特許拒絶査定不服審判
2023-000325
選択的に変更可能な特性を有する撮像デバイス
- 審判番号
- 2023-000325
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-572649
- 請求日
- 2023年01月10日
- 審決日
- 2024年03月04日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エコー イメージング,インク.
- 【請求人代理人】山本 修
- 【請求人代理人】宮前 徹
- 【請求人代理人】松尾 淳一
- 審判長/審判官
- 審判長 樋口 宗彦
- 審判官 櫃本 研太郎
- 審判官 ▲高▼見 重雄
- 分類
- P18 .121-Z (A61B) / P18 .537-Z (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-572649「選択的に変更可能な特性を有する撮像デバイス」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月 2日国際公開、WO2020/068473、令和 4年 1月 4日国内公表、特表2022-500094〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件出願(以下「本願」という。)は、2019年(令和元年)9月16日(パリ条約による優先権主張 2018年9月25日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和4年 2月25日付け:拒絶理由通知
令和4年 5月25日 :意見書
令和4年 5月25日 :手続補正書
令和4年 9月 7日付け:拒絶査定
令和5年 1月10日 :審判請求・手続補正書
令和5年 5月25日 :上申書
第2 令和5年1月10日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年1月10日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1) 令和4年5月25日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件補正前発明」という。)は、以下のとおりである。
「 【請求項1】
トランスデューサのアレイであって、各トランスデューサは、
圧電素子のアレイを含み、
半導体ウェーハ基板上に製作され、及び
撮像される対象物に向かって圧力波を送信することと、撮像される前記対象物からの前記圧力波の反射を受信することとを行う前記圧電素子に接続された検知、駆動及び制御回路に接続された、
トランスデューサのアレイと、
前記圧力波を生成するための、1つ又は複数の圧電素子あたりの送信チャネルと、
前記圧力波の前記反射を処理するための、1つ又は複数の圧電素子あたりの受信チャネルと
を含む撮像デバイスであって、チャネルの数は、選択的に変更され、
低減された数のチャネルが起動される低電力探索モード、及び
より多い数のチャネルが起動される高電力撮像モード
の少なくとも1つで動作する、撮像デバイス。」
(2) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)は、以下のとおりである。なお、当審において本件補正発明の各構成単位冒頭に「A」などの分説番号を付した。以下、該各構成単位について、該分説番号を用い「構成A」などということがある。(下線は、補正箇所を示すため当審で付した。以下同様。)
「 【請求項1】
A 半導体ウェーハ基板と、
検知、駆動及び制御回路と、
B1 トランスデューサのアレイであって、各トランスデューサは、
圧電素子のアレイを含み、
前記半導体ウェーハ基板上に製作され、及び
B2 前記圧電素子に接続され、撮像される対象物に向かって圧力波を送信することと、撮像される前記対象物からの前記圧力波の反射を受信することとを行うように構成された前記検知、駆動及び制御回路に接続された、
トランスデューサのアレイと、
C1 前記圧力波を生成するための、1つ又は複数の圧電素子及び前記検知、駆動及び制御回路に接続された送信チャネルと、
C2 前記圧力波の前記反射を収集するための、1つ又は複数の圧電素子及び前記検知、駆動及び制御回路に接続された受信チャネルとを含む撮像デバイスであって、
D 前記検知、駆動及び制御回路は、1つの圧力波が送信された後に各送信チャネルが停止し且つ他の1つの圧力波が送信される前に各送信チャネルが再び起動するように、チャネルの数を選択的に変更するように構成され、
E 前記検知、駆動及び制御回路は、前記撮像デバイスを、
低減された数のチャネルが起動される低電力探索モード、及び
より多い数のチャネルが起動される高電力撮像モード
の少なくとも1つで動作させるように構成される、撮像デバイス。」
2 補正の適否について
(1)本件補正
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、以下に挙げる補正事項を含むものである。
ア 補正事項1
本件補正前発明における「撮像デバイス」が、「半導体ウェーハ基板」及び「検知、駆動及び制御回路」を含むことを限定する補正。
イ 補正事項2
本件補正前発明における「撮像される対象物に向かって圧力波を送信することと、撮像される前記対象物からの前記圧力波の反射を受信することとを行う前記圧電素子に接続された検知、駆動及び制御回路に接続された」との事項を、「前記圧電素子に接続され、撮像される対象物に向かって圧力波を送信することと、撮像される前記対象物からの前記圧力波の反射を受信することとを行うように構成された前記検知、駆動及び制御回路に接続された」との事項(構成B2)にする補正。
ウ 補正事項3
本件補正前発明における「送信チャネル」及び「受信チャネル」が「検知、駆動及び制御回路に接続された」ものである点を限定する補正。
エ 補正事項4
本件補正前発明における「チャネルの数は、選択的に変更され」る事項を、「前記検知、駆動及び制御回路は、1つの圧力波が送信された後に各送信チャネルが停止し且つ他の1つの圧力波が送信される前に各送信チャネルが再び起動するように、チャネルの数を選択的に変更するように構成され」る事項に限定する補正。
オ 補正事項5
本件補正前発明における、「撮像デバイス」が「低減された数のチャネルが起動される低電力探索モード、及びより多い数のチャネルが起動される高電力撮像モードの少なくとも1つで動作」することについて、「検知、駆動及び制御回路」が「撮像デバイス」をそのように「動作させる」点を限定する補正。
カ 上記補正事項3は、本件補正前発明を特定するために必要な事項である「送信チャネル」及び「受信チャネル」について上記ウのとおり限定を付加するものであって、本件補正前発明と本件補正発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、請求項1に係る本件補正は、特許法第17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(2)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(2)に記載したとおりのものである。
(3)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、米国特許出願公開第2018/0153510号明細書(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。原文の摘記の後に当審訳を示す。
「[0002]The present invention relates to imaging devices, and more particularly, to imaging devices having configurable ultrasonic line imagers.」
「[0002]本発明は、撮像装置に関し、特に、構成可能な超音波ラインの撮像素子を有する撮像装置に関するものである。」
「[0014]FIG. 2 shows a schematic diagram of an ultrasonic imager according to embodiments of the present disclosure.」
「[0014]図2は、本開示の実施形態に係る超音波撮像装置の概略図を示す。」
「[0066]In embodiments, the manufacturing cost of pMUTs may be reduced by applying modern semiconductor and wafer processing techniques. In embodiments, thin film piezoelectric layer may be spun on or sputtered onto semiconductor wafers and later patterned to create piezoelectric sensors that each have two or more electrodes. In embodiment, each piezoelectric element may be designed to have the ability to emit or receive signals at a certain frequency, known as center frequency, as well as the second and/or additional frequencies. Hereinafter, the terms piezoelectric element, pMUT, transceiver, and pixel are used interchangeably.
[0067]FIG. 1 shows a schematic diagram of an imaging system 100 according to embodiments of the present disclosure. As depicted, the system 100 may include: an imager 120 that generates and transmits pressure waves 122 toward an internal organ 112, such as heart, in a transmit mode/process; and a device 102 that sends and receives signals to the imager through a communication channel 130. In embodiments, the internal organ 112 may reflect a portion of the pressure waves 122 toward the imager 120, and the imager 120 may capture the reflected pressure waves and generate electrical signals in a receive mode/process. The imager 120 may communicate electrical signals to the device 102 and the device 102 may display images of the organ or target on a display/screen 104 using the electrical signals.」
「[0066]いくつかの実施形態において、pMUTの製造コストは、最新の半導体ウェーハ加工技術を適用することによって減少させることができる。実施形態では、薄膜圧電層がスピン処理又は半導体ウェーハ上にスパッタされた後、それぞれ2個以上の電極を有する圧電センサを形成するためにパターン化することができる。一実施形態では、各圧電素子は、中心周波数として知られる特定の周波数の信号ならびに第2のおよび/または付加的な周波数を放射又は受信する能力を有するように設計することができる。以下、圧電素子、pMUT、トランシーバ、及びピクセルとの用語は、交換可能に使用される。
[0067]図1は、本開示の実施形態に係る撮像システム100の概略図を示す。図示のように、システム100は、送信モード/プロセスにおいて、心臓のような臓器112に向かって圧力波122を発生して送信する撮像装置120と、通信チャネル130を介して撮像装置へ信号を送信し、受信するデバイス102を含むことができる。実施形態では、臓器112は、圧力波122の一部を撮像装置120に向かって反射してもよいし、撮像装置120は、受信モード/プロセスにおいて、反射された圧力波を捕捉し、電気信号を生成することができる。撮像装置120は、電気信号をデバイス102に通信することができ、デバイス102は、電気信号を用いて、表示画面104上に、器官または対象の画像を表示することができる。」
「[0077]FIG. 3A shows a schematic diagram of an exemplary transceiver array having three transceiver tiles 210 according to embodiments of the present disclosure. The tiles may be on a planar surface or on a curved surface. FIG. 3B shows a top view of the transceiver tile 210 that includes one or more piezoelectric elements 302 according to embodiments of the present disclosure. As depicted, the transceiver tile 210 may include a transceiver substrate 304 and one or more piezoelectric elements 302 arranged on the transceiver substrate 304.
[0078]Unlike the conventional systems that use bulk piezoelectric elements, in embodiments, the pMUT array 302 may be formed on a wafer and the wafer may be diced to form multiple transceiver tiles 210. This process may reduce the manufacturing cost since the transceiver tiles 210 may be fabricated in high volume and at low cost. In embodiments, the diameter of the wafer may range 6~12 inches and many pMUT arrays may be batch manufactured. Further, in embodiments, as discussed in conjunction with FIGS. 18 and 19, the integrated circuits for controlling the pMUT array 302 may be formed in an ASIC chip so that the pMUT array 302 may be connected to the matching integrated circuits in close proximity, preferably within 25 m100 m. For example, the transceiver tile 210 may have 1024 pMUT elements 302 and be connected to a matching ASIC chip that has the appropriate number of circuits for driving the 1024 pMUT elements 302.
