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特許無効審判

2022-800040

皮膚刺激ブラシ

審判番号
2022-800040
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2020-134121
登録番号
6966812
請求日
2022年05月02日
審決日
2023年06月28日
公報発行日
2025年04月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ヤーマン 株式会社
  • 【請求人代理人】鮫島 正洋
  • 【請求人代理人】▲柳▼下 彰彦
  • 【請求人代理人】石橋 茂
  • 【請求人代理人】溝田 尚
  • 【被請求人】有限会社 G.Mコーポレーション
  • 【被請求人代理人】福島 三雄
  • 【被請求人代理人】福島 正憲
  • 【被請求人代理人】塩田 哲也
  • 【被請求人代理人】宮崎 洋介
  • 【被請求人代理人】小松 陽一郎
  • 【被請求人代理人】原 悠介
  • 【被請求人代理人】千葉 あすか
審判長/審判官
  • 審判長 佐々木 一浩
  • 審判官 宮部 愛子
  • 審判官 内藤 真徳
分類
P1113.113-Y (A61N) / P1113.121-Y (A61N) / P1113.537-Y (A61N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法169条2項民事訴訟法61条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第6966812号発明「皮膚刺激ブラシ」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 請求の趣旨及び答弁の趣旨 1 請求の趣旨 特許第6966812号発明の特許請求の範囲の請求項1~10に記載された発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。 2 答弁の趣旨 本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。 第2 手続の経緯 特許第6966812号(以下、「本件特許」という。)に係る特許出願(特願2020-134121号)は、令和2年8月6日の出願であって、令和3年10月26日に特許権の設定登録がされたものである。 その後の本件無効審判の手続の経緯の概要は、以下のとおりである。 令和 4年 5月 2日 審判請求書の提出 同年 8月29日 審判事件答弁書の提出 同年 9月 5日付け 上申書の提出 同年12月 8日付け 審理事項通知書 令和 5年 1月18日 口頭審理陳述要領書(1)の提出 (請求人より) 同年 1月18日 口頭審理陳述要領書(2)の提出 (請求人より) 同年 1月18日 口頭審理陳述要領書の提出 (被請求人より) 同年 2月 1日 口頭審理 同年 2月 8日 上申書の提出(被請求人より) 同年 2月24日 上申書の提出(請求人より) 第3 本件発明 本件特許の請求項1~10に係る発明(以下、それぞれ請求項に対応して「本件発明1」~「本件発明10」という。)は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 柄及び該柄の一端に設けられてなるブラシ台を構成するハウジングと、 前記ハウジングに収容されてなる電気回路と、 前記ブラシ台に突設されてなる複数の皮膚刺激ブラシ用ピンと、を備えてなり、 前記皮膚刺激ブラシ用ピンは、 前記電気回路から導電可能に前記電気回路に接続された金属製の基底部材と、 細長の筒体であって、前記基底部材が基端部に配設されてなる胴部材と、 前記胴部材の先端側の開口に接続されて、先端が露出してなる電極部材と、 前記胴部材の筒内部に空隙を設けて挿通されて、前記基底部材と前記電極部材とを、前記胴部材の長さ方向に押し縮められた状態で連結する金属軸と、を有し、 前記金属軸は、径方向に屈曲可能な柔軟性を有してなり、 前記胴部材は、径方向に屈曲可能な弾性を有してなる ことを特徴とする皮膚刺激ブラシ。 【請求項2】 前記金属軸は、前記電極部材を先端側に付勢してなるコイルバネである ことを特徴とする請求項1に記載の皮膚刺激ブラシ。 【請求項3】 前記胴部材は、長さ方向に対する可撓性を有してなり、 前記電極部材が基端側に押し込まれた際に、前記胴部材が長さ方向に押縮められる ことを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚刺激ブラシ。 【請求項4】 前記胴部材と前記ブラシ台とが一体として形成されてなる ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の皮膚刺激ブラシ。 【請求項5】 前記基底部材は、前記金属軸の基端部と一体として構成された前記金属軸の一部分として構成されてなる ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の皮膚刺激ブラシ。 【請求項6】 前記電極部材は、耐食性を有する ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の皮膚刺激ブラシ。 【請求項7】 前記電極部材は、ステンレスにより構成されてなる ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の皮膚刺激ブラシ。 【請求項8】 前記胴部材は、耐水性を有する ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の皮膚刺激ブラシ。 【請求項9】 前記胴部材は、シリコーンゴムによって形成されてなる ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一つに記載の皮膚刺激ブラシ。 【請求項10】 前記電気回路は、低周波電流を、前記基底部材から前記金属軸を介して前記電極部材に対して印加可能に構成されてなる ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一つに記載の皮膚刺激ブラシ。」 第4 請求人の主張の概要及び証拠方法 1 請求人の主張の概要 (1)無効理由1 本件発明1~6、8、9は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (2)無効理由2 ア 本件発明1~3は、甲第1号証に記載された発明、又は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術1(甲第2~4、10号証)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 イ 本件発明4~5は、甲第1号証に記載された発明、又は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術1(甲第2~4、10号証)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ウ 本件発明6は、甲第1号証に記載された発明、又は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術1(甲第2~4、10号証)、又は、甲第1号証に記載された発明、技術常識(甲第5~8号証)及び周知技術2(甲第2、9~11号証)、又は、甲第1号証に記載された発明、技術常識、周知技術1及び周知技術2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 エ 本件発明7は、甲第1号証に記載された発明、技術常識(甲第5~8号証)及び周知技術2(甲第2、9~11号証)、又は、甲第1号証に記載された発明、技術常識、周知技術1及び周知技術2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 オ 本件発明8~9は、甲第1号証に記載された発明、又は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術1(甲第2~4、10号証)、又は、甲第1号証に記載された発明、技術常識(甲第5~8号証)及び周知技術2(甲第2、9~11号証)、又は、甲第1号証に記載された発明、技術常識、周知技術1及び周知技術2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 カ 本件発明10は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術3(甲第2、11、12、16号証)、又は、甲第1号証に記載された発明、周知技術1(甲第2~4、10号証)及び周知技術3、又は、甲第1号証に記載された発明、技術常識(甲第5~8号証)、周知技術2(甲第2、9~11号証)及び周知技術3、又は、甲第1号証に記載された発明、技術常識、周知技術1、周知技術2及び周知技術3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (3)無効理由3 ア 本件発明5における「前記基底部分は、前記金属軸の基端部と一体として構成された前記金属軸の一部分として構成されてなることを特徴とする請求項1・・・に記載の皮膚刺激ブラシ」との記載は明確でなく、本件発明5は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 イ 本件発明10における「低周波電流を」「印加可能に構成されてなる」との記載は明確でなく、本件発明10は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 2 証拠方法 甲第1号証:中国実用新案第208837183号明細書とその訳文 甲第2号証:特開2009-247526号公報 甲第3号証:特表2014-527432号公報 甲第4号証:韓国公開特許第10-2019-0077278号公報とその抄訳 甲第5号証:化学大辞典 5 縮刷版、共立出版株式会社、昭和52年 9月20日、144~145ページ及び奥付 甲第6号証:化学大辞典 8 縮刷版、共立出版株式会社、昭和52年 9月20日、894~895ページ及び奥付 甲第7号証:化学大辞典 7 縮刷版、共立出版株式会社、昭和52年 9月20日、738~739ページ及び奥付 甲第8号証:サンコーインダストリー株式会社、「ねじのSUNCO書 Q ステンレス_04」と題するウェブページ、[online]、令和 4年 3月17日(印刷日)、インターネット (URL: https://www.sunco.co.jp/neji/reference/02_q04.html) 甲第9号証:実願昭62-114766号(実開昭64-20859号)のマイクロフィルム 甲第10号証:実願昭62-128821号(実開昭64-34047号)のマイクロフィルム 