始端部に設けられて一次空気を供給する供給口とを有する第1燃焼部と、 一端が上記第1燃焼部の上記一次燃焼室16の開口に連なると共に背部に灰掻出口14及び煙突15が形成され、一端よりも背部が低くなるように中心軸を水平方向に対して傾斜して配置され、上記中心軸回りに回転駆動される円筒形状の二次燃焼室17を有する第2燃焼部と を備え、一次空気を送風機18からダクト19を経て前壁11より回転炉体2内の一次燃焼室16内に供給する 回転式燃焼炉。」 〔引用発明B〕 「一般塵芥や各種の産業廃棄物である被焼却物の燃焼方法であって、 被焼却物が、後傾状態で支持された回転炉体2の一次燃焼室16に投入され、 被焼却物が、一次燃焼室16で送風機18から送風されてきた一次空気により、また難燃物の場合には一次空気と補助バーナ13の火?とにより一次燃焼され、 被焼却物が一次燃焼室16から二次燃焼室17へと反転攪拌されつつ移送され、 二次燃焼室17で、二次空気と回転炉体2の回転とにより、被焼却物は更に攪拌されて完全に燃焼され、 灰となった塵芥は灰掻出口14から掻出され、燃焼ガスは煙突15から排出される、燃焼方法。」 2 引用文献2 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、以下の事項が記載されている。 (1)「発明を実施するための最良の形態 以下、上記した本発明を、油泥とバイオマス等とを混合し、固体燃料を製造し、該固体燃料を焼成炉において使用する場合の実施の形態を例に挙げて、詳細に説明する。 〔油泥〕 油泥としては、オイルスラッジ(例えば、重油スラッジ、原油スラッジ等)、廃油再生残渣(廃油を蒸留設備等を用いて再生した後に残る残渣)、廃塗料、廃インク、廃溶剤、グリース、廃植物油、廃食用油、脱水有機汚泥等の油性物質の一種以上を含むものが挙げられる。 上記の中でも、オイルスラッジおよび廃油再生残渣は、本発明において好ましく用いられる。これは、これらの油泥は、分子量の大きな炭化水素を主成分とし、粘稠性が高く、固形分が分離し易く、燃料としての取り扱いが困難であった。そのため、従来は、これらの油泥は、焼却または埋め立てにより処分されていたため、廃棄物の利用促進の観点から、本発明において好ましく用いられる。 〔バイオマス〕 バイオマスの例としては、畳(使用済みの廃畳)の破砕物、木材チップ(例えば、建設廃木材の破砕物)、木粉、おが屑等が挙げられる。なお、バイオマスとは、燃料等として利用可能な、生物由来の有機質資源(ただし、化石燃料を除く。)の総称である。」(5ページ2行ないし22行) 3 引用文献3 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、以下の事項が記載されている。 (1)「【0046】図4に示されるように、この例における炭化炉本体(2)は据付基盤(29)上の支持枠(30)に固定され炭化炉本体(2)の回転に従動して回転可能な、炭化炉本体(2)ための1対の受けローラ(31)(31)上に配置される。本発明における炭化炉本体(2)は、円筒形であってよく、また、材料供給装置(1)の方向にテーパー構造をなしている円錐形であってよく、特にこの例における炭化炉本体(2)のように、材料供給装置(1)の方向にテーパー構造をなしている円錐形の場合には、外観が円筒形でキルン内での入口から出口方向への被処理材料送り及び出口端での取出しを考慮して回転キルンを斜めに配置するためのスラストローラを用いるものに比し、キルンを水平に設置できるので回転に伴う軸方向への「ずれ」を生じることがない。無論、本発明においては従来の断熱性耐火材を均一厚で貼付しスラストローラで斜め設置された従来の円筒型キルンを用いることもできる。 【0047】また、炭化炉本体(2)が、材料供給装置(1)の方向にテーパー構造をなしている円錐形であるときに、複数の空気吹込管(22)が炭化炉本体(2)中のほぼ中間部にほぼ水平に挿入保持されることにより、複数の空気吹込管(22)の各エアーノズル(223)の空気吹込孔と炭化炉(2)の内部壁との間の距離が、材料出口方向側になるにつれて大きくなり、その結果、空気吹込みに伴う被処理材料の撹拌は、処理の進行に伴って緩くなり、未処理材料粉のガス中への縣濁及び、ガス排出への随伴量を低下させることがきる。」 (2)「【図1】 [図:0001408678000002.jpg] 」 上記記載事項及び図面の図示内容から、引用文献3には、次の事項(以下、「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。 〔引用文献3記載事項〕 「炭化炉本体(2)を、材料供給装置(1)の方向にテーパー構造をなしている円錐形とすること。」 4 引用文献4 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、以下の事項が記載されている。 (1)「バーナ4の端面18には、燃料投入口19が接続し、また端面18の最下部には掃除口を兼ねた覗き窓20が着脱可能に取付けられている。 バーナ4の燃焼室は絞り部22により2つに仕切られ、上流側を一次燃焼室21、下流側を二次燃焼室23とすると、-次燃焼室21は径の大きさの異いにより高圧空気吹出側21aと低圧空気吹出側21bの2つに区分けされる。」(2ページ右下欄13行ないし最下行) (2)「一次燃焼室21の高圧空気吹出側21aでは、送風機より送られて来た高圧空気を、円筒壁面の接線方向に吹出すように、開口部24があけられている。一次燃焼室21の低圧空気吹出側21bでは、送風機からの低圧空気を円筒壁面の接線方向に吹出すように開口部25があけられている。」(3ページ左上欄3行ないし9行) (3)「このようにサイクロンバーナ本体は可動部がなく、吹込まれる空気または着火用バーナの火炎のみにより燃焼ガスを旋回運動させるため、故障することがなく、また故障等が起った場合には、外部に接続された機械、装置の故障とあらかじめ見当が付いているため、燃料の供給および送風の停止によって安全に燃焼を停止させることができる。」(3ページ左上欄19行ないし右上欄6行) (4)「定常的な燃焼過程では、可燃廃棄物の燃料が燃料投入口19よりバーナ4に投入されると、開口部24より吹出される高圧空気により旋回運動させられる。旋回運動させられた燃料は火炎の輻射熱を受けて、昇温し、燃焼成分が分解気化して着火する。燃料は旋回しつつ一次燃焼室21の低圧空気吹出側21bへ移動し、開口部25より吹出される空気に接触してさらに高温になり燃焼温度、燃焼速度を高めていく。燃料のうち形状が大きく、重量の重いものは燃焼室外周部に投げ出され、ゆっくり燃焼して行き、形状が小さく軽いものは燃焼室中央部に寄せられて急速に燃焼して行く。」(3ページ右上欄7行ないし19行) (5)「第4図ないし第6図 [図:0001408678000003.jpg] 」 上記記載事項及び図面の図示内容から、引用文献4には、次の事項(以下、「引用文献4記載事項」という。)が記載されている。 〔引用文献4記載事項〕 「バーナ4の一次燃焼室21の高圧空気吹出側21aでは、送風機より送られて来た高圧空気を、円筒壁面の接線方向に吹出すように、開口部24があけられており、開口部24より吹出される高圧空気により燃料が旋回運動させられること。」 第5 対比及び判断 1 本願発明1について 本願発明1と引用発明Aとを対比する。 引用発明Aの「一般塵芥や各種の産業廃棄物」と、本願発明1の「廃油又は油由来廃液と植物系バイオマスとが混合されてなるバイオマス燃料」とは、「被燃焼物」という限りにおいて一致し、同様に、「回転式燃焼炉」と「バイオマス燃料用燃焼炉」とは、「燃焼炉」という限りにおいて一致している。 そうすると、引用発明Aの「一般塵芥や各種の産業廃棄物を焼却する回転式燃焼炉」と、本願発明1の「廃油又は油由来廃液と植物系バイオマスとが混合されてなるバイオマス燃料を燃焼するバイオマス燃料用燃焼炉」とは、「被燃焼物を燃焼する燃焼炉」という限りにおいて一致している。 引用発明Aの「塵芥投入口12」は、本願発明1の「燃料投入部」に相当し、以下同様に、「始端部」は「一端」に、「他端」は「他端」に、「補助バーナ13」は「着火部」に、「一次燃焼室16」は「第1燃焼室」に、「一次空気を供給する供給口」は「第1燃焼空気を供給する第1燃焼空気供給口」に、「第1燃焼部」は「第1燃焼部」に、それぞれ相当する。 