特許拒絶査定不服審判
2022-016962
サーバ、情報処理方法、及びプログラム
- 審判番号
- 2022-016962
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-122405外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年10月24日
- 審決日
- 2022年12月28日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-122405「サーバ、情報処理方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年7月27日の出願であって、令和3年11月30日付で拒絶理由が通知され、令和4年1月25日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、令和4年4月1日付で拒絶理由が通知され、同年5月20日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年8月1日付で拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、同年10月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし8に係る発明は、令和4年5月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「レシートに表示されているコードを識別するコード識別子と、当該レシートに対応する購入対象を識別する購入対象識別子を含む1以上の購入情報とを対応付ける複数のレシート情報と、
購入対象識別子と、当該購入対象識別子で識別される購入対象に関する情報であり、レシートに表示されている以外の情報を含む情報である詳細情報とを対応付ける複数の購入対象詳細情報と、にアクセス可能なサーバであって、
ユーザの情報処理端末からコード識別子を受信する受信部と、
受信されたコード識別子に対応付けられている購入情報に含まれる購入対象識別子に対応する詳細情報を含む1以上の購入対象情報を取得する取得部と、
取得された1以上の購入対象情報を、前記コード識別子の送信元の情報処理端末に送信する出力部と、を備えたサーバ。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定(令和4年8月1日付の拒絶査定)の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
この出願の請求項1、2、4ないし8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1に記載された発明に基づいて、及び、請求項3に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に例示される周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:特開2015-162213号公報(原査定では引用文献2)
引用文献2:特開2016-091230号公報(原査定では引用文献1)
第4 引用文献、引用発明
1 引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。
(記載事項1)
「【技術分野】
【0001】
本実施形態は、商品情報印刷装置及び商品情報印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、購入者が自宅で購入品管理を行う際には、購入に伴ってレジスタより発行されるレシートを参照しながら家計簿に書き写す、あるいはレシートをノートに貼りつけて利用することが多い。このような手作業には時間を要するため、店舗等に設置されているサーバに購入品データを保存しておき、購入者は自宅等からインターネットを介してサーバにアクセスして購入品データを取得する手段や、レシートに管理番号のバーコードを印字し、購入者はバーコードを自身の所有する携帯電話に搭載されたカメラから読み込み、インターネットを介してサーバから購入品データを取得する手段が考案されている。
【0003】
