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特許拒絶査定不服審判

2022-016449

遊技機

審判番号
2022-016449
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-231427外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年10月14日
審決日
2023年10月17日
公報発行日
2024年01月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A63F) / P18 .537-WZ (A63F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-231427「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和3年7月1日出願公開、特開2021-97893〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 13項目
理 由

第1 手続の経緯

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本件に係る出願(以下「本願」という。)は、令和1年12月23日に出願した特許出願(特願2019-231427)であって、本願の出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。

令和 4年 1月28日付け:拒絶理由通知書
3月28日 :意見書、手続補正書の提出

7月 7日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

同月26日 :原査定の謄本の送達
10月14日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 5年 4月 5日付け:拒絶理由通知書(以下「当審拒絶理由」

という。)

6月 6日 :意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明

本願の請求項1及び2に係る発明は、令和5年6月6日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものと認められ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである(符号A等は、本願発明を分説するために当審合議体が付与した。以下、符号A等を付した事項を「構成A」等という。)。

「【請求項1】
A 所定の可動体の動作、および、前記可動体の付近に配置された照明装置の点灯動作を含む確認動作の実行を決定可能である確認動作実行決定手段と、
B 通常遊技を実行する通常遊技実行手段と、
C 前記確認動作の実行中において、遊技球を発射するための第1操作を無効とする第1操作無効手段と、
続きを表示(全14行)
D 前記確認動作の実行中において、前記第1操作と異なる第2操作を有効とする第2操作有効手段と、
E 前記確認動作の実行中における前記第2操作に基づいて、前記通常遊技の実行中における演出設定を変更可能な演出設定手段と、
を備え、
H 前記可動体は、第1の可動体、および、第2の可動体を含み、
I 前記照明装置は、前記第1の可動体の付近に配置された第1の照明装置、および、前記第2の可動体の付近に配置された第2の照明装置を含み、
F1 前記確認動作実行決定手段は、
F2 電源投入後であって、前記通常遊技の実行の開始前において、前記確認動作の実行を決定可能であり、
F3 前記確認動作において、前記可動体の動作、および、前記可動体の付近に配置された照明装置の点灯動作を同時に実行可能であり、
J 前記確認動作として、前記第1の可動体の動作の実行中に、前記第1の照明装置の点灯動作を実行する第1の確認動作、および、前記第2の可動体の動作の実行中に、前記第2の照明装置の点灯動作を実行する第2の確認動作を含む
G 遊技機。」

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由のうち、理由2の概要は、次のとおりのものである。

「2.(進歩性)本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
●理由2(進歩性)について
・請求項 1~2
・引用文献 1~6(当審注:「引用文献 1~5」の誤記である。)
続きを表示(全12行)
本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された引用発明1及び引用文献3に記載された引用文献3記載事項並びに周知技術(引用文献4及び5に例示される。)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
本願の請求項2に係る発明は、引用文献2に記載された引用発明2及び引用文献3に記載された引用文献3記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1 特開2019-150288号公報
2 特開2016-30187号公報
3 特開2018-42591号公報
4 特開2015-116238号公報
5 特開2017-148291号公報」

第4 引用文献

1 引用文献1について

当審拒絶理由に引用文献1として引用された、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2019-150288号公報(令和1年9月12日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、「遊技機」(発明の名称)に関し、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審合議体が付した。以下同様。)。