[0079] In embodiments, each piezoelectric element 302 may have any suitable shape such as, square, rectangle, and circle, so on. In embodiments, two or more piezoelectric elements may be connected to form a larger pixel element. As depicted in FIG. 3B, when building an imager, it is desirable to have a two dimensional array of piezoelectric element 302, arranged in orthogonal directions. In embodiments, to create a line element, a column of N piezoelectric elements 302 may be connected electrically in parallel. Then, this line element may provide transmission and reception of ultrasonic signals similar to those achieved by a continuous piezoelectric element that is almost N times longer than each element. This line element may be called a column or line or line element interchangeably. It is understood that tiles may be arranged in other shape such as circular, or other shapes. In embodiments, one or more temperature sensors 320 may be installed in the transducer tile 210 to measure the temperature of the tile 210. It is noted that the imager 120 may include one or more temperature sensors for measuring temperatures at various locations of the imager 120.」
「[0077]図3Aは、本開示の実施形態による3つのトランシーバ・タイル210を有する例示的なトランシーバ・アレイの概略図を示す。タイルは、平面上または湾曲した面上にあってもよい。図3Bは、本開示の実施形態によれば、1つ以上の圧電素子302を含むトランシーバ・タイル210の平面図を示している。図示のように、トランシーバ・タイル210は、トランシーバ基板304と、トランシーバ基板304上に配置された1つまたは複数の圧電素子302とを含むことができる。
[0078]バルク状の圧電素子を使用する従来のシステムとは異なり、本実施形態では、pMUTアレイ302は、ウエーハ上に形成され、ウェーハをダイシングして複数のトランシーバ・タイル210を形成することができる。トランシーバ・タイル210を大量に且つ低コストで作製することができるので、この工程は製造コストを低減することができる。実施形態では、ウェーハの直径は6~12インチの範囲とすることができ、多くのpMUTアレイは、バッチで製造することができる。また、本実施の形態では、図18および図19に関連して説明したように、pMUTアレイ302を制御するための集積回路は、pMUTアレイ302が整合集積回路に近接近して接続されるようにASICチップ内に形成されてよく、好ましくは、25μm~100μmの範囲内とすることができる。例えば、トランシーバ・タイル210は、1024pMUT素子302を有し、1024個のpMUT素子302を駆動するための適切な数の回路を有する整合ASICチップに接続することができる。
[0079]実施形態では、各圧電素子302は、正方形、長方形、円形等の任意の適切な形状を有してもよい。実施形態では、複数の圧電素子は、より大きな画素素子を形成するように接続されてもよい。図3(b)に示すように、撮像装置を構築する場合には、圧電素子302の2次元アレイが、直交する方向に配置されていることが望ましい。実施形態において、線状素子を形成するために、N個の圧電素子302の列は、電気的に並列に接続されてもよい。そして、この線状素子は、各圧電素子のほぼN倍長い連続する圧電素子により達成されるものと同様の超音波信号の送信及び受信を提供することができる。この線状素子は、行または列または線状要素と互換的に呼ばれることがある。タイルは、円形、または他の形状などの、他の形状で配置されてもよいことが理解される。実施形態では、1つまたは複数の温度センサ320が、トランスデューサ・タイル210に設置されてタイル210の温度を測定することができる。なお、撮像装置120は、撮像装置120の様々な位置で温度を測定する1つ以上の温度センサを含んでもよいことに留意されたい。」
「[0100]In embodiments, the conductor (X) 1038 and the conductor (T) 1040 may be all grounded (or connected to a DC bias) during active operation of the imager. In embodiments, the electrodes (O) 1032-1 and 1032-2 may be driven by a common transmit driver circuit and a common electrical signal, typically a signal waveform around the center frequency of the transducer. For example, if the center frequency is 2 MHz, a sinusoidal waveform or square waveform at 2 MHz is applied to the piezoelectric element 1030. This waveform may cause the piezoelectric element 1030 to resonate at 2 MHz and send out a pressure wave, such as 122, from the surface of the transducer. The pressure wave may be reflected from the target organ to be imaged. In embodiments, the reflected pressure wave may hit the piezoelectric element 1030 which is now connected to a signal receiver. The pressure wave may be converted to the electrical charge in the piezoelectric element 1030 by the piezoelectric layers 1035-1 and 1035-2. In embodiments, this charge may be signal processed by amplifiers, filters and eventually digitized by an A/D converter (not shown in FIG. 10D), followed by digital decimators with the data eventually interfaced to FPGAs or Graphical Processing Units (GPUs). These processed signals from multiple piezoelectric elements may be then reconstructed into images. The signal waveform driving the transmit driver can also be a frequency varying signal or a phase varying signal or other complex coded signals, such as chirps or Golay codes」
「[0100]諸実施形態において、導体(X)1038及び(T)1040は全て撮像装置のアクティブ動作時には、接地されて(又は直流バイアスに接続されて)いてもよい。実施形態では、電極(O)1032-1および1032-2は共通送信ドライバ回路と、共通の電気信号、典型的には、トランスデューサの中心周波数のまわりの信号波形によって駆動されてもよい。例えば、中心周波数が2MHzである場合、圧電素子1030に2MHzの正弦波形または方形波形が印加される。この波形で、圧電素子1030は、2MHzで共振し、トランスデューサの表面から、122のような、圧力波を送出させることができる。圧力波は、標的器官から反射され画像化されることができる。実施形態では、反射された圧力波は、今度は信号受信器に接続された圧電素子1030をヒットし得る。圧力波は、圧電層1035-1および1035-2による圧電素子1030で電荷に変換されてもよい。いくつかの実施形態では、この電荷は、アンプ、フィルタで処理され、最終的にA/D変換器(図10には示されていない)によってデジタル化されてデジタルデシメータにより処理され、最終的にFPGAまたはグラフィック処理ユニット(GPU)に結合されてよい。複数の圧電素子からのこれらの処理された信号は、その後、画像に再構成することができる。送信ドライバを駆動する信号波形は、周期が変化する信号または相変化信号または他の複雑な符号化信号、チャープまたはゴーレイ符号などとすることができる。」
「[0122]In embodiments, the LNAs 1811 included in the circuits 1842 may be implemented outside the ASIC chip 1804, such as part of a receive analog front end (AFE). In embodiments, a LNA may reside in the ASIC chip 1804 and another LNA and programmable gain amplifier (PGA) may reside in the AFE. The gain of each LNA 1811 may be programmed in real time, allowing the LNA to be part of a time gain compensation function (TGC) needed for the imager.
[0123]In embodiments, the LNAs 1811 may be built using low voltage transistor technologies and, as such, may be damaged if they are exposed to high transmit voltages that the conventional transducers need. Therefore in the conventional systems, a high voltage transmit/receive switch is used to separate the high transmit voltages from the low voltage receive circuitry. Such a switch may be large and expensive, use High Voltage (HV) processes, and degrade the signal sent to LNA. In contrast, in embodiments, low voltages may be used, and as such, the high voltage components of the conventional system may not be needed any more. Also, in embodiments, by eliminating the conventional HV switch, the performance degradation caused by the conventional HV switch may be avoided.
[0124]In embodiments, the piezoelectric elements 1806 may be connected to the LNAs 1811 during the receive mode by the switches 1816. The LNAs 1811 may convert the electrical charge in the piezoelectric elements 1806 generated by the reflected pressure waves exerting pressure on the piezoelectric elements, to an amplified voltage signal with low noise. The signal to noise ratio of the received signal may be among the key factors that determine the quality of the image being reconstructed. It is thus desirable to reduce inherent noise in the LNA itself. In embodiments, the noise may be reduced by increasing the transconductance of the input stage of the LNAs 1811, such as using more current in the input stage. The increase in current may cause the increase in power dissipation and heat. In embodiments, pMUTs 1806 may be operated with low voltages and be in close proximity to the ASIC chip 1804, and as such, the power saved by the low voltage pMUTs 1806 may be utilized to lower noise in the LNAs 1811 for a given total temperature rise acceptable, compared to conventional transducers operated with high voltages.
