特許拒絶査定不服審判
2022-019275
情報提供システム及び情報提供方法
- 審判番号
- 2022-019275
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-521964外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年11月30日
- 審決日
- 2024年01月31日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-521964「情報提供システム及び情報提供方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月 6日国際公開、WO2018/220939、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)3月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年(平成29年)5月30日、日本国)を国際出願日とする出願であって、令和2年11月18日に手続補正がされ、令和4年1月28日付けの拒絶理由通知に対し、同年4月4日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年8月24日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して同年11月30日に審判請求がされ、令和5年1月12日に手続補正がされ、同年9月21日付けの当審における拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」といい、当審拒絶理由通知に係る拒絶理由を「当審拒絶理由」という。)に対し、同年11月27日に意見書が提出されるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
(進歩性)この出願の請求項1~12に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された以下の引用文献A~Cに記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献A 特開2015-222880号公報
引用文献B 特開2001-243376号公報
引用文献C 特開2014- 78070号公報
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
(進歩性)この出願の請求項1、2、5~8、11及び12に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1 特開2017- 9652号公報
第4 本願発明
本願の請求項1~10に係る発明(以下、「本願発明1」~「本願発明10」といい、併せて「本願発明」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
広告、案内、説明、ニュース、災害情報その他の提供情報が蓄積されたサーバーと、所定のロケーションに設置され前記サーバーに接続されて前記サーバーにより前記ロケーションが特定されると共に前記所定のロケーションに応じた前記提供情報を前記サーバーから受信して提供する複数の情報提供端末と、前記複数の情報提供端末のうちの少なくとも一つと無線通信することができるユーザー端末とを備えた情報提供システムであって、前記複数の情報提供端末は、各々自らの識別情報を常時発信する識別情報発信手段を備え、前記ユーザー端末に対しては自ら直接前記提供情報の送信は行うことなく前記識別情報発信手段により前記識別情報のみを送信し、前記ユーザー端末は、前記情報提供端末が発信する前記識別情報を受信して前記サーバーに受信した前記識別情報を送信し、前記サーバーは前記ユーザー端末から送信された前記識別情報により前記ユーザー端末の現在位置に対応する前記ロケーションに設置された前記情報提供端末を特定した上で、前記特定された情報提供端末が提供すべき前記提供情報を前記ユーザー端末に送信し、前記ユーザー端末は、前記ユーザー端末と前記情報提供端末との距離に応じて、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)により、前記識別情報を受信することを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載された情報提供システムであって、前記所定のロケーションに設置される情報提供端末は、スマートフォン又はタブレット端末等の汎用的なモバイル情報端末又は前記モバイル情報端末とモニターとの組合せからなることを特徴とする情報提供システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれか記載された情報提供システムであって、前記サーバーは、少なくとも、前記ユーザー端末の現在位置に対応する前記ロケーションに設置された前記情報提供端末として複数の前記情報提供端末が特定された場合には、前記特定された複数の情報提供端末の位置情報を前記ユーザー端末に送信し、前記ユーザー端末により選択処理された前記情報提供端末が提供すべき前記提供情報を前記ユーザー端末に送信することを特徴とする情報提供システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された情報提供システムであって、前記サーバーと前記ユーザー端末とは、LTE(Long Term Evolution)その他の携帯高速通信により通信することを特徴とする情報提供システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された情報提供システムであって、前記ユーザー端末は、コード等の情報を読み取ることなく、前記ユーザー端末のシェイク操作又はタップ操作により、前記サーバーとの通信又は前記情報提供端末からの前記識別情報の受信を開始することを特徴とする情報提供システム。
【請求項6】
広告、案内、説明、ニュース、災害情報その他の提供情報をサーバーに蓄積し、前記サーバーに接続される複数の情報提供端末を所定のロケーションに設置し、前記サーバーにより前記情報提供端末の前記ロケーションを特定する共に前記複数の情報提供端末により前記情報提供端末が設置された前記ロケーションに応じた前記提供情報を前記サーバーから受信して提供し、前記所定のロケーションに位置するユーザー端末により前記サーバーに蓄積された提供情報を表示する情報提供方法であって、前記複数の情報提供端末により、ユーザー端末に対しては前記提供情報の送信は行うことなく前記複数の情報提供端末が備える識別情報発信手段により各々自らの識別情報のみを常時送信し、前記ユーザー端末により、前記情報提供端末が発信する前記識別情報を受信して前記サーバーに受信した前記識別情報を送信し、前記サーバーにより前記ユーザー端末から送信された前記識別情報から前記ユーザー端末の現在位置に対応する前記ロケーションに設置された前記情報提供端末を特定した上で、前記サーバーから前記特定された前記情報提供端末が提供すべき前記提供情報を前記ユーザー端末に送信し、前記ユーザー端末と前記情報提供端末との距離に応じて、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)により、前記ユーザー端末に前記識別情報を受信させることを特徴とする情報提供方法。