しかしながら、従来技術では購入者側にインターネットへの接続環境とパーソナルコンピュータや携帯電話等の機器環境が備えられており、購入品データとして電子データを使用することが前提となっている。このため、パーソナルコンピュータ等の情報端末を所有していない、あるいは使用できない購入者が購入品を管理する際には従来通りレシートをノートに貼り付ける、レシートを参照しながらノートに書き写す等の作業をしなければならなかった。
・・・
【0004】
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、顧客側にインターネットへの接続環境とパーソナルコンピュータ等の機器環境が備えられていない場合でも、通常のレシートには印字されない購入商品の詳細情報を用紙に印刷して提供可能な商品情報印刷装置及び商品情報印刷システムを提供することを目的とする。」
(記載事項2)
「【0009】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る商品情報印刷システムの全体構成例を示すブロック図である。ここでは、商品情報印刷装置10及びPOS端末20が店舗管理サーバ30にLANなどのネットワーク(図示省略する)を介してそれぞれ接続されており、各装置はいずれも同一の店舗内に設置されているものとする。
【0010】
商品情報印刷装置10は、買物客からの要求に応じて店舗管理サーバ30からダウンロードしたデータを購入商品詳細リストとして用紙に印刷するMFPなどの装置である。購入商品詳細リストは、通常のレシートには記載されない商品の詳細情報が記載されたリストである。詳細情報の具体例としては、消費期限、アレルギー注意情報、産地、農薬使用の有無、製造日、生産者からのメッセージなどが挙げられる。」
(記載事項3)
「【0017】
また、店舗管理サーバ30は、取引データテーブル30A、商品データテーブル30B及び会員データテーブル30Cを含むデータベースを備えている。取引データテーブル30Aは、POS端末20から収集した取引データを管理するテーブルであり、取引ID、購入者ID、購入日時、商品ID、購入単価、購入数量等をデータ項目とする。商品データテーブル30Bは、店舗で販売している商品の詳細データを管理するテーブル[TT1]であり、商品ID、商品名、商品区分、産地、メーカー、消費期限、アレルギー注意情報及び農薬使用情報等をデータ項目とする。会員データテーブル30Cは、店舗あるいは店舗グループの会員情報を管理するテーブルであり、会員ID、氏名、年齢、入会日、購入ポイント及び登録印刷フォーマット等をデータ項目とする。なお、各テーブルのデータ項目はあくまで一例であり、これらに限定されない。」
(記載事項4)
「【0023】
図5は、本実施形態における店舗管理サーバ30の処理例を示すフローチャートである。
【0024】
店舗管理サーバ30がPOS端末20から取引データを受信すると(S201)、受信データをデータベース(取引データテーブル30A)内に保存する(S202)。
【0025】
POS端末20から購入商品データのダウンロード要求が有った場合(S203:Yes)には、POS端末20から送信された会員IDをキーにデータベースから印刷可能な取引データの取引IDリストを取得し(S204)、これを商品情報印刷装置10へ送信する(S205)。同一の会員IDの取引データが複数存在する場合には、全ての取引IDをリストに含めることもできるが、データの登録日付(購入日)や印刷回数等を考慮して購入日が印刷対象期間に含まれるデータや印刷サービスを利用していないデータのみをリスト対象としてもよい。商品情報印刷装置10側では、取引IDリストデータを受信すると、リストを表示パネル104に候補表示し、買物客からの選択を受付けるものとする。
【0026】
商品情報印刷装置10から印刷を希望する取引IDを受信すると(S206:Yes)、店舗管理サーバ30では取引IDをキーとして取引データを取得する(S207)とともに、取引データに含まれる商品IDをキーとして商品データを取得する(S208)。商品情報印刷装置10から取引IDを受信しない場合(S206:No)は、データを受信するまで待機状態となる。
【0027】
店舗管理サーバ30は、取引データと商品データを取得した後に、二つのデータから購入商品詳細データを生成し(S209)、これを商品情報印刷装置10へ送信(S210)して処理を終了する。」
