2022-014163
表示装置、表示システム、コンピュータプログラム、およびコンテンツ表示方法
- 審判番号
- 2022-014163
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-114301外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年09月09日
- 審決日
- 2023年08月10日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社バカン
- 【請求人代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 8項目
第1 手続の経緯
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本願は、令和3年1月21日の特許出願(特願2021-007713号)の一部を令和3年7月9日に新たな特許出願としたものであって(優先権主張 2020年3月31日)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
以下、2020年3月31日を「優先日」という。
同年 5月19日 :意見書及び手続補正書の提出
同年 6月 7日付け :拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月14日 :原査定の謄本の送達)
同年 9月 9日 :審判請求書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~9に係る発明は、令和4年5月19日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次に特定されるとおりのものである。
「 【請求項1】表示部を有し、トイレ個室内に設置された表示装置であって、前記トイレ個室の利用状況を示す利用状況情報を取得する取得手段と、前記利用状況情報に基づいて、前記表示部の広告コンテンツの表示を制御する表示制御手段と、を有し、前記表示制御手段は、前記トイレ個室が利用されると、前記表示部に前記広告コンテンツの表示を開始させ、前記トイレ個室の利用が所定時間内に終了した場合には、前記表示部に表示した前記広告コンテンツの表示を停止させ、前記トイレ個室の利用が前記所定時間を経過した場合には、前記トイレ個室の利用中に前記広告コンテンツの表示を停止させる、表示装置。」
第3 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に係る拒絶の理由1(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
本願発明は、本願の優先日前に発行された下記の引用文献3及び引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献3.特開2015-87882号公報
引用文献1.米国特許出願公開第2005/0039249号明細書
第4 当審の判断
1 引用文献の記載事項並びに引用発明の認定等
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(1) 引用文献3
ア 引用文献3の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された特開2015-87882号公報(前記引用文献3)には、次の事項が記載されている。(下線は当合議体が付した。以下同様である。)
(ア) 【0001】~【0008】
「【0001】本発明は、トイレの個室等に設けられるトイレシステムに関する。【0002】従来、使用者がトイレ内に長時間、例えば30分以上留まると、体調不良か不法な侵入者の恐れがあるとして、警報を発するシステムが知られていた。続きを表示(全15行)…(中略)…【0004】上記システムにおいて警報が発せられると、管理者が当該トイレに出向き、体調不良となった使用者の救護等の対応を行っていた。【0005】しかし、近年、快適な環境のトイレが増えたことに伴い、トイレ内で仮眠や、携帯電話の充電といった、本来の目的以外の使用者が長時間トイレ内に留まるケースが増え、上記システムにおいて警報が発せられる頻度が高くなってきている。即ち、使用者の体調不良や不審者の存在といった緊急に対応すべきケースではなく、緊急性の無いケースで警報が発せられる割合が増えている。【0006】このような場合でも管理者は、警報が発せられると、当該トイレに出向き、緊急性のある事態か否かを確認しなければならず、不必要に出動回数が増加するといった問題があった。【0007】また、本来の目的以外の使用者が長時間トイレを占有すると、本来の使用者が使用できないといった問題があった。【0008】そこで、本発明は、使用者が個室内に所定時間以上留まった場合に予備警告を行い、警報を発する前に退出を促す技術の提供を目的とする。」
(イ) 【0026】~【0028】、【図1】
「【0026】図1は、本実施形態1に係るトイレシステム全体の構成を示す図である。本実施の形態に係るトイレシステム100は、トイレ設備1と、管理サーバ2とを有し、これらがインターネット等のネットワーク5を介して相互に接続されている。トイレシステム100は、トイレ施設10に設けられたトイレブース14に入室した使用者の状態をトイレ設備1が検出して管理サーバ2へ通知し、管理サーバ2がトイレブース14内に使用者が所定時間以上留まっていると判定した場合に管理者端末3等へ警報を送信する。なお、図1では、トイレシステム100が管理者端末3を含まない例を示したが、トイレシステム100が、管理者端末3を含んでも良い。【0027】トイレ施設10は、例えば百貨店等の商業施設や駅等における、公衆が使用するトイレである。トイレ施設10は、例えば複数の建物の各々や、建物の複数のフロアの各々に備えられる。また、トイレ施設10は、トイレブース(便房)14に設けられたトイレ設備1により使用者の状態を検出し、使用情報として定期的に管理サーバ2へ送信する。【0028】管理サーバ2は、トイレ設備1から使用情報を受信し、この使用情報に基づいて、トイレブース14内の使用者に予備警告を出力させる処理や、管理者に警報を送信するといった処理を行う。」
