特許拒絶査定不服審判
2022-021379
配線付基板、および、その製造方法
- 審判番号
- 2022-021379
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-138236
- 請求日
- 2022年12月28日
- 審決日
- 2023年11月27日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】スタンレー電気株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人山王坂特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 山澤 宏
- 審判官 山内 裕史
- 審判官 野崎 大進
- 分類
- P18 .113-WY (H05K) / P18 .121-WY (H05K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-138236「配線付基板、および、その製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 1月30日出願公開、特開2020- 17583、請求項の数(22)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年7月24日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 4月 7日付け:拒絶理由通知書
令和4年 6月 9日: 意見書、手続補正書の提出
令和4年10月13日付け:拒絶査定
令和4年12月28日: 審判請求書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和4年10月13日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
理由1(特許法第29条第1項第3号)
本願請求項25に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2(特許法第29条第2項)
本願請求項25に係る発明は、以下の引用文献1に基いて、本願請求項1、9、11、15、17-20、22、25に係る発明は、以下の引用文献2、6、7に基いて、本願請求項10、12-14、16、21、24に係る発明は、以下の引用文献2、3、6、7に基いて、本願請求項23に係る発明は、以下の引用文献2-7に基いて、当業者が容易になし得たものであるから、依然として特許法第29条第2項により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開平7-188935号公報
2.特開2016-39239号公報
3.特開2008-235035号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2018-49982号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2018-49995号公報(周知技術を示す文献)
6.特開2007-48827号公報(周知技術を示す文献)
7.特開2011-17069号公報(周知技術を示す文献)
第3 本願発明
本願請求項1-22に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明22」という。)は、令和4年12月28日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-22に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-22は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
基板と、前記基板上に配置され、前記基板に接合した配線層とを有し、
前記基板と前記配線層との接合領域の断面において、前記基板および前記配線層はそれぞれ凹凸形状を有し、前記基板の凸部は前記配線層の凹部に、前記配線層の凸部は前記基板の凹部に、それぞれ嵌入し合って、界面が密着しており、
前記基板の凸部および前記配線層の凸部は、それぞれの基部の中心を通って前記基板と前記配線層の主平面に垂直な軸を中心とする各方向について非対称な3次元形状であり、前記配線層の少なくとも一部は、導電性粒子を焼結した材料により構成され、
前記凹凸形状は、前記界面の溶融によって形成され、
前記基板の凸部および前記配線層の凸部の少なくとも一部は、基部と先端との間に少なくとも1つのくびれを有することを特徴とする配線付基板。
【請求項2】
請求項1に記載の配線付基板であって、前記くびれは、1つの前記凸部について複数あることを特徴とする配線付基板。
【請求項3】
基板と、前記基板上に配置され、前記基板に接合した配線層とを有し、
前記基板と前記配線層との接合領域の断面において、前記基板および前記配線層はそれぞれ凹凸形状を有し、前記基板の凸部は前記配線層の凹部に、前記配線層の凸部は前記基板の凹部に、それぞれ嵌入し合って、界面が密着しており、
