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特許拒絶査定不服審判

2022-016578

遊技機

審判番号
2022-016578
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-078560外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年10月17日
審決日
2023年06月27日
公報発行日
2023年09月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-78560「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年11月 1日出願公開、特開2021-171380〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 12項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、令和2年4月27日に出願した特許出願(特願2020-78560)であって、本願の出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。

令和 4年 3月15日付け:拒絶理由通知書
5月26日 :意見書、手続補正書の提出

7月 6日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

同月19日 :原査定の謄本の送達
10月17日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和4年10月17日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年10月17日にされた手続補正を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)

(1) 本件補正後の特許請求の範囲の記載

令和4年10月17日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおり補正された(下線は、補正箇所を明示するために、符号A等は、分説するために当審合議体が付したものである。以下、A等を付した事項を「構成A」等という。以下同様。)

「【請求項1】
A 予め定められた取得条件が成立したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段と、
B 前記情報取得手段の取得した特別情報を予め定められた所定数を上限として記憶する取得情報記憶手段と、
C 前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報に基づいて特定判定を行う特定判定手段と、
続きを表示(全15行)
D 前記特定判定の結果が所定結果となったことに基づいて所定遊技状態より遊技者に有利な特別遊技状態に移行させる特別遊技状態手段と、
E 前記特定判定が行われることに基づいて遊技回用動作が開始され、前記特定判定の結果に対応した報知結果とし前記遊技回用動作が終了されることを遊技回の1回として、前記遊技回用動作が行われるように所定の報知手段を制御する遊技回制御手段と、
F 少なくとも実行前の遊技回の保留数を遊技者が認識できるように保留用報知を前記所定の報知手段又は当該所定の報知手段とは異なる報知手段にて行う保留用報知手段と、
G 前記情報取得手段により取得された所定の特別情報について当該所定の特別情報が前記特定判定の対象となった場合における判定結果に対応する情報を、その特別情報が前記特定判定の対象となるよりも前のタイミングにおいて特定する先特定手段と、
H 前記先特定手段の特定結果に基づいて前記保留用報知の報知態様が通常態様とは異なる特定態様となるようにすることが可能な特定態様手段と、
を備え、
K1 前記特別遊技状態とは別に、遊技状態として複数種類の遊技状態が設定されており、
K2 前記特定判定の結果が前記所定結果となり、前記特別遊技状態への移行が行われた場合、前記特別遊技状態の終了より後に前記複数種類の遊技状態のうちのいずれかの遊技状態に移行させる状態移行手段と、
K3 特定の特別情報に対応する所定の保留用報知の報知態様が特定態様とされた状態で前記特定の特別情報より前に取得された特別情報に基づく前記特定判定にて前記所定結果となり、当該所定結果に対応して移行する所定の特別遊技状態より前の遊技状態と前記所定の特別遊技状態の終了より後の遊技状態とが異なる状況で、前記所定の特別遊技状態の終了後に前記特定の特別情報についての前記先特定手段による特定が実行されずに前記所定の保留用報知の報知態様が通常態様となることを可能とする第1手段と、
K4 前記第1手段により通常態様とされた前記所定の保留用報知に関し、前記特定の特別情報に対応する遊技回の実行前において当該所定の保留用報知の報知態様が通常態様に維持されることを可能とする第2手段と、を備えている
J ことを特徴とする遊技機。」

(2) 本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の令和4年5月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
A 予め定められた取得条件が成立したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段と、
B 前記情報取得手段の取得した特別情報を予め定められた所定数を上限として記憶する取得情報記憶手段と、
C 前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報に基づいて特定判定を行う特定判定手段と、
続きを表示(全15行)
D 前記特定判定の結果が所定結果となったことに基づいて所定遊技状態より遊技者に有利な特別遊技状態に移行させる特別遊技状態手段と、
E 前記特定判定が行われることに基づいて遊技回用動作が開始され、前記特定判定の結果に対応した報知結果とし前記遊技回用動作が終了されることを遊技回の1回として、前記遊技回用動作が行われるように所定の報知手段を制御する遊技回制御手段と、
F 少なくとも実行前の遊技回の保留数を遊技者が認識できるように保留用報知を前記所定の報知手段又は当該所定の報知手段とは異なる報知手段にて行う保留用報知手段と、
G 前記情報取得手段により取得された所定の特別情報について当該所定の特別情報が前記特定判定の対象となった場合における判定結果に対応する情報を、その特別情報が前記特定判定の対象となるよりも前のタイミングにおいて特定する先特定手段と、
H 前記先特定手段の特定結果に基づいて前記保留用報知の報知態様が通常態様とは異なる特定態様となるようにすることが可能な特定態様手段と、
を備え、
K1 前記特別遊技状態とは別に、遊技状態として複数種類の遊技状態が設定されており、
K2 前記特定判定の結果が前記所定結果となり、前記特別遊技状態への移行が行われた場合、前記特別遊技状態の終了より後に前記複数種類の遊技状態のうちのいずれかの遊技状態に移行させる状態移行手段と、
K3’ 前記特別遊技状態への移行より前に特定態様とされた所定の保留用報知について、前記特別遊技状態への移行より前の遊技状態と前記特別遊技状態の終了より後の遊技状態とが異なる場合に前記特別遊技状態の終了より後の報知態様が通常態様となることを可能とする第1手段と、
K4’ 前記第1手段により通常態様とされた前記所定の保留用報知に関し、当該所定の保留用報知の特別情報に対応する遊技回の実行前において当該所定の保留用報知の報知態様が通常態様に維持されることを可能とする第2手段と、を備えている
J ことを特徴とする遊技機。」

2 補正の適否

(1) 本件補正

本件補正は、本件補正前の請求項1における「所定の保留用報知」が、「特定の特別情報に対応する」ものであることを限定する(構成K3)とともに、「特別遊技状態」が、「前記特定の特別情報より前に取得された特別情報に基づく前記特定判定にて前記所定結果となり、当該所定結果に対応して移行する」、「所定の」ものであって、その「終了より後」に、「前記特定の特別情報についての前記先特定手段による特定が実行され」ないことを限定し(構成K3)、これらを限定することに合わせて、構成K3及び構成K4の記載を全体的に整えたものである。

(2) 補正目的

前記(1)のとおり、本件補正は、本件補正前の発明特定事項に限定を加えることを含むものであって、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。

(3) 新規事項

本件補正は、願書に最初に添付した明細書の【0614】、【0616】、【0619】~【0621】、【0630】、【0659】~【0660】等の記載、及び図63、図64等の記載からみて、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 本件補正発明の独立特許要件についての検討

前記2(2)のとおり、本件補正による特許請求の範囲の請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正であるから、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1) 本件補正発明の認定

本件補正発明は、前記1(1)に記載したとおりのものである。

(2) 引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-202669号公報(平成28年12月8日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、「遊技機」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている(下線は当審合議体が付した。以下同様。)。