「【図1】[図:0001402416000001.jpg]」
(ウ) 【0029】~【0030】、【図2】
「【0029】図2はトイレ施設10の一例を示す図、図3はトイレ施設10に設けられたトイレブース14を示す斜視図、図4はトイレブース14を示す正面図である。【0030】図2に示すように、トイレ施設10は、例えば、女性用トイレ施設101、男性用トイレ施設102及び多目的トイレ施設103に区分されている。女性用トイレ施設101及び男性用トイレ施設102には複数のトイレブース14が設けられている。図2の多目的トイレ施設103は、一つのトイレブース14からなる例を示したが、多目的トイレ施設103が、複数のトイレブース14を有しても良い。ここで、トイレブース14とは、ドアや壁等で囲まれた通常同時に一人だけが用を足すためのトイレ設備1が設けられた空間である。なお、トイレブース14は、一人で使用することに厳密に限定されるものではなく、介助者や乳幼児が使用者と同時に入室可能なものでも良い。また、幼児用トイレのように完全に囲われていない空間であっても良い。」
「【図2】[図:0001402416000002.jpg]」
(エ) 【0036】~【0037】、【図3】、【図4】
「【0036】図3、図4に示すように、トイレブース14には、便器41、便座装置42、コントローラ43、制御装置44、警報機45、検出部46等のトイレ設備1が備えられている。【0037】便座装置42は、洋式の便器41上に設けられ、使用者が着座する座面を加温する機能や温水を吐出して使用者の肛門や局部を洗浄する洗浄機能を有している。また、便座装置42は、使用者が着座しているか否かを検出する着座センサー421を備え、この着座センサー421の検出結果に基づき、使用者の着座を検出して所定時間経過後に着座を検出しなくなった場合、即ち使用者が用を足して立ち上がったと判定した場合に便座を洗浄する洗浄水を放出する制御や、使用者が着座していない場合には座面の温度を低くして省電力モードとする制御等を行う。なお、便器41は、洋式に限らず和式であっても良く、和式の便器41が設けられた場合には便座装置42は省略される。」
「【図3】[図:0001402416000003.jpg]」
「【図4】[図:0001402416000004.jpg]」
(オ) 【0038】~【0042】、【図5】
「【0038】コントローラ43は、図5に示すように、便座装置42の温度設定や洗浄位置の設定などの操作を行う操作部431を有している。また、コントローラ43は、表示部432や、スピーカ433を有している。【0039】表示部432は、便座の設定温度や洗浄用の温水の温度、洗浄位置の他、制御装置44から受信した情報等を表示する。【0040】スピーカ433は、操作部431を操作した際の操作音や、後述の予備警告に係る音、便器を洗浄する洗浄水が流れる音を模擬する擬音等を出力する。【0041】警報機45は、管理サーバ2からの警報に基づき、警報として音や光を出力する。警報機45は、例えば左右の側壁14L,14Rの上部に設けられ、側壁14L,14Rの上部と天井14Cとの間の空間を介して警報が当該トイレブース14内の使用者だけでなく、周囲にも伝わるようにしている。【0042】検出部46は、トイレブース14内の使用者の状態を検出するためのセンサーである。検出部46は、例えば赤外線や電波、超音波等によって使用者の存在を検出する人感センサーである。検出部46は、使用者の発する赤外線を感知して使用者の存在を検出するパッシブ型のセンサーであっても良いし、送信器から赤外線や電波、超音波を送信し、この赤外線や電波、超音波が使用者によって遮られたり反射されたりして変化した場合に、この変化を受信器で捉えることで使用者の存在を検出するアクティブ型のセンサーであっても良い。本実施形態では、検出する対象領域の位置を異ならせた複数の人感センサーが設けられており、どの人感センサーで検出したかによって使用者の存在する位置が特定される。例えば図4に示すように下限高さH1以下を検出対象領域とするセンサー461や、上限高さH2以上を検出対象領域とするセンサー462、下限高さH1と上限高さH2の間を検出対象領域とするセンサー463を設けている。また、検出部46は、受信する前記赤外線や電波、超音波の強度や位相の変化に基づいて使用者の動きを検出しても良い。更に、検出部46は、他の機器のセンサーを用いても良い。例えば、便座装置42の着座センサー421や扉9のドアロックセンサー92が検出部46として用いられても良い。また、検出部46は、使用者がトイレブース14に入室したことを検出して照明や空調、消臭器等を動作させるためのセンサー(不図示)を用いても良い。」
「【図5】[図:0001402416000005.jpg]」
(カ) 【0043】~【0046】、【図6】
「【0043】制御装置44は、検出部46で検出した情報を管理サーバ2へ送信する機能及び管理サーバ2から予備警告に係る方法を受信する機能を有している。制御装置44は、例えば図6に示すように、CPU441や主記憶装置442、補助記憶装置443、通信IF(Interface)444、入出力IF(Interface)445、通信バス446を備えている。【0044】CPU441は、プログラムを実行することにより、本実施の形態で説明する処理を行う。例えばCPU441は、使用者情報取得部や出力制御部の機能を提供する。【0045】使用者情報取得部は、検出部46による検出結果を所定のタイミングで取得し、使用者情報として管理サーバ2へ送信する。なお、各トイレブース14には、管理サーバ2が各トイレブースを識別するための識別情報が割り当てられ、使用者情報取得部は、この識別情報と共に使用者情報を送信する。また、使用者情報取得部は、使用者がトイレブース14に入室したことを検出部46によって検出した場合に、このトイレブース14の識別情報と、入室時刻とを使用者情報として管理サーバ2へ送信する。更に、使用者情報取得部は、使用者が操作部431から入力した情報を管理サーバ2へ送信する。【0046】出力制御部は、管理サーバ2から予備警告の情報を受信した場合に、コントローラ43から予備警告を出力させる。ここで予備警告とは、使用者に対して警報を予告する情報であり、例えばコントローラ43の表示部432に表示させるメッセージや、スピーカ433から出力させる音であっても良い。」