前記基板の凸部および前記配線層の凸部は、それぞれの基部の中心を通って前記基板と前記配線層の主平面に垂直な軸を中心とする各方向について非対称な3次元形状であり、前記配線層の少なくとも一部は、導電性粒子を焼結した材料により構成され、
前記凹凸形状は、前記界面の溶融によって形成され、
前記基板の凸部および前記配線層の凸部のうちの一部は、枝分かれした形状であることを特徴とする配線付基板。
【請求項4】
請求項3に記載の配線付基板であって、前記枝分かれは、1つの前記凸部について複数あることを特徴とする配線付基板。
【請求項5】
請求項3または4に記載の配線付基板であって、前記基板の凸部、または、前記配線層の凸部のうちの一部は、その先端部が前記基板の主体部方向に向かう枝部を有することを特徴とする配線付基板。
【請求項6】
基板と、前記基板上に配置され、前記基板に接合した配線層とを有し、
前記基板と前記配線層との接合領域の断面において、前記基板および前記配線層はそれぞれ凹凸形状を有し、前記基板の凸部は前記配線層の凹部に、前記配線層の凸部は前記基板の凹部に、それぞれ嵌入し合って、界面が密着しており、
前記基板の凸部および前記配線層の凸部は、それぞれの基部の中心を通って前記基板と前記配線層の主平面に垂直な軸を中心とする各方向について非対称な3次元形状であり、前記配線層の少なくとも一部は、導電性粒子を焼結した材料により構成され、
前記凹凸形状は、前記界面の溶融によって形成され、
前記基板の凸部および前記配線層の凸部のうちの少なくとも一部は、鉤状であることを特徴とする配線付基板。
【請求項7】
基板と、前記基板上に配置され、前記基板に接合した配線層とを有し、
前記基板と前記配線層との接合領域の断面において、前記基板および前記配線層はそれぞれ凹凸形状を有し、前記基板の凸部は前記配線層の凹部に、前記配線層の凸部は前記基板の凹部に、それぞれ嵌入し合って、界面が密着しており、
前記基板の凸部および前記配線層の凸部は、それぞれの基部の中心を通って前記基板と前記配線層の主平面に垂直な軸を中心とする各方向について非対称な3次元形状であり、前記配線層の少なくとも一部は、導電性粒子を焼結した材料により構成され、
前記凹凸形状は、前記界面の溶融によって形成され、
前記基板と前記配線層との接合領域の断面には、前記基板に取り囲まれた、島状の前記配線層の領域、または、前記配線層に取り囲まれた、島状の前記基板の領域が、少なくとも1つ含まれることを特徴とする配線付基板。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の配線付基板であって、前記基板の凹凸形状と前記配線層の凹凸形状との界面の一部には、有機物が挟まれていることを特徴とする配線付基板。
【請求項9】
請求項8に記載の配線付基板であって、前記有機物は、ポリビニルピロリドン、または、ポリビニルピロリドンの焼成物であることを特徴とする配線付基板。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の配線付基板であって、前記接合領域には空孔が含まれていることを特徴とする配線付基板。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の配線付基板であって、前記基板および前記配線層の凸部の基部から先端までの長さは、基板厚みの1/4以下であることを特徴とする配線付基板。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の配線付基板であって、前記配線層の凸部の径は、最も太いところで、前記配線層の厚みの1/4以下であることを特徴とする配線付基板。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の配線付基板であって、前記基板の凸部の径は、最も太いところで、1μm以下であることを特徴とする配線付基板。
【請求項14】
請求項10に記載の配線付基板であって、前記接合領域に含まれる空孔の大きさは、1nm以下であることを特徴とする配線付基板。
【請求項15】
請求項1乃至14に記載の配線付基板であって、前記導電性粒子の径は、100nm以下であることを特徴とする配線付基板。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれか1項に記載の配線付基板であって、前記基板は、樹脂製であることを特徴とする配線付基板。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか1項に記載の配線付基板であって、前記基板は、フレキシブルであることを特徴とする配線付基板。
【請求項18】
導電性粒子が分散された溶液を基板の上に塗布して所望の形状の膜を形成する工程と、
前記膜を加熱することにより前記溶液に分散された前記導電性粒子を焼結して配線層を形成する工程と
前記配線層もしくは前記膜の一部に前記基板を侵入させることで、前記配線層もしくは前記膜と前記基板が互いに嵌入しあうようにする工程とを
有することを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載された配線付基板の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の配線付き基板の製造方法であって、