ア 記載事項

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「【0025】
画像表示装置5の画面上には、第1保留表示部5HRと、第2保留表示部5HLと、アクティブ表示部AHAとが配置されている。第1保留表示部5HRは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示する。第1特図保留記憶数は、第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図を用いた特図ゲームに対応する可変表示の保留数である。第2保留表示部5HLは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。第2特図保留記憶数は、第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームに対応する可変表示の保留数である。特図ゲームに対応した可変表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を、遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生する。すなわち、特図ゲームや飾り図柄の可変表示といった可変表示ゲームを実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件に基づく可変表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、可変表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する可変表示の保留が行われる。
(中略)
【0032】
第1保留表示部5HRや第2保留表示部5HLとともに、あるいは第1保留表示部5HRや第2保留表示部5HLに代えて、特図保留記憶数を表示する表示器を設けるようにしてもよい。図1に示す例では、第1保留表示部5HRや第2保留表示部5HLとともに、第1特別図柄表示装置4A及び第2特別図柄表示装置4Bの上部に、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示する。第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bはそれぞれ、例えば第1特図保留記憶数と第2特図保留記憶数のそれぞれにおける上限値(例えば「4」)に対応した個数(例えば4個)のLEDを含んで構成されている。」
「【0047】
パチンコ遊技機1には、例えば図2に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、ランプ制御基板14といった、各種の制御基板が搭載されている。また、パチンコ遊技機1には、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板15なども搭載されている。その他にも、パチンコ遊技機1における遊技盤などの背面には、例えば払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板、タッチセンサ基板などといった、各種の基板が配置されている。
【0048】
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板12などからなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。また、主基板11は、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bを構成する各LED(例えばセグメントLED)などの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の可変表示を制御することや、普通図柄表示器20の点灯/消灯/発色制御などを行って普通図柄表示器20による普通図柄の可変表示を制御することといった、所定の表示図柄の可変表示を制御する機能も備えている。
(中略)
【0050】
演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、画像表示装置5、スピーカ8L、8R及び遊技効果ランプ9や装飾用LEDといった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。すなわち、演出制御基板12は、画像表示装置5における表示動作や、スピーカ8L、8Rからの音声出力動作の全部または一部、遊技効果ランプ9や装飾用LEDなどにおける点灯/消灯動作の全部または一部といった、演出用の電気部品に所定の演出動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えている。
(中略)
【0054】
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM(Read Only Memory)101と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM(Random Access Memory)102と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU(Central Processing Unit)103と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O(Input/Output port)105とを備えて構成される。」
「【0066】
パチンコ遊技機1においては、遊技媒体としての遊技球を用いた所定の遊技が行われ、その遊技結果に基づいて所定の遊技価値が付与可能となる。遊技球を用いた遊技の一例として、パチンコ遊技機1における筐体前面の右下方に設置された打球操作ハンドルが遊技者によって所定操作(例えば回転操作)されたことに基づいて、所定の打球発射装置が備える発射モータなどにより、遊技媒体としての遊技球が遊技領域に向けて発射される。遊技領域を流下した遊技球が、普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口(第1始動領域)を通過(進入)すると、図2に示す第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことなどにより第1始動条件が成立する。その後、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第1開始条件が成立したことに基づいて、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームが開始される。
【0067】
また、遊技球が普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口(第2始動領域)を通過(進入)すると、図2に示す第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことなどにより第2始動条件が成立する。その後、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第2開始条件が成立したことに基づいて、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームが開始される。ただし、普通可変入賞球装置6Bが第2可変状態としての通常開放状態や閉鎖状態であるときには、第2始動入賞口を遊技球が通過困難または通過不可能である。
続きを表示(全14行)
(中略)
【0069】
第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームが開始されるときや、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームが開始されるときには、特別図柄の可変表示結果を、予め定められた特定表示結果としての「大当り」にするか否かが、その可変表示結果を導出表示する以前に決定(事前決定)される。そして、可変表示結果の決定に基づく所定割合で、変動パターンの決定などが行われ、可変表示結果や変動パターンを指定する演出制御コマンドが、図2に示す主基板11の遊技制御用マイクロコンピュータ100から演出制御基板12に向けて伝送される。
【0070】
こうした可変表示結果や変動パターンの決定に基づいて特図ゲームが開始された後、例えば変動パターンに対応して予め定められた可変表示時間が経過したときには、可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示される。第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特別図柄の可変表示に対応して、画像表示装置5の画面上に配置された「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rでは、特別図柄とは異なる飾り図柄(演出図柄)の可変表示が行われる。「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rで可変表示される飾り図柄は、それぞれ左図柄、中図柄、右図柄ともいう。第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームや、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームにおいて、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示されるときには、画像表示装置5において飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示される。
【0071】
特別図柄の可変表示結果として予め定められた大当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果(特図表示結果)が「大当り」(特定表示結果)となり、遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。すなわち、大当り遊技状態に制御されるか否かは、可変表示結果が「大当り」となるか否かに対応しており、その可変表示結果を導出表示する以前に決定(事前決定)される。特別図柄の可変表示結果として、大当り図柄が導出表示されず、ハズレ図柄が導出表示されたときには、可変表示結果(特図表示結果)が「ハズレ」(非特定表示結果)となる。
(中略)
【0077】
大当り遊技状態が終了した後には、所定の確変制御条件が成立したことに基づいて、可変表示結果が「大当り」となる確率(大当り確率)が通常状態よりも高くなる確変状態に制御されることがある。確変状態は、所定回数(例えば200回)の可変表示が実行されること、または可変表示の実行回数が所定回数に達する以前に大当り遊技状態が開始されることなど、所定の確変終了条件が成立するまで継続するように制御される。なお、確変終了条件は、可変表示の実行回数にかかわらず、次回の大当り遊技状態が開始されるときに成立するようにしてもよい。大当り遊技状態が終了した後には、平均的な可変表示時間が通常状態よりも短くなる時短状態に制御されることがある。時短状態は、所定回数(例えば100回)の可変表示が実行されたこと、または可変表示の実行回数が所定回数に達する以前に大当り遊技状態が開始されることなど、所定の時短終了条件が成立するまで継続するように制御される。一例として、大当り種別が「非確変」である場合に大当り遊技状態が終了した後には、遊技状態が時短状態となる。一方、大当り種別が「確変」または「突確」である場合に大当り遊技状態が終了した後には、遊技状態が確変状態となる。」
「【0092】
予告演出のうちには、先読み予告演出(先読み演出ともいう)となるものが含まれている。先読み予告演出は、可変表示結果が「大当り」となる可能性などが予告される対象(予告対象)となる可変表示が実行されるより前に、演出態様に応じて可変表示結果が「大当り」となる可能性を予告可能な予告演出である。特に、複数回の特図ゲームに対応して複数回実行される飾り図柄の可変表示にわたり連続して予告する先読み予告演出は、連続予告演出ともいう。先読み予告演出では、予告対象となる可変表示が開始されるより前に、例えば始動入賞の発生による特図ゲームの保留記憶などに基づいて可変表示結果が「大当り」となる可能性などを予告するための演出動作が開始される。先読み予告演出との対比において、予告対象となる可変表示が開始された後に実行が開始される予告演出は、単独予告演出(単独予告、当該変動予告、あるいは可変表示中予告演出ともいう)と称される。
【0093】
この実施の形態では、先読み予告演出の一例として、第1保留表示部5HRにおける第1保留表示の表示部位や第2保留表示部5HLにおける第2保留表示の表示部位を、通常時における表示態様とは異なる表示態様に変化させることにより、予告対象となる可変表示において「大当り」となる可能性などを予告する「保留表示変化」の先読み予告演出が実行される。より具体的には、特図保留記憶数を特定可能に表示する表示部位における表示色を、通常時における所定色(例えば白色)とは異なる特定色(例えば赤色、緑色、青色のいずれかなど)とすることにより、可変表示結果が「大当り」となる可能性が通常よりも高いことを報知できればよい。また、第1保留表示や第2保留表示における表示柄を通常時とは異なる特定柄(例えばサクラ柄など)とすることにより、可変表示結果が「大当り」となる可能性が通常よりも高いことを報知できるようにしてもよい。あるいは、第1保留表示や第2保留表示として所定のメッセージ(例えば「秘」など)を示す表示態様とすることにより、表示色が特定色に変化する可能性が通常よりも高いことを報知(示唆)できるようにしてもよい。こうした表示態様が特定態様に変化する可能性が高いことを示唆する保留表示は、示唆保留表示ともいう。「保留表示変化」の先読み予告演出は、保留表示変化演出ともいう。」
「【0108】
一例として、主基板11の側で用いられる遊技用乱数には、特図表示結果決定用の乱数値MR1と、大当り種別決定用の乱数値MR2と、変動パターン決定用の乱数値MR3と、普図表示結果決定用の乱数値MR5とが含まれていればよい。特図表示結果決定用の乱数値MR1は、特図ゲームにおける特別図柄などの可変表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否かの決定に用いられる乱数値である。大当り種別決定用の乱数値MR2は、可変表示結果を「大当り」とする場合に、大当り種別を「非確変」、「確変」、「突確」のいずれかといった、複数種別のいずれかに決定するために用いられる乱数値である。変動パターン決定用の乱数値MR3は、特別図柄や飾り図柄の可変表示における変動パターンを、予め用意された複数パターンのいずれかに決定するために用いられる乱数値である。普図表示結果決定用の乱数値MR5は、普図ゲームにおける普通図柄の可変表示結果を「普図当り」として普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を閉鎖状態(通常開放状態)よりも高い頻度で遊技球が通過(進入)しやすい開放状態(拡大開放状態)に制御するか否かの決定に用いられる乱数値である。」
「【0115】
ステップS208の処理を実行した後に、CPU103は、始動入賞の発生時に対応した所定の遊技用乱数を抽出する(ステップS209)。一例として、ステップS209の処理では、乱数回路104やRAM102の所定領域(遊技制御カウンタ設定部など)に設けられたランダムカウンタ等によって更新される数値データのうちから、特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データが抽出される。こうして抽出された各乱数値を示す数値データが保留データとして、始動口バッファ値に応じた特図保留記憶部における空きエントリの先頭にセットされることで記憶される(ステップS210)。
【0116】
ステップS210の処理では、例えば始動口バッファ値が「1」であるときに、保留データが第1特図保留記憶部にセットされる一方、始動口バッファ値が「2」であるときに、保留データが第2特図保留記憶部にセットされる。第1特図保留記憶部は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)して第1始動入賞が発生したものの、未だ開始されていない特図ゲーム(第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム)について保留記憶として記憶する。第2特図保留記憶部は、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)して第2始動入賞が発生したものの、未だ開始されていない特図ゲーム(第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲーム)について保留記憶として記憶する。
続きを表示(全11行)
【0117】
第1特図保留記憶部は、例えば第1始動入賞口への入賞順(遊技球の検出順)に保留番号と関連付けて、その遊技球の通過(進入)による第1始動条件の成立に基づいてCPU103が乱数回路104等から抽出した特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データなどを保留データとして、その記憶数が所定の上限値(例えば「4」)に達するまで記憶する。こうして第1特図保留記憶部に記憶された保留データは、第1特図を用いた特図ゲームの実行が保留されていることを示し、この特図ゲームにおける可変表示結果(特図表示結果)に基づき大当り遊技状態に制御すると決定されるか否かや、可変表示結果が「大当り」となる場合の大当り種別が複数種別のいずれとなるか、飾り図柄の可変表示態様が特定態様(例えばスーパーリーチのリーチ演出など)となるか否かなどを判定可能にする保留記憶情報となる。
【0118】
第2特図保留記憶部は、例えば第2始動入賞口への入賞順(遊技球の検出順)に保留番号と関連付けて、その遊技球の通過(進入)による第2始動条件の成立に基づいてCPU103が乱数回路104等から抽出した特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データなどを保留データとして、その記憶数が所定の上限値(例えば「4」)に達するまで記憶する。こうして第2特図保留記憶部に記憶された保留データは、第2特図を用いた特図ゲームの実行が保留されていることを示し、この特図ゲームにおける可変表示結果(特図表示結果)に基づき大当り遊技状態に制御すると決定されるか否かや、可変表示結果が「大当り」となる場合の大当り種別が複数種別のいずれとなるか、飾り図柄の可変表示態様が特定態様(例えばスーパーリーチのリーチ演出など)となるか否かなどを判定可能にする保留記憶情報となる。
(中略)
【0120】
図5は、入賞時乱数値判定処理として、図4のステップS212にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この実施の形態において、特別図柄や飾り図柄の可変表示が開始されるときには、後述する特別図柄通常処理(図3のステップS110、図8)において、特図表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否かの決定や、変動パターンの決定などが行われる。他方、これらの決定とは別に、遊技球が始動入賞口(第1始動入賞口または第2始動入賞口)にて検出された始動入賞タイミングで、CPU103がステップS212の入賞時乱数値判定処理を実行することにより、特図表示結果として大当り図柄を導出すると決定される乱数値MR1であるか否かの判定や、飾り図柄の可変表示状態をリーチ状態とする変動パターンに決定される乱数値MR3であるか否かの判定などを行う。これにより、始動入賞口を通過(進入)した遊技球の検出に基づく特別図柄や飾り図柄の可変表示が開始されるより前に、特図表示結果が「大当り」となるか否かや、飾り図柄の可変表示中にリーチ状態となるか否かを予測し、この予測結果に基づいて、演出制御基板12の側で演出制御用CPU120などにより、先読み演出となる予告演出を実行するか否かを、決定することができる。」
「【0121】
図5に示す入賞時乱数値判定処理において、CPU103は、まず、例えばRAM102の所定領域(遊技制御フラグ設定部など)に設けられた時短フラグや確変フラグの状態を確認することなどにより、パチンコ遊技機1における現在の遊技状態を特定する(ステップS401)。より具体的には、確変フラグがオンであるときには遊技状態が確変状態であること、確変フラグがオフで時短フラグがオンであるときには遊技状態が時短状態であること、確変フラグと時短フラグがともにオフであるときには通常状態であることを、それぞれ特定すればよい。また、RAM102の所定領域(遊技制御フラグ制御部など)に設けられた特図プロセスフラグの値を確認することなどにより、パチンコ遊技機1における現在の遊技状態が大当り遊技状態であるか否かを特定できればよい。」

