特許訂正審判
2022-390046
弁周辺の空間を密閉する形状記憶ポリマー発泡体
- 審判番号
- 2022-390046
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2019-550680
- 登録番号
- 6955022
- 請求日
- 2022年03月30日
- 審決日
- 2022年10月25日
- 公報発行日
- 2023年01月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】シェイプ メモリー メディカル,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 【請求人代理人】大貫 進介
- 審判長/審判官
- 審判長 刈間 宏信
- 審判官 中里 翔平
- 審判官 田々井 正吾
- 分類
- P141 .852-Y (A61F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第6項、特許法第184条の4第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6955022号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6955022号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6955022号は、2018年(平成30年)3月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年(平成29年)3月14日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、令和3年10月4日に設定登録がなされた。
その後、本件特許に対して、審判請求人(以下「請求人」という。)により、訂正審判(以下「本件訂正審判」という。)の請求が、令和4年3月30日になされたものである。
その後の経緯は、以下のとおりである。
令和4年8月3日付け:訂正拒絶理由の通知
令和4年9月2日 :請求人より意見書の提出
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許6955022号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正することを認める、との審決を求める。」というものであり、その訂正の内容は、以下のとおりである。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項26に「ステント」と記載されているのを、「金属骨格」に訂正する(請求項26の記載を引用する請求項27~28も同様に訂正する)。
2 訂正事項2
明細書の段落【0010】及び【0101】にそれぞれ「ステント」と記載されているのを、「金属骨格」に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正の目的について
(1)訂正事項1
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項26における、「・・・第1方向では、(b)(i)前記ステントは、第1の最大ステント外径を有し、(b)(ii)前記ステントは、前記ステントの長軸と平行に測定された第1のステントの長さであり、かつ(b)(iii)前記SMP発泡体は、前記圧縮二次状態にあり;第2方向では、(c)(i)前記ステント外径は、前記第1の最大ステント外径よりも長い、第2最大ステント外径を有し、(c)(ii)前記ステントは、前記第1のステントの長さよりも短い、第2のステントの長さを有し、・・・前記ステントの長軸に直交する第1平面は、前記SMP発泡体と前記第1及び第2の支柱とを交差し;前記ステントの長軸に直交する第2平面は、前記SMP発泡体と前記第3及び第4の支柱とを交差し;・・・」との記載を、「・・・第1方向では、(b)(i)前記金属骨格は、第1の最大金属骨格外径を有し、(b)(ii)前記金属骨格は、前記金属骨格の長軸と平行に測定された第1の金属骨格の長さであり、かつ(b)(iii)前記SMP発泡体は、前記圧縮二次状態にあり;第2方向では、(c)(i)前記金属骨格外径は、前記第1の最大金属骨格外径よりも長い、第2最大金属骨格外径を有し、(c)(ii)前記金属骨格は、前記第1の金属骨格の長さよりも短い、第2の金属骨格の長さを有し、・・・前記金属骨格の長軸に直交する第1平面は、前記SMP発泡体と前記第1及び第2の支柱とを交差し;前記金属骨格の長軸に直交する第2平面は、前記SMP発泡体と前記第3及び第4の支柱とを交差し;・・・」に訂正するものである。(下線は当審で付与した。以下同様。)
(2)訂正事項2
ア 訂正事項2の1
