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特許拒絶査定不服審判

2022-015876

通信装置、無線通信システム及び無線通信方法

審判番号
2022-015876
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-080643外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年10月05日
審決日
2023年08月22日
公報発行日
2023年09月29日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H04W) / P18 .113-WY (H04W) / P18 .537-WY (H04W)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 80643「通信装置、無線通信システム及び無線通信方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 8月13日出願公開、特開2020-123983、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 17項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、2016年(平成28年)5月13日を国際出願日とした特願2018-516325号の一部を、令和2年4月30日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和2年 4月30日 上申書の提出

令和3年 6月 9日付け 拒絶理由通知書

令和3年10月14日 意見書及び手続補正書の提出

令和4年 2月 4日付け 拒絶理由通知書

令和4年 6月16日 意見書の提出

令和4年 6月23日付け 拒絶査定

令和4年10月 5日 審判請求書及び手続補正書の提出

令和4年12月21日 上申書の提出

令和5年 6月22日付け 拒絶理由通知書(当審)

令和5年 7月11日 意見書及び手続補正書の提出

第2 原査定の概要

原査定(令和4年6月23日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由1(新規性)について

・請求項1、4、7に対して、引用文献1

●理由2(進歩性)について

・請求項1、4、7に対して、引用文献1

引用文献等一覧

1.特開2008-147960号公報(以下、「引用文献1」という。)

第3 当審拒絶理由の概要

当審における令和5年6月22日付け拒絶理由通知書で通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)は、次のとおりである。

1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

記

●理由1(明確性)について

・請求項4ないし6

請求項4の第6行目には、「前記受信した無線信号」と記載されているが、当該記載よりも前に「受信した無線信号」が記載されていないため、当該「前記受信した無線信号」が何を意味するものであるか、明確でない。

また、請求項4の第7行目には、「前記他の通信装置へ送信する無線信号」と記載されているが、当該記載よりも前に「他の通信装置」が記載されていないため、当該「前記他の通信装置」が何を意味するものであるか、明確でない。

したがって、請求項4及び同請求項を引用する請求項5及び6に係る発明は、明確でない。

第4 本願発明

本願の請求項1ないし9に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明9」という。)は、令和5年7月11日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
通信装置であって、
無線信号を送信し、または受信する無線処理部と、
他の通信装置から前記無線処理部を介して受信した無線信号に含まれる、再送制御を適用するか否かを表す第1情報に応じて、前記再送制御の適用を制御する制御部と、を有し、
続きを表示(全25行)
前記制御部は、前記再送制御を適用するか否かに応じて、データブロック毎に誤り検出符号を付与するか否かを制御し、前記受信した無線信号に含まれる前記第1情報が前記再送制御を適用しないことを示す場合、前記他の通信装置へ送信する無線信号に含まれる所定のデータブロックに前記誤り検出符号を付さないことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1情報が前記再送制御を適用しないことを示す場合、前記他の通信装置へ送信する無線信号に含まれる第1のレイヤのデータブロックに前記誤り検出符号を付与し、第2のレイヤのデータブロックに前記誤り検出符号を付さないことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1情報が前記再送制御を適用することを示す場合、前記他の通信装置へ送信する無線信号に含まれる前記第1のレイヤのデータブロックと前記第2のレイヤのデータブロックに前記誤り検出符号を付与することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
第1の通信装置と第2の通信装置とを有する通信システムであって、
前記第1の通信装置は、再送制御を適用するか否かを表す第1情報を含む無線信号を前記第2の通信装置へ送信し、
前記第2の通信装置は、前記第1情報に応じて前記再送制御の適用を制御し、
前記第2の通信装置は、前記再送制御を適用するか否かに応じて、データブロック毎に誤り検出符号を付与するか否かを制御し、受信した前記無線信号に含まれる前記第1情報が前記再送制御を適用しないことを示す場合、前記第1の通信装置へ送信する無線信号に含まれる所定のデータブロックに前記誤り検出符号を付さないことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
前記第2の通信装置は、前記第1情報が前記再送制御を適用しないことを示す場合、前記第1の通信装置へ送信する無線信号に含まれる第1のレイヤのデータブロックに前記誤り検出符号を付与し、第2のレイヤのデータブロックに前記誤り検出符号を付さないことを特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記第2の通信装置は、前記第1情報が前記再送制御を適用することを示す場合、前記第1の通信装置へ送信する無線信号に含まれる前記第1のレイヤのデータブロックと前記第2のレイヤのデータブロックに前記誤り検出符号を付与することを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
他の通信装置から受信した無線信号に含まれる、再送制御を適用するか否かを表す第1情報に応じて、前記再送制御の適用を制御し、
前記再送制御を適用するか否かに応じて、データブロック毎に誤り検出符号を付与するか否かを制御し、前記受信した無線信号に含まれる前記第1情報が前記再送制御を適用しないことを示す場合、前記他の通信装置へ送信する無線信号に含まれる所定のデータブロックに前記誤り検出符号を付さないことを特徴とする通信方法。
【請求項8】
前記第1情報が前記再送制御を適用しないことを示す場合、前記他の通信装置へ送信する無線信号に含まれる第1のレイヤのデータブロックに前記誤り検出符号を付与し、第2のレイヤのデータブロックに前記誤り検出符号を付さないことを特徴とする請求項7に記載の通信方法。
【請求項9】
前記第1情報が前記再送制御を適用することを示す場合、前記他の通信装置へ送信する無線信号に含まれる前記第1のレイヤのデータブロックと前記第2のレイヤのデータブロックに前記誤り検出符号を付与することを特徴とする請求項8に記載の通信方法。」