イ 引用発明1

前記アの記載事項から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる(符号a~jは、本件補正発明の構成A~Jに概ね対応させて当審合議体が付したものである。)。

(引用発明1)

「a 遊技の進行を制御する主基板11と、画像表示装置5による演出動作を制御する演出制御基板12を搭載し(【0047】、【0048】、【0050】)、主基板11が搭載する遊技制御用マイクロコンピュータ100は、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU103を備え(【0054】)、CPU103は、始動入賞の発生時に対応した所定の遊技用乱数を抽出し(【0115】)、
b 主基板11の側で用いられる遊技用乱数には、特図ゲームにおける特別図柄などの可変表示結果を大当りとして大当り遊技状態に制御するか否かの決定に用いられる乱数値である、特図表示結果決定用の乱数値MR1が含まれ(【0108】)、第1特図保留記憶部は、第1始動入賞口への入賞順に保留番号と関連付けて、その遊技球の通過による第1始動条件の成立に基づいてCPU103が乱数回路104等から抽出した特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データなどを保留データとして、その記憶数が所定の上限値に達するまで記憶し(【0117】)、第2特図保留記憶部は、第2始動入賞口への入賞順に保留番号と関連付けて、その遊技球の通過による第2始動条件の成立に基づいてCPU103が乱数回路104等から抽出した特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データなどを保留データとして、その記憶数が所定の上限値に達するまで記憶し(【0118】)、
c、d、e 主基板11は、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bを構成する各LEDなどの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の可変表示を制御し(【0048】)、第1始動条件が成立した後、第1開始条件が成立したことに基づいて第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームが開始され、第2始動条件が成立した後、第2開始条件が成立したことに基づいて第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームが開始され(【0066】、【0067】)、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームが開始されるときや、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームが開始されるときには、特別図柄の可変表示結果を、予め定められた特定表示結果としての「大当り」にするか否かが、その可変表示結果を導出表示する以前に決定され(【0069】)、特図ゲームが開始された後、可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示され(【0070】)、特別図柄の可変表示結果として大当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果が大当りとなり、遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御され(【0071】)、
f 画像表示装置5の画面上には、第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図を用いた特図ゲームに対応する可変表示の保留数を特定可能に表示する第1保留表示部5HRと、第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームに対応する可変表示の保留数を特定可能に表示する第2保留表示部5HLとが配置され、第1始動入賞口や第2始動入賞口を遊技球が通過することによる始動入賞に基づいて特図ゲームの可変表示ゲームを実行するための始動条件は成立したが、可変表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する可変表示の保留が行われ(【0025】)、第1保留表示部5HRや第2保留表示部5HLとともに、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられ(【0032】)、
g 遊技球が始動入賞口である第1始動入賞口または第2始動入賞口にて検出された始動入賞タイミングで、CPU103が入賞時乱数値判定処理を実行することにより、特図表示結果として大当り図柄を導出すると決定される乱数値MR1であるか否かの判定を行うことによる予測結果に基づいて、先読み演出を実行するか否かを決定することができ(【0120】)、
h 先読み演出として、第1保留表示部5HRにおける表示部位や第2保留表示部5HLにおける表示部位を、通常時における表示態様とは異なる表示態様に変化させることにより、予告対象となる可変表示において「大当り」となる可能性などを予告する保留表示変化が実行され(【0092】、【0093】)、
k1 遊技状態には、確変状態、時短状態、通常状態があり(【0121】)、
k2 大当り遊技状態が終了した後には、可変表示結果が「大当り」となる確率が通常状態よりも高くなる確変状態に制御されることや、平均的な可変表示時間が通常状態よりも短くなる時短状態に制御されることがある(【0077】)
j パチンコ遊技機1(【0047】)。」

(3) 引用文献2

本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2020-11118号公報(令和2年1月23日出願公開。以下「引用文献2」という。)には、「遊技機」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。

ア 記載事項

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「【0049】
本実施形態の保留画像HGの表示態様には、白色の表示態様(図5(a))と、緑色の表示態様(図5(b))と、赤色の表示態様(図5(c))と、虹色の表示態様(図5(d))と、がある。本実施形態において、白色の表示態様は、保留変化演出が実行されない場合の保留画像HGの表示態様である。また、本実施形態において、緑色の表示態様、赤色の表示態様、及び虹色の表示態様は、保留変化演出が実行される場合の表示態様である。なお、本実施形態の保留変化演出は、大当り遊技の前後にまたがって実行可能である。即ち、本実施形態の保留変化演出は、該保留変化演出の開始後に大当り遊技が付与された場合、大当り遊技の終了後にも継続して実行される。例えば、本実施形態では、保留変化演出により保留画像HGが虹色の表示態様で表示された後に大当り遊技が付与された場合、大当り遊技の終了後にも、保留画像HGが虹色の表示態様で表示される。」
「【0089】
具体的に、主制御CPU30aは、大当り遊技中に特定検知センサSE6により遊技球が検知された場合、大当り遊技の終了後の遊技状態を高確高ベース状態に制御する。本実施形態において、大当り遊技中に特定検知センサSE6により遊技球が検知されることは、高確率状態を付与するための高確率付与条件として把握できる。即ち、本実施形態において、主制御CPU30aは、大当り遊技の前後で、大当り判定において大当りと判定される確率が異なる遊技状態に変化させる制御が可能である。その後、主制御CPU30aは、次回の大当り遊技が付与されたことを契機として成立する当り終了条件の成立を契機として、高確率状態及び高ベース状態を終了させる。」
「【0198】
・保留変化演出は、大当り遊技の開始を契機として終了されてもよい。即ち、保留変化演出は、大当り遊技の前後にまたがっては実行不能であってもよい。この場合、副制御CPU31aは、保留変化演出の開始後に大当り遊技が付与されたときには、大当り遊技の終了後において、保留変化演出決定処理において決定された表示態様にかかわらず特定の表示態様(例えば、白色の表示態様)で保留画像HGを表示させるように制御するとよい。」
「【図5】
[図:0001401403000001.jpg]
」

イ 引用文献2の記載からの認定事項

引用文献2には、「大当り遊技の終了後において、保留変化演出決定処理において決定された表示態様にかかわらず特定の表示態様である白色の表示態様で保留画像HGを表示させるように制御」(【0198】)した後に、「保留画像HG」を、異なる表示態様に変更するようにするようにした記載が認められないことから、引用文献2の記載から、「大当り遊技の終了後において、保留変化演出決定処理において決定された表示態様にかかわらず特定の表示態様である白色の表示態様で保留画像HGを表示させるように制御した後は、白色の表示態様を維持して変化させない」点が認められる(認定事項1)。

ウ 引用文献2記載事項

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前記アの記載事項及び前記イの認定事項から、引用文献2には、以下の技術事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

(引用文献2記載事項)

