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特許拒絶査定不服審判

2022-016916

冷凍餃子類の皮、冷凍水餃子、水餃子、冷凍餃子類の製造方法

審判番号
2022-016916
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-126470
請求日
2022年10月24日
審決日
2024年03月11日
公報発行日
2024年05月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社イートアンドホールディングス
  • 【請求人代理人】工藤 一郎
審判長/審判官
  • 審判長 淺野 美奈
  • 審判官 加藤 友也
  • 審判官 中村 和正
分類
P18 .121-Z (A23L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2020-126470「冷凍餃子類の皮、冷凍水餃子、水餃子、冷凍餃子類の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月22日出願公開、特開2020-171326〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2019年(令和1年)5月9日(優先権主張 平成30年5月10日)を国際出願日とする特願2019-566375号の一部を令和2年7月27日に新たな特許出願としたものであって、同日に上申書が提出され、令和3年8月17日付けで拒絶理由が通知され、同年10月15日に意見書及び手続補正書が提出され、令和4年3月1日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年4月28日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月12日付けで同年4月28日に提出された手続補正書による手続補正を却下する旨の決定がされると共に拒絶査定がされ、同年10月24日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出されたものである。 第2 令和4年10月24日に提出された手続補正書による手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和4年10月24日に提出された手続補正書による手続補正を却下する。 [理由] 1 令和4年10月24日に提出された手続補正書による手続補正の内容 令和4年10月24日に提出された手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正により補正される前の(すなわち、令和3年10月15日に提出された手続補正書により補正された)下記(1)に示す特許請求の範囲の請求項1の記載を下記(2)に示す特許請求の範囲の請求項1の記載とする補正を含むものである。なお、下線は、補正箇所を示すためのものである。 (1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1 「【請求項1】 グルテンを含む穀物粉と、米デンプン、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、タピオカ加工デンプンのいずれか一以上であるデンプンとを重量比が穀物粉9:デンプン1から穀物粉2:デンプン8の割合となるようにするとともに、調味料、油、水を配合し、撹拌混合装置にて脱気して練り上げ効率を高めてグルテン形成を促進して冷凍餃子類の皮の原料とする工程を有する冷凍餃子類の皮の製造方法。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1 「【請求項1】 グルテンを含む穀物粉と、米デンプン、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、タピオカ加工デンプンのいずれか一以上であるデンプンとを重量比が穀物粉9:デンプン1から穀物粉2:デンプン8の割合となるようにするとともに、調味料、油、水を配合し、撹拌混合装置にて脱気して練り上げ効率を高めてグルテン形成を促進して94℃から99℃の沸騰水でボイル済のデンプン由来のゲル状糊化部をその表面に備えた冷凍餃子類の皮の原料とする工程を有する冷凍餃子類の皮の製造方法。」 