前記導電性粒子が分散された溶液は、
導電性粒子が20wt%~89.9wt%、溶媒が5wt%~70wt%、有機分散剤が0.01wt%~10wt%の範囲で含有される組成物であることを特徴とする配線付基板の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載の配線付基板の製造方法であって、前記有機分散剤は、ポリビニルピロリドンであることを特徴とする配線付基板の製造方法。
【請求項21】
請求項19に記載の配線付基板の製造方法であって、前記膜の加熱を、光を照射することによって行うことを特徴とする配線付基板の製造方法。
【請求項22】
請求項21に記載の配線付基板の製造方法であって、前記基板は、前記光を透過する材質であり、前記光を前記基板の裏面側から前記基板を透過させて前記膜に照射することにより、前記膜を加熱することを特徴とする配線付基板の製造方法。」
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明1
(1) 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同様。)。
「【図1】
[図:0001404524000001.jpg]
」
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アンカー特性に優れる接着剤、およびこの接着剤を用いたプリント配線板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子工業の進歩に伴い電子機器の小型化あるいは高速化が進められており、このためプリント配線板やLSIを実装する配線板に対してもファインパターンによる高密度化および高い信頼性が求められている。
【0003】このため、最近では、プリント配線板に導体を形成する方法として、基板表面に接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層の表面を粗化し、その後、粗化接着剤層上に無電解めっき等を施して導体を形成するアディティブ法が注目を浴びている。
【0004】このアディティブ法では、基板上に接着剤を用いた樹脂絶縁層と導体層とを順次形成するため、配線板の信頼性等の向上のためには、かかる樹脂絶縁層と導体層との密着性が重要となる。
【0005】これに対し従来、樹脂絶縁層と導体層との密着性の向上を図るべく、樹脂マトリックス中に樹脂フィラーを分散させてなる接着剤が提案されている。このような接着剤によれば、酸化剤等に対するフィラーとマトリックスとの溶解度差によって、該接着剤からなる接着剤層の表面が粗化されるので、上記密着性の向上に有効なアンカー窪みを形成することができる。
【0006】このようなアンカーの形成に関する技術は、発明者らも、先に配線板の製造技術の一環として特開昭61-276875号公報等で提案した。すなわち、この先行提案技術は、酸化剤に対して可溶性の予め硬化処理された耐熱性樹脂粉末が、硬化処理により酸化剤に対して難溶性となる未硬化の耐熱性樹脂液中に分散されてなることを特徴とする接着剤、およびこの接着剤を基板に塗布した後、乾燥硬化して接着剤層を形成させ、前記接着剤層の表層部分に分散している上記微粉末の少なくとも一部を溶解除去して接着剤層の表面を粗化し、次いで無電解めっきを施すことを特徴とする配線板の製造方法である。
【0007】この技術によれば、上記接着剤は、予め硬化処理された耐熱性樹脂微粉末を耐熱性樹脂液中に分散したものであり、この接着剤を基板に塗布し乾燥硬化させるとマトリックスを形成する耐熱性樹脂中に耐熱性樹脂微粉末が均一に分散した状態の接着剤層が形成される。そして、前記耐熱性樹脂微粉末と耐熱性樹脂マトリックスとは酸化剤に対する溶解性に差異があるため、前記接着剤層を酸化剤等で処理することにより、接着剤層の表面部分に分散している微粉末が主として溶解除去される。その結果、接着剤層の表面には均一なアンカー窪みが形成され、接着剤層と無電解めっき膜との密着性の向上を図ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】さて、発明者らは、上述した従来技術について、接着剤層と無電解めっき膜との高い密着性が安定して得られるような技術の開発に向け、さらに研究を続けた。その結果、接着剤層に形成されるアンカー窪みの形状は、図1に示すように、樹脂マトリックスと樹脂フィラーの溶解に起因して形成される1次アンカーの開口径が適度な広さを有し、樹脂フィラーの溶解に起因して形成される2次アンカーが適度に大きく、しかも接着剤層表面からの1次・2次アンカーの合計深さが20μm程度であることが理想的であることを新たに知見した。」
(2) 引用発明1
したがって、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「プリント配線板であって、
基板表面に接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層の表面を粗化し、その後、粗化接着剤層上に無電解めっき等を施して導体を形成するものであり、
