商標取消審判
2022-300032
ペース
- 審判番号
- 2022-300032
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2017-038986
- 登録番号
- 5972888
- 請求日
- 2022年01月14日
- 審決日
- 2024年03月28日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 三枝知財研究所
- 【請求人代理人】弁理士法人三枝国際特許事務所
- 【被請求人】有限会社 柴田商事
- 【被請求人代理人】廣澤 勲
- 審判長/審判官
- 審判長 豊田 純一
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- T131 .1 -Y (W25)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条、商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項、商標法第2条第3項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5972888号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5972888号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成29年3月22日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として、同年8月18日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和4年1月31日になされたものであり、この登録前3年以内の期間(平成31年1月31日~令和4年1月30日)を以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書、令和4年4月4日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年5月16日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)及び同5年3月17日付け回答書(以下「回答書」という。)に対する同年7月18日付け意見書(以下「意見書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)によって継続して3年以上日本国内において使用されておらず、現在も使用されている事実は見出せない。
また、本件商標の商標登録原簿上において、専用使用権及び通常使用権の設定登録がなされておらず、専用使用権者及び通常使用権者が本件商標を使用していることも考えられない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 弁駁書による主張
(1)被請求人は、乙第1号証ないし乙第3号証を提出して、商標権者が、2019年2月25日に本件商標を付した靴下を作田手袋株式会社(以下「作田手袋社」という。)に販売した旨述べている。
乙第1号証の「御納品書」は、作田手袋社にKS-010(オーワンオー)の商品を納品したことの記載がなされているが、納品時に、乙第2号証の写真に示されたラベルが付されていたかどうかが明らかでない。
提出された証拠によれば、商標権者が2019年2月25日に作田手袋社に販売したとする靴下が乙第1号証の写真A及び乙第3号証に添付の写真に示された商品であることは、同社の代表取締役の陳述以外にない。
(2)被請求人は、乙第7号証は、本件商標を表示した商品である靴下(ソックス)であって、KS-010以外の靴下に、本件商標を付した商品を販売したことを証明するものであると述べるが、同商品が要証期間内に販売されていたかどうかは不明である。
(3)以上より、被請求人提出の証拠から、本件商標が商標権者により要証期間内に本件審判請求に係る指定商品の一について使用されたと認めることはできない。
3 意見書による主張
(1)被請求人は、乙第2号証におけるバーコードの上に記載される「有限会社 柴田商事」の文字部分が、乙第1号証の「写真A」に写る帯状のラベルに存在することを示すための追加的な証拠として、乙第9号証及び乙第13号証を提出しているが、乙第9号証が示す帯状のラベルは乙第2号証が示す帯状のラベルと同一でないこと、及び、乙第13号証は撮影日時が不明であることから、乙第2号証の帯状のラベルの作成時期が要証期間内又はそれよりも前であったかどうか客観的に把握することができない。