(1) 記載事項

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ア 「【0158】
図31は、本実施形態のパチンコ遊技機10の制御システムのブロック図である。
遊技機10は遊技制御装置100を備え、遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)であって、遊技用マイクロコンピュータ(以下、遊技用マイコンと称する)111を有するCPU部110と、入力ポートを有する入力部120と、出力ポートやドライバなどを有する出力部130と、CPU部110と入力部120と出力部130との間を接続するデータバス140などからなる。
(中略)
【0164】
遊技用マイコン111は、CPU(中央処理ユニット:マイクロプロセッサ)111A、読出し専用のROM(リードオンリメモリ)111B及び随時読出し書込み可能なRAM(ランダムアクセスメモリ)111Cを備える。」
イ 「【0251】
〔タイマ割込み処理〕
次に、タイマ割込み処理について説明する。図37に示すように、タイマ割込み処理は、クロックジェネレータ内のCTC回路で生成される周期的なタイマ割込み信号がCPU111Aに入力されることで開始される。遊技用マイコン111においてタイマ割込みが発生すると、自動的に割込み禁止状態になって、図37のタイマ割込み処理が開始される。」
ウ 「【0330】
〔特図ゲーム処理〕
次に、上述のタイマ割込み処理における特図ゲーム処理(ステップS109)の詳細について説明する。特図ゲーム処理では、始動口1スイッチ36a及び始動口2スイッチ37a、始動口3スイッチ97aの入力の監視と、特図変動表示ゲームに関する処理全体の制御、特図の表示の設定を行う。」
エ 「【0588】
〔メイン処理〕
上述のような演出を行うために本実施形態の遊技機では、演出制御装置300の主制御用マイコン(CPU)311によって図119に示すメイン処理と、図示しないタイマ割込み処理を行う。図119に示すようにメイン処理では、はじめにプログラム開始時の処理を行う。このプログラム開始時の処理では、まず、割込みを禁止し(ステップC1)、CPUの初期設定を行う(ステップC2)。次に、VDP312の初期設定を行って(ステップC3)、割込みを許可する(ステップC4)。次いで、表示用データの生成を許可して(ステップC5)、乱数シードを設定し(ステップC6)、初期化すべき領域に電源投入時の初期値をセーブする(ステップC7)。これにより、停電発生検出済みフラグ等がクリアされる。
【0589】
ステップC1からC7のプログラム開始時の処理を行った後、メインループ処理としてループの処理を行う。このループ処理では、まず、WDT(watchdog timer)をクリアする(ステップC8)。次いで、演出ボタン25やタッチパネル29の操作に基づく入力信号(立ち上がりエッジ)から入力情報を作成する演出ボタン入力処理(ステップC9)を行う。演出ボタン25やタッチパネル29からの入力の読み込みはタイマ割込み処理内で行い、この演出ボタン入力処理では演出ボタン25やタッチパネル29からの入力があった時に、演出内容を変更する処理等を行う。
【0590】
そして、LEDや液晶の輝度、音量などの変更可能範囲の設定や、遊技者によるLEDや液晶の輝度、音量の変更などの操作を受け付けるホール・遊技者設定モード処理を行う(ステップC10)。次に、飾り特図変動表示ゲームの変動態様の詳細を決定する乱数を更新する乱数更新処理(ステップC11)を行う。」
オ 「【0692】
〔初期動作処理〕
図136には、上述のメイン処理(図119参照)における初期動作処理(ステップC20)を示した。この初期動作処理では、まず、初期動作フラグがあるかを判定する(ステップC101)。初期動作フラグは、遊技機の電源投入に基づいて演出制御装置300で行われる初期化すべき領域に電源投入時の初期値をセーブする処理(ステップC7)で設定されるようになっている。すなわち、電源の投入に基づき設定されるフラグである。
【0693】
続きを表示(全24行)
この初期動作フラグがない場合(ステップC101;N)は、ステップC108に移行する。また、初期動作フラグがある場合(ステップC101;Y)は、初期動作フラグをクリアし(ステップC102)、検出センサの状態を取得する(ステップC103)。そして、検出センサの状態が全て通常検出状態であるかを判定する(ステップC104)。通常検出状態とは可動演出装置が初期位置にある状態での検出センサの検出状態であり、全て通常検出状態であるとは全ての可動演出装置が初期位置にある状態であって、電源投入時の可動演出装置の状態として異常がない状態である。
【0694】
検出センサの状態が全て通常検出状態である場合(ステップC104;Y)は、通常初期動作のみを行う初期動作テーブルを設定し(ステップC105)、初期動作実行中フラグを設定する(ステップC107)。また、検出センサの状態が全て通常検出状態でない場合(ステップC104;N)は、検出状態に応じた特別初期動作を行う初期動作テーブルを設定し(ステップC106)、初期動作実行中フラグを設定する(ステップC107)。初期動作テーブルは、初期動作の実行内容が定義されたテーブルであり、このテーブルの内容に従い初期動作が実行される。
【0695】
その後、初期動作実行中フラグがあるかを判定し(ステップC108)、初期動作実行中フラグがない場合(ステップC108;N)は、初期動作処理を終了する。また、初期動作実行中フラグがある場合(ステップC108;Y)、すなわち初期動作の実行中である場合は、実行中の初期動作において異常が発見されたかを判定する(ステップC109)。実行中の初期動作において異常が発見されていない場合(ステップC109;N)は、全ての初期動作が完了したかを判定する(ステップC113)。また、実行中の初期動作において異常が発見された場合(ステップC109;Y)は、異常が発見された可動演出装置に対応する動作不良エラーフラグをセットし(ステップC110)、当該可動演出装置の初期動作に替えて行う初期動作である代替初期動作があるかを判定する(ステップC111)。
【0696】
代替初期動作がない場合(ステップC111)は、ステップC113に移行する。また、代替初期動作がある場合(ステップC111)は、代替初期動作をセットし(ステップC112)、ステップC113に移行する。そして、全ての初期動作が完了していない場合(ステップC113;N)は、初期動作処理を終了する。また、全ての初期動作が完了した場合(ステップC113;Y)は、初期動作実行中フラグをクリアし(ステップC114)、初期動作処理を終了する。
【0697】
上述したように各可動演出装置に対応して動作状態を検出するための検出センサが設けられており、それぞれが初期位置にある状態での検出状態(通常検出状態)は図137に示す状態である。初期動作の開始前に全ての検出センサが図137に示す通常検出状態であれば図145(a)に示す通常初期動作のみを行う初期動作テーブルが設定され、この初期動作テーブルに従い初期動作が行われることとなる。
【0698】
この初期動作では可動演出装置を初期位置から動作完了位置まで動作した後に初期位置へ戻す通常初期動作を、図137に示した初期動作グループごとに行うようになっている。各初期動作グループには優先順位が設定されており、優先順位が最も高いグループAから初期動作を行い、当該グループAの初期動作が完了すると次の優先順位であるグループBの初期動作を行う。同様に、グループBの初期動作が完了した後にグループCの初期動作を行う。そして、グループCの初期動作が完了すると初期動作が終了する。
(中略)
【0704】
このような順で初期動作を行うことは、特に特図変動表示ゲームの実行中に停電が発生した場合に効果的である。図139(a)には特図変動表示ゲームの実行中に停電が発生した場合の一例を示した。この例では、まず、特図変動表示ゲーム及び飾り特図変動表示ゲームが実行されており、表示装置では図139(b)に示すような遊技中の画面が表示されている。なお、ここでは変動表示中であるので、飾り特図変動表示ゲーム表示部85や第2飾りゲーム表示部88は変動表示された状態となっている。また、遊技の演出として可動演出装置をなす盤演出装置44を動作する演出動作が可能な状態であり、演出内容に応じて可動演出装置が動作できるようになっている。
【0705】
この特図変動表示ゲームを実行している状態で停電が発生すると(t11)、遊技制御装置100では実行中の特図変動表示ゲームを中断してバックアップ処理が行われ、停電発生時の状態を保持するための処理が行われる。また、演出制御装置300はバックアップの機能を備えないため実行中の飾り特図変動表示ゲームの情報は失われる。また、停電中では表示装置41は表示されない状態となる。さらに可動演出装置の演出動作ができない状態となる。
【0706】
その後、停電から復旧すると(t12)、遊技制御装置100ではバックアップされた情報に基づき停電発生時の状態から遊技を再開するための処理を行う。そして、バックアップされたデータに基づき正常に停電復旧した場合には停電復旧コマンドを演出制御装置300に送信するとともに、中断されていた特図変動表示ゲームを再開する(t13)。
【0707】
演出制御装置300は、停電復旧に伴い表示装置41に図139(c)に示す初期画面を表示する(t12)。また、停電復旧に伴い可動演出装置の初期動作を開始する。そして、停電復旧コマンドの受信に基づき停電復旧であることを把握できるため、図139(d)にその旨を示す停電復旧画面を表示する(t13)。」
カ 「【0734】
ここでは特図変動表示ゲームで結果が導出されるタイミングで操作対応演出が実行されている(t14~t49)。この操作対応演出が実行される期間では、可動演出装置の初期動作が行われているため操作促進画像の表示は行われない。つまり、演出制御装置300は、初期動作を行うべきことを指示するフラグである初期動作フラグや、初期動作の実行中に設定される初期動作実行中フラグがある場合に操作対応演出を実行する場合には、操作促進画像の表示を行わないようにする。なお、可動演出装置の初期動作が終了していれば操作促進画像の表示が行われる。すなわち、初期動作の実行中であるか否かにより操作対応演出の実行態様が異なるようにされている。また、初期動作の終了後に行われる操作対応演出(t50~t51)では、停電発生前と同様に操作促進画像が表示されるようになる。
【0735】
なお、特図変動表示ゲームの進行に対応した遊技者による演出ボタン25やタッチパネル29の操作に基づく操作対応演出の実行態様を初期動作の有無により異ならせるとしたが、特図変動表示ゲームの進行とは関係なく実行可能な遊技者による演出ボタン25やタッチパネル29の操作に基づく操作対応演出についても初期動作の有無により実行態様を異ならせるようにしても良い。
【0736】
例えば、音量や輝度の調節について、初期動作の実行中でない場合には操作に応じて音量や輝度の値の表示を表示装置41に表示し、初期動作の実行中でない場合には操作に応じて音量や輝度は変更するが値の表示を行わないようにしても良い。音量や輝度の調節のように特図変動表示ゲームの進行に関係ないものについては、停電が復旧したタイミング(t12)から調節可能としても良いし、初期画面の表示が終了したタイミング(t13)から調節可能としても良い。また、特図変動表示ゲームの進行に対応した操作対応演出と同様に遊技に関するコマンドを受信したタイミング(t14)から調節可能としても良い。」