2 本件補正の適否 (1)本件補正の目的 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1については、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の発明特定事項である「冷凍餃子類の皮」について、「94℃から99℃の沸騰水でボイル済のデンプン由来のゲル状糊化部をその表面に備えた」という限定を加えるものであり、しかも、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。 したがって、本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものである。 (2)独立特許要件の検討 そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうかについて、検討する。 ア 本願補正発明 本願補正発明は本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記1(2)の【請求項1】に記載のとおりのものである。 イ 引用文献に記載された事項等 (ア)引用文献6に記載された事項等 a 引用文献6に記載された事項 原査定の拒絶の理由で引用文献6として引用され、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった中国特許出願公開第1509654号明細書(以下、「引用文献6」という。)には、「水餃子及びその製造方法」に関して、おおむね次の記載がある。なお、引用文献6は外国語文献のため訳文のみを摘記した。また、下線は当審で付したものである。 ・「[54]発明の名称 水餃子及びその製造方法 [57]要約 本発明は、小麦粉40~60重量%、タピオカ澱粉5~25重量%、加工澱粉1~4重量%、塩0.1~1重量%、及び水30~35重量%の割合でこれらを混ぜて撹拌し、餃子の皮を作って準備しておき、その餃子の皮と具材を水餃子製造機に入れて具材を包んで形を整え、沸騰したお湯で素早く2~5分茹でたのちに取り出してすぐに冷水に入れ、2~5分冷ましてから水餃子を冷水からすくって急速冷凍トンネルに入れて冷凍し、定量パック詰めすることを特徴とする水餃子の製造方法を開示する。本発明の餃子の皮は、独自の配合及び素早い加熱と冷却を行う製造方法を採用しているため、出来上がった水餃子の皮はモチモチしていて、口当たりがよく、茹で調理したり解凍したりする必要もなく、電子レンジで2~3分加熱するだけですぐに食べることができ、摂氏マイナス30~40度の環境下でテストしても餃子の皮が割れることはなく、水餃子本来の味が保たれるだけでなく、日持ちが長くなり、本水餃子は手軽で時間もかからずに食べることができることから、一般家庭のみならず仕事を持つ忙しい人々にとっても朗報である。」(第1ページ左下欄) ・「特許請求の範囲 【請求項1】餃子の皮と、餃子の皮で包まれた具材とを主として含む水餃子であって、前記水餃子の皮は、小麦粉、タピオカ澱粉、加工澱粉、塩及び水からなり、それらの成分の割合が小麦粉40~60重量%、タピオカ澱粉5~25重量%、加工澱粉1~4重量%、塩0.1~1重量%、水30~35重量%であることを特徴とする。 【請求項2】加工澱粉が、加工コーンスターチ、加工ジャガイモ澱粉、加工タピオカ澱粉、加工サツマイモ澱粉のうちのいずれか、又はそれらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の水餃子。 【請求項3】小麦粉40~60重量%、タピオカ澱粉5~25重量%、加工澱粉1~4重量%、塩0.1~1重量%、及び水30~35重量%の割合でこれらを混ぜて撹拌し、餃子の皮を作って準備しておき、その餃子の皮と具材を水餃子製造機に入れて具材を包んで形を整え、沸騰したお湯で素早く2~5分茹でたのちに取り出してすぐに冷水に入れ、2~5分冷ましてから水餃子を冷水からすくって急速冷凍トンネルに入れて冷凍し、定量パック詰めすることを特徴とする、請求項1に記載の水餃子の製造方法。 【請求項4】急速冷凍トンネル内の温度がマイナス20~40度であることを特徴とする、請求項3に記載の水餃子の製造方法。」(第2ページ) ・「 明 細 書 水餃子及びその製造方法 技術分野: 本発明は、食品及び食品加工の技術分野に属し、具体的には水餃子及びその製造方法に関する。 背景技術: 現在、よく使われている市販の水餃子は、小麦粉で作った餃子の皮で具材を包んで冷凍パック詰めしたもので、このような水餃子は調理に手間と時間がかかるのが難点であり、冷凍した水餃子は10分以上茹でた後、火を止めてそのまま蓋をして更に10分間蒸らす必要があるのが普通で、またマイナス20度よりも低い温度で冷凍すると、餃子の皮が割れやすく、水餃子の日持ちのみならず、水餃子の味にも影響する。 