【請求項7】
請求項6に記載された情報提供方法であって、前記所定のロケーションに設置される情報提供端末として、スマートフォン又はタブレット端末等の汎用的なモバイル情報端末又は前記モバイル情報端末とモニターとの組合せを使用することを特徴とする情報提供方法。
【請求項8】
請求項6又は請求項7のいずれか記載された情報提供方法であって、前記サーバーにより、少なくとも、前記ユーザー端末の現在位置に対応する前記ロケーションに設置された前記情報提供端末として複数の前記情報提供端末が特定された場合には、前記サーバーにより、前記特定された複数の情報提供端末の位置情報を前記ユーザー端末に送信し、前記ユーザー端末により選択処理された前記情報提供端末が提供すべき前記提供情報を前記ユーザー端末に送信することを特徴とする情報提供方法。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれかに記載された情報提供方法であって、前記サーバーと前記ユーザー端末とを、LTE(Long Term Evolution)その他の携帯高速通信により通信させることを特徴とする情報提供方法。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9のいずれかに記載された情報提供方法であって、コード等の情報を読み取ることなく、前記ユーザー端末をシェイク操作又はタップ操作することにより、前記ユーザー端末に前記サーバーとの通信又は前記情報提供端末からの前記識別情報の受信を開始させることを特徴とする情報提供方法。」
第5 引用文献の記載、引用発明
1 引用文献1
(1) 引用文献1の記載
当審拒絶理由通知で引用された引用文献1には、以下の記載がある(下線加筆。以下同じ。)。
「【0002】
(関連する技術に関する情報)
街角、駅、商店街などのスペースにおいて、様々な情報(広告を中心としたプロモーション用コンテンツ)を表示するデジタルサイネージが普及している。表示されるコンテンツはその近辺の空間に短時間滞在する人々、または通り過ぎる人々を対象にしており、多くの視聴者は通りすがりに偶然コンテンツを視聴することとなる。」
「【0049】
上記の手段から構成されるシステム全体構成を図1に示す。本実施形態に係る情報表示システムは、コンテンツ配信サーバ装置として機能するコンテンツ配信サーバ91と、複数のデジタルサイネージ装置として機能するサイネージ92と、携帯端末装置として機能する視聴者の携帯端末93と、を備える。コンテンツ配信サーバ91は、コンテンツ決定部11と、コンテンツDB12と、視聴者プロファイルDB13と、を備える。デジタルサイネージ92は、コンテンツ表示部21と、測位部22と、を備える。携帯端末93は、コンテンツ表示部31と、専用アプリ32と、を備える。
【0050】
(発明の実施形態)
情報表示システムの実施形態を、具体的な手段と作用を示しながら説明する。
【0051】
(コンテンツ配信サーバ91)
図2に、コンテンツ配信サーバ91の一例を示す。コンテンツ配信サーバ91は、コンテンツ決定部11と、コンテンツDB12と、視聴者プロファイルDB13と、サイネージ設定DB14と、履歴DB15と、検出結果DB16と、を備える。
【0052】
コンテンツ配信サーバ91では、コンテンツ提供者装置94が提供するコンテンツをコンテンツDB12に記録している。コンテンツはhtml(HyperText Markup Language)で記述され、サイネージ92及び携帯端末93に配信されてそれぞれの専用アプリによってコンテンツ表示部21及びコンテンツ表示部31に表示される。コンテンツDB12には、コンテンツ本体及び、そのコンテンツに付随する情報として、ID、名称、属性、ジャンル、対象年齢、キーワード(複数)が記録されている。
【0053】
視聴者プロファイルDB13には、視聴者のプロファイルなどの視聴者情報が格納される。視聴者プロファイルDB13には、携帯端末93の専用アプリ32上で登録された視聴者のプロファイルが初期値として記録される。視聴者のプロファイルとしては、性別、年齢、興味ジャンル、興味キーワード、携帯端末IDがある。
【0054】
サイネージ設定DB14には、サイネージ情報が格納される。サイネージ情報は、各サイネージ92の情報であり、例えば、サイネージ名、設置場所、コンテンツ内容が含まれる。設置場所は、GPS23を用いて測定した地理的な位置情報である。
【0055】
履歴DB15には、コンテンツ決定部11が決定したコンテンツの履歴が格納される。例えば、コンテンツ決定部11が決定した日時とサイネージIDが格納される。
【0056】
コンテンツ配信サーバ91に携帯端末93から、携帯端末93が検出したサイネージID、携帯端末ID、検出日時等を含む検出情報の送信があった場合、コンテンツ配信サーバ91は、携帯端末93にサイネージIDに該当するサイネージ情報(サイネージ名、設置場所、コンテンツ内容)を配信し、同時に検出結果DB16に、どのサイネージIDをどの携帯端末93がいつ検出したのかを記録する。サイネージ情報に含まれるコンテンツ内容は、サイネージ92に表示中のコンテンツの情報が含まれる。
【0057】
コンテンツ配信サーバ91に対して携帯端末93からサイネージIDと検出日時をもってコンテンツリストのリクエスト等のコンテンツの情報に関連する操作があった場合、コンテンツ配信サーバ91は、履歴DB15に記録されている配信履歴から該当するサイネージ92の検出日時の時に表示されていたコンテンツ及び、前後のコンテンツの名称を携帯端末93に配信する。
【0058】
コンテンツ配信サーバ91に対して携帯端末93から特定コンテンツに対するリクエスト等のコンテンツの情報に関連する操作があった場合、コンテンツ配信サーバ91は該当するコンテンツを携帯端末93に配信する。また、それと同時に視聴者プロファイルDB13が有する視聴者のプロファイルに、視聴したコンテンツの付随情報を追加し、視聴者が自ら登録したプロファイルを自動的に補完する。
【0059】
コンテンツ配信サーバ91に対してサイネージ92からコンテンツリクエスト等のコンテンツの情報に関連する操作があった場合、コンテンツ配信サーバ91はコンテンツをリクエストしているサイネージ92の近隣にいる視聴者を検出結果DB16から特定し、その特定された近隣にいる複数(又は単数)の視聴者のプロファイルに登録されている興味キーワード、興味ジャンルに最も多く重複する特徴を持つコンテンツを配信可能コンテンツ(サイネージ設置者が拒否ジャンルとして指定したジャンルとして登録しているコンテンツ及び、1分以内に同じサイネージに配信しているコンテンツは除く)から特定し、サイネージ92にそのコンテンツを配信する。同時に、コンテンツ配信サーバ91は、コンテンツ配信サーバ91が持つサイネージ設定DB14にコンテンツリクエストの際に送信されてきたサイネージ92の情報を登録又は更新し、配信したコンテンツの履歴を履歴DB15に記録する。」