[0125]FIG. 18B shows a schematic diagram of an imaging assembly 1850 according to embodiments of the present disclosure. In embodiments, the transceiver substrate 1852 and ASIC chip 1854 may be similar to the transceiver substrate 1802 and ASIC chip 1804, respectively. In the conventional systems, the electronics for driving piezoelectric transducers is typically located far away from the piezoelectric transducers and are connected to the piezoelectric transducers using a coax cable. In general, the coax cable increases parasitic loading, such as additional capacitance, on the electronics, and the additional capacitance causes loss in critical performance parameters, such as increase in noise and loss of signal power. In contrast, as depicted in FIG. 18B, the transmit driver or drivers (or equivalently circuits) 1862a-1862n may be connected directly to piezoelectric elements (or equivalently pixels) 1856a-1856n+i using a low impedance three dimensional (3D) interconnect mechanism (as indicated by an arrow 1880), such as Cu pillars or solder bumps 1882, or wafer bonding or similar approaches or a combination of such techniques. In embodiments, upon integrating the transceiver substrate 1852 to the ASIC chip 1854, the circuits 1862 may be located less than 100 μm vertically (or so) away from the piezoelectric elements 1856. In embodiments, any conventional device for impedance matching between driver circuits 1862 and piezoelectric elements 1856 may not be required, further simplifying design and increasing power efficiency of the imaging assembly 1800. Impedance of the circuits 1862 may be designed to match the requirement of the piezoelectric elements 1856.」
「[0122]実施形態では、回路1842に含まれるLNA1811は、ASICチップ1804の外に実装され、受信アナログフロントエンド(AFE)の一部であってもよい。実施形態において、LNAは、ASICチップ1804内に存在することができ、別のLNA及びプログラム可能な利得増幅器(PGA)は、AFE内に存在してもよい。各LNA1811の利得は、リアルタイムでプログラムされ、LNAは、撮像に必要な時間利得補償(TGC)の一部とすることができる。
[0123]実施形態では、LNAの1811は、従来のトランスデューサが必要とするような高い送信電圧に晒されたなら損傷するような、低電圧トランジスタ技術を使用して構築することもできる。したがって、従来のシステムでは、低電圧受信回路から高い送信電圧を分離するために高電圧送信/受信スイッチが使用される。このようなスイッチは、大型であり且つ高価であり、高電圧(HV:High Voltage)プロセスを使用して、LNAに送信される信号を劣化させることがある。これに対して、本実施の形態では、従来システムの高電圧部品はもはや必要とされないような、低電圧が使用されてよい。また、実施形態では、従来のHVスイッチをなくすことにより、従来のHVスイッチによる性能劣化を回避することができる。
[0124]実施形態では、圧電素子1806は、受信モード中、スイッチ1816によりLNA1811に接続することができる。LNA1811は、圧電素子に圧力を加える反射された圧力波によって圧電素子1806に生じた電荷を、低ノイズで増幅された電圧信号に変換する。受信信号の信号対雑音比は、再構成された画像の品質を決定する重要なファクターとなりうる。よって、LNA自体における固有のノイズを低減することが望ましい。実施形態では、ノイズは、LNA部1811の入力段のトランスコンダクタンスを増やし、入力段においてより多くの電流を使用することによって低減することができる。電流の増加は、電力消費および熱の増加を引き起こす可能性がある。いくつかの実施形態において、pMUT1806は低電圧でASICチップ1804に近接させて作動させることができ、それにより、低電圧pMUT1806によって節約された電力は、所与の許容総温度上昇において、高電圧で作動される従来の変換器と比較してLNA1811におけるノイズをより低下させるために利用することができる。
[0125]図18Bは、本開示の実施形態に係る撮像アセンブリ1850の概略図を示す。実施形態では、トランシーバ基板1852及びASICチップ1854は、トランシーバ基板1802及びASICチップ1804とそれぞれ同様であっても良い。従来のシステムでは、圧電変換器を駆動する電子機器は、典型的には圧電変換器から遠く離れて位置し、同軸ケーブルを用いて圧電変換器に接続される。一般に、同軸ケーブルは、電子回路上に、付加容量のような、寄生負荷を増加させ、付加的な静電容量は、ノイズや信号電力の損失を増加など、重要な性能パラメータの損失を生じさせる。一方、図18Bに示すように、送信ドライバまたは複数のドライバ(または、回路)1862a-1862nは、Cuピラーやはんだバンプ1882またはウェハボンディングまたは類似の方法やこれらの方法の組み合わせである、低インピーダンスの3次元(3D)相互接続機構(矢印1880で図示される)により圧電素子(または画素)1856a-1856n+iに直接接続され得る。実施形態において、トランシーバ基板1852をASICチップ1854に集積する際に、回路1862は、圧電要素1856から垂直方向に100μm未満(程度)のところに配置され得る。実施形態では、ドライバ回路1862と圧電素子1856との間のインピーダンス整合のための従来の装置は何ら必要とされず、設計が簡素化され且つ撮像アセンブリ1800の電力効率を高めることができる。回路1862のインピーダンスは、圧電素子1856の要件に適合するように設計されてもよい。」
「[0127]It should be apparent to those of ordinary skill in the art that the ASIC chip 1854 may have any suitable number of circuits that are similar to the circuit 1862n. In embodiments, the control unit 1892 may have capability to configure the piezoelectric elements, either horizontally or vertically in a two dimensional pixel array, configure their length and put them into transmit or receive or poling mode or idle mode. In embodiments, the control unit 1892 may perform the poling process after the transceiver substrate 1852 is combined with the ASIC chip 1854 by the three dimensional integration technique 1882. In embodiments, the transmit driver circuit 1843 may be implemented with multilevel drive as shown in FIG. 34, where the transmit driver output may have more than 2 output levels. FIG. 34 shows an embodiment where the output level may be 0V or 6V or 12V. It is understood that that these voltages can be different, for example they can be -5V, 0V and +5V. The transmit driver can also be a 2 level driver with drive signal as shown in FIG. 33.」
「[0127]なお、ASICチップ1854は、回路1862nと同様の任意の適切な数の回路を有することができることは、当業者には明らかであろう。実施形態において、制御ユニット1892は、圧電素子を2次元画素アレイにおいて、水平または垂直に構成し、それらの長さを構成し、それらを送信モードまたは受信モードまたはポーリングモードまたはアイドルモードにする能力を有し得る。実施形態では、トランシーバ基板1852は、例えば3次元集積技術1882によってASICチップ1854とを組み合わせた後に、制御ユニット1892は、ポーリング処理を実行してもよい。実施形態では、図34に示すように、送信ドライバ回路1843は、送信ドライバ出力を2以上の出力レベルを有することができる、マルチレベルドライブとして実装されてよい。図34は、出力レベルが0Vまたは6Vまたは12Vとすることができる実施形態を示している。なお、これらの電圧を異ならせることができるが、例えば、-5V、0V及び+Vにすることができることが理解される。図33に示すように送信ドライバは、駆動信号を2レベルのドライバとすることができる。」
「[0170]FIG. 31 shows a circuit 3100 for controlling multiple piezoelectric elements according to embodiments of the present disclosure. In embodiments, the circuit 3100 may be disposed in an ASIC chip, where the line (either column or row) of piezoelectric elements that is disposed in a transceiver substrate and the ASIC chip may be interconnected to the transceiver substrate by bumps. As depicted, the circuit 3100 may include an array of circuit elements 3140-1-3140-n, where each circuit element may communicate signals with the O and X electrodes of the corresponding piezoelectric element.