「【図6】[図:0001402416000006.jpg]」
(キ) 【0058】~【0069】、【図9】
「【0058】次に本実施形態のトイレシステムにおけるトイレ管理方法について説明する。図9は、管理サーバ2がトイレ管理プログラムに従って実行するトイレ管理方法の説明図である。【0059】まず、使用者がトイレブース14に入室し、検出部46が、この入室を検出すると、制御装置44が、当該トイレブース14の識別情報と共に入室時刻を管理サーバ2へ送信する。なお、検出部46が、退出を検出した場合にも同様に、制御装置44は、当該トイレブース14の識別情報と共に退出した旨の情報を管理サーバ2へ送信する。本実施形態では、センサー92,421,461,462,463の何れかがONとなった場合に使用者がトイレブース14に入室したことが検出され、全てのセンサーがOFFとなった場合に使用者がトイレブース14から退出したことが検出される。続きを表示(全19行)【0060】制御装置44からトイレブース14の識別情報と入室時刻を受信すると、管理サーバ2は、図9の処理を開始し、当該トイレブース14の識別情報と入室時刻を主記憶装置22に記憶する(ステップS10)。【0061】次に管理サーバ2は、受信した識別情報で特定されるトイレブース14の制御装置44に使用者情報として各センサーの検出結果の送信を要求し、制御装置44から使用者情報、即ち使用者の状態を取得する(ステップS20)。【0062】管理サーバ2は、条件テーブルを参照してステップS20で取得した使用者の状態と対応する第2の時間を取得する(ステップS30)。【0063】そして管理サーバ2は、ステップS10で記録した入室時刻から第2の時間が経過したか否かを判定する(ステップS40)。ここで、第2の時間が経過していなければ(ステップS40、No)、管理サーバ2は当該トイレブース14の使用者が退出したか否か、即ち退出の通知を受けたか否かを判定し(ステップS50)、退出していれば(ステップS50,Yes)、図9の処理を終了し、退出していなければ(ステップS50、No)、ステップS20へ戻る。【0064】一方、ステップS40で第2の時間が経過していると判定した場合(ステップS40、Yes)予備警告を当該トイレブース14の制御装置44に通知する(ステップS60)。この予備警告の通知を受けた制御装置44は、コントローラ43のスピーカ433から警告音を出力させると共に、「あと5分で警報を発します。警報が不要な場合は、5分以内に退出して下さい」のように、警報を予告するメッセージを表示部432に表示させる。…(中略)…【0068】一方、ステップS90で第1の時間が経過していると判定した場合(ステップS90、Yes)、警報を出力して管理サーバ2の操作者や管理者に知らせると共に、当該トイレブース14の制御装置44に通知する(ステップS110)。なお、警報の出力は、管理サーバ2の表示装置等に警報を表示させて管理サーバ2の操作者に知らせ、操作者から管理者へ電話等で連絡することや、管理サーバ2が直接管理者の端末にメール等で通知することでも良い。また、本実施形態では、警報をトイレブース14の警報機45から出力することで、当該トイレブース14内の使用者だけでなく、周囲の人にも知らせることができる。なお、警報の出力は、トイレブース14と管理サーバ2の何れか一方でもよく、例えばトイレブース14における警報の出力を省略しても良い。【0069】このように本実施形態によれば、使用者がトイレブースに入室してから退出するまでの使用時間に応じて警告を発する場合に、警報を予告する予備警告を出力することで、警報を発する前に退出を促すことができ、警報の頻発を抑制できる。」
「【図9】[図:0001402416000007.jpg]」
イ 引用発明3の認定
前記アの引用文献3の記載事項を総合すると、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明3]
「ドアや壁等で囲まれた通常同時に一人だけが用を足すための空間であるトイレブース14に設けられた、便器41、便座装置42、コントローラ43、制御装置44、警報機45、検出部46等のトイレ設備1であり、(【0030】、【0036】)コントローラ43は、表示部432や、スピーカ433を有しており、(【0038】)表示部432は、便座の設定温度や洗浄用の温水の温度、洗浄位置の他、制御装置44から受信した情報等を表示し、(【0039】)検出部46は、トイレブース14内の使用者の状態を検出するためのセンサーであり、例えば赤外線や電波、超音波等によって使用者の存在を検出する人感センサーであって、(【0042】)制御装置44は、CPU441や主記憶装置442、補助記憶装置443、通信IF444、入出力IF445、通信バス446を備え、(【0043】)CPU441は、使用者情報取得部や出力制御部の機能を提供し、(【0044】)出力制御部は、管理サーバ2から予備警告の情報を受信した場合に、コントローラ43から予備警告を出力させ、ここで予備警告とは、使用者に対して警報を予告する情報であり、例えばコントローラ43の表示部432に表示させるメッセージであっても良く、(【0046】)検出部46が入室を検出し、制御装置44が送信した入室時刻から第2の時間が経過していると判定された場合、予備警告が当該トイレブース14の制御装置44に通知され、この予備警告の通知を受けた制御装置44は、コントローラ43のスピーカ433から警告音を出力させると共に、「あと5分で警報を発します。警報が不要な場合は、5分以内に退出して下さい」のように、警報を予告するメッセージを表示部432に表示させ、(【0059】、【0063】、【0064】)入室時刻から第1の時間が経過していると判定した場合、警報を出力して管理サーバ2の操作者や管理者に知らせると共に、当該トイレブース14の制御装置44に通知し、警報をトイレブース14の警報機45から出力する(【0068】)トイレ設備1。」
(2) 引用文献1