(記載事項5)
「【0037】
<実施形態2>
図7は、実施形態2に係る商品情報印刷システムの全体構成例を示すブロック図である。同図に示されるように、本実施形態に係る商品情報印刷システムは、商品情報印刷装置10内にスキャナ部107を更に備えている。なお、図1において付された符号と共通する符号は同一の対象を表し、POS端末20及び店舗管理サーバ30における処理も実施形態1と同様であるため、共通部分の説明を省略して、以下では実施形態1 と異なる箇所について詳細に説明する。
【0038】
実施形態1では商品情報印刷装置10に設置されたカード読取部103において会員カードから会員IDを読み込んでいたのに対し、本実施形態ではPOS端末20が取引IDを変換したバーコードをレシートに印字し、このバーコードを商品情報印刷装置10のスキャナ部107で読取る構成である。データ取得プログラム101Aは、スキャナ部107で読取った取引IDを店舗管理サーバ30に通信部102を介して送信し、店舗管理サーバ30が取引IDに係る取引データとこのデータに含まれる商品IDに予め関連付けされた商品データとに基づいて生成した購入商品詳細データを取得する。
【0039】
図8は、本実施形態における商品情報印刷装置10の処理例を示すフローチャートである。この処理は、会計を済ませた買物客がバーコード付きレシートを利用して購入商品詳細リストの印刷を希望した場合に行われる。
【0040】
買物客が所持するバーコード付きレシートをスキャナ部107で読取ると(S401)、レシート内に記録されている取引IDをキーとして店舗管理サーバ30にアクセスする(S402)。
【0041】
店舗管理サーバ30のデータベース(取引データテーブル30A)内に取引IDに係る取引データが有った場合(S403:Yes)には、S404へ進む。これに対し、取引IDに係る取引データが店舗管理サーバ30のデータベースに無かった場合(S403:No)には、表示パネル104に印刷可能なデータ無しのメッセージを表示し(S405)、処理を終了する。
【0042】
データ取得プログラム101Aは、店舗管理サーバ30側で取引IDをキーに生成された購入商品詳細データをダウンロードする(S404)。
【0045】
本実施形態に係る商品情報印刷システムによれば、上記実施形態1の効果に加え、会員カードを所持していない買物客であっても、POS端末20から出力されたバーコード付きレシートを利用することで購入商品詳細リストを印刷することができるという効果を奏する。
【0046】
なお、本実施形態の変形例として商品情報印刷装置10からカード読取部103を除いた装置構成も考えられる。この場合には、既存のMFPの中に制御用のプログラムをインストールするとともに、店舗管理サーバ30へのアクセス権限を設定するだけで簡単に実装できる利点がある。」
「 図3
[図:0001395143000001.jpg]
」
「図5
[図:0001395143000002.jpg]
」
「 図7
[図:0001395143000003.jpg]
」
2 引用文献1に記載された発明
(1)(記載事項5)によると、引用文献1には、実施形態2の「店舗管理サーバ30」が記載されている。
(2)(記載事項2)によると、引用文献1の実施形態1の「店舗管理サーバ30」は、「ネットワークを介して商品情報印刷装置10に接続されている」ことが読み取れる。
また、(記載事項5)によると、引用文献1の実施形態2は、「商品情報印刷装置10内にスキャナ部107を備えている」点で、実施形態1と異なり、「店舗処理サーバ30」における処理は、実施形態1と同様のものである。
よって、これらの事項から、引用文献1の実施形態2の「店舗管理サーバ30」は、「スキャナ部107を備える商品情報印刷装置10とネットワークを介して接続されている」ことが読み取れる。
(3)(記載事項2)、(記載事項3)によると、引用文献1の実施形態1の「店舗管理サーバ30」は、「取引データを管理し、取引ID、購入者ID、購入日時、商品ID、購入単価、購入数量等をデータ項目とする取引データテーブル30Aと、商品の詳細データを管理し、商品ID、商品名、商品区分、産地、メーカー、消費期限、アレルギー注意情報及び農薬使用情報等をデータ項目とし、産地、メーカー、消費期限、アレルギー注意情報及び農薬使用情報等は、通常のレシートには記載されない詳細情報である商品データテーブル30Bを備えている」ことが読み取れる。
