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特許拒絶査定不服審判

2022-017921

端末、無線通信方法及びシステム

審判番号
2022-017921
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-564234外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年11月08日
審決日
2024年03月18日
公報発行日
2024年06月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H04B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-564234「端末、無線通信方法及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔令和元年 7月18日国際公開、WO2019/138531〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 12項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、2018年(平成30年)1月12日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は概略、以下のとおりである。

令和3年 4月28日 :手続補正書の提出
令和4年 2月 4日付け:拒絶理由通知書

4月 8日 :意見書、手続補正書の提出

8月 5日付け:拒絶査定

11月 8日 :審判請求書の提出

令和5年 8月31日付け:拒絶理由通知書

11月 2日 :意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明

本願の請求項1~3に係る発明は、令和5年11月2日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「 【請求項1】
物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)を介してビーム障害回復要求を送信する送信部と、
前記ビーム障害回復要求に対する応答信号を受信する受信部と、
前記ビーム障害回復要求の送信後から前記応答信号を受信するまでの期間において、前記応答信号のために利用される制御リソースセット(CORESET)に関連する物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)をモニタするよう制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、ビーム障害前に複数のCORESET構成が設定されている場合であっても、前記期間において、前記CORESETに対応するPDCCH以外のPDCCHをモニタしないよう制御し、前記CORESETは、前記複数のCORESET構成のうちの1つのCORESET構成に関するCORESETである、端末。」

第3 拒絶の理由

令和5年8月31日付けの当審で通知した拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)は、次のとおりのものである。

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項1-3

・引用文献1、2

<引用文献等一覧>

1.vivo, Remaining details on mechanism to recover from beam failure[online],3GPP TSG RAN WG1 Meeting #91 R1-1719770,2017年11月18日,[検索日:2023.08.22],Internet <URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_91/Docs/R1-1719770.zip>

2.Nokia,Nokia Shanghai Bell,Beam Recovery in NR[online],3GPP TSG-RAN WG1 meeting #91 R1-1720891,2017年11月18日,[検索日:2023.08.22],Internet <URL:https://www.3gpp.org/ftp/TSG_RAN/WG1_RL1/TSGR1_91/Docs/R1-1720891.zip>

第4 引用文献の記載及び引用発明

1 引用文献1

(1)当審拒絶理由で引用された引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、強調のため当審で付したものであり、以下同様である。)。

ア 2葉29行~35行

「Agreement:
・ gNB response is transmitted via a PDCCH addressed to C-RNTI
- FFS: DCI format for gNB response
・ Dedicated CORESET(s) is applied for monitoring gNB response for BFRQ.The CORESET is down-selected from the following two alternatives:
- Alt 1: the same CORESET (s) as before beam failure
- Alt 2: dedicatedly configured CORESET for beam failure recovery.」

(当審訳:

合意事項:

・gNB応答は、C-RNTI宛てのPDCCHを介して送信されます。

-FFS:gNBレスポンスのDCIフォーマット

・BFRQのgNB応答をモニタリングするために専用CORESET(s)が適用されます。そのCORESETは以下の2つの選択肢から選択されます:

-Alt 1:ビーム障害発生前と同じCORESET(s)

-Alt 2:ビーム障害復旧専用に設定されたCORESET)

イ 3葉47行~4葉10行

「2.3.Beam failure recovery request
From the agreement in RAN1 NR#3 meeting, there is a triggering condition for beam failure recovery request transmission. For this triggering condition, if beam correspondence at UE exists and the DL candidate beam is identified, beam failure recovery request transmission can use the UL Tx beam corresponding to the DL Rx beam for candidate beam. Otherwise if there is not beam correspondence at UE, the UL Tx beam sweeping or UL Rx beam sweeping for beam failure recovery request transmission can be applied.
Both non-contention based PRACH resources and PUCCH are supported for beam failure recovery request transmission. As the bearing capbility of PRACH is limited, multiple candidate beams reporting at the same instant may be restricted by PRACH resources. The bearing capability of PUCCH is larger than PRACH. However, similar as PRACH, the bearing capability of PUCCH is also limited, multiple candidate beams reporting at the same instant will cause additional control overhead. If both PUCCH and PRACH are configured, two channels should be used for transmission simultaneously. The use case for PUCCH is that when beam correspondence does not hold, PUCCH still uses the original beam for quick notice to network of the beam failure event. PRACH should also be used because UE does not know whether PUCCH is working or not.」