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由において引用された特開2013-257225号公報(前記引用文献1)には、次の事項が記載されている。(引用文の後に括弧書きで示した日本語訳文は当合議体によるものである。)
(ア) [0003],[FIG.2]
「[0003] The present invention relates to an advertisement and/or message display, and more particularly to an auto-control display device incorporated with a lavatory system, wherein while in usage of the lavatory system, the auto-control display device is automatically switched on by detecting the user's movement to deliver a preset message to the user.」
(日本語訳:本発明は、広告及び/又はメッセージ表示に関し、より詳細には、トイレシステムに組み込まれた自動制御表示装置に関し、トイレシステムの使用中、自動制御表示装置は、使用者の動きを検出することにより自動的にスイッチオンされ、予め設定されたメッセージを使用者に配信する。)
「[図:0001402416000008.jpg]」
(イ) [0027],[0029],[0031],[0032]
「[0027] Referring to FIGS. 1 and 2 of the drawings, an auto-control display device incorporated with a lavatory system in a lavatory is illustrated, wherein the lavatory system generally comprises a toilet and a flush actuation device.」
(日本語訳:図面の図1及び図2を参照すると、トイレのトイレシステムに組み込まれた自動制御表示装置が図示されており、トイレシステムは一般に、便器と水洗作動装置から構成されている。)
「[0029] When the sensing means 10 detects a use of the lavatory system, the information center 30 automatically activates the display unit 20 for displaying the electronic information, and when the sensing means 10 detects that the use of the lavatory system is completed, the display unit 20 is automatically deactivated by the information center 30, that is thedisplay unit 20 can be either automatically switched off or switched to a standby mode.」
(日本語訳:感知手段10がトイレシステムの使用を検出すると、情報センター30は電子情報を表示するための表示装置20を自動的に作動させ、感知手段10がトイレシステムの使用が完了したことを検出すると、表示装置20は情報センター30によって自動的に非作動にされ、すなわち表示装置20は自動的にオフにされるか、待機モードに切り替えられる。)
「[0031] The display unit 20 comprises a display screen 21, which is preferably, but not limited to, a Liquid Crystal Display (LCD) monitor screen, and a speaker 22 adapted for displaying video information and broadcasting audio information of the electronic information respectively. Moreover, the display unit 20 may be capable of displaying full color graphics, text, and video and includes sound capabilities. As shown in FIG. 2, the display unit 20 is mounted at a position facing the user at an eye viewing location when the user uses the lavatory system.」
(日本語訳:表示装置20は、好ましくは液晶ディスプレイ(LCD)モニタ画面であるが、これに限定されない表示画面21と、ビデオ情報を表示し、電子情報の音声情報をそれぞれ放送するように適合されたスピーカ22とから構成される。さらに、表示装置20は、フルカラーのグラフィック、テキスト、及びビデオを表示することができ、サウンド機能を含むことができる。図2に示すように、表示装置20は、使用者がトイレシステムを使用するときに、使用者と目視位置において対向する位置に取り付けられる。)