そして、上記(2)で述べたように、実施形態2の「店舗管理サーバ30」の処理は、実施形態1の処理と同様であるから、そのための構成も同様である。
よって、これらの事項によると、引用文献1の実施形態2の「店舗管理サーバ30」は、「取引データを管理し、取引ID、購入者ID、購入日時、商品ID、購入単価、購入数量等をデータ項目とする取引データテーブル30Aと、商品の詳細データを管理し、商品ID、商品名、商品区分、産地、メーカー、消費期限、アレルギー注意情報及び農薬使用情報等をデータ項目とし、産地、メーカー、消費期限、アレルギー注意情報及び農薬使用情報等は、通常のレシートには記載されない詳細情報である商品データテーブル30Bを備えている」ことが読み取れる。
(4)(記載事項5)、図7によると、引用文献1には、実施形態2として、「取引IDを変換したバーコードをレシートに印字し、このバーコードを商品情報印刷装置10のスキャナ部107で読取」り、「商品情報印刷装置10」の「データ取得プログラム101Aは、スキャナ部107で読取った取引IDを店舗管理サーバ30に通信部102を介して送信」することが記載されている。
よって、引用文献1の実施形態2の「商品情報印刷装置10」は、「レシートに印字されている取引IDを変換したバーコードをスキャナ部107で読み取り、読取った取引IDを店舗管理サーバ30に送信する」ことが読み取れる。
(5)(記載事項4)によると、引用文献1の実施形態1の「店舗管理サーバ30」は、「商品情報印刷装置10から取引IDを受信すると、取引IDをキーとして取引データテーブル30Aから取引データを取得し、取引データに含まれる商品IDをキーとして商品データを取得し、二つのデータから購入商品詳細データを生成し、これを商品情報印刷装置10へ送信する」ことが読み取れる。ここで、(記載事項3)によれば、「取引データに含まれる商品IDをキーとして商品データを取得」する作業は、「商品データテーブル30B」に対して行われるものであるから、この作業で「取得」される「商品データ」は、「商品の詳細データ」であることは明らかである。
そして、上記(2)で述べたように、実施形態2の「店舗管理サーバ30」の処理は、実施形態1の処理と同様である。
よって、これらの事項によると、引用文献1の実施形態2の「店舗管理サーバ30」は、「商品情報印刷装置10から取引IDを受信すると、取引IDをキーとして取引データを取得し、取引データに含まれる商品IDをキーとして商品の詳細データを取得し、二つのデータから購入商品詳細データを生成し、これを商品情報印刷装置10へ送信する」ことが読み取れる。
(6)以上、(1)~(5)によると、引用文献1には、実施形態2として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
<引用発明>
「店舗管理サーバ30であって、
取引データを管理し、取引ID、購入者ID、購入日時、商品ID、購入単価、購入数量等をデータ項目とする取引データテーブル30Aと、
商品の詳細データを管理し、商品ID、商品名、商品区分、産地、メーカー、消費期限、アレルギー注意情報及び農薬使用情報等をデータ項目とし、産地、メーカー、消費期限、アレルギー注意情報及び農薬使用情報等は、通常のレシートには記載されない詳細情報である商品データテーブル30Bを備えており、
スキャナ部107を備える商品情報印刷装置10とネットワークを介して接続されており、
商品情報印刷装置10は、レシートに印字されている取引IDを変換したバーコードをスキャナ部107で読み取り、読取った取引IDを店舗管理サーバ30に送信し、
店舗管理サーバ30は、商品情報印刷装置10から取引IDを受信すると、取引IDをキーとして取引データを取得し、取引データに含まれる商品IDをキーとして商品の詳細データを取得し、二つのデータから購入商品詳細データを生成し、これを商品情報印刷装置10へ送信する
店舗管理サーバ30。」
第5 対比
本願発明と、引用発明とを対比する。
1 引用発明の「店舗管理サーバ30」は、本願発明の「サーバ」に相当し、以下同様に、「レシート」は「レシート」に、「バーコード」は「コード」に、「商品」は「購入対象」に、「商品ID」は「購入対象識別子」に相当する。