「保留画像HGの表示態様には、保留変化演出が実行されない場合の保留画像HGの表示態様である白色の表示態様と、保留変化演出が実行される場合の表示態様である、緑色の表示態様と、赤色の表示態様と、虹色の表示態様とがあり(【0049】)、大当り遊技の前後で、大当り判定において大当りと判定される確率が異なる遊技状態に変化させる制御で(【0089】)、保留変化演出の開始後に大当り遊技が付与されたときには、大当り遊技の終了後において、保留変化演出決定処理において決定された表示態様にかかわらず特定の表示態様である白色の表示態様で保留画像HGを表示させるように制御し(【0198】)、大当り遊技の終了後において、保留変化演出決定処理において決定された表示態様にかかわらず特定の表示態様である白色の表示態様で保留画像HGを表示させるように制御した後は、白色の表示態様を維持して変化させない(認定事項1)点。」

(4) 引用発明1との対比

ア 本件補正発明と引用発明1の対比

(ア) 構成Aについて

引用発明1の構成aにおける「始動入賞の発生時に」、「遊技用乱数」、「抽出」は、それぞれ、本件補正発明の構成Aにおける「予め定められた取得条件が成立したことに基づいて」、「特別情報」、「取得」に相当し、また、引用発明1において、「始動入賞の発生時に対応した所定の遊技用乱数を抽出」する「CPU103」を備えた「主基板11」が、本件補正発明の「情報取得手段」としての機能を有することは明らかである。

よって、引用発明1は、本件補正発明の構成A(予め定められた取得条件が成立したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段と、)に相当する構成を備えたものである。

(イ) 構成Bについて

引用発明1の構成aの「遊技用乱数」、「抽出」、「主基板11」が、それぞれ、本件補正発明の「特別情報」、「取得」、「情報取得手段」に相当することは、前記(ア)で述べたとおりである。

そして、引用発明1の構成bにおける「所定の上限値に達するまで」、「第1特図保留記憶部」及び「第2特図保留記憶部」、「記憶」は、本件補正発明の構成Bにおける「予め定められた所定数を上限として」、「取得情報記憶手段」、「記憶」に相当する。

そうすると、引用発明1は、本件補正発明の構成B(前記情報取得手段の取得した特別情報を予め定められた所定数を上限として記憶する取得情報記憶手段と、)に相当する構成を備えたものである。

(ウ) 構成Cについて

引用発明1の構成bの「第1特図保留記憶部」及び「第2特図保留記憶部」が、本件補正発明の「取得情報記憶手段」に相当することは前記(イ)で述べたとおりである。また、引用発明1の構成aの「遊技用乱数」が、本件補正発明の「特別情報」に相当することは前記(ア)で述べたとおりであり、当該「遊技用乱数」(特別情報)には、構成bの「大当り遊技状態に制御するか否かの決定に用いられる乱数値である、特図表示結果決定用の乱数値MR1」が含まれる。

そして、引用発明1の構成c、d、eにおける「特別図柄の可変表示結果を、予め定められた特定表示結果としての「大当り」にするか否か」の「決定」は、「遊技用乱数」(特別情報)のうち、特に、前段で述べた「大当り遊技状態に制御するか否かの決定に用いられる乱数値である、特図表示結果決定用の乱数値MR1」が、構成gの「特図表示結果として大当り図柄を導出すると決定される乱数値MR1であるか否かの判定を行うこと」によりなされるものであるところ、上記「決定」は、本件補正発明の構成Cにおける「特別情報に基づ」く「特定判定」に相当するといえる。

また、引用発明1の構成c、d、eにおいて、「特別図柄の可変表示結果を、予め定められた特定表示結果としての「大当り」にするか否か」の「決定」を行う「主基板11」が、本件補正発明の構成Cの「付与判定手段」としての機能を有することは明らかである。

そうすると、引用発明1は、本件補正発明の構成C(前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報に基づいて特定判定を行う特定判定手段と、)に相当する構成を備えたものであるといえる。

(エ) 構成Dについて

引用発明1の構成c、d、eにおける「特別図柄の可変表示結果を、予め定められた特定表示結果としての「大当り」にするか否か」の「決定」が、本件補正発明における「特別情報に基づ」く「特定判定」に相当することは、前記(ウ)で述べたとおりであり、上記「決定」(特定判定)は「可変表示結果を導出表示する以前」に行われることから、「特別図柄」の「可変表示結果」の「導出表示」は、上記「決定」(特定判定)の「結果」に「基づく」ものであるということができる。

そして、引用発明1の構成c、d、eにおいて、「特別図柄」の「可変表示結果」として大当り図柄が「導出表示」されて、「遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御され」ることは、本件補正発明の構成Dにおける、「所定遊技状態より遊技者に有利な特別遊技状態に移行される」ことに相当する。

また、引用発明1の構成c、d、eにおいて、「遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御」する「主基板11」が、本件補正発明の構成Dにおける「特別遊技状態手段」としての機能を有することは明らかである。

そうすると、引用発明1は、本件補正発明の構成D(前記特定判定の結果が所定結果となったことに基づいて所定遊技状態より遊技者に有利な特別遊技状態に移行させる特別遊技状態手段と、)に相当する構成を備えたものであるといえる。

(オ) 構成Eについて

引用発明1の構成c、d、eにおける、「特別図柄の可変表示結果を、予め定められた特定表示結果としての「大当り」にするか否か」の「決定」が、本件補正発明の「特定判定」に相当することは、前記(ウ)で述べたとおりである。

そして、引用発明1の構成c、d、eにおける、「第2特図を用いた特図ゲーム」や「第1特図を用いた特図ゲーム」の「開始」から、「可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示」に至るまでの一連の動作は、本件補正発明の構成Eにおける、「遊技回用動作が開始され」て「遊技回用動作が終了される」までの「遊技回の1回」に相当し、また、引用発明1の構成c、d、eにおける「特別図柄の可変表示結果」の「導出表示」は、本件補正発明の構成Eの「特定判定の結果に対応した報知結果」に相当し、同じく構成c、d、eの「第2特別図柄表示装置4B」及び「第1特別図柄表示装置4A」は、本件補正発明の構成Eの「所定の報知手段」に相当する。

また、引用発明1の構成c、d、eにおいて、「第1特図や第2特図の可変表示を制御」する「主基板11」が、本件補正発明の構成Eの「遊技回制御手段」としての機能を有することは明らかである。

そうすると、引用発明は、前記(ウ)の構成Cについての検討も踏まえて、本件補正発明の構成E(前記特定判定が行われることに基づいて遊技回用動作が開始され、前記特定判定の結果に対応した報知結果とし前記遊技回用動作が終了されることを遊技回の1回として、前記遊技回用動作が行われるように所定の報知手段を制御する遊技回制御手段と、)に相当する構成を備えたものであるといえる。

(カ) 構成Fについて

引用発明1の構成fの「特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25B」、「画像表示装置5の画面上に」「配置され」た「第1保留表示部5HRや第2保留表示部5HL」は、それぞれ、本件補正発明の構成Fの「実行前の遊技回の保留数を遊技者が認識できるように保留用報知」を行う「所定の報知手段」、「実行前の遊技回の保留数を遊技者が認識できるように保留用報知」を行う「当該所定の報知手段とは異なる報知手段」に相当し、また、引用発明1の「パチンコ遊技機1」が、「第1保留表示器25Aと第2保留表示器25B」(所定の報知手段)や「第1保留表示部5HRや第2保留表示部5HL」(当該所定の報知手段とは異なる報知手段)によって報知を行うために、本件補正発明の構成Fの「保留用報知手段」に相当する手段を備えることは自明である。

そうすると、引用発明1は、本件補正発明の構成F(少なくとも実行前の遊技回の保留数を遊技者が認識できるように保留用報知を前記所定の報知手段又は当該所定の報知手段とは異なる報知手段にて行う保留用報知手段と、)に相当する構成を備えたものであるといえる。

(キ) 構成Gについて

引用発明1の構成aの「主基板11」、「遊技用乱数」、構成cの「特別図柄の可変表示結果を、予め定められた特定表示結果としての「大当り」にするか否か」の「決定」が、それぞれ、本件補正発明の「情報取得手段」、「特別情報」、「特定判定」に相当することは、前記(ア)又は(ウ)で述べたとおりである。

そして、上記(ウ)で述べたように、引用発明1において、「特別図柄の可変表示結果を、予め定められた特定表示結果としての「大当り」にするか否か」の「決定」は、「遊技用乱数」(特別情報)のうち、特に、「大当り遊技状態に制御するか否かの決定に用いられる乱数値である、特図表示結果決定用の乱数値MR1」を使用するものであるところ、当該「乱数値MR1」が、本件補正発明の構成gの「CPU103が入賞時乱数値判定処理を実行することにより、特図表示結果として大当り図柄を導出すると決定される乱数値MR1であるか否かの判定を行うことによる予測」を行うことは、本件補正発明の構成Gにおいて、「所定の特別情報について当該所定の特別情報が特定判定の対象となった場合における判定結果に対応する情報を、その特別情報が特定判定の対象となるよりも前のタイミングにおいて特定する」ことに相当するといえる。

また、引用発明1の構成gにおいて、「CPU103が入賞時乱数値判定処理を実行することにより、特図表示結果として大当り図柄を導出すると決定される乱数値MR1であるか否かの判定を行うことによる予測」する「CPU103」を備えた「主基板11」が、本件補正発明の構成Gの「先特定手段」としての機能を有することは明らかである。

そうすると、引用発明1は、本件補正発明の構成G(前記情報取得手段により取得された所定の特別情報について当該所定の特別情報が前記特定判定の対象となった場合における判定結果に対応する情報を、その特別情報が前記特定判定の対象となるよりも前のタイミングにおいて特定する先特定手段と、)に相当する構成を備えたものである。