本発明の目的は、手軽に食べることができ、皮が割れにくい水餃子及びその製造方法を提供することにある。 本発明の技術的解決手段は、以下のように達成される。餃子の皮と、餃子の皮で包まれた具材とを主として含む水餃子であって、前記水餃子の皮は、小麦粉、タピオカ澱粉、加工澱粉、塩及び水からなり、それらの成分の割合が小麦粉40~60重量%、タピオカ澱粉5~25重量%、加工澱粉1~4重量%、塩0.1~1重量%、水30~35重量%であることを特徴とする。 水餃子の製造方法であって、小麦粉40~60重量%、タピオカ澱粉5~25重量%、加工澱粉1~4重量%、塩0.1~1重量%、及び水30~35重量%の割合でこれらを混ぜて撹拌し、餃子の皮を作って準備しておき、その餃子の皮と具材を水餃子製造機に入れて具材を包んで形を整え、沸騰したお湯で素早く2~5分茹でたのちに取り出してすぐに冷水に入れ、2~5分冷ましてから水餃子を冷水からすくって急速冷凍トンネルに入れて冷凍し、定量パック詰めすることを特徴とする。 本発明の餃子の皮は、独自の配合及び素早い加熱と冷却を行う製造方法を採用しているため、出来上がった水餃子の皮はモチモチしていて、口当たりがよく、茹で調理したり解凍したりする必要もなく、電子レンジで2~3分加熱するだけですぐに食べることができ、マイナス30~40度の環境下でテストしても餃子の皮が割れることはなく、水餃子本来の味が保たれるだけでなく、日持ちが長くなり、本水餃子は手軽で時間もかからずに食べることができることから、一般家庭のみならず仕事を持つ忙しい人々にとっても朗報である。 以下に、実施例を挙げて本発明に関して更に述べる。 餃子の皮と、餃子の皮で包まれた具材とを主として含む水餃子であって、従来技術との相違点は以下のとおりである。前記水餃子の皮は、小麦粉、タピオカ澱粉、加工澱粉、塩及び水からなり、それらの成分の割合が小麦粉40~60重量%、タピオカ澱粉5~25重量%、加工澱粉1~4重量%、塩0.1~1重量%、水30~35重量%である。実施例では、加工澱粉は、加工コーンスターチ、加工ジャガイモ澱粉、加工タピオカ澱粉、加工サツマイモ澱粉のうちのいずれか、又はそれらの混合物であり、これらの加工澱粉はいずれも市販されている。塩は一般的に精製塩を用い、水は純水を使用し、餃子の皮にタピオカ澱粉、加工澱粉、塩を加えることにより、餃子の皮は口当たりが良くなり、割れにくくなる。 水餃子の製造方法であって、小麦粉40~60重量%、タピオカ澱粉5~25重量%、加工澱粉1~4重量%、塩0.1~1重量%、及び水30~35重量%の割合でこれらを混ぜて撹拌し、餃子の皮を作って準備しておき、その餃子の皮と具材を水餃子製造機に入れて具材を包んで形を整え、沸騰したお湯で素早く2~5分茹でたのちに取り出してすぐに冷水に入れ、2~5分冷ましてから水餃子を冷水からすくって急速冷凍トンネルに入れて冷凍し、定量パック詰めして、急速冷凍トンネル内の温度がマイナス20~40度であることを特徴とする。本水餃子は手軽に食べることができ、手間も時間もかからないという特徴を有する。以下に例を挙げるが、例で示した割合はすべて重量%である。 実施例1 質の良いものを選んで小麦粉40%、タピオカ澱粉25%、加工タピオカ澱粉2%、純水32.9%、精製塩0.1%の割合でこれらを混ぜて撹拌し、餃子の皮を作って準備しておき、その餃子の皮と具材を水餃子製造機に入れて具材を包んで形を整え、沸騰したお湯で素早く5分茹でたのちに取り出してすぐに冷水に入れ、5分冷ましてから水餃子を冷水からすくってマイナス30度の急速冷凍トンネルに入れて冷凍し、定量パック詰めする。 実施例2 質の良いものを選んで小麦粉45%、タピオカ澱粉18%、加工サツマイモ澱粉4%、純水32.7%、精製塩0.3%の割合でこれらを混ぜて撹拌し、餃子の皮を作って準備しておき、その餃子の皮と具材を水餃子製造機に入れて具材を包んで形を整え、沸騰したお湯で素早く5分茹でたのちに取り出してすぐに冷水に入れ、4分冷ましてから水餃子を冷水からすくってマイナス28度の急速冷凍トンネルに入れて冷凍し、定量パック詰めする。 実施例3 質の良いものを選んで小麦粉50%、タピオカ澱粉14%、加工コーンスターチ3%、純水32.8%、精製塩0.2%の割合でこれらを混ぜて撹拌し、餃子の皮を作って準備しておき、その餃子の皮と具材を水餃子製造機に入れて具材を包んで形を整え、沸騰したお湯で素早く3分茹でたのちに取り出してすぐに冷水に入れ、3分冷ましてから水餃子を冷水からすくってマイナス35度の急速冷凍トンネルに入れて冷凍し、定量パック詰めする。 