第5 引用文献、引用発明及び技術的事項

1 引用文献1について

原査定の拒絶の理由で引用され、本願出願日前に公開された引用文献1(特開2008-147960号公報)には、図面とともに以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。)

(1)「【0039】
本実施例に係る無線通信システムは、送信装置100と受信装置200とを備える。本実施例においては、一例として送信装置100が基地局装置に備えられ、受信装置200が移動局装置に備えられる場合について説明する。しかし、送信装置100を移動局装置に備え、受信装置200を基地局装置に備えるようにしてもよい。」
(2)「【0040】 送信装置100は、受信部102と、変調方式・符号化率決定手段及び誤り検出符号長算出手段としての誤り検出符号長算出部104と、誤り検出符号長判定部106と、演算手段及び送信手段としての送信部108とを備える。
【0041】
受信部102は、受信側、すなわち受信装置200から送信される、受信品質情報、サービス種別情報、誤り検出符号情報及び再送情報(ACK/NACK)を受信し、誤り検出符号長算出部104に入力する。・・・。
(中略)
続きを表示(全11行)
【0048】
誤り検出符号長判定部106は、誤り検出符号長テーブルを参照し、周波数帯域(無線リソース)毎に、トランスポート ブロックに付与する誤り検出符号のビット数を決定する。
【0049】
送信部108は、予め決められたトランスポート ブロック サイズに合うようにユーザデータを分割して切り出し、ヘッダを作成する。ヘッダには、シーケンス番号、データ長などの情報が含まれる。また、送信部108は、ヘッダと分割されたユーザデータに基づいて誤り検出符号を求め、該誤り検出符号をトランスポート ブロックに付加し送信する。・・・。
(中略)
【0051】
また、送信部108は、制御情報として、誤り検出符号長情報を送信する。例えば、図6に示すように、制御情報のフォーマットとして、誤り検出符号の有無を示す情報により構成されるフィールドと、誤り検出符号長を示す情報により構成されるフィールドが用意される。・・・。また、誤り検出符号のビット数により構成されるフィールドには、誤り検出符号長が0ビット、すなわち誤り検出符号が付加されない場合"0×00"が付与され、誤り検出符号長が1ビットである場合"0×01"が付与され、誤り検出符号長が2ビットである場合"0×10"が付与される。ここで、"0×"は16進数であることを示す。」

引用文献1の上記記載、及び移動体通信の技術分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

ア 上記「(1)」の「本実施例に係る無線通信システムは、送信装置100と受信装置200とを備える。」との記載によれば、引用文献1には、無線通信システムに備えられる送信装置100が記載されている。