[0171]As depicted in FIG. 31, each circuit element (e.g. 3140-1) may include a first switch (e.g. 3102-1), a second switch (e.g. 3104-1), a third switch (e.g. 3106-1), and a transmit driver (e.g. 3108-1). The output from the transmit driver (e.g. 3108-1) may be sent to an O electrode of the piezoelectric element via a conductor (e.g. 3110-1). During the transmit mode, each circuit element may receive a transmit driver (driving) signal 3124 through a conductor 3122. Each second switch (e.g. 3104-1), which may be transistor switches and controlled by a control unit 3150, may be turned on to transmit the signal 3124 to the transmit driver (e.g. 3108-1). (The electrical connections between the control unit 3150 and other components in the circuit 3100 are not shown in FIG. 31.) The transmit driver (e.g. 3108-1) may perform logical decode, level shift, buffer the input signal and send the transit signal to the O electrode via the conductor (e.g. 3110-1). In embodiments, during the transmit mode, the first switch (e.g. 3102-1) may be turned off.
[0172]In embodiments, the control unit 3150 may decide which piezoelectric elements need to be turned on during the transmit mode. If the control unit 3150 decides not to turn on a second piezoelectric element, the first switch (e.g. 3102-2) and the second switch (e.g. 3104-2) may be turned off, while the third switch (e.g. 3106-2) may be turned on so that the O and X electrodes have the same electrical potential (i.e., there is a net zero volt drive across the piezoelectric layer). In in embodiments, the third switches 3106 may be optional.
[0173]In embodiments, during the receive mode, the first switch (e.g. 3102-1) may be turned on so that the electrical charge developed in the O electrode may be transmitted through the conductors 3110-1 and 3120 to the amplifier 3128. Then, the amplifier 3128 may receive electrical charge signal (or, equivalently, sensor signal) 3126 and amplify the sensor signal, where the amplified signal may be further processed to generate an image. During the receive mode, the second switch (e.g. 3104-1) and the third switch (e.g. 3106-1) may be turned off so that the received signal may not be interfered. It is noted that the entire array of the circuit element 3140-1-3140-n may share a common amplifier 3128, simplifying the design of the circuit 3100. In embodiments, the X electrodes of the piezoelectric elements may be electrically coupled to the ground or a DC bias voltage via the conductors 3112-1-3112-n, where the conductors 3112-1-3112-n may be electrically coupled to a common conductor 3152.
[0174]In embodiments, the circuit 3100 may be coupled to a column of piezoelectric elements (e.g. 2002-11-2002-n1) in FIG. 20. In embodiments, a plurality of circuits that are similar to the circuit 3100 may be coupled with the multiple columns of piezoelectric elements in the array in FIG. 20, and the conductors 3152 may be coupled to a common conductor (such as 2007 in FIG. 20). In embodiments, the circuit 3100 may control a column of piezoelectric elements in FIGS. 20-27.」
「[0170]図31は、本開示の実施形態における、複数の圧電素子を制御するための回路3100を示している。実施形態では、回路3100は、ASICチップ内に配置され、圧電素子のライン(列または行)はトランシーバ基板に配設され、ASICチップは、バンプにより、トランシーバ基板とに相互接続することができる。図示のように、回路3100は、回路素子3140-1-3140-nのアレイを含むことができ、各回路素子は、対応する圧電素子のO電極とX電極との間で信号を通信することができる。
[0171]図31に示されるように、各回路素子(3140-1)は第1スイッチ(例えば3102-1)、第2スイッチ(例えば3104-1)、第3スイッチ(例えば3106-1)、及び送信ドライバ(例えば3108-1)を含んでいてもよい。送信ドライバ(例えば3108-1)からの出力は、導体(例えば3110-1)を介して圧電素子のO電極へ送信することができる。送信モードの間、各回路素子は、導体3122を介して送信ドライバ(駆動)信号3124を受信することができる。制御ユニット3150によって制御されるトランジスタスイッチであってよい各第2のスイッチ(例えば3104-1)がオンされて信号3124を送信ドライバ(例えば3108-1)に送信することができる。(制御ユニット3150と回路3100のその他の構成要素との間の電気的接続は、図31に示されない)。送信ドライバ(例えば3108-1)は入力信号を論理デコード、レベルシフト、バッファを行い、導体(例えば3110-1)を介して中継信号をO電極に送信することができる。実施形態では、送信モードの間、第1のスイッチ(例えば3102-1)をオフにすることができる。
[0172]実施形態において、制御ユニット3150は、どの圧電素子が送信モード中にONにされる必要があるかを決定することができる。制御ユニット3150が、第2圧電素子をオンにしないと決定した場合、第1のスイッチ(例えば3102-2)及び第2スイッチ(例えば3104-2)をオフにすることができ、O及びX電極は同じ電位(すなわち、圧電層全体にわたって正味0ボルト駆動)となるよう、第3のスイッチ(例えば3106-2)がオンされるようになっている。いくつかの実施形態では、第3のスイッチ3106はオフとすることができる。
[0173]実施形態では、受信モードの間、第1のスイッチ(例えば3102-1)はオンされてよく、それによりO電極に発生した電荷は、導体3110-1と3120を経てアンプ3128に伝え得るようになっている。そして、アンプ3128は、電荷信号(または、等価的に、センサ信号)3126を受信し、センサ信号を増幅し、増幅された信号は、さらに処理されて画像を生成することができる。受信モード中、第2スイッチ(例えば3104-1)と第3スイッチ(例えば3106-1)はオフされて、受信信号が干渉されないようにすることができる。なお、回路素子3140-1-3140-nの全アレイは、共通のアンプ3128を共用してよく、回路3100の設計を簡略化することができることに留意されたい。実施形態では、圧電素子のX電極を、共通導体3152に接続する導体3112-1 3112-nを介してグランドまたはDCバイアス電圧に電気的に結合することができる。
[0174]実施形態では、回路3100は、図20の複数の圧電素子(例えば2002-11~2002-n1)からなるひとつの圧電素子列に結合することができる。実施の形態では、回路3100と同様の複数の回路は、図20のアレイ内の圧電素子の複数の列に接続され、導体3152は共通の導体(図20の2007のような)に結合することができる。実施形態では、回路3100は、図20-27中の圧電素子の列を制御することができる。」
「[0188]In FIGS. 20-29, the arrays may include multiple line units, where each line unit includes a plurality of piezoelectric elements that are electrically coupled to each other. In embodiments, the line units may be driven with multiple pulses that have phase differences (or equivalently delays). By adjusting the phases, the resultant pressure waves may be steered at an angle, which is referred to as beamforming.」
「[0188]図20-29において、アレイは、複数のラインユニットを含み、各ラインユニットは、互いに電気的に結合された複数の圧電素子を備えている。実施形態において、複数のラインユニットは、位相差(あるいは等価的に遅延)を有する複数のパルスで駆動されうる。位相を調整することにより、結果として生じる圧力波は、ある角度にステアリングされ、これはビーム形成と呼ばれている。」
「[0191]In embodiments, the reduction in the voltage of the pulses or waveforms may lower the temperature at the transducer surface. Alternately, for a given maximum acceptable transducer surface temperature, transducers operating at lower voltages may deliver better probe performance, resulting in better quality images. For example, for a probe with 192 piezoelectric elements to reduce power consumption, transmit pressure waves may be generated by using only a portion of probe (i.e., a subset of the piezoelectric elements) and scanning the remaining elements sequentially in time using a multiplexer. Therefore, at any point of time, in the conventional systems, only a portion of the transducer elements may be used to limit the temperature rise. In contrast, in embodiments, the lower voltage probe may allow more piezoelectric elements to be addressed simultaneously, which may enable increased frame rates of the images and enhanced image quality. Significant power is also consumed in the receive path where the received signal is amplified using LNAs. An imaging system typically uses a number of receive channels, with an amplifer per receiver channel. In embodiments, using temperature data, a number of receiver channels can be turned off to save power and reduce temperature.」