(当審訳:

2.3.ビーム障害回復要求

RAN1 NR#3会合での合意から、ビーム障害回復要求送信にはトリガー条件があります。このトリガー条件では、UEでのビーム対応が存在し、DL候補ビームが識別された場合、ビーム障害回復要求の送信では、候補ビームのDL Rxビームに対応するUL Txビームを使用できます。そうでなく、UEでのビーム対応が存在しない場合は、UL Txビーム掃引またはUL Rxビーム掃引を適用してビーム障害回復要求を送信します。

非競合ベースのPRACHリソースとPUCCHの両方が、ビーム障害回復要求の送信に対してサポートされます。PRACHのベアリング能力は限られているため、同じ瞬間に報告される複数の候補ビームはPRACHリソースによって制限される可能性があります。PUCCHのベアリング能力はPRACHよりも大きいです。しかし、PRACHと同様に、PUCCHのベアリング能力にも制限があるため、同じ瞬間に複数の候補ビームが報告されると、追加の制御オーバヘッドが発生します。PUCCHとPRACHの両方が設定されている場合、2つのチャネルを同時に送信に使用する必要があります。PUCCHのユースケースは、ビーム対応が保持されない場合でも、PUCCHは元のビームを使用し、ビーム障害イベントをネットワークに迅速に通知することです。UEはPUCCHが機能しているかどうかを知らないため、PRACHも使用する必要があります。)

ウ 4葉46行~5葉7行

「2.4.gNB response for beam failure recovery request
It was agreed that a dedicated CORESET for a UE is RRC configured to monitor gNB response for beam failure recovery request, and this dedicated CORESET is spatial QCL-ed with DL RS of the UE-identified candidate beam in the beam failure recovery request. The time window to monitor gNB response is determined by a fixed time offset and the RRC configurable time duration starting from the fixed time offset.The dedicated CORESET can be configured as one of the current CORESETs without spatial QCL assumption or be a newly configured CORESET. After the beam failure recovery request is transmitted, UE monitors the dedicated CORESET for gNB response on the candidate beam.
During the time window to monitor the dedicated CORESET for gNB response, UE does not need to monitor the CORESET(s) configured prior to beam failure. If the beam failure recovery is unsuccessful, e.g. the beam failure recovery request reaches the maximum number of transmissions or beam failure recovery timer expires, from the point of view of power saving and acceleration of RRC re-establishment, UE does not need to continue monitoring the CORESET(s) configured prior to beam failure and just wait for RLF declaration of higher layers after UE sends an indication to higher layers. In other words, if there is aperiodic indication based on failure of beam recovery procedure, UE does not need maintain the connection.」

(当審訳:

2.4.ビーム障害回復要求に対するgNB応答

UEの専用CORESETは、ビーム障害回復要求に対するgNB応答をモニタするためにRRC設定され、この専用CORESETは、ビーム障害回復要求においてUEが特定した候補ビームのDL RSと空間QCL接続されることが合意されています。gNB応答をモニタする時間ウィンドウは、固定時間オフセットと、固定時間オフセットから始まるRRC設定可能な継続時間によって決定されます。専用CORESETは、空間QCLを仮定しない現在のCORESETsの1つとして設定するか、または新たに設定するCORESETとすることができます。ビーム障害回復要求が送信された後、UEは候補ビームでのgNB応答の専用CORESETをモニタします。

gNB応答の専用CORESETをモニタする時間ウィンドウ中、ビーム障害前に設定されたCORESET(s)をモニタする必要はありません。ビーム障害回復が失敗した場合(例えば、ビーム障害回復要求が最大送信数に達した場合、またはビーム障害回復タイマーが切れた場合)、省電力およびRRC再確立の高速化の観点から、UEはビーム障害前に設定されたCORESET(s)のモニタを継続する必要はなく、UEが上位レイヤに指示を送信した後、上位レイヤのRLF宣言を待つだけでよいです。言い換えれば、ビーム回復手順の失敗に基づく非周期的な指示があった場合、UEは接続を維持する必要がありません。)