イ 上記「(2)」の段落【0040】の「送信装置100は、受信部102と、・・・演算手段及び送信手段としての送信部108とを備える。」との記載、段落【0041】の「受信部102は、受信側、すなわち受信装置200から送信される、受信品質情報、サービス種別情報、誤り検出符号情報及び再送情報(ACK/NACK)を受信し」との記載、段落【0049】の「送信部108は、ヘッダと分割されたユーザデータに基づいて誤り検出符号を求め、該誤り検出符号をトランスポート ブロックに付加し送信する。」との記載、及び段落【0051】「送信部108は、制御情報として、誤り検出符号長情報を送信する。例えば、図6に示すように、制御情報のフォーマットとして、・・・誤り検出符号長を示す情報により構成されるフィールドが用意される。・・・誤り検出符号のビット数により構成されるフィールドには、誤り検出符号長が0ビット、すなわち誤り検出符号が付加されない場合"0×00"が付与され、誤り検出符号長が1ビットである場合"0×01"が付与され」との記載によれば、引用文献1に記載されている送信装置100は、受信装置200から送信される、受信品質情報、サービス種別情報、誤り検出符号情報及び再送情報(ACK/NACK)を受信する受信部102と、ユーザデータに基づいて誤り検出符号を求め、該誤り検出符号をトランスポート ブロックに付加し送信するとともに、制御情報として誤り検出符号長情報を送信する送信部108を備え、前記制御情報のフォーマットとして、誤り検出符号長を示す情報により構成されるフィールドが用意され、誤り検出符号長が0ビット、すなわち誤り検出符号が付加されない場合"0×00"が付与され、誤り検出符号長が1ビットである場合"0×01"が付与される。

ウ 上記「(2)」の段落【0040】の「送信装置100は、・・・誤り検出符号長判定部106と、演算手段及び送信手段としての送信部108とを備える。」との記載、段落【0048】の「誤り検出符号長判定部106は、誤り検出符号長テーブルを参照し、周波数帯域(無線リソース)毎に、トランスポート ブロックに付与する誤り検出符号のビット数を決定する。」との記載、及び段落【0049】の「送信部108は、ヘッダと分割されたユーザデータに基づいて誤り検出符号を求め、該誤り検出符号をトランスポート ブロックに付加し送信する。」との記載によれば、引用文献1に記載された送信装置100は、誤り検出符号長テーブルを参照し、周波数帯域(無線リソース)毎に、トランスポート ブロックに付与する誤り検出符号のビット数を決定する誤り検出符号長判定部106と、を備える。

したがって、上記「ア」ないし「ウ」を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 無線通信システムに備えられる送信装置100であって、
受信装置200から送信される、受信品質情報、サービス種別情報、誤り検出符号情報及び再送情報(ACK/NACK)を受信する受信部102と、ユーザデータに基づいて誤り検出符号を求め、該誤り検出符号をトランスポート ブロックに付加し送信するとともに、制御情報として誤り検出符号長情報を送信する送信部108と、
誤り検出符号長テーブルを参照し、周波数帯域(無線リソース)毎に、トランスポート ブロックに付与する誤り検出符号のビット数を決定する誤り検出符号長判定部106と、を備え、
前記制御情報のフォーマットとして、誤り検出符号長を示す情報により構成されるフィールドが用意され、誤り検出符号長が0ビット、すなわち誤り検出符号が付加されない場合"0×00"が付与され、誤り検出符号長が1ビットである場合"0×01"が付与される、
送信装置100。」

第6 対比及び判断

1 本願発明1について

(1)特許法第29条第1項第3号について

本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明における「送信装置100」は、「受信装置200から送信される、受信品質情報、サービス種別情報、誤り検出符号情報及び再送情報(ACK/NACK)を受信」し、「該誤り検出符号をトランスポート ブロックに付加し送信するとともに、制御情報として誤り検出符号長情報を送信する」、すなわち、通信をする装置であるから、本願発明1の「通信装置」に相当する。

イ 引用発明における「送信部108」は、「該誤り検出符号をトランスポート ブロックに付加し送信するとともに、制御情報として誤り検出符号長情報を送信する」こと、「受信部102」は「受信装置200から送信される、受信品質情報、サービス種別情報、誤り検出符号情報及び再送情報(ACK/NACK)を受信する」ことから、「送信部108」は信号を送信し、「受信部102」は信号を受信するといえる。

ここで、「送信装置は100」は「無線通信システムに備えられる送信装置」であるから、上記トランスポート ブロックや、情報を送信する際、又は受信する際に、無線信号が用いられることは明らかである。

よって、引用発明における「送信装置100」が「受信部102」と、「送信部108」を備えることは、本願発明における「通信装置」が「無線信号を送信し、または受信する無線処理部」を有する点に相当する。