「[0191]実施形態では、パルスまたは波形の電位を低下させることで、トランスデューサ表面における温度を低下させることができる。代わりに、トランスデューサの、所与の許容可能な最大表面温度に対して、より低い電圧で動作するトランスデューサはより良好なプローブ性能を送達することができ、良好な品質の画像が得られる。例えば、192の圧電素子を有するプローブにおいて電力消費を低減する場合、送信圧力波は、プローブの一部(すなわち、圧電素子のサブセット)のみを使用して生成し、マルチプレクサを用いて、時間的に連続して残りの素子を走査してもよい。したがって、任意の時点で、従来のシステムでは、トランスデューサ素子の一部のみが使用されて温度上昇を制限することができる。これに対して、本実施の形態において、低電圧プローブは、より多くの圧電素子を同時にアドレス可能とし、より高い画質とフレームレートの増加を可能にすることができる。受信信号がLNAを用いて増幅される受信経路においても、かなりの電力が消費される。撮像システムは、典型的には、受信チャネルあたり1つのアンプを有する、多数の受信チャネルを使用する。実施形態では、温度データを用いて、いくつかの受信チャネルをオフにすることによって電力を節約し、温度を低下させることができる。」
「図3A、3B
[図:0001412763000001.jpg]
」
「図18A
[図:0001412763000002.jpg]
」
「図18B
[図:0001412763000003.jpg]
」
「図31
[図:0001412763000004.jpg]
」
(イ)看取・認定事項
上記(ア)の摘記事項及び図面から、以下の事項を読み取り、認定することができる。
a [0191]には、「受信信号がLNAを用いて増幅される受信経路においても、かなりの電力が消費される。撮像システムは、典型的には、受信チャネルあたり1つのアンプを有する、多数の受信チャネルを使用する。実施形態では、温度データを用いて、いくつかの受信チャネルをオフにすることによって電力を節約し、温度を低下させることができる。」と記載されている。」ここで、「受信チャネルあたり1つのアンプを有する」のであり、「アンプ」が増幅対象となる入力信号及びアンプを動作させるための回路電流の存在により発熱を伴って電力を消費する回路要素であることは技術常識であること、前記記載において各「受信チャネル」における「アンプ」以外の発熱・電力消費要素の存在について言及がないことから、前記記載において「温度データを用いて、いくつかの受信チャネルをオフにすることによって電力を節約し、温度を低下させる」際には、前記「いくつかのアンプ」を使用しないことによって当該いくつかのアンプで消費される「電力を節約し、温度を低下させ」ていると認められる。
b 図31からは、[0170]~[0174]の記載も合わせ読むと、「アンプ3128」が「回路3100」に備わる構成であることが見て取れる。
c [0077]~[0079]において、参照番号「210」が、「トランシーバ・タイル」及び「トランスデューサ・タイル」に共通して使用されていることから、「トランシーバ」と「トランスデューサ」とは、同一の構成を指すものと認められる。
(ウ)上記(ア)及び(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、各構成単位冒頭に、本願発明の分説記号「A~G」に概ね対応させて、「a~g」を用いた分説記号を付し、各構成単位の末尾の括弧内に認定の根拠となる記載箇所を示した。
「ab 半導体ウェーハ上に圧電素子(pMUT)のアレイが形成された半導体ウェーハをダイシングして複数(例えば3つ)の、個々に例えば1024個の圧電素子を備えるトランシーバ・タイルを有するトランシーバ・アレイとし、ここでのトランシーバ・タイルは、トランシーバ基板及びトランシーバ基板上に配置された1つまたは複数の圧電素子を含み、([0066]、[0077]~[0078]、図3A、3B)
d 複数の圧電素子を備える複数のラインユニットは、ビーム形成のため、位相差(あるいは等価的に遅延)を有する複数のパルスで駆動され、([0188])
b21 圧電素子は、トランシーバの中心周波数のまわりの信号波形によって駆動されて共振し、トランシーバの表面から、圧力波を送出させることができ、圧力波は、標的器官から反射され画像化されることができ、反射された圧力波は、今度は信号受信器に接続された圧電素子をヒットし得、圧力波は、圧電素子で電荷に変換され、この電荷は、アンプ、フィルタで処理され、A/D変換器によってデジタル化されてデジタルデシメータにより処理され、最終的にFPGAまたはグラフィック処理ユニット(GPU)に結合され、複数の圧電素子からのこれらの処理された信号は、その後、画像に再構成することができ、([0067]、[0100])
ab1c 複数の圧電素子を制御するための回路(3100)が、ASICチップ内に配置され、圧電素子のライン(列または行)はトランシーバ基板に配設され、ASICチップは、バンプにより、トランシーバ基板とに相互接続し、回路(3100)は、回路素子(3140-1~3140-n)のアレイを含み、各回路素子は、対応する圧電素子のO電極とX電極との間で信号を通信することができ、([0170]、図31)
c1de 各回路素子(3140-1)は第1スイッチ(例えば3102-1)、第2スイッチ(例えば3104-1)、第3スイッチ(例えば3106-1)、及び送信ドライバ(例えば3108-1)を含んでいてもよく、送信ドライバ(例えば3108-1)からの出力は、導体(例えば3110-1)を介して圧電素子のO電極へ送信することができ、送信モードの間、各回路素子は、導体(3122)を介して送信ドライバ(駆動)信号(3124)を受信することができ、制御ユニット(3150)によって制御されるトランジスタスイッチであってよい各第2のスイッチ(例えば3104-1)がオンされて信号(3124)を送信ドライバ(例えば3108-1)に送信することができ、送信ドライバ(例えば3108-1)は入力信号を論理デコード、レベルシフト、バッファを行い、導体(例えば3110-1)を介して中継信号をO電極に送信することができ、送信モードの間、第1のスイッチ(例えば3102-1)をオフにすることができ、制御ユニット(3150)は、どの圧電素子が送信モード中にONにされる必要があるかを決定することができ、制御ユニット(3150)が、第2圧電素子をオンにしないと決定した場合、第1のスイッチ(例えば3102-2)及び第2スイッチ(例えば3104-2)をオフにすることができ、([0171]~[0172]、図31)
c2e 受信モードの間、第1のスイッチ(例えば3102-1)はオンされてよく、それによりO電極に発生した電荷は、導体(3110-1と3120)を経て回路(3100)に備わるアンプに伝え得るようになっており、アンプは、電荷信号(または、等価的に、センサ信号)(3126)を受信し、センサ信号を増幅し、増幅された信号は、さらに処理されて画像を生成することができ、受信モード中、第2スイッチ(例えば3104-1)と第3スイッチ(例えば3106-1)はオフされて、受信信号が干渉されないようにすることができ、回路(3100)は、複数の圧電素子からなるひとつの圧電素子列に結合することができ、回路(3100)と同様の複数の回路は、アレイ内の圧電素子の複数の列に接続され、圧電素子の列を制御することができ、([0173]~[0174]、図31)
de 電力消費を低減する場合、送信圧力波は、プローブの一部(すなわち、圧電素子のサブセット)のみを使用して生成し、マルチプレクサを用いて、時間的に連続して残りの素子を走査し、受信チャネルあたり1つのアンプを有する受信経路において、温度データを用いて、いくつかの受信チャネルをオフにしていくつかのアンプを使用しないことによって当該いくつかのアンプで消費される電力を節約し、温度を低下させることができる、([0191]、(イ)a)
構成可能な超音波ラインの撮像素子を有する撮像装置。([0002])」
イ 引用文献5
(ア) 本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-159030号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。なお、引用文献5は、本件補正により必要となった文献である。
「【0023】
(送信回路の構成及び動作)
次に、実施形態の送信回路30の構成と動作について、より詳しく説明する。図2は、第1の実施形態の送信回路30の細部構成例を示すブロック図である。送信回路30は、複数のチャネルを介して超音波プローブ10の複数の振動素子13に送信波を供給する。
【0024】
ここで、「チャネル」とは、送信回路30が有する送信波生成の経路、或いは、装置本体20から超音波プローブ10に送信波を伝送する経路のことである。したがって、送信回路30は、チャネル数に対応する数の複数の送信波生成回路100を有している。」
「【0026】
各送信波生成回路100の内部構成は、どのチャネルも同じであり、それぞれ、設定回路104、波形生成回路103、デジタルアナログ変換回路102(以下、DAC102と呼ぶ)、及び送信増幅器101を有している。
【0027】
上記の各回路(104、103、102)、及び送信増幅器101を制御するため、送信回路30は送信制御回路200を有している。送信制御回路200は、さらにその内部構成として、送信増幅器イネーブル制御回路201、クロック制御回路202、及び設定制御回路203を有している。
」
「【0035】
DAC102の次段にある送信増幅器101は、DAC102で変換されたアナログ波形の送信波を、所定の電圧に増幅する。増幅された送信波は、超音波プローブ10の各振動素子13に送られて超音波信号となり、超音波プローブ10から被検体に送信される。
【0036】
実施形態の超音波診断装置1は、夫々の送信波生成回路100で生成される送信波を、チャネル毎に、独立かつ動的に異なるタイミングで制御している点に特徴がある。上述したように、各送信波の遅延時間は、送信ビームの方向及びフォーカス位置に応じて、各チャネル間で異なる値となる。つまり、各送信波の送信時間は、各チャネル間で異なる。
【0037】
そこで、実施形態の超音波診断装置1は、異なる遅延時間に適応させて送信波を生成するように、送信波生成回路100の各構成の夫々を、図4及び図5に示すように、チャネル毎に独立かつ動的に異なるタイミングで制御するようにしている。
【0038】
図4は、送信増幅器101のイネーブル期間と、DAC102のイネーブル期間を、異なる遅延時間に適応させて、チャネル毎に独立かつ動的に異なるタイミングで制御している例を示すタイミングチャートである。
【0039】
図4のタイミングチャートにおいて、ハッチングで示している期間が、送信増幅器101、及びDAC102のイネーブル期間に相当する。各チャネルのイネーブル期間は、各チャネルの送信波の送信期間(即ち、送信波のパルス長)の前後に所定のマージンを持たせた期間となっており、各チャネルの送信波の送信期間とほぼ一致している。言い換えると、各チャネルにおいて、送信波を生成し増幅するのに必要な期間だけ、送信増幅器101、及びDAC102をイネーブルにしている。
言い換えると、送信制御回路200は、送信増幅器101のイネーブル期間の開始タイミングを送信パルスの夫々の前端の直前に設定し、送信増幅器101のイネーブル期間の終了タイミングを送信パルスの夫々の後端の直後に設定するように、送信増幅器101のイネーブル期間を制御している。
同様に、送信制御回路200は、DAC102のイネーブル期間の開始タイミングを送信パルスの夫々の前端の直前に設定し、DAC102のイネーブル期間の終了タイミングを送信パルスの夫々の後端の直後に設定するように、DAC102のイネーブル期間を制御している。
【0040】
送信増幅器101がイネーブルされていない期間(つまり、ディセーブル期間)は、イネーブル期間に比べて、送信増幅器101の消費電力は大幅に低減される。同様に、DAC102がイネーブルされていない期間(つまり、ディセーブル期間)は、イネーブル期間に比べて、DAC102の消費電力は大幅に低減される。
なお、送信増幅器101がイネーブルされている期間(即ち、イネーブル期間)とは、送信増幅器101に送信波が入力されたときに、入力された送信波を直ちに増幅して出力することができる期間のことである。イネーブル期間以外の期間がディセーブル期間である。ディセーブル期間中は、送信増幅器101に送信波が入力されても、その送信波を増幅せず、また出力もしない。
同様に、DAC102がイネーブルされている期間(即ち、イネーブル期間)とは、DAC102にデジタルデータが入力されたときに、デジタル信号を直ちにアナログ信号に変換して出力することができる期間のことであり、イネーブル期間以外の期間がディセーブル期間である。ディセーブル期間中は、DAC102にデジタル信号が入力されても、デジタル/アナログ変換は行われない。」
「【0044】
図8は、実施形態の送信回路30の消費電力と、従来の送信回路の消費電力との差異を概念的に説明する図である。
【0045】
実施形態の送信回路30は、前述したように(図4参照)、各チャネルの遅延時間に適応して、独立かつ動的に、送信増幅器101及びDAC102のイネーブル期間を制御している。このため、送信増幅器101及びDAC102に関する合計消費電力は、遅延時間がチャネル間で異なっていることに起因して、分散されることになる。即ち、全チャネルの合計消費電力の最大値は、図8の下から2段目に示すように、イネーブル期間が重なっているチャネルの数(図8の例では、3チャネル)の合計消費電力に過ぎない。
【0046】
これに対して、従来の送信回路では、図7に示したように、最も短い遅延時間をもつ送信波から最も長い遅延時間をもつ送信波までの全体をカバーする範囲をイネーブル期間としている。このため、図8の最下段に示すように、従来構成の送信回路の最大消費電力は、全チャネルの消費電力を合計した大きな電力となる。しかも、この最大消費電力を、最も短い遅延時間をもつ送信波から最も長い遅延時間をもつ送信波まで、継続して供給し続ける必要がある。」
「図4
[図:0001412763000005.jpg]
」
「図8
[図:0001412763000006.jpg]
」
(イ)上記(ア)から、引用文献5には、次の技術的事項(以下「引用文献5技術事項」という)が記載されていると認められる。
「送信ビームの方向及びフォーカス位置に応じて各送信波の遅延時間を、各チャネル間で異なる値とするため、夫々の送信波生成回路100で生成される送信波を、チャネル毎に、独立かつ動的に異なるタイミングで制御する超音波診断装置1であって、(【0036】)
DAC102の次段にある送信増幅器101は、DAC102で変換されたアナログ波形の送信波を、所定の電圧に増幅し、増幅された送信波は、超音波プローブ10の各振動素子13に送られて超音波信号となり、超音波プローブ10から被検体に送信され、(【0035】)
