特許異議申立
2023-700805
焚火台
- 審判番号
- 2023-700805
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-196436
- 登録番号
- 7249692
- 請求日
- 2023年08月03日
- 審決日
- 2024年01月12日
- 公報発行日
- 2024年02月22日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社乗富鉄工所
- 【権利者代理人】高松 宏行
- 【異議申立人】千歳商事 株式会社
- 【異議申立人代理人】弁理士法人オリベ特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 水野 治彦
- 審判官 鈴木 充
- 審判官 竹下 和志
- 分類
- P1651.121-Y (F23B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7249692号発明「焚火台」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7249692号の請求項1及び2に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7249692号の請求項1及び2に係る特許についての出願は、令和3年12月2日に出願され、令和5年3月23日にその特許権の設定登録がされ、令和5年3月31日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1及び2に係る特許に対し、令和5年8月3日に特許異議申立人 千歳商事株式会社(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
特許第7249692号の請求項1及び2の特許に係る発明(以下「本件発明1」及び「本件発明2」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
屈曲変形自在なシート状のメッシュ部材と、
前記メッシュ部材を支持する支持手段と、を備え、
前記メッシュ部材は、燃料が載置される載置部と、前記載置部の両側から起立することによって対向する第1の起立部および第2の起立部と、を有するように屈曲変形された状態で前記支持手段に支持され、
前記メッシュ部材において、前記第1の起立部と前記第2の起立部の夫々に対応する位置には、前記メッシュ部材から突出した突起部材が設けられ、
前記支持手段は、前記メッシュ部材の一端部側に配置される第1の側壁部と、前記メッシュ部材の他端部側に配置される第2の側壁部と、を含み、
前記第1の側壁部と前記第2の側壁部の夫々には上方に開口した切り欠き部が形成され、
前記突起部材を前記切り欠き部に係止することで前記支持手段は前記メッシュ部材を支持する、焚火台。
【請求項2】
前記燃料が投入される投入部をさらに備え、
前記投入部は、前記載置部および前記第1の起立部ならびに前記第2の起立部によって囲まれた燃料の燃焼空間と連通する、請求項1に記載の焚火台。」
第3 特許異議申立て理由の概要
申立人が申立てた特許異議申立ての理由は、概略以下のとおりである。
本件発明1及び2は、甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1及び2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
甲第1号証:特開2021-14932号公報(以下「甲1」という。)
甲第2号証:株式会社スノーピーク、“製品の発売時期延期および発売中止のお詫びと、価格変更のご連絡”、[online]、令和2年12月8日、インターネット<URL:https://www.snowpeak.co.jp/notice/p20201208-1/>(以下「甲2」という。)
甲第3号証:SAN-EI CORPORATION Co.,Ltd.、“GO OUT muraco初の焚火台が完成!軽い・コンパクト・タフと三拍子揃った注目作。”、令和元年5月12日、インターネット<URL:https://web.goout.jp/gear/98671/>(以下「甲3」という。)
甲第4号証:LOGOS CORPORATION、“LOGOS News Release”、令和3年6月4日(以下「甲4」という。)
甲第5号証:株式会社ヨドバシカメラ、“ベルモント Belmont BM273[焚き火台 TOKOBIケース付]”、平成30年12月31日(発売開始日)、インターネット<URL:https://www.yodobashi.com/product/100000001004211032>(以下「甲5」という。)
第4 各甲号証に記載の事項等
1 甲1について
甲1には、次の事項が記載されている(下線は当審が付与した。以下同様。)。
(1)「【0007】