キ 図137

「
[図:0001405448000001.jpg]
」

(2) 認定事項

前記(1)キの図137には、「初期動作のグループAには第1~第4中央可動部材が含まれ、グループBには可動部材ユニット(左)並びに(右)及び第1~第2上可動部材が含まれ、グループCには第1~第2下可動部材が含まれる」点が記載されているものと認められる(認定事項1)。

(3) 引用発明

前記(1)の記載事項及び前記(2)の認定事項から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる(符号a等は、本願発明の構成A等に概ね対応させて当審合議体が付した。)。

「a 演出制御装置300の主制御用マイコン(CPU)311が行うメイン処理における初期動作処理で、電源の投入に基づき設定される初期動作フラグがある場合に、可動演出装置を初期位置から動作完了位置まで動作した後に初期位置へ戻す初期動作を実行し(【0588】、【0692】~【0694】、【0698】)、
b 遊技制御装置100の遊技用マイコン111が備えるCPU111Aにタイマ割込み信号が入力されることで開始されるタイマ割込み処理における特図ゲーム処理で、特図変動表示ゲームに関する処理全体の制御を行い(【0158】、【0164】、【0251】、【0330】)、
h 可動演出装置の初期動作は、グループA、グループB、グループCからなる初期動作グループごとに行うようになっており、初期動作のグループAには第1~第4中央可動部材が含まれ、グループBには可動部材ユニット(左)並びに(右)及び第1~第2上可動部材が含まれ、グループCには第1~第2下可動部材が含まれ(【0698】、認定事項1)、
f1、f2 特図変動表示ゲームの実行中に停電が発生し(t11)、停電から復旧すると(t12)、遊技制御装置100は遊技を再開するための処理を行い、特図変動表示ゲームを再開し(t13)(【0705】、【0706】)、また、停電復旧に伴い(t12)、演出制御装置300は可動演出装置の初期動作を開始し(【0707】)、
d、e 停電が復旧したタイミング(t12)から、演出制御装置300は、遊技者による演出ボタン25やタッチパネル29の操作に基づき、音量や輝度を調節可能とした(【0734】~【0736】)
g 遊技機(【0588】)。」

2 引用文献3について

当審拒絶理由に引用文献3として引用された、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2018-42591号公報(平成30年3月22日出願公開。以下「引用文献3」という。)には、「遊技機」(発明の名称)に関し、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審合議体が付した。以下同様。)。