「[0032] The information center 30 functions as an information providing center wherein the electronic information is stored therein. The electronic information can be digital videos and/or graphic pictures with audio information. The business owner of the lavatory where the display unit 20 is installed can make an introduction of its business into such video and audio electronic information to be displayed and broadcasted via the display unit 20. Advertisement information for various services and products of different companies can be made into video files to be displayed at the display units 20 under the control of the information center 30. Of course, the advertisement information may also contain audio files to broadcast from the speakers 22 of the display unit 20. For display units 20 to be installed in the toilet rooms as shown in FIG. 2, the duration of each video file can be last for 1 to 3 minutes. For display units 20 to be installed in front of the urinal as shown in FIGS. 3A and 3B, the video files are preferred to have a shorter period of time, such as 15 to 30 seconds.」
(日本語訳:情報センター30は情報提供センターとして機能し、そこに電子情報が格納される。電子情報は、デジタルビデオ及び/又は音声情報付きグラフィック画像とすることができる。表示装置20が設置されているトイレの事業主は、その事業の紹介をこのようなビデオや音声の電子情報にし、表示装置20を介して表示・放送することができる。様々な企業の様々なサービスや商品の広告情報をビデオファイルにして、情報センター30の管理下で表示装置20に表示させることができる。もちろん、広告情報に音声ファイルを含ませて表示装置20のスピーカ22から放送することもできる。図2に示すように、トイレルーム内に設置される表示装置20の場合、各ビデオファイルの放映時間は1から3分程度とすることができる。図3Aおよび図3Bに示すように、小便器の前に設置される表示装置20の場合、ビデオファイルは、15秒から30秒といった短い時間であることが好ましい。)
(ウ) [0037]
「[0037] As shown in FIG. 2, the auto-control display device is incorporated with the flush actuation device of the lavatory system, wherein the flush actuation device is an auto flush actuation device to automatically flush the toilet after the use of the lavatory system. Accordingly, the flush actuation device comprises a solenoid or a motor to actuate a flushing mechanism to open a water valve for allowing water flowing to the toilet so as to flush the toilet.」
(日本語訳:図2に示すように、自動制御表示装置は、トイレシステムの水洗作動装置に組み込まれており、水洗作動装置は、トイレシステムの使用後にトイレを自動的に水洗するための自動水洗作動装置である。したがって、水洗作動装置は、ソレノイド又はモータで構成され、水洗機構を作動させて、トイレへの通水を可能にするための水弁を開き、トイレを水洗する。)
イ 引用発明1の認定
前記アの引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明1]
「広告及び/又はメッセージ表示に関するものであり、([0003])トイレルーム内に設置される表示装置20([0032])を含み、便器と、自動制御表示装置が組み込まれた水洗作動装置から構成されているトイレシステムであって、([0027],[0037])トイレシステムの使用を検出する感知手段10と、([0029])使用者がトイレシステムを使用するときに、使用者と目視位置において対向する位置に取り付けられた表示装置20と、([0031])感知手段10がトイレシステムの使用を検出すると、電子情報を表示するための表示装置20を自動的に作動させ、感知手段10がトイレシステムの使用が完了したことを検出すると、表示装置20を自動的に非作動にさせる、情報センター30と、([0029])を備える、トイレシステム。」
2 対比
(1) 対比分析
本願発明と引用発明3を対比する。
ア(ア) 引用発明3の「ドアや壁等で囲まれた通常同時に一人だけが用を足すための空間であるトイレブース14」は、本願発明の「トイレ個室」に相当する。
(イ) 引用発明3の「トイレブース14に設けられた」「トイレ設備1」は、「コントローラ43」を含み、当該「コントローラ43」は「表示部432」を有するから、「トイレ設備1」の発明である引用発明3は、「表示装置」の発明を内包している。
(ウ) 前記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明3と本願発明は、「表示部を有し、トイレ個室内に設置された表示装置」の発明の点において一致する。
イ(ア) 前記ア(ア)を踏まえると、引用発明3の「例えば赤外線や電波、超音波等によって使用者の存在を検出する人感センサー」により検出される「トイレブース14内の使用者の状態」は、本願発明の「トイレ個室の利用状況」に相当する。