「【0061】
(サイネージ92)
図3に、サイネージ92の一例を示す。サイネージ92は、コンテンツ表示部21と、測位部22と、サイネージ設定部25と、を備える。サイネージ92は、例えば、下記機能を有するサイネージアプリである携帯端末93に備わるアプリと、携帯端末93と接続された大型ディスプレイで構成することができる。(図4参照)
【0062】
サイネージアプリは、サイネージ92毎に設定された間隔でコンテンツ配信サーバ91に対してコンテンツをリクエストする。例えば、サイネージ92は、次に表示するコンテンツをコンテンツ配信サーバ91に要求する。コンテンツ表示部21は、リクエストに応じてコンテンツ配信サーバ91から配信されてきたコンテンツを表示する。
【0063】
サイネージ設定部25は、サイネージ92毎の設定を行う。設定は、サイネージアプリ上で設定が可能であり、設定可能な情報としては、名称、設置場所、設置者、コンテンツ内容説明、表示間隔、拒否ジャンルとなっている。サイネージ92は、サイネージ設定部25の設定した情報を、サイネージ情報としてコンテンツ配信サーバ91に通知する。これにより、コンテンツ配信サーバ91は、個々のサイネージ92の設定に適合したコンテンツを、各サイネージ92に配信可能となる。
【0064】
測位部22にはGPS23が内蔵されている。サイネージ92は、GPS情報及び設定情報をコンテンツリクエストの際にコンテンツ配信サーバ91に自動的に送信する。GPS情報は、GPS23の測位したサイネージ92の位置を示す。設定情報は、サイネージ92の名称、設置場所、設置者、コンテンツ内容説明、表示間隔、拒否ジャンルを示す。
【0065】
測位部22には、携帯端末93がサイネージ92を検出するためのiBeacon24が内蔵されている。iBeacon24は、専用アプリ32のインストールされた携帯端末93からのBeaconを自動検出して応答し、サイネージIDを送信する。iBeacon24は、携帯端末93を検出すると、検出した携帯端末93の情報をコンテンツ配信サーバ91に送信してもよい。」
「【0067】
(携帯端末93)
図5に、携帯端末93の一例を示す。携帯端末93は、コンテンツ表示部31と、プロファイル設定部33と、iBeacon34と、を備える。プロファイル設定部33及びiBeacon34は図1に示した専用アプリ32を動作させることで実行する。iBeacon34は、携帯端末93に備わるアプリを動作させることで実現することができる。なお、本実施形態に係る発明は、iBeacon34に代えて、任意の近距離通信技術を適用することができる。
【0068】
プロファイル設定部33は、携帯端末93に、最初に専用アプリ32をインストールした際に、視聴者のプロファイルなどの視聴者情報をコンテンツ配信サーバ装置91に送信する。
【0069】
iBeacon34がサイネージ92を検出し、サイネージIDを取得すると、専用アプリ32が、コンテンツ配信サーバ91に対して検出情報を送信し、そのサイネージ92の情報をコンテンツ配信サーバ91から取得する。ここで、検出情報は、サイネージの識別子であるサイネージIDを含む。サイネージ92の情報は、例えば、サイネージ92の名称や、サイネージ92が表示したコンテンツ内容である。その時、携帯端末93は、検出情報として、同時に携帯端末ID、検出日時も送信する。
【0070】
専用アプリ32は取得したサイネージ92の情報と検出日時を携帯端末93内に記録する。専用アプリ32は、コンテンツ表示部31に、サイネージ92の情報と検出日時をリストとして表示する。(図6参照。)この時、通知機能がONであれば、専用アプリ32は、サイネージ92を検出したことを視聴者に通知する事も出来る。
【0071】
視聴者が、携帯端末93のコンテンツ表示部31に表示されたリストからサイネージ92を選択すると、専用アプリ32は、サイネージID及び検出日時をコンテンツ配信サーバ91に送信する。これにより、専用アプリ32は、当該サイネージ92で検出日時前後に表示されていたコンテンツのリストなどのコンテンツの情報を取得し、コンテンツ表示部31に表示する。
【0072】
専用アプリ32は、視聴者がコンテンツ表示部31に表示されたコンテンツリストからコンテンツを選択したことを検出すると、コンテンツ配信サーバ91にコンテンツをリクエストした旨の操作の情報を送信する。専用アプリ32は、コンテンツ配信サーバ91から配信されてきたコンテンツをコンテンツ表示部31に表示する。」
ア 上記【0049】によれば、情報表示システムは、コンテンツ配信サーバ91と、複数のサイネージ92と、視聴者の携帯端末93とを備えている。
イ 上記【0051】によれば、コンテンツ配信サーバ91は、コンテンツ決定部11と、コンテンツDB12と、視聴者プロファイルDB13と、サイネージ設定DB14と、履歴DB15と、検出結果DB16と、を備えている。
ウ 上記【0052】によれば、コンテンツDB12には、コンテンツ本体及び、そのコンテンツに付随する情報として、ID、名称、属性、ジャンル、対象年齢、キーワード(複数)が記録されている。
エ 上記【0054】によれば、サイネージ設定DB14には、各サイネージ92のサイネージ名、設置場所及びコンテンツ内容が含まれるサイネージ情報が格納される。
オ 上記【0056】~【0058】によれば、コンテンツ配信サーバ91は、携帯端末93からサイネージID、携帯端末ID及び検出日時等を含む検出情報の送信があった場合、サイネージIDに該当するサイネージ情報(サイネージ名、設置場所、コンテンツ内容)を配信して、同時に検出結果DB16に、どのサイネージIDをどの携帯端末93がいつ検出したのかを記録し、携帯端末93からサイネージIDと検出日時をもってコンテンツリストのリクエスト等のコンテンツの情報に関連する操作があった場合、履歴DB15に記録されている配信履歴から該当するサイネージ92の検出日時の時に表示されていたコンテンツ及び、前後のコンテンツの名称を携帯端末93に配信し、携帯端末93から特定コンテンツに対するリクエスト等のコンテンツの情報に関連する操作があった場合、該当するコンテンツを携帯端末93に配信する。
カ 上記【0059】によれば、コンテンツ配信サーバ91は、サイネージ92から、コンテンツリクエスト等のコンテンツの情報に関連する操作があった場合、コンテンツをリクエストしているサイネージ92の近隣にいる視聴者を検出結果DB16から特定し、その特定された近隣にいる複数(又は単数)の視聴者のプロファイルに登録されている興味キーワード、興味ジャンルに最も多く重複する特徴を持つコンテンツを配信可能コンテンツから特定し、サイネージ92にそのコンテンツを配信すると同時に、サイネージ設定DB14にコンテンツリクエストの際に送信されてきたサイネージ92の情報を登録又は更新し、配信したコンテンツの履歴を履歴DB15に記録する。