(1) 記載事項

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ア 「【0061】
本実施例におけるパチンコ遊技機1では、図1に示すように、第1始動入賞記憶表示エリア5HLと第2始動入賞記憶表示エリア5HRとの間にアクティブ表示エリアAHAを配置しているが、アクティブ表示エリアAHAは、画像表示装置5の表示領域の何れかの位置に配置されていればよい。また、本実施例におけるパチンコ遊技機1では、アクティブ表示のほかには、アクティブ表示を囲うアクティブ表示枠、アクティブ表示またはアクティブ表示の周囲やアクティブ表示枠の周囲に表示される文字や画像などのアクティブ表示に応じた情報などが特別画像によって表示される。
(中略)
【0071】
遊技機用枠3の遊技領域の内部には、可動体としての可動役物173及び可動役物175が設けられている。可動役物173及び可動役物175は演出動作として遊技機用枠3の領域内においてそれぞれ所定の動作を行うものとする。図1は可動役物173及び可動役物175が原点位置にある場合を示している。可動役物173は、演出動作として、原点位置から図示右斜め上に上昇して、画像表示装置5の表示画面中央部を動作端として停止して画像表示装置5の表示画面の一部を隠し、再び原点位置に戻る動作を行う。可動役物173は、図32等を用いて後述するように、画像表示装置5の表示画面中央部まで移動した後に複数に分裂する演出動作を行う。また、可動役物175は、演出動作として、原点位置から下降して、画像表示装置5の表示画面中央部を動作端として停止して画像表示装置5の表示画面の一部を隠し、再び原点位置に戻る動作を行う。また、可動役物173及び可動役物175は、演出動作として、原点位置から動作端である表示画面中央部まで移動せずに途中で停止して、再び原点位置に戻る動作を行ってもよい。可動役物173及び可動役物175は、演出動作として、激しく移動動作を繰り返す強動作と、強動作に比べて動作が緩やかな弱動作とが選択的に実行されるものであってもよい。また、可動役物173が動作するときには、後述する発光部材9CCを点灯する演出動作を行ってもよい。
【0072】
遊技機用枠3の遊技領域の内部及び周辺部には、演出又は装飾として発光する発光部材(発光体)が設けられている。図1に示した一例では、可動役物175に発光部材9CC、画像表示装置5の左右位置に発光部材9CL、発光部材9CRを設置し、遊技機用枠3の上部位置に発光部材9U、遊技機用枠3の左右位置に発光部材9SL、発光部材9SRを設置している。以下、発光部材9CC、9CL、9CR、9U、9SL、9SRの夫々を特に区別しない場合には、総称してランプ9と称する。ランプ9は、例えば、1以上のLEDから構成されたものであってもよいし、フラッシュランプから構成されるものであってもよい。発光部材9Uは、回転部を有する回転灯(例えばパトランプ)であってもよい。また、上記以外にも、例えば、遊技領域における各構造物(例えば、特別可変入賞球装置7等)の周囲などに、種々の発光部材を設置してもよい。」
イ 「【0485】
次に、図38~図41を用いて、アクチュエータ172A、アクチュエータ172B、アクチュエータ172C、及びアクチュエータ172Dを用いた可動役物173及び可動役物175の初期動作の1つであるロングイニシャル動作を説明する。ロングイニシャル動作とは、上述の通り、可動役物173等を通常の演出動作(可動体演出)と同様に動作させる初期動作をいう。ロングイニシャル動作を実行することにより、通常の演出動作において可動役物173等に不具合が発生するか否かのチェックを行うことができる。初期動作は、上述した各アクチュエータの原点復帰の動作に引き続き実行される。本実施例では、初期動作としてロングイニシャル動作を実行する場合は、アクチュエータの原点復帰動作にかかわらず、初期動作は常に一定の動作を行うものとする。
(中略)
【0492】
なお、本実施例では、図38~図41で説明するロングイニシャル動作として、上記のように各アクチュエータを単純に往復させる場合を例示する。しかし、ロングイニシャル動作においても通常の演出動作と同様に、例えば、可動役物173又は可動役物175を複数回動作させるようにしてもよい。また、可動役物173又は可動役物175の動作に合せて、スピーカ8から所定の効果音を出力したり、ランプ9を点灯させたりしてもよい。」
ウ 「【0512】
次に、図42~図45を用いて、図27及び図31で説明した、初期動作A~初期動作Dの詳細を説明する。初期動作A~初期動作Dは、アクチュエータ172A、アクチュエータ172B、アクチュエータ172C、及びアクチュエータ172Dを用いた可動役物173及び可動役物175のショートイニシャル動作である。ショートイニシャル動作とは、上述の通り、可動役物173等を通常の演出動作の一部を省略して動作させる初期動作であって、可動役物が正常に動作可能であることを確認するための動作をいう。ショートイニシャル動作を実行することにより、ロングイニシャル動作を実行する場合に比べて短時間で可動役物173等の動作のチェックをすることが可能となる。本実施例では、初期動作としてショートイニシャル動作を実行する場合は、アクチュエータの原点復帰動作の態様に応じて、初期動作A~初期動作Dの態様で初期動作を行うものとする。
【0513】
なお、図42~図46において、各可動機構が原点位置から動作端まで移動する場合(ロングイニシャル動作)の矢印を実線で表している。また、各可動機構が、各可動機構を検出する原点センサがオン状態からオフ状態になるまで移動する場合の矢印、及び原点センサがオフ状態になってからオン状態になるまで移動する場合(ショートイニシャル動作)の矢印を破線で表している。なお、各可動機構が、各可動機構を検出する原点センサがオン状態からオフ状態になるまで移動した後に再び原点センサがオン状態になるまで移動する動作をショートイニシャル動作と呼ぶものとする。ショートイニシャル動作を行うことにより、可動機構の移動距離が短くなり、動作確認の時間を短縮することが可能となる。つまり、本実施例において、ショートイニシャル動作は、原点復帰動作でもあり、動作確認用のロングイニシャル動作でもあるといえる。さらに、各可動機構が原点復帰の動作によって移動する場合の原点復帰動作を矢印を点線で表している。
【0514】
また、図42~図45で説明する可動役物173及び可動役物175の初期動作A~初期動作Dに合せて、スピーカ8から所定の効果音を出力したり、ランプ9を点灯させたりしてもよい。」

エ 図1

「
[図:0001405448000002.jpg]
」

(2) 認定事項

前記(1)アに摘記した【0071】における「図1は可動役物173及び可動役物175が原点位置にある場合を示している。可動役物173は、演出動作として、原点位置から図示右斜め上に上昇して、画像表示装置5の表示画面中央部を動作端として停止して画像表示装置5の表示画面の一部を隠し、再び原点位置に戻る動作を行う。」との記載及び前記(1)エの図1から、「可動役物173」は「画像表示装置5の左下隅部を覆う位置を原点位置とし、画像表示装置5の表示画面中央部を動作端とする」ことが認められるところ、同じく図1からは、「発光部材9CL」(【0072】)が「画像表示装置5の左側近傍に設置される」ことが看取されることから、引用文献3には、「可動役物173の付近に発光部材9CLを設置した」点が記載されているものと認められる(認定事項2)。