(イ) 前記(ア)を踏まえると、引用発明3の「トイレ設備1」に含まれる、「トイレブース14内の使用者の状態を検出するためのセンサーであり、例えば赤外線や電波、超音波等によって使用者の存在を検出する人感センサー」である「検出部46」は、本願発明の「前記トイレ個室の利用状況を示す利用状況情報を取得する取得手段」に相当する。
(ウ) したがって、本願発明と引用発明は、「前記トイレ個室の利用状況を示す利用状況情報を取得する取得手段」を有する点において一致する。
ウ(ア) 前記イを踏まえると、引用発明3の「検出部46が入室を検出し、制御装置44が送信した入室時刻から第2の時間が経過していると判定された場合」に、予備警告が通知されることにより「警報を予告するメッセージを表示部432に表示させ」る「制御装置44」と、本願発明の「前記利用状況情報に基づいて、前記表示部の広告コンテンツの表示を制御する表示制御手段」は、「前記利用状況情報に基づいて、前記表示部の表示を制御する表示制御手段」である点で共通する。
(イ) したがって、本願発明と引用発明は、「前記利用状況情報に基づいて、前記表示部の表示を制御する表示制御手段」を備える点において共通する。
エ(ア) 引用発明3において「検出部46が入室を検出し、制御装置44が送信した入室時刻から第2の時間が経過していると判定された場合」に「制御装置44」が「警報を予告するメッセージを表示部432に表示させ」ることと、本願発明において「前記表示制御手段は、前記トイレ個室が利用されると、前記表示部に前記広告コンテンツの表示を開始させ、前記トイレ個室の利用が所定時間内に終了した場合には、前記表示部に表示した前記広告コンテンツの表示を停止させ、前記トイレ個室の利用が前記所定時間を経過した場合には、前記トイレ個室の利用中に前記広告コンテンツの表示を停止させる」ことは、「前記表示制御手段は、」「前記トイレ個室の利用が前記所定時間を経過した場合には、前記トイレ個室の利用中に前記表示を変更させる」点で共通する。
(イ) したがって、本願発明と引用発明は、次の点において共通する。
「前記表示制御手段は、前記トイレ個室の利用が前記所定時間を経過した場合には、前記トイレ個室の利用中に前記表示を変更させる」点。
(2) 一致点及び相違点の認定
前記(1)の対比分析の検討結果をまとめると、本願発明と引用発明3は、次のアの一致点において一致し、後記イの相違点において相違する。
ア 一致点
「表示部を有し、トイレ個室内に設置された表示装置であって、前記トイレ個室の利用状況を示す利用状況情報を取得する取得手段と、前記利用状況情報に基づいて、前記表示部の表示を制御する表示制御手段と、を有し、前記表示制御手段は、前記トイレ個室の利用が前記所定時間を経過した場合には、前記トイレ個室の利用中に前記表示を変更させる、表示装置」である点。
イ 相違点
本願発明においては、
表示部に表示されるものが、「広告コンテンツ」であり、
前記トイレ個室の利用が前記所定時間を経過した場合に表示制御手段が前記トイレ個室の利用中に前記表示を変更させる態様が、「前記トイレ個室が利用されると、前記表示部に前記広告コンテンツの表示を開始させ、前記トイレ個室の利用が所定時間内に終了した場合には、前記表示部に表示した前記広告コンテンツの表示を停止させ、前記トイレ個室の利用が前記所定時間を経過した場合には、前記トイレ個室の利用中に前記広告コンテンツの表示を停止させる」というものであるのに対して、
引用発明3においては、
表示部に表示されるものが、「便座の設定温度や洗浄用の温水の温度、洗浄位置の他、制御装置44から受信した情報等」及び「警報を予告するメッセージ」であり、
前記トイレ個室の利用が前記所定時間を経過した場合に表示制御手段が前記トイレ個室の利用中に前記表示を変更させる態様が、「入室時刻から第2の時間が経過していると判定された場合」に「「あと5分で警報を発します。警報が不要な場合は、5分以内に退出して下さい」のように、警報を予告するメッセージを表示部432に表示させ[る]」というものである点。
3 判断
(1) 相違点についての検討
ア 前記1(2)イにおいて認定した引用発明1は、「広告及び/又はメッセージ表示に関するものであり、」「トイレルーム内に設置され」、「使用者がトイレシステムを使用するときに、使用者と目視位置において対向する位置に取り付けられた表示装置20」を備え、「感知手段10がトイレシステムの使用を検出すると、電子情報を表示するための表示装置20を自動的に作動させ、感知手段10がトイレシステムの使用が完了したことを検出すると、表示装置20を自動的に非作動にさせる」構成(以下「構成1」という。)を有するものである。
イ 引用発明1及び引用発明3はいずれも、トイレ個室内に設置され、トイレの洗浄機構などと統合されたトイレシステムに関する発明であって、トイレ個室における情報の表示及びその制御という点において用途及び機能が共通するものであるところ、引用発明3において広告機能を持たせるために、引用発明3に対して前記構成1を適用して当該構成を備えるようにすることは、当業者が適宜選択できる、設計変更にすぎない。
ウ(ア) そして、引用発明1及び引用発明3が、いずれも便器の洗浄機構などと統合されたシステムとして構築されているものであることを考慮すれば、引用発明3に対して前記構成1を採用する場合、当該構成を並列付加的に引用発明3に追加するのではなく、引用発明3の「制御装置44」により制御されるシステムに前記構成1を一体的に統合することは、自然な発想であるといえる。
(イ)a(a) そして、構成1の「表示装置20」は「使用者と目視位置において対向する位置に取り付けられ」、しかも広告表示を行うに足る表示性能を有する、極めて高い視認性を備えたものである一方、引用発明3の「コントローラ43」が有する「表示部432」は、本来、便座や洗浄用の温水の温度設定などをする際に用いるための表示部であって、動画コンテンツなどを含む広告表示を行うには適していないことは、明らかである。
(b) そうすると、引用発明3のシステム中に前記構成1を統合しようとする場合、広告の表示先として構成1の「表示装置20」を採用せず、引用発明3の視認性の劣るコントローラの表示部を用いるなどといったことは、当業者にとって常識的な振る舞いであるとはいえず、広告の表示先としては構成1の「使用者と目視位置においてに対向する位置に取り付けられた」「表示装置20」を採用するのが自然な選択・設計である。