各チャネルのイネーブル期間は、各チャネルの送信波の送信期間(即ち、送信波のパルス長)の前後に所定のマージンを持たせた期間となっており、各チャネルの送信波の送信期間とほぼ一致しており、言い換えると、各チャネルにおいて、送信波を生成し増幅するのに必要な期間だけ、送信増幅器101、及びDAC102をイネーブルにしており、送信制御回路200は、送信増幅器101のイネーブル期間の開始タイミングを送信パルスの夫々の前端の直前に設定し、送信増幅器101のイネーブル期間の終了タイミングを送信パルスの夫々の後端の直後に設定するように、送信増幅器101のイネーブル期間を制御しており、(【0039】)
送信増幅器101がイネーブルされていない期間(つまり、ディセーブル期間)は、イネーブル期間に比べて、送信増幅器101の消費電力は大幅に低減され、(【0040】)
各チャネルの遅延時間に適応して、独立かつ動的に、送信増幅器101及びDAC102のイネーブル期間を制御しているため、送信増幅器101及びDAC102に関する合計消費電力は、遅延時間がチャネル間で異なっていることに起因して、分散されることになり、全チャネルの合計消費電力の最大値は、イネーブル期間が重なっているチャネルの数の合計消費電力に過ぎない、(【0045】)
超音波診断装置1。」
ウ 引用文献2
原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開平11-137545号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに次の記載がある。
「【0010】図2は、上記マルチ電源超音波診断装置100が実行する省電力モード設定処理のフロー図である。ステップS1では、コントロール部8は、図3に示す如き設定シート30を表示部6に表示する。この設定シート30は、省電力モードにおける動作項目と実行優先順位とからなっており、操作者は操作部7を介して各動作項目の優先順位を入力することが出来る。なお、優先順位に“00”を入力すると、当該動作項目は省電力モードでも実行されず(通常と同じ動作を行う)、その場合、当該項目に“×”が表示される。各動作項目の具体例を次に示す。
(1)本体の動作電圧を5[V]から3[V]に下げる。
(2)液晶表示器のバックライトを暗くする。
(3)送信チャネル数を64[ch]から32[ch]に減らす。
(4)送信電圧を70[V]から50[V]に下げる。
(5)送信バースト数を“4”から“2”に減らす。
(6)送信音線数を“128”から“64”に減らす。
(7)受信チャネル数を128[ch]から64[ch]に減らす。
(8)受信音線数を“128”から“64”に減らす。
(9)送波波形を矩形波から正弦波に変更する。
(10)送信周波数を5[MHz]から3.5[MHz]に下げる。
(11)フレームレートを30[枚/秒]から10[枚/秒]に下げる。
(12)表示解像度を600×800から300×400に下げる。
(13)Bモード画像とDOP画像またはCFM画像のオーバレイをしないで、DOP画像またはCFM画像の表示のみとする。
(14)CFMモードの実行を禁止する。
(15)エレメント数の多い超音波探触子の使用を禁止する。
(16)超音波探触子を接続するコネクタのうち使用できるコネクタを例えば1つだけに制限する。」
「図3
[図:0001412763000007.jpg]
」
エ 引用文献3
同じく原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-51037号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。
「【0085】
また、超音波測定装置本体20には、モード切替部23(図5参照)が設けられる。モード切替部23は、例えば図示しない入力手段を介して、超音波測定装置1の動作モード(通常モード又は低消費電力モード、後に詳述)を示す情報が入力されると、これを受け付けて、動作モードを示す情報を制御回路160に入力する。ここで、動作モードを示す情報とは、通常モードか、低消費電力モードかを示す情報である。
【0086】
チャンネル選択部170は、制御回路160から動作モードを示す情報を取得し、これに基づいて超音波エコーの受信に使用するチャンネルを選択する。チャンネル選択部170は、通常モードを示す情報が取得されたときは、受信波を使用開口の全チャンネルから取得し、低消費電力モードを示す情報が取得されたときは、受信波を使用開口の全チャンネルのうちの少なくとも一部から取得するように、使用するチャンネルを選択する。チャンネル選択部170については、後に詳述する。」
オ 周知技術1
上記ウ、エに示した引用文献2、3の記載により、「超音波撮像装置が、低減された数の受信チャネルが起動される低電力モードと、より多い数のチャネルが起動される高電力撮像モードを有すること」は、本願の優先日前における周知技術(以下「周知技術1」という。)であったことが裏付けられる。
カ 引用文献4
同じく原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-187296号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。
「【0049】
図2(B)は、図2(A)に示す超音波プローブ1の第1の優先度設定部26の拡大図である。
第1の優先度設定部26は、時間分解能と空間分解能とのいずれを優先するかの優先度を設定する入力デバイスである。第1の優先度設定部26の表面には、第1の優先度設定部26の外周に沿って両矢印36が描かれている。両矢印36の先端近傍には、それぞれ時間と空間という文字が描かれている。時間という文字は時間分解能を表し、空間という文字は空間分解能を表す。時間分解能に関する測定パラメータとしては、例えばフレームレートが挙げられる。空間分解能に関する測定パラメータとしては、ライン数やチャンネル数(CH数)等が挙げられる。この両矢印36と文字は、第1の優先度設定部26を把持部12に対して左回転させると空間分解能を優先させ、右回転させると時間分解能を優先させることを表している。目盛り32の位置は、現在の優先度を表す。
【0050】
すなわち、操作者は、例えば、超音波診断装置本体2の表示部18に表示された超音波診断画像を見ながら、診断画像としての必要性、スクリーニングか、精密観察か、すなわち全体を診る必要があるか、所定部位に近接させて診る必要があるか、操作者の好み等に応じて、把持部12の表面に描かれた目盛り32に対する第1の優先度設定部26の向きを調整することにより、時間分解能を優先するか、空間分解能を優先するか、およびその優先度を設定することができる。例えば、第1の優先度設定部26を把持部12に対して右回転させ、両矢印36の左端と目盛り32の位置を合わせると、時間分解能を最大に優先する設定となる。また、両矢印36の中点と目盛り32の位置を合わせると、時間分解能と空間分解能との優先度は均等な設定となる。第1の優先度設定部26により設定された優先度は、プローブ制御部11へ出力される。」
(4)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)構成A~B2
a 引用発明の構成abの「半導体ウェーハ上に圧電素子(pMUT)のアレイが形成された半導体ウェーハ」及び「トランシーバ基板上に配置された1つまたは複数の圧電素子」は、いずれも「トランシーバ・タイル」に含まれる構成であるから当該記載における「圧電素子(pMUT)のアレイ」と「複数の圧電素子」は、同一の構成を示し、いずれも本件補正発明の構成Bの「圧電素子のアレイ」に相当する。そして、上記構成abの「半導体ウェーハ」をダイシングしたものが「トランシーバ基板」を構成すると認められるから、構成ab及び構成ab1cの「トランシーバ基板」は、本件補正発明の構成Aの「半導体ウェーハ基板」に相当する。そして、引用発明の構成abにおける「トランシーバ基板上に配置された」「複数の圧電素子」は、本件補正発明の構成B1における「圧電素子のアレイを含み、前記半導体ウェーハ基板上に製作され」る「各トランスデューサ」に相当し、構成abの「トランシーバ・アレイ」は構成B1の、「トランスデューサのアレイ」に相当する。
b 引用発明の構成c1deの「制御ユニット(3150)」は、本件補正発明の構成A及びB2の「制御」「回路」に相当する。
c 構成b21の「圧力波は、標的器官から反射され画像化されることができ、反射された圧力波は、今度は信号受信器に接続された圧電素子をヒットし得、圧力波は、圧電素子で電荷に変換され、この電荷は、アンプ、フィルタで処理され、A/D変換器によってデジタル化されてデジタルデシメータにより処理され、最終的にFPGAまたはグラフィック処理ユニット(GPU)に結合され、複数の圧電素子からのこれらの処理された信号は、その後、画像に再構成することができ」における「A/D変換器」、「デジタルデシメータ」及び「FPGAまたはグラフィック処理ユニット(GPU)」は総じて、「圧電素子」で変換された電荷信号の処理を行う回路であって、圧電素子に接続されているから、本件補正発明の構成B2の「前記圧電素子に接続され、」「撮像される前記対象物からの前記圧力波の反射を受信することとを行うように構成された」「検知」「回路」に相当する。
d 引用発明が、構成c1deにおける「送信モードの間、各回路素子」に「導体(3122)を介して送信ドライバ(駆動)信号(3124)」を送信する駆動回路を有することは自明である。
また、下記(ウ)cに説示するように、構成c1deにおいて「送信ドライバ(駆動)信号(3124)を受信」した「送信ドライバ(例えば3108-1)からの出力は、導体(例えば3110-1)を介して圧電素子のO電極へ送信すること」により、「撮像される対象物に向かって圧力波」が「送信される」から、構成c1deの上記「駆動回路」は、構成B2の「撮像される対象物に向かって圧力波を送信すること」に相当する動作を行うように構成されているといえ、構成B2の「駆動」「回路」に相当する。
e 上記b~dにより、引用発明の「制御ユニット(3150)」、「A/D変換器」、「デジタルデシメータ」、「FPGAまたはグラフィック処理ユニット(GPU)」及び「駆動回路」を合わせたものは、本件補正発明の「前記圧電素子に接続され、撮像される対象物に向かって圧力波を送信することと、撮像される前記対象物からの前記圧力波の反射を受信することとを行うように構成された前記検知、駆動及び制御回路」に相当する。
f 上記b~eより、引用発明の「制御ユニット(3150)」、「A/D変換器」、「デジタルデシメータ」、「FPGAまたはグラフィック処理ユニット(GPU)」及び「駆動回路」を合わせたものは、圧電素子に接続されているところ、上記aに説示するとおり「トランシーバ基板上に配置された」「複数の圧電素子」は、本件補正発明の構成B1における「各トランスデューサ」に相当するから、引用発明は、本件補正発明の構成B2の「前記検知、駆動及び制御回路に接続された、」「各トランスデューサ」に相当する構成を備える。
(イ)構成B1
引用発明の構成ab1cには「回路素子(3140-1~3140-n)のアレイを含み」とあるから、複数の「回路素子」を有し、「各回路素子は、対応する圧電素子のO電極とX電極との間で信号を通信することができ」とあることから、複数の「各回路素子」に対応して複数の「圧電素子」を有する。すると、引用発明の構成ab1cの「圧電素子のライン(列または行)はトランシーバ基板に配設され」との構成は、複数の「圧電素子」が、「ライン(列または行)」として「トランシーバ基板に配設され」ていることであるから、当該構成は、本件補正発明の構成B1の「圧電素子のアレイ」に相当する。
(ウ)構成C1
a 引用発明の構成c1deにおいて、「送信ドライバ(例えば3108-1)からの出力は、導体(例えば3110-1)を介して圧電素子のO電極へ送信することができ」るから、「送信ドライバ(例えば3108-1)」は、「圧電素子」に接続されている。すると、「送信ドライバ(例えば3108-1)」は、送信モードにおいて圧電素子に中継信号を送信するための、「導体(例えば3110-1)」を含む送信経路上に存在する要素である。また、構成c1deの「各第2のスイッチ(例えば3104-1)がオンされて信号(3124)を送信ドライバ(例えば3108-1)に送信する」との構成から、「第2のスイッチ(例えば3104-1)」も、上記「送信ドライバ(例えば3108-1)」と同様に送信モードにおいて圧電素子に中継信号を送信するための前記送信経路上に存在する要素である。
してみると、当該「送信ドライバ(例えば3108-1)」及び「第2のスイッチ(例えば3104-1)」を合わせたものは、本件補正発明の構成C1の「送信チャネル」に相当する。よって、引用発明は、構成C1の「1つ又は複数の圧電素子」「に接続された送信チャネル」に相当する構成を備える。
b そして、構成c1deによれば「制御ユニット(3150)によって制御されるトランジスタスイッチであってよい各第2のスイッチ(例えば3104-1)」であることから、「各第2のスイッチ(例えば3104-1)」は「制御ユニット(3150)」に接続されていることが明らかであり、上記(ア)dの「送信ドライバ(駆動)信号(3124)」を送信する「駆動回路」が、「送信ドライバ(例えば3108-1)」に接続されていることも明らかである。してみれば、上記aの認定もふまえると、引用発明は、構成C1の、「前記検知、駆動及び制御回路に接続された送信チャネル」に相当する構成を備えるといえる。
c また、引用発明の構成b21において、「圧電素子は、トランシーバの中心周波数のまわりの信号波形によって駆動されて共振し、トランシーバの表面から、圧力波を送出させることができ」るから、構成c1deの「送信ドライバ(例えば3108-1)からの出力は、導体(例えば3110-1)を介して圧電素子のO電極へ送信する」ことの目的は、圧力波を生成するためであるといえる。また、構成b21において、「圧力波は、標的器官から反射され画像化されることができ」るのであるから、圧力波は、撮像される対象物である当該「標的器官」に向かって送信されるものであることが明らかである。そして、本件補正発明の構成C1の「前記圧力波」は、構成B2の「撮像される対象物に向かって」「送信される」「圧力波」である。すると、上記bの説示も踏まえると、引用発明は、構成C1の「前記圧力波を生成するための」「送信チャネル」に相当する構成を備える。