(3) 引用文献3の記載事項

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前記(1)の記載事項及び前記(2)の認定事項から、引用文献3には、以下の技術事項(以下「引用文献3の記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

(引用文献3の記載事項)

「パチンコ遊技機1に、可動役物173及び可動役物175を設け(【0061】、【0071】)、画像表示装置5の左位置であって、可動役物173の付近に発光部材9CL(ランプ9)を設置し、可動役物175に発光部材9CC(ランプ9)を設置し(【0072】、認定事項2)、可動役物173及び可動役物175の初期動作の1つであって、可動役物173等に不具合が発生するか否かのチェックを行うロングイニシャル動作の、可動役物173又は可動役物175の動作に合せてランプ9を点灯し(【0485】、【0492】)、可動役物173等が正常に動作可能であることを確認するための初期動作であるショートイニシャル動作の、可動役物173及び可動役物175の初期動作A~初期動作Dに合せてランプ9を点灯する(【0512】、【0514】)点。」

3 周知技術について

(1) 引用文献4

当審拒絶理由に周知技術を示す引用文献4として引用された、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-116238号公報(以下「引用文献4」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0525】
すなわち、遊技制御装置100が、当該遊技機の電源が投入されたことに対応して、遊技球を発射する発射手段に対して遊技球の発射を禁止した状態で、変動入賞装置(普通変動入賞装置37、第1特別変動入賞装置38及び第2特別変動入賞装置39)の可動部材(可動部材37b、開閉扉38c、可動部材39c)を閉状態から開状態に変換する電源投入確認動作を行う動作確認手段をなす。このように、電源の投入に伴い各変動入賞装置を動作させることで、変動入賞装置が動作するか否かの確認を目視により行うことができる。また、この電源投入確認動作中は遊技球の発射が禁止された状態となっており、電源投入確認動作中に遊技者が誤って遊技球を発射してしまうことを防止できる。」

(2) 引用文献5

当審拒絶理由に周知技術を示す引用文献5として引用された、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-148291号公報(以下「引用文献5」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0035】
この開閉動作によって、第2始動口21は、第1の態様(閉状態)から当該第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様(開状態)へと変化可能である。可動部材23は、第2始動口ソレノイド24(図5参照)により駆動される。本実施例1では、第2始動口21は、可動部材23が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能とされ、可動部材23が閉状態にあるときには遊技球が入球不能となっている。尚、第2始動口21は、可動部材23が閉状態にあるときは開状態にあるときよりも遊技球が入球困難となるものであれば、可動部材23が閉状態にあるときに完全に入球不能となるものでなくてもよい。
【0036】
遊技領域3における第1始動口20の右方には、第1大入賞口30を備えた第1大入賞装置31(「第1可変入球口」ともいう)が設けられている。第1大入賞装置31は、開閉部材32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(図5参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となる。すなわち、第1可変入球口31は、開閉部材32の開閉動作により、遊技球が入球不能な入球不能状態(閉状態)と遊技球が入球可能な入球可能状態(開状態)とに変化可能である。
【0037】
また、遊技領域3における第1大入賞口30の上方であってセンター装飾体10の右下部には、第2大入賞口35を備えた第2大入賞装置36(「第2可変入球口」ともいう)が設けられている。第2大入賞装置36は、開閉部材(羽根部材)37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、第2大入賞口ソレノイド38(図5参照)により駆動される。第2大入賞口35は、開閉部材37が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となる。」
「【0259】
以上説明した通り、実施例3のパチンコ遊技機では、電源投入に伴って、始動口センサ検知処理(S204)や普図動作処理(S205)や特図動作処理(S206)等を含む割り込み処理を開始する前に、事前にソレノイド動作確認処理(S107)を実行可能とした。これにより、各種センサを有効化する前に(全てのセンサを無効にした状態で)、正確且つ確実にソレノイド動作確認処理を実行することが可能となる。
(中略)
【0261】
[他の態様1]
実施例3では、ソレノイド動作確認処理の実行中に遊技球の発射を可能とし、ソレノイド動作確認用動作において異常があると判定された場合に、遊技球の発射を不能にする処理を可能とした。これに替えて、ソレノイド動作確認処理が終了するまで、遊技球の発射を不能にしておき、ソレノイド動作確認処理を異常なく終えた場合に初めて遊技球の発射を可能とし、ソレノイド動作確認処理で異常があると判定された場合には発射不能状態を維持する態様としてもよい。」

(3) 周知技術

ア 前記(1)に摘記した記載から、引用文献4には、「遊技機の電源の投入に伴い各変動入賞装置の可動部材を動作させる電源投入確認動作中は、遊技球の発射が禁止された状態とする」点が記載され、前記(2)に摘記した記載から、引用文献5には、「パチンコ遊技機の電源投入に伴って、始動口センサ検知処理等を含む割り込み処理を開始する前に、第2始動口21の可動部材23の第2始動口ソレノイド24、第1大入賞装置31の開閉部材32の第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞装置36の開閉部材37の第2大入賞口ソレノイド38等のソレノイド動作確認処理を実行可能とし、ソレノイド動作確認処理が終了するまで、遊技球の発射を不能にしておく」点が記載されていると認められる。