接着剤層と無電解めっき膜との高い密着性が安定して得られる、
プリント配線板。」
2 引用文献2及び引用発明2
(1) 引用文献2
「【0022】
本発明に係る配線基板の製造方法は、HLP(High speed Laser Plating:高速レーザめっき、登録商標)を用いたものである。本発明者らは、銅マイクロ粒子を含む分散液を基板上に塗布して得た塗布膜を乾燥後、大気中において、300~600nmのレーザ光を照射することで、銅マイクロ粒子を焼結し、銅ナノ粒子と同等以上の基板との密着性及び配線抵抗を実現する配線基板が得られることを見出し、本発明を完成した。銅マイクロ粒子をレーザ光で焼結させた配線膜は従来には無く、新規な発明である。」
「【図10】
[図:0001404524000002.jpg]
」
「【0055】
図1に示す製造方法にて、配線基板を作製した。基板1として、厚さ1mm、25mm角のガラスエポキシ樹脂基板を用意した。この基板1に対して、塗布膜形成工程(a)として、銅マイクロ粒子分散液を印刷し、塗布膜2を得た。分散液の組成は表1に示すものとし、銅マイクロ粒子の平均粒径は1μmとした。銅マイクロ粒子には、日本アトマイズ加工株式会社のHXR‐Cu、ロット番号14302‐Dを用いた。分散液(銅マイクロ粒子ペースト)を100μmの厚さになるように、ガラスエポキシ樹脂基板上にドクターブレードを用いて印刷した。
【0056】
印刷後、乾燥工程(b)において、大気中で100℃の温度に印刷基板を昇温し、5分間の乾燥処理を行った。これにより銅マイクロ粒子分散液中に含まれる沸点78.3℃のエタノールが蒸発し逸脱した。
【0057】
次に、レーザ光照射工程(c)において、乾燥後の塗布膜3にレーザ光6を照射し、塗布膜3中の銅マイクロ粒子を焼結し基板1へ密着させた。照射は、ビーム径φ25μmのグリーンレーザ6(波長:532nm)を用いて行った。照射条件は、周波数30kHz、レーザパワー0.3W、パルス幅6ns、レーザ照射走査速度10mm/sとした。
【0058】
図9は実施例1のCu配線基板の光学顕微鏡写真(基板の平面図)である。図9に示すように、レーザ光を照射した部分は、銅マイクロ粒子が幅25μmのライン状にバルク化して焼結しており、またレーザ光を照射していない部分には、φ1μmの銅マイクロ粒子が印刷状態のまま残存している。図10は実施例1のCu配線基板の光学顕微鏡写真(基板の断面図)である。図10に示すように、深さ方向に約7μmの銅焼結層の形成が確認できる。図11は実施例1のCu配線基板のレーザ顕微鏡写真(基板の断面図)である。図11はレーザ焼結部の過酸化水素、アンモニア水によるエッチング後の断面ミクロ組織のレーザ顕微鏡像である。図11に示すように、未焼結のφ1μmの銅マイクロ粒子31の中央に、銅マイクロ粒子焼結層32が明瞭に確認できる。銅マイクロ粒子焼結層の周縁部に、未焼結の銅マイクロ粒子の存在を確認できる。
【0059】
上記で得た銅配線膜に対して、接着テープ(住友スリーエム株式会社製、製品名:スコッチ(登録商標))を貼って剥がしたところ、銅配線膜のピーリング(剥離)は見られなかった。また、銅配線膜の抵抗値を四端子法で測定し、図11の断面積及び配線長さから比抵抗を算出したところ、純銅(1.68μΩ・cm)と同等の値を得ることができた。本実施例において、銅マイクロ粒子を用いたドライプロセス法によって、高い密着性及び低電気抵抗の銅配線膜を有する配線基板を得ることができた。」
ここで、引用文献2に記載されている事項について検討する。
上記【0058】、【0059】及び【図10】の記載から、引用文献2には、
「ガラスエポキシ基板とレーザ焼結部(銅焼結層)との接合領域の断面において、前記ガラスエポキシ基板および前記レーザ焼結部(銅焼結層)はそれぞれ凹凸形状を有し、前記ガラスエポキシ基板の凸部は前記レーザ焼結部(銅焼結層)の凹部に、前記レーザ焼結部(銅焼結層)の凸部は前記ガラスエポキシ基板の凹部に、それぞれ嵌入し合って、界面が密着していること」
が記載されていると認められる。
(2) 引用発明2
したがって、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「銅マイクロ粒子を含む分散液を基板上に塗布して得た塗布膜を乾燥後、大気中において、300~600nmのレーザ光を照射することで、銅マイクロ粒子を焼結し、銅ナノ粒子と同等以上の基板との密着性及び配線抵抗を実現する配線基板であって、銅マイクロ粒子をレーザ光で焼結させたものが配線膜であり、
ガラスエポキシ樹脂基板の基板に対して、塗布膜形成工程(a)として、銅マイクロ粒子分散液を印刷し、塗布膜を得、
印刷後、乾燥工程(b)において、大気中で100℃の温度に印刷基板を昇温し、5分間の乾燥処理を行い、
次に、レーザ光照射工程(c)において、乾燥後の塗布膜にレーザ光を照射し、塗布膜中の銅マイクロ粒子を焼結し基板へ密着させ、
ガラスエポキシ基板とレーザ焼結部(銅焼結層)との接合領域の断面において、前記ガラスエポキシ基板および前記レーザ焼結部(銅焼結層)はそれぞれ凹凸形状を有し、前記ガラスエポキシ基板の凸部は前記レーザ焼結部(銅焼結層)の凹部に、前記レーザ焼結部(銅焼結層)の凸部は前記ガラスエポキシ基板の凹部に、それぞれ嵌入し合って、界面が密着している、