ウ 引用発明における「トランスポート ブロック」は、データを伝送する際に使用される単位であることが技術常識であるから、本願発明1の「データブロック」に含まれる。

エ 引用発明における「受信装置200」は、本願発明1の「他の通信装置」に含まれる。

オ 引用発明における「送信部108」は、「該誤り検出符号をトランスポート ブロックに付加し送信する」ことから、誤り検出符号をトランスポート ブロック毎に付与していることは明らかである。

また、「送信部108」は「該誤り検出符号をトランスポート ブロックに付加し送信する」ものである。一方で、「制御情報として」送信される「誤り検出符号長情報」において、「誤り検出符号長が0ビット、すなわち誤り検出符号が付加されない場合"0×00"が付与され、誤り検出符号長が1ビットである場合"0×01"が付与される」ことから、トランスポート ブロックに誤り検出符号を付加しない場合と付加する場合があることは明らかである。そうすると、引用発明における「送信部108」は、「誤り検出符号をトランスポート ブロックに付加し送信する」か、「誤り検出符号をトランスポート ブロックに」付加しないで送信するかを制御しているといえる。

さらに、上記「ウ」で記載したように、引用発明における「トランスポート ブロック」は、データを伝送する際に使用される単位であることが技術常識であるから、本願発明1の「データブロック」に含まれる。また、上述したように、引用発明における「送信部108」は、「誤り検出符号長が0ビット」となる場合、トランスポート ブロックに誤り検出符号を付加しないことは明らかである。

したがって、本願発明1における「前記制御部は、前記再送制御を適用するか否かに応じて、データブロック毎に誤り検出符号を付与するか否かを制御し、前記受信した無線信号に含まれる前記第1情報が前記再送制御を適用しないことを示す場合、前記他の通信装置へ送信する無線信号に含まれる所定のデータブロックに前記誤り検出符号を付さないこと」と引用発明における「ユーザデータに基づいて誤り検出符号を求め、該誤り検出符号をトランスポート ブロックに付加し送信するとともに、制御情報として誤り検出符号長情報を送信する送信部108」を備え、「前記制御情報のフォーマットとして、誤り検出符号長を示す情報により構成されるフィールドが用意され、 誤り検出符号が付加されない場合"0×00"が付与され、誤り検出符号長が1ビットである場合"0×01"が付与される」こととは、「データブロック毎に誤り検出符号を付与するか否かを制御し」、所定の場合、「他の通信装置へ送信する無線信号に含まれる所定のデータブロックに前記誤り検出符号を付さない」点で共通する。

したがって、上記「ア」ないし「オ」を総合すれば、本願発明1と引用発明は、以下の点で一致し、また相違する。

<一致点>

「通信装置であって、
無線信号を送信し、または受信する無線処理部と、を有し、
データブロック毎に誤り検出符号を付与するか否かを制御し、所定の場合、他の通信装置へ送信する無線信号に含まれる所定のデータブロックに前記誤り検出符号を付さないことを特徴とする通信装置。」

<相違点>

本願発明1における「通信装置」は、「他の通信装置から前記無線処理部を介して受信した無線信号に含まれる、再送制御を適用するか否かを表す第1情報に応じて、前記再送制御の適用を制御する制御部」を有し、「前記制御部は、前記再送制御を適用するか否かに応じて、」データブロック毎に誤り検出符号を付与するか否かを制御し、「前記受信した無線信号に含まれる前記第1情報が前記再送制御を適用しないことを示す場合」、前記他の通信装置へ送信する無線信号に含まれる所定のデータブロックに前記誤り検出符号を付さないという発明特定事項を有するのに対し、引用発明は、当該発明特定事項を有さない点。

したがって、本願発明1と引用発明は、上記相違点で相違するから、本願発明1は引用発明であるとはいえない。

(2)特許法第29条第2項について

本願発明1と引用発明との一致点、及び相違点は、上記(1)で説示したとおりである。

上記相違点に係る、「『通信装置』は、『他の通信装置から前記無線処理部を介して受信した無線信号に含まれる、再送制御を適用するか否かを表す第1情報に応じて、前記再送制御の適用を制御する制御部』を有し、『前記制御部は、前記再送制御を適用するか否かに応じて、』データブロック毎に誤り検出符号を付与するか否かを制御し、『前記受信した無線信号に含まれる前記第1情報が前記再送制御を適用しないことを示す場合』、前記他の通信装置へ送信する無線信号に含まれる所定のデータブロックに前記誤り検出符号を付さない」という発明特定事項は、引用文献1には記載も示唆もされておらず、また当該技術分野における周知技術であるともいえない。