イ 引用文献4に記載された「遊技機の電源の投入に伴い各変動入賞装置の可動部材を動作させる電源投入確認動作中」及び引用文献5に記載された「パチンコ遊技機の電源投入に伴って、始動口センサ検知処理等を含む割り込み処理を開始する前に、」「実行」する「第2始動口21の可動部材23の第2始動口ソレノイド24、第1大入賞装置31の開閉部材32の第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞装置36の開閉部材37の第2ソレノイド38等のソレノイド動作確認処理」「が終了するまで」は、「入賞装置の可動部材の確認動作中」である点で共通し、また、引用文献5に記載された「遊技球の発射を不能にしておく」ことは、引用文献4に記載された「遊技球の発射が禁止された状態とすること」と同様の事項であるといえることから、引用文献4及び5には、「入賞装置の可動部材の確認動作中は、遊技球の発射が禁止された状態とすること」が記載されていると認められる。

ウ 引用文献4及び引用文献5に記載されるように、「入賞装置の可動部材の確認動作中は、遊技球の発射が禁止された状態とすること」は、本願出願前に、遊技機分野における周知技術(以下「周知技術」という。)であったと認められる。

第5 対比・判断

1 本願発明と引用発明の対比

前記第2に示した本願発明と、前記第4の1(3)に示した引用発明とを対比する。

(1) 本願発明の構成Aについて

引用発明の構成aの「可動演出装置」は、本願発明の構成Aの「可動体」に相当し、引用発明の構成aの「可動演出装置を初期位置から動作完了位置まで動作した後に初期位置へ戻す初期動作」は、本願発明の構成Aの「所定の可動体の動作」「を含む」「確認動作」に相当する。

また、引用発明の構成aの「演出制御装置300」は、その「主制御用マイコン(CPU)311」が「メイン処理における初期動作処理で、電源の投入に基づき設定される初期動作フラグがある場合」に、「初期動作」(確認動作)を「実行」するものであるから、本願発明の構成Aの「確認動作の実行を決定可能である確認動作実行決定手段」に相当する。

そうすると、引用発明の構成aは、本願発明の構成Aと、「所定の可動体の動作を含む確認動作の実行を決定可能である確認動作実行決定手段」を備える点で共通する。

(2) 本願発明の構成Bについて

引用発明の構成bにおける「特図変動表示ゲーム」は、本願発明の構成Bの「通常遊技」に相当し、引用発明の構成bにおける、「特図変動表示ゲーム」(通常遊技)「に関する処理全体の制御を行」う「特図ゲーム処理」が含まれる、「タイマ割込み処理」を行う「遊技制御装置100」は、本願発明の「通常遊技実行手段」に相当する。

そうすると、引用発明は、本願発明の構成B(通常遊技を実行する通常遊技実行手段と、)に相当する構成を備えている。

(3) 本願発明の構成F1及び構成F2について

引用発明の構成f1、f2における「停電から復旧」、「特図変動表示ゲーム」(通常遊技)の「再開」、「初期動作」(確認動作)の「開始」は、それぞれ、本願発明の構成F2の「電源投入」、「通常遊技」の「実行の開始」、「確認動作」の「実行」に相当する。

そして、引用発明1の構成f1、f2における、「演出制御装置300」(確認動作実行決定手段)による「可動演出装置」(可動体)の「初期動作」の「開始」(確認動作の実行)は、「停電復旧に伴」うのであるから、「開始」の決定についても、「停電復旧」(電源投入)のタイミング(t12)のすぐ「後」になされることは明らかであり、また、当該「開始」の決定が、「停電から復旧」(電源投入)して、「遊技を再開するための処理を行」ってから、「特図変動表示ゲーム」(通常遊技)が「再開」(実行の開始)するタイミング(t13)の「前」であることも明らかである。

そうすると、引用発明は、本願発明の構成F1及び構成F2に相当する構成(前記確認動作実行決定手段は、電源投入後であって、前記通常遊技の実行の開始前において、前記確認動作の実行を決定可能であり、)を備えている。

(4) 本願発明の構成D及び構成Eについて

引用発明の構成d、eにおける「遊技者による演出ボタン25やタッチパネル29の操作」、「音量や輝度を調節」は、それぞれ、本願発明の構成Dの「第2操作」、構成Eの「演出設定を変更」に相当する。

そして、引用発明の構成d、eの「遊技者による演出ボタン25やタッチパネル29の操作」(第2操作)に基づく「音量や輝度」の「調節」(演出設定の変更)は、「停電が復旧したタイミング(t12)」から「可能」であるから、前記(3)における検討も踏まえると、当該「遊技者による演出ボタン25やタッチパネル29の操作」(第2操作)が、「初期動作」(確認動作)の「実行中において」「有効」とされていることは明らかであり、また、引用発明の構成d、eの「演出制御装置300」(確認動作実行決定手段)が、本願発明の構成Dの「第2操作有効手段」及び本願発明の構成Eの「演出設定手段」としての機能を有することも明らかである。

そうすると、引用発明の構成d、eは、本願発明の構成D及び構成Eと、「前記確認動作の実行中において、第2操作を有効とする第2操作有効手段と、前記確認動作の実行中における前記第2操作に基づいて、前記通常遊技の実行中における演出設定を変更可能な演出設定手段と、」を備える点で共通する。

(5) 本願発明の構成Hについて

引用発明の構成hによれば、「可動演出装置」(可動体)は、「第1~第4中央可動部材」、「可動部材ユニット(左)並びに(右)及び第1~第2上可動部材」、「第1~第2下可動部材」を含むものであるところ、これらの可動部材又は可動部材ユニットのうちの任意の2種の組み合わせは、本願発明の構成Hの「第1の可動体」及び「第2の可動体」に相当する。

