特許拒絶査定不服審判
2022-016453
管継手
- 審判番号
- 2022-016453
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-549859
- 請求日
- 2022年10月14日
- 審決日
- 2023年07月18日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社水道技術開発機構
- 【請求人代理人】弁理士法人R&C
- 審判長/審判官
- 審判長 間中 耕治
- 審判官 鈴木 充
- 審判官 白土 博之
- 分類
- P18 .121-WY (F16L) / P18 .113-WY (F16L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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特願2019-549859「管継手」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月 2日国際公開、WO2019/082466、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)8月1日(優先権主張 平成29年10月25日)を国際出願日とする出願であって、令和4年6月10日付けで拒絶理由が通知され、同年7月21日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月22日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対して同年10月14日に拒絶査定不服審判の請求がされ、その審判の請求と同時に手続補正がされ、同年12月1日に上申書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
●理由2.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
●理由3.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記(引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由2.(新規性)、理由3.(進歩性)
・請求項1、3及び4に対して 引用文献1
●理由3.(進歩性)
・請求項2に対して 引用文献1及び3
・請求項5に対して 引用文献1ないし3
<引用文献等一覧>
1.米国特許第1556745号明細書
2.特開2003-106485号公報
3.特開2011-174493号公報
第3 本願発明
本願の請求項1ないし5に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は、令和4年10月14日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
フランジ部を有する受口管部に管軸芯方向に沿って挿口管部を挿入して接続する管継手であって、
前記挿口管部の外周面に固定された状態で径方向外側に突出する一体構造の突出部と、
前記突出部の前記管軸芯方向における両側面のうち前記受口管部から遠い側の前記突出部の第一側面と当接する環状一体構造の抜止部材と、
前記フランジ部と前記抜止部材との間に配置される一体構造の環状部材と、
前記フランジ部と前記抜止部材と前記環状部材との夫々に設けられた挿通孔に挿通させて前記フランジ部と前記抜止部材と前記環状部材とを締結する締結部材と、を備え、
前記突出部には、前記第一側面に対して前記管軸芯方向の反対側に位置する第二側面に、前記挿口管部の前記受口管部に挿入される方向への移動を規制する規制面が形成されており、
前記突出部は、前記抜止部材の内周側に形成された環状空間に収容されており、
前記突出部は、前記規制面が前記環状部材に当接することにより、前記挿口管部の前記受口管部に挿入される方向への移動を規制し、前記第一側面が前記締結部材に締結された前記抜止部材に当接することにより、前記挿口管部の前記受口管部から離脱する方向への移動を規制する管継手。
【請求項2】
前記挿口管部のうち、前記受口管部に対向する表面が絶縁材料で覆われている請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記突出部は、前記挿口管部の外周面に形成された環状凹部に嵌合されたC字状のリング部材で構成されている請求項1又は2に記載の管継手。
【請求項4】
前記突出部は、前記挿口管部の外周面から延出させた環状凸部で形成されている請求項1又は2に記載の管継手。
【請求項5】
前記突出部は、前記挿口管部の外周面に溶接された環状リングで構成されている請求項1又は2に記載の管継手。」
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された米国特許第1556745号明細書(以下「引用文献1」という。)には、「PIPE CONNECTION」(「管継手」;当審訳。以下同様。)に関して、次の事項が記載されている(下線は当審が付与した。以下同様。)
(1)「 Figure 1 is a section through a pipe joint constructed according to the present invention ;
Figure 2 is a section through the packing ring; and
Figure 3 is a view of the split locking ring.
The form of pipe shown is provided with a bell end 11 and a spigot end 12. As clearly shown in Figure 1 the spigot end of one pipe is adapted to fit within the bell end of the adjacent pipe. The pipe has formed therein adjacent the spigot end a circumferential recess 13. Fitted in this recess is the split locking ring 14, which ring is preferably formed of resilient metal and is slipped over the spigot end of the pipe. Its resiliency holds it tightly in place in the recess 13.