b(a) また、「あと5分で警報を発します。警報が不要な場合は、5分以内に退出して下さい」のように、警報の予告という重要なメッセージを表示させる際に、構成1の「使用者と目視位置においてに対向する位置に取り付けられた」「表示装置20」を採用するのが自然な選択・設計である。そして、広告の表示という、前記重要なメッセージの注意喚起力を劣化させることが明らかであることを並行して行うことを避けるべきことは、当業者にとって明らかである。
(b) したがって、引用発明3のシステムに前記構成1を一体的に統合する場合に、構成1の「表示装置20」を採用し、注意喚起を図るべく、「表示装置20」の広告の表示を停止させて、これに警報を予告するメッセージを表示させるようにすることは、当業者が通常配慮すべき範囲内の事項である。
c(a) そうすると、引用発明3において当業者が通常の自然な配慮を行いつつ前記構成1を採用することにより得られる構成は、次のとおりのものとなる。
「検出部46が入室を検出すると、表示装置20に広告を表示させ、
検出部46が入室を検出し、入室時刻から第2の時間が経過する前に使用が完了したことを検出すると、表示装置20を自動的に非作動にさせ、
制御装置44が送信した入室時刻から第2の時間が経過していると判定された場合、「「あと5分で警報を発します。警報が不要な場合は、5分以内に退出して下さい」のように、予備警告が当該トイレブース14の制御装置44に通知され、この予備警告の通知を受けた制御装置44は、警報を予告するメッセージを広告の表示を停止させた表示装置20に表示させ[る]」構成(以下「構成1適用後構成」という。)。
(b) 構成1適用後構成は、次に再掲した前記相違点に係る構成を満たす。
「表示部」に表示されるものが、「広告コンテンツ」であり、
「表示制御手段」が「前記トイレ個室が利用されると、前記表示部に前記広告コンテンツの表示を開始させ、前記トイレ個室の利用が所定時間内に終了した場合には、前記表示部に表示した前記広告コンテンツの表示を停止させ、前記トイレ個室の利用が前記所定時間を経過した場合には、前記トイレ個室の利用中に前記広告コンテンツの表示を停止させる」点。
エ したがって、引用発明3及び引用発明1に基づいて、前記相違点に係る構成を備えるようにして本願発明の構成を全て有するものとすることは、当業者が容易に想到し得たものであると認められる。
オ そして、本願発明の奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難かつ格別顕著なものは、認めることができない。
カ したがって、本願発明は、引用発明3及び引用発明1に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
(2) 請求人の主張について
ア 請求人の主張1について
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(ア) 請求人の主張1の内容
請求人は、審判請求書において、次の点を主張している。
引用文献3に記載の表示部432は、便座装置42の温度設定や洗浄位置の設定などの操作部431を有するコントローラ43の表示部であり、広告を表示するために設置されたものではなく、利用者がトイレブース14を利用する際に、便座装置を調整するために設置された装置であり、当該コントローラ43の本来の機能を鑑みれば、表示部432には利用者が利用中に表示すべきコンテンツは、温度設定や洗浄位置の設定など、トイレの利用に関する情報であるのは明らかであり、それを単に予備警告や警告という簡易的なコンテンツに拡張したものである。したがって、表示部432は機能的に広告を表示することはできず、広告を表示するために設けられたものとはいえない。よって、単に、トイレブース14が、百貨店等の商業施設で公衆が利用するものであることが想定されているという記載のみで、コントローラ43の表示部432にトイレブース14の利用とは関係ない広告を表示するという本願発明の特徴点の一つに到達したはずであるという示唆等が存在するというには不十分であり、論理が飛躍しているといわざるを得ず、審査官の上記主張は、引用文献1と引用文献3との組み合わせによる本願発明の容易想到性を証明するものではない。
(イ) 請求人の主張1についての検討
前記(1)ウにおいて説明したように、引用発明3の表示部432が広告表示を行うには適していないことは当業者には明らかであるから、引用発明3において広告表示を行おうとした場合、引用発明1の「表示装置20」を採用することは、当業者にとって通常の配慮の範囲内のものである。
前記(1)の検討は、表示部432に広告の表示をするというものではないから、請求人の主張1は、前記(1)カの結論を左右するものではない。
イ 請求人の主張2について
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(ア) 請求人の主張2の内容
請求人は、また、審判請求書において、次の点を主張している。
a 引用文献3において、「目的A:広告を表示したい」及び「目的B:長時間滞在しないよう退室を促したい」という目的があるとした場合、審査官は、引用文献3に引用文献1を適用する動機があるか否かを検討するに当たっては目的Bよりも目的Aを優先し、引用文献3に引用文献1を適用した後に、退室していないにも拘らず広告を非表示にする動機があるか否かを検討するに当たっては目的Aよりも目的Bを優先している。しかし、表示部にコンテンツを表示させるに当たっては、どの目的を優先させるべきか、優先させるべき目的のためにどのような内容をどのようなタイミングで表示させるべきか、という点に、技術的困難性があるものと思料する。
また、引用文献1では、あくまでも広告効果を最大限発揮させることが最優先であり、混雑抑制のことは全く考慮していないため、単にトイレ利用者の利用の有無によって広告表示をON/OFFしている。引用文献3は、トイレブース使用者が所定時間退出しない場合に予備警告や警告を表示部に表示することを開示している。ここで、予備警告は警報予告のメッセージ表示等であり、警告は警報表示出力や警報音出力である。