エ 5葉42行~44行

「3.Conclusion
In this contribution, the mechanism to recover from beam failure is discussed, and the following proposals are given:」

(当審訳:

3.結論

この寄稿では、ビーム障害回復メカニズムが議論され、次の提案が示されています。)

(2)引用発明

前記(1)アの「BFRQ」が「beam failure recovery request」(当審訳における「ビーム障害回復要求」)を省略した用語であることは明らかである。

よって、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「UEでのビーム対応が存在し、DL候補ビームが識別された場合、ビーム障害回復要求の送信では、候補ビームのDL Rxビームに対応するUL Txビームを使用でき、非競合ベースのPRACHリソースとPUCCHの両方が、ビーム障害回復要求の送信に対してサポートされ、(前記(1)イ)
gNB応答は、C-RNTI宛てのPDCCHを介して送信され、ビーム障害回復要求のgNB応答をモニタリングするために専用CORESET(s)が適用され、そのCORESETはビーム障害発生前と同じCORESET(s)とすることが選択され、(前記(1)ア)
gNB応答をモニタする時間ウィンドウは、固定時間オフセットと、固定時間オフセットから始まるRRC設定可能な継続時間によって決定され、専用CORESETは、空間QCLを仮定しない現在のCORESETsの1つとして設定することができ、(前記(1)ウ)
ビーム障害回復要求が送信された後、UEは候補ビームでのgNB応答の専用CORESETをモニタし、(前記(1)ウ)
gNB応答の専用CORESETをモニタする時間ウィンドウ中、ビーム障害前に設定されたCORESET(s)をモニタする必要はない、(前記(1)ウ)
ビーム障害回復メカニズム(前記(1)エ)」

2 引用文献2

(1)当審拒絶理由で引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。

ア 5葉11行~30行

「2.6 Monitoring gNB response for BFRQ
Agreements:
・ Support RRC configuration of a time duration for a time window and a dedicated CORESET for a UE to monitor gNB response for beam failure recovery request.
○ UE assumes that the dedicated CORESET is spatial QCL’ed with DL RS of the UE-identified candidate beam in the beam failure recovery request.
続きを表示(全11行)
○ FFS: multiple dedicated CORESETs can be configured to a UE, where each CORESET can have different spatial QCL configuration
○ Note: the time window is determined by a fixed time offset defined in the spec with respect to beam failure recovery request transmission and the RRC configurable time duration starting from the fixed time offset.
■ FFS the value of fixed time offset k (slots).
■
When UE is not monitoring the CORESET which is spatially QCL'd with the indicated candidate beam (SSB/CSI-RS) for BFRQ response, it should monitor the CORESET with QCL assumption that was monitoring prior to beam failure.
For monitoring the gNB response same approach could be followed as defined for monitoring RAR response (36/38.321). The value k could be fixed in the specification so that UE starts the monitoring window on the next slot after the slot used for the transmission of BFRQ. E.g. if BFRQ is transmitted on slot k=0, monitoring initiates on slot k=1.
Proposal 9 : fix the value of k in specification, k=1.」

(当審訳:

2.6 BFRQに対するgNB応答のモニタリング

合意事項:

・ UEがビーム障害回復要求に対するgNB応答をモニタするために、時間ウィンドウの持続時間と専用CORESETのRRC設定をサポートします。

○ UEは、専用CORESETが、ビーム障害回復要求でUEが特定した候補ビームのDL RSと空間QCLされていると仮定します。

○ FFS:1つのUEに複数の専用CORESETを設定でき、各CORESETは異なる空間QCL設定を持つことができます。

○ 注:時間ウィンドウは、ビーム障害回復要求送信に関する仕様で定義された固定時間オフセットと、固定時間オフセットを起点とするRRC設定可能な持続時間によって決定されます。