The collar 15 is fitted upon the pipe adjacent the ring 14 and is provided with the lip 16 overhanging that ring. It will be further noted that the lip is wedge shaped in cross section and the outer edge 17 of the lip extends beyond the face of the split ring 14. This edge of the lip engages the packing ring 18 and deforms it and presses it into the arcuate recess 19 in the bell end of the pipe. The parts are drawn together by the bolts 20 and nuts 21 which join the collar 15 and the flange 22 upon the bell end of the adjacent pipe. The packing ring 18 is shown in its undeformed normal condition in Figure 2.
The joint described is composed of but few parts which are simple in design and construction. It may be readily applied to pipe similar to bell end pipe of usual type, the variation from the usual type consisting in the provision of the circumferential recess 13 and of the necessary bolt holes in the flange 22. The circumferential lip 16 retains the locking ring 14 securely in place and the outer edge 17 of the lip so deforms and presses the packing ring into the bell end as to assure a fluid tight joint.」(1ページ右欄57~102行)
(当審訳)
「図1は、本発明による管継手の断面図である;
図2は、パッキンリングを通る断面図である;そして
図3は、分割ロックリングの図である。
図示の管の形態は、ベルエンド11と蛇口端12を備えている。図1に明確に示されているように、1つの管の蛇口端部は、隣接する管のベルエンド部内に適合するようになっている。管は、蛇口端に隣接してそこに円周方向の凹部13を形成している。この凹部に嵌め込まれるのは分割ロックリング14であり、このリングは好ましくは弾力性のある金属で形成され、管の蛇口端に滑り込ませる。その弾力性により、凹部13内の所定の位置にしっかりと保持される。
カラー15は、分割ロックリング14に隣接する管上に嵌め込まれ、そのリングから張り出したリップ16を備えている。リップは断面がくさび形であり、リップの外縁17は分割ロックリング14の面を越えて延びていることにさらに留意する必要がある。リップのこの縁は、パッキンリング18に係合し、それを変形させて管のベルエンドの円弧状凹部19に押し付ける。この部品は、カラー15とフランジ22を隣接する管のベルエンドに接合するボルト20とナット21によって一緒に引き寄せられる。パッキンリング18は、図2に変形していない正常な状態で示されている。
この継手は、少ない部品で構成され、設計および構造が簡単である。通常のタイプのベルエンド管と同様の管に容易に適用することができ、通常のタイプとの相違点は、周方向凹部13とフランジ22に必要なボルト孔を設けることにある。円周リップ16はロックリング14を確実に保持し、リップの外縁17はパッキンリングを変形させてベルエンドに押し付け、流体密な継手を保証するようにする。」
(2)「Fig.1
[図:0001400271000001.jpg]
」
(3)「Fig.2
[図:0001400271000002.jpg]
」
(4)「
[図:0001400271000003.jpg]
」
(5)上記(1)ないし(4)から認められること
ア 管継手は、フランジ22を有するベルエンド11に管軸芯方向に沿って蛇口端12を挿入して接続するものである。