そうすると、引用発明Aの「始端部よりも他端が低くなるように中心軸を水平方向に対して傾斜して配置された一次燃焼室16と、この一次燃焼室16の始端部に設けられた塵芥投入口12及び補助バーナ13と、上記一次燃焼室16の始端部に設けられて一次空気を供給する供給口とを有する第1燃焼部」と、本願発明1の「他端が一端よりも大きい径を有して開口し、一端よりも他端が低くなるように中心軸を水平方向に対して傾斜して配置された円錐台形状の第1燃焼室と、この第1燃焼室の一端側に設けられた燃料投入部及び着火部と、上記第1燃焼室の側面に設けられて第1燃焼空気を供給する第1燃焼空気供給口とを有する第1燃焼部」とは、「一端よりも他端が低くなるように中心軸を水平方向に対して傾斜して配置された第1燃焼室と、この第1燃焼室の一端側に設けられた燃料投入部及び着火部と、上記第1燃焼室に設けられて第1燃焼空気を供給する第1燃焼空気供給口とを有する第1燃焼部」という限りにおいて一致している。 引用発明Aの「二次燃焼室17」は「第2燃焼室」に、「背部」は「他端」に、「一端」は「一端」に、「灰掻出口14」及び「煙突15」は「灰及び熱風の排出口」に、それぞれ相当する。そうすると、引用発明Aの「一端が上記第1燃焼部の上記一次燃焼室16の開口に連なると共に背部に灰掻出口14及び煙突15が形成され、一端よりも背部が低くなるように中心軸を水平方向に対して傾斜して配置され、上記中心軸回りに回転駆動される円筒形状の二次燃焼室17を有する第2燃焼部」は、本願発明1の「一端が上記第1燃焼部の第1燃焼室の開口に連なると共に他端に灰及び熱風の排出口が形成され、一端よりも他端が低くなるように中心軸を水平方向に対して傾斜して配置され、上記中心軸回りに回転駆動される円筒形状の第2燃焼室を有する第2燃焼部」に相当する。 したがって、両者の一致点、相違点は、以下のとおりである。 〔一致点〕 「被燃焼物を燃焼する燃焼炉であって、 一端よりも他端が低くなるように中心軸を水平方向に対して傾斜して配置された第1燃焼室と、この第1燃焼室の一端側に設けられた燃料投入部及び着火部と、上記第1燃焼室に設けられて第1燃焼空気を供給する第1燃焼空気供給口とを有する第1燃焼部と、 一端が上記第1燃焼部の第1燃焼室に連なると共に他端に灰及び熱風の排出口が形成され、一端よりも他端が低くなるように中心軸を水平方向に対して傾斜して配置され、上記中心軸回りに回転駆動される円筒形状の第2燃焼室を有する第2燃焼部と を備えた、 燃焼炉。」 〔相違点1〕 「被燃焼物を燃焼する燃焼炉」に関して、本願発明1においては、「廃油又は油由来廃液と植物系バイオマスとが混合されてなるバイオマス燃料を燃焼するバイオマス燃料用燃焼炉」であるのに対して、引用発明Aにおいては、「一般塵芥や各種の産業廃棄物を焼却する回転式燃焼炉」である点。 〔相違点2〕 「第1燃焼室」に関して、本願発明1においては、「他端が一端よりも大きい径を有して開口し、一端よりも他端が低くなるように中心軸を水平方向に対して傾斜して配置された円錐台形状」であるのに対して、引用発明Aにおいては、かかる構成となっていない点。 〔相違点3〕 本願発明1においては、「第1燃焼室の側面に設けられて第1燃焼空気を供給する第1燃焼空気供給口とを有」し、「上記第1燃焼空気供給口は、上記第1燃焼室の側面の接線方向に延在する燃焼空気供給管に連通している」のに対して、引用発明Aにおいては、「一次空気を送風機18からダクト19を経て前壁11より回転炉体2内の一次燃焼室16内に供給する」点。 事案に鑑み、先ず、上記相違点2について検討する 引用文献3記載事項は、炭化炉本体(2)を円錐形とすることを開示するものの、当該構成により、回転キルンを斜めに配置するためのスラストローラを用いるロータリーキルン炉に比し、キルンを水平に設置できるので回転に伴う軸方向への「ずれ」を生じることがなくなるという有利な効果を奏するものであるから(上記第4 3 (1))、引用発明Aの、「一端よりも他端が低くなるように中心軸を水平方向に対して傾斜して配置された一次燃焼室16」に、引用文献3記載事項を適用する動機付けは存在しない。 