(エ)構成C2
a 引用発明の構成c2eにおいて、「受信モードの間、第1のスイッチ(例えば3102-1)はオンされてよく、それによりO電極に発生した電荷は、導体(3110-1と3120)を経て回路(3100)に備わるアンプに伝え得るようになって」いるから、「アンプ」及び「第1のスイッチ(例えば3102-1)」は「O電極に発生した電荷」の受信経路上に存在しており、「アンプ」は、「圧電素子」に接続されている。すると、構成c2eにおける「アンプ」及び「第1のスイッチ(例えば3102-1)」は、ともに受信モードにおいて圧電素子からの電荷信号を受信するための受信経路上に存在する要素であるから、当該「アンプ」及び「アンプ」に接続された「第1のスイッチ(例えば3102-1)」を合わせたものは、本件補正発明の構成C2の「受信チャネル」に相当し、引用発明は、構成C2の「1つ又は複数の圧電素子」「に接続された受信チャネル」に相当する構成を備える。
b また、引用発明の構成b21における「圧力波は、標的器官から反射され画像化されることができ、反射された圧力波は、今度は信号受信器に接続された圧電素子をヒットし得、圧力波は、圧電素子で電荷に変換され、この電荷は、アンプ、フィルタで処理され、A/D変換器によってデジタル化されてデジタルデシメータにより処理され、最終的にFPGAまたはグラフィック処理ユニット(GPU)に結合され、複数の圧電素子からのこれらの処理された信号は、その後、画像に再構成することができ」との構成を踏まえると、構成c2eの「受信モードの間、第1のスイッチ(例えば3102-1)はオンされてよく、それによりO電極に発生した電荷は、導体(3110-1と3120)を経てアンプに伝え得るようになっており、アンプは、電荷信号(または、等価的に、センサ信号)(3126)を受信し、センサ信号を増幅し、増幅された信号は、さらに処理されて画像を生成することができ」との構成において、「アンプ」が「電荷信号(または、等価的に、センサ信号)(3126)を受信し、センサ信号を増幅」することの目的は、「反射された圧力波」を「信号」として処理し画像に再構成するためであるといえる。ここで、画像再構成を行うためには、そのような「信号」を「収集」する必要があることが明らかである。してみると、「アンプ」及び「アンプ」に接続された「第1のスイッチ(例えば3102-1)」を合わせたものは、「反射された圧力波」を「収集する」ための構成であるといえる。したがって、引用発明は、構成C2の、「前記圧力波の前記反射を収集するための、」「受信チャネル」に相当する構成を備える。
c 引用発明の構成b21によれば、「アンプ」は、「A/D変換器」、「デジタルデシメータ」、「FPGAまたはグラフィック処理ユニット(GPU)」に接続されていることが明らかである。してみると、上記b及び(ア)eにおける認定内容を踏まえると、引用発明は、「前記検知、駆動及び制御回路に接続された受信チャネル」に相当する構成を備える。
(オ)構成D
a 引用発明の構成deの「電力消費を低減する場合、送信圧力波は、プローブの一部(すなわち、圧電素子のサブセット)のみを使用して生成し、マルチプレクサを用いて、時間的に連続して残りの素子を走査してもよく」との構成により、引用発明は、電力消費を低減する場合、使用する圧電素子の数を変更するものであるから、使用する圧電素子の数を選択的に変更するとの構成を備えるものと認められる。
b また、構成c1deによると「制御ユニット(3150)は、どの圧電素子が送信モード中にONにされる必要があるかを決定することができ、制御ユニット(3150)が、第2圧電素子をオンにしないと決定した場合、第1のスイッチ(例えば3102-2)及び第2スイッチ(例えば3104-2)をオフにすることができ」るところ、同じく構成c1deによれば「制御ユニット(3150)によって制御されるトランジスタスイッチであってよい各第2のスイッチ(例えば3104-1)がオンされて信号(3124)を送信ドライバ(例えば3108-1)に送信することができ」る。すると、「制御ユニット(3150)」により「送信モード中に」「オンにしないと決定した」「圧電素子」に対応する「送信ドライバ」には、「第2スイッチ(例えば3104-2)をオフ」にされることで「信号(3124)」が送信されず、使用する「送信ドライバ」として選択されないこととなる。すると、引用発明は、使用する送信ドライバの数を選択的に変更するとの構成を備えるものと認められる。
c 上記a・b並びに上記(ア)及び(ウ)における認定を踏まえると、引用発明は、構成Dの、「検知、駆動及び制御回路は、」「チャネルの数を選択的に変更するように構成され」ることに相当する構成を備えるといえる。
(カ)構成E
a 本願明細書の段落【0042】の
「・・・しかし、より低い解像度の画像は、単に受信チャネル(図1、108)及び送信チャネル(図1、106)のサブセット(例えば、それぞれ64個)を起動することによって生成することができる。いくつかの例では、低電力モードは、撮像デバイス(100)が、撮像される特定の対象物を探索しているモードを指し得、高電力モードは、対象物が見つかっており、対象物の高解像度画像が望ましいモードを指し得る。この例では、低解像度部分中、その数のチャネル(図1、106、108)は、パワーダウンされるか又は低電力状態に設定される。」(下線は、当審で付与した。)との記載から、本件補正発明の構成Eの「低電力探索モード」において、「低減された数の」「受信チャネル」「が起動される」と解することができる。
b 引用発明の「回路(3100)」は、「回路(3100)と同様の複数の回路は、アレイ内の圧電素子の複数の列に接続され、圧電素子の列を制御することができ、」(構成c2e)とあるように、複数存在する。すると、構成c2eの「回路(3100)に備わるアンプ」も複数存在する。
c 引用発明の構成deの「いくつかの受信チャネルをオフにしていくつかのアンプを使用しないことによって当該いくつかのアンプで消費される電力を節約し」における「いくつかのアンプを使用しないこと」には、上記複数存在する「アンプ」のいくつかを使用しないものとすることを含むと認められる。また、上記(エ)aに説示したように、引用発明の「アンプ」は、本件補正発明の構成C2の「受信チャネル」に相当する構成の一部である。すると、引用発明の「いくつかの受信チャネルをオフにしていくつかのアンプを使用しないこと」は、使用される、すなわち起動される「アンプ」の数が低減されることであるから、本件補正発明の構成Eの「低減された数のチャネルが起動される」ことに相当する。
d 上記a~cによれば、引用発明の構成deの「いくつかの受信チャネルをオフにしていくつかのアンプを使用しないことによって当該いくつかのアンプで消費される電力を節約」することは、本件補正発明の構成Eの「低減された数のチャネルが起動される低電力」「モード」「で動作」することに相当するといえる。
e また、引用発明の「構成可能な超音波ラインの撮像素子を有する撮像装置」は、本件補正発明の構成C2及びEの「撮像デバイス」に相当する。
イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
(一致点)
「A 半導体ウェーハ基板と、
検知、駆動及び制御回路と、
B1 トランスデューサのアレイであって、各トランスデューサは、
圧電素子のアレイを含み、
前記半導体ウェーハ基板上に製作された、
B2 前記圧電素子に接続され、撮像される対象物に向かって圧力波を送信することと、撮像される前記対象物からの前記圧力波の反射を受信することとを行うように構成された前記検知、駆動及び制御回路に接続された、
トランスデューサのアレイと、
C1 前記圧力波を生成するための、1つ又は複数の圧電素子及び前記検知、駆動及び制御回路に接続された送信チャネルと、
C2 前記圧力波の前記反射を収集するための、1つ又は複数の圧電素子及び前記検知、駆動及び制御回路に接続された受信チャネルとを含む撮像デバイスであって、
D’ 前記検知、駆動及び制御回路は、チャネルの数を選択的に変更するように構成され、
E’ 低減された数のチャネルが起動される低電力モードで動作するように構成される、
撮像デバイス。」
本件補正発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
(相違点1)(構成D)
チャネルの数を選択的に変更することについて、本件補正発明では、「前記検知、駆動及び制御回路は、1つの圧力波が送信された後に各送信チャネルが停止し且つ他の1つの圧力波が送信される前に各送信チャネルが再び起動するように」するのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点
(相違点2)(構成E)
本件補正発明は、「前記検知、駆動及び制御回路は、前記撮像デバイスを、低減された数のチャネルが起動される低電力探索モード、及びより多い数のチャネルが起動される高電力撮像モードの少なくとも1つで動作させるように構成される」との構成を有するのに対し、引用発明は、「より多い数のチャネルが起動される高電力撮像モード」に相当する構成を備えておらず(相違点2-1)、引用発明の「いくつかの受信チャネルのオフにすることによって電力を節約」することが、「低電力探索モード」に相当するか不明であり(相違点2-2)、引用発明において、撮像装置を「低電力探索モード、及び」「高電力撮像モードの少なくとも1つで動作させる」主体が「前記検知、駆動及び制御回路」であるか不明な点(相違点2-3)。
(5)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用発明と引用文献5技術事項は、いずれもビーム形成のために複数の圧電素子を遅延をつけて駆動する超音波診断装置に関するものであって、消費電力の低減という課題が共通する。また、引用文献5技術事項の「送信増幅器101」と引用発明の「送信ドライバ(例えば3108-1)」とは、いずれも波形信号を受信して、対応する振動素子/圧電素子に送信波を送る点で共通するものである。してみると、引用発明において複数の圧電素子を備える複数のラインユニットを、ビーム形成のため、位相差(あるいは等価的に遅延)を有する複数のパルスで駆動する(構成d)ことに際し、「送信モード」における「送信ドライバ(例えば3108-1)」の制御について引用文献5技術事項を適用し、「送信ドライバ(駆動)信号3124」の送信波のパルス長の前後に所定のマージンを持たせた期間だけ、「送信ドライバ(例えば3108-1)」をイネーブル(起動)し、送信パルスの各々の後端の直後にイネーブル期間の終了タイミングを設定して制御(1つの圧力波が送信された後に各送信チャネルが停止)し、送信増幅器101のイネーブル期間の開始タイミングを送信パルスの夫々の前端の直前に設定して制御(1つの圧力波が送信される前に各送信チャネルが再び起動する)することで、独立かつ動的に、「送信ドライバ(例えば3108-1)」のイネーブル期間を制御(チャネルの数を選択的に変更)し、「送信ドライバ(例えば3108-1)」に関する合計消費電力は、遅延時間がチャネル間で異なっていることに起因して、分散されるようにすることで、引用発明に本件補正発明の相違点1に係る構成を具備させることは、当業者が容易になし得たことである。
イ 相違点2について
(ア)相違点2-1
a 構成deによれば、引用発明は「電力消費を低減する場合、送信圧力波は、プローブの一部(すなわち、圧電素子のサブセット)のみを使用して生成」するという「場合」すなわち選択的な動作モードを備えている。これは、「複数の列」存在する「圧電素子」を備えながら(構成c2e)、「プローブの一部(すなわち、圧電素子のサブセット)のみを使用」するという動作モードであり、撮像装置が備える圧電素子の一部しか用いないこのモードのみで常時動作するとの解釈は装置設計上不自然である。よって、引用発明は、暗に、≪電力消費を低減しない、プローブの全部を使用して送信圧力波を生成する動作モード≫も選択的に備えていると理解するのが自然である。そして、引用発明が暗に備える前記≪電力消費を低減しない、プローブの全部を使用して送信圧力波を生成する動作モード≫は、相違点2-1に係る「より多い数のチャネルが起動される高電力撮像モード」に相当する。よって、相違点2-1は実質的な相違点とは認められない。
b 仮に上記aの電力消費を低減しないモードを引用発明が暗に備えるとまでいえないとすると、本件補正発明と引用発明とは相違点2-1で実質的に相違する。
しかし、引用発明が属する超音波撮像装置の技術分野には上記(3)オに示した周知技術1が存在し、引用発明と該周知技術1とは、電力消費を低減する場合、受信チャネルの数を低減する点で共通する(引用発明の構成de及び(4)ア(オ)を参照)。そうすると、引用発明に周知技術1を適用し、低減された数の受信チャネルが起動される低電力モードに相当するモードの他に、より多い数のチャネルが起動される高電力撮像モードに相当するモードを有するように構成することは、当業者にとって容易になし得たことである。
(イ)相違点2-2
上記(3)カに示した引用文献4の記載に例示されるように、引用発明が属する超音波診断装置の技術分野において、スクリーニングか、精密観察か、すなわち全体を見る必要があるか、所定部位に近接させて診る必要があるかに応じて、チャネル数等に依存する空間分解能を変化させることは、本願の優先日前に周知技術である(以下、「周知技術2」という。)。ここで、「スクリーニング」とは一般に、ふるい分けること、選んで取り上げることを意味することからすれば、「全体を見る」「スクリーニング」が、全体から選んで取り上げるべき関心領域等を「探索」することを意味することは明らかである。
そうすると上記(ア)aの認定(相違点2-1が実質的でない)においては、暗に備える構成を含む引用発明であるところの、また、上記(ア)bの認定(相違点2-1が実質的)においては、引用発明に周知技術1を適用した容易想到な発明であるところの、低減された数の受信チャネルが起動される低電力モードの他に、より多い数のチャネルが起動される高電力撮像モードを有するように構成した発明において、前記高電力撮像モードに比べ低減された数のチャネルが起動される低電力モードは、前記周知技術2によれば、高電力撮像モードに比べ、相対的に空間分解能の低いモードでもあるといえるから、前記容易想到な発明において、低減された数のチャネルが起動されるモードについて、その空間分解能の相対的低さにも注目して「低電力探索モード」と呼称することは、当業者が適宜なし得る設計上(命名上)の事項に過ぎない。