(ク) 構成Hについて

引用発明1の構成gの「事前判定」、「主基板11」が、それぞれ、本件補正発明の「判定結果に対応する情報」の「特定」、「先特定手段」に相当することは、前記(キ)で述べたとおりである。

また、引用発明1の構成fにおける「表示手段としての装飾図柄表示装置208に表示可能な複数種類の保留アイコン」が本件補正発明の「報知手段」に相当することは、前記(カ)で述べたとおりであるところ、本件補正発明の構成hにおいて、「複数種類の保留アイコンのうちの一つ」である「第二の種類の保留アイコンとしての人型の特図1および特図2保留ランプ画像」が、「事前判定」(判定結果に対応する情報の特定)に「基づいて」、「保留先読み演出として・・・画像に施された色彩等」で「大当りに当選する確率の高低を報知する」ことは、本件補正発明の構成Hにおいて、「先特定手段の特定結果に基づいて保留用報知の報知態様が通常態様とは異なる特定態様となるようにすること」に相当するといえる。

そして、引用発明1の「パチンコ機100」が、「保留先読み演出として・・・画像に施された色彩等」で「大当りに当選する確率の高低を報知する」ために、本件補正発明の「特定態様手段」に相当する手段を備えることは自明である。

そうすると、引用発明は、本件補正発明の構成H(前記先特定手段の特定結果に基づいて前記保留用報知の報知態様が通常態様とは異なる特定態様となるようにすることが可能な特定態様手段と、を備え、)に相当する構成を備えたものであるといえる。

(ケ) 構成K1について

引用発明1の構成c、d、eの「大当り遊技状態」が、本件補正発明の「特別遊技状態」に相当することは、前記(エ)で述べたとおりであり、引用発明1の構成k1における「確変状態、時短状態、通常状態」等の「遊技状態」は、本件補正発明の構成K1における「特別遊技状態とは別」の「複数種類の遊技状態」に相当する。

そうすると、引用発明1は、本件補正発明の構成K1(前記特別遊技状態とは別に、遊技状態として複数種類の遊技状態が設定されており、)に相当する構成を備えたものであるといえる。

(コ) 構成K2について

引用発明1の構成c、d、eにおいて、「特別図柄」の「可変表示結果」として大当り図柄が「導出表示」されて、「遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御され」ることは、本件補正発明における、「所定遊技状態より遊技者に有利な特別遊技状態に移行される」ことに相当することは、前記(エ)で述べたとおりであり、また、構成c、d、eの「大当り遊技状態」、構成k1の「確変状態、時短状態、通常状態」等の「遊技状態」は、それぞれ、本件補正発明における「特別遊技状態」、「特別遊技状態とは別」の「複数種類の遊技状態」に相当することは、前記(エ)又は(ケ)で述べたとおりである。

そして、引用発明1の構成k2において、「大当り遊技状態が終了した後には、可変表示結果が「大当り」となる確率が通常状態よりも高くなる確変状態に制御されることや、平均的な可変表示時間が通常状態よりも短くなる時短状態に制御されることがある」ことは、本件補正発明の構成K2において、「特別遊技状態の終了より後に複数種類の遊技状態のうちのいずれかの遊技状態に移行させる」ことに相当する。

さらに、引用発明1の「パチンコ遊技機1」が、「大当り遊技状態が終了した後には・・・確変状態に制御されることや、時短状態に制御されることがある」ようにするために、本件補正発明の構成K2の「状態移行手段」に相当する手段を備えることは自明である。

そうすると、引用発明1は、前記(エ)の構成Dにおける検討も踏まえて、本件補正発明の構成K2(前記特定判定の結果が前記所定結果となり、前記特別遊技状態への移行が行われた場合、前記特別遊技状態の終了より後に前記複数種類の遊技状態のうちのいずれかの遊技状態に移行させる状態移行手段と、)に相当する構成を備えたものであるといえる。

(サ) 構成K3について

前記(エ)及び(キ)~(コ)における構成D、構成G、構成H、構成K1及び構成K2についての検討を踏まえると、引用発明1は、本件補正発明の構成K3における、「特定の特別情報に対応する所定の保留用報知の報知態様が特定態様とされた状態で前記特定の特別情報より前に取得された特別情報に基づく特定判定にて所定結果となり、当該所定結果に対応して移行する所定の特別遊技状態より前の遊技状態と前記所定の特別遊技状態の終了より後の遊技状態とが異なる状況」となることが可能であることは明らかである。

そうすると、引用発明1は、本件補正発明の構成K3(特定の特別情報に対応する所定の保留用報知の報知態様が特定態様とされた状態で前記特定の特別情報より前に取得された特別情報に基づく前記特定判定にて前記所定結果となり、当該所定結果に対応して移行する所定の特別遊技状態より前の遊技状態と前記所定の特別遊技状態の終了より後の遊技状態とが異なる状況で、前記所定の特別遊技状態の終了後に前記特定の特別情報についての前記先特定手段による特定が実行されずに前記所定の保留用報知の報知態様が通常態様となることを可能とする第1手段と、)と、「特定の特別情報に対応する所定の保留用報知の報知態様が特定態様とされた状態で前記特定の特別情報より前に取得された特別情報に基づく特定判定にて所定結果となり、当該所定結果に対応して移行する所定の特別遊技状態より前の遊技状態と前記所定の特別遊技状態の終了より後の遊技状態とが異なる状況となることが可能である」点で共通する。

(シ) 構成Jについて

引用発明1の構成jの「パチンコ遊技機1」は、本件補正発明の構成Jの「遊技機」に相当する。

そうすると、引用発明1は、本件補正発明の構成J(遊技機。)に相当する構成を備えたものである。

イ 引用発明1との一致点及び相違点

前記アにおける検討を踏まえると、本件補正発明と引用発明1の一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>

「A 予め定められた取得条件が成立したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段と、
B 前記情報取得手段の取得した特別情報を予め定められた所定数を上限として記憶する取得情報記憶手段と、
C 前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報に基づいて特定判定を行う特定判定手段と、
D 前記特定判定の結果が所定結果となったことに基づいて所定遊技状態より遊技者に有利な特別遊技状態に移行させる特別遊技状態手段と、
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E 前記特定判定が行われることに基づいて遊技回用動作が開始され、前記特定判定の結果に対応した報知結果とし前記遊技回用動作が終了されることを遊技回の1回として、前記遊技回用動作が行われるように所定の報知手段を制御する遊技回制御手段と、
F 少なくとも実行前の遊技回の保留数を遊技者が認識できるように保留用報知を前記所定の報知手段又は当該所定の報知手段とは異なる報知手段にて行う保留用報知手段と、
G 前記情報取得手段により取得された所定の特別情報について当該所定の特別情報が前記特定判定の対象となった場合における判定結果に対応する情報を、その特別情報が前記特定判定の対象となるよりも前のタイミングにおいて特定する先特定手段と、
H 前記先特定手段の特定結果に基づいて前記保留用報知の報知態様が通常態様とは異なる特定態様となるようにすることが可能な特定態様手段と、
を備え、
K1 前記特別遊技状態とは別に、遊技状態として複数種類の遊技状態が設定されており、
K2 前記特定判定の結果が前記所定結果となり、前記特別遊技状態への移行が行われた場合、前記特別遊技状態の終了より後に前記複数種類の遊技状態のうちのいずれかの遊技状態に移行させる状態移行手段と、
K3’ 特定の特別情報に対応する所定の保留用報知の報知態様が特定態様とされた状態で前記特定の特別情報より前に取得された特別情報に基づく特定判定にて所定結果となり、当該所定結果に対応して移行する所定の特別遊技状態より前の遊技状態と前記所定の特別遊技状態の終了より後の遊技状態とが異なる状況となることが可能である
J 遊技機。」

<相違点1>(構成K3、構成K4)

「特定の特別情報に対応する所定の保留用報知の報知態様が特定態様とされた状態で前記特定の特別情報より前に取得された特別情報に基づく前記特定判定にて前記所定結果となり、当該所定結果に対応して移行する所定の特別遊技状態より前の遊技状態と前記所定の特別遊技状態の終了より後の遊技状態とが異なる状況」において、本件補正発明では、「前記所定の特別遊技状態の終了後に前記特定の特別情報についての前記先特定手段による特定が実行されずに所定の保留用報知の報知態様が通常態様となることを可能とする第1手段と、前記第1手段により通常態様とされた前記所定の保留用報知に関し、前記特定の特別情報に対応する遊技回の実行前において当該所定の保留用報知の報知態様が通常態様に維持されることを可能とする第2手段と、を備えている」のに対し、引用発明1では、本件補正発明の「第1手段」、「第2手段」に相当する手段を備えていない点。

(5) 当審合議体の判断

以下、相違点1について検討する。

前記(3)ウで述べたように、引用文献2には、「保留画像HGの表示態様には、保留変化演出が実行されない場合の保留画像HGの表示態様である白色の表示態様と、保留変化演出が実行される場合の表示態様である、緑色の表示態様と、赤色の表示態様と、虹色の表示態様とがあり、大当り遊技の前後で、大当り判定において大当りと判定される確率が異なる遊技状態に変化させる制御で、保留変化演出の開始後に大当り遊技が付与されたときには、大当り遊技の終了後において、保留変化演出決定処理において決定された表示態様にかかわらず特定の表示態様である白色の表示態様で保留画像HGを表示させるように制御する点」(引用文献2記載事項)が記載されている。