実施例4 質の良いものを選んで小麦粉55%、タピオカ澱粉10%、加工ジャガイモ澱粉2%、純水32.5%、精製塩0.5%の割合でこれらを混ぜて撹拌し、餃子の皮を作って準備しておき、その餃子の皮と調理済み具材を水餃子製造機に入れて具材を包んで形を整え、沸騰したお湯で素早く2分茹でたのちに取り出してすぐに冷水に入れ、2分冷ましてから水餃子を冷水からすくってマイナス38度の急速冷凍トンネルに入れて冷凍し、定量パック詰めする。 実施例5 質の良いものを選んで小麦粉60%、タピオカ澱粉5.5%、加工タピオカ澱粉1%、純水33%、精製塩0.5%の割合でこれらを混ぜて撹拌し、餃子の皮を作って準備しておき、その餃子の皮と具材を水餃子製造機に入れて具材を包んで形を整え、沸騰したお湯で素早く4分茹でたのちに取り出してすぐに冷水に入れ、4分冷ましてから水餃子を冷水からすくってマイナス40度の急速冷凍トンネルに入れて冷凍し、定量パック詰めする。」(第3ないし5ページ) b 引用文献6に記載された発明 引用文献6に記載された事項を、特に請求項1ないし3及び実施例1の餃子の皮を作ることに言及する箇所に関して整理すると、引用文献6には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「餃子の皮と具材を水餃子製造機に入れて具材を包んで形を整え、沸騰したお湯で素早く2~5分茹でたのちに取り出してすぐに冷水に入れ、2~5分冷ましてから水餃子を冷水からすくって急速冷凍トンネルに入れて冷凍し、定量パック詰めする水餃子を製造するために準備しておく餃子の皮を作る方法であって、小麦粉40~60重量%、タピオカ澱粉5~25重量%、加工タピオカ澱粉1~4重量%、塩0.1~1重量%、及び水30~35重量%の割合でこれらを混ぜて撹拌し、餃子の皮を作る方法。」 (イ)引用文献3に記載された事項 原査定で引用文献3として引用され、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開平2-273148号公報(以下、「引用文献3」という。)には、「冷凍、冷蔵に適した皮用麺帯」に関して、おおむね次の記載がある。 ・「(産業上の利用分野) この発明はギョーザ、シューマイなどの皮に用いられる麺帯であって、冷凍、冷蔵保存しても透明性などが損なわれない冷凍、冷蔵保存に適した皮用麺帯に関するものである。」(第1ページ左欄第9ないし13行) ・「さらに、上記含有物に加え、その他の副原料を加えることも可能であり、例えば、食塩、砂糖、調味料、乳化剤、油脂、着色料、香料、スパイス、保湿剤、大豆蛋白、小麦蛋白、カゼイン、脱脂粉乳などを添加することが可能である。」(第2ページ右下欄第10ないし14行) (ウ)引用文献7に記載された事項 原査定の拒絶の理由で引用文献7として引用され、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特許第4649949号公報(以下、「引用文献7」という。)には、「冷凍包餡麺帯食品の製造法」に関して、おおむね次の記載がある。 ・「【請求項1】 小麦粉を含む穀粉類100重量部に対し食塩0.3~3重量部と水33~45重量部を常圧で混合し、該混合物を真空度0.01~0.1MPaで混合し、常圧混合と真空減圧混合の混合時間の合計が4~15分間であり、常圧混合時間と真空減圧混合時間との比が19:4~7:3となるようにし、厚さが0.3~1.5mmになるように圧延する工程を有する冷凍包餡麺帯食品の製造法」 ・「【0001】 本発明は、小麦粉を含む穀物粉と食塩と水を原料とする高加水の冷凍包餡麺帯食品において、混合工程において特定の減圧工程をいれることで外観や食感が改良された冷凍食品包餡麺帯食品に関するものである。」 ・「【0017】 本発明においては、小麦粉を含む穀粉類と食塩と水と、必要あればその他の材料を常圧で混合した後に、該混合物を真空度0.01~0.1MPa、更に好ましくは0.08~0.05MPaで1~10分間、更に好ましくは1~5分間混合し、厚さが0.3~1.5mm、更に好ましくは0.5~0.9mmになるように圧延することが重要である。常圧と真空減圧での合計混合時間は4~15分間となるように、更に好ましくは7~10分間となるように混合することが重要である。常圧で混合し穀物粉と水等が均一に分散した後に、減圧下で混合することにより、冷凍包餡麺帯食品の喫食時のやわらかい食感や弾力感・外観が好ましい状態となる。