本願発明、引用文献1及び引用文献3のそれぞれの動作を整理すると、次のとおりである。
<本願発明>
「利用者の入室検出→広告表示開始→一定時間経過→利用中でも広告表示を停止」
<引用文献1>
「利用者の入室検出→広告表示開始→一定時間経過→広告表示継続→利用者の退出検出→広告表示停止」
<引用文献3>
「利用者の入室検出→一定時間経過→予備警告・警告出力」(飽くまで利用時間が一定時間を経過したら警告を出力することのみを示唆)
このように整理すると、引用文献1と引用文献3に直面した当業者がそれらをそれぞれの明確な示唆内容に基づいて組み合わせた場合には、「利用者の入室検出→引用文献1の表示部に広告表示開始→一定時間経過→引用文献1の表示部に警告を出力→広告表示継続→利用者の退出→広告表示及び警告出力停止」なる動作を想到しうるのみであると思料する。
つまり、長時間利用の場合の広告停止による退室喚起と長時間利用の場合の警告出力による退室喚起とは相反する動作であり、表示装置に表示すべきコンテンツ(広告や警告内容)を適宜決定しうるものという審査官の主張には妥当性はあるものの、警告のために表示コンテンツを非表示することまで「表示すべきコンテンツの決定」に含めるのは妥当性に欠けるといわざるを得ない。もし「警告のための表示コンテンツ決定」に「コンテンツ非表示」まで含まれるというのであれば、引用文献3において一定時間経過後の予備警告及び警告をどのようにして非表示(非出力)で実現するのか、引用文献3のどこにそのような動作が示唆されているのか、ご教示頂きたい。
(イ) 請求人の主張2についての検討
引用発明3に引用発明1を適用する場合、引用発明3の「長時間滞在しないよう退室を促したい」という制約条件の中でできる限り有効に広告表示をしたいと考えるのが、最も自然な考え方であるし、そもそも、完全には両立せず、相反する目的が有った場合、そのどちらを優先するか又はどのように折り合いを付けて中庸を行くかは、当業者が適宜選択すべき設計事項にすぎないから、どの目的を優先させるべきか、という点に困難性があるとする請求人の主張は採用できない。また、かかる主張を前提とする請求人の主張は、採用できない。
ウ 請求人の主張3について
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(ア) 請求人の主張3の内容
請求人は、審判請求書において、さらに、次の点を主張している。
本願発明は、「利用者がトイレを利用中にずっと広告コンテンツを表示すると、利用者が広告を見るためにトイレの利用時間が増加してしまい、トイレ混雑の原因となってしまう。そこで、施設利用者に対する広告伝達効果を高めつつ、混雑状況に応じて施設利用時間の増加を抑制する。」ということを課題としているが、引用文献1及び引用文献3は、そもそもこのような課題について開示はおろか、示唆すらしていない。
広告は本来、視聴者に少しでも長く見てもらいたいコンテンツであり、「利用者が広告を見るためにトイレの利用時間が増加してしまう」という課題を知らない当業者が引用文献3に引用文献1を組み合わせられた場合に、予備警告の目的が退室を促すことが目的であることが自明であるにしても、広告が予備警告の目的に反して利用時間の増加を招くことは知られていないので、引用文献1の方法に則り、退室するまで広告を表示するはずであり、引用文献3に元々記載されたコントローラ43の表示部432に表示される内容が「便座の設定温度や洗浄用の温水の温度、洗浄位置」であり、このような情報は利用中に非表示にされることはないことからも、引用文献3には、利用者が利用中に表示部432に表示しているコンテンツを非表示にするという着想をすることはありえない。
審査官は、当該拒絶査定の備考欄において、「引用文献3記載の発明に対して、引用文献1記載の発明を組み合わせる際に、所定のタイミングで広告を非表示とする点に、特段の技術的困難性があるとはいえない」と認定しているが、このように認定できるのは、本願発明に記載された「利用者がトイレを利用中に広告コンテンツを表示すると、利用者が広告を見るためにトイレの利用時間が増加してしまうことを課題」を知っているからであり、審査官の当該認定はまさに後知恵としかいいようがない。
したがって、当業者であっても引用文献1及び引用文献3を参照しただけでは、本願発明の「施設利用者に対する広告伝達効果を高めつつ、混雑状況に応じて施設利用時間の増加を抑制する」という課題を把握することはできない。
(イ) 請求人の主張3についての検討
前記(1)ウにおいて説明したように、引用発明3の表示部432が広告表示を行うには適していないことは当業者には明らかであるから、引用発明3において広告表示を行おうとした場合、引用発明1の「表示装置20」を採用することは、当業者にとって通常の配慮の範囲内のものである。
そして、「あと5分で警報を発します。警報が不要な場合は、5分以内に退出して下さい」のように、警報の予告という重要なメッセージを表示させる際に、構成1の「使用者と目視位置においてに対向する位置に取り付けられた」「表示装置20」を採用するのが自然な選択・設計である。
また、広告の表示という、前記重要なメッセージの注意喚起力を劣化させることが明らかであることを並行して行うことを避けるべきことは、当業者にとって明らかである。
したがって、引用発明3のシステムに引用発明1を適用して、一体的に統合する場合に、構成1の「表示装置20」を採用し、注意喚起を図るべく、「表示装置20」の広告の表示を停止させて、これに警報を予告するメッセージを表示させるようにすることは、当業者が通常配慮すべき範囲内の事項である。
以上のとおりであるから、本願発明の「施設利用者に対する広告伝達効果を高めつつ、混雑状況に応じて施設利用時間の増加を抑制する」という課題を把握できなければ、本願発明の構成に到達できない旨の請求人の主張は、採用できない。
第5 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、引用発明3及び引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-014163