そうすると、引用発明は、本願発明の構成H(前記可動体は、第1の可動体、および、第2の可動体を含み、)に相当する構成を備えている。

(6) 本願発明の構成Gについて

引用発明の構成gの「遊技機」は、本願発明の構成Gの「遊技機」に相当する。

2 引用発明との一致点及び相違点

前記1における検討を踏まえると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>

「A’ 所定の可動体の動作を含む確認動作の実行を決定可能である確認動作実行決定手段と、
B 通常遊技を実行する通常遊技実行手段と、
D’ 前記確認動作の実行中において、第2操作を有効とする第2操作有効手段と、
E 前記確認動作の実行中における前記第2操作に基づいて、前記通常遊技の実行中における演出設定を変更可能な演出設定手段と、
を備え、
H 前記可動体は、第1の可動体、および、第2の可動体を含み、
F1 前記確認動作実行決定手段は、
F2 電源投入後であって、前記通常遊技の実行の開始前において、前記確認動作の実行を決定可能である、
G 遊技機。」

<相違点1>(構成A及び構成F3)

本願発明は、「確認動作」に、「所定の可動体の動作」だけでなく、「可動体の付近に配置された照明装置の点灯動作」を含むとともに、「確認動作」において、「可動体の動作、および、前記可動体の付近に配置された照明装置の点灯動作を同時に実行可能である」のに対し、引用発明は、「確認動作」に、「可動体の付近に配置された照明装置の点灯動作」を含まず、「確認動作」で、「可動体の動作、および、前記可動体の付近に配置された照明装置の点灯動作を同時に実行可能である」とされていない点。

<相違点2>(構成I及び構成J)

本願発明の「遊技機」は、「前記照明装置は、前記第1の可動体の付近に配置された第1の照明装置、および、前記第2の可動体の付近に配置された第2の照明装置を含み」、「前記確認動作として、前記第1の可動体の動作の実行中に、前記第1の照明装置の点灯動作を実行する第1の確認動作、および、前記第2の可動体の動作の実行中に、前記第2の照明装置の点灯動作を実行する第2の確認動作を含む」のに対し、引用発明は、「照明装置」に係る特定がない点。

<相違点3>(構成C及び構成D)

本願発明の「遊技機」は、確認動作の実行中において有効とされる第2操作と「異なる」「遊技球を発射するための第1操作」について、「確認動作の実行中において、遊技球を発射するための第1操作を無効とする第1操作無効手段」を備えるのに対し、引用発明の「遊技機」は、「確認動作の実行中において、遊技球を発射するための第1操作を無効とする第1操作無効手段」を備えていない点。

3 当審合議体の判断

(1) 相違点1について

引用文献3の記載事項は、前記第4の1(3)に示したとおりのものである。

引用文献3の記載事項における「可動役物173及び可動役物175」、「可動役物173の付近に」「設置し」た「発光部材9CL(ランプ9)」及び「可動役物175に」「設置し」た「発光部材9CC(ランプ9)」、「点灯」は、それぞれ、相違点1に係る本願発明の構成における「可動体」、「可動体の付近に配置された照明装置」、「点灯動作」に相当し、また、引用文献3の記載事項における「可動役物173及び可動役物175の初期動作の1つであって、可動役物173等に不具合が発生するか否かのチェックを行うロングイニシャル動作」、「可動役物173等が正常に動作可能であることを確認するための初期動作であるショートイニシャル動作」は、いずれも、相違点1に係る本願発明の構成における「確認動作」に相当する。

そして、引用文献3の記載事項において、上記「ロングイニシャル動作」(確認動作)、上記「ショートイニシャル動作」(確認動作)のいずれであっても、「可動役物173の付近に」「設置し」た「発光部材9CL(ランプ9)」(可動体の付近に配置された照明装置)と「可動役物175に」「設置し」た「発光部材9CC(ランプ9)」(可動体の付近に配置された照明装置)の「点灯」(点灯動作)を、「可動役物173」(可動体)と「可動役物175」(可動体)の「動作」に「合せて」行うことは、本願発明の構成Aの「確認動作」の「実行」に、「前記可動体の付近に配置された照明装置の点灯動作を含む」ことに相当するとともに、本願発明の構成F3の、「前記確認動作において、所定の可動体の動作、および、前記可動体の付近に配置された照明装置の点灯動作を同時に実行」することに相当する。

引用発明と引用文献3の記載事項は、遊技機の可動体の確認動作の態様に係る技術である点で共通するから、引用発明に、確認動作における照明装置の点灯動作に係る引用文献3の記載事項を適用して、前記2に挙げた相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

(2) 相違点2について

引用文献3の記載事項における「可動役物173」、「可動役物175」、「可動役物173の付近に」「設置し」た「発光部材9CL(ランプ9)」、「可動役物175に」「設置し」た「発光部材9CC(ランプ9)」、「ランプ9」は、それぞれ、相違点2に係る本願発明の構成における「第1の可動体」、「第2の可動体」、「第1の可動体の付近に配置された照明装置」、「第2の可動体の付近に配置された照明装置」、「照明装置」に相当する。

そして、前記(1)で検討したように、引用文献3の記載事項において、「可動役物173の付近に」「設置し」た「発光部材9CL(ランプ9)」(第1の可動体の付近に配置された照明装置)と「可動役物175に」「設置し」た「発光部材9CC(ランプ9)」(第2の可動体の付近に配置された照明装置)の「点灯」(点灯動作)を、「可動役物173」(第1の可動体)と「可動役物175」(第2の可動体)の「動作」に「合せて」行うことは、前記(1)で検討したように、相違点1に係る本願発明の構成における、「前記確認動作において、所定の可動体の動作、および、前記可動体の付近に配置された照明装置の点灯動作を同時に実行」することに相当するだけでなく、相違点2に係る本願発明の構成における、「前記第1の可動体の動作の実行中に、前記第1の照明装置の点灯動作を実行する第1の確認動作、および、前記第2の可動体の動作の実行中に、前記第2の照明装置の点灯動作を実行する第2の確認動作を含む」「確認動作」を行うことに相当する。

引用発明と引用文献3の記載事項は、遊技機の可動体の確認動作の態様に係る技術である点で共通するから、引用発明に、確認動作における照明装置の点灯動作に係る引用文献3の記載事項を適用して、前記2に挙げた相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