■ FFS 固定時間オフセットk(スロット)の値

■

UEは、BFRQ応答のために、指示された候補ビーム(SSB/CSI-RS)と空間的にQCLされたCORESETをモニタしていない場合、ビーム障害前にモニタしていたQCL前提のCORESETをモニタする必要があります。

gNB応答のモニタについては、RAR応答のモニタ(36/38.321)と同じアプローチが可能です。UEがBFRQの送信に使用されたスロットの次のスロットで監視ウィンドウを開始するように、値kを仕様で固定することができます。例えば、BFRQがスロットk=0で送信された場合、モニタリングはスロットk=1で開始されます。

提案9:仕様でkの値を固定し、k=1とする。)

(2)引用文献2記載事項

折りたたみ中(クリックで表示)

上記記載において、「BFRQ」が「beam failure recovery request」(当審訳における「ビーム障害回復要求」)を省略した用語であることは明らかである。

よって、引用文献2には、「ビーム障害回復要求に対するgNB応答のモニタリングについて、時間ウィンドウは、固定時間オフセットと、固定時間オフセットを起点とするRRC設定可能な持続時間によって決定され、固定時間オフセットkをk=1として、ビーム障害回復要求の送信に使用されたスロットの次のスロットで監視ウィンドウを開始すること」が記載されていると認められる。

第5 対比

本願発明と引用発明とを対比する。

1 「端末」について

引用発明の「UE」は、本願発明の「端末」に相当する。

2 「物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)を介してビーム障害回復要求を送信する送信部」について

引用発明において、「ビーム障害回復要求の送信では」、「UL Txビームを使用でき」るから、ビーム障害回復要求は、UEが送信するものである。そして、UEが送信部を有し、送信部が信号を送信することは、本願発明及び引用発明の技術分野において、技術常識である。

また、引用発明は、「非競合ベースのPRACHリソース」が、「ビーム障害回復要求の送信に対してサポートされ」ている。

よって、本願発明と引用発明とは、「物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)を介してビーム障害回復要求を送信する送信部」を有する点で一致する。

3 「前記ビーム障害回復要求に対する応答信号を受信する受信部」について

引用発明の「ビーム障害回復要求のgNB応答」は、本願発明の「ビーム障害回復要求に対する応答信号」に相当する。

そして、引用発明において、「gNB応答は、C-RNTI宛てのPDCCHを介して送信され」、UEは「gNB応答の専用CORESETをモニタ」するから、gNB応答はUEが受信するものであり、UEが受信部を有し、受信部において信号を受信することは、当該技術分野において、技術常識である。

よって、本願発明と引用発明とは、「前記ビーム障害回復要求に対する応答信号を受信する受信部」を有する点で一致する。

4 「前記ビーム障害回復要求の送信後から前記応答信号を受信するまでの期間において、前記応答信号のために利用される制御リソースセット(CORESET)に関連する物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)をモニタするよう制御する制御部」について

引用発明において、「固定時間オフセットと、固定時間オフセットから始まるRRC設定可能な継続時間によって決定され」る「時間ウィンドウ」は、「gNB応答をモニタ」する期間であるから、本件発明の「前記ビーム障害回復要求の送信後から前記応答信号を受信するまでの期間」とは、「所定期間」である点で共通する。

また、引用発明において、「ビーム障害回復要求のgNB応答をモニタリングするために」適用される「専用CORESET(s)」は、「応答信号のために利用される制御リソースセット(CORESET)」に相当する。

そして、引用発明は、「gNB応答は、C-RNTI宛てのPDCCHを介して送信され」るものであり、ここで、CORESETはPDCCHを送信するように設計された物理リソースであることは、当該技術分野において技術常識であるから、引用発明は、「応答信号のために利用される制御リソースセット(CORESET)に関連する物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)をモニタ」するものといえる。