イ Fig.1及びFig.3から、ロックリング14は、一体構造であり、蛇口端12の円周方向の凹部13に嵌め込まれ外周面から径方向外側に突出することが看取できる。
ウ 上記(1)の「カラー15は、分割ロックリング14に隣接する管上に嵌め込まれ、そのリングから張り出したリップ16を備えている。リップは断面がくさび形であり、リップの外縁17は分割ロックリング14の面を越えて延びていることにさらに留意する必要がある。リップのこの縁は、パッキンリング18に係合し、それを変形させて管のベルエンドの円弧状凹部19に押し付ける。この部品は、カラー15とフランジ22を隣接する管のベルエンドに接合するボルト20とナット21によって一緒に引き寄せられる」との記載並びにFig.1及びFig.3の図示内容を踏まえれば、カラー15もロックリング14と同様にリング状であり、一体構造と解するのが自然である。すなわち、カラー15は、環状一体構造であるといえる。
エ Fig.1から、カラー15は、ロックリング14の管軸芯方向における両側面のうちベルエンド11から遠い側のロックリング14の左側の側面と当接していることが看取できる。
オ 上記(1)及びFig.1から、管継手は、フランジ22とカラー15との夫々に設けられた挿通孔に挿通させてフランジ22とカラー15とを締結するボルト20及びナット21を備えていることがわかる。
カ Fig.1から、ロックリング14は、左側の側面に対して管軸芯方向の反対側に位置する右側の側面を備えており、ロックリング14は、カラー15の内周側に形成された環状空間に収容されていることが看取できる。
キ 上記(1)及びFig.1から、ロックリング14は、右側の側面がリップ16の外縁17とともにパッキンリング18に当接しており、左側の側面がボルト20及びナット21によりフランジ22に締結されたカラー15に当接することにより、蛇口端12のベルエンド11から離脱する方向への移動を規制していることがわかる。
そうすると、上記記載事項及び図面(Fig.1ないしFig.3を参照)の図示内容から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
〔引用発明〕
「フランジ22を有するベルエンド11に管軸芯方向に沿って蛇口端12を挿入して接続する管継手であって、
蛇口端12の円周方向の凹部13に嵌め込まれ外周面から径方向外側に突出する一体構造であるロックリング14と、
ロックリング14の管軸芯方向における両側面のうちベルエンド11から遠い側のロックリング14の左側の側面と当接している環状一体構造のカラー15と、
フランジ22とカラー15との夫々に設けられた挿通孔に挿通させてフランジ22とカラー15とを締結するボルト20及びナット21と、を備え、
ロックリング14には、左側の側面に対して管軸芯方向の反対側に位置する右側の側面を備えており、
ロックリング14は、カラー15の内周側に形成された環状空間に収容されており、
ロックリング14は、右側の面がリップ16の外縁17とともにパッキンリング18に当接しており、左側の側面がボルト20及びナット21に締結されたカラー15に当接することにより、蛇口端12のベルエンド11から離脱する方向への移動を規制する管継手。」
2 引用文献A
令和4年6月10日付けの拒絶理由通知で引用された実公昭39-13266号公報(以下、「引用文献A」という。)には、以下の事項が記載されている。
「接続環10は一端に外方鍔部11を有し、端部に近く内周面に外方に拡開する円錐面12を形成されている。この鍔部11の上面にはパッキング押え環13が置かれ、その上にさらに押圧環14が咬着環15を介して置かれる。また上記円錐面12にはオーリングパッキング16が嵌挿される。
これ等鍔部11、パッキング押え環13、咬着環15、押圧環14は共に円周上にならぶ数個のボルト17、これに係合せるナット18,19により一体に締付けられるのである。この結合構体において、ボルト17には中間部において鍔20が形成されている。この鍔部20は、パッキング押え環13の上面に係合し鍔部11の下面に係合したナット19を締めつければ鍔部20とナット19とにより、パッキング押え環13は挟圧固定されて円錐面12上に嵌挿されたパッキング16を押圧し、接続環10内に挿嵌された合成樹脂管21の外面に圧接し封緘が形成される。