したがって、乙第1号証の「御納品書」には、作田手袋社にKS-010(オーワンオー)の商品を納品したことの記載がされているが、依然として、納品時に、乙第2号証の写真に示されたラベルが付されていたかどうかは明らかでない。
(2)答弁書及び乙第1号証ないし乙第6号証によれば、本件商標を付した商品が商標権者から作田手袋社に販売された後、作田手袋社からハミューレ株式会社(以下「ハミューレ社」という。)に販売され、2019年2月21日ないし同年10月16日の約8カ月間で、ハミューレ社は「クロ」、「アソート」、「シロ」のKS-010(オーワンオー)の商品を約6800セット仕入れたとされている。
ハミューレ社のホームページによると、同社は、仕事用品店「プロノ」と機能性セレクトショップ「ハミューレ」の実店舗及びオンラインショップを運営しているが、約8カ月間で約6800セットも仕入れた靴下であれば、本件商標を付した商品の宣伝や販売の事実があると推測し、「プロノ」及び「ハミューレ」のオンラインショップ及びinstagramを可能な範囲で過去に遡って確認するも、現時点を含め、本件商標を付した商品の宣伝や販売の事実を発見することができない。
このような状況を踏まえると、被請求人より提出された証拠からは、依然として、本件商標を付した商品が要証期間に販売されたかどうか明らかになっていない。
(3)以上より、被請求人提出の証拠から、本件商標が商標権者により要証期間内に本件審判請求に係る指定商品について使用されたとはいえない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書及び令和5年2月13日付け審尋に対する回答書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。
なお、以下、証拠の表記にあたっては、乙第1号証を「乙1」のように省略して表示する場合がある。
1 答弁の理由
(1)本件商標の使用の事実
本件商標は、商標権者である「有限会社柴田商事」(以下「柴田商事社」という。)が中国から輸入し、卸売り販売している商品「靴下」に付して使用されているものであり、乙第1号証から乙第8号証に示すとおり、商標権者は要証期間に、日本国内において本件商標を、その指定商品「被服」のうちの商品である「靴下」に使用していたものである。
(2)証拠の説明
ア 乙第1号証について
乙第1号証は、商標権者が本件商標を付した商品である靴下(ソックス)(以下「使用商品」という。)を取引業者である作田手袋社に販売した事実を証明するものである。
さらに、本件商標が付された使用商品は、伝票において「KS-010」として表記され、乙第1号証の写真A(別掲2)のとおりである。
イ 乙第2号証について
乙第2号証は、使用商品に巻き付けられて使用された本件商標が表示された帯状のラベルであり、使用商品が「KS-010」として表記されていることを示すものである。
ウ 乙第3号証について
乙第3号証は、商標権者が使用商品を取引業者である作田手袋社に販売した事実を証明するとともに、作田手袋社が販売を継続したい理由を示したものである。
エ 乙第4号証について
乙第4号証は、商標権者から使用商品を仕入れた作田手袋社が、ハミューレ社に、使用商品を販売した事実を証明する売上明細表である。
オ 乙第5号証について
乙第5号証は、使用商品を商標権者から仕入れた作田手袋社に対して、小売業者のハミューレ社が、作田手袋社に使用商品の在庫状況を問い合わせた事実を証明するものである。
カ 乙第6号証について
乙第6号証は、使用商品を商標権者から仕入れた作田手袋社に対して、小売業者のハミューレ社が、作田手袋社に使用商品等の販売計画数と仕入れ実績を報告した事実を証明するものである。
キ 乙第7号証について
乙第7号証は、本件商標を表示した商品である靴下(ソックス)であって、使用商品(KS-010)以外の靴下に、本件商標を付して販売したことを証明するものである。
ク 乙第8号証について
乙第8号証は、商標権者の代表者が、本件商標を付した商品を販売するための営業活動に資する広告物として、自己の名剌に本件商標を付して使用している事実を証明するものである。
(3)まとめ
以上より、本件商標は、要証期間に、日本国内において、本件商標を本件審判請求に係る指定商品中の「被服」の範ちゅうに属する商品「靴下」に使用していたことは明らかである。
2 回答書による主張
(1)本件商標が使用された商品に付された帯状のラベルについて