甲第11号証:特開2004-121327号公報 甲第12号証:登録実用新案第3127930号公報 甲第13号証:大辞泉 増補・新装版、株式会社小学館、平成10年11月20日、155~156ページ及び奥付 甲第14号証:大辞泉 増補・新装版、株式会社小学館、平成10年11月20日、165ページ及び奥付 甲第15号証:大辞泉 増補・新装版、株式会社小学館、平成10年11月20日、1521ページ、2834ページ及び奥付 甲第16号証:登録実用新案第3005990号公報 甲第17号証:大辞泉 増補・新装版、株式会社小学館、平成10年11月20日、275ページ及び奥付 甲第18号証:鑑定書、アクシス国際弁理士法人 弁護士・弁理士 如月 千晴、令和5年 1月12日 甲第19号証:鑑定書、CLS日比谷東京法律事務所 弁護士 川端基彦、中国弁護士 張 華威、令和 5年 1月12日 甲第20号証:鑑定意見書、中国復旦大学法学院 専任講師 丁 文杰、令和5年 1月11日 甲第21号証:回答書、IPF中国専利代理事務所 中国弁理士 共 捷、令和 5年 1月16日 甲第22号証:Internet Archive、「ねじのSUNCO書 Q ステンレス_04」と題するウェブページ(甲第8号証)のアーカイブページ、[online]、平成27年12月7日(アーカイブ対象日)、インターネット (URL: http://web.archive.org/web/20151207183446/https://www. sunco.co.jp/neji/reference/02_q04.html) 甲第23号証:広辞苑 第七版、株式会社岩波書店、平成30年 1月12日、458ページ及び奥付 甲第24号証:大辞林 第三版、株式会社三省堂、平成18年10月27日、830ページ及び奥付 甲第25号証:大辞林 第三版、株式会社三省堂、平成18年10月27日、1748ページ及び奥付 甲第26号証:大辞林 第三版、株式会社三省堂、平成18年10月27日、2209ページ及び奥付 甲第27号証:「【大阪税関】専門委員意見照会フロー図の送付について」と題する電子メール、大阪税関 知財担当 石橋千賀子、令和 4年 4月 1日 甲第28号証:「専門委員意見照会フロー図【紹介番号第22-1】20220330時点」と題するPDFファイル、大阪税関 知財担当 石橋千賀子、令和 4年 4月 1日 甲第29号証:株式会社ベーシック、「Wayback Machine(ウェイバックマシン)とは?過去公開されていたページをもう1度確認できる便利サービス」と題するウェプページ、[online]、令和 5年 1月17日(印刷日)、インターネット (URL: https://ferret-plus.com/7925#P1) 甲第30号証:中国実用新案第210349615号明細書とその抄訳 甲第31号証:鑑定書、アクシス国際弁理士法人 弁護士・弁理士 如月 千晴、令和 5年 2月21日 甲第32号証:回答書、IPF中国専利代理事務所 中国弁理士 共 捷、令和 5年 2月21日 第4 被請求人の主張及び証拠方法 1 被請求人の主張の概要 請求人主張の無効理由はいずれも理由がなく、本件審判の請求は成り立たない。 2 証拠方法 乙第1号証:意見書、明治大学教授 熊谷 健一、令和 4年 6月15日 乙第2号証:意見書、青木・関根・田中法律事務所 弁護士 板井典子、令和 4年 6月15日 乙第3号証:意見書、中村合同特許法律事務所 弁理士 磯貝 克臣、令和 4年 6月15日 乙第4号証:図面、福島国際特許事務所、令和 4年 4月12日(作成日) 乙第5号証:広辞苑 第五版、株式会社岩波書店、平成10年11月11日、1815ページ及び奥付 乙第6号証:商品大辞典、東洋経済新報社、昭和51年 6月15日、314~315ページ及び奥付 乙第7号証:オムロンヘルスケアニュースレター Vol.9、オムロンヘルスケア株式会社、平成30年12月 乙第8号証:鑑定書、弁理士法人あーく事務所 中国弁理士 夏 毓鴎、令和 5年 1月30日 乙第9号証:特許情報プラットフォームで、中国文献を対象に、検索項目を「全文」及びキーワードを「 [図:0001420667000001.jpg] 」に設定して検索した結果のウェブ画面、弁理士 宮崎 洋介、令和 5年 2月6日(印刷日) 乙第10号証:中国実用新案公報第210275531号 乙第11号証:特許情報プラットフォームで、中国文献を対象に、検索項目を「全文」及びキーワードを「 [図:0001420667000002.jpg] 」に設定して検索した結果のウェブ画面、弁理士 宮崎 洋介、令和 5年 2月 6日(印刷日) 乙第12号証:中国特許出願公開第102254734号明細書 乙第13号証:米国特許出願公開第2014/0103012号明細書 乙第14号証:中国特許出願公開第106159845号明細書 乙第15号証:欧州特許出願公開第3499666号明細書 乙第16号証:中国特許出願公開第106710857号明細書 乙第17号証:国際公開第2017/021248号 乙第18号証:中国特許出願公開第107481914号明細書 乙第19号証:特開2017-220458号公報 第5 当審の判断 1 各甲号証の記載事項等 (1)甲第1号証 ア 記載事項 甲第1号証には、次の事項が記載されている(日本語は請求人の提出した訳文であり、下線は当審による。以下同様。)。 (ア)「 [図:0001420667000003.jpg] 」 (「[0004] 従来技術の欠点に対して、本考案は、髪をとかす際に、頭頂部が丸いもののため、櫛の歯の一部が頭皮に接触し、すべての歯を十分に利用することができず、且つ機能が少ないという問題を解決する、使用しやすい多機能シリコン製櫛を提供する。」) (イ)「 [図:0001420667000004.jpg] 」 (「[0013] (1)、該使用しやすい多機能シリコン製櫛では、本体の底部に電流ガイドロッドが固定して接続され、電流ガイドロッドの外部にスライドスリーブが設置され、電流ガイドロッドの底端にストッパーが固定して接続され、且つスライドスリーブの内部にはストッパーに適合するスライドスロットが開けられ、スライドスリーブの底部に磁石が固定して接続され、磁石と電流ガイドロッドの内部にリード線が貫通され、リード線の外部であって、ストッパーと磁石との間にばねが設置され、磁石とスライドスリーブの外部にシリコンスリーブが設置され、本体の外部にクリーニングスリーブが設置され、且つクリーニングスリーブの底部がシリコンスリーブの外部に設置され、クリーニングスリーブの内面の底部であって、シリコンスリーブの外部にガイドスリーブが固定して接続され、且つガイドスリーブの頂部とクリーニングスリーブの内面との間に安定化板が固定して接続され、磁石を設置することにより、櫛に磁気マッサージによる治療の機能を持たせ、ばねの弾性力を利用して、スライドスリーブと電流ガイドロッドの部分を伸縮可能にし、さらに頭部の曲率の変化に応じて、シリコンスリーブの底部が常に頭皮にフィットするように調整することができ、さらに、リード線を利用して弱い電流を放電することができ、頭皮細胞を刺激するために使用することができ、頭皮細胞の活性化及び活性維持に有利であり、効果が顕著であり、そして、スライド可能なクリーニングスリーブを利用して、髪をとかした後クリーニングスリーブをスライドすることができ、シリコンスリーブの表面の頭皮やフケ等を押し出してクリーニングしやすく、使用が快適で便利であり、さらにマッサージ理学療法の効果がある。」) (ウ)「 [図:0001420667000005.jpg] [図:0001420667000006.jpg] 」 (「[0022] 図1~図5に示すように、本考案は以下の技術的解決手段を提供する。櫛ハンドル1と本体2を備える使用しやすい多機能シリコン製櫛であって、本体2の前後両側には磁気ストリップ15に適合する係止溝16が開けられ、且つ係止溝16の内面に鉄片17が固定して接続され、櫛ハンドル1の右側に電池ボックス18が固定して接続され、且つ電池ボックス18の右側に電池ボックスカバー19が係着され、電池ボックスカバー19の内部にボタンスイッチ21が固定して接続され、電池ボックスカバー19の右側であって、ボタンスイッチ21の外部に防水フィルム22が固定して接続され、電池ボックスカバー19を設置することによりボタン電池20を定期的に交換して電気療法の効果を維持することができ、且つ端部にボタンスイッチ21が設置され、電気療法機能の起動がより便利になり、防水フィルム22を利用することで、水の浸入により使用に影響を与えることをさらに回避することができ、使用がより安全で便利であり、電池ボックス18の内部にボタン電池20が可動に接続され、本体2の底部に電流ガイドロッド3が固定して接続され、電流ガイドロッド3の外部にスライドスリーブ4が設置され、電流ガイドロッド3の底端にストッパー5が固定して接続され、且つスライドスリーブ4の内部にはストッパー5に適合するスライドスロットが開けられ、スライドスリーブ4の底部に磁石6が固定して接続され、磁石6と電流ガイドロッド3の内部にリード線7が貫通され、リード線7の一端は本体2と櫛ハンドル1を順に貫通して電池ボックス18の左側に固定して接続され、リード線7の外部であって、ストッパー5と磁石6との間にばね8が設置され、磁石6とスライドスリーブ4の外部にシリコンスリーブ9が設置され、シリコンスリーブ9の底部の中心に放電孔が開けられ、電流を頭皮に放出するのに便利であり、本体2の外部にクリーニングスリーブ10が設置され、且つクリーニングスリーブ10の底部がシリコンスリーブ9の外部に設置され、クリーニングスリーブ10の頂部に弾性フィルム13が固定して接続され、且つクリーニングスリーブ10の表面に滑り止めシート14が固定して接続され、弾性フィルム13の本体2に近い側に磁気ストリップ15が固定して接続され、クリーニングスリーブ10の内面の底部であって、シリコンスリーブ9の外部にガイドスリーブ11が固定して接続され、且つガイドスリーブ11の頂部とクリーニングスリーブ10の内面との間に安定化板12が固定して接続され、クリーニングスリーブ10の底部はガイドスリーブ11、安定化板12と協働して、電流ガイドロッド3の頂部を安定させて、その折れを回避することができ、磁石6を設置することにより、櫛に磁気マッサージによる治療の機能を持たせ、ばね8の弾性力を利用して、スライドスリーブ4と電流ガイドロッド3の部分を伸縮可能にし、さらに頭部の曲率の変化に応じて、シリコンスリーブ9の底部が常に頭皮にフィットするように調整することができ、さらに、リード線7を利用して弱い電流を放電して頭皮細胞を刺激することで、頭皮細胞の活性化や活性維持に有利であり、効果が顕著であり、一方、スライド可能なクリーニングスリーブ10を利用すると、髪をとかした後クリーニングスリーブ10をスライドしてシリコンスリーブ9の表面についた頭皮やフケ等を押し出すことで、クリーニングを容易なものとし、本考案は、簡便かつ快適に使用でき、しかもマッサージ理学療法の効果がある。」) (エ)「 [図:0001420667000007.jpg] 」 (「[0023] 動作する際には、通常の髪をとかすように髪をとかして、シリコンスリーブ9の底端が頭皮に接触すると、ばね8が圧縮され、スライドスリーブ4がシリコンスリーブ9を収縮させ、シリコンスリーブ9全体の底端が頭皮に接触し、また、電池ボックスカバー19を取り外して、電池ボックス18内にボタン電池20を入れてもよく、防水フィルム22を介してボタンスイッチ21を押すと、リード線7がオンになって通電し、先端放電により離れ、リード線7の一端は頭皮に弱い電流を放電して頭皮細胞を刺激し、それと同時に、磁石6は頭皮に対して理学療法による健康維持の効果を奏することができ、使用終了後、滑り止めシート14を摘まんでクリーニングスリーブ10を下へ引くと、磁気ストリップ15は張力の作用により係止溝16から離脱し、クリーニングスリーブ10はシリコンスリーブ9の表面に付いた髪やフケ等を押し出し、これにより、クリーニングを容易なものとし、次に、クリーニングスリーブ10は元の位置に戻る。」) (オ)図1 [図:0001420667000008.jpg] (カ)図2 [図:0001420667000009.jpg] <図2における誤記について> 段落[0022](摘示(ウ))における「電流ガイドロッド3の外部にスライドスリーブ4が設置され、電流ガイドロッド3の底端にストッパー5が固定して接続され、且つスライドスリーブ4の内部にはストッパー5に適合するスライドスロットが開けられ、スライドスリーブ4の底部に磁石6が固定して接続され」の記載、「リード線7の外部であって、ストッパー5と磁石6との間にばね8が設置され、磁石6とスライドスリーブ4の外部にシリコンスリーブ9が設置され」の記載、「ばね8の弾性力を利用して、スライドスリーブ4と電流ガイドロッド3の部分を伸縮可能にし」の記載、段落[0023](摘示(エ))における「動作する際には、通常の髪をとかすように髪をとかして、シリコンスリーブ9の底端が頭皮に接触すると、ばね8が圧縮され、スライドスリーブ4がシリコンスリーブ9を収縮させ」の記載を踏まえると、図2における符号「4」は「5」の誤記であり、符号「5」は「4」の誤記であると認められる。 イ 認定事項 (ア)図1(摘示ア(オ))の図示内容から、本体2は櫛ハンドル1の一端に設けられている。 (イ)段落[0004](摘示ア(ア))における「髪をとかす際に、頭頂部が丸いもののため、櫛の歯の一部が頭皮に接触し、すべての歯を十分に利用することができ」ない「という問題を解決する」との記載、図1(摘示ア(オ))の図示内容を踏まえると、本体2から複数の歯が突出している。 (ウ)段落[0004](摘示ア(ア))における「櫛の歯の一部が頭皮に接触し、すべての歯を十分に利用することができ」ない「という問題を解決する」との記載、段落[0022](摘示ア(ウ))における「本体2の底部に電流ガイドロッド3が固定して接続され、電流ガイドロッド3の外部にスライドスリーブ4が設置され、電流ガイドロッド3の底端にストッパー5が固定して接続され、且つスライドスリーブ4の内部にはストッパー5に適合するスライドスロットが開けられ、スライドスリーブ4の底部に磁石6が固定して接続され、磁石6と電流ガイドロッド3の内部にリード線7が貫通され」、「リード線7の外部であって、ストッパー5と磁石6との間にばね8が設置され、磁石6とスライドスリーブ4の外部にシリコンスリーブ9が設置され」との記載、及び図1(摘示ア(オ))の図示内容、及び図2(摘示ア(カ))の図示内容から、上記複数の歯の各々は、電流ガイドロッド3、スライドスリーブ4、ストッパー5、磁石6、リード線7、ばね8、シリコンスリーブ9を有している。 (エ)段落[0022](摘示ア(ウ))における「電流ガイドロッド3の外部にスライドスリーブ4が設置され」との記載、「スライドスリーブ4の外部にシリコンスリーブ9が設置され」との記載、及び図2(摘示ア(カ))の図示内容を踏まえると、スライドスリーブ4及びシリコンスリーブ9の基端部には、電流ガイドロッド3が配置されている。 (オ)段落[0022](摘示ア(ウ))における「スライドスリーブ4の内部にはストッパー5に適合するスライドスロットが開けられ、スライドスリーブ4の底部に磁石6が固定して接続され」との記載、「ストッパー5と磁石6との間にばね8が設置され、磁石6とスライドスリーブ4の外部にシリコンスリーブ9が設置され」との記載、及び図2(摘示ア(カ))の図示内容を踏まえると、スライドスリーブ4及びシリコンスリーブ9の内部のスペースにばね8が設置されている。 ウ 上記アの記載事項及び上記イの認定事項から、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 「櫛ハンドル1及び、櫛ハンドル1の一端に設けられた本体2と、 一端が本体2と櫛ハンドル1を順に貫通して電池ボックス18の左側に固定して接続されるリード線7と、 本体2から突出している複数の歯と、を備えてなり、 前記複数の歯の各々は、電流ガイドロッド3、スライドスリーブ4、ストッパー5、磁石6、前記リード線7、ばね8、シリコンスリーブ9を有し、 スライドスリーブ4及びシリコンスリーブ9の基端部には、電流ガイドロッド3が配置されており、スライドスリーブ4及びシリコンスリーブ9の内部のスペースには、ばね8が設置されており、 本体2の底部に電流ガイドロッド3が固定して接続され、電流ガイドロッド3の外部にスライドスリーブ4が設置され、電流ガイドロッド3の底端にストッパー5が固定して接続され、且つスライドスリーブ4の内部にはストッパー5に適合するスライドスロットが開けられ、スライドスリーブ4の底部に磁石6が固定して接続され、磁石6と電流ガイドロッド3の内部にリード線7が貫通され、リード線7の一端は本体2と櫛ハンドル1を順に貫通して電池ボックス18の左側に固定して接続され、リード線7の外部であって、ストッパー5と磁石6との間にばね8が設置され、磁石6とスライドスリーブ4の外部にシリコンスリーブ9が設置され、シリコンスリーブ9の底部の中心に放電孔が開けられ、電流を頭皮に放出するのに便利であり、 磁石6を設置することにより、櫛に磁気マッサージによる治療の機能を持たせ、 ばね8の弾性力を利用して、スライドスリーブ4と電流ガイドロッド3の部分を伸縮可能にし、動作する際には、通常の髪をとかすように髪をとかして、シリコンスリーブ9の底端が頭皮に接触すると、ばね8が圧縮され、スライドスリーブ4がシリコンスリーブ9を収縮させ、シリコンスリーブ9全体の底端が頭皮に接触し、さらに頭部の曲率の変化に応じて、シリコンスリーブ9の底部が常に頭皮にフィットするように調整することができ、 電池ボックス18内にボタン電池20を入れてボタンスイッチ21を押すと、リード線7がオンになって通電し、先端放電により離れ、リード線7の一端は頭皮に弱い電流を放電して頭皮細胞を刺激し、リード線7を利用して弱い電流を放電して頭皮細胞を刺激することで、頭皮細胞の活性化や活性維持に有利である 多機能シリコン製櫛。」 (2)甲第2号証 ア 記載事項 甲第2号証には、次の事項が記載されている。 (ア)「【0025】 (2)電極本体4の構成: 図2は、育毛剤導入装置1を構成する電極本体4の側面図、図3は図2の断面図、をそれぞれ示す。図2及び図3に示すように、本実施形態の電極本体4はその形状をブラシ状に形成されており、電極41が櫛歯状に配設される先端部40と、使用時に使用者に握られる部分となる胴部44とから構成される。」 (イ)「【0026】 電極41が配設される先端部40は、電極本体4の胴部44とゴム製の周形状のクッション部45を介して連接・一体化されている。また、先端部40は胴部44に対して可動できるようになっているので、電極41が配設された先端部40が頭部の形状に合わせて上下左右に動くことが可能となり、頭皮に対する電気パルスの印加がスムースに行われることになる。」 (ウ)「【0031】 電極41を構成する材料としては、従来公知の金属、カーボン、セラミックス等の無機材料を使用することができるが、電極41を構成する材料としてイオン化を起こしやすい無機材料(例えば、銀等)を使用すると、接触する頭皮にpHの変化をきたし、副作用を引き起こす場合があるため、電極41を構成する材料としては、イオン化を起こしにくい材料を使用することが好ましい。具体的には、ステンレス、白金(プラチナ)等を使用することが好ましく、ステンレスを使用することが特に好ましい。」 (エ)「【0037】 電極41から印加される電気パルスとなる電気パルスのバーストは、図11及び図12に示すように、図10に示す個々の電気パルスが、例えば20~40周期分集まった集合体からなる加電部PON(オン部)と、休止部POFF(オフ部)を有する。また、かかるバーストの加電部PONの波形は、電圧が曲線状に上昇する立ち上がり部PUと、電圧が曲線状に下降する立ち下がり部PDを有している。電圧の立ち上がり及び立ち下がりを曲線状にすることにより、電気パルスが頭皮に対して緩やかにはたらき、頭皮への刺激を抑制することができる。また、電圧の立ち上がり及び立ち下がりを曲線状にすることで、電圧の印加が継続的に行われることになり、育毛剤の導入経路の形成及び当該経路の維持、及び導入した育毛剤の電気泳動が効率よく実施され、育毛剤の導入効果も良好となる。なお、図11及び図12にあっては、立ち上がり部PUは、砲台状の曲線を描くようにして曲線状に上昇し、立ち下がり部PDは、立ち上がり部PUを180°回転した、いわゆる指数関数的減数曲線を描いて曲線状に下降する態様を示している。」 (オ)「【0039】 図10ないし図12に示した電気パルス個々の1周期TSは、0.1~1.0ms(周波数として1~10kHz)程度とすることが好ましい。また、バーストの1周期TBは、10~50ms(周波数として0.02~0.1kHz)程度とすることが好ましい。」 (カ)図2 [図:0001420667000010.jpg] イ 上記ア(ア)、(イ)及び(カ)の記載事項から、甲第2号証には、次の事項(以下「甲2事項1」という。)が記載されている。 「育毛剤導入装置1を構成する電極本体4は、その形状をブラシ状に形成され、電極41が櫛歯状に配設される先端部40を備えており、電極41が配設された先端部40は、頭部の形状に合わせて上下左右に動くことが可能となり、頭皮に対する電気パルスの印加がスムースに行われること。」 ウ 上記ア(ア)、(ウ)及び(カ)の記載事項から、甲第2号証には、次の事項(以下「甲2事項2」という。)が記載されている。 「育毛剤導入装置1を構成する電極本体4は、その形状をブラシ状に形成され、電極41が櫛歯状に配設される先端部40を備えており、電極41を構成する材料としては、ステンレスを使用することが特に好ましいこと。」 エ 上記ア(ア)及び(エ)~(カ)の記載事項から、甲第2号証には、次の事項(以下「甲2事項3」という。)が記載されている。 「育毛剤導入装置1を構成する電極本体4は、その形状をブラシ状に形成され、電極41が櫛歯状に配設される先端部40を備えており、電極41から印加される電気パルス個々の1周期TSは、0.1~1.0ms(周波数として1~10kHz)程度とすることが好ましいこと。」 (3)甲第3号証 ア 記載事項 甲第3号証には、次の事項が記載されている。 (ア)「【0021】 図1を参照する。これは、本方法及び装置に係る一例の実施形態の簡単な例示の断面図である。美容皮膚手入れ又は洗浄の装置100は、外見がブラシ状のヘッド102を含み、かつ、一以上の保持体106及び当該保持体106に取り付けられた複数の半剛性又は柔軟な毛108も含み得る。毛108の一部は、プラスチック、ゴム等のような任意の柔軟な材料から作られた標準のブラシ毛である。」 (イ)「【0022】 毛108の少なくとも一部は、ラジオ波エネルギー適用毛112を含む。これは、ラジオ波エネルギーを、毛108と接触する皮膚114に適用するべく動作可能である。追加的又は代替的に、毛108の少なくとも一部は、光エネルギーを皮膚114に適用するべく動作可能な光送達毛116である。」 (ウ)「【0035】 代替的かつ随意的に及び図4Bに示されるように、ラジオ波エネルギー適用毛412は、保護用スリーブ406内に取り囲まれた一以上のラジオ波電極402を含む。スリーブ406は、プラスチック、ゴム等のような任意のタイプの電気的に絶縁性の柔軟な材料から作られる。ラジオ波電極402は周縁410を超えて突出する。」 (エ)「【0036】 電極402は、毛408の柔軟性を許容する柔軟な伝導性材料から作られる。」 (オ)図1 [図:0001420667000011.jpg] (カ)図4B [図:0001420667000012.jpg] イ 上記アの記載事項から、甲第3号証には、次の事項(以下「甲3事項」という。)が記載されている。 「美容皮膚手入れの装置100は、外見がブラシ状のヘッド102を含み、かつ、一以上の保持体106及び当該保持体106に取り付けられた複数の柔軟な毛108を含み、毛108は、ラジオ波エネルギーを毛108と接触する皮膚114に適用するラジオ波エネルギー適用毛112を含み、ラジオ波エネルギー適用毛412は、柔軟な材料から作られた保護用スリーブ406内に取り囲まれて周縁410を超えて突出する一以上のラジオ波電極402を含むこと。」 (4)甲第4号証 ア 記載事項 甲第4号証には、次の事項が記載されている。(「・・・」は記載の省略を表す。以下同様。) (ア)「 [図:0001420667000013.jpg] 」 (「[0024] 図面を参照すると、本発明の一実施例による頭皮ケア装置(1)は把持部(10)、本体部(20)、櫛(30)、光照射手段(40)、微細電流刺激手段(50)及び制御手段(60)を含んで構成される。」) (イ)「 [図:0001420667000014.jpg] 」 (「[0034] また、本発明はガルバニックイオン電流のような微細電流を頭皮(S)に加えるように構成されるが、前記ミセンゾンリュ刺激手段(50)によって発生した微細電流は前記熱電導体(31)を通じて頭皮(S)と通電されるようになる。」) (ウ)「 [図:0001420667000015.jpg] 」 (「[0037] 前記微細電流刺激手段(50)は頭皮(S)にガルバニックイオン電流のような微細電流を通電させて頭皮(S)を刺激するための構成である。前記微細電流刺激手段(50)は頭皮(S)に接触される電極が必要なのに本発明は櫛(30)に具備されて頭皮(S)に接触される熱電導体(31)のヘッド部(311)が電極の機能をするように構成される。」) (エ)「 [図:0001420667000016.jpg] ・・・」 (「[0043] 一方、図6bは使用者が本発明による頭皮ケア装置(1)を利用してくしけずる場合、櫛(30)の先端が頭皮(S)に接触されて押しながら発生する反力で櫛(30)が曲がりながら変形される状態を誇張して図示したものである。・・・」) (オ)図3 [図:0001420667000017.jpg] (カ)図6b [図:0001420667000018.jpg] イ 上記アの記載事項から、甲第4号証には、次の事項(以下「甲4事項」という。)が記載されている。 「櫛(30)に具備され、頭皮(S)に接触される熱電導体(31)のヘッド部(311)が、電極の機能をするように構成されており、頭皮(S)にガルバニックイオン電流のような微細電流を通電させて頭皮(S)を刺激する頭皮ケア装置(1)について、当該頭皮ケア装置(1)を利用して、くしけずる場合、櫛(30)の先端が頭皮(S)に接触されて押しながら発生する反力で櫛(30)が曲がりながら変形されること。」 (5)甲第5号証 ア 記載事項 甲第5号証には、次の事項が記載されている。 145ページ左欄 「ステンレスこう ―鋼・・・炭素鋼に比し耐食性および耐熱性にすぐれた鋼. 組成・・・マルテンサイト*系・・・,フィライト*系およびオーステナイト*系・・・の3種に大別される。」 イ 上記アの記載事項から、甲第5号証には、次の事項(以下「甲5事項」という。)が記載されている。 「ステンレス鋼は、耐食性にすぐれた鋼であり、マルテンサイト系ステンレス鋼、フィライト系ステンレス鋼及びオーステナイト系ステンレス鋼の3種に大別されること。」 (6)甲第6号証 ア 記載事項 甲第6号証には、次の事項が記載されている。 895ページ左欄 「マルテンサイト・・・強磁性を有する」 イ 上記アの記載事項から、甲第6号証には、次の事項(以下「甲6事項」という。)が記載されている。 「マルテンサイトは強磁性を有すること。」 (7)甲第7号証 ア 記載事項 甲第7号証には、次の事項が記載されている。 738ページ左欄 「フェライト・・・ステンレス鋼*の一つ・・・構造・性質 いずれもフェリ*磁性を示す」 イ 上記アの記載事項から、甲第7号証には、次の事項(以下「甲7事項」という。)が記載されている。 「フェライトは、ステンレス鋼の一つであり、磁性を示すこと。」 (8)甲第8号証 ア 記載事項 甲第8号証には、次の事項が記載されている。 1ページ3~13行 「Q ステンレス_04 ステンレスは本当に磁石につかないのでしょうか?・・・マルテンサイト系・・・磁石につく・・・フェライト系・・・磁石につく・・・オーステナイト系・・・磁石につかない」 イ 上記アの記載事項から、甲第8号証には、次の事項(以下「甲8事項」という。)が記載されている。 「マルテンサイト系ステンレス及びフェライト系ステンレスは磁石につくこと。」 (9)甲第9号証 ア 記載事項 甲第9号証には、次の事項が記載されている。 1ページ12~16行 「2 ブラシ部に混植された導電繊維、獣毛および合成繊維は、それぞれステンレス線、豚毛およびナイロン繊維であって、その混植の割合はほぼ均等である実用新案登録請求の範囲第1項記載の高電位ヘアブラシ。」 イ 上記アの記載事項から、甲第9号証には、次の事項(以下「甲9事項」という。)が記載されている。 「高電位ヘアブラシのブラシ部に混植された導電繊維、獣毛および合成繊維のうち、導電繊維はステンレス線であること。」 (10)甲第10号証 ア 記載事項 甲第10号証には、次の事項が記載されている。 (ア)4ページ5~10行 「本考案にかかる育毛用ブラシ型導子の実施例を説明する。 第1図乃至第3図には、本考案導子を表す。導子1はブラシ部2と把手部3とからなる。 ブラシ部2は、導電性を有するブラシ部本体とブリッスルとからなる。」 (イ)6ページ3~7行 「これらのブリッスル8・・・は外部からの力に応じて横方向に可動とされ、かつ前記被覆部材7の弾性復元力により、元に戻るようにされている。 このブリッスル8・・・は、導電性のある金属製であって、例えばステンレスからなる。」 (ウ)9ページ6~9行 「微弱電流装置16内で発生した電気は微弱電流となって一方のコード13を流れ、枠部5、伝導部材6を通り、ブリッスル8・・・に伝わり、頭皮に微弱電流が流れる。」 (エ)第1図 [図:0001420667000019.jpg] (オ)第2図 [図:0001420667000020.jpg] イ 上記ア(ア)~(オ)の記載事項から、甲第10号証には、次の事項(以下「甲10事項1」という。)が記載されている。 「育毛用ブラシ型導子のブラシ部2は、頭皮に微弱電流を流すブリッスル8を有しており、これらのブリッスル8は外部からの力に応じて横方向に可動とされ、かつ前記被覆部材7の弾性復元力により、元に戻るようにされていること。」 ウ 上記ア(ア)~(オ)の記載事項から、甲第10号証には、次の事項(以下「甲10事項2」という。)が記載されている。 「育毛用ブラシ型導子のブラシ部2は、頭皮に微弱電流を流すブリッスル8を有しており、これらのブリッスル8はステンレスからなること。」 (11)甲第11号証 ア 記載事項 甲第11号証には、次の事項が記載されている。 (ア)「【0010】 図4~5に、ヘッド部にブラシを取り付けたトリートメントプローブの正面図と側面の一部断面図を示す。トリートメントプローブは、ヘッド部1の周辺に溝eを巡らせ、この溝eに外周を嵌合させてブラシ基板20を取り付ける。ブラシ基板20には、縦一列の通孔fを穿ち、この通孔fを通してヘッド部1から突起するノズル3をブラシ基板20の前方に突出させる。ブラシ基板20は、弾力のある柔軟な導電性シリコンゴムなどで形成し、多数の細孔gを穿ってその一つひとつに基端部を挿入して多数のブリッスル21を植毛する。ブラシ基板20をヘッド部1に取り付けるときは、弓形に湾曲させて底面を浮上させる。これにより、ブラシ基板20が凹んでブリッスル21の先端が頭皮に当たるときの当たりを柔らかくすると共に、ブリッスル21が沈んでノズル3と同じ高さになり、ノズル3の先端が容易に頭皮に到達するようになる。ブリッスル21は、導電性のゴムやエンジニアリングプラスチックなどの樹脂、あるいはステンレスや銅などの金属で形成し、先端をアール状にして頭皮に当たる感触を柔軟にする。」 (イ)「【0011】 ブラシ基板20は、また、直流電源(図示しない)の一方の端子に接続し、他方の端子を電極13に接続する。これにより、ブラシ基板20と電気的に一体のブリッスル21と、電極13の間に直流電流を流す。直流電源は、ブラシ基板20を分割して絶縁した領域にそれぞれ端子を接続してブリッスル21同士の間に正負の直流電流を流してもよい。また、直流以外に頭皮を刺激して血行を促進するマッサージ効果のある低周波や高周波などの交流電流を流してもよい。電極13は、アルミ、ジュラルミン、ステンレス、銅などの金属で形成し、表面に樹脂クロムメッキなどの表面処理を施す。あるいは、導電性のゴムやエンジニアリングプラスチックなどの樹脂で形成してもよい。」 (ウ)図5 [図:0001420667000021.jpg] イ 上記アの記載事項(ア)~(ウ)から、甲第11号証には、次の事項(以下「甲11事項1」という。)が記載されている。 「ブリッスル21同士の間に電流を流して頭皮を刺激する、ヘッド部にブラシを取り付けたトリートメントプローブにおいて、ブリッスル21がステンレスなどの金属で形成されること。」 ウ 上記アの記載事項(ア)~(ウ)から、甲第11号証には、次の事項(以下「甲11事項2」という。)が記載されている。 