しかしながら、従来の焚火台は、火床が織布であるため空気の通りが悪く燃料の燃焼効率が低いという問題がある。また、支持台には火床の懸架線を引っ掛けるための掛止凹部が形成されているが、支持台に対する火床の着脱の度に、掛止凹部に対して懸架線を引っ掛けたり取外したりすることが面倒であるという問題がある。さらに、支持台が2つの部材の組み合わせであるため、組立て・分解が面倒であるという問題がある。
【0008】
そのため、現在では、高い燃焼効率を有すると共に、支持台に対する設置・取外しが簡単な火床を備え、しかも、組立て・折畳みが簡単な支持台を備えた焚火台の開発が望まれている。」
(2)「【0017】
[全体の構成]
焚火台Aは、図1および図2に示すように、火床Bと、火床Bを着脱自在に載置する支持台Cと、支持台C上において、調理器具等を載置する五徳Dとを備えたものである。火床Bは、屈曲変形自在な弾性を有したネットが用いられており、支持台Cに対して着脱自在に載置されている。支持台Cは、折畳み自在であり、収納(運搬)時には図7に示すように折畳み、使用時には図1に示すように拡開することができるようにされている。
【0018】
[火床の構成]
火床Bは、図1および図2に示すように、耐熱性および可撓性を有するメッシュ材を用いて、平面長方形のメッシュシートとして形成されており、火床Bの使用時においては、図1に示すように断面半円状に湾曲させて支持台Cに載置することで燃料(木炭や薪等)の置き場を確保し、火床Bを取外したときには、図2に示すように平坦状にすることができると共に、筒状に丸めて収容状態(図示せず)とすることができるようにされている。」
(3)「【0020】
[支持台の構成]
支持台Cは、全体に耐熱性を有する金属製のパイプ材を用いて、燃料の燃焼時における変形や破損を防ぐと共に、容易に運搬できるように軽量化を図っている。前述の特許文献1の段落〔0016〕には、焚火台の重量として1kgと記載されているが、本発明の支持台Cは、金属製のパイプ材を用いることにより、火床を含めて、約140g程度にすることができ、大幅な軽量化を実現している。このような支持台Cは、図1および図2並びに図4に示すように、第1の主フレーム部2aと、第1の主フレーム部2aと向かい合うように並列状に配置された第2の主フレーム部2bとを有し、第1の主フレーム部2aと第2の主フレーム部2bとが、第1の連結杆部4aおよび第2の連結杆部4bとにより連結されている。
【0021】
第1の主フレーム部2aおよび第2の主フレーム部2bは、図1~図3に示すように、ともに曲げ加工することで同じ形状のコ字状に形成されたものである。第1の主フレーム部2aは、上下方向の軸を有する第1の縦フレーム部30aおよび第2の縦フレーム部31aと、第1の縦フレーム部30aと第2の縦フレーム部31aとの下端を繋ぐ第1の接地杆部32aとから構成されている。第2の主フレーム部2bは、上下方向の軸を有する第3の縦フレーム部30bおよび第4の縦フレーム部31bと、第3の縦フレーム部30bと第4の縦フレーム部31bとの下端を繋ぐ第2の接地杆部32bとから構成されている。
【0022】
第1の縦フレーム部30aと第2の縦フレーム部31aとの間隔および第3の縦フレーム部30bと第4の縦フレーム部31bとの間隔は、図1~図3に示すように、火床Bの幅よりも小さくされている。第1の縦フレーム部30aと第2の縦フレーム部31aとの間には、第1の火床載置部33aが架設され、第3の縦フレーム部30bと第4の縦フレーム部31bとの間には、第2の火床載置部33bが架設されている。第1の火床載置部33aおよび第2の火床載置部33bは、火床Bが載置されるものであり、湾曲させた状態で載置される火床Bの曲面部分が嵌り込むような側面凹形状に形成されている。また、第1の縦フレーム部30a、第2の縦フレーム部31a、第3の縦フレーム部30b、第4の縦フレーム部31bには、夫々湾曲状に載置された火床Bの縁2を上から押さえる押さえ部300が備えられている。
【0023】
このような第1の主フレーム部2aおよび第2の主フレーム部2bに対する火床Bの載置状態では、図1および図3に示すように、火床Bを湾曲させて第1の火床載置部33aと第2の火床載置部33bとにわたるように載置される。このとき火床Bが、第1の火床載置部33aおよび第2の火床載置部33bに嵌り込むと共に、火床Bの縁2が第1の縦フレーム部30aと第2の縦フレーム部31aおよび第3の縦フレーム部30bと第4の縦フレーム部31bに接触すると共に、押さえ部300が火床Bの縁2を上から押さえることで、載置状態での火床Bの湾曲形状が保持されている。」
(4)「【図1】
[図:0001406715000001.jpg]
」
(5)「【図3】
[図:0001406715000002.jpg]
」
(6)上記(2)(段落【0018】)及び(5)から、平面長方形のメッシュシートを断面半円状に湾曲させた火床Bは、下記参考図に示すように、湾曲形状の底部からある程度の範囲は「燃料が載置される載置部」ということができ、その両側から上端部にかけての範囲は「対向する第1の起立部及び第2の起立部」ということができる。そして、火床Bは、屈曲変形された状態で支持手段に支持されるといえる。