その理由としては減圧混合することで水分が速やかに穀物粉粒子に浸透し澱粉の吸水およびグルテン湿潤が促進することが考えられる。 【0018】 以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。また本発明の説明において%は、特に断りのない限り重量%を意味する。 【実施例1】 【0019】 (実施例1) 10kgスケールによる冷凍包餡麺帯食品の製造 小麦粉100重量部(10kg)に対して食塩1.5重量部(0.15kg)および水35重量部(3.5kg)加えて常圧で混合したものをコントロール品とし、水を39重量部、40重量部、41重量部にして常圧で混合したものを比較例品1、比較例品2、比較例品3とし、水を39重量部、40重量部、41重量部にして真空下で混合したものを実施例品1、実施例品2、実施例品3とした。 【0020】 冷凍包餡麺帯食品用の麺帯は以下の方法にて製造した。 小麦粉100重量部をミキサー(株式会社大竹麺機製)に投入し、1.5重量部の食塩を溶解させた水を攪拌しながら投入した。真空混合の場合は水が均一に混合された状態となるように常圧で3.5分混合した後減圧を開始した。そのときの真空度は-0.08~0.07MPaになるように制御し真空下で1.5分間混合した。次に、得られた混合物を約30mmの厚さに延ばし、続いて3段のローラーにて10mm、2mm、0.7mmに順次圧延し麺帯を得た。この麺帯を直径8cmの丸型にて型抜きし餃子の餡12g(餡の水分含量約78%)を包餡した後、10分間の蒸し加熱を行った。加熱終了後直ちに-40℃にて急速凍結して冷凍餃子を得た。」 (エ)引用文献8に記載された事項 原査定の拒絶の理由で引用文献8として引用され、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開平10-84898号公報(以下、「引用文献8」という。)には、「小麦粉製品の製造方法」に関して、おおむね次の記載がある。 ・「【請求項1】 小麦粉を主成分とした生地原料を真空度600mmHg以下の減圧環境下においてミキシングして得た生地を、更に真空度600mmHg以下の減圧環境下において60分以上エージングすることを特徴とする小麦粉製品の製造方法。」(第2ページ左欄第2ないし6行) ・「【作用】適正な真空度における適正な時間の減圧処理は、小麦粉成分、即ちその蛋白や澱粉と水分子との反応(水和反応)を速やかで効率の良いものとし、組織中に余剰な空気を含まず、組織内の水分布を高度に均一化する作用がある。前記水和および水分布の均一化の結果、減圧処理により製造した生地を持つ食品は、吸水性、保水性、そして伝熱性の向上を図ることが可能である。即ち、小麦粉中の澱粉のα化反応の促進や、あるいは焼き、揚げなどの処理をしたときのメイラード反応の促進を図ることが可能であり、また冷凍保存中の組織内の水分移行による乾燥の防止や、調理後の時間経過に伴う乾燥や硬化を抑制することができるのである。」(第3ページ左欄第34行ないし右欄第3行) ・「【発明の効果】本発明による小麦粉製品は、吸水性、保水性、伝熱性に優れ、また食感もなめらかな好ましいものとすることができる。それ故に、蒸し、焼き、揚げなどの調理が簡単で、また調理後に冷蔵または冷凍保存したものを電子レンジで再加熱しても水分の蒸発が少なく、極端な乾燥や硬い引きなどを感じることなく食することができる。 【実施例】以下に実施例として、従来の問題点が顕著に現れるものの一つである、冷凍の焼き餃子を例にとって本発明を更に説明する。 【実施例1~4および比較例1~6】準強力粉100%に対し、食塩および水をそれぞれ1.0%、36.0%添加し、表1に示した真空度においてミキシングを行った。ミキシングは、まず小麦粉等の粉体原料を減圧処理のできるミキサー中で良く混合した後に、食塩、水を予め混合したものを入れ、再度ミキサー中で12分間混練した。次いで表1に示したように、実施例1~4および比較例1においては90分のエージングを行い、比較例2~6においてはエージングを行わずに生地を作成したのち、ロールにより圧延し、最終麺厚を0.7mmとして型抜きを行い、皮を作成した。この皮をで具材を包み、各20gの生餃子を得た。この生餃子を100℃飽和水蒸気圧下で6分間蒸した後、200℃で4分間焼いて調理した。調理後、これを急速冷凍し、-18℃で冷凍保存した。1週間後冷凍餃子を取り出し、4個ごと電子レンジ(500W)で70秒間加熱した。」