ア 紙製の帯状ラベルの印刷
商標権者が使用商品に巻き付けて使用した紙製の帯状のラベル(以下「紙帯」という。)は、商標権者の取引先の中国工場であり、商標権者の代表者の配偶者が代表を努める中国企業「SHANGHAI KEISEI KNITING PRODUCTS CO.,LTD.」(以下「上海啓成社」という。)から、中国の上海鴻羊貿易有限公司(以下「上海鴻羊社」という。)に依頼して印刷したもので、以下の(ア)ないし(オ)の経過により商標権者に納品されている。
(ア)使用商品に使用する紙帯は、上海啓成社より、上海鴻羊社に発注したもので、印刷品確認票(乙9)のとおり、上海啓成社の代表が2018年2月3日に、紙帯の印刷表示内容を確認し、上海鴻羊社に印刷を依頼した。
(イ)その後、2018年4月2日付けで上海鴻羊社から本件商標が付された紙帯(乙9)が3万枚上海啓成社に発送され(乙10)、同日付で入庫票(乙11)のとおり、3万枚の紙帯が上海啓成社に入庫した。
(ウ)この後、3万枚の紙帯について、2018年4月24日付けで、上海鴻羊社から上海啓成社に請求書(乙12)が発行された。
(エ)本件商標が付された紙帯(乙9)は、上海啓成社で靴下に巻き付けられて、上海啓成社により商標権者に発送され(乙13)、その後日本国内において取引先を通して販売されている。
(オ)上海啓成社と商標権者との取引は、上海啓成社にて本件商標が付された紙帯を使用商品に取り付けた後、2018年7月6日に上海啓成社から商標権者(SHIBATA TRADING CO.,LTD.)へ発送(乙14)されている。
(2)証拠の説明について
ア 乙第9号証について
乙第9号証は、上海啓成社の代表者が2018年2月3日に紙帯の印刷表示内容を確認し、印刷を依頼したことを示すものである。
イ 乙第10号証について
乙第10号証は、2018年4月2日付けで本件商標が付された紙帯(乙9)3万枚を上海啓成社に発送したことを示すものである。
ウ 乙第11号証について
乙第11号証は、本件商標が付された紙帯(乙9)が、上海啓成社に入庫したことを示すものである。
エ 乙第12号証について
乙第12号証は、本件商標が付された紙帯(乙9)の印刷代金等の請求が、上海鴻羊社から上海啓成社に2018年4月24日付けで発行されたことを示すものである。
オ 乙第13号証について
乙第13号証は、本件商標が付された紙帯(乙9)が靴下に巻き付けられた状態を示すもので、使用状態の紙帯に「有限会社柴田商事」の表示も印刷されていることを示すものである。
カ 乙第14号証について
乙第14号証は、本件商標が付された紙帯(乙9)が靴下に巻き付けられて、上海啓成社から商標権者に発送されたことを示すものである。
(3)まとめ
以上より、本件商標は、要証期間より前の2018年2月3日に商標権者の取引企業である上海啓成社の代表者が中国企業に印刷を依頼し、紙帯の印刷後、同年4月2日に上海啓成社に入庫され、同年7月6日に上海啓成社から商標権者に発送されている。
そして、要証期間においては、乙第1号証ないし乙第6号証のとおり、日本国内において使用されているものである。
第5 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 事実認定
被請求人の提出した乙各号証によれば、以下のとおりである。
(1)乙第1号証は、被請求人が使用商品を取引業者に販売した証明書と主張するものであり、本号証の1葉目の右上に「2022年3月26日」の記載、左上に「有限会社柴田商事 御中」の記載、その下に「品名 KS-010(オーワンオー)ソックス」の記載、その下に「包装 2017年8月18日商標登録PACEロゴ仕様」の記載、その下に「商標権者 有限会社 柴田商事」の記載、右側に「作田手袋株式会社」の記載、標題として「PACEロゴ仕様靴下販売について」の記載、その下に「弊社が、2019年2月25日に仕入したKS-010ソックス(納品書)は、写真Aの商品(商品改良のため予告なく仕様を変更することがあります。)であり、弊社が有限会社柴田商事から仕入をし、日本国内にて販売したことは間違いがなく、今後も継続して販売していく予定」の記載があり、その下に「仕入日 2019年2月25日」の記載がある。
また、乙第1号証の2葉目は、「御納品書」の標題の左下に「作田手袋株式会社 御中」の記載、その右に「2019年2月25日」の記載があり、その下に「下記の通り御納品致しますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。」の記載があり、その下に「有限会社柴田商事」の記載があり、その下に「KS-010(オーワンオー)白 25.00」の記載があり、その下に、「張り替え作業を行った商品を御納品させていただきます。」の記載がある。