ここで、引用文献2記載事項における「保留画像HG」、「保留変化演出が実行されない場合」の「表示態様である白色の表示態様」、「大当り遊技の前後で、大当り判定において大当りと判定される確率が異なる遊技状態に変化させる」こと、「保留変化演出決定処理にお」ける「決定」は、それぞれ、本件補正発明の「保留用報知」、「通常態様」、「所定の特別遊技状態より前の遊技状態と前記所定の特別遊技状態の終了後の遊技状態とが異なる状況」となること、「先特定」に相当し、これを踏まえると、引用文献2記載事項において、「大当り遊技の終了後において、保留変化演出決定処理において決定された表示態様にかかわらず特定の表示態様である白色の表示態様で保留画像HGを表示させるように制御する」ことは、本件補正発明の構成K3において、「所定の特別遊技状態の終了後に」「先特定手段による特定が実行されずに所定の保留用報知の報知態様が通常態様となることを可能とする」ことに相当するといえることから、引用文献2記載事項は、本件補正発明の「第1手段」に相当する手段を備えると認められる。

また、引用文献2記載事項において、「大当り遊技の終了後において、保留変化演出決定処理において決定された表示態様にかかわらず特定の表示態様である白色の表示態様で保留画像HGを表示させるように制御した後は、白色の表示態様を維持して変化させない」ことから、引用文献2記載事項は、本件補正発明の構成K4における「第2手段」に相当する手段も備えると認められる。

引用発明1における、「大当り遊技状態」(特別遊技状態)の前後における「保留先読み演出」としての「画像に施された色彩等」(保留用報知)の態様について、上記引用文献2記載事項を採用し、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。

そして、本件補正発明が奏する効果は、引用発明1及び引用文献2記載事項から予測される程度のものに過ぎず、予測困難かつ格別顕著な効果を認めることはできない。

(6) 請求人の主張について

請求人は審判請求書において、次の主張をしている。

「(前略)
(2)拒絶査定に対する意見
本願の補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、
・「特定の特別情報に対応する所定の保留用報知の報知態様が特定態様とされた状態で前記特定の特別情報より前に取得された特別情報に基づく前記特定判定にて前記所定結果となり、当該所定結果に対応して移行する所定の特別遊技状態より前の遊技状態と前記所定の特別遊技状態の終了より後の遊技状態とが異なる状況で、前記所定の特別遊技状態の終了後に前記特定の特別情報についての前記先特定手段による特定が実行されずに前記所定の保留用報知の報知態様が通常態様となることを可能とする第1手段」という第1構成と、
続きを表示(全17行)
・「前記第1手段により通常態様とされた前記所定の保留用報知に関し、前記特定の特別情報に対応する遊技回の実行前において当該所定の保留用報知の報知態様が通常態様に維持されることを可能とする第2手段」という第2構成と、を一体的に備えるという特徴的構成を有している。
この特徴的構成により本願発明では、次の優れた効果を奏することができる。
本願発明では先ず上記第1構成を備え、特定の特別情報に対応する所定の保留用報知の報知態様が特定態様とされた状態で所定の特別遊技状態に移行し、その所定の特別遊技状態の前後で遊技状態が変化する場合に、当該所定の特別遊技状態の終了後、上記特定の特別情報についての保留先読み処理(先特定手段による特定)が再実行されることなく、上記所定の保留用報知の報知態様が強制的に通常態様とされるものとなっている。これにより、特別遊技状態の終了後において実際の期待度とは整合しない保留用報知が行われ、遊技者の誤解を招くことを好適に抑制できる。また、一律に通常態様とすることで、遊技状態の相違に起因する期待度の変化に合わせた報知態様の細かな調整を不要化することができ、処理構成の簡単化を図ることも可能になる(本願明細書の段落0660欄等を参照)。
そして、上記のように所定の保留用報知の報知態様を通常態様とした場合において、例えば、その後に当該保留用報知の報知態様を特定態様に変化させようとすると、特別遊技状態の終了後の遊技状態に合わせて保留先読み処理を実行し直したり、その結果に対応した先読みコマンドを送信したりするといった専用処理の追加が必要となり、処理構成の複雑化を招く懸念がある。
この点、上記第2構成を備え、通常態様とされた所定の保留用報知の報知態様をその後も通常態様に維持するため、保留先読み処理のやり直し等を不要化することができる。その際、そのような通常態様の維持を上記特定の特別情報(上記所定の保留用報知の特別情報)が対応する遊技回の実行前において行うため、当該遊技回の開始後は当該維持状態が解除され、上記所定の保留用報知の特定態様への変化が許容される。すなわち、上記遊技回において、遊技回用動作(変動表示)のために送信される変動用情報(変動開始コマンド)を活用して保留用報知の報知態様を変化させることができる。よって、所定の特別遊技状態の終了後、保留先読み処理のやり直しを行わないようにしながらも、上記所定の保留用報知の報知態様を特態態様に変化させることができ、期待度の示唆を行う機会を確保することが可能になる(本願明細書の段落0666欄を参照)。
このような本願発明に対し、引用文献1、2には、取得された保留情報に対して保留先読み処理を実行し、その結果に基づいて保留変化表示を実行するパチンコ機が記載されている。しかしながら、引用文献1には、演出モードや遊技状態によって、保留表示として表示されるキャラクタの顔を異ならせる程度のことが記載されているに過ぎず(段落0094欄)、引用文献2においても、遊技状態によって保留アイコンの表示パターン(表示態様、表示方法など)が変化するものであってもよいことが記載されているに留まる(段落1232、4414欄)。つまり、これらの引用文献において、保留変化表示されている保留用画像が存在する状況で大当たり遊技状態に移行し、その大当たり遊技状態の前後で遊技状態が異なる場合に、大当たり遊技状態への移行前に保留変化表示されていた保留用画像について、大当たり遊技状態の終了後、その表示態様を強制的に通常態様とし、さらにはその状態を当該保留用画像の保留情報に対応する遊技回の実行前において維持することは全く記載されておらず、本願発明の上記特徴的構成についての開示や示唆はなされていない。
また、引用文献3には、大当たり遊技状態の終了時に保留情報が存在する場合に、その保留情報に対する事前再判定処理(再度の保留先読み処理)を大当たり遊技状態の終了時に実行するパチンコ機が記載されている(段落0192~0200欄、図20のステップS1018でYES~ステップS1026の流れ、図21)。引用文献3に記載のパチンコ機は、保留変化表示されている保留用画像が存在する状況で大当たり遊技状態に移行した場合に、大当たり遊技状態の終了時において、その保留用画像の保留情報に対する保留先読み処理を再実行し、大当たり遊技状態の終了後、再実行した保留先読み処理の結果に基づく表示態様で当該保留用画像を表示させるものである。すなわち、保留変化表示されている保留用画像が存在する状況で大当たり遊技状態に移行し、その大当たり遊技状態の前後で遊技状態が異なる場合に、大当たり遊技状態の終了後において、上記保留用画像の保留情報に対する保留先読み処理を再実行することなく、当該保留用画像の表示態様を強制的に通常態様とするようにはなっておらず、本願発明の上記第1構成を備えていない。
加えて、上記第1構成を前提とする上記第2構成についても備えられておらず、結局のところ、引用文献3には、上記第1構成及び第2構成を併せ持つという本願発明の上記特徴的構成について開示も示唆もなされていない。
ここで、本願発明の上記特徴的構成(第1構成、第2構成)は、「特別遊技状態への移行前に特定態様とされた保留用報知に関し、特別遊技状態の終了後の遊技に際して期待度等についての遊技者の誤解を抑制する」という第1課題と、「処理構成の複雑化を抑制しながら、特別遊技状態の終了後における期待度示唆の機会を確保する」という第2課題とを一体的に解決するにはどうしたらよいかというトータルの課題を踏まえて導出されたものであるところ、そのような課題への着目は引用文献1~3において全くなされていない。しかも、上記第1課題及び第2課題は、周知の課題ではなく、当然に導き出される課題でもないため、特別遊技状態への移行前に特定態様とされた保留用報知の報知態様を特別遊技状態の終了後において強制的に通状態様に変更し、その状態を当該保留用報知の保留情報に対応する遊技回の実行前において維持する構成を、敢えて採用する上での動機付けが引用文献1~3には存在しないと言わざるを得ない。
なお、拒絶査定では、『引用文献3には、段落[0200]に、「大当たり遊技の前後において留保された保留球について、現在の遊技状態と異なる遊技状態における事前判定情報が決定されているときには、再度、事前判定が行われることとなる。」と記載されているところ、・・・その結果、事前判定により保留球の表示態様として通常態様が選択され、そのまま維持されることはあり得る』と指摘されているが、本願の補正後の請求項1では、大当たり遊技状態の終了後に再度の事前判定を実行しないことが明記されている。このため、引用文献3においてご指摘の事象が発生し得るとしても、本願の補正後の請求項1はそのような構成を含まないものとなっており、引用文献3に記載された構成との違いが明確となっている。
以上のように本願発明と引用文献1~3に記載された発明とは構成が全く相違するとともに、これらの引用文献にはその相違点を埋め合わせるだけの動機付けとなる記載が存在しない。このため、当業者といえども引用文献1と引用文献3との記載に基づいて本願発明に容易に想到することはできず、また、引用文献2と引用文献3との記載に基づいて本願発明に容易に想到することもできない。
したがって、引用文献1、3又は引用文献2、3との関係において本願発明がいわゆる進歩性を備えないとする合理的理由がなく、本願に対して指摘された特許法第29条第2項の拒絶理由(理由2)は解消されていると確信する。
(後略)」