キ 上記【0061】によれば、サイネージ92は、コンテンツ表示部21と、測位部22と、サイネージ設定部25とを備え、サイネージアプリである携帯端末93に備わるアプリと、携帯端末93と接続された大型ディスプレイで構成することができる。
ク 上記【0062】によれば、サイネージ92のサイネージアプリは、サイネージ92毎に設定された間隔でコンテンツ配信サーバ91に対してコンテンツをリクエストする。また、サイネージ92のコンテンツ表示部21は、リクエストに応じてコンテンツ配信サーバ91から配信されてきたコンテンツを表示する。
ケ 上記【0063】によれば、サイネージ92のサイネージ設定部25は、サイネージ92毎の名称、設置場所、設置者、コンテンツ内容説明、表示間隔及び拒否ジャンルの設定を行い、コンテンツ配信サーバ91が個々のサイネージ92の設定に適合したコンテンツを、各サイネージ92に配信可能となるように、上記設定した情報を、サイネージ情報としてコンテンツ配信サーバ91に通知する。
コ 上記【0064】及び【0065】によれば、測位部22には、GPS23が内蔵されており、GPS23の測位したサイネージ92の位置を示すGPS情報及びサイネージ92の名称、設置場所、設置者、コンテンツ内容説明、表示間隔、拒否ジャンルを示す設定情報をコンテンツリクエストの際にコンテンツ配信サーバ91に自動的に送信し、また、測位部22には、携帯端末93がサイネージ92を検出するためのiBeacon24が内蔵されており、専用アプリ32のインストールされた携帯端末93からのBeaconを自動検出して応答し、サイネージIDを送信する。
サ 上記【0067】によれば、携帯端末93は、コンテンツ表示部31と、プロファイル設定部33と、iBeacon34とを備え、プロファイル設定部33及びiBeacon34は専用アプリ32を動作させることで実行し、iBeacon34は、携帯端末93に備わるアプリを動作させることで実現することができる。
シ 上記【0069】によれば、携帯端末93のiBeacon34は、サイネージ92を検出し、サイネージIDを取得すると、専用アプリ32が、コンテンツ配信サーバ91に対して、サイネージの識別子であるサイネージID、携帯端末ID、検出日時を含む検出情報を送信し、コンテンツ配信サーバ91から、そのサイネージ92の名称や、サイネージ92が表示したコンテンツ内容であるサイネージ92の情報を取得する。
ス 上記【0070】~【0072】によれば、携帯端末93の専用アプリ32は、取得したサイネージ92の情報と検出日時を携帯端末93内に記録して、コンテンツ表示部31に、サイネージ92の情報と検出日時をリストとして表示し、視聴者が、リストからサイネージ92を選択し、サイネージID及び検出日時をコンテンツ配信サーバ91に送信することにより、当該サイネージ92で検出日時前後に表示されていたコンテンツのリストなどのコンテンツの情報を取得して、コンテンツ表示部31に表示し、視聴者が、コンテンツリストからコンテンツを選択したことを検出すると、コンテンツ配信サーバ91にコンテンツをリクエストした旨の操作の情報を送信することにより、コンテンツ配信サーバ91から配信されてきたコンテンツをコンテンツ表示部31に表示する。
(2) 引用発明
上記(1)によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
[引用発明]
コンテンツ配信サーバ91と、複数のサイネージ92と、視聴者の携帯端末93とを備える情報表示システムにおいて、
コンテンツ配信サーバ91は、コンテンツ決定部11と、コンテンツDB12と、視聴者プロファイルDB13と、サイネージ設定DB14と、履歴DB15と、検出結果DB16とを備えており、
コンテンツDB12には、コンテンツ本体及び、そのコンテンツに付随する情報として、ID、名称、属性、ジャンル、対象年齢、キーワード(複数)が記録され、
サイネージ設定DB14には、各サイネージ92のサイネージ名、設置場所及びコンテンツ内容が含まれるサイネージ情報が格納され、
コンテンツ配信サーバ91は、携帯端末93からサイネージID、携帯端末ID及び検出日時等を含む検出情報の送信があった場合、サイネージIDに該当するサイネージ情報(サイネージ名、設置場所、コンテンツ内容)を配信して、同時に検出結果DB16に、どのサイネージIDをどの携帯端末93がいつ検出したのかを記録し、携帯端末93からサイネージIDと検出日時をもってコンテンツリストのリクエスト等のコンテンツの情報に関連する操作があった場合、履歴DB15に記録されている配信履歴から該当するサイネージ92の検出日時の時に表示されていたコンテンツ及び、前後のコンテンツの名称を携帯端末93に配信し、携帯端末93から特定コンテンツに対するリクエスト等のコンテンツの情報に関連する操作があった場合、該当するコンテンツを携帯端末93に配信し、
サイネージ92から、コンテンツリクエスト等のコンテンツの情報に関連する操作があった場合、コンテンツをリクエストしているサイネージ92の近隣にいる視聴者を検出結果DB16から特定し、その特定された近隣にいる複数(又は単数)の視聴者のプロファイルに登録されている興味キーワード、興味ジャンルに最も多く重複する特徴を持つコンテンツを配信可能コンテンツから特定し、サイネージ92にそのコンテンツを配信すると同時に、サイネージ設定DB14にコンテンツリクエストの際に送信されてきたサイネージ92の情報を登録又は更新し、配信したコンテンツの履歴を履歴DB15に記録し、
サイネージ92は、コンテンツ表示部21と、測位部22と、サイネージ設定部25とを備え、サイネージアプリである携帯端末93に備わるアプリと、携帯端末93と接続された大型ディスプレイで構成することができ、
サイネージアプリは、サイネージ92毎に設定された間隔でコンテンツ配信サーバ91に対してコンテンツをリクエストし、
コンテンツ表示部21は、リクエストに応じてコンテンツ配信サーバ91から配信されてきたコンテンツを表示し、
サイネージ設定部25は、サイネージ92毎の名称、設置場所、設置者、コンテンツ内容説明、表示間隔及び拒否ジャンルの設定を行い、コンテンツ配信サーバ91が個々のサイネージ92の設定に適合したコンテンツを、各サイネージ92に配信可能となるように、上記設定した情報を、サイネージ情報としてコンテンツ配信サーバ91に通知し、
測位部22には、GPS23が内蔵されており、GPS23の測位したサイネージ92の位置を示すGPS情報及びサイネージ92の名称、設置場所、設置者、コンテンツ内容説明、表示間隔、拒否ジャンルを示す設定情報をコンテンツリクエストの際にコンテンツ配信サーバ91に自動的に送信し、また、測位部22には、携帯端末93がサイネージ92を検出するためのiBeacon24が内蔵されており、専用アプリ32のインストールされた携帯端末93からのBeaconを自動検出して応答し、サイネージIDを送信し、