よって、引用発明において、上記相違点に係る「『通信装置』は、『他の通信装置から前記無線処理部を介して受信した無線信号に含まれる、再送制御を適用するか否かを表す第1情報に応じて、前記再送制御の適用を制御する制御部』を有し、『前記制御部は、前記再送制御を適用するか否かに応じて、』データブロック毎に誤り検出符号を付与するか否かを制御し、『前記受信した無線信号に含まれる前記第1情報が前記再送制御を適用しないことを示す場合』、前記他の通信装置へ送信する無線信号に含まれる所定のデータブロックに前記誤り検出符号を付さない」ようにすることは、当業者といえども、容易に想到し得たとはいえない。

したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2及び3について

本願発明2及び3は、本願発明1の発明特定事項を全て備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明であるとはいえず、また当業者であっても引用発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明4について

本願発明4は、本願発明1に対応する第2の通信装置を含むシステムの発明であり、本願発明1の上記相違点に対応する「前記第1の通信装置は、『再送制御を適用するか否かを表す第1情報を含む無線信号』を前記第2の通信装置へ送信し、『前記第2の通信装置は、前記第1情報に応じて前記再送制御の適用を制御し、前記第2の通信装置は、前記再送制御を適用するか否かに応じて、』データブロック毎に誤り検出符号を付与するか否かを制御し、『受信した前記無線信号に含まれる前記第1情報が前記再送制御を適用しないことを示す場合』、前記第1の通信装置へ送信する無線信号に含まれる所定のデータブロックに前記誤り検出符号を付さない」という発明特定事項を少なくとも含むことから、本願発明1と同様の理由により、本願発明4は、引用発明であるとはいえず、また、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

4 本願発明5及び6について

本願発明5及び6は、本願発明4の発明特定事項を全て備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明であるとはいえず、また当業者であっても引用発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

5 本願発明7について

本願発明7は、本願発明1に対応する方法カテゴリーの発明であり、本願発明1の上記相違点に対応する「『他の通信装置から受信した無線信号に含まれる、再送制御を適用するか否かを表す第1情報に応じて、前記再送制御の適用を制御し』、『前記再送制御を適用するか否かに応じて、』データブロック毎に誤り検出符号を付与するか否かを制御し、『前記受信した無線信号に含まれる前記第1情報が前記再送制御を適用しないことを示す場合』、前記他の通信装置へ送信する無線信号に含まれる所定のデータブロックに前記誤り検出符号を付さない」という発明特定事項を少なくとも含むことから、本願発明1と同様の理由により、本願発明7は、引用発明であるとはいえず、また、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

6 本願発明8及び9について

本願発明8及び9は、本願発明7の発明特定事項を全て備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明であるとはいえず、また当業者であっても引用発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 原査定について

令和4年10月5日にされた手続補正により、本願発明1、4及び7は、いずれも「『通信装置』は、『他の通信装置から前記無線処理部を介して受信した無線信号に含まれる、再送制御を適用するか否かを表す第1情報に応じて、前記再送制御の適用を制御する制御部』を有し、『前記制御部は、前記再送制御を適用するか否かに応じて、』データブロック毎に誤り検出符号を付与するか否かを制御し、『前記受信した無線信号に含まれる前記第1情報が前記再送制御を適用しないことを示す場合』、前記他の通信装置へ送信する無線信号に含まれる所定のデータブロックに前記誤り検出符号を付さない」という発明特定事項、又は当該発明特定事項に対応する発明特定事項を備えるものとなっている。してみれば、上記「第6」の「1」、「3」及び「5」で説示したとおり、引用発明ではなく、また、当業者であっても、引用発明に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由について

令和5年7月11日にされた手続補正により、請求項4の「前記受信した無線信号」との記載が「受信した前記無線信号」と補正され、また同「前記他の通信装置へ送信する無線信号」との記載が「前記第1の通信装置へ送信する無線信号」と補正されたことにより、この拒絶理由は解消した。

第9 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-015876

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