(第3ページ右欄第23ないし41行) (オ)引用文献9に記載された事項 原査定の拒絶の理由で引用文献9として引用され、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「第44回食品産業技術功労賞受賞に関するお知らせ,2014年,イートアンド株式会社」(以下、「引用文献9」という。)には、おおむね次の記載がある。 ・「 [図:0001409683000001.jpg] [図:0001409683000002.jpg] 」(第1及び2ページ) ウ 対比 本願補正発明と引用発明を対比する。 引用発明における「小麦粉」は本願補正発明における「グルテンを含む穀物粉」に相当する。 引用発明における「タピオカ澱粉」及び「加工タピオカ澱粉」は本願補正発明における「米デンプン、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、タピオカ加工デンプンのいずれか一以上であるデンプン」に相当する。 引用発明における「小麦粉」、「タピオカ澱粉」及び「加工タピオカ澱粉」は、それぞれ、重量百分率で「40~60重量%」、「5~25重量%」及び「1~4重量%」含まれるものであるところ、引用発明の具体的な実施例である実施例1においては、それぞれ40%、25%及び2%で含まれることから、引用発明における「小麦粉」と「タピオカ澱粉」及び「加工タピオカ澱粉」の含まれる割合は本願補正発明における「穀物粉9:デンプン1から穀物粉2:デンプン8の割合となるようにする」という発明特定事項の条件を満たす。 引用発明における「塩」は本願補正発明における「調味料」に相当する。 引用発明における「餃子の皮と具材を水餃子製造機に入れて具材を包んで形を整え、沸騰したお湯で素早く2~5分茹でたのちに取り出してすぐに冷水に入れ、2~5分冷ましてから水餃子を冷水からすくって急速冷凍トンネルに入れて冷凍し、定量パック詰めする水餃子」は本願補正発明における「冷凍餃子類」に相当する。 引用発明における「餃子の皮」は本願補正発明における「餃子類の皮」に相当する。 引用発明における「小麦粉40~60重量%、タピオカ澱粉5~25重量%、加工タピオカ澱粉1~4重量%、塩0.1~1重量%、及び水30~35重量%の割合でこれらを混ぜて撹拌」する工程は本願補正発明における「冷凍餃子類の皮の原料とする工程」に相当する。 引用発明における「餃子の皮を作る方法」は本願補正発明における「冷凍餃子類の皮の製造方法」に相当する。 したがって、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「グルテンを含む穀物粉と、米デンプン、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、タピオカ加工デンプンのいずれか一以上であるデンプンとを重量比が穀物粉9:デンプン1から穀物粉2:デンプン8の割合となるようにするとともに、調味料、水を配合し、冷凍餃子類の皮の原料とする工程を有する冷凍餃子類の皮の製造方法。」 そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。 <相違点1> 本願補正発明においては、「油」「を配合し」と特定されているのに対し、引用発明においては、そのようには特定されていない点。 <相違点2> 本願補正発明においては、「撹拌混合装置にて脱気して練り上げ効率を高めてグルテン形成を促進して」と特定されているのに対し、引用発明においては、そのようには特定されていない点。 <相違点3> 本願補正発明においては、「94℃から99℃の沸騰水でボイル済のデンプン由来のゲル状糊化部をその表面に備えた」と特定されているのに対し、引用発明においては、そのようには特定されていない点。 エ 判断 そこで、上記相違点について、検討する。 (ア)相違点1について 餃子の皮に、必要に応じて油を添加することは当業者が通常行う設計的事項である(必要であれば、引用文献3に記載された事項を参照。)から、引用発明において、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことである。 (イ)相違点2について 引用文献7には、小麦粉を含む穀粉類と食塩と水と、必要であればその他の材料を、ミキサーに投入し、常圧で混合して穀物粉と水等が均一に分散した後に、減圧下で混合することにより、水分が速やかに穀物粉粒子に浸透し澱粉の吸水およびグルテン湿潤が促進され、冷凍包餡麺帯食品の喫食時のやわらかい食感や弾力感・外観が好ましい状態となることが記載されている。 