携帯端末93は、コンテンツ表示部31と、プロファイル設定部33と、iBeacon34とを備え、プロファイル設定部33及びiBeacon34は専用アプリ32を動作させることで実行し、iBeacon34は、携帯端末93に備わるアプリを動作させることで実現することができ、
iBeacon34は、サイネージ92を検出し、サイネージIDを取得すると、専用アプリ32が、コンテンツ配信サーバ91に対して、サイネージの識別子であるサイネージID、携帯端末ID、検出日時を含む検出情報を送信し、コンテンツ配信サーバ91から、そのサイネージ92の名称や、サイネージ92が表示したコンテンツ内容であるサイネージ92の情報を取得し、
専用アプリ32は、取得したサイネージ92の情報と検出日時を携帯端末93内に記録して、コンテンツ表示部31に、サイネージ92の情報と検出日時をリストとして表示し、視聴者が、リストからサイネージ92を選択し、サイネージID及び検出日時をコンテンツ配信サーバ91に送信することにより、当該サイネージ92で検出日時前後に表示されていたコンテンツのリストなどのコンテンツの情報を取得して、コンテンツ表示部31に表示し、視聴者が、コンテンツリストからコンテンツを選択したことを検出すると、コンテンツ配信サーバ91にコンテンツをリクエストした旨の操作の情報を送信することにより、コンテンツ配信サーバ91から配信されてきたコンテンツをコンテンツ表示部31に表示する、情報表示システム。
2 原査定で引用された引用文献
(1) 引用文献A
原査定で引用された引用文献Aには、以下の記載がある。
「【0014】
[情報通信システムの概要]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る情報通信システムの概要を説明するための概略図である。
図1に示す情報通信システム10は、デジタルサイネージ装置1(取得部と送信部とデジタルサイネージ部の一例)と、通信端末3と、サーバ4から構成される。
【0015】
情報通信システム10において、デジタルサイネージ装置1は、表示画面に表示データ(第1のコンテンツ)を表示させる(ステップS1)。またデジタルサイネージ装置1は、表示画面に表示した表示データに対応した送信データを、ビーコン信号に重畳させてアンテナ1aを介して間欠的に通信端末3へ送信する(ステップS2)。表示画面に表示される内容は、時間経過又は表示画面が備える不図示のタッチパネルに対するユーザの操作入力などに応じて、変更可能である。表示画面の表示内容が変更されると、変更後の表示内容に応じてデジタルサイネージ装置1から通信端末3へ送信される送信データも変更される。表示データには例えば広告や案内等についての情報が含まれる。送信データには、その商品の詳細又は購入等に関わる商品情報を識別するための識別情報、若しくは商品情報の識別情報と紐付けられた識別情報が含まれる。
【0016】
例えばデジタルサイネージ装置1ごとに付与される個体識別情報(ビーコンID)を含むビーコン信号を受信した通信端末3は、ビーコン信号に含まれるビーコンIDをネットワーク5を介してサーバ4に転送する(ステップS3)。サーバ4は、ビーコンIDと商品情報を紐付けて格納するデータベースを有しており、受信したビーコンIDに対応する商品情報をそのデータベースから抽出する。そして、サーバ4は、データベースから抽出したビーコンIDに対応する商品情報、すなわちデジタルサイネージ装置1の表示画面の表示内容と関連する情報(第2のコンテンツ)を関連データとして通信端末3に送信する(ステップS4)。
【0017】
サーバ4から関連データを受信した通信端末3は、受信した関連データすなわちデジタルサイネージ装置1の表示画面の表示内容と関連する情報を、通信端末3の表示画面上に表示する(ステップS5)。
【0018】
このように構成された情報通信システム10は、例えばデジタルサイネージ装置1の表示画面に広告として商品の概要を表示し、これと並行してサーバ4から通信端末3にその商品の詳細情報を送信する。その結果、通信端末3の表示画面にその商品の詳細情報が表示される。そのため、デジタルサイネージ装置1の表示画面に表示された商品の概要を見たユーザは、ユーザが携帯する通信端末3に表示された商品の詳細情報を確認することが可能である。
・・・
【0023】
記憶部11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等として用いられる記憶媒体によって構成されている。この記憶部11は、デジタルサイネージ装置1の各部を制御するためのプログラム、パラメータ等を記憶する。加えて、記憶部11は、識別情報(例えばビーコンID)と表示部13に送る表示データとを対応づけて構成されたテーブル11aを記憶している。図1において、ビーコンIDはデジタルサイネージ装置1を識別するための識別情報であると説明したが、ビーコンIDは表示データを表示する装置を識別できればよい。即ち、図2の例では、ビーコンIDによってデジタルサイネージ装置1が識別される。
・・・
【0029】
ここで、デジタルサイネージ装置1から通信端末3を経由してサーバ4に送る識別情報には、必ずしもビーコンIDとサービスIDを含める必要はない。サーバ4が、通信端末3から受信した信号に基づいて、どのデジタルサイネージ装置で何の表示データが表示されているかを特定できればよい。よって、例えばデジタルサイネージ装置1に表示する表示データが一つである場合には、ビーコンIDのみを送ればよい。また、デジタルサイネージ装置1に表示する表示データが一つまたは複数通り存在する場合に、デジタルサイネージ装置1に固有のビーコンIDの代わりに、各表示データに固有のサービスIDのみを送ってもよい。
また、ビーコンIDやサービスIDとは異なる概念の識別情報(ID)を用いてもよい。一例として、駅内などに複数のデジタルサイネージ装置1が配置される場合に、各デジタルサイネージ装置1は設置された駅や位置情報を識別するための識別情報(例えば、ロケーションID)を送信する。ここで、各デジタルサイネージ装置1は、同じ識別情報を含むビーコン信号を送信する。これらのデジタルサイネージ装置1は、それぞれから送信するビーコン信号に含まれる識別情報により、通信端末3に対して駅周辺の地図情報など、同じデータを提供する。このように設定した場合、同一の駅内に配置された複数のデジタルサイネージ装置1に対し、それぞれ個別のビーコンIDやサービスIDを設定する必要がなく、それぞれから送信するビーコン信号により、通信端末3に対して駅周辺の地図情報など、同じデータを提供することが可能となる。
・・・
【0041】
サーバ通信部32は、例えば、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)、携帯電話回線など何らかの通信方式を用いてアクセスポイント6と無線通信し、サーバ4との通信を行う。デジタルサイネージ装置1から送られるビーコン信号に含まれる識別情報は、サーバ通信部32からアクセスポイント6、ネットワーク5を経由してサーバ4に無線送信される。