(3) 相違点3について

前記第4の3(3)に示したように、「入賞装置の可動部材の確認動作中は、遊技球の発射が禁止された状態とすること」は、本願出願前の遊技機分野における周知技術である。

上記周知技術における「入賞装置の確認動作中」、「遊技球の発射」、「禁止された状態とする」は、それぞれ、本願発明における「確認動作の実行中」、「第1操作」、「無効とする」に相当し、また、「遊技球の発射」(第1操作)が、引用発明の「遊技者による演出ボタン25やタッチパネル29の操作」(第2操作)と「異なる」操作であることは明らかである。

引用発明と上記周知技術は、遊技機の可動体確認動作実行中における操作手段の操作の取り扱いを課題とする点で共通するから、引用発明に上記周知技術を適用して、前記2に挙げた相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者であれば適宜なし得た事項である。

(3) 効果について

相違点1~相違点3を総合的に勘案しても、本願発明が奏する効果は、引用発明及び引用文献3の記載事項並びに周知技術から予測される程度のものに過ぎず、予測困難かつ格別顕著な効果を認めることはできない。

(4) 小括

以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び引用文献3の記載事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 請求人の主張について

審判請求人は、令和5年6月6日提出の意見書において、概略、以下のとおり主張している。

「(前略)
2.本願発明が特許されるべき理由
(中略)
(2)理由2(進歩性)について
続きを表示(全17行)
引用文献1(特開2019-150288号公報(新たに引用された文献))には、停電復旧に伴い、可動演出装置の初期動作を開始する点、停電が復旧したタイミング(t12)から、遊技者による演出ボタンやタッチパネルの操作に基づき、音量や輝度が調節可能としてもよい点が開示されています(段落0707、0734~0736)。
引用文献2(特開2016-30187号公報(新たに引用された文献))には、遊技機1への電力供給が停止している状態で、電力供給が再開されるとともに、クリアスイッチが押下されることによって、「初期化中」を示唆する表示を行い、表示を終えた後の装飾部材初期動作処理として、第1装飾部材33a、第2装飾部材33bの初期動作処理を行うことが開示されています(段落0721、0723、0724)。また、装飾部材の初期動作処理が行われた状態から、遊技が開始される状態への切り替えについて、クリアスイッチの押下を契機として、遊技が再開されるようにすることが可能である点について開示されています(段落0727)。
引用文献3(特開2018-42591号公報(新たに引用された文献))には、遊技機に、可動役物175を設け、可動役物175にランプ9を設置し、可動役物175の初期動作の1つであって、可動役物175に不具合が発生するか否かのチェックを行うロングイニシャル動作において、可動役物175の動作に合せてランプ9を点灯し、可動役物が正常に動作可能であることを確認するための初期動作であるショートイニシャル動作で、可動役物175の初期動作A~初期動作Dに合せてランプ9を点灯することが開示されています(段落0071、0072、0485、0492、0512、0514)。
引用文献4(特開2015-116238号公報)には、遊技機の電源の投入に伴い各変動入賞装置の可動部材を動作させる電源投入確認動作中は、遊技球の発射が禁止された状態とすることが開示されています(段落0525)。
引用文献5(特開2017-148291号公報)には、遊技機の電源投入に伴って、始動口センサ検知処理等を含む割り込み処理を開始する前に、始動口の可動部材や入賞口の開閉部材のソレノイド動作確認処理を実行可能とし、ソレノイド動作確認処理が終了するまで、遊技球の発射を不能にすることが開示されています(段落0261)。
一方、本願の新請求項1、2に係る発明は、確認動作として、第1の可動体の動作の実行中に、第1の照明装置の点灯動作を実行する第1の確認動作、および、第2の可動体の動作の実行中に、第2の照明装置の点灯動作を実行する第2の確認動作を含むものです。
本願の新請求項1、2に係る発明では、上記のような構成を有することにより、遊技機の管理者が可動体の動作を確かめることが可能となり、可動体の故障発生をいち早く発見することが可能となります。特に、第1の可動体および第2の可動体のように、複数の可動体に係る確認動作が実行される場合に、遊技機の管理者が、遊技機において動作確認を行っている可動体を瞬時に把握することが可能となるため、確認作業を効率的に実施することが可能となります。
しかしながら、本願の新請求項1、2に係る発明の上記構成については、引用文献1には、何ら開示も示唆もされていません。
そのため、引用文献1では、遊技機の管理者が、確認作業を効率的に実施することができないという問題が生じてしまいます。
また、本願の新請求項1、2に係る発明の上記構成について、引用文献2~5においても、何ら開示も示唆もされていません。
このように、本願の新請求項1に係る発明は、引用文献1~5に開示も示唆もない発明特定事項を具備しており、この発明特定事項によって顕著な効果が実現されることから、本願発明は、当業者であろうとも、引用文献1~5に開示された事項に基づいて容易に想到し得るものではないと思料いたします。
以上のように、今般の補正により、本願発明は、ご指摘の進歩性の拒絶理由を解消したものと思料いたします。
(後略)」

しかし、「確認動作として、第1の可動体の動作の実行中に、第1の照明装置の点灯動作を実行する第1の確認動作、および、第2の可動体の動作の実行中に、第2の照明装置の点灯動作を実行する第2の確認動作を含む」ことは、前記3(2)の相違点2についての検討でも述べたように、引用文献3の記載事項における「可動役物173の付近に」「設置し」た「発光部材9CL(ランプ9)」と「可動役物175に」「設置し」た「発光部材9CC(ランプ9)」の「点灯」を、「可動役物173」と「可動役物175」の「動作」に「合せて」行う点を、引用発明に適用することにより、当業者が容易に想到することができたことである。

よって、審判請求人の上記主張は採用することができない。

第6 むすび

本願発明は、引用発明、引用文献3の記載事項及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項について検討するまでもなく本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-016449

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