配線基板。」
3 引用文献3-7について
(1) 引用文献3
引用文献3には、以下の記載がある。
「【0034】
(1)アルコール還元法による金属ナノ粒子の調製(第1工程):
アルコール還元法とは、一般に、金属の塩を保護コロイド存在下で、アルコールと混合させた後加熱還流し、貴金属の微粒子分散液を得ることである。この方法は、操作が簡単で、微粒子分散液が容易に得られる、生成微粒子が小さく、粒度分布が狭い、調整条件により粒径を制御できる、分散液から溶媒を減圧で留去して乾燥後、別の溶媒を加えることにより、保護コロイドの可溶な種々の溶媒中に分散させることができるといった利点がある。また、得られる微粒子分散液は触媒として高活性かつ高選択性であることも特徴の1つである。
【0035】
本発明の第1工程にあっては、所望の金属ナノ粒子を含む金属塩、及び水溶性高分子からなる保護剤をそれぞれ水溶液として、得られた金属塩水溶液と保護剤水溶液を撹拌混合して混合溶液を得る。そして、得られた混合溶液にアルコールを加え、加熱した後に還流して(アルコール還元して)、目的物である保護金属ナノ粒子を得るようにすればよい。
【0036】
対象となる金属ナノ粒子を含む金属塩としては、硝酸塩、酢酸塩、ハロゲン化塩、炭酸塩、過塩素酸塩ピロリン酸塩等が挙げられ、例えば、対象となるナノ金属粒子が銀であれば、硝酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀、塩化銀等を使用することができる。
【0037】
金属ナノ粒子は、粒子径が小さいため、表面活性が極めて高く凝集し、粒子間で焼結し、再分散が困難となる。このために金属ナノ粒子の表面を保護剤で皮膜し、凝集を防ぐ方法が実用化されている。保護剤で覆われた金属ナノ粒子は、溶媒に分散させると、表面が皮膜されるので長期にわたり凝集することがない。本発明において、保護剤として用いることができる水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone:PVP)(C6H9NO)n、ポリビニルアルコール(Polyvinyl Alcohol:PVA)(CH2CH(OH))n、ポリアクリル酸、シクロデキストリン、メチルセルロース等を使用することができる。これらの水溶性高分子は、比較的弱い吸着力により、金属ナノ粒子を安定化させ、容易に分散させることができる。」
(2) 引用文献4
引用文献4には、以下の記載がある。
「【図1】
[図:0001404524000003.jpg]
」
「【0011】
<第1の実施形態>
第1の実施形態の電子デバイスの製造方法を図1(a)~(c)を用いて説明する。
【0012】
まず、図1(a)のように、光を透過する基板10を用意し、導電性粒子と絶縁材料とが分散された溶液、もしくは、絶縁材料層で被覆された導電性粒子が分散された溶液を、基板10の表面に所望の形状で塗布する。これにより、基板10の表面に、絶縁材料で被覆された導電性粒子の膜41を形成する。基板10には、予め配線パターン11が形成されていてもよい。予め配線パターン11を配置する場合、配線パターン11は図1(a)、(b)、(c)に記載されているように基板10の凹部に埋め込まれた形状で配置されていてもよいし、基板10の上面に配線パターン11が凸部となるように配置されていてもよい。必要に応じて膜41を加熱し、溶媒を蒸発させて乾燥させる。膜41内には、たとえば導電性ナノ粒子に代表される導電性粒子が分散され、導電性ナノ粒子の周囲は絶縁材料で覆われた状態である。よって、本工程では、膜41は非導電性である。
【0013】
つぎに、図1(b)のように、電極31を有する電子部品30を、電極31が膜41に接するように搭載する。
【0014】
つぎに、図1(c)のように、膜41の電極31直下の領域に、基板10の裏面側から基板10を透過させて所定の照射径の光束12を照射する。膜41の光束12が照射された領域は、導電性粒子が光のエネルギーを吸収して温度が上昇する。これにより、導電性粒子は、その粒子を構成する材料のバルクの融点よりも低い温度で溶融するとともに、導電性粒子の温度上昇に伴い、周囲の絶縁材料層は多くが蒸発し、一部が残存した場合で軟化する。そのため、溶融した導電性ナノ粒子は、隣接する粒子と直接融合するか、もしくは、軟化した絶縁材料層を突き破って隣接する粒子と融合する。これにより、導電性粒子同士が焼結され、導電性の電極接続領域40が形成される。このとき、溶融した導電性粒子は、直接接している電極31の表面および基板10の表面にもそれぞれ固着するため、形成される導電性の電極接続領域40は、電極31および基板10の電極31に対向する面にそれぞれ固着する。電極31の直下の基板10の表面に配線パターン11が形成されている場合には、電極接続領域40は配線パターンの表面にも固着し、電気的に接続される。これにより、基板10上に電子部品30を実装した電子デバイスを製造することができる。」
(3) 引用文献5
引用文献5には、以下の記載がある。
「【図9】
[図:0001404524000004.jpg]
」
「【0019】
第1の実施形態の半導体発光装置の製造方法を図9(a)、(b)を用いて説明する。