そして、引用発明の「取引ID」は、「レシートに印字されている」「バーコード」に「変換」されているものであるから、当該「バーコード」を一意に識別する情報となっている。
よって、引用発明の「レシートに印字されている」「バーコード」を一意に識別する「取引ID」は、本願発明の「レシートに表示されているコードを識別するコード識別子」に相当する。
次に、引用発明の「取引データテーブル30A」は、「取引データを管理し、取引ID、購入者ID、購入日時、商品ID、購入単価、購入数量等をデータ項目とする」ものであるところ、「取引データテーブル30A」で「管理」される各「取引データ」は、「取引ID」を含むことから、「取引ID」に対応付けられており、「取引IDを変換したバーコード」が「印字」されている「レシート」に対応するものといえる。
そして、引用発明において、一度の取引で購入する商品は一般に1つに限らず1以上であるから、引用発明の、「レシート」に対応する各「取引データ」に含まれる、1以上の「商品」ごとの「商品ID、購入単価、購入数量」の組は、本願発明の、「当該レシートに対応する購入対象を識別する購入対象識別子を含む1以上の購入情報」に相当する。
また、引用発明において、「取引データテーブル30A」には、通常、複数の「取引データ」が含まれるものである。
したがって、引用発明の、「取引データテーブル30A」において管理される、「レシートに印字されている」「バーコード」を一意に識別する「取引ID」を「データ項目」として含み、1以上の「商品」ごとの「商品ID、購入単価、購入数量」の組を含む、複数の「取引データ」は、本願発明の、「レシートに表示されているコードを識別するコード識別子と、当該レシートに対応する購入対象を識別する購入対象識別子を含む1以上の購入情報とを対応付ける複数のレシート情報」に相当する。
2 引用発明の「商品データテーブル30B」は、「商品の詳細データを管理し、商品ID、商品名、商品区分、産地、メーカー、消費期限、アレルギー注意情報及び農薬使用情報等をデータ項目とし、産地、メーカー、消費期限、アレルギー注意情報及び農薬使用情報等は、通常のレシートには記載されない詳細情報である」ものである。
よって、引用発明の「産地、メーカー、消費期限、アレルギー注意情報及び農薬使用情報等」の「通常のレシートには記載されない詳細情報」は、本願発明の「レシートに表示されている以外の情報」に相当する。
また、引用発明の「商品の詳細データ」は、データ項目に「商品ID」を含むことから、「商品ID」に対応付けられ、「商品ID」で識別される「商品」に関する情報である。
したがって、引用発明の「商品ID」で識別される「商品」に関する「産地、メーカー、消費期限、アレルギー注意情報及び農薬使用情報等」の「通常のレシートには記載されない詳細情報」を「データ項目」として含む、「商品の詳細データ」は、本願発明の「当該購入対象識別子で識別される購入対象に関する情報であり、レシートに表示されている以外の情報を含む情報である詳細情報」に相当する。
ここで、引用発明の「商品データテーブル30B」は、通常、複数の「商品の詳細データ」を含むものである。
以上によると、引用発明の「商品データベース30B」に管理され、「商品ID」に対応付けられ、「商品ID」で識別される「商品」に関する「産地、メーカー、消費期限、アレルギー注意情報及び農薬使用情報等」の「通常のレシートには記載されない詳細情報」を「データ項目」として含む、複数の「商品の詳細データ」は、本願発明の「購入対象識別子と、当該購入対象識別子で識別される購入対象に関する情報であり、レシートに表示されている以外の情報を含む情報である詳細情報とを対応付ける複数の購入対象詳細情報」に相当する。
3 引用発明の「店舗管理サーバ30」は、「取引データテーブル30A」と、「商品データテーブル30B」とを備えており、「取引データテーブル30A」より、「取引IDをキーとして取引データを取得し」、「商品データテーブル30B」より、「取引データに含まれる商品IDをキーとして商品の詳細データを取得」するから、引用発明は、「取引データテーブル30A」の「取引ID」、「取引データ」と、「商品データテーブル30B」の「商品ID」、「詳細データ」にアクセス可能なものである。
よって、引用発明の「取引データテーブル30A」の「取引ID」、「取引データ」と、「商品データテーブル30B」の「商品ID」、「詳細データ」にアクセス可能である「店舗管理サーバ30」は、「複数のレシート情報」と、「複数の購入対象詳細情報」と、「にアクセス可能なサーバ」に相当する。