訂正事項2の1は、明細書の段落【0010】における「・・・第1方向では、(b)(i)前記ステントは、第1の最大ステント外径を有し、(b)(ii)前記ステントは、前記ステントの長軸と平行に測定された第1のステントの長さを有し、かつ(b)(iii)前記SMP発泡体は前記圧縮二次状態にあり;第2方向では、(c)(i)前記ステントは、前記第1の最大ステント外径よりも長い第2最大ステント外径を有し、(c)(ii)前記ステントは、前記第1のステントの長さよりも短い第2のステントの長さを有し、・・・前記ステントの長軸に直交する第1平面は、前記SMP発泡体と前記第1及び第2の支柱とを交差し;前記ステントの長軸に直交する第2平面は、前記SMP発泡体と前記第3及び第4の支柱とを交差し;・・・」の記載を、「・・・第1方向では、(b)(i)前記金属骨格は、第1の最大金属骨格外径を有し、(b)(ii)前記金属骨格は、前記金属骨格の長軸と平行に測定された第1の金属骨格の長さを有し、かつ(b)(iii)前記SMP発泡体は前記圧縮二次状態にあり;第2方向では、(c)(i)前記金属骨格は、前記第1の最大金属骨格外径よりも長い第2最大金属骨格外径を有し、(c)(ii)前記金属骨格は、前記第1の金属骨格の長さよりも短い第2の金属骨格の長さを有し、・・・前記金属骨格の長軸に直交する第1平面は、前記SMP発泡体と前記第1及び第2の支柱とを交差し;前記金属骨格の長軸に直交する第2平面は、前記SMP発泡体と前記第3及び第4の支柱とを交差し;・・・」に訂正するものである。
イ 訂正事項2の2
訂正事項2の2は、明細書の段落【0101】における「・・・第1方向では、(b)(i)前記ステントは、第1の最大ステント外径を有し、(b)(ii)前記ステントは、前記ステントの長軸と平行に測定された第1のステントの長さを有し、かつ(b)(iii)前記SMP発泡体は前記圧縮二次状態にあり;第2方向では、(c)(i)前記ステントは、前記第1の最大ステント外径よりも長い第2の最大ステント外径を有し、(c)(ii)前記ステントは、前記第1のステントの長さよりも短い第2のステントの長さを有し、・・・前記ステントの長軸に直交する第1平面は、前記SMP発泡体と前記第1及び第2の支柱とを交差し;前記ステントの長軸に直交する第2平面は、前記SMP発泡体と前記第3及び第4の支柱とを交差し;・・・」との記載を、「・・・第1方向では、(b)(i)前記金属骨格は、第1の最大金属骨格外径を有し、(b)(ii)前記金属骨格は、前記金属骨格の長軸と平行に測定された第1の金属骨格の長さを有し、かつ(b)(iii)前記SMP発泡体は前記圧縮二次状態にあり;第2方向では、(c)(i)前記金属骨格は、前記第1の最大金属骨格外径よりも長い第2の最大金属骨格外径を有し、(c)(ii)前記金属骨格は、前記第1の金属骨格の長さよりも短い第2の金属骨格の長さを有し、・・・前記金属骨格の長軸に直交する第1平面は、前記SMP発泡体と前記第1及び第2の支柱とを交差し;前記金属骨格の長軸に直交する第2平面は、前記SMP発泡体と前記第3及び第4の支柱とを交差し;・・・」に訂正するものである。
(3)訂正事項2の1、及び、訂正事項2の2と請求項26の関係
特許請求の範囲には、一群の請求項〔1-25〕及び〔26-28〕が記載されているところ、訂正前の特許請求の範囲の請求項26は、「第1、第2、第3、及び第4の支柱を含む金属骨格」、「弁」及び「ポリウレタン熱硬化性形状記憶ポリマー(SMP)発泡体」を含む旨の特定がされる一方、請求項1のように「窓」及び「外側導管」の特定がされていない「装置」に関するものであって、訂正前の明細書の段落【0010】、及び、訂正前の明細書の段落【0101】は、この訂正前の特許請求の範囲の請求項26の「装置」に係る技術的事項について記載したものであることが認められる。
したがって、訂正前の明細書の段落【0010】に対する訂正事項2の1、及び、訂正前の明細書の段落【0101】に対する訂正事項2の2は、いずれも、上記請求項26に対応するものである。
(4)訂正の目的の検討
ア 訂正前の特許請求の範囲の請求項26、訂正前の明細書の段落【0010】、及び、訂正前の明細書の段落【0101】には、いずれも「第1、第2、第3、及び第4の支柱を含む金属骨格・・・前記ステントは、・・・」と記載されているところ、「前記ステント」の記載より前には、「・・・支柱を含む金属骨格」は記載されているのに対して、「ステント」は記載されていないことから、「前記ステント」という記載を含む訂正前の記載に、過誤が含まれているものと認められる。
イ 訂正前の特許請求の範囲の請求項1、26、訂正前の明細書の段落【0010】、【0044】~【0045】、【0072】、【0101】の記載、及び、図3A~3Bからみて、「金属骨格」と「ステント」がいずれも「支柱」を含む支持構造に関連する記載であることをふまえると、上記アの過誤は、「前記ステント」という記載が正しく、「・・・支柱を含む金属骨格」が「・・・支柱を含むステント」の誤記(以下「誤記A」という。)であることか、又は、「・・・支柱を含む金属骨格」という記載が正しく、「前記ステント」が「前記金属骨格」の誤記(以下「誤記B」という。)であることのいずれかに起因すると理解できる。
ただし、いずれの誤記に起因する過誤であるかは、訂正前の特許請求の範囲の請求項26、訂正前の明細書の段落【0010】、及び、訂正前の明細書の段落【0101】の記載のみでは明らかでない。