・・・
【0048】
処理部42は例えばCPU等からなる演算処理装置であり、バスを通じて通信部41及び記憶部43を制御する。この処理部42は、記憶部43から読み出したプログラム、パラメータ等に基づいて、サーバ4内の各部の動作を制御することができる。処理部42は、通信端末3から送信される識別情報(ビーコンID等)に基づいて記憶部43内の関連データDB43aを参照し、その識別データと対応づけられた表示データに関連する情報(関連データ)を抽出する。そして、処理部42は、抽出した表示データに関連する情報を、通信部41、ネットワーク5、アクセスポイント6を経由して通信端末3に送信する。このビーコンID等の解釈は、サーバ4に搭載されたOS若しくはアプリケーションが実行する。
・・・
【0050】
ビーコンIDフィールド61には、ビーコン信号を送信する手段であるビーコン信号送信部14を識別するビーコンIDが格納される。ビーコンIDにより、デジタルサイネージ装置1が一意に識別される。サービスIDフィールド62には、広告や案内等についての情報ごとに付与されるサービスIDが格納される。
【0051】
関連データフィールド63には、関連データとしての、広告や案内等についての情報(第1のコンテンツ)に関連する情報(第2のコンテンツ)が格納される。
・・・
【0057】
次に、制御部12は、所定の入力があったかどうかを判定する(ステップS13)。所定の入力、即ち表示データ及び識別情報を変更する旨の指示があった場合には、制御部12はステップS11に進み、その指示に応じて表示データ及び識別情報を再度設定する。所定の入力とは、例えば図4に例示したクロック入力、図5に例示したユーザの操作入力である。所定の入力がない場合には、制御部12はステップS12に進み、表示データの表示及びビーコン信号の送信を継続する。
・・・
【0074】
さらに、ビーコン信号の送信範囲を広く設定することで、デジタルサイネージ装置1を正確に目視できない位置にいる利用者に対しても、ビーコンID等を含むビーコン信号の送信による情報提供ができる。例えば、『この先の○○において、新製品のサイネージ広告を表示中』のような情報を、ビーコン信号を利用して通信端末3に表示して利用者をデジタルサイネージ装置1へ誘導する、という構成も可能となる。」
(2) 引用文献B
原査定で引用された引用文献Bには、以下の記載がある。
「【0029】また、Webホームページ上でメニューを閲覧し、商品の購入及び情報の提供を受ける利用者(適宜、閲覧者と記載する)が使用する汎用コンピュータ6は、同様の機能を備えたワードプロセッサでも良い。このようなワードプロセッサでは、以下の説明をそのまま適用して、その同様な動作を実行できる。また、インターネットアクセスが可能なテレビジョン装置でも、汎用コンピュータ6と以下同様に動作する。なお、テレビジョン装置をモニタ装置と利用し、かつ、ブラウザを搭載した携帯電話機との組み合わせの構成も汎用コンピュータ6と以下同様に動作する。」
(3) 引用文献C
原査定で引用された引用文献Cには、以下の記載がある。
「【0086】
さらに、図4の例では、一つの携帯端末206に一つの機器を接続する例を示したが、これに限らず、一つの携帯端末206に複数の機器を接続するものとしてもよい。例えば、サイネージパネルと放射能センサとを一つの携帯端末206に接続して、放射能拡散地域に配置するように要請情報を構成すれば、放射能データの充足を図ると同時に、その配置場所に応じた避難経路をそのサイネージパネルに表示させておくことができる。また、例えば、カメラとモニタとを携帯端末206に接続して避難所に設置することにより、避難所の状態把握とその避難所への情報提供とを同時に行うこともできる。
【0087】
また、一つの携帯端末206に、防犯表示モニタ、望遠カメラ、放射能センサ、マイク、モニタ用タッチパネルなど、必要に応じて多数の機器やセンサを接続して、情報の提供と収集とを効率的に行うようにすることもできる。」
第6 当審拒絶理由についての判断
1 本願発明1について
(1) 対比
ア 引用発明の「コンテンツ本体」が記録された「コンテンツDB12」を備える「コンテンツ配信サーバ91」は、コンテンツ(提供情報)を蓄積しているといえるから、本願発明1の「広告、案内、説明、ニュース、災害情報その他の提供情報が蓄積されたサーバー」と、「提供情報が蓄積されたサーバー」である点で共通する。
イ 引用発明の「サイネージ92」は、「コンテンツ表示部21」を備え、「コンテンツ配信サーバ91から配信されてきたコンテンツを表示」しているから、コンテンツ(情報)を表示(提供)する「情報提供端末」ということができる。また、引用発明の「コンテンツ配信サーバ91」は、「各サイネージ92のサイネージ名、設置場所及びコンテンツ内容が含まれるサイネージ情報」が格納される「サイネージ設定DB14」を備えているから、引用発明の「サイネージ92」は、「所定のロケーションに設置され前記サーバーに接続されて前記サーバーにより前記ロケーションが特定される」ものであるということができる。さらに、引用発明の「コンテンツ配信サーバ91」は、「サイネージ92から、コンテンツリクエスト等のコンテンツの情報に関連する操作があった場合、コンテンツをリクエストしているサイネージ92の近隣にいる視聴者を検出結果DB16から特定し、その特定された近隣にいる複数(又は単数)の視聴者のプロファイルに登録されている興味キーワード、興味ジャンルに最も多く重複する特徴を持つコンテンツを配信可能コンテンツから特定し、サイネージ92にそのコンテンツを配信する」ものであるから、引用発明の「サイネージ92」は、「所定のロケーションに応じた前記提供情報を前記サーバーから受信して提供する」ものであるということができる。
したがって、引用発明の複数の「サイネージ92」は、本願発明1の「所定のロケーションに設置され前記サーバーに接続されて前記サーバーにより前記ロケーションが特定されると共に前記所定のロケーションに応じた前記提供情報を前記サーバーから受信して提供する複数の情報提供端末」に相当する。
ウ 引用発明の「視聴者の携帯端末93」は、「ユーザー端末」といえる。また、引用発明の「視聴者の携帯端末93」が備える「iBeacon34」は、「サイネージ92を検出し、サイネージIDを取得する」ものであるところ、「iBeacon」は、Apple社がサービスを提供するBLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンの一種であるから、引用発明の「視聴者の携帯端末93」は、「サイネージ92」と無線通信することができるものである。
したがって、引用発明の「視聴者の携帯端末93」は、本願発明1の「前記複数の情報提供端末のうちの少なくとも一つと無線通信することができるユーザー端末」に相当する。
エ 上記ア~ウによれば、引用発明の「コンテンツ配信サーバ91」、「複数のサイネージ92」及び「視聴者の携帯端末93」を備えた「情報表示システム」は、後述の相違点を除き、本願発明1の「サーバー」、「複数の情報提供端末」及び「ユーザー端末」を備えた「情報提供システム」に相当する。