4 引用発明の「商品情報印刷装置10」は、「レシートに印字されている取引IDを変換したバーコードをスキャナ部107で読み取り、読取った取引IDを店舗管理サーバ30に送信」するものであるから、情報を処理するものである。
よって、引用発明の「商品情報印刷装置10」と、本願発明の「ユーザの情報処理端末」とは、「情報処理端末」である点で共通する。
したがって、引用発明の「店舗管理サーバ30」が「商品情報印刷装置10から取引IDを受信する」ことと、本願発明の「サーバ」が「ユーザの情報処理端末からコード識別子を受信する受信部」を備えることとは、「サーバ」が「情報処理端末からコード識別子を受信する受信部を備える」点で共通する。
5 引用発明の「店舗管理サーバ30」は、「商品情報印刷装置10から取引IDを受信すると、取引IDをキーとして取引データを取得し、取引データに含まれる商品IDをキーとして商品の詳細データを取得し、二つのデータから購入商品詳細データを生成」するものである。
そして、引用発明において、一度の取引で購入する商品は一般に1つに限らず1以上であるから、引用発明の、受信された「取引ID」をキーとして取得された「取引データ」と、「取引データ」に含まれる1以上の「商品ID」をキーとして取得された「商品の詳細データ」から生成された「購入商品詳細データ」は、本願発明の、受信された「コード識別子」に対応付けられている「購入情報」に含まれる「購入対象識別子」に対応する「詳細情報」を含む1以上の「購入対象情報」に相当する。
したがって、引用発明の「店舗管理サーバ30」が、「商品情報印刷装置10から取引IDを受信すると、取引IDをキーとして取引データを取得し、取引データに含まれる商品IDをキーとして商品の詳細データを取得し、二つのデータから購入商品詳細データを生成」する手段を有することは、本願発明の「サーバ」が、「受信されたコード識別子に対応付けられている購入情報に含まれる購入対象識別子に対応する詳細情報を含む1以上の購入対象情報を取得する取得部」を備えることに相当する。
6 引用発明の「商品情報印刷装置10」は、「店舗管理サーバ30」に「取引ID」を送信し、「店舗管理サーバ30」は、「商品情報印刷装置10から取引IDを受信すると、受信した「取引ID」に基づいて生成した「購入商品詳細データ」を「商品情報印刷装置10」に送信するものである。
そして、上記(4)で述べたように、引用発明の「商品情報印刷装置10」と、本願発明の、「ユーザの情報処理端末」とは、「情報処理端末」である点で共通する。
よって、引用発明の「店舗管理サーバ30」が、生成した「購入商品詳細データ」を、「店舗管理サーバ30」に「取引ID」を送信した「商品情報印刷装置10」に、送信する手段を有することと、本願発明の「サーバ」が、「取得された1以上の購入対象情報を、前記コード識別子の送信元の情報処理端末に送信する出力部」を備えることとは、「サーバ」が、「取得された1以上の購入対象情報を、前記コード識別子の送信元の情報処理端末に送信する出力部」を備える点で共通する。
7 以上、1~6によると、本願発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、次の相違点で相違する。
<一致点>
レシートに表示されているコードを識別するコード識別子と、当該レシートに対応する購入対象を識別する購入対象識別子を含む1以上の購入情報とを対応付ける複数のレシート情報と、
購入対象識別子と、当該購入対象識別子で識別される購入対象に関する情報であり、レシートに表示されている以外の情報を含む情報である詳細情報とを対応付ける複数の購入対象詳細情報と、にアクセス可能なサーバであって、
情報処理端末からコード識別子を受信する受信部と、
受信されたコード識別子に対応付けられている購入情報に含まれる購入対象識別子に対応する詳細情報を含む1以上の購入対象情報を取得する取得部と、
取得された1以上の購入対象情報を、前記コード識別子の送信元の情報処理端末に送信する出力部と、を備えたサーバ。
<相違点>
「情報処理端末」に関し、本願発明では「ユーザの情報処理端末」であるのに対し、引用発明では「商品情報印刷装置10」であって、ユーザのものではない点。