以上のとおりであるから、引用発明において、周知技術2または周知技術1・2に基づき、相違点2-2の構成とすること、すなわち、低電力モードを、関心領域等の探索に利用しうるモードであることにも着目し、低電力探索モードと位置づけることは、当業者が容易になし得たことである。
(ウ)相違点2-3
a 引用発明の構成deにおいて、「受信チャネルあたり1つのアンプを有する受信経路において、温度データを用いて、いくつかの受信チャネルをオフにしていくつかのアンプを使用しないことによって当該いくつかのアンプで消費される電力を節約」するのだから、引用発明が、「いくつかの受信チャネルをオフにしていくつかのアンプを使用しない」ように≪受信チャネルを制御する手段≫を備えることは自明である。ここで、構成c2eによると、「第1スイッチ」は、受信経路上の素子であり、構成c1deには、「制御ユニット(3150)は、どの圧電素子が送信モード中にONにされる必要があるかを決定することができ、制御ユニット(3150)が、第2圧電素子をオンにしないと決定した場合、第1のスイッチ(例えば3102-2)及び第2スイッチ(例えば3104-2)をオフにすることができ、」とあるから、「制御ユニット(3150)」は、受信経路上の素子である「第1のスイッチ」や「送信チャネル」の一部に相当する要素である「第2スイッチ」(上記(4)ア(ウ)aの説示を参照)の制御に関わるものといえる。また、引用発明は、該「制御ユニット(3150)」以外に「第1のスイッチ」や「第2スイッチ」のオンオフ制御に関わる手段を備えないし、他に該制御を担わせるに足る手段の存在も認められない。また、一つの装置の、圧電素子のオンオフという共通又は類似の機能に対し、状況毎に個別に制御手段を設けることは冗長で不自然な設計といえる。
b そうすると、上記(ア)aの認定(相違点2-1が実質的相違点でない)においては、引用発明が備える「制御ユニット(3150)」が、「送信モード中にONにされる必要がある」「圧電素子」の「決定」と「第2スイッチ」のオンオフ制御を通じて、「撮像装置」を上記(ア)aの各動作モードに動作させる機能を担うように設計することは、引用発明の構成からみて自然または自明であるといえるし、上記aで不自然な設計であるとした、個別に制御手段を設ける設計よりも前記自然または自明な設計を選択することが当業者にとって容易になし得たことでもある。
c また、上記(ア)bの認定(相違点2-1が実質的相違点)においては、上記(イ)で説示した引用発明に周知技術1を適用した容易想到な発明が備える「制御ユニット(3150)」が、相違点2-3に係る、「第1のスイッチ」のオンオフ制御を含む前記≪受信チャネルを制御する手段≫の機能を担うように設計することが自然または自明であるといえるし、引用発明に周知技術1を適用して相違点2-1の構成とする際に、あわせて「第1のスイッチ」のオンオフ制御を「制御ユニット(3150)」に担わせるように設計することは、前記のとおりその設計の自然さからみて、当業者が容易になし得たことでもある。
d 仮に「制御ユニット(3150)」が、上記受信チャネルを制御する手段の機能を有するように構成することが当業者にとって自然に、自明理に、または容易になし得たこととまでいえないとしても、上記(ア)a・bいずれの認定においても、受信チャネルのオンオフ等を制御する手段が、制御機能を有する何らかの電子回路により構成される手段であることは当業者にとって自明であり、そのような制御機能を有する電子回路は、「制御ユニット(3150)」、「A/D変換器」、「デジタルデシメータ」、「FPGAまたはグラフィック処理ユニット(GPU)」及び「駆動回路」とともに、本件補正発明の「検知、駆動及び制御回路」を構成するものといえる。
e 以上a~dのとおりであるから、引用発明において、相違点2-3に係る構成を備えるようにすることは、周知技術1・2に基づき当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 請求人の主張について
(ア)請求人は、令和5年1月10日に提出された審判請求書において、概ね次の主張をしている。
「しかしながら、拒絶査定は、引用文献1~4のいずれをも、請求項1の前記特徴である「前記検知、駆動及び制御回路は、1つの圧力波が送信された後に各送信チャネルが停止し且つ他の1つの圧力波が送信される前に各送信チャネルが再び起動するように、チャネルの数を選択的に変更するように構成され、」が開示されているとして引用していません。
したがって、本願の補正後の請求項1に係る発明は、引用文献1~4に記載された発明ではなく、また、これら発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものでもありません。」
(イ) 請求人の主張に対する当審の見解
請求人の主張に係る請求項1の特徴構成については、上記アに説示するとおり、引用発明に引用文献5技術事項を適用することにより当業者が容易に想到し得たものであり、請求人の主張を参酌しても係る当審の判断に影響はない。
エ したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献5、引用文献2、3の記載に裏付けられる周知技術1、及び引用文献4の記載に例示される周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
オ 上申書に提示される補正案について
(ア)請求人は、令和5年5月25日に提出された上申書において、請求項1に対して次の事項を加入し、請求項18及び19にもこれと概ね同一の事項を加入する補正案を提示し、該補正案に記載された特許請求の範囲は拒絶査定の各拒絶の理由及び令和5年2月27日付け前置報告書に記載された各拒絶の理由をいずれも解消する旨主張する。
「前記検知、駆動及び制御回路は、ユーザにより選択された撮像されるエリアの外側を撮像するときに、前記撮像デバイスを低電力探索モードで動作させるように構成される、」
(イ)上申書の補正案に対する当審の見解
念のため、上記補正案について以下に検討する。
a 「低電力探索モード」について、本願の願書に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。)には次の記載がある。下線は当審において付与した。以下同様。
「【0042】
[0065] いくつかの例では、チャネルを変更するための基盤は、動作モードであり得る。例えば、撮像デバイス(100)は、より低い解像度画像をもたらす低解像度モード及び/又はより高い解像度画像をもたらすより高い解像度モードで動作することができる。画像の解像度は、画像の特定のフレームに対する走査線の数又は1秒間に生成されるフレームの数を指し得る。従って、より高い解像度の画像の生成には、より多くのチャネルの使用が必要とされ得る。例えば、高解像度画像は、128個のすべての受信チャネル(図1、108)及び128個のすべての送信チャネル(図1、106)を必要とし得る。しかし、より低い解像度の画像は、単に受信チャネル(図1、108)及び送信チャネル(図1、106)のサブセット(例えば、それぞれ64個)を起動することによって生成することができる。いくつかの例では、低電力モードは、撮像デバイス(100)が、撮像される特定の対象物を探索しているモードを指し得、高電力モードは、対象物が見つかっており、対象物の高解像度画像が望ましいモードを指し得る。この例では、低解像度部分中、その数のチャネル(図1、106、108)は、パワーダウンされるか又は低電力状態に設定される。」
「【0067】
[0090] 別の例では、指示は、撮像デバイス(図1、100)が探索モードで使用されるというものであり得る。探索モード中、ユーザは、単に特定の臓器又は臓器内の構成要素を位置付けようとしているに過ぎないため、高解像度画像は、不要であり得る。臓器が識別された後、ユーザは、次いで、より高い解像度出力を要求することができる。従って、この例では、指示を受信すること(ブロック801)は、撮像デバイス(図1、100)が低電力モード(探索モードなど)にあるというユーザ入力を受信することを含む。低解像度モードで使用されるチャネルの数は、少数で十分であり、チャネルのパラメータは、それらの信号対雑音比(SNR)を低減するようにプログラムすることができるため、高電力モードのより高い解像度と比べて、低電力モードは、より低い解像度で容易に機能することができる。また、SNRが低いほど、例えば受信チャネル(図1、108)の低雑音増幅器の相互コンダクタンスを低減することにより、より低い電力動作が可能になる。」
b 「ユーザにより選択された撮像されるエリアの外側」について、本願明細書には次の記載がある。
「【0072】
[0095] この例では、圧力波(図2、210)は、時点t2で対象のゾーンに到達し、反射信号は、時点t3で対象のゾーンから離れ、時点t4でトランスデューサに戻る。換言すれば、信号がトランスデューサを離れてからトランスデューサに戻るまでの総時間は、時点t0~t4である。従来の撮像デバイスでは、受信チャネル(図1、108)は、t0~t4の全時間にわたってオンにすることができる。しかし、対象のエリアは、その時間のごく一部であるため、受信チャネル(図1、108)は、その時間のほとんどにおいてオフに切り替えることができる。具体的には、受信チャネル(図1、108)は、信号が所望の視野外にある時間にわたってパワーダウンさせることができる。この事例では、視野が対象物(214)に対応する場合、撮像は、超音波波形がt2~t3の時間に対応する位置にあるときにのみ対象となる。従って、t2~t3の時間間隔に対応するエコー信号が撮像デバイス(図1、100)に到達したとき、受信チャネル(図1、108)は、動作中であり、他の時間は、低解像度若しくはより低い電力モードに置くか又はオフに切り替えることができる。従って、この時間にわたり、受信チャネル(図1、108)のコンポーネントを完全にパワーダウンさせるか又は低電力状態に設定することができるため、総電力消費がかなり低減される。この効果は、1)t2~t3に対応する時間にわたり、受信チャネル(図1、108)が低電力モードであるとき、及び/又は2)フレームレートを低減することなく、チャネルのパワーダウンを可能にするために並列ビーム形成が使用されるときに増す。
【0073】
[0096] 上記で説明されるように、撮像デバイス(図1、100)は、表示デバイス(図2、220)に接続されるか又は表示デバイス(図2、220)を含む。この例では、ユーザインタフェースは、ユーザが、撮像される臓器を選択できるようにする。そうすることにより、撮像デバイス(図1、102)は、1)圧力波(図2、210)に対する正しい周波数、及び2)対象物に対する所定の視野にプリセットされる。表示デバイス(図2、220)上に画像が現れると、ユーザは、例えば、ウィンドウを指で拡大及び縮小することにより、撮像されるエリアを選択することができる。次いで、コントローラ(図3、324)は、例えば、受信チャネル(図1、108)をパワーダウンさせること/低電力状態に置くことができる時間を決定するために、コンピューティングデバイス(図2、216)からの選択情報を変換する。」
c 上記aから、「低電力探索モード」が「ユーザにより選択された撮像されるエリアの外側を撮像するときに」動作するモードであることを示唆する記載は当初明細書に見当たらない。また、上記bから、当初明細書には、ユーザが、撮像されるエリアを選択し、圧力波が、対象のエリアである所望の視野外にある時間にわたって受信チャネルを低電力状態に設定することが記載されていると認められるが、すでに撮像されるエリアが選択され、圧力波が対象のエリアに存在する時間も特定されているのであるから、これが「撮像される特定の対象物を探索しているモード」(【0042】)である「探索モード」ではあり得ないことは明らかである。
d 上記cにより、上申書に記載された特許請求の範囲の補正案は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項の規定に違反する補正に基づく不適法なものである。よって、前記補正案は、進歩性など他の特許要件について検討するまでもなく、新たな拒絶の理由を有するものであり、上申書における上記主張を受け入れることはできない。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和5年1月10日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし19に係る発明は、令和4年5月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(1)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2ないし4の記載に裏付けられる周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし4及びその記載事項は、上記第2の[理由]2(3)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明の発明特定事項から、構成A、「前記圧電素子に接続され」た「前記検知、駆動及び制御回路」が、「撮像される対象物に向かって圧力波を送信することと、撮像される前記対象物からの前記圧力波の反射を受信することとを行うように構成された」事項、「送信チャネル」及び「受信チャネル」が「検知、駆動及び制御回路に接続された」事項、相違点1に係る構成、さらに、「撮像デバイス」が「低減された数のチャネルが起動される低電力探索モード、及びより多い数のチャネルが起動される高電力撮像モードの少なくとも1つで動作」することについて、「検知、駆動及び制御回路」が「撮像デバイス」をそのように「動作させる」構成を省いたものである。
そして、本件補正発明の発明特定事項のうち、相違点1に係る構成を除く部分は、上記第2(5)に説示するとおり、引用文献1に記載された発明、引用文献2、3の記載に裏付けられる周知技術1、及び引用文献4の記載に例示される周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。本願発明は、上記のとおり、本件補正発明の発明特定事項のうち、相違点1に係る構成を除いた発明の上位概念であるから、引用文献1に記載された発明、引用文献2、3の記載に裏付けられる周知技術1、及び引用文献4の記載に例示される周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-000325