オ 引用発明の「コンテンツ配信サーバ91」は、「視聴者の携帯端末93」に「サイネージIDに該当するサイネージ情報(サイネージ名、設置場所、コンテンツ内容)を配信」するから、「サイネージID」は、個々の「サイネージ92」の「サイネージ名、設置場所」等の情報と対応付けられているものである。そうすると、「サイネージID」は、サイネージ92を識別する識別情報であるといえる。
また、引用発明の「サイネージ92」の「測位部22」には、「携帯端末93がサイネージ92を検出するためのiBeacon24が内蔵されており、専用アプリ32のインストールされた携帯端末93からのBeaconを自動検出して応答し、サイネージIDを送信」しているから、複数の「サイネージ92」は、「各々自らの識別情報を発信する識別情報発信手段」を備え、「自らの識別情報を発信する」ものであるといえる。
そして、引用発明では、「コンテンツ配信サーバ91」が「コンテンツ」を「携帯端末93」に配信(送信)するのであって、「サイネージ92」が「コンテンツ」を「携帯端末93」に配信(送信)することはない。
そうすると、引用発明の複数の「サイネージ92」は、「各々自らの識別情報を発信する識別情報発信手段」を備え、「自らの識別情報を発信する」が、「コンテンツ」を「携帯端末93」に配信(送信)することはないことと、本願発明1の「前記複数の情報提供端末は、各々自らの識別情報を常時発信する識別情報発信手段を備え、前記ユーザー端末に対しては自ら直接前記提供情報の送信は行うことなく前記識別情報発信手段により前記識別情報のみを送信」することとは、「前記複数の情報提供端末は、各々自らの識別情報を発信する識別情報発信手段を備え、前記ユーザー端末に対しては自ら直接前記提供情報の送信は行うことなく前記識別情報発信手段により前記識別情報のみを送信」する点で共通する。
カ 引用発明の「携帯端末93」において、「iBeacon34は、サイネージ92を検出し、サイネージIDを取得すると、専用アプリ32が、コンテンツ配信サーバ91に対して、サイネージの識別子であるサイネージID、携帯端末ID、検出日時を含む検出情報を送信」するものであるから、引用発明の「携帯端末93」は、本願発明1と同様、「前記情報提供端末が発信する前記識別情報を受信して前記サーバーに受信した前記識別情報を送信」するものである。
そして、引用発明の「コンテンツ配信サーバ91」は、「携帯端末93からサイネージID、携帯端末ID及び検出日時等を含む検出情報の送信があった場合、サイネージIDに該当するサイネージ情報(サイネージ名、設置場所、コンテンツ内容)を配信し」、「携帯端末93からサイネージIDと検出日時をもってコンテンツリストのリクエスト等のコンテンツの情報に関連する操作があった場合、履歴DB15に記録されている配信履歴から該当するサイネージ92の検出日時の時に表示されていたコンテンツ及び、前後のコンテンツの名称を携帯端末93に配信し」、「携帯端末93から特定コンテンツに対するリクエスト等のコンテンツの情報に関連する操作があった場合、該当するコンテンツを携帯端末93に配信」するものであるから、本願発明1と同様、「前記ユーザー端末から送信された前記識別情報により前記ロケーションに設置された前記情報提供端末を特定した上で、前記特定された情報提供端末が提供すべき前記提供情報を前記ユーザー端末に送信する」ものである。
以上によれば、本願発明1と引用発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
[一致点]
提供情報が蓄積されたサーバーと、所定のロケーションに設置され前記サーバーに接続されて前記サーバーにより前記ロケーションが特定されると共に前記所定のロケーションに応じた前記提供情報を前記サーバーから受信して提供する複数の情報提供端末と、前記複数の情報提供端末のうちの少なくとも一つと無線通信することができるユーザー端末とを備えた情報提供システムであって、前記複数の情報提供端末は、各々自らの識別情報を発信する識別情報発信手段を備え、前記ユーザー端末に対しては自ら直接前記提供情報の送信は行うことなく前記識別情報発信手段により前記識別情報のみを送信し、前記ユーザー端末は、前記情報提供端末が発信する前記識別情報を受信して前記サーバーに受信した前記識別情報を送信し、前記サーバーは前記ユーザー端末から送信された前記識別情報により前記ロケーションに設置された前記情報提供端末を特定した上で、前記特定された情報提供端末が提供すべき前記提供情報を前記ユーザー端末に送信する情報提供システム。
[相違点]
[相違点1]
サーバーに蓄積された提供情報について、本願発明1は、「広告、案内、説明、ニュース、災害情報その他の提供情報」であるのに対し、引用発明は、どのような提供情報であるのか不明な点。
[相違点2]
複数の情報提供端末が備える各々自らの識別情報を発信する識別情報発信手段について、本願発明1は、識別情報を常時発信するのに対し、引用発明は、識別情報を発信するものの、常時発信するものであるのか否か不明な点。
[相違点3]
提供情報の送信について、本願発明1は、「ユーザー端末の現在位置に対応する」情報提供端末が提供すべき提供情報をユーザー端末に送信するのに対し、引用発明は、ユーザー端末(携帯端末93)から送信される「サイネージIDと検出日時」をもって選択される提供情報(コンテンツ)をユーザー端末に送信する点。
[相違点4]
ユーザー端末について、本願発明1は、「前記ユーザー端末と前記情報提供端末との距離に応じて、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)により、前記識別情報を受信する」のに対し、引用発明は、そのような特定がない点。
(2) 判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用発明において、「サーバー」(コンテンツ配信サーバ91)に蓄積された提供情報(コンテンツ)をどのような提供情報とするかは、適宜決定し得る設計的な事項にすぎない。
なお、引用文献1には、「街角、駅、商店街などのスペースにおいて、様々な情報(広告を中心としたプロモーション用コンテンツ)を表示するデジタルサイネージが普及している。」(上記第5の1の【0002】)と記載されているように、引用発明の提供情報としては、広告が想定されており、それ以外に、「案内、説明、ニュース、災害情報その他」を含めることも、「情報提供端末」(サイネージ92)の使用目的に応じて、適宜決定し得る選択的事項である。
したがって、引用発明において、相違点1の構成を採用することは、当業者であれば容易に想到し得る事項である。
イ 相違点2について
上記1(1)ウのとおり、引用発明の「携帯端末93」が備える「iBeacon34」は、「サイネージ92を検出し、サイネージIDを取得する」ものであるところ、「iBeacon」は、Apple社がサービスを提供するBLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンの一種であって、ビーコンのID(識別情報)を常時発信しているものであると認められる。