第6 当審の判断
1 容易想到性について
上記相違点について検討する。
引用発明において、「購入商品詳細データ」は、「商品ID、商品名、商品区分、産地、メーカー、消費期限、アレルギー注意情報及び農薬使用情報等をデータ項目」を含む「商品の詳細データ」を基に生成されるものであって、「産地、メーカー、消費期限、アレルギー注意情報及び農薬使用情報等」の情報を含むものであるところ、これらの情報は、一般に、商品を購入した顧客が知ることを希望する情報である。
また、引用文献1の(記載事項5)の【0039】には、「図8は、本実施形態における商品情報印刷装置10の処理例を示すフローチャートである。この処理は、会計を済ませた買物客がバーコード付きレシートを利用して購入商品詳細リストの印刷を希望した場合に行われる。」と記載され、「バーコード付きレシート」を有する「会計を済ませた買物客」が「購入商品詳細リスト」の印刷を希望した場合に行われることが記載されている。
さらには、引用文献1の(記載事項5)の【0046】には、「なお、本実施形態の変形例として商品情報印刷装置10からカード読取部103を除いた装置構成も考えられる。この場合には、既存のMFPの中に制御用のプログラムをインストールするとともに、店舗管理サーバ30へのアクセス権限を設定するだけで簡単に実装できる利点がある。」と記載されており、引用発明の印刷装置として、既存(汎用)のMFPが想定され、店舗管理サーバ30へのアクセス権限を設定するだけで、かかる既存(汎用)のMFPが、引用発明の「商品情報印刷装置10」として機能することが記載されている。
他方、引用文献1の【0002】に、「従来、購入者が自宅で購入品管理を行う際には、購入に伴ってレジスタより発行されるレシートを参照しながら家計簿に書き写す、あるいはレシートをノートに貼りつけて利用することが多い。このような手作業には時間を要するため、店舗等に設置されているサーバに購入品データを保存しておき、購入者は自宅等からインターネットを介してサーバにアクセスして購入品データを取得する手段や、レシートに管理番号のバーコードを印字し、購入者はバーコードを自身の所有する携帯電話に搭載されたカメラから読み込み、インターネットを介してサーバから購入品データを取得する手段が考案されている。」と記載されている。この場合、前記携帯電話には、インターネットを介してサーバから購入品データを取得するための制御プログラムがインストールされているとともに、サーバへのアクセス権限を有することは明らかである。
よって、上記記載等によれば、「購入情報管理」の技術分野において、購入情報を取得するために、レシートに管理番号のバーコードを印字するとともに、店舗等に設置されているサーバに購入品データを管理番号と対応付けて保存し、購入者は、自身の所有する情報処理端末に、サーバへのアクセス権限を持たせ、サーバから購入品データを取得するための制御プログラムをインストールして、バーコードを自身の所有する情報処理端末に搭載されたカメラから読み込むことにより、インターネットを介してサーバから購入品データを取得することは、周知技術である。
したがって、引用発明において、「産地、メーカー、消費期限、アレルギー注意情報及び農薬使用情報等」の情報を含む「購入商品詳細データ」は、商品を購入した顧客が知ることを希望する場合、その取得には、「バーコード」が印字された「レシート」と、制御用のプログラムがインストールされ、「店舗管理サーバ30」へのアクセス権限を有し、カメラを有する情報処理端末があればよいところ、上記周知技術を勘案し、店舗管理サーバ30へアクセスする情報処理端末として、自身の所有する情報処理端末(本願発明の「ユーザの情報処理端末」に該当する。)を選択して、自身の所有する情報処理端末に、購入商品詳細データを取得させることにより、上記相違点にかかる発明特定事項のごとく構成することは、当業者が容易になし得たことである。
2 本願発明の効果について