〔参考図〕(甲1の【図3】に追記したもの)
[図:0001406715000003.jpg]
上記(1)ないし(6)から、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
〔甲1発明〕
「耐熱性および可撓性を有するメッシュ材を用いて、平面長方形状のメッシュシートとして形成された火床Bと、
前記火床Bを着脱自在に載置する支持台Cと、を備え、
前記火床Bは、燃料が載置される載置部と、前記載置部の両側から起立することによって対向する第1の起立部および第2の起立部と、を有するように屈曲変形された状態で支持台Cに支持され、
前記支持台Cは、第1の主フレーム部2aと、第2の主フレーム部2bとを有し、第1の主フレーム部2aは、上下方向の軸を有する第1の縦フレーム部30aおよび第2の縦フレーム部31aを有し、第2の主フレーム部2bは、上下方向の軸を有する第3の縦フレーム部30bおよび第4の縦フレーム部31bを有し、第1の縦フレーム部30aと第2の縦フレーム部31aとの間には、第1の火床載置部33aが架設され、第3の縦フレーム部30bと第4の縦フレーム部31bとの間には、第2の火床載置部33bが架設され、第1の火床載置部33aおよび第2の火床載置部33bは、湾曲させた状態で載置される前記火床Bの曲面部分が嵌り込むような側面凹形状に形成され、第1の縦フレーム部30a、第2の縦フレーム部31a、第3の縦フレーム部30b、第4の縦フレーム部31bには、夫々湾曲状に載置された前記火床Bの縁2を上から押さえる押さえ部300が備えられ、
前記火床Bを湾曲させて第1の火床載置部33aと第2の火床載置部33bとにわたるように載置させたとき、火床Bが第1の火床載置部33aおよび第2の火床載置部33bに嵌り込むと共に、火床Bの縁2が第1の縦フレーム部30aと第2の縦フレーム部31aおよび第3の縦フレーム部30bと第4の縦フレーム部31bに接触すると共に、押さえ部300が火床Bの縁2を上から押さえることで、載置状態での火床Bの湾曲形状が保持される、焚火台。」
2 甲2について
甲2には、次の事項が記載されている。
(1)「
[図:0001406715000004.jpg]
」
(2)「
[図:0001406715000005.jpg]
(3)「
[図:0001406715000006.jpg]
」
(4)ST-021は焚火台であって、焚火で用いる燃料は、その熱を利用した作業を行う部位よりも下方で且つその熱を有効に利用できる部材に載置されるという技術常識から、上記(3)における、中央の部材(下記参考図でAの○で囲んだ部材)は、燃料載置部といえる。そして、上記(3)から、当該燃料載置部から突出した部材が脚状の部材に設けられた凹状の部分に係止されている(下記参考図でBの○で囲んだ部分)ことが看取できる。
〔参考図〕
[図:0001406715000007.jpg]
以上によれば、甲2には、次の技術(以下「甲2技術」という。)が記載されている。
〔甲2技術〕
「焚火台において、燃料載置部から突出した部材が脚状の部材に設けられた凹状の部分に係止されていること。」
なお、上記(1)、(2)及び(4)から、甲2は、ST-021焚火台SRの発売延期及び価格変更の連絡であって、その日付は2020年12月8日と理解できる。そうすると、甲2は、少なくとも12月8日には、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものいえる。
3 甲3について
甲3には、次の事項が記載されている。
(1)「
[図:0001406715000008.jpg]
」
(2)「
[図:0001406715000009.jpg]
」
(3)「
[図:0001406715000010.jpg]
」
(4)上記(3)を踏まえると、上記(2)の中央のシート状の部材は燃料載置部といえる。そして、上記(2)から、シート状の部材のコーナー部に環状部材を設け、支持部の凹状の部分に係止することで、当該シート状の部材を支持することが看取できる。
以上によれば、甲3には、次の技術(以下「甲3技術」という。)が記載されている。
〔甲3技術〕
「焚火台において、燃料載置部のコーナー部に環状部材を設け、支持部の凹状の部分に係止することで、当該燃料載置部を支持すること。」
なお、上記(1)及び(2)から、甲3は、焚火台SATELLITEFIREBASEを紹介するnewsであり、その作成日(2019年5月12日)と「発売は5月下旬を予定としている」との記載から、遅くとも2019年5月下旬には、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものといえる。
4 甲4について
甲4には、次の事項が記載されている。
(1)「
[図:0001406715000011.jpg]
(2)「
[図:0001406715000012.jpg]
」
(3)「
[図:0001406715000013.jpg]
」