上記パッキング押え環13の上において、薄金属板より形成された咬着環15がボルト17にそのボルト挿通孔22を通すことにより置かれる。この咬着環15は、第2図、第3図に示されるように接合されるべき管21が挿通される円孔23が設けられ、この円孔23の内周端より内方に向って半径方向に多数の切り込み34を形成されることにより内周縁部25は花弁状とされる。外周縁部27には前記ボルト挿通孔22が設けられるのである。上記内周縁部25は花弁状に形成されると共に弯曲部28を形成されている。咬着環15は第3図に示され、また上記したごとく内周縁部25に突弯曲部28を形成されているが、この状態において前記パッキング押え環13上に置かれ、ナット18を締めることにより押圧環14によりパッキング押え環13に圧着されて第1図に示されたごとく圧扁されて扁平状態となる。従って、当然として円孔23の内径は圧扁前の内径に比しこの圧扁によって縮少し内周端は管21に向って全周にわたって張り出すことになる。このことから圧扁前の内径はほぼ管21の外径に等しくまたは僅かこれより大きくしておき管21の挿入後圧扁すれば管を全周において抱持せるようになるので、管21に予め第1図に示すごとく周溝28を設けて置けば、これに咬着環15の内周端が入り込むことになり、管21は抜出不能に接続管10に結合されるのである。
上記管21の周溝28の位置は接続管10の内周壁に突起29を設け、これに管21の端部を突合させることによって容易に決定し得るのである。」(1ページ左欄17行ないし右欄19行。)
(第1図)
「
[図:0001400271000004.jpg]
」
(第2図及び第3図)
「
[図:0001400271000005.jpg]
」
第5 対比及び判断
1 本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「管継手」は、その機能、構成又は技術的意義から見て、本願発明1における「管継手」に相当し、以下同様に、「フランジ22」は「フランジ部」に、「ベルエンド11」は「受口管部」に、「蛇口端12」は「挿口管部」に、「ロックリング14」は「突出部」に、「カラー15」は「抜止部材」に、「ボルト20及びナット21」は「締結部材」に相当する。
そうすると、引用発明の「フランジ22を有するベルエンド11に管軸芯方向に沿って蛇口端12を挿入して接続する管継手」は、本願発明1の「フランジ部を有する受口管部に管軸芯方向に沿って挿口管部を挿入して接続する管継手」に相当し、以下同様に、「蛇口端12の円周方向の凹部13に嵌め込まれ外周面から径方向外側に突出する一体構造であるロックリング14」は「前記挿口管部の外周面に固定された状態で径方向外側に突出する一体構造の突出部」に、「ロックリング14の管軸芯方向における両側面のうちベルエンド11から遠い側のロックリング14の左側の側面と当接している環状一体構造のカラー15」は「前記突出部の前記管軸芯方向における両側面のうち前記受口管部から遠い側の前記突出部の第一側面と当接する環状一体構造の抜止部材」に、「ロックリング14は、カラー15の内周側に形成された環状空間に収容されており」は「前記突出部は、前記抜止部材の内周側に形成された環状空間に収容されており」に、「左側の側面がボルト20及びナット21に締結されたカラー15に当接することにより、蛇口端12のベルエンド11から離脱する方向への移動を規制する」は「前記第一側面が前記締結部材に締結された前記抜止部材に当接することにより、前記挿口管部の前記受口管部から離脱する方向への移動を規制する」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明の「フランジ22とカラー15との夫々に設けられた挿通孔に挿通させてフランジ22とカラー15とを締結するボルト20及びナット21」と、本願発明1の「前記フランジ部と前記抜止部材と前記環状部材との夫々に設けられた挿通孔に挿通させて前記フランジ部と前記抜止部材と前記環状部材とを締結する締結部材」とは、「前記フランジ部と前記抜止部材との夫々に設けられた挿通孔に挿通させて前記フランジ部と前記抜止部材とを締結する締結部材」という限りにおいて一致しており、引用発明の「ロックリング14には、左側の側面に対して管軸芯方向の反対側に位置する右側の側面を備えており」と、本願発明1の「前記突出部には、前記第一側面に対して前記管軸芯方向の反対側に位置する第二側面に、前記挿口管部の前記受口管部に挿入される方向への移動を規制する規制面が形成されており」とは、「前記突出部には、前記第一側面に対して前記管軸芯方向の反対側に位置する第二側面が形成されており」という限りにおいて一致している。
したがって、両者の一致点、相違点は、以下のとおりである。
〔一致点〕
「フランジ部を有する受口管部に管軸芯方向に沿って挿口管部を挿入して接続する管継手であって、
前記挿口管部の外周面に固定された状態で径方向外側に突出する一体構造の突出部と、
前記突出部の前記管軸芯方向における両側面のうち前記受口管部から遠い側の前記突出部の第一側面と当接する環状一体構造の抜止部材と、
前記フランジ部と前記抜止部材との夫々に設けられた挿通孔に挿通させて前記フランジ部と前記抜止部材とを締結する締結部材と、を備え、