引用文献8には、小麦粉を主成分とした生地原料のミキサー中での減圧処理は、小麦粉成分、即ちその蛋白や澱粉と水分子との反応(水和反応)を速やかで効率の良いものとし、組織中に余剰な空気を含まず、組織内の水分布を高度に均一化する作用があり、小麦粉製品は、吸水性、保水性、伝熱性に優れ、また食感もなめらかな好ましいものとすることができることが記載されている。 引用文献9には、真空練り上げ製法により生地に真空で複雑に圧力を加えることで、ぷるもち感をさらに向上させ、煮くずれしにくい水餃子の皮に仕上げることができることが記載されている。 そうすると、引用文献7ないし9には、餃子の皮を作る際に、小麦粉等の穀物粉及び水等を「撹拌混合装置にて脱気して練り上げ効率を高めること」及びそれにより「グルテン形成を促進」することに相当する事項が記載されているといえる。 したがって、引用発明において、引用文献7ないし9に記載された事項を適用して、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たことである。 (ウ)相違点3について 引用発明における「餃子の皮」は「餃子の皮と具材を水餃子製造機に入れて具材を包んで形を整え、沸騰したお湯で素早く2~5分茹でたのちに取り出してすぐに冷水に入れ、2~5分冷ましてから水餃子を冷水からすくって急速冷凍トンネルに入れて冷凍し、定量パック詰めする水餃子を製造するために準備しておく」ものであるから、「沸騰したお湯」で「茹でる」、すなわち「沸騰水」で「ボイル」するものであるといえる。 そして、引用発明における「沸騰水」の温度は「100℃」程度であることは技術常識であるところ、該「沸騰水」に「餃子の皮と具材を水餃子製造機に入れて具材を包んで形を整え」た「水餃子」を投入すれば、該「水餃子」の温度は常温であると考えられるから、「沸騰水」の温度は「100℃」から若干下がるものの、「94℃から99℃」である蓋然性は高い。 また、引用発明において、「タピオカ澱粉」、すなわち「タピオカデンプン」を含んだ「水餃子」を「94℃から99℃」の「沸騰水」で「ボイル」した場合、「沸騰水」との界面で染み出した「タピオカデンプン」由来のゲル状固化部をその表面に備えるようになることは当業者に明らかである。 したがって、引用発明は、相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項を有しているといえ、相違点3は実質的な相違点とはいえない。 (エ)効果について 本願補正発明の奏する「加熱時にもちもち感とぷるぷる感の双方を満たすことができる冷凍餃子類の皮を提供することができる。」(本願の発明の詳細な説明の【0020】)という効果は、引用発明及び引用文献7ないし9に記載された事項(特に、引用文献9に記載された事項を参照。また、必要であれば、引用文献3に記載された事項も参照。)からみて、本願補正発明の構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものであるとはいえない。 オ 請求人の主張について (ア)請求人の主張の概要 請求人は、審判請求書第9及び10ページにおいて、おおむね次のとおり主張する。 「同日付けの手続補正書においてした補正により、本願請求項1~10,12,13に係る発明の冷凍餃子類の皮の製造方法において、「冷凍餃子類の皮が、94℃から99℃の沸騰水でボイル加熱することにより沸騰水との界面で染み出したデンプン由来のゲル状糊化部をその表面に備えていること」を特定した。 これに対して、引用文献6には、審査官殿のご指摘の通り、本願請求項1~5に係る発明の「グルテンを含む穀物粉」と「米デンプン、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、タピオカ加工デンプンのいずれか一以上であるデンプン」との重量比と同じ乃至は類似するかのような重量比の水餃子の皮が記載されているのに加えて、水餃子が、餃子の皮に詰め物を入れて形成され、沸いた湯で茹でた後、スナップ連結トンネルで冷凍後定量包装することにより製造されることが記載されている。 しかしながら、引用文献6には、本願発明の特徴である「冷凍餃子類の皮が、94℃から99℃の沸騰水でボイル加熱することにより沸騰水との界面で染み出したデンプン由来のゲル状糊化部をその表面に備えている」ことについては開示も示唆もされておらず、本願請求項1~5に係る発明との差異は明確である。 ここで、審査官殿は、「引用文献6に記載の水餃子は、沸いた湯で茹でたものであるから、皮に含有される澱粉由来のゲル状糊化部を含むものといえる。」と述べておられるが、引用文献6に記載された発明では、沸いた湯の温度(94℃から99℃)に係る記載は一切ない。 