したがって、引用発明Aに引用文献3記載事項を適用して、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたということはできない。 次に、上記相違点3について検討する。 引用文献4記載事項は、高圧空気を、円筒壁面の接線方向に吹出し、吹出される高圧空気により燃料を旋回運動させることを開示するものの、当該構成により、可動部がないサイクロンバーナ本体において、吹込まれる空気または着火用バーナの火炎のみにより燃焼ガスを旋回運動させるものであるから(上記第4 4 (3))、引用発明Aのような回転式燃焼炉の一次燃焼室16への燃焼空気の供給に、引用文献4記載事項を適用する動機付けは存在しない。 したがって、引用発明Aに引用文献4記載事項を適用して、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたということはできない。 引用文献2の記載事項は、上記第4 2 のとおりであり、上記相違点2及び3に係る本願発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。 したがって、上記相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明A、引用文献2の記載事項、引用文献3記載事項及び引用文献4記載事項に基いて、当業者が容易に想到することができたとはいえない。 以上のとおりであるから、本願発明1は、引用発明A、引用文献2の記載事項、引用文献3記載事項及び引用文献4記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 本願発明2ないし14について 本願発明2ないし14は、本願発明1の発明特定事項を全て備えるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明A、引用文献2の記載事項、引用文献3記載事項及び引用文献4記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 本願発明15について 本願発明15と引用発明Bとを対比する。 引用発明Bの「一般塵芥や各種の産業廃棄物」と、本願発明15の「廃油又は油由来廃液と植物系バイオマスとが混合されてなるバイオマス燃料」とは、「被燃焼物」という限りにおいて一致している。 引用発明Bの「一次燃焼室16」は、本願発明15の「第1燃焼室」に相当する。そうすると、引用発明Bの「被焼却物は、後傾状態で支持された回転炉体2の一次燃焼室16に投入され」ることと、本願発明15の「上記バイオマス燃料を第1燃焼室に投入する工程」とは、「上記被焼却物を第1燃焼室に投入する工程」という限りにおいて一致している。 被焼却物が燃焼するために、被焼却物が着火しなければならないことは、技術常識であるから、引用発明Bの「被焼却物が、一次燃焼室16で送風機18から送風されてきた一次空気により、また難燃物の場合には一次空気と補助バーナ13の火?とにより一次燃焼され」ることと、本願発明15の「上記第1燃焼室に投入されたバイオマス燃料を燃焼空気の旋回流に接触させて着火する工程」とは、「上記第1燃焼室に投入された被焼却物を着火する工程」という限りにおいて一致している。 引用発明Bの「二次燃焼室17」は、本願発明15の「二次燃焼室17」に相当する。そうすると、引用発明Bの「被焼却物が一次燃焼室16から二次燃焼室17へと反転攪拌されつつ移送され」ることと、本願発明15の「上記着火したバイオマス燃料を、上記第1燃焼室から第2燃焼室に移動させる工程」とは、「上記着火した被燃焼物を、上記第1燃焼室から第2燃焼室に移動させる工程」という限りにおいて一致している。 引用発明Bの「二次燃焼室17で、二次空気と回転炉体2の回転とにより、被焼却物は更に攪拌されて完全に燃焼され」ることと、本願発明15の「上記第2燃焼室に導かれたバイオマス燃料を、回転する第2燃焼室によって撹拌する工程」とは、「上記第2燃焼室に導かれた被燃焼物を、回転する第2燃焼室によって撹拌する工程」という限りにおいて一致している。 