【0020】
まず、図9(a)のように、基板10に導電性粒子と絶縁材料とが分散された溶液、もしくは、絶縁材料層で被覆された導電性粒子が分散された溶液を、基板10の表面に所望の形状で塗布する。これにより、基板10の表面に、絶縁材料で被覆された導電性粒子の膜41を形成する。必要に応じて膜41を加熱し、溶媒を蒸発させて乾燥させる。膜41内には、たとえば導電性ナノ粒子に代表される導電性粒子が分散され、導電性ナノ粒子の周囲は絶縁材料で覆われた状態である。
【0021】
つぎに、図9(b)のように、膜41に所定の形状の光束12を照射する。このとき、膜41の一部領域にのみ光束12を照射して焼結させることが望ましい。膜41の光束12が照射された領域は、導電性粒子が光のエネルギーを吸収して温度が上昇する。これにより、導電性粒子は、その粒子を構成する材料のバルクの融点よりも低い温度で溶融するとともに、導電性粒子の温度上昇に伴い、周囲の絶縁材料層は多くが蒸発し、一部が残存した場合で軟化する。そのため、溶融した導電性ナノ粒子は、隣接する粒子と直接融合するか、もしくは、軟化した絶縁材料層を突き破って隣接する粒子と融合する。これにより、導電性粒子同士が焼結され、基板10の上面に導電性の導電体パターン43が形成される。このとき、溶融した導電性粒子は、基板10に固着する。
【0022】
なお、上述のように、膜41の光束12の照射を受けた領域の導電性粒子は、光を照射することにより温度が上昇する。この熱は、導電性粒子の焼結に用いられるとともに、周囲の膜41、基板10に伝導し、放熱される。よって、膜41のうち光束12の照射を受けた領域のみ、もしくは、その光束12の照射を受けた領域とその近傍領域のみが、導電性粒子が焼結される温度に到達し、その外側領域の膜41や基板10の温度は、それらを構成する材料を溶融させたり変質させたりする温度には到達しない。
【0023】
すなわち、本実施形態では、膜41の一部領域のみに光束12を照射することにより、基板10や、周囲の膜41に熱伝導させて放熱することができるため、基板10の温度上昇を抑制することができる。よって、基板10が薄いフレキシブルな樹脂等のように、熱により変形を生じやすいものであっても、光焼結による変形や歪、白濁等の変質を防止することができる。また、基板10がフレキシブルである場合にはそのフレキシブル性を維持することができる。
【0024】
図9(b)の工程では、形成される導電体パターン43が図2のように多孔質(ポーラス)となるように形成することが望ましい。すなわち、隣接する導電性粒子同士は、全体が完全に溶融して混ざりあうのではなく、接触する界面で焼結され、焼結後の導電性粒子間の少なくとも一部に空孔40aを形成するような温度で光焼結することが望ましい。例えば、光束12として、レーザー光を用い、通過する基板10を溶融させない程度の照射強度で膜41に照射することにより、光束12が照射された膜41の領域に短時間に比較的大きなエネルギーを投入でき、導電性粒子を加熱して溶融させ焼結できるとともに、レーザー光の光束12の照射を停止することにより、周囲の膜41や基板10への熱伝導により速やかに冷却することができるため、多孔質の導電体パターンを形成することができる。
【0025】
言い換えると、膜41をレーザー光の光束12で焼結するときに、膜41が適切な温度になるように、光束12の照射強度を調節することで、多孔質の域導電体パターン43を形成できる。具体例としては、基板10として、延伸されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(融点250℃程度、耐熱温度150℃程度)を用い、基板10の形状が維持されるようにレーザー光の光束12の強度を調整して基板10の裏面から膜41に照射し、膜41の導電性粒子を焼結した場合、多孔質の導電体パターン43を形成することができる。」
(4) 引用文献6
引用文献6には、以下の記載がある。
「【0015】
「粗化」とは、無電解めっき被膜との密着性を確保するために、非めっき面をレーザー光で溶融して、小さな凹凸面を形成すると共に、親水性を付与することを意味する。「導電層」とは、導電性の金属からなる無電解めっき被膜を意味し、例えば銅、ニッケル、錫、鉄、あるいはこれらの金属の合金等の被膜が該当する。また二次元的なものに限らず、例えば基体の表裏面や側面を含む三次元的なものも含む。」
(5) 引用文献7
引用文献7には、以下の記載がある。
「【0022】
「基体の表面」とは、基体の全表面を意味する。「粗化」するとは、上述した第1のレーザー光によって、基体の表面層を溶融または昇華させることを意味するが、より詳細には、第1のレーザー光をレンズで絞ったビームを、パルス状に照射しながら、基体の表面に沿って走査することによって、基体の表面層において微小な部分を溶融または昇華させて、細かい凹凸を形成することを意味する。「触媒付与」とは、例えば、錫、パラジウム系の混合触媒液に、基体を浸漬した後、塩酸、硫酸などの酸で活性化し、表面にパラジウムを析出させたり、あるいは塩化第1錫等の比較的強い還元剤を表面に吸着させ、金などの貴金属イオンを含む触媒溶液に浸漬し、表面に金を析出させたりすることを意味する。「触媒の機能を低下または消失させる」とは、第2のレーザー光を照射して、基体の表面に付着した触媒の一部または全部を、昇華して除去することを意味する。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)引用発明1について