そうすると、引用発明において、サイネージ92がサイネージID(識別情報)を常時発信するように構成することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。
ウ 相違点3について
引用発明は、「携帯端末93」が、ある位置で検出した「サイネージ92」のサイネージID及び検出日時を「コンテンツ配信サーバ91」に送信することにより、「コンテンツ配信サーバ91」から取得したコンテンツリストを取得し、コンテンツリストからコンテンツを選択することによって、上記ある位置で検出した「サイネージ92」が表示していたコンテンツが配信(送信)される、いわゆる手動によって提供情報の送信を行うものである。
しかしながら、引用発明のように、手動で提供情報の送信を行うか、あるいは、本願発明1のように、「ユーザー端末の現在位置に対応する」情報提供端末が提供すべき提供情報をユーザー端末に送信、すなわち、自動で提供情報の送信を行うかは、必要に応じて適宜決定し得る設計的事項であり、引用発明において、自動で提供情報の送信を行うように構成することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。
(具体的には、引用発明において、ユーザー端末(携帯端末93)から送信される「サイネージIDと検出日時」をもってコンテンツを選択する代わりに、「ユーザー端末(携帯端末93)」の「iBeacon34」が「サイネージ92を検出し、サイネージIDを取得すると、専用アプリ32が、コンテンツ配信サーバ91に対して、サイネージの識別子であるサイネージID、携帯端末ID、検出日時を含む検出情報を送信」した時点で、視聴者に「サイネージIDと検出日時」を選択させることなく、コンテンツ(提供情報)を送信するように構成することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。)
エ 相違点4について
「ユーザー端末」が「前記ユーザー端末と前記情報提供端末との距離に応じて、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)により、前記識別情報を受信する」ことは、上記引用文献1に記載も示唆もなく、本願優先日当時、周知技術であったということもできない。
そして、本願発明1は、相違点4の構成を備えることによって、「Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)を使用することにより、近年のモバイル端末等が通常備える機能をそのまま利用して、識別情報を発信することができるので、例えば、小型で、比較的安価なモバイル通信端末やその他の小型の通信ノード等を、情報提供端末として使用することができ、簡易に、かつ、低コストで、情報提供システムを構築することができる実益があり、情報提供端末の設置者(設置箇所の責任者)にも、大きな負担を掛けることがないため、抵抗なく情報提供端末を設置することができるため、より多くの広告等の情報提供の機会を確保することができる実益がある。即ち、情報提供端末は、ユーザーへの情報の発信としては自らの識別情報をこれらの無線通信により常時発信しているのみであり、これを近傍に存在するユーザー端末が受信して処理が開始されるものであり、通信に大きな負担が掛かることはない。この場合、より具体的には、例えば、情報提供端末から、5メートル以内の距離にあるユーザー端末にはBluetooth(登録商標)により、また、5メートル以上25メートル以内の距離にあるユーザー端末に対しては、Wi-Fi(登録商標)により、識別情報を受信させることができ、距離や通信強度に応じた適切な通信を行うことができる。」(本願明細書の【0022】)という顕著な効果を奏するものである。
したがって、引用発明において、相違点4に係る構成を採用することは、当業者であっても容易に想到し得るものではない。
(3) 小括
以上によれば、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2~5について
本願発明2~5は、上記第4のとおり、本願発明1に構成を付加し限定したものであるから、引用発明と対比すると、上記1(1)で説示した[相違点]を有するものである。
そうすると、本願発明2~5も、上記1(2)と同様の理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 本願発明6~10について
本願発明6(情報提供方法)は、上記第4のとおり、本願発明1(情報提供システム)と発明のカテゴリーが異なるのみであって、実質的に相違するものではない。
そうすると、上記1(2)のとおり、本願発明1が、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本願発明6も、引用文献1から方法の発明として認定される発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本願発明7~10は、上記第4のとおり、本願発明6に構成を付加し限定したものであるから、本願発明6が、引用文献1から方法の発明として認定される発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本願発明7~10も、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4 当審拒絶理由についてのまとめ
上記1~3のとおり、本願発明1~10は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第7 原査定についての判断
原査定は、上記第2のとおり、本件補正前の請求項1~12に係る発明は、引用文献A~Cに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
しかしながら、本件補正により補正された請求項1~5に係る発明は、上記第6の1及び2のとおり、「ユーザー端末」が「前記ユーザー端末と前記情報提供端末との距離に応じて、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)により、前記識別情報を受信する」構成を備え、本件補正により補正された請求項6~10に係る発明も、対応する構成を備えているところ、これらの構成は、引用文献A~Cには記載されておらず、当業者にとって自明なものでもない。
そうすると、本件補正により補正された請求項1~10に係る発明は、引用文献A~Cに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、当審拒絶理由及び原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-019275