引用発明Bの「灰となった塵芥は灰掻出口14から掻出され、燃焼ガスは煙突15から排出される」ことは、本願発明15の「上記バイオマス燃料の燃焼に伴って生じた灰及び燃焼ガスを、上記第2燃焼室から排出する工程」とは、「上記被燃焼物の燃焼に伴って生じた灰及び燃焼ガスを、上記第2燃焼室から排出する工程」という限りにおいて一致する。 したがって、両者の一致点、相違点は、以下のとおりである。 〔一致点〕 「燃焼方法であって、 被燃焼物を第1燃焼室に投入する工程と、 上記第1燃焼室に投入された被燃焼物を着火する工程と、 上記着火した被燃焼物を、上記第1燃焼室から第2燃焼室に移動させる工程と、 上記第2燃焼室に導かれた被燃焼物を、回転する第2燃焼室によって撹拌する工程と、 上記被燃焼物の燃焼に伴って生じた灰及び燃焼ガスを、上記第2燃焼室から排出する工程と を備える、 燃焼方法。」 〔相違点4〕 「被燃焼物」が、本願発明15においては「廃油又は油由来廃液と植物系バイオマスとが混合されてなるバイオマス燃料」であるのに対して、引用発明Bにおいては「一般塵芥や各種の産業廃棄物」である点。 〔相違点5〕 本願発明15においては「上記燃焼空気を、他端が一端よりも大きい径を有して開口し、一端よりも他端が低くなるように中心軸を水平方向に対して傾斜して配置された円錐台形状の上記第1燃焼室の側面へ接線方向に導き、この第1燃焼室の側面に形成された燃焼空気供給口から吹き出すことにより、旋回流を形成する」のに対して、引用発明Bにおいては、かかる事項を備えていない点。 事案に鑑み、上記相違点5について検討する。 引用文献3記載事項は、炭化炉本体(2)を、円錐形とすることを開示するものの、当該構成により、回転キルンを斜めに配置するためのスラストローラを用いるロータリーキルン炉に比し、キルンを水平に設置できるので回転に伴う軸方向への「ずれ」を生じることがなくなるという有利な効果を奏するものであるから(上記第4 3 (1))、引用発明Bのように、後傾状態で支持された回転炉体2の一次燃焼室16に、引用文献3記載事項を適用する動機付けは存在しない。 引用文献4記載事項は、高圧空気を、円筒壁面の接線方向に吹出し、吹出される高圧空気により燃料を旋回運動させることを開示するものの、当該構成により、可動部がないサイクロンバーナ本体において、吹込まれる空気または着火用バーナの火炎のみにより燃焼ガスを旋回運動させるものであるから(上記第4 4 (3))、引用発明Bのように、後傾状態で支持された回転炉体2の一次燃焼室16への燃焼空気の供給に、引用文献4記載事項を適用する動機付けは、存在しない。 したがって、引用発明Bに引用文献3記載事項及び引用文献4記載事項を適用して、上記相違点5に係る本願発明15の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたということはできない。 引用文献2の記載事項は、上記第4 2 のとおりであり、上記相違点5に係る本願発明15の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。 したがって、上記相違点4について検討するまでもなく、本願発明15は、引用発明B、引用文献2の記載事項、引用文献3記載事項及び引用文献4記載事項に基いて、当業者が容易に想到することができたとはいえない。 以上のとおりであるから、本願発明15は、引用発明A、引用文献2の記載事項、引用文献3記載事項及び引用文献4記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 本願発明16について 本願発明16は、本願発明15の発明特定事項を全て備えるから、本願発明15と同様の理由により、引用発明B、引用文献2の記載事項、引用文献3記載事項及び引用文献4記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-001633

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