(4)上記(1)の右上の「2021.6.4」との記載及び「6月18日(金)より順次販売開始!公式オンライン店では6月4日(金)より予約受付開始」との記載から、甲4は、遅くとも2021年6月4日には、公知になったものといえる。
5 甲5について
甲5には、次の事項が記載されている。
(1)「
[図:0001406715000014.jpg]
」
(2)「
[図:0001406715000015.jpg]
」
(3)「
[図:0001406715000016.jpg]
」
(4)上記(2)の「販売開始日:2018/12/31」との記載から、甲5は、遅くとも2018年12月31日に、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものといえる。
第5 当審の判断
1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「可撓性を有するメッシュ材を用いて、平面長方形状のメッシュシートとして形成され」たものは、「屈曲変形自在なシート状」であるといえるから、甲1発明の「耐熱性および可撓性を有するメッシュ材を用いて、平面長方形状のメッシュシートとして形成された火床B」は、本件発明1の「屈曲変形自在なシート状のメッシュ部材」に相当する。
甲1発明の「着脱自在に載置する」は、本件発明1の「支持する」に相当し、同様に、「支持台C」は「支持手段」に相当する。
そうすると、甲1発明の「前記火床Bを着脱自在に載置する支持台C」は、本件発明1の「前記メッシュ部材を支持する支持手段」に相当する。
よって、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
〔一致点〕
「屈曲変形自在なシート状のメッシュ部材と、
前記メッシュ部材を支持する支持手段と、を備え、
前記メッシュ部材は、燃料が載置される載置部と、前記載置部の両側から起立することによって対向する第1の起立部および第2の起立部と、を有するように屈曲変形された状態で前記支持手段に支持される、
焚火台。」
〔相違点〕
本件発明1は、
「前記メッシュ部材において、前記第1の起立部と前記第2の起立部の夫々に対応する位置には、前記メッシュ部材から突出した突起部材が設けられ、
前記支持手段は、前記メッシュ部材の一端部側に配置される第1の側壁部と、前記メッシュ部材の他端部側に配置される第2の側壁部と、を含み、
前記第1の側壁部と前記第2の側壁部の夫々には上方に開口した切り欠き部が形成され、
前記突起部材を前記切り欠き部に係止することで前記支持手段は前記メッシュ部材を支持する」のに対して、
甲1発明は、
「前記支持台Cは、第1の主フレーム部2aと、第2の主フレーム部2bとを有し、第1の主フレーム部2aは、上下方向の軸を有する第1の縦フレーム部30aおよび第2の縦フレーム部31aを有し、第2の主フレーム部2bは、上下方向の軸を有する第3の縦フレーム部30bおよび第4の縦フレーム部31bを有し、第1の縦フレーム部30aと第2の縦フレーム部31aとの間には、第1の火床載置部33aが架設され、第3の縦フレーム部30bと第4の縦フレーム部31bとの間には、第2の火床載置部33bが架設され、第1の火床載置部33aおよび第2の火床載置部33bは、湾曲させた状態で載置される前記火床Bの曲面部分が嵌り込むような側面凹形状に形成され、第1の縦フレーム部30a、第2の縦フレーム部31a、第3の縦フレーム部30b、第4の縦フレーム部31bには、夫々湾曲状に載置された前記火床Bの縁2を上から押さえる押さえ部300が備えられ、
前記火床Bを湾曲させて第1の火床載置部33aと第2の火床載置部33bとにわたるように載置させたとき、火床Bが第1の火床載置部33aおよび第2の火床載置部33bに嵌り込むと共に、火床Bの縁2が第1の縦フレーム部30aと第2の縦フレーム部31aおよび第3の縦フレーム部30bと第4の縦フレーム部31bに接触すると共に、押さえ部300が火床Bの縁2を上から押さえることで、載置状態での火床Bの湾曲形状が保持される」点。
(2)判断
上記相違点について検討する。
甲2技術及び甲3技術から、焚火台において、燃料が載置される本体部から突出した部材を、支持部に設けられた凹状の部分に係止することで、本体部を支持部に支持することが、従来周知の技術であったと一応いうことができる。
しかしながら、甲1発明は、「従来の焚火台は、・・・支持台には火床の懸架線を引っ掛けるための掛止凹部が形成されているが、支持台に対する火床の着脱の度に、掛止凹部に対して懸架線を引っ掛けたり取外したりすることが面倒であるという問題がある」(甲1の段落【0007】)から、「支持台に対する設置・取外しが簡単な火床を備え」(段落【0008】)た焚火台の開発が望まれていることを課題とし、そのために、