本願発明の【0085】に記載された「以上のように、本実施の形態によるサーバ4によれば、紙のレシートに表示されているコードを用いることによって、レシートに対応する購入対象に対応する購入対象情報を容易に取得することができ、その購入対象情報をユーザに提供することができる。そのため、ユーザは、レシートに表示されている情報を手入力やOCRなどによって情報処理端末に入力しなくてもよいことになり、ユーザの負荷が軽減されることになる。また、例えば、詳細情報に、レシートに表示されている以外の情報が含まれている場合には、ユーザは、レシートよりも詳しい情報を取得することもできるようになる。また、コードを読み取るための情報処理端末5を有しているユーザに対しても、そうでないユーザに対しても同じ紙のレシートを渡すことができ、ユーザごとに渡すレシートを区別しなくてもよいことになる。」との効果は、引用文献1の【0045】の「POS端末20から出力されたバーコード付きレシートを利用することで購入商品詳細リストを印刷することができる」との記載から当業者が予測し得るものである。
そして、同段落の「また、例えば、レシートを受け取った際には、コードを読み取るための情報処理端末5を有していないユーザであっても、その後に情報処理端末5に、コードを読み取るためのアプリケーションをインストールすることによって、レシートに対応する情報を取得することができるようになる。このように、紙のレシートに表示されたコードを用いることによって、ユーザの利便性を向上させることができる。」との効果に関し、「ユーザ」の「情報処理端末5」に「アプリケーションをインストールする」ことは、そもそも、請求項に特定されている事項でもないから、請求項の記載に基づく効果ではない。仮に、上記事項が特定されていたとしても、本願発明は「サーバ」の発明であって、「ユーザの情報処理端末」をその構成要素として含むものではないから、かかる構成要素に起因する効果の主張は、採用の限りではない。
3 請求人の主張について
請求人は、「引用発明2(当審注:当審決の「引用発明」に対応する。以下同様。)は、「顧客側にインターネットへの接続環境とパーソナルコンピュータ等の機器環境が備えられていない場合でも、通常のレシートには印字されない購入商品の詳細情報を用紙に印刷して提供可能な商品情報印刷装置及び商品情報印刷システムを提供することを目的」としています(段落0005)。また、引用文献2には、商品情報印刷システムの効果として、「本実施形態に係る商品情報印刷システムによれば、購入者側にインターネットへの接続環境とパーソナルコンピュータ等の機器環境が備えられていない場合でも、通常のレシートには印字されない消費期限や産地等の購入商品の詳細情報をリストとして用紙に印刷し、提供することができるため、用紙自体を綴じることでそのまま家計簿として利用することもできる。」と記載されています(段落0036)。これらの目的や効果を考慮しますと、引用発明2において、個人の情報処理端末から、レシートに表示されたバーコードから読み取られた取引IDを受信したり、そのレシートに対応する購入商品詳細データを、個人の情報処理端末に送信したりするように変更することは、引用発明2の本来の目的に反するものになると考えます。」と主張するので、当該主張について検討する。
まず、【0005】の記載について検討するに、同段落には「顧客側にインターネットへの接続環境とパーソナルコンピュータ等の機器環境が備えられていない場合でも、通常のレシートには印字されない購入商品の詳細情報を用紙に印刷して提供可能な商品情報印刷装置及び商品情報印刷システムを提供する」と記載されており、「顧客側にインターネットへの接続環境とパーソナルコンピュータ等の機器環境が備えられている場合」を排除するものではない。
次に、【0036】の記載は、「用紙自体を綴じることでそのまま家計簿として利用することもできる。」とあるように、「用紙自体を綴じることでそのまま家計簿として利用すること」との効果は、引用発明において、必須の効果ではなく、付加的な効果に過ぎない。
そして、上記1で述べたとおり、購入者は、店舗管理サーバ30から、自身の所有する情報処理端末に、購入商品詳細データを取り込んでいるところ、当該データの管理を、自宅等の印刷装置に出力して印刷物として管理すること、情報処理端末上でデータとして管理することは、いずれも適宜行われていることに過ぎないから、購入商品詳細データの印刷物を得ることも、上記周知技術の適用により奏される効果の範囲内である。
よって、上記周知技術の適用は、「通常のレシートには印字されない購入商品の詳細情報を用紙に印刷して提供可能」とする引用発明の目的に反するものではない。
4 まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-016962