さらに、UEが制御部を有し、制御部がUEの動作を制御することは、当該技術分野において、技術常識である。

よって、本願発明と引用発明とは、「所定期間において、前記応答信号のために利用される制御リソースセット(CORESET)に関連する物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)をモニタするよう制御する制御部」を有する点で一致する。

5 「前記制御部は、ビーム障害前に複数のCORESET構成が設定されている場合であっても、前記期間において、前記CORESETに対応するPDCCH以外のPDCCHをモニタしないよう制御し、前記CORESETは、前記複数のCORESET構成のうちの1つのCORESET構成に関するCORESETである」について

(1)引用発明は、「ビーム障害回復要求のgNB応答をモニタリングするために専用CORESET(s)が適用され、そのCORESETはビーム障害発生前と同じCORESET(s)とすることが選択され」、「専用CORESETは、空間QCLを仮定しない現在のCORESETsの1つとして設定する」ものである。

そうすると、「専用CORESET」は、「ビーム障害発生前と同じCORESET」であると共に、「現在のCORESETsの1つとして設定することができ」るものであるから、「現在のCORESETs」、すなわち、現在の複数のCORESETは、ビーム障害発生前のCORESETであるということができ、引用発明は、ビーム障害発生前のCORESETについて、複数のCORESETが設定されていることを含んでいる。

また、CORESETがCORESET構成により構成されることは、当該技術分野において、技術常識である。

よって、引用発明は、ビーム障害発生前のCORESETについて、複数のCORESET、すなわち複数のCORESET構成が設定されることが想定されているといえる。

さらに、引用発明は、「gNB応答の専用CORESETをモニタする時間ウィンドウ中、ビーム障害前に設定されたCORESET(s)をモニタする必要はない」から、時間ウィンドウ中、専用CORESETはモニタし、専用CORESET以外のビーム障害前に設定されたCORESET(s)はモニタしない、ものである。

そして、gNB応答は「PDCCHを介して送信され」るものであり、CORESETはPDCCHを送信するように設計された物理リソースであるから、gNB応答の専用CORESETをモニタすることは、専用CORESETに対応するPDCCHをモニタすることに対応し、専用CORESET以外のビーム障害前に設定されたCORESET(s)をモニタしないことは、専用CORESETに対応するPDCCH以外のPDCCHをモニタしないことに対応する。

ここで、「専用CORESETに対応するPDCCHをモニタすること」、及び「専用CORESETに対応するPDCCH以外のPDCCHをモニタしないこと」は、「ビーム障害発生前のCORESETについて、複数のCORESET、すなわち複数のCORESET構成が設定される」場合であっても、同様であると解される。

よって、本願発明と引用発明とは、前記4を踏まえれば、「ビーム障害前に複数のCORESET構成が設定されている場合であっても、前記期間において、前記CORESETに対応するPDCCH以外のPDCCHをモニタしないよう制御し」である点で一致する。

(2)引用発明の「専用CORESET」は、「現在のCORESETs」、すなわち、現在の複数のCORESET、の1つとして設定されるものであり、前記(1)のとおり、現在の複数のCORESETは、ビーム障害発生前のCORESETということができる。

そして、CORESETがCORESET構成により構成されることは、当該技術分野において、技術常識である。

そうすると、本願発明と引用発明とは、「前記CORESETは、前記複数のCORESET構成のうちの1つのCORESET構成に関するCORESETである」点で一致する。

(3)前記4のとおり、UEが制御部を有し、制御部がUEの動作を制御することは、当該技術分野において、技術常識である。

よって、前記(1)、(2)より、本願発明と引用発明とは、「前記制御部は、ビーム障害前に複数のCORESET構成が設定されている場合であっても、前記期間において、前記CORESETに対応するPDCCH以外のPDCCHをモニタしないよう制御し、前記CORESETは、前記複数のCORESET構成のうちの1つのCORESET構成に関するCORESETである」点で一致する。

6 一致点、相違点

以上より、本願発明と引用発明とは、次の点で一致し、相違するといえる。

(一致点)