「前記支持台Cは、第1の主フレーム部2aと、第2の主フレーム部2bとを有し、第1の主フレーム部2aは、上下方向の軸を有する第1の縦フレーム部30aおよび第2の縦フレーム部31aを有し、第2の主フレーム部2bは、上下方向の軸を有する第3の縦フレーム部30bおよび第4の縦フレーム部31bを有し、第1の縦フレーム部30aと第2の縦フレーム部31aとの間には、第1の火床載置部33aが架設され、第3の縦フレーム部30bと第4の縦フレーム部31bとの間には、第2の火床載置部33bが架設され、第1の火床載置部33aおよび第2の火床載置部33bは、湾曲させた状態で載置される前記火床Bの曲面部分が嵌り込むような側面凹形状に形成され、第1の縦フレーム部30a、第2の縦フレーム部31a、第3の縦フレーム部30b、第4の縦フレーム部31bには、夫々湾曲状に載置された前記火床Bの縁2を上から押さえる押さえ部300が備えられ、
前記火床Bを湾曲させて第1の火床載置部33aと第2の火床載置部33bとにわたるように載置させたとき、火床Bが第1の火床載置部33aおよび第2の火床載置部33bに嵌り込むと共に、火床Bの縁2が第1の縦フレーム部30aと第2の縦フレーム部31aおよび第3の縦フレーム部30bと第4の縦フレーム部31bに接触すると共に、押さえ部300が火床Bの縁2を上から押さえることで、載置状態での火床Bの湾曲形状が保持される
」
という構成を採用したものである。
よって、火床Bの支持の構成に関して、火床Bに、火床Bから突出した部材を設け、支持台側に凹状の部分を設け、火床Bから突出した部材を当該凹状の部分に係止することで、火床Bを支持台に支持する構成が、従来周知の技術であったとしても、これを採用したものは、甲1において従来技術の問題としていた課題を解決できないものであるから、当業者であれば従来周知の技術の採用は想到しないものといえる。すなわち、甲1発明に従来周知の技術を採用することには阻害事由がある。
したがって、本件発明1は、甲1発明及び従来周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書6ページ14行ないし21行において、甲4から、
「上方に開口する切り欠き部に棒状部材を係止する構成。」
が看取できる旨主張する。
また、特許異議申立書6ページ22行ないし7ページ12行において、甲5から、
「A 屈曲変形自在なシート状のメッシュ部材と、
B 前記メッシュ部材を支持する支持手段と、を備え、
C 前記メッシュ部材は、燃料が載置される載置部と、前記載置部の両側から起立することによって対向する第1の側壁部および第2の側壁部と、を有するように変形された状態で前記支持手段に支持され、
D 燃料が載置される載置部と、前記載置部の両側から起立することによって対向する第1の側壁部および第2の側壁部と、を有する本体部において、前記第1の起立部と前記第2の起立部の夫々に対応する位置には、前記本体部から突出した突起部材が設けられ、
E 前記支持手段は、前記本体部の一端部側に配置される第1の側壁部と、前記本体部の他端部側に配置される第2の側壁部と、を含み、」
が看取できる旨主張する。
上記主張について検討する。
はじめに甲4を確認する。甲4の上記第4 4(2)及び(3)から、「六角薪だんろストーブ」及び「たき火グリル」を看取することはできる。しかしながら「六角暖炉ストーブ」及び「たき火グリル」のいずれからも、「棒状部材」といえるもの及び「棒状部材を係止する構成」といえるものを特定することはできない。
したがって、甲4から、申立人が主張するような「上方に開口する切り欠き部に棒状部材を係止する構成。」は看取できない。
次に、甲5を確認する。甲5の上記第4 5(3)から、
「A 屈曲変形自在なシート状のメッシュ部材と、
B 前記メッシュ部材を支持する支持手段と、を備え、
C 前記メッシュ部材は、燃料が載置される載置部と、前記載置部の両側から起立することによって対向する第1の側壁部および第2の側壁部と、を有するように変形された状態で前記支持手段に支持され」ること、
及び
「E 前記支持手段は、前記本体部の一端部側に配置される第1の側壁部と、前記本体部の他端部側に配置される第2の側壁部と、を含」むこと、
は看取できる。
しかしながら、甲5において、「第1の起立部」及び「第2の起立部」といえるものを特定することはできず、「本体部から突出した突起部」といえるものも明らかでない。そうすると、甲5から、「前記第1の起立部と前記第2の起立部の夫々に対応する位置には、前記本体部から突出した突起部材が設けられ」ることは看取できない。
したがって、甲4及び甲5から申立人が主張する事項を看取することはできない。
なお、仮に看取できたとしても、甲4及び甲5から看取できる事項は、上記イで述べた従来周知の技術に含まれるものである。そして、上記イで述べたように、甲1発明において、従来周知の技術を採用するには、阻害事由があるから、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
2 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含んでいる。したがって、本件発明2は、本件発明1に対して述べたのと同様の理由により、甲1発明及び従来周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700805