「ブリッスル21同士の間に電流を流して頭皮を刺激する、ヘッド部にブラシを取り付けたトリートメントプローブにおいて、当該電流が、刺激して血行を促進するマッサージ効果のある低周波の交流電流であってもよいこと。」 (12)甲第12号証 ア 記載事項 甲第12号証には、次の事項が記載されている。 (ア)「【0011】 図1において、10は本考案に係るイオン発生のヘアーブラシのヘアーブラシ本体である。12は、ブラシ部であり、ブラシ部12は、上側ケーシング12aと下側ケーシング12bを重ね合わせて構成される。14は、そのブラシ本体1のグリップ部でアース部16とスイッチ部17とを備える。」 (イ)「【0014】 高周波電流供給源28をアース部に電気的に接続するとともに供給手段からの電流を導電性基板を介して導電性ピンに出力してイオンを発生させると共に頭皮と握持部との間に1mmAから1.2mmAの低周波微量電流を流して頭皮を刺激する。」 (ウ)図1 [図:0001420667000022.jpg] イ 上記アの記載事項から、甲第12号証には、次の事項(以下「甲12事項」という。)が記載されている。 「頭皮と握持部との間に1mmAから1.2mmAの低周波微量電流を流して頭皮を刺激するヘアーブラシ。」 (13)甲第16号証 ア 記載事項 甲第16号証には、次の事項が記載されている。 (ア)「【0017】 【実 施 例】 次に本考案に係る毛根刺激器の一実施例を図面に基づいて説明する。図1の実施例は、刺激電流発生装置(プリント基盤)である低周波パルス電流発生装置1を内臓したグリップ2の端部に電池3を設け、先端に電極50を有する櫛刃4(又はブリッスル4)を設けた櫛体40を、ケース41にピン42で回転自在に取付けた櫛である。 毛根刺激の深透性のため、低周波の波形を深い微分形に設定し、発生する低周波は、パルス電流の棘状波で周波数が1000Hz~3000Hzである。 そして櫛又はブラシの一部には、遠赤外線発生部8及び又は電磁性波発生部9を設けている。」 (イ)図1 [図:0001420667000023.jpg] (ウ)図2 [図:0001420667000024.jpg] イ 上記アの記載事項から、甲第16号証には、次の事項(以下「甲16事項」という。)が記載されている。 「先端に電極50を有する櫛刃4(又はブリッスル4)を設けた櫛体40をケース41に取付けた櫛である毛根刺激器において、発生する低周波は周波数が1000Hz~3000Hzであること。」 2 無効理由1について 上記第4の1(1)の無効理由1について検討する。 (1)甲第1号証の記載事項、認定事項及び甲1発明 甲第1号証の記載事項、認定事項及び甲1発明については、上記1(1)のとおりである。 (2)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明の「櫛ハンドル1」は、本件発明1の「柄」に相当する。 (イ)甲1発明の「本体2」は、「櫛ハンドル1の一端に設けられ」ており、「本体2から突出している複数の歯」が突出しているから、本件発明1の「ブラシ台」に相当する。 (ウ)甲1発明の「リード線7」は「本体2と櫛ハンドル1を順に貫通して」いるため、「本体2と櫛ハンドル1」はそれを構成するハウジングを有していることが明らかであるから、上記(ア)及び(イ)も踏まえると、甲1発明の「櫛ハンドル1及び、櫛ハンドル1の一端に設けられた本体2」を構成するハウジングは、本件発明1の「柄及び該柄の一端に設けられてなるブラシ台を構成するハウジング」に相当する。 (エ)甲1発明では「電池ボックス18内にボタン電池20を入れてボタンスイッチ21を押すと、リード線7がオンになって通電」するから、甲1発明の「一端が本体2と櫛ハンドル1を順に貫通して電池ボックス18の左側に固定して接続されるリード線7」、「ボタン電池20」、及び「ボタンスイッチ21」からなる電気回路は、本件発明1の「ハウジングに収容されてなる電気回路」に相当する。 (オ)甲1発明の「複数の歯」において「シリコンスリーブ9の底部の中心に放電孔が開けられ」、「リード線7の一端は頭皮に弱い電流を放電して頭皮細胞を刺激」するから、甲1発明の「本体2から突出している複数の歯」は、本件発明1の「ブラシ台に突設されてなる複数の皮膚刺激ブラシ用ピン」に相当し、同様に「多機能シリコン製櫛」は「皮膚刺激ブラシ」に相当する。 (カ)甲1発明の「スライドスリーブ4」、及び「スライドスリーブ4の外部」に「設置」された「シリコンスリーブ9」と、本件発明1の「細長の筒体であって、前記基底部材が基端部に配設されてなる胴部材」とは、細長の筒体である胴部材の限りで一致する。 (キ)甲1発明の「放電孔」は、「シリコンスリーブ9の底部の中心」に「開けられ」ているから、本件発明1の「胴部材の先端側の開口」に相当する。 (ク)上記(キ)、甲1発明の「リード線7の一端」は「頭皮に弱い電流を放電して頭皮細胞を刺激」すること、及び「放電孔」は「電流を頭皮に放出するのに便利」であることを踏まえると、甲1発明の「リード線7の一端」と、本件発明1の「前記胴部材の先端側の開口に接続されて、先端が露出してなる電極部材」とは、胴部材の先端側の開口付近に設けられた電極部材の限りで一致する。 (ケ)甲1発明の「ばね8」は螺旋状の軸と表現できるから、甲1発明の「スライドスリーブ4及びシリコンスリーブ9の内部のスペースに」「設置され」、「ストッパー5と磁石6との間に」「設置され」た「ばね8」と、本件発明1の「前記胴部材の筒内部に空隙を設けて挿通されて、前記基底部材と前記電極部材とを、前記胴部材の長さ方向に押し縮められた状態で連結する金属軸」とは、胴部材の筒内部に空隙を設けて挿通された軸の限りで一致する。 以上によれば、本件発明1と甲1発明とは、 「柄及び該柄の一端に設けられてなるブラシ台を構成するハウジングと、 前記ハウジングに収容されてなる電気回路と、 前記ブラシ台に突設されてなる複数の皮膚刺激ブラシ用ピンと、を備えてなり、 前記皮膚刺激ブラシ用ピンは、 細長の筒体である胴部材と、 前記胴部材の先端側の開口付近に設けられた電極部材と、 前記胴部材の筒内部に空隙を設けて挿通された軸と、を有する 皮膚刺激ブラシ。」 である点で一致し、以下の点で相違している。 <相違点1> 皮膚刺激ブラシ用ピンについて、本件発明1では、「前記電気回路から導電可能に前記電気回路に接続された金属製の基底部材」を有しているのに対して、甲1発明では、「底端にストッパー5が固定して接続され」た「電流ガイドロッド3の内部にリード線7が貫通され」ている点。 <相違点2> 皮膚刺激ブラシ用ピンの胴部材について、本件発明1では、「前記基底部材が基端部に配設されてなる」のに対して、甲1発明では、「底端にストッパー5が固定して接続され」た「電流ガイドロッド3」が「基端部」に配設されてなる点。 <相違点3> 皮膚刺激ブラシ用ピンの電極部材について、本件発明1では、「前記胴部材の先端側の開口に接続されて、先端が露出してなる」のに対して、甲1発明では、「リード線7の一端」が「シリコンスリーブ9の底部の中心に放電孔が開けられ、電流を頭皮に放出するのに便利であり」、「頭皮に弱い電流を放電」する点。 <相違点4> 胴部材の筒内部に空隙を設けて挿通された軸について、本件発明1では、「前記胴部材の筒内部に空隙を設けて挿通されて、前記基底部材と前記電極部材とを、前記胴部材の長さ方向に押し縮められた状態で連結する金属軸」であるのに対して、甲1発明では、「ストッパー5と磁石6との間に」「設置され」た「ばね8」である点。 <相違点5> 本件発明1では、「前記金属軸は、径方向に屈曲可能な柔軟性を有してなり、前記胴部材は、径方向に屈曲可能な弾性を有してなる」のに対して、甲1発明では、「ばね8」並びに「スライドスリーブ4」及び「シリコンスリーブ9」がそのような構成であるか不明である点。 イ 判断 上記相違点1~5について、まとめて検討する。 (ア)甲第1号証の段落[0022](摘示1(1)ア(ウ))における「磁石6と電流ガイドロッド3の内部にリード線7が貫通され、リード線7の一端は本体2と櫛ハンドル1を順に貫通して電池ボックス18の左側に固定して接続され」との記載、及び段落[0023](摘示1(1)ア(エ))における「電池ボックス18内にボタン電池20を入れてもよく、防水フィルム22を介してボタンスイッチ21を押すと、リード線7がオンになって通電し、先端放電により離れ、リード線7の一端は頭皮に弱い電流を放電して頭皮細胞を刺激し」との記載を踏まえると、「ボタン電池20」からの電流が通電するのは、「電池ボックス18の左側に固定して接続され」た「リード線7の一端」から、「電流ガイドロッド3の内部」を「貫通」し、「頭皮に弱い電流を放電して頭皮細胞を刺激」する「リード線7の一端」まで延びる「リード線7」であるから、甲1発明は、相違点1に係る本件発明1の「前記電気回路から導電可能に前記電気回路に接続された金属製の基底部材」に相当する構成を備えていない。 (イ)このため、上記相違点2についても、甲1発明の「底端にストッパー5が固定して接続され」た「電流ガイドロッド3」は、本件発明1の「前記基底部材が基端部に配設されてなる」ものに相当しない。 (ウ)上記相違点3についても、上記(イ)のとおり、甲1発明は、相違点2に係る本件発明1の「前記胴部材」に相当する構成を備えておらず、前提となる構成が異なるから、甲1発明の「リード線7の一端」は、本件発明1の「前記胴部材の先端側の開口に接続されて、先端が露出してなる」ものに相当しない。 (エ)上記相違点4についても、上記(ア)、(イ)のとおり、甲1発明は、相違点1に係る本件発明1の「前記基底部材」、相違点2に係る「前記胴部材」に相当する構成を備えておらず、前提となる構成が異なるから、甲1発明の「ばね8」は、本件発明1の「前記基底部材と前記電極部材とを、前記胴部材の長さ方向に押し縮められた状態で連結する金属軸」に相当しない。 (オ)上記相違点5についても、上記(イ)、(エ)のとおり、甲1発明は、相違点4に係る本件発明1の「前記金属軸」、相違点2に係る「前記胴部材」に相当する構成を備えておらず、前提となる構成が異なるから、甲1発明は「前記金属軸は、径方向に屈曲可能な柔軟性を有してなり、前記胴部材は、径方向に屈曲可能な弾性を有してなる」構成を備えていない。 ウ 小括 よって、上記相違点1~5は、実質的な相違点であるから、本件発明1は甲1発明とはいえず、特許法第29条第1項第3号に該当しない。 (2)本件発明2~6、8、9について 本件発明2~6、8、9は、いずれも本件発明1の発明特定事項を全て備えるものであり、本件発明1は上記(1)で述べたように甲1発明でないから、本件発明2~6、8、9についても同様の理由で甲1発明とはいえない。 よって、本件発明2~6、8、9は、特許法第29条第1項第3号に該当しない。 (3)請求人の主張について ア 相違点1について 口頭審理陳述要領書(1)において、請求人は、 「上記図2から、「ストッパー5」は、電流をガイド(案内)するロッド(棒)である電流ガイドロッド3に接続されており、リード線7は、電流ガイドロッド3、ストッパー5及び磁石6を貫通していない。このことから、「ストッパー5」は、電流ガイドロッド3に接続されて電気をリード線7に通電するゆえ、本件発明1の「金属製の基底部材」に相当する。