ウ 上記(3)から、段落【0101】は、請求項26に対応する記載であることをふまえ、訂正事項2の2(訂正前の明細書の段落【0101】)について検討するに、訂正前の明細書の段落【0101】には、「例26:第1、第2、第3、及び第4の支柱を含む金属骨格;前記骨格内に含まれる弁;開放気泡ポリウレタン熱硬化性形状記憶ポリマー(SMP)発泡体であって、熱刺激に応じて圧縮二次状態から膨張一次状態に膨張するように構成されたSMP発泡体、を含む装置であって、」と記載されている。
また、訂正前の明細書の段落【0102】には、「例1a:第1、第2、第3、及び第4の支柱を含む構造的支持骨格;前記骨格内に含まれる弁;開放気泡ポリウレタン熱硬化性形状記憶ポリマー(SMP)発泡体であって、熱刺激に応じて圧縮二次状態から膨張一次状態に膨張するように構成されたSMP発泡体、を含む装置であって、」と記載されている。
そして、訂正前の明細書の段落【0103】では、上記段落【0101】~【0102】の記載について、「したがって、全ての骨格が金属であるわけではない。あるものはポリマー等から形成されうる。」との説明が記載されている。
エ ここで、上記段落【0103】の記載は、上記段落【0101】が「金属骨格」に限定する一方で、上記段落【0102】の「骨格」が「金属」に限定されておらず、非金属骨格が許容されていることを確認的に示す意味であると理解できるところ、当該段落【0103】の記載は、上記アの過誤が上記誤記B(「前記ステント」が「前記金属骨格」の誤記)に起因する場合にはこれを正せば意味をなすものの、上記誤記A(「・・・支柱を含む金属骨格」が「・・・支柱を含むステント」の誤記)に起因する場合はこれを正しても意味をなさない。
オ したがって、訂正前の明細書の段落【0101】に記載された「ステント」が、上記誤記Bの「金属骨格」の誤記であることは明らかである。
同様に、訂正前の明細書の段落【0101】に対応する、訂正前の特許請求の範囲の請求項26、及び、訂正前の明細書の段落【0010】も、それらに記載された「ステント」が、「金属骨格」の誤記であることは明らかである。
キ 以上のことから、訂正事項1、訂正事項2の1、及び、訂正事項2の2は、いずれも、誤記の訂正を目的とするものといえる。
(5)小括
以上のとおり、訂正事項1~2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する、誤記の訂正を目的とするものである。
2 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
(1)訂正事項1
上記1において検討したとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項26に記載された誤記の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項26の解釈に影響を与え得る訂正であるが、上記1において検討したとおり、訂正事項2は、明細書の段落【0010】及び【0101】に記載された誤記の訂正を目的とし、訂正後の同段落は訂正後の請求項26と対応した内容となるものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(3)小括
上記(1)~(2)のとおり、訂正事項1~2は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
3 新規事項の有無について
(1)訂正事項1
上記1において検討したとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項26~28に記載された誤記の訂正を目的とするものであって、「第1、第2、第3、及び第4の支柱を含む金属骨格」は、訂正前の請求項26並びに段落【0010】及び【0101】に記載されているから、特許法第184条の4第1項の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の全てを総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(2)訂正事項2
上記1において検討したとおり、訂正事項2は、明細書の段落【0010】及び【0101】に記載された誤記の訂正を目的とするものであって、当初明細書等に記載した事項の全てを総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項2は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(3)小括
上記(1)~(2)のとおり、訂正事項1~2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
4 独立特許要件について
訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明について、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見することはできない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおり、訂正事項1~2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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