したがって、引用文献6に記載された発明において、「冷凍水餃子の皮は、94℃から99℃の沸騰水でボイル加熱することで沸騰水との界面においてグルテンの染み出し効果を生じさせ、これにより、家庭での加熱時における皮のぷるぷる感を向上させ得るゲル状糊化部を皮の表面に備えたものとすることができる」という補正後の本願請求項1~13に係る発明特有の効果を得ることができないのは明白である。 このように、本願請求項1~13に係る発明と引用文献1,6,7-9に記載の発明との差異は明確であり、本願請求項1~13に係る発明は、引用文献1,6,7-9に記載の発明に基づいて進歩性を否定されるものではないものと思料する。」 (イ)検討 そこで、検討する。 引用文献6には「94℃から99℃の沸騰水でボイル済のデンプン由来のゲル状糊化部をその表面に備えた」という本願補正発明の発明特定事項は明記されていないものの、上記エ(ウ)のとおり、引用発明が該発明特定事項を有することは当業者に明らかである。 また、引用文献6には「94℃から99℃の沸騰水」という本願補正発明の発明特定事項は明記されていないものの、上記エ(ウ)のとおり、引用発明が該発明特定事項を有する蓋然性は高い。 さらに、上記エ(エ)のとおり、本願補正発明の効果は、本願補正発明の構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものであるとはいえない したがって、請求人の上記主張は採用できない。 カ まとめ したがって、本願補正発明は引用発明、すなわち引用文献6に記載された発明及び引用文献7ないし9に記載された事項(必要であれば、引用文献3に記載された事項も参照。)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (3)むすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和4年10月24日に提出された手続補正書による手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし13に係る発明は、令和3年10月15日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)の【請求項1】に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献6ないし9に記載された発明に基づいてその優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。 引用文献6:中国特許出願公開第1509654号明細書 引用文献7:特許第4649949号公報 引用文献8:特開平10-84898号公報 引用文献9:第44回食品産業技術功労賞受賞に関するお知らせ,2014年,イートアンド株式会社 3 引用文献に記載された事項等 引用文献6に記載された事項及び引用文献6に記載された発明は、上記第2[理由]2(2)イ(ア)a及びbのとおりである。 引用文献7ないし9に記載された事項は、上記第2[理由]2(2)イ(ウ)ないし(オ)のとおりである。 4 対比・判断 上記第2[理由]2(1)のとおり、本願補正発明は本願発明の発明特定事項である「冷凍餃子類の皮」について、「94℃から99℃の沸騰水でボイル済のデンプン由来のゲル状糊化部をその表面に備えた」という限定を加えたものである。すなわち、本願発明は、本願補正発明から上記限定を削除したものに相当する。 そして、本願補正発明が、上記第2[理由]2(2)ウないしカのとおり、引用文献6に記載された発明及び引用文献7ないし9に記載された事項(必要であれば、上記第2[理由]2(2)イ(イ)の引用文献3に記載された事項も参照。)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである以上、本願発明も、引用文献6に記載された発明及び引用文献7ないし9に記載された事項(必要であれば、引用文献3に記載された事項も参照。)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 むすび したがって、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 第4 結語 上記第3のとおり、本願発明、すなわち請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-016916

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