そうすると、本件発明1と甲1発明は、「電気回路から導電可能に前記電気回路に接続された金属製の基底部材を有している」点で一致する。」(33ページ9~15行)と主張する。 しかしながら、特許出願における図面は設計図とは異なり、発明の概要を示すものである。そして、甲第1号証の段落[0022](摘示1(1)ア(ウ))における「磁石6と電流ガイドロッド3の内部にリード線7が貫通され、リード線7の一端は本体2と櫛ハンドル1を順に貫通して電池ボックス18の左側に固定して接続され」との記載、及び段落[0023](摘示1(1)ア(エ))における「電池ボックス18内にボタン電池20を入れてもよく、防水フィルム22を介してボタンスイッチ21を押すと、リード線7がオンになって通電し、先端放電により離れ、リード線7の一端は頭皮に弱い電流を放電して頭皮細胞を刺激し」との記載を踏まえると、「ボタン電池20」からの電流が通電するのは、「電池ボックス18の左側に固定して接続され」た「リード線7の一端」から、「電流ガイドロッド3の内部」を「貫通」し、「頭皮に弱い電流を放電して頭皮細胞を刺激」する「リード線7の一端」まで延びる「リード線7」であって、「電流ガイドロッド3」及びその「底端」に「固定して接続され」た「ストッパー5」ではないことは明らかである。 したがって、甲1発明の「電流ガイドロッド3」及び「ストッパー5」は、いずれも本件発明1の「前記電気回路から導電可能に前記電気回路に接続された金属製の基底部材」に相当しないから、上記相違点1は実質的な相違点である。 よって、請求人の主張を採用することはできない。 イ 相違点2について 口頭審理陳述要領書(1)において、請求人は、 「甲1発明の構成1d-2の「ストッパー5」は、上記(ウ)より、本件発明1の構成1D-2の「基底部材」に相当する。また、構成1d-2の「筒状で中空であって」は、その形状の共通性から、本件発明の構成1D-2の「細長の筒体であって」に相当する。そして、構成1d-2の「ストッパー5が上端に設置されているスライドスリーブ4及びシリコンスリーブ9の中空域」は、本件発明1の構成1D-2の「前記基底部材が基端部に配設されてなる胴部材」に相当する。そうすると、本件発明1の構成1D-2と甲1発明の構成1d-2は同一であり、本件発明1と甲1発明とは、「基底部材が基端部に配設されてなる胴部材を有している」点で一致する。」(37ページ下から7行目~38ページ2行)と主張する。 しかしながら、上記アのとおり、甲1発明の「電流ガイドロッド3」及び「ストッパー5」は、いずれも本件発明1の「前記電気回路から導電可能に前記電気回路に接続された金属製の基底部材」に相当しない。したがって、甲1発明の「スライドスリーブ4」及び「シリコンスリーブ9」は、その中空域を含め、本件発明1の「基底部材が基端部に配設され」たものに相当しない。 ゆえに、上記相違点2は実質的な相違点である。 よって、請求人の主張を採用することはできない。 ウ 相違点3について 口頭審理陳述要領書(1)において、請求人は 「この記載に加えて、同図により、リード線7が磁石6を貫通していないことを併せて考慮すると、磁石6は電極として機能し、上記穴は、放電孔として磁石6を介して電流を頭皮に放出するために使用されるものと解釈される。 そうすると、甲1の図面を参酌すれば、甲1の多機能シリコン製櫛は、・・・ 1d-3 このスライドスリーブ4及びシリコンスリーブ9の中空域の下 端の開口に設置され、その先端が放電孔を介して露出されてい る磁石6と、 を有することが分かる。 そして、「その先端が放電孔を介して露出されている磁石6」は、修正後の図2からも明らかなとおり、磁石6の“いちばんはしの部分”が放電孔を介して“あらわれでて”いる。そうすると、「その先端が放電孔を介して露出されている磁石6」は、本件発明1の「先端が露出してなる電極部材」に相当する。」(40ページ下から6行目~41ページ9行)と主張する。 しかしながら、特許出願における図面は設計図とは異なり、発明の概要を示すものである。そして、甲第1号証の明細書において、「磁石6と電流ガイドロッド3の内部にリード線7が貫通され、リード線7の一端は本体2と櫛ハンドル1を順に貫通して電池ボックス18の左側に固定して接続され」(段落[0022](摘示1(1)ア(ウ)))、「磁石6を設置することにより、櫛に磁気マッサージによる治療の機能を持たせ」(段落[0022](摘示1(1)ア(ウ)))、「電池ボックス18内にボタン電池20を入れてもよく、防水フィルム22を介してボタンスイッチ21を押すと、リード線7がオンになって通電し、先端放電により離れ、リード線7の一端は頭皮に弱い電流を放電して頭皮細胞を刺激し、それと同時に、磁石6は頭皮に対して理学療法による健康維持の効果を奏することができ」(段落[0023](摘示1(1)ア(エ)))と記載されていること、及び「磁石6」が電極部材であることは記載も示唆もされていないことを踏まえると、「頭皮に弱い電流を放電」する電極として機能するのは「リード線7の一端」であって、「磁石6」は、「櫛に磁気マッサージによる治療の機能を持たせ」るものであって、電極として機能するものでないことは明らかである。 したがって、甲1発明の「磁石6」は本件発明1の「電極部材」には相当しない。 よって、上記相違点3は実質的な相違点である。 したがって、請求人の主張を採用することはできない。 エ 相違点4について 口頭審理陳述要領書(1)において、請求人は、 「甲1の図面を参酌すれば、甲1の多機能シリコン製櫛は、・・・ 1d-4 スライドスリーブ4及びシリコンスリーブ9の中空域の筒状の 中空部分に設置され、ストッパー5と、磁石6とを、スライド スリーブ4及びシリコンスリーブ9の中空域の長さ方向に押し 縮められた状態で連結するばね8と、を有する ことが分かる。」(45ページ下から1行目~46ページ6行) 「上記(エ)から、「スライドスリーブ4及びシリコンスリーブ9の中空域」は、本件発明1の「胴部材」に相当し、上記(ウ)から、「ストッパー5」は、本件発明1の「基底部材」に相当し、上記(オ)から、「磁石6」は、本件発明1の「電極部材」に相当する。したがって、「ばね8」は、「前記基底部材と前記電極部材とを、前記胴部材の長さ方向に押し縮められた状態で連結する」ことになる。結果として、「ばね8」は、本件発明1の「金属軸」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲1発明は、「前記基底部材と前記電極部材とを、前記胴部材の長さ方向に押し縮められた状態で連結する金属軸を有する」点で一致する。」(46ページ15~24行)と主張する。 しかしながら、上記アのとおり、甲1発明の「電流ガイドロッド3」及び「ストッパー5」は、本件発明1の「前記電気回路から導電可能に前記電気回路に接続された金属製の基底部材」ではなく、上記ウのとおり、甲1発明の「磁石6」は本件発明1の「電極部材」には相当しないから、甲1発明の「ストッパー5と磁石6との間に」「設置され」た「ばね8」は、本件発明1の「前記基底部材と前記電極部材とを」「連結する金属軸」に相当しない。 したがって、上記相違点4は実質的な相違点である。 よって、請求人の主張を採用することはできない。 オ 相違点5について 口頭審理陳述要領書(1)において、請求人は、 「「スライドスリーブ4及びシリコンスリーブ9の中空域」が、その径方向に屈曲可能な弾性を有しておらず、ばね8の圧縮で上下に伸縮しかしないとすると・・・シリコンスリーブ9が頭皮に接触しても、頭部の曲率の変化に応じて、シリコンスリーブ9の底部が頭皮にフィットすることができない。したがって、甲1の上記記載を実現する(頭部の曲率の変化に応じて、シリコンスリーブ9の底部が常に頭皮にフィットするようにする)ためには・・・「スライドスリーブ4及びシリコンスリーブ9の中空域」がその径方向に屈曲可能な弾性を有しているとしか考えようがない。したがって、甲1の上記記載は、「スライドスリーブ4及びシリコンスリーブ9の中空域」が、その径方向に屈曲可能な弾性を有していることを意味している。」(50ページ14~25行)と主張する。 しかしながら、上記エのとおり、甲1発明の「ばね8」は、本件発明1の「前記金属軸」に相当せず、また、上記イのとおり、甲1発明の「スライドスリーブ4」及び「シリコンスリーブ9」は、その中空域を含め、本件発明1の「前記胴部材」に相当しないから、相違点5は実質的な相違点である。 一応、「スライドスリーブ4」及び「シリコンスリーブ9」が径方向に屈曲可能な弾性を有するか検討すると、甲第1号証には「スライドスリーブ4」及び「シリコンスリーブ9」が径方向に屈曲可能である旨の記載はない。そして、甲1発明は「スライドスリーブ4の内部にはストッパー5に適合するスライドスロットが開けられ、スライドスリーブ4の底部に磁石6が固定して接続され」、「スライドスリーブ4の外部にシリコンスリーブ9が設置され」、「スライドスリーブ4と電流ガイドロッド3の部分を伸縮可能にし」、「シリコンスリーブ9全体の底端が頭皮に接触し、さらに頭部の曲率の変化に応じて、シリコンスリーブ9の底部が常に頭皮にフィットするように調整することができ」るものであるから、「シリコンスリーブ9」の底部及び底端のうち、いずれか一部が頭皮に接触すると、「スライドスリーブ4」が「電流ガイドロッド3」に沿ってスライドし、「シリコンスリーブ9」の底部のいずれかが常に頭皮にフィットするように、屈曲せずに伸縮すると解するのが自然である。仮に請求人が主張するように、甲1発明の「スライドスリーブ4」の中空域が、その径方向に屈曲してしまうと、「スライドスロット」が屈曲することとなり、「スライドスリーブ4」が「電流ガイドロッド3」に沿ってスムーズにスライドすることができず、「スライドスリーブ4と電流ガイドロッド3の部分を伸縮」して、「シリコンスリーブ9全体の底端が頭皮に接触し、さらに頭部の曲率の変化に応じて、シリコンスリーブ9の底部が常に頭皮にフィットするように調整」する機能を果たすことができない。 したがって、「スライドスリーブ4」は径方向に屈曲可能な弾性を有するとはいえない。 よって、請求人の主張を採用することはできない。 (4)小括 以上のとおり、無効理由1により、本件発明1~6、8、9を無効とすることはできない。 また、前記第3の2の甲第1~32号証の全てを参酌しても、本件発明1~6、8、9は甲1発明ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当しないから、無効理由1により、本件発明1~6、8、9を無効とすることはできない。 3 無効理由2について 上記第4の1(2)の無効理由2について検討する。 (1)甲第1~12、16号証の記載事項、認定事項及び甲1発明 甲第1~12、16号証の記載事項、認定事項及び甲1発明については、上記1(1)~(13)のとおりである。 (2)対比・判断 ア 本件発明1について 本件発明1と甲1発明との対比については上記2(2)のとおりである。 上記相違点1~5についてまとめて検討する。 (ア) 甲1発明は、「磁石6と電流ガイドロッド3の内部にリード線7が貫通され、リード線7の一端は本体2と櫛ハンドル1を順に貫通して電池ボックス18の左側に固定して接続され」、「電池ボックス18内にボタン電池20を入れてボタンスイッチ21を押すと、リード線7がオンになって通電し、先端放電により離れ、リード線7の一端は頭皮に弱い電流を放電して頭皮細胞を刺激」するものであり、「リード線7」は、「電池ボックス18」の「ボタン電池20」から「電流ガイドロッド3」及び「磁石6」の内部に貫通され、「リード線7の一端」まで通電して先端放電を行うから、甲1発明は、リード線7に接続された金属製の基底部材を要しない。 したがって、甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の「前記電気回路から導電可能に前記電気回路に接続された金属製の基底部材」を有するようにする理由はない。 (イ)上記相違点2についても、上記(ア)のとおり、甲1発明が、「前記電気回路から導電可能に前記電気回路に接続された金属製の基底部材」を有するようにする理由はないから、甲1発明の「スライドスリーブ4」及び「シリコンスリーブ9」を、「前記基底部材が基端部に配設され」たものにする理由はない。 (ウ)上記相違点3についても、上記(イ)のとおり、甲1発明の「スライドスリーブ4」及び「シリコンスリーブ9」を、「前記基底部材が基端部に配設されてなる」態様とすること、すなわち「前記胴部材」とする理由はないから、甲1発明の「リード線7の一端」を、「前記胴部材の先端側の開口に接続されて、先端が露出してなる」ものにする理由もない。 (エ)上記相違点4についても、上記(イ)のとおり、甲1発明が「前記基底部材」を有するようにする理由はなく、上記(ウ)のとおり、甲1発明の「スライドスリーブ4」及び「シリコンスリーブ9」を、「前記胴部材」とする理由はないから、甲1発明の「ばね8」を、「前記基底部材と前記電極部材とを、前記胴部材の長さ方向に押し縮められた状態で連結する金属軸」にする理由もない。 (オ)上記相違点5については、上記(エ)のとおり、甲1発明の「ばね8」を、「前記基底部材と前記電極部材とを、前記胴部材の長さ方向に押し縮められた状態で連結する金属軸」にする理由はなく、また、上記(ウ)のとおり、甲1発明が「前記胴部材」を有するようにする理由はないから、甲1発明が「前記金属軸は、径方向に屈曲可能な柔軟性を有してなり、前記胴部材は、径方向に屈曲可能な弾性を有してなる」ようにする理由もない。 (カ)上記相違点5について、一応、「スライドスリーブ4」及び「シリコンスリーブ9」が径方向に屈曲可能な弾性を有することが容易か否かを検討すると、甲第1号証には、「スライドスリーブ4」及び「シリコンスリーブ9」が径方向に屈曲可能な弾性を有することは記載されていない。 そして、甲2事項1の「育毛剤導入装置1を構成する電極本体4は、その形状をブラシ状に形成され、電極41が櫛歯状に配設される先端部40を備えており、電極41が配設された先端部40は、頭部の形状に合わせて上下左右に動くことが可能となり、頭皮に対する電気パルスの印加がスムースに行われること。」、甲3事項の「美容皮膚手入れ又は洗浄の装置100は、外見がブラシ状のヘッド102を含み、かつ、一以上の保持体106及び当該保持体106に取り付けられた複数の柔軟な毛108を含み、毛108は、ラジオ波エネルギーを毛108と接触する皮膚114に適用するラジオ波エネルギー適用毛112を含み、ラジオ波エネルギー適用毛412は、柔軟な材料から作られた保護用スリーブ406内に取り囲まれて周縁410を超えて突出する一以上のラジオ波電極402を含むこと。」、甲4事項の「櫛(30)に具備され、頭皮(S)に接触される熱電導体(31)のヘッド部(311)が、電極の機能をするように構成されており、頭皮(S)にガルバニックイオン電流のような微細電流を通電させて頭皮(S)を刺激する頭皮ケア装置(1)について、当該頭皮ケア装置(1)を利用して、くしけずる場合、櫛(30)の先端が頭皮(S)に接触されて押しながら発生する反力で櫛(30)が曲がりながら変形されること。」、甲10事項1の「育毛用ブラシ型導子のブラシ部2は、頭皮に微弱電流を流すブリッスル8を有しており、これらのブリッスル8は外部からの力に応じて横方向に可動とされ、かつ前記被覆部材7の弾性復元力により、元に戻るようにされていること。」から、皮膚に電気刺激を与えるブラシ型の美容機器において、ブラシの櫛歯(電極用のピン)を肌の形状に合わせて屈曲できるようにすることが周知技術(以下、「周知技術1」という。)であったとしても、当該周知技術1を考慮して、甲1発明の「スライドスリーブ4」及び「シリコンスリーブ9」を径方向に屈曲可能なものに変更してしまうと、「スライドスリーブ4」及び「シリコンスリーブ9」が、「電流ガイドロッド3」にスムーズにガイドされてスライドすることができず、「スライドスリーブ4と電流ガイドロッド3の部分を伸縮」して、「シリコンスリーブ9全体の底端が頭皮に接触し、さらに頭部の曲率の変化に応じて、シリコンスリーブ9の底部が常に頭皮にフィットするように調整」する機能を果たすことができなくなってしまうから、甲1発明に周知技術1を適用することには阻害要因がある。 したがって、甲1発明に周知技術1を適用して、上記相違点5に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 よって、甲1発明において上記相違点1~5に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 イ 本件発明2~3について 本件発明2~3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、更に減縮したものであるから、本件発明2~3は、上記アと同様の理由で、甲1発明、又は、甲1発明及び周知技術1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ 本件発明4~5について 本件発明4~5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、更に減縮したものであるから、本件発明4~5は、上記アと同様の理由で、甲1発明、又は、甲1発明及び周知技術1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 エ 本件発明6について (ア)本件発明6は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、更に減縮したものであるから、本件発明6は、上記アと同様の理由で、甲1発明、又は、甲1発明及び周知技術1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (イ)また、甲5事項の「ステンレス鋼は、耐食性にすぐれた鋼であり、マルテンサイト系ステンレス鋼、フィライト系ステンレス鋼及びオーステナイト系ステンレス鋼の3種に大別されること。」、甲6事項の「マルテンサイトは強磁性を有すること。」、甲7事項の「フェライトは、ステンレス鋼の一つであり、磁性を示すこと。」、甲8事項の「マルテンサイト系ステンレス及びフェライト系ステンレスは磁石につくこと。」から、磁性を有するステンレスがあること及びステンレスが耐食性を有する鋼であることが技術常識であり、さらに、甲2事項2の「育毛剤導入装置1を構成する電極本体4は、その形状をブラシ状に形成され、電極41が櫛歯状に配設される先端部40を備えており、電極41を構成する材料としては、ステンレスを使用することが特に好ましいこと。」、甲9事項の「ブラシ部に混植された導電繊維、獣毛および合成繊維のうち、導電繊維はステンレス線であること。」、甲10事項2の「育毛用ブラシ型導子のブラシ部2は、頭皮に微弱電流を流すブリッスル8を有しており、これらのブリッスル8はステンレスからなること。」、甲11事項1の「ブリッスル21同士の間に電流を流して頭皮を刺激する、ヘッド部にブラシを取り付けたトリートメントプローブにおいて、ブリッスル21がステンレスなどの金属で形成されること。」から、皮膚に電気刺激を与えるブラシ型の美容機器においてブラシをステンレスにすることが周知技術(以下、「周知技術2」という。)であったとしても、上記アで検討したとおり、甲1発明において上記相違点1~5に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者にとって容易でない。 したがって、本件発明6は、甲1発明、技術常識及び周知技術2、又は、甲1発明、技術常識、周知技術1及び周知技術2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (ウ)上記(ア)、(イ)を総合すると、本件発明6は、甲1発明、甲1発明及び周知技術1、甲1発明、技術常識及び周知技術2、又は、甲1発明、技術常識、周知技術1及び周知技術2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 オ 本件発明7について 本件発明7は、本件発明6の発明特定事項を全て含み、更に減縮したものであるから、上記エと同様の理由で、甲1発明、技術常識及び周知技術2、又は、甲1発明、技術常識、周知技術1及び周知技術2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 カ 本件発明8~9について 本件発明8~9は、本件発明6の発明特定事項を全て含み、更に減縮したものであるから、上記エと同様の理由で、甲1発明、又は、甲1発明及び周知技術1、甲1発明、技術常識及び周知技術2、又は、甲1発明、技術常識、周知技術1及び周知技術2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 キ 本件発明10について 本件発明10は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、更に減縮したものである。 ここで、甲2事項3の「育毛剤導入装置1を構成する電極本体4は、その形状をブラシ状に形成され、電極41が櫛歯状に配設される先端部40を備えており、電極41から印加される電気パルス個々の1周期TSは、0.1~1.0ms(周波数として1~10kHz)程度とすることが好ましいこと。」、甲11事項2の「ブリッスル21同士の間に電流を流して頭皮を刺激する、ヘッド部にブラシを取り付けたトリートメントプローブにおいて、当該電流が、刺激して血行を促進するマッサージ効果のある低周波の交流電流であってもよいこと。」、甲12事項の「頭皮と握持部との間に1mmAから1.2mmAの低周波微量電流を流して頭皮を刺激するヘアーブラシ。」、甲16事項の「先端に電極50を有する櫛刃4(又はブリッスル4)を設けた櫛体40をケース41に取付けた櫛である毛根刺激器において、発生する低周波は周波数が1000Hz~3000Hzであること。」の記載から、皮膚に電気刺激を与えるブラシ型の美容器具において低周波電流を印加することは周知技術(以下、「周知技術3」という。)