しかし、引用文献2記載事項が、本件補正発明の、「前記所定の特別遊技状態の終了後に前記特定の特別情報についての前記先特定手段による特定が実行されずに所定の保留用報知の報知態様が通常態様となることを可能とする第1手段」と、「前記第1手段により通常態様とされた前記所定の保留用報知に関し、前記特定の特別情報に対応する遊技回の実行前において当該所定の保留用報知の報知態様が通常態様に維持されることを可能とする第2手段」とを備えるものであって、引用発明1における、「大当り遊技状態」(特別遊技状態)の前後における「保留先読み演出」としての「画像に施された色彩等」(保留用報知)の態様について、引用文献2記載事項を採用することが、当業者が適宜なし得たことであるといえることは、前記(5)で述べたとおりである。

そして、本件補正発明が「大当たり遊技状態の終了後において、上記保留用画像の保留情報に対する保留先読み処理を再実行することなく、当該保留用画像の表示態様を強制的に通常態様とする」ものであるとする、請求人による上記主張は、本件補正発明の構成に基づくものとは認められない。

よって、請求人の主張を採用することはできない。

(7) まとめ

したがって、本件補正発明は、引用発明1及び引用文献2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 本件補正についてのむすび

以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和4年5月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1の記載は前記第2[理由]1(2)に記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりである。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由2(特許法第29条第2項)について

・請求項 1

・引用文献等 1及び3、または、2及び3

<引用文献等一覧>

1.特開2016-202669号公報

2.特開2016-182370号公報

3.特開2010-046431号公報

3 引用文献の記載事項と認定事項、引用発明1、引用文献3記載事項

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(1) 引用文献1の記載事項、引用発明1

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項は、前記第2の3(2)アに摘記したとおりであり、引用発明1は、前記第2の3(2)イで認定したとおりであるところ、引用発明1について改めて以下に記載する(符号a~jは、本願発明の構成A~構成Jに概ね対応させて当審合議体が付した。)。

(引用発明1)

「a 遊技の進行を制御する主基板11と、画像表示装置5による演出動作を制御する演出制御基板12を搭載し(【0047】、【0048】、【0050】)、主基板11が搭載する遊技制御用マイクロコンピュータ100は、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU103を備え(【0054】)、CPU103は、始動入賞の発生時に対応した所定の遊技用乱数を抽出し(【0115】)、
b 主基板11の側で用いられる遊技用乱数には、特図ゲームにおける特別図柄などの可変表示結果を大当りとして大当り遊技状態に制御するか否かの決定に用いられる乱数値である、特図表示結果決定用の乱数値MR1が含まれ(【0108】)、第1特図保留記憶部は、第1始動入賞口への入賞順に保留番号と関連付けて、その遊技球の通過による第1始動条件の成立に基づいてCPU103が乱数回路104等から抽出した特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データなどを保留データとして、その記憶数が所定の上限値に達するまで記憶し(【0117】)、第2特図保留記憶部は、第2始動入賞口への入賞順に保留番号と関連付けて、その遊技球の通過による第2始動条件の成立に基づいてCPU103が乱数回路104等から抽出した特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データなどを保留データとして、その記憶数が所定の上限値に達するまで記憶し(【0118】)、
c、d、e 主基板11は、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bを構成する各LEDなどの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の可変表示を制御し(【0048】)、第1始動条件が成立した後、第1開始条件が成立したことに基づいて第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームが開始され、第2始動条件が成立した後、第2開始条件が成立したことに基づいて第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームが開始され(【0066】、【0067】)、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームが開始されるときや、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームが開始されるときには、特別図柄の可変表示結果を、予め定められた特定表示結果としての「大当り」にするか否かが、その可変表示結果を導出表示する以前に決定され(【0069】)、特図ゲームが開始された後、可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示され(【0070】)、特別図柄の可変表示結果として大当り図柄が導出表示されたときには、可変表示結果が大当りとなり、遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御され(【0071】)、
f 画像表示装置5の画面上には、第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図を用いた特図ゲームに対応する可変表示の保留数を特定可能に表示する第1保留表示部5HRと、第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームに対応する可変表示の保留数を特定可能に表示する第2保留表示部5HLとが配置され、第1始動入賞口や第2始動入賞口を遊技球が通過することによる始動入賞に基づいて特図ゲームの可変表示ゲームを実行するための始動条件は成立したが、可変表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する可変表示の保留が行われ(【0025】)、第1保留表示部5HRや第2保留表示部5HLとともに、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられ(【0032】)、
g 遊技球が始動入賞口である第1始動入賞口または第2始動入賞口にて検出された始動入賞タイミングで、CPU103が入賞時乱数値判定処理を実行することにより、特図表示結果として大当り図柄を導出すると決定される乱数値MR1であるか否かの判定を行うことによる予測結果に基づいて、先読み演出を実行するか否かを決定することができ(【0120】)、
h 先読み演出として、第1保留表示部5HRにおける表示部位や第2保留表示部5HLにおける表示部位を、通常時における表示態様とは異なる表示態様に変化させることにより、予告対象となる可変表示において「大当り」となる可能性などを予告する保留表示変化が実行され(【0092】、【0093】)、
k1 遊技状態には、確変状態、時短状態、通常状態があり(【0121】)、
k2 大当り遊技状態が終了した後には、可変表示結果が「大当り」となる確率が通常状態よりも高くなる確変状態に制御されることや、平均的な可変表示時間が通常状態よりも短くなる時短状態に制御されることがある(【0077】)
j パチンコ遊技機1(【0047】)。」

(2) 引用文献3の記載事項と認定事項、引用文献3記載事項

原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用され、本願出願前に日本国内又は外国において頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2010-46431号公報(平成22年3月4日出願公開。以下「引用文献2」という。)には、「遊技機」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。

ア 記載事項

「【0011】
本発明は、大入賞口への遊技球の入球に応じた賞球を獲得可能な特別遊技を実行する権利獲得の確率が所定の確率に設定された低確率遊技状態、または、上記特別遊技を実行する権利獲得の確率が上記低確率遊技状態よりも高確率に設定された高確率遊技状態にて遊技の進行を制御する制御手段を備えた遊技機であって、上記制御手段は、始動口への遊技球の入球を条件として、少なくとも上記特別遊技を実行する権利獲得の有無および以後の遊技状態を決定する遊技データを取得する遊技データ抽選手段と、上記遊技データに対応する特別図柄を変動表示させる特別図柄変動表示手段と、上記特別図柄の変動表示中に上記始動口へ遊技球が入球したとき、該入球を契機として取得された遊技データを記憶する特別図柄保留記憶装置と、該特別図柄保留記憶装置に記憶された遊技データを、上記低確率遊技状態および上記高確率遊技状態の双方の遊技状態に基づいて判定するとともに、該判定の結果として取得した2つの判定結果のうち、該遊技データを取得したときの遊技状態に基づく判定結果を事前判定結果として決定する事前判定手段と、該事前判定手段による上記事前判定結果が決定されたのちに、遊技状態の変更に基づいて再度事前判定結果を決定しなおす事前再判定手段と、上記事前判定手段および上記事前再判定手段により決定された事前判定結果が予め設定された判定結果となったことを条件として、該判定結果に基づく予兆演出を、該判定結果を導出する遊技データに基づく特別図柄の変動表示が開始される前に実行する予兆演出制御手段と、を備え、上記事前再判定手段は、遊技状態が変更する判定結果が取得され、該判定結果に基づいて遊技状態の変更がなされたとき、変更前の遊技状態に基づいて上記事前判定手段が取得した上記2つの判定結果のうちから該変更後の遊技状態に基づく事前判定結果を再度決定しなおすことを特徴とする。
(中略)
【0015】
そして、事前判定手段および事前再判定手段により決定された事前判定結果が予め設定された判定結果となったときに、予兆演出制御手段が予兆演出を実行する。予め設定された判定結果には、例えば特別遊技を実行する権利を獲得するという判定結果や、所定の内容の演出を実行するという判定結果等、予兆演出を実行する契機として予め設定されたものが広く含まれる。また、上記の各内容とは別に、予兆演出を実行するか否かの情報を遊技データにもたせておき、予兆演出を実行するという情報を有するという判定結果を、上記予め設定された判定結果としてもよい。
また、事前判定手段および事前再判定手段は、現在の遊技状態が低確率遊技状態である場合に、以後の遊技状態を高確率遊技状態に変更するという判定結果と、現在の遊技状態が高確率遊技状態である場合に、以後の遊技状態を低確率遊技状態に変更するという判定結果の少なくともいずれか一方を取得するものでなければならない。」
「【0200】
このように、ステップS1027~ステップS1033の処理によって、大当たり遊技の前後において留保された保留球について、現在の遊技状態と異なる遊技状態における事前判定情報が決定されているときには、再度、事前判定が行われることとなる。したがって、遊技状態が「高確率遊技状態から低確率遊技状態へ」または「低確率遊技状態から高確率遊技状態へ」と変化する場合にも、事前再判定処理プログラム241bが正確な判定結果を導き出すことができる。」
「【0240】
このように、始動口に遊技球が入球して保留球(第1保留、第2保留)が留保されると、演出表示装置13に保留数表示が行われ、第1保留(U1)の留保個数と第2保留(U2)の留保個数とが遊技者に報知される。そして、これら保留球に係る事前判定情報が、「大当たり」または「小当たり」に係る場合には、当該保留球がキャラクターによって表示され、いわゆる予兆演出が行われる。こうしたキャラクターによる保留球の表示は、特別図柄変動処理によって当該保留球が消化するまで継続して行われることとなる。
したがって、演出表示装置13において、キャラクターによる保留数表示が行われると、遊技者は大当たりに対する高い期待感を抱くこととなり、高い演出効果を発揮することが可能となる。なお、本実施形態においては、「大当たり」または「小当たり」の場合に予兆演出を行うこととしたが、「ハズレ」の場合にも所定の確率でキャラクターによる保留表示を行うことがより望ましい。」