「物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)を介してビーム障害回復要求を送信する送信部と、
前記ビーム障害回復要求に対する応答信号を受信する受信部と、
所定期間において、前記応答信号のために利用される制御リソースセット(CORESET)に関連する物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)をモニタするよう制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、ビーム障害前に複数のCORESET構成が設定されている場合であっても、前記期間において、前記CORESETに対応するPDCCH以外のPDCCHをモニタしないよう制御し、前記CORESETは、前記複数のCORESET構成のうちの1つのCORESET構成に関するCORESETである、端末。」

(相違点)

相違点1

所定期間について、本願発明は、「前記ビーム障害回復要求の送信後から前記応答信号を受信するまでの」期間であるのに対して、引用発明は、「固定時間オフセットと、固定時間オフセットから始まるRRC設定可能な継続時間によって決定され」る「gNB応答をモニタする時間ウィンドウ」である点

第6 判断

<相違点の判断>

相違点1について

引用文献2には、前記第4の2(2)のとおり、「ビーム障害回復要求に対するgNB応答のモニタリングについて、時間ウィンドウは、固定時間オフセットと、固定時間オフセットを起点とするRRC設定可能な持続時間によって決定され、固定時間オフセットkをk=1として、ビーム障害回復要求の送信に利用されるスロットの次のスロットで監視ウィンドウを開始すること」が記載されており、当該事項は、ビーム障害回復要求の送信後からgNB応答をモニタリングすることに対応する。

引用文献1と引用文献2は、いずれもビーム障害回復における技術であり、gNB応答をモニタリングする時間ウィンドウに関する技術であるから、引用発明において、引用文献2記載事項を採用し、固定時間オフセットkをk=1として、引用発明の「gNB応答をモニタする時間ウィンドウ」を、「前記ビーム障害回復要求の送信後から」開始するものとすることは、当業者が容易になし得たことである。

また、引用発明において、時間ウィンドウ中にgNB応答を受信することにより、gNB応答のモニタが終了することは明らかである。

そうすると、「gNB応答をモニタ」することは、gNB応答を受信することにより終了するから、「gNB応答をモニタする時間ウィンドウ」も、gNB応答を受信するまでのものとなる。

したがって、引用発明において、gNB応答をモニタする時間ウィンドウを「前記ビーム障害回復要求の送信後から前記応答信号を受信するまでの」期間とすることは、当業者が容易になし得たことである。

<効果について>

上記相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2の記載事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

<請求人の主張について>

請求人は、令和5年11月2日に提出した意見書において、「引用文献1及び2には、本願請求項1における「ビーム障害前に複数のCORESET構成が設定されている場合であっても、前記期間において、前記CORESETに対応するPDCCH以外のPDCCHをモニタしないよう制御し、前記CORESETは、前記複数のCORESET構成のうちの1つのCORESET構成に関するCORESETである」という技術的特徴について、開示及び示唆されておりません。特に引用文献1には、ビーム障害「前」に設定されたCORESETのモニタを行う必要がないことが開示されており、本願請求項1における当該技術的特徴と、引用文献1の当該開示内容とは、明確に相違します。したがいまして、例え引用文献1及び2に開示される発明を組み合わせたとしても、当業者が本願請求項1を想到しえないと考えます。」旨主張する。

しかしながら、引用発明において、「ビーム障害回復要求のgNB応答をモニタリングするために」適用される「専用CORESET(s)」は、「ビーム障害発生前と同じCORESET」であると共に、「現在のCORESETsの1つとして設定することができ」るものである。

そうすると、「gNB応答の専用CORESETをモニタする時間ウィンドウ中、ビーム障害前に設定されたCORESET(s)をモニタする必要はない」ことは、専用CORESETとして設定された、ビーム障害発生前に設定されたCORESET以外の、ビーム障害発生前に設定されたCORESETについてはモニタする必要がないことを意味するものと解されるから、請求人の上記主張は採用することができない。

<小括>

よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-017921

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