前記突出部には、前記第一側面に対して前記管軸芯方向の反対側に位置する第二側面が形成されており、
前記突出部は、前記抜止部材の内周側に形成された環状空間に収容されており、
前記第一側面が前記締結部材に締結された前記抜止部材に当接することにより、前記挿口管部の前記受口管部から離脱する方向への移動を規制する管継手。」
〔相違点1〕
「締結部材」が「前記フランジ部と前記抜止部材との夫々に設けられた挿通孔に挿通させて前記フランジ部と前記抜止部材とを締結する」ことに関して、本願発明1においては、「前記フランジ部と前記抜止部材との間に配置される一体構造の環状部材」を備えており、締結部材が「前記フランジ部と前記抜止部材と前記環状部材との夫々に設けられた挿通孔に挿通させて前記フランジ部と前記抜止部材と前記環状部材とを締結する」のに対して、引用発明においては、環状部材に相当する構成を備えていない点。
〔相違点2〕
「突出部」に関して、本願発明1においては、「前記挿口管部の前記受口管部に挿入される方向への移動を規制する規制面」が形成され、「前記突出部は、前記規制面が前記環状部材に当接することにより、前記挿口管部の前記受口管部に挿入される方向への移動を規制し」ているのに対して、引用発明においては、ロックリング14の右側の側面は、前記環状部材に当接して、蛇口端12のベルエンド11に挿入される方向への移動を規制するものではない点。
上記相違点1及び2について検討する。
上記相違点1及び2は、実質的な相違点であるから、本願発明1は、引用発明ではない。
上記相違点1及び2について、さらに検討する。
引用文献Aには、接続環10が一端に外方鍔部11を有し、鍔部11の上面にはパッキング押え環13が置かれ、その上にさらに押圧環14が咬着環15を介して置かれ、ボルト17、ナット18、19により一体に締付けられ、ボルト17には中間部に鍔20が形成され、ナット19を締付ければ鍔部20とナット19とにより、パッキング押え環13が固定され、さらにナット18を締めることにより咬着環15の内周端が合成樹脂管21の周溝28に入り込むことにより、接続環10と合成樹脂管21との移動を規制した管接手が記載されている。
ここで、パッキング押え環13は、フランジ部と抜止部材の間に配置され、締結部材で締結される「環状部材」といえるとしても、引用文献Aに記載の管接手は、「管21の周溝28の位置は接続管10の内周壁に突起29を設け、これに管21の端部を突合させることによって」「決定」されるものであるから(1ページ右欄20ないし22行)、パッキング押え環13が、合成樹脂管21の接続環10に挿入される方向への移動を規制することを開示するものではない。
してみると、令和4年6月10日付けの拒絶理由通知で引用された引用文献Aに記載された事項を参酌しても、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項は、当業者が容易に想到することができたとはいえない。
そして、フランジ部と抜止部材との間に配置される一体構造の環状部材を備え、突出部の規制面が前記環状部材に当接することにより、挿口管部の受口管部に挿入される方向への移動を規制することは、原査定及び令和4年6月10日付けの拒絶理由通知において引用されたいずれの文献にも記載も示唆もされていない。
そして、本願発明1は、「剛性の高い環状部材に剛性の高い突出部の規制面を当接させることにより、管軸芯方向の圧縮力が作用した場合でも受口管部が挿口管部の側に移動することを確実に防止できる。」という、発明の詳細な説明の段落【0013】に記載の作用効果を奏する。
以上のとおりであるから、本願発明1は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本願発明3及び4について
本願発明3及び4は、本願発明1の発明特定事項を全て備えるから、本願発明3及び4は引用発明ではなく、また、本願発明1と同様の理由により、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 本願発明2及び5について
本願発明2及び5は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1に対して述べたものと同様の理由により、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 まとめ
以上のとおり、本願発明1、3及び4は、いずれも引用発明ではない。
また、本願発明1ないし5は、引用発明、引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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