ア 本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明1の「プリント配線板」、「基板」は、各々、本願発明1の「配線付基板」、「基板」に相当する。
(イ)引用発明1の「無電解めっき膜」は、「プリント配線板」において「導体を形成するもの」であるから、「配線」となる膜、すなわち層であると認められる。また、「無電解めっき膜」は、「基板表面に接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層の表面を粗化し、その後、粗化接着剤層上に無電解めっき等を施して導体を形成するもの」であるから、「基板」表面の上側に配置されているといえる。
したがって、引用発明1の「無電解めっき膜」は、本願発明1の「前記基板上に配置され、前記基板に接合した配線層」と、「前記基板上に配置された配線層」である点で共通する。
したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「基板と、前記基板上に配置された配線層とを有することを特徴とする配線付基板。」
(相違点1)
本願発明1の「配線層」が、「前記基板に接合した」ものであるのに対し、引用発明1の「無電解めっき膜」は、「基板表面に接着剤を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層の表面を粗化し、その後、粗化接着剤層上に無電解めっき等を施して導体を形成するもの」である点。
(相違点2)
本願発明1の「基板」及び「配線層」が、「前記基板と前記配線層との接合領域の断面において、前記基板および前記配線層はそれぞれ凹凸形状を有し、前記基板の凸部は前記配線層の凹部に、前記配線層の凸部は前記基板の凹部に、それぞれ嵌入し合って、界面が密着しており、前記基板の凸部および前記配線層の凸部は、それぞれの基部の中心を通って前記基板と前記配線層の主平面に垂直な軸を中心とする各方向について非対称な3次元形状であり、前記配線層の少なくとも一部は、導電性粒子を焼結した材料により構成され、前記凹凸形状は、前記界面の溶融によって形成され、前記基板の凸部および前記配線層の凸部の少なくとも一部は、基部と先端との間に少なくとも1つのくびれを有する」のに対し、引用発明1の「接着剤層」及び「無電解めっき膜」は、「接着剤層の表面を粗化し、その後、粗化接着剤層上に無電解めっき等を施して導体を形成するものであり、接着剤層と無電解めっき膜との高い密着性が安定して得られる」ものであるものの、このような構成については特定されていない点。
イ 相違点についての判断
事案に鑑みて、相互に関連する上記相違点1-2をまとめて検討する。
「基板に接合した配線層」「を有し」、「前記基板と前記配線層との接合領域の断面において、前記基板および前記配線層はそれぞれ凹凸形状を有し、前記基板の凸部は前記配線層の凹部に、前記配線層の凸部は前記基板の凹部に、それぞれ嵌入し合って、界面が密着しており、前記基板の凸部および前記配線層の凸部は、それぞれの基部の中心を通って前記基板と前記配線層の主平面に垂直な軸を中心とする各方向について非対称な3次元形状であり、前記配線層の少なくとも一部は、導電性粒子を焼結した材料により構成され、前記凹凸形状は、前記界面の溶融によって形成され、前記基板の凸部および前記配線層の凸部の少なくとも一部は、基部と先端との間に少なくとも1つのくびれを有する」構成は、引用文献1に記載されておらず、本願の出願前において周知技術であったともいえない。
よって、本願発明1は、引用文献1に記載された発明ではなく、また、当業者であっても引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
(2)引用発明2について
ア 本願発明1と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明2の「基板」、「ガラスエポキシ樹脂基板の基板」及び「ガラスエポキシ基板」は、本願発明1の「基板」に相当する。
(イ)引用発明2の「配線膜」は、「銅マイクロ粒子を含む分散液を基板上に塗布して得た塗布膜を乾燥後、大気中において、300~600nmのレーザ光を照射することで、銅マイクロ粒子を焼結し、銅ナノ粒子と同等以上の基板との密着性及び配線抵抗を実現する配線基板」において「銅マイクロ粒子をレーザ光で焼結させたもの」であるから、「基板」上に配置されたものであって、「基板」に「密着性」を持つ接合をしているものである。
したがって、上記(ア)を踏まえると、引用発明2の「配線膜」は、本願発明2の「前記基板上に配置され、前記基板に接合した配線層」に相当する。
(ウ)引用発明2の「配線膜」は、「銅マイクロ粒子をレーザ光で焼結させたもの」であるから、引用発明2の「乾燥後の塗布膜にレーザ光を照射し、塗布膜中の銅マイクロ粒子を焼結し基板へ密着させ」ることで得られる「レーザ焼結部(銅焼結層)」が「配線膜」であることは明らかである。