であったとしても、上記アのとおり、甲1発明において上記相違点1~5に係る本件発明1の発明特定事項とすることは当業者にとって容易でない。 よって、本件発明10は、甲1発明及び周知技術3、又は、甲1発明、周知技術1及び周知技術3、又は、甲1発明、技術常識、周知技術2及び周知技術3、又は、甲1発明、技術常識、周知技術1、周知技術2及び周知技術3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)請求人の主張について 上記相違点1、4及び5に係る本件発明1の発明特定事項について、請求人は以下の主張をしている。 ア 相違点1について 口頭審理陳述要領書(1)において、請求人は、 「甲1にストッパー5を金属製にすることが明記されていないことをもって、「甲1では、スライドスリーブ4を金属製にするか否か不明である点が相違点となる(審判請求書49頁に記載の相違点2)」との前提に立っても、リード線7はストッパー5を貫通せず、ストッパー5は電流をガイド(案内)するロッド(棒)である電流ガイドロッド3に接続されていることから、ストッパー5が導電性を有するものであることは自明である。そうすると、ストッパー5を金属製にすることは、当業者の設計事項である。したがって、当該相違点は当業者が容易に想到できるものである。」(33ページ17~25行)と主張する。 しかしながら、上記(2)アのとおり、甲1発明は、「磁石6と電流ガイドロッド3の内部にリード線7が貫通され、リード線7の一端は本体2と櫛ハンドル1を順に貫通して電池ボックス18の左側に固定して接続され」、「電池ボックス18内にボタン電池20を入れてボタンスイッチ21を押すと、リード線7がオンになって通電し、先端放電により離れ、リード線7の一端は頭皮に弱い電流を放電して頭皮細胞を刺激」するものであり、「リード線7」は、「電池ボックス18」の「ボタン電池20」から「電流ガイドロッド3」及び「磁石6」の内部に貫通され、「リード線7の一端」まで通電して先端放電を行うから、「電流ガイドロッド3」及び「ストッパー5」を、「リード線7」と電気的に接続された金属製の基底部材とする理由がない。 よって、「電流ガイドロッド3」及び「ストッパー5」を、「リード線7」に電気的に接続された金属製のものとして、前記電気回路から導電可能に前記電気回路に接続された金属製の基底部材とすること、すなわち、甲1発明において上記相違点1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 したがって、請求人の主張を採用することはできない。 イ 相違点4について 口頭審理陳述要領書(1)において、請求人は 「「甲1では、ばね8が金属製であるか否か不明である点が相違点となる」との前提に立っても、当該相違点は、上記技術常識に基づく当業者の設計事項程度のものにすぎず、当該相違点は当業者が容易に想到できるものである。」(47ページ12~15行)と主張する。 しかしながら、「ばね8」の材料を金属製とすること自体は設計的事項であったとしても、上記アのとおり、甲1発明の「電流ガイドロッド3」及び「ストッパー5」を「リード線7」に電気的に接続された金属製の基底部材とする理由はない。また、甲1発明において「頭皮に弱い電流を放電」する電極として機能するのは「リード線7の一端」であって、「磁石6」は、「櫛に磁気マッサージによる治療の機能を持たせ」るものであり、電極として機能するものではないから、「磁石6」を電極部材とする理由もない。そうすると、甲1発明の「ストッパー5と磁石6との間」に「設置され」た「ばね8」を、基底部材と電極部材とを連結するものとすることは当業者にとって容易でない。 したがって、甲1発明において相違点4に係る本件発明1の発明特定事項を採用することは当業者にとって容易であるとはいえない。 よって、請求人の主張を採用することはできない。 ウ 相違点5について 口頭審理陳述要領書(1)において、請求人は 「甲1では、ストッパー5及びシリコンスリーブ9の中空域がその径方向に屈曲可能な弾性を有しているか否か不明である点が相違点となる・・・との前提に立っても、この相違点3は、甲1発明に、皮膚に電気刺激を与えるブラシ型の美容機器において、ブラシの櫛歯(電極用のピン)を肌の形状に合わせて屈曲できるようにするという周知技術1・・・を適用することで容易に想到できるものである」(51ページ下から6行目~52ページ1行)と主張する。 しかしながら、上記(2)アのとおり、周知技術1を考慮して、甲1発明の「スライドスリーブ4」を径方向に屈曲可能なものに変更してしまうと、「スライドスリーブ4」が、「電流ガイドロッド3」に沿ってスムーズにスライドすることができず、「スライドスリーブ4と電流ガイドロッド3の部分を伸縮」して、「シリコンスリーブ9全体の底端が頭皮に接触し、さらに頭部の曲率の変化に応じて、シリコンスリーブ9の底部が常に頭皮にフィットするように調整」する機能を果たすことができなくなってしまうから、甲1発明に周知技術1を適用することには阻害要因がある。 さらに、甲1発明の「ばね8」を上記相違点5に係る「前記金属軸」とし、甲1発明の「スライドスリーブ4」及び「シリコンスリーブ9」を、上記相違点5に係る「前記胴部材」とすることは、当業者にとって容易でない。 したがって、請求人の主張を採用することはできない。 (4)小括 したがって、本件発明1~5は、甲1発明、又は、甲1発明及び周知技術1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。 本件発明6は、甲1発明、甲1発明及び周知技術1、甲1発明、技術常識及び周知技術2、又は、甲1発明、技術常識、周知技術1及び周知技術2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。 本件発明7は、甲1発明、技術常識及び周知技術2、又は、甲1発明、技術常識、周知技術1及び周知技術2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。 本件発明8~9は、甲1発明、甲1発明及び周知技術1、甲1発明、技術常識及び周知技術2、又は、甲1発明、技術常識、周知技術1及び周知技術2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。 本件発明10は、甲1発明及び周知技術3、又は、甲1発明、周知技術1及び周知技術3、又は、甲1発明、技術常識、周知技術2及び周知技術3、又は、甲1発明、技術常識、周知技術1、周知技術2及び周知技術3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。 よって、無効理由2により、本件発明1~10を無効とすることはできない。 また、前記第3の2の甲第1~32号証の全てを参酌しても、本件発明1~10は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえないから、無効理由2により、本件発明1~10を無効とすることはできない。 4 無効理由3について 上記第4の1(3)の無効理由3について検討する。 (1)本件発明5について ア 請求人の主張 請求人は、審判請求書において 「請求項5は請求項1の従属請求項であるところ、基底部材が金属軸の一部分となると、その金属軸を押し縮める部材としての基底部材は存在しないことになる。 そうすると、請求項1の基底部材及び金属軸の関係と、請求項5の基底部材及び金属軸の関係とは整合しないことが分かる。」(74ページ17~21行)と主張する。 イ 合議体の判断 本件発明5における「前記基底部分は、前記金属軸の基端部と一体として構成された前記金属軸の一部分として構成されてなることを特徴とする請求項1・・・に記載の皮膚刺激ブラシ」との記載は、「基底部材と前記電極部材とを、前記胴部材の長さ方向に押し縮められた状態で連結する金属軸」との発明特定事項を有する本件発明1を引用するものであるところ、本件発明1を踏まえて本件発明5の上記記載を検討すると、本件発明5の上記記載は、基底部材と電極部材とを、胴部材の長さ方向に押し縮められた状態で連結する金属軸において、前記基底部分と前記金属軸の基端部とが一体として構成され、金属軸における、前記基端部から電極部材まで部分が、胴部材の長さ方向に押し縮められた状態で、基底部分及び前記基端部と電極部材とを連結する態様を意味していることが理解できるから、本件発明5における上記記載は明確である。 したがって、請求人の主張を採用することはできない。 (2)本件発明10について ア 請求人の主張について 請求人は審判請求書において 「本件発明10には「低周波電流を・・・印加可能」と記載されているが、明細書を見ても「低周波」がどの周波数域をいうのかについての記載は存在しない」(75ページ22~24行)、 「従来技術をみても、「低周波電流」というのがどの周波数域の電流であるのかを一義的に決めることができない」(75ページ25~26行)と主張する。 イ 合議体の判断 まず、本件発明10の「低周波電流」との記載について検討する。 口頭審理陳述要領書(2)の25ページ下から3行目~26ページ下から6行目において請求人も主張するとおり、「皮膚に電気刺激を与えるブラシ型の美容器具において低周波電流を印加すること」自体は、本件特許の出願前から周知の事項であり、その低周波の周波数も、例えば甲第16号証においては段落【0017】に「1000Hz~3000Hz」であることが記載されているところ、本件特許の発明の詳細な説明における段落【0001】「本発明は、皮膚を電気的に刺激する皮膚刺激ブラシに関する。」、段落【0023】「低周波電流は皮膚の表面付近に作用する性質を有する。これによって、皮膚の表面付近を特に標的として電気刺激を与えることができる。」、段落【0026】「電極部材から皮膚に対して与えられる低周波電流が、皮膚の血流を増加させて細胞の代謝を活発化させることができる。」の記載に基づけば、本件発明10の「低周波電流」が、皮膚表面付近を特に標的として電気刺激を与えることができ、皮膚の血流を増加させて細胞の代謝を活発化させることができる程度の上記周知の低周波数の電流であると理解できる。 したがって、本件発明10の上記記載は明確である。 よって、請求人の主張を採用することはできない。 (3)小括 以上のとおり、本件発明5、10は明確であるから、本件発明5、10は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではなく、無効理由3には理由がない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、請求人の主張する無効理由1~3及び提出した証拠方法によっては本件発明1~10についての特許を無効にすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-800040

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