そして、乙第1号証の3葉目ないし5葉目は、「写真A」として、紙帯が巻かれた靴下の写真、段ボール箱に梱包された靴下の写真、段ボールの側面に「KS-010 白」の記載があり、本号証の3葉目の紙帯には、別掲2のとおり商標(以下「使用商標」という。)が記載されている。
そうすると、乙第1号証から、商標権者である柴田商事社は、2019年2月25日に作田手袋社に3足1パックの品番「KS-010」の靴下(白)を25パック納品したことが推認できる。
そして、3足1パックの品番「KS-010」の靴下(白)には、紙帯がまかれ、そこには、使用商標が記載されているところ、本件商標と使用商標は、いずれも「PACE」の欧文字とその右に幾何図形3個を右肩上がりに配置したものであり、その外観、「ペース」の称呼を共通にする社会通念上同一の商標であると認められる。
(2)乙第2号証は、被請求人が、使用商品に巻き付けられて使用された紙帯と主張するものであり、バーコードの上に「KS-010 五本指 白」の記載、その上に「有限会社 柴田商事 福岡市西区西の丘3丁目22-18」の記載があり、そこには、使用商標が記載されていることから、本号証は、3足1パックの品番「KS-010」の靴下(白)に巻き付けられて使用された紙帯と同じものであると推認できる。
(3)乙第12号証は、被請求人が、上海鴻羊社から上海啓成社に発行された紙帯の印刷代金等の請求を示すと主張するものであり、上部に、「上海鴻羊貿易有限公司」の記載及び「2018年4月24日」の記載、その下に、「貨物名称」等の欄を含む表があり、この表において、「貨物名称」、「規格型号」及び「数量」の各欄にそれぞれ「PACE(3)紙帯」、「各5千」及び「30000」の記載があり、表の左下に、「上海鴻羊貿易有限公司」の文字を含む赤色の押印がある。
そうすると、乙第12号証から、3足1パックの品番「KS-010」の靴下(白)に巻き付けられて使用された紙帯は、2018年4月24日に、5,000枚存在していたことが推認できる。
(4)乙第14号証は、被請求人が、使用商品が上海啓成社から商標権者に発送されたことを示す伝票の写真と主張するものであり、本号証の左上に上海啓成社の中国語表記があり、標題として「PACKING LIST」の記載、その下に、「TO:SHIBATA TRADING CO.,LTD」の記載、その下に「3-22-18 NISHINOOKA NISHIKU FUKUOKA JAPAN」の記載があり、その右の「Date:」の欄に「2018/07/06」の記載があり、その下の表中「Description」、「Quantities(DOZ)」及び「Packages(CARTON)」の各欄の上から23番目に「KS-010 白」、「125」及び「5」の記載がある。
そうすると、乙第14号証から、上海啓成社は、乙第2号証の紙帯を巻き付けた状態の3足1パックの品番「KS-010」の靴下(白)を、2018年7月6日に125個、柴田商事社に輸出したことが推認できる。
3 判断
上記2によると、商標権者である柴田商事社は、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標が記載された紙帯が巻き付けられた状態の3足1パックの品番「KS-010」の靴下(白)を2018年7月6日に上海啓成社より輸入し、2019年2月25日に作田手袋社に25パック納品したことが推認できる。
そして、使用商品である「靴下」は、本件審判請求に係る指定商品「被服」の範ちゅうに属する商品である。
また、商標権者が作田手袋社に使用商標が記載された紙帯が巻き付けられた状態の3足1パックの品番「KS-010」の靴下(白)を譲渡した2019年2月25日は要証期間であり、この使用行為は、商標法第2条第3項第2号にいう「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡」する行為に該当する。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、商標権者が、本件審判請求に係る指定商品の範ちゅうに属する商品「靴下」の包装に、本件商標と社会通念上同一の商標を使用し、その商品「靴下」を譲渡したことを証明した。
したがって、本件商標の登録を、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-300032