(エ)上記(ア)-(ウ)を踏まえると、引用発明2の「ガラスエポキシ基板とレーザ焼結部(銅焼結層)との接合領域の断面において、前記ガラスエポキシ基板および前記レーザ焼結部(銅焼結層)はそれぞれ凹凸形状を有し、前記ガラスエポキシ基板の凸部は前記レーザ焼結部(銅焼結層)の凹部に、前記レーザ焼結部(銅焼結層)の凸部は前記ガラスエポキシ基板の凹部に、それぞれ嵌入し合って、界面が密着している」ことは、本願発明1の「前記基板と前記配線層との接合領域の断面において、前記基板および前記配線層はそれぞれ凹凸形状を有し、前記基板の凸部は前記配線層の凹部に、前記配線層の凸部は前記基板の凹部に、それぞれ嵌入し合って、界面が密着して」いることに相当する。
(オ)引用発明2の「配線膜」は、「銅マイクロ粒子」である導電性粒子を「焼結」させたものである。
したがって、上記(イ)を踏まえると、引用文献2の「銅マイクロ粒子をレーザ光で焼結させたものが配線膜であ」ることは、本願発明1の「前記配線層の少なくとも一部は、導電性粒子を焼結した材料により構成され」ることに相当する。
(カ)引用発明2の「配線基板」は、本願発明1の「配線付基板」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明2との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「基板と、前記基板上に配置され、前記基板に接合した配線層とを有し、
前記基板と前記配線層との接合領域の断面において、前記基板および前記配線層はそれぞれ凹凸形状を有し、前記基板の凸部は前記配線層の凹部に、前記配線層の凸部は前記基板の凹部に、それぞれ嵌入し合って、界面が密着しており、
前記配線層の少なくとも一部は、導電性粒子を焼結した材料により構成されることを特徴とする配線付基板。」
(相違点3)
本願発明1の「基板」及び「配線層」について、「前記基板の凸部および前記配線層の凸部は、それぞれの基部の中心を通って前記基板と前記配線層の主平面に垂直な軸を中心とする各方向について非対称な3次元形状であ」る構造を有しているのに対し、引用発明2の「ガラスエポキシ基板」と「レーザ焼結部(銅焼結層)」について、「前記ガラスエポキシ基板の凸部は前記レーザ焼結部(銅焼結層)の凹部に、前記レーザ焼結部(銅焼結層)の凸部は前記ガラスエポキシ基板の凹部に、それぞれ嵌入し合って、界面が密着している」ものの、このような構造については特定されていない点。
(相違点4)
本願発明1の「基板」及び「配線層」の「凹凸形状」は、「界面の溶融によって形成され」るのに対し、引用発明2の「ガラスエポキシ基板」及び「レーザ焼結部(銅焼結層)」の「凹凸形状」が界面の溶融によって形成されることについては特定されていない点。
(相違点5)
本願発明1の「前記基板の凸部および前記配線層の凸部の少なくとも一部は、基部と先端との間に少なくとも1つのくびれを有する」のに対し、引用発明2の「ガラスエポキシ基板の凸部」及び「レーザ焼結部(銅焼結層)の凸部」がこのような形状を有することについては特定されていない点。
イ 相違点についての判断
事案に鑑みて、相違点4について先に検討する。
「基板」及び「配線層」の「凹凸形状」は、「界面の溶融によって形成され」る構成は、引用文献2-7のいずれにも記載されておらず、本願の出願前において周知技術であったともいえない。
よって、相違点3、5について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明2及び引用文献3-7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2-22について
本願発明2-22は、相違点1、2、4に係る本願発明1の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用文献1に記載された発明ではなく、また、当業者であっても引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえず、さらに、当業者であっても引用発明2及び引用文献3-7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 原査定についての判断
令和4年12月28日提出の手続補正書による補正により、補正後の請求項1-22は、相違点1、2、4に係る本願発明1の構成を有するものとなった。
そして、当該構成は、原査定における引用文献1-7には記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1-22は、引用文献1に記載された発明ではなく、また、当業者であっても引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえず、さらに、当業者であっても引用文献2に記載された発明及び引用文献3-7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
よって、原査定を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-021379