イ 引用文献3の記載からの認定事項

引用文献3には、「事前判定手段および事前再判定手段により決定された事前判定結果が予め設定された判定結果となったときに、予兆演出制御手段が予兆演出を実行する。」(【0015】)、「大当たり遊技の前後において留保された保留球について、現在の遊技状態と異なる遊技状態における事前判定情報が決定されているときには、再度、事前判定が行われることとなる。」(【0200】)、「これら保留球に係る事前判定情報が、「大当たり」または「小当たり」に係る場合には、当該保留球がキャラクターによって表示され、いわゆる予兆演出が行われる。こうしたキャラクターによる保留球の表示は、特別図柄変動処理によって当該保留球が消化するまで継続して行われることとなる。・・・「ハズレ」の場合にも所定の確率でキャラクターによる保留表示を行うことがより望ましい。」(【0240】)と記載されるところ、「大当たり遊技」の「前」において「留保された保留球」について「決定され」た「事前判定情報」による「予兆演出」としての「キャラクターによる保留球の表示」は、「大当たり遊技」の「後」の「異なる遊技状態」において、「再度、事前判定が行われ」るものであって、それにより、「キャラクターによる保留球の表示」が変更され、「予兆演出」としての「キャラクターによる保留球の表示」を行わない場合もあることは明らかであるから、引用文献3の記載から、「大当たり遊技の前における予兆演出としてのキャラクターによる保留球の表示が変更されて、大当たり遊技の後に、大当たり遊技の前と異なる遊技状態となる場合において、キャラクターによる保留球の表示を行わない保留球の表示態様とすることが可能である」点が認められる(認定事項2)。

また、引用文献3には、上記した「大当たり遊技」の「後」の「再度」の「事前判定」による「変更」後の「保留球の表示」について、さらに異なる表示態様に変更することにした記載が認められないことから、「保留球の表示態様」を「保留球が消化するまで変更せずに継続することが可能である」点が認められる(認定事項3)。

ウ 引用文献3記載事項

前記アの記載事項に基づく前記イの認定事項から、引用文献3には、以下の技術事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

(引用文献3記載事項)

「大当たり遊技の前における予兆演出としてのキャラクターによる保留球の表示が変更されて、大当たり遊技の後に、大当たり遊技の前と異なる遊技状態となる場合において、キャラクターによる保留球の表示を行わない保留球の表示態様とすることが可能であり(認定事項2)、当該保留球の表示態様を、保留球が消化するまで変更せずに継続することが可能である(認定事項3)点。」

4 対比・判断

(1) 引用発明1との対比

ア 本願発明と引用発明1の対比

(ア) 構成A~構成K2、構成Jについて

本願発明の構成A~構成K2及びJについての対比は、前記第2の3(4)ア(ア)~(コ)及び(シ)で述べたとおりであり、引用発明1は、本願発明の構成A~構成K2及びJに相当する構成を備えたものであるといえる。

(イ) 構成K3’について

前記第2の3(4)ア(エ)及び(キ)~(コ)における、構成D、構成G、構成H、構成K1及び構成K2についての検討を踏まえると、引用発明1には、本願発明の構成K3’における、「前記特別遊技状態への移行より前に特定態様とされた所定の保留用報知について、前記特別遊技状態への移行より前の遊技状態と前記特別遊技状態の終了より後の遊技状態とが異なる場合」があることは明らかである。

そうすると、引用発明1は、本願発明の構成K3’(前記特別遊技状態への移行より前に特定態様とされた所定の保留用報知について、前記特別遊技状態への移行より前の遊技状態と前記特別遊技状態の終了より後の遊技状態とが異なる場合に前記特別遊技状態の終了より後の報知態様が通常態様となることを可能とする第1手段と、)と、「前記特別遊技状態への移行より前に特定態様とされた所定の保留用報知について、前記特別遊技状態への移行より前の遊技状態と前記特別遊技状態の終了より後の遊技状態とが異なる場合がある」点で共通する。

イ 引用発明1との一致点及び相違点

前記アにおける検討を踏まえると、本願発明と引用発明1の一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>

「A 予め定められた取得条件が成立したことに基づいて特別情報を取得する情報取得手段と、
B 前記情報取得手段の取得した特別情報を予め定められた所定数を上限として記憶する取得情報記憶手段と、
C 前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報に基づいて特定判定を行う特定判定手段と、
D 前記特定判定の結果が所定結果となったことに基づいて所定遊技状態より遊技者に有利な特別遊技状態に移行させる特別遊技状態手段と、
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E 前記特定判定が行われることに基づいて遊技回用動作が開始され、前記特定判定の結果に対応した報知結果とし前記遊技回用動作が終了されることを遊技回の1回として、前記遊技回用動作が行われるように所定の報知手段を制御する遊技回制御手段と、
F 少なくとも実行前の遊技回の保留数を遊技者が認識できるように保留用報知を前記所定の報知手段又は当該所定の報知手段とは異なる報知手段にて行う保留用報知手段と、
G 前記情報取得手段により取得された所定の特別情報について当該所定の特別情報が前記特定判定の対象となった場合における判定結果に対応する情報を、その特別情報が前記特定判定の対象となるよりも前のタイミングにおいて特定する先特定手段と、
H 前記先特定手段の特定結果に基づいて前記保留用報知の報知態様が通常態様とは異なる特定態様となるようにすることが可能な特定態様手段と、
を備え、
K1 前記特別遊技状態とは別に、遊技状態として複数種類の遊技状態が設定されており、
K2 前記特定判定の結果が前記所定結果となり、前記特別遊技状態への移行が行われた場合、前記特別遊技状態の終了より後に前記複数種類の遊技状態のうちのいずれかの遊技状態に移行させる状態移行手段と、
K3” 前記特別遊技状態への移行より前に特定態様とされた所定の保留用報知について、前記特別遊技状態への移行より前の遊技状態と前記特別遊技状態の終了より後の遊技状態とが異なる場合がある
J 遊技機。」

<相違点2>(構成K3’、構成K4’)

「前記特別遊技状態への移行より前に特定態様とされた所定の保留用報知について、前記特別遊技状態への移行より前の遊技状態と前記特別遊技状態の終了より後の遊技状態とが異なる場合」において、本願発明では、「前記特別遊技状態の終了より後の報知態様が通常態様となることを可能とする第1手段と、前記第1手段により通常態様とされた前記所定の保留用報知に関し、当該所定の保留用報知の特別情報に対応する遊技回の実行前において当該所定の保留用報知の報知態様が通常態様に維持されることを可能とする第2手段と、を備えている」のに対し、引用発明1では、本願発明の「第1手段」、「第2手段」に相当する手段を備えていない点。

(2) 当審合議体の判断

以下、相違点2について検討する。

前記第2の3(4)ウで述べたように、引用文献3には、「大当たり遊技の前における予兆演出としてのキャラクターによる保留球の表示が変更されて、大当たり遊技の後に、大当たり遊技の前と異なる遊技状態となる場合において、キャラクターによる保留球の表示を行わない保留球の表示態様とすることが可能であり、当該保留球の表示態様を、保留球が消化するまで変更せずに継続することが可能である点。」(引用文献3記載事項)が記載されている。

ここで、引用文献3記載事項における「大当たり遊技の後」、「キャラクターによる保留球の表示を行わない保留球の表示態様」は、それぞれ、本願発明の「特別遊技状態の終了より後」、「通常態様」の「報知態様」に相当し、これを踏まえると、引用文献3記載事項において、「大当たり遊技の前における予兆演出としてのキャラクターによる保留球の表示が変更されて、大当たり遊技の後に、大当たり遊技の前と異なる遊技状態となる場合において、キャラクターによる保留球の表示を行わない保留球の表示態様とすることが可能である」ことは、本願発明において、「特別遊技状態の終了より後の報知態様が通常態様となることを可能とする」ことに相当するといえることから、引用文献3記載事項は、本願発明の「第1手段」(特別遊技状態の終了より後の報知態様が通常態様となることを可能とする手段)に相当する手段を備えると認められる。

また、引用文献3記載事項においては、「当該保留球の表示態様を、保留球が消化するまで変更せずに継続することが可能である」とされていることから、引用文献3記載事項は、本願発明の「第2手段」(第1手段により通常態様とされた所定の保留用報知に関し、当該所定の保留用報知の特別情報に対応する遊技回の実行前において当該所定の保留用報知の報知態様が通常態様に維持されることを可能とする手段)に相当する手段も備えると認められる。

引用発明1における、「大当り遊技状態」(特別遊技状態)の前後における「保留先読み演出」としての「画像に施された色彩等」(保留用報知)の態様について、上記引用文献3記載事項を採用し、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。

そして、本願発明が奏する効果は、引用発明1及び引用文献3記載事項から予測される程度のものに過ぎず、予測困難かつ格別顕著な効果を認めることはできない。

(3) まとめ

したがって、本願発明は、